「他の場所に住むなど考えられないだけではない――想像するようになることすらないだろう。私は真っ当な人間だ。誠実な夫であり、愛すべき父親であり、責任ある市民である。私には目的がある。それは、コルヴォーサの安全を保つことだ。華やかな仕事ではないかもしれないが、何事にも劣らない重要な仕事だ。だから、もし君が厄介事を探しているのなら、マグニマールやケル・マーガをお勧めしよう。そこで探すなら君は多くの労力を必要とせず、私は事務処理の手間を省くことができる。」
――テビガント・ベレスカン隊長、コルヴォーサ守備隊、南岸地区守備隊
コルヴォーサは長い間、ヴァリシアの未開の辺境で文明の最初の砦として機能していた。しかし、悲劇がこの街に住む王家の血筋の者を悩ませているようだ。支配者の中で、長く統治を続けた者はほとんどおらず、晩年まで生きた者はいない。300年の歴史の中で、父から深紅の玉座を直接継承したコルヴォーサの王はいない。この話は“深紅の玉座の呪い”と呼ばれるようになり、市民の間でひっそりと囁かれ、多くの噂話や話題作りの源となっている。
深紅の玉座の呪いアドヴェンチャー・パスの導入とは別に、このガイドはプレイヤーがこの街で暮らす固有のキャラクターを作成する手助けをすることを目的としている。ここで紹介されている情報は一般的な知識であるが、特にコルヴォーサを故郷と呼ぶキャラクターにとっては尚更である。このガイドは、君がまずこの街に慣れるよう構成されている。コルヴォーサの地図は本書の表紙の裏側にあり、ヴァリシア地図は裏表紙の裏側にある。この先のページでは、コルヴォーサの主要な地名と、都市に適用されるキャラクターの種族、クラス、装備に関する注記を確認することができる。
本書の最終項では、背景特徴の考え方を紹介している。このアドヴェンチャー・パスは、すべての新しいキャラクターが1つの共通点を有するという前提で始まる。彼らはゲイドレン・ラムという地元の裏組織の首領から何らかの形で不当な扱いを受けている。君のキャラクターに合った特徴の1つを選択すると、グループ内の他のPCたちと力を合わせる理由が準備されるだけでなく、今後の試練に対処するために役立つ素敵なボーナスも得ることができる。これらの特徴のほとんどは、君のキャラクターが幼少期の大部分をコルヴォーサで過ごしたことを前提としているが、ごく一部はより広く旅をしたキャラクターでも可能だ。だが、この“深紅の玉座の呪い”においては、大抵はコルヴォーサで生まれ育ったPCたちの方がより活躍できることになるだろう。
もしこのガイドを読んでコルヴォーサについての情報をもっと知りたいと思ったら、“Guide to Korvosa”を確認して欲しい。そこには64ページに渡り都市に関する詳細な情報が記載されている。さらに、パスファインダーのウェブサイト(paizo.com/pathfinder)と以降の巻で、この巨大な街とその周辺の世界に関するより多くの情報や、進行中の冒険にさらに没頭するためのプレーヤーのための新たな選択が明らかになる。安心して欲しい。このガイドは最初の一歩に過ぎない。コルヴォーサでの冒険は今始まったばかりなのだ!
「なぜ私はここに住んでいるのだろう? なぜ血誓谷のこちら側の最も統制のとれた、遵法的で、重苦しい街に住んでいるのだろうか? 答えは簡単だ、友よ。セーブル・カンパニーが雲の中を飛び回り、ヘルナイトが通りを闊歩し、そしてコルヴォーサ守備隊がそいつらの間に挟まれている。誰が何の管轄権を持っているのか誰も知らない。ただ隠れるべき時と、賄賂を贈るべき時を知っておけばいいんだ。ところで、お前さんはこの魔法のダガーを買うのか買わないのか?」――鳥舌のコーブ・ミーヴァー、青の結社 盗品売人
他の都市の人々と同じように、コルヴォーサ人は政治や歴史、巨視的経済学よりも日々の生活に対してより関心を持っている。それでも、コルヴォーサには、コルヴォーサとその市民たちを無二のものにしている特別な違いが僅かにある。次の概要では、コルヴォーサ人とは何かについて説明する。
その絶頂期、エイローデンの死とマグニマールを創設した分離主義者たちが離脱する直前、コルヴォーサの人口は23,000人を超えた。当時の混乱の結果、1万人近くを失ったが、前世紀にはその半分を取り戻した。急速な衰退とゆっくりとした再興の結果、コルヴォーサの裕福な地域の多くは未だに過疎状態となっている。有する建造物と建物が覆う地域によって、コルヴォーサは真の大都市へと順調に膨張できていた。
過密状態にある旧コルヴォーサ地区と、過疎状態の富裕層の住む地区の反目は、街の最大の失敗を浮き彫りにしている。裕福で権力を持つエリート層と極貧の貧困層との間には大きな隔たりがある。この社会階級間の隔たりは都市の発展を個性付け、コルヴォーサ固有の特徴をいくつか生み出した。
コルヴォーサに住む人々は富や権力、知識の誇示を尊敬し称賛する。彼らは自信と能力を最大の資産と考え、弱さや優柔不断さ、無能さを見せる人を嘲ったり、けなしたりする。コルヴォーサ人は決断が早く、許すまでに時間が掛かる。
権力に加え、コルヴォーサ人は予測可能性を好む。また、自分たちの生活に規律を求めて自ら厳しい規則を作り、それに隷属的に従う。彼らの日課を乱すことは、一日を台無しにされたとして怒らせかねない。この目的のため、コルヴォーサはその法(多くの場合、他の悪でない政府の法典をはるかに上回る厳しい刑罰を科される)を厳格に執行し、法に従う者には報酬を与える。とはいえ、コルヴォーサはすべての者が同じ規則に従っているわけではないことを認識しているため、非暴力犯罪者には悪行税の形で規則を適用し、この都市の盗賊組合を1つ公認するという形で埋め合わせしている。
規則の改正によって、コルヴォーサでは商人、労働者、または小売商人が組合を形成することを許可していない。市内の労働者の大半は自営業か、青年時代に弟子入りして師匠の下で働いている。
この街はこれらの地場産業と、それを収益化する熟練労働者に依存している。そのため、当然ながら労働者の保護と権利のために法律と規定がしっかりと整備されている。そして、成功を目指すコルヴォーサ人気質のおかげで、街の商人たちは自分たちの商売に精を出せるのだ。
コルヴォーサの街にあるあらゆる建物や塔、屋上はシェリアックスの伝統を色濃く残している。ヴァリシアで最古の居住地(ケル・マーガも度々主張している)であるコルヴォーサは、無法地帯における文明発祥の地であると自負している。コルヴォーサから人々が広がり、ヴァリシアは比較的安全に暮らせる場所となった。
コルヴォーサはジェガーレ川が海へ流れ込む、征服者の入り江の奥に位置する。この都市は2つの急に曲がっている部分によって形成された土地の、尖った場所を占めている。河口にはエンドリン島があり、川を二手に分断している。そして、ジェガーレ川の対岸まで都市の範囲は及ぶ。コルヴォーサにはエンドリン島のギャリソン・ヒルと、本土にあるシタデル・ヒルの2つの丘の上に建っている。エンドリン島と本土の間には、聖女アリカの水路が流れる。
都市は7つの地区に分けられ、その多くはさらに細分化された区画になっている。
東岸地区/East Shore:ジェガーレ川の対岸にある唯一の地区、東岸地区には街の軍隊と密接な関係がある少数の貴族の家と、困窮に喘ぐテウマネクサス大学がある。
灰色地区/Gray:コルヴォーサの他のすべての地区とは異なり、灰色地区の住人たちは一般的に交流もせず控え目である。それも、灰色地区の住人のほとんどは死んでいるため当然ではある。灰色地区に住む唯一のクリーチャーはファラズマの教会に属し、神殿に住んでいる。
高台地区/Heights:シタデル・ヒルの頂上に位置する高台地区からは街町全体を眺望することができ、この地区の住民たちは文字通り他の地区を見下している。 君主を含むコルヴォーサの権力を握るほとんどの者がこの高台地区に集まっている。
内陸地区/Midland:コルヴォーサと言えば、国際色豊かで親しみやすいこの内陸地区を思い浮かべる者が多いだろう。コルヴォーサ守備隊とセーブル・カンパニーの拠点がある内陸地区は、街で最もギャングの数が少なく、ギャング同士の争いも少ない。だが、商人や商店、そのほか商業・金融に関連するものが非常に多いため、この地区では盗賊組合が活発な取引を行っている。
北点地区/North Point:シェリアックスの開拓者たちが最初に入植したのは、コルヴォーサ本土の北西端にある本土区画だった。この区画の多くの家には、街に最も古くからいる一般階級の家族が住んでいる。北点地区は広く、街の北端全域を占めており、コルヴォーサ市政の中心(市庁舎)、市の裁判所(ロングエーカー・ビル)、アバダル銀行などがある。
旧コルヴォーサ地区/Old Korvosa:その名前が示すように、旧コルヴォーサ地区は古い。エンドリン島全体を占め、そのほとんどはギャリソン・ヒル上にある。ギャリソン・ヒルの頂上にはコルヴォーサ砦の石壁が築かれており、人目を惹く黒大理石でできたアルコナ宮殿が島の北西の一画を支配している。
南岸地区/South Shore:南岸地区は最も新しい地区で、わずか四半世紀前にコルヴォーサの一部になったばかりだ。この地区にはアヴィスタンで最も一般的な神格のほとんどを祀る巨大な“数多の神殿”がある。南岸地区の人口は主に、市内の他の場所のような窮屈な状態から抜け出すことを望んだ成り上がり者で構成されている。
5つの巨大な象徴的な建物がコルヴォーサの特徴的な都市の稜線を描いている。古来の巨大な建造物であるコルヴォーサ城と、壁柱/Pillar Wallと、ゲートフットと、実用的な大きさのグレート・タワーと、建てられてからまだ50年に満たない召喚の館だ。これらの象徴的な建物に加えて、この街には他に類を見ない場所がいくつかある。
アカダマエ/The Acadamae:秘密に包まれた大学の高さ30フィートの壁は、巨大な招来の館を辛うじて隠しているに過ぎない。街を訪れる者や住民たちはアカダマエの存在を無視することはできず、大学とは無関係の者の中にはその中で何が起こっているかを知っている者はほとんどいないため、アカダマエには様々な(時には滑稽な)噂が流れている。
コルヴォーサ城/Castle Korvosa:街の中心にあるコルヴォーサ城は、高台地区にそびえ立っている。過去3世紀の間に、何人もの執政長官、総督、君主がこの城を増築してきた。そのため、比較的一貫した近代シェリアックス様式であるにもかかわらず、城の主塔や内部の構造は無造作に詰め込まれたものとなっている。
屋根板区/The Shingles:永久的および半永久的な家や道路、拠点は、都市の最も込み入った地域の屋根に設置されている。これらの屋根の共同体とそれらを繋ぐ通路を総称して“屋根板区”と呼んでいる。
穹窿路/The Vaults:大抵の都市には下水道がある。中にはダンジョンのようなものさえ存在する。だが、コルヴォーサの穹窿路のように複雑な地下道を持つ構造のものはほとんどない。現在のコルヴォーサは少なくとも2つの他の文明の遺跡の上に建っており、その設計においてそれらが統合されている。
コルヴォーサ守備隊、ヘルナイトの“ネイル騎士団”、セーブル・カンパニーの3つの軍事組織がコルヴォーサの治安を守り、守備している。それぞれが異なる分野に力を注ぎ、独自の方法で政権と交流を行っている。
コルヴォーサ守備隊は、第一にコルヴォーサの街、第二に政府、第三にアバダル教会に仕えている。街の秩序を維持するために街の指導者やアバダルの大神官と密接に連携し、警察のように行動することが多いが、街が外部からの脅威にさらされると軍事組織へと変化する。
セーブル・カンパニーはコルヴォーサの王にではなく、コルヴォーサ城の総督に仕える。このヒポグリフに騎乗する水兵たちはコルヴォーサの空と水域を守り、コルヴォーサ守備隊の作戦に空中と水陸両用の支援を行う。
ヘルナイトは法の執行者であり、シェリアックス生まれの厳格な秩序観と不屈の道義心しか持っていない。ほとんどのヘルナイトたちと同様に、ネイル騎士団は自分たちが道徳を超越していると信じており、どんな犠牲を払ってでも正しい秩序を確立することだけを気にかけている。
コルヴォーサの盗賊組合である“青の結社”は、街のあらゆる規模の違法行為を監視し、操作することで影響を与えている。数十ものギャングがコルヴォーサの街路や、穹窿路、そして屋根板区で活動しているが、それらのほとんどの者は青の結社には何らかの方法で応じる(でなければ長生きはできない)。にわかに囁かれている噂によれば、貴族の家の一つが盗賊組合を支える事実上の指導者だという。
衝突、苦難、分裂がコルヴォーサの歴史を明瞭に示している。敵対的で荒涼とした土地の端にある島の要塞として設立されたコルヴォーサは、時間の経過とともに賑やかで活気ある貿易の中心地へと成長した。いくつかの異なる時期が、血塗れの建国から現在の混乱に至るコルヴォーサの歴史を形成した。
コルヴォーサが設立される前、その場所はショアンティ人にとって神聖な場所であったが、その理由はほとんど忘れ去られてしまった。彼らが知っていたのは、川の河口にある丘の頂上にあった巨大なピラミッドが、どんな犠牲を払っても守られなければならず、誰もそこには入れないという事だけだった。何百年もの間、彼らはこの約束を守った。
AR4407年に、コルヴォーサのヤクシオン元帥は、敵の島に捕らわれていた見捨てられたシェリアックスの海兵隊を救出し、コルヴォーサ砦を設立した。その居住地は、その地域の入植者や開拓者、猟師、探検家にとって強力な防衛と交易の拠点として機能した。ショアンティの襲撃(大火と呼ばれる出来事)で居住地の大部分が焼失した後、シェリアックスの金と商人たちの流入により、居住地の防御力が強化されてその住民には本土に移住することが許可された。
AR4502年、コルヴォーサの名門貴族に対する不運な侮辱がきっかけとなり従兄弟戦争が勃発した。戦争は、軍の前哨地としてのコルヴォーサの役割を終わらせ、さらに多くのシェリアックスの貴族が流入した結果、居留地は真の植民地となった。その後、莫大な富の時代が続き、規模は着実に拡大した。
AR4606年、エイローデンの予期せぬ死によりシェリアックス帝国で内戦が勃発したため、コルヴォーサの繁栄は終焉を迎える。何の言葉もなく祖国から切り離されたコルヴォーサは、この暗黒の時代を生き延びた。今日、この都市は自ら王位を名乗る者のお陰(場合によっては、それにもかかわらず)で再び繁栄している。
建物、基本的施設、政治が都市を居住可能な(あるいは一部の場合には耐えられない)ものにしているが、そこに住む人々こそが街の礎である。
自分たち君主に先立つ執政長官と比べ僅かばかり権力のあるコルヴォーサの君主たちは、君主制の創設時から存在している厳格な政府組織と権力を共有しなければならない。指揮権を持つ王であるエオドレッドII世が街に布く命令は、裁定官、政務官、そしてこの街で最も政治的な権力を持つ集団である貴族たちによって常に監視されている。裁定官は裁判官以上に法廷で被告人は有罪なのか無罪なのかを判断しているだけでなく、立法府の監督権も持つ。23人の政務官やその職員たちが何をしているのか誰も正確には知らないが、ほとんどのコルヴォーサの人々は、市庁舎の目的は市民の時間とお金を無駄にすることだと疑っている。最後に、2つの重複した区分がコルヴォーサの貴族社会の現状を示している。最も力を持つ5つの一族は名門という肩書きを振りかざし、自分たちの身内に都市内における特権を与えている。そして21の貴族たちは埠頭連合を構成し、それぞれの家は都市内の1つ以上の埠頭への着岸料を請求することが可能になっている。
以下に示されているのはコルヴォーサに広く知られている名高き名と、悪名高き名である。
コルヴォーサの政治組織は3つの組織に分かれている。裁定官が裁判官を担い、刑事事件の審理や民事紛争を解決する。政務官は日々の市政運営の官僚業務を担当している。そして、君主政体がコルヴォーサの外交と防衛者としての役割を果たしている。
クレッシダ・クロフト/Cressida Kroft:コルヴォーサ守備隊の現指導者であるクレッシダ・クロフト元帥は穏やかな女性で、冒険家や傭兵に市の防衛のために守備隊を支援するよう大々的に奨励しているため、市のエリートたちからは不公平であると批判を受けている。
エオドレッド・アラバスティII世/Eodred Arabasti II:コルヴォーサの王で浪費癖があるが、彼が指揮した数々の善行により、幾分か和らげられている。
イレオーサ・アラバスティ/Ileosa Arabasti:コルヴォーサの女王であるイレオーサは夫の3分の1の年齢でしかない。噂では、彼女はコルヴォーサを軽蔑しており、その富を手中に収めるために王をそそのかして結婚したという。
ガリック・タン/Garrick Tann:巷で「コルヴォーサで最も嫌われている男」と呼ばれるギャリック・タンは商業を司る政務官で、市内の徴税を監督している。
ロリア・ペレンネ/Lolia Perenne:かつてはアバダルの司祭であったが、今は規定を司る政務官として重さや寸法の管理を任されている。彼女は執務室で欠陥のある秤や削られた硬貨、商人と客がお互いを騙そうとする試みを探すために多くの時間を費やしている。
マルクス・タラシナス・エンドリン/Marcus Thalassinus Endrin:エンドリン司令官は伝統と名誉を重んじるセーブル・カンパニーの現指導者であるが、時に自身の経歴を最優先させるために盲目になってしまうことがある。
ネオランダス・カレポポリス/Neolandus Kalepopolis:コルヴォーサ城の総督、ネオランダス・カレポポリスは城の防衛を指揮しており、エオドレッドII世に次ぐ第2の権力者とされている。
セヴェルス“骨の鉤爪”ディヴリ/Severs “Boneclaw” DiVri:威圧的で謎多きネイル騎士団の指揮官であるディヴリ警護官は雲突くような大男で滅多に自分の拠点であるヴレイド砦を離れることはない。
シル・ガル/Syl Gar:ガリック・タンがコルヴォーサで最も嫌われている官僚の一人であるとすれば、経理を司る政務官シル・ガルは最も愛されている官僚の一人であり、彼の役割は税金が公共事業に適切かつ効率的に使われていることを確認することである。
ゼノビア・ゼンダーホルム/Zenobia Zenderholm:厳しい判決を下す裁判官として知られるゼノビアは、コルヴォーサの最上級裁定官である。当然ながらその彼女の評判はコルヴォーサの犯罪者たちを震え上がらせる。
街の貴族階級から、市場の芸人、商人、犯罪者に至るまで、コルヴォーサ市民には多くの著名人がいる。
ブラックジャック/Blackjack:象徴的な存在であり、この街で最も愛され悪評を買った英雄。何百年もの間、踏みにじられてきたコルヴォーサの庶民のために戦ってきた伝説的な仮面の英雄である。
ブーレ/Boule:コルヴォーサの盗賊組合“青の結社”の頭目であるブーレは多くの者から恐れられるが、尊敬されることは少ない。
ダルブ・タトル/Darb Tuttle:アバダル教会の大主教であるダルブ・タトルは、コルヴォーサの最も力を持つ聖職者の一人である。
デヴァルゴ・バルヴァッシ/Devargo Barvassi:一部には“蜘蛛の王”として知られているデヴァルゴは、売春宿や麻薬密売所、賭博場としても機能する船の集団である“イールの尻尾”を運営している。
グロリオ・アルコナ/Glorio Arkona:コルヴォーサで最も強大な貴族の1つの家長で、全てではないにしろ、コルヴォーサの裏社会で起こるほとんどの犯罪と関連があると噂されている。
ケッピラ・ディーベア/Keppira d’Bear:ファラズマの大聖堂の司教で、灰色地区を管轄するケッピラはアンデッドの存在を常に低く保っている。
ピルツ・スワステル/Pilts Swastel:ピルツは旧コルヴォーサで、非倫理的で道徳上問題のあるような娯楽を求めている者のために作られた劇場、“罪深き模範”を所有し、運営している。
サビーナ・メリン/Sabina Merrin:イレオーサ女王の護衛を取り巻く多くの噂は、彼女と女王が密かに愛し合っているということだけに留まらない。しかし、誰もこの立派な女性の女王への忠誠心を否定することはできない。
トフ・オルネロス/Toff Ornelos:アカダマエはヴァリシアで最も権威のある魔法学校であり、校長であるトフはこの地域で最も尊敬されている強力な魔法使いの一人である。
ヴェンカルロ・オリシーニ/Vencarlo Orisini:有名なオリシーニ武術学園の所有者であるヴェンカルロは、コルヴォーサの政権に対するあからさまな軽蔑により、何度か問題を引き起こしている。
ゴラリオンでは地球と同じように時間が流れている。60秒が1分、60分が1時間、24時間が1日である。ゴラリオンの人々は我々とほぼ同様に時間を計測しており、1週間は7日であり、1ヶ月は30日、1年は12ヶ月となっている。最後のアズラント人と呼ばれるエイローデンが偉大な帝国を建国した年からこの暦は始まっている。帝国は崩壊したが、その暦は今日まで使われている。“深紅の玉座の呪い”は、アブサロム暦(AR)4708年に始まる。
1週間の中の曜日は次のとおりとなっている。それぞれの日には、内海地域のほとんどの人々が従う一般的な目的がある。
ゴラリオンの月は我々と同様に、新年は夏至の直後から始まる。それぞれの月は語源的に特定の神と結びついている。ゴラリオンの人々は季節の移り変わりに神々を投影しており、それぞれの月に付けられた名前はそれを反映している。
コルヴォーサはあらゆる人々が集まる地である。街の市場ではウィザードがバーバリアンと肩を並べ、ファイターやモンクは衛兵や傭兵として働き、ローグやパラディンは街のエリートの間で時間を争っている。また、湾港地区の一部では反逆したドルイドの一派が活動しているとさえ言われている。しかし、この多様性さ故に、衝突も起こる。コルヴォーサの全ての者が歓迎されている訳ではない。
ヴァリシアの種族やクラスの詳細については、“ルーンロードの帰還プレイヤーズ・ガイド”を参照して欲しい。以下の情報は、それを補足するものであり、これらのゲームの要素が“深紅の玉座の呪い”の基礎として機能する都市でどのように機能するかに関して個々の詳細を提供している。
この都市の人口構成を見てみると、10人のうち9人が人間であることがわかる。人間はあらゆる点でこの都市を支配し、人口の圧倒的多数を占めている。しかし、コルヴォーサの住民は人間だけではないという事は、訪問者にもすぐにわかる。
コルヴォーサの市民の大部分は、シェリアックスからの最初の移住者の子孫であるが、今日では、純粋なシェリアックス人はごく少数となっている。コルヴォーサのほとんどの人間はここで生まれ育ち、ヴァリシア人特有の浅黒い顔や伝統を共有しているわけではないが、彼らもまたヴァリシア人である。一部の伝統主義者たちは声高にシェリアックスの価値観への回帰を説くが、コルヴォーサの標準的な市民たちは、政治よりも家族や富といった現実的な問題に関心を持っている。
市内最大の少数民族である純血のヴァリシア人は、人口の半数以上がヴァリシア人の血を引いているにもかかわらず、10人に1人の割合でかろうじて存在している。コルヴォーサの伝統主義者の多くは、純血のヴァリシア人を派手な服を着た泥棒や殺人者とほとんど変わらないと考えており、彼らに対する偏見は時に醜い私的制裁や脱法的な家からの追い出しへと飛び火する。
彼らはコルヴォーサと近く、この地域は彼らの民間伝承に於いて重要であるにもかかわらず、驚くべきことに少数のショアンティしかこの街には暮らしていない。これは、今日まで続いているショアンティ族とシェリアックス人との間の絶え間ない戦争が、両民族の認識と偏見に影響を与えていることにも起因している。もう一つの理由は、ショアンティ族の文化的伝統に由来する。半遊牧民である彼らは、恒久的な定住地にはほとんど興味がない。
街や貴族と契約を結んでいるドワーフ商人たちがジャンダーホッフから訪れており、商品を買い求める顧客はひっきりなしである。契約した顧客が欲しい品物を選んだ後、ドワーフたちは黄金市場(内陸地区)で残りを売る。残った商品、特に魔法の武器や防具は、埠頭交易所(北点地区)で販売している。ドワーフの仲買人はこの街のあらゆる主要な市場に存在している。ドワーフは一般的にこの街の商人や小売商人の中で最も評判が良く、尊敬すべき存在であると考えられている。
コルヴォーサではドルイドと同様に珍しい存在で、街のエルフたちのほとんどはミエラニ森の出身である。これらのエルフの中でも指導者的存在であるペリシアル・カリスリーヴィルは、ミエラニの大使を務めている。彼と一握りの側近や家族はこの街が存在している間ずっと街の中で平和的に暮らしている。エルフのために特別に建設された小さな居留地が南岸地区にあり、彼らはしばしば学者や賢者、魔法や自然に関する意見を求める人々のための助言者として機能している。
この小さなフェイの子孫たちは、その大きさをはるかに超える魔法の能力を持っている。この天性の魔法への適性は、権力と評判を求めるアカダマエの注目を集めている。そのため、コルヴォーサにいるノームのほとんどは、この魔法の学校に行くことを考えるか、そこで教えられた方法を不快に感じて退学してしまう。アカダマエの外では一般的なノームと同じように生活しており、ぎこちなくより大きな種族を真似、無視できない脅威として行動する。
海運貨物で得る利益を最大化するために、レローング家はハーフリングの船員を雇うことを始めた。さらにノームの船員も試したが、それは失敗に終わった。ハーフリングは半分以下の空間と食料しか必要としないので、レローング家は追加の貨物のためにその余分な空間を使うことができると考えたのだ。アルカナ家を除く他の家はレローング家からこれらのハーフリング用の大きさの船を購入し、ハーフリングの船員で乗組員を構成した。現在、この街のエリートたちが所有する船の半分近くは、このハーフリング用となっている。
退屈した人間の貴族の若い女性たちは時折、魅惑的で美しい者との刺激的な出会いを求めてミエラニの居留地へと近づく。本人もかなり愛欲的であるペリシアルは混乱した喜びと共にこの逢瀬を歓迎し、そうした逢瀬の度にコルヴォーサとミエラニのエルフの間の絆は強まると主張している。外交官としての数年間、ペリシアルはこれで数え切れないほどのハーフエルフの子孫を作り、彼の側近の男性陣はさらに数十人もの子孫を作り出した。コルヴォーサのハーフエルフは良く言えば不幸な人々、悪く言えば信頼できない私生子だと一般的に見られている。
多くのショアンティ族がベルクゼンのオークの近くに住んでおり、その結果、この2つの集団の間でほぼ絶えず続く戦闘状態になっている。これらの戦いは時に非常に個人的なものとなり、その結果、時にはハーフオークとなる。これらのハーフオークは成人期を迎えるまで生存することはほとんどないが、少数ではあるが人間の従兄弟の間で生活することがある。ほんの一握りのハーフオークがコルヴォーサに居を構えている。贅沢な亀亭の用心棒やエリシア・レローングの護衛、数人の他の有名な者を除き、ほとんどのハーフオークは旧コルヴォーサ地区に住んでいる。
ヴァリシア最大の都市であるコルヴォーサでは、誰にでもちょっとしたものがある。さらに、コルヴォーサでしか手に入らない物を求めて旅をしたい時期が、すべてのヴァリシア人の人生に必ず訪れるようだ。そのため、11の全ての標準クラスには市内である程度(一部はより詳細な)の描写が与えられる。
コルヴォーサのバーバリアンたちはそのほとんどがショアンティの土地からの訪問者だ。様々な理由でシンダーランドから追放されたり、逃亡を余儀なくされたりして、行き場を失った少数の者が街に暮らすことを選択した。バーバリアンは用心棒や港湾労働者、強盗、またはコルヴォーサの汚れ仕事を請け負う傭兵として働くことが多く、通常は街のより裕福な地域では歓迎されていない。
コルヴォーサではバードたちは愛され、一方では嫌われてもいる。地元の人々は芸能人の噂話を楽しむのと同じくらい、彼らの演芸を楽しんでいるため、ここでバードが目立たないようにするのことは難しい。いくつかの酒場や宿屋、劇場などの施設では、常時バードのために会場を提供している。コルヴォーサにあるオペラ劇場(ヴァロン・パラストゥスと言う名の暴君が支配人)のマーブル・ドームや、コルヴォーサ最大の宿屋である詩人の頂亭は常に旅の芸人たちを歓迎している。
ゴラリオンには膨大な数の神々が祀られているが、その内の20の神々に対する信仰は他の神々を圧倒している。コルヴォーサ市内でその20の神々を信仰するクレリックを見つけることは容易ではあるが、それ以外の神々を信仰する者(特に悪を信仰する者)を探すのは難しいだろう。間違いなくアバダル教会はコルヴォーサで最も大きな力を持っている。アバダルは都市や商人の神であるだけでなく、この都市を保護する守護者でもあるからだ。ファラズマの教会はコルヴォーサの死者に気を配り、市内のネクロポリスで一際目立つ大聖堂を維持している。街の庶民の多くは守護者としてサーレンレイを好んでおり、シェリンは街の芸術家たちの間で根強い支持を得ている。アスモデウスの教会は信仰に僅かに不安と恐怖をもたらすが、この教会の信者は常に法律を遵守することを期待され、生贄は志願者からのみ捧げられる。信仰の垣根を超えて、「数多の神殿」にはゴラリオンの20の代表的な神々の大多数が祀られている――ゴルム、ラマーシュトゥ、ロヴァググだけはここでは含まれていないが、これらの神々もこの街の特定の場所には信者が存在する。
ドルイドは一般的にコルヴォーサの市民から信頼されておらず、好意的に捉えられていない。この主な原因は度々西埠頭の河岸で厄介者やならず者として振る舞う凶悪なドルイドたちの冷酷な結社の行動である。他のドルイドでさえもこの集団を厄介者と考える傾向があり、街を訪れる必要がある数少ない機会では、彼らは目立たないように行動している。「数多の神殿」はドルイドの信仰を公式には認めていないが、瞑想するための静かで便利な場所を求めるドルイドたちはいつでもそこを訪れることができる。
コルヴォーサではファイターたちには幅広い機会があるが、コルヴォーサの守護者であるコルヴォーサ守備隊に引き入れられることほど名誉なことはない。現役の守備隊員たちはエンドリン士官学校を宿舎としているが、守備隊は必要な時に結集することが期待されている予備隊員の民兵も維持している。また、ファイターは民間の警護や用心棒、街に多くある格闘学校で生徒や教師としてなどコルヴォーサのいたる所で仕事を見つけることができる。
コルヴォーサではモンクはほとんど見かけないが、遠く離れたヴードラの秘法師やティエン・シアの武道家や、彼らの素手で成し遂げられる驚くべき技の話を聞いた者は多い。コルヴォーサには修道会の拠点はないが、図書館や教会にはモンクの興味を惹きつけるものが沢山ある。
コルヴォーサは極めて遵法的な都市だが、概して法律の適用ほどにはその目的に対して関心を持たない。それどころか法律に関する市政の公平な姿勢は、世間一般の悪に対する意識を歪めている。その結果、ほとんどのパラディンはコルヴォーサが自分たちには窮屈な場所であると感じており、都市の圧倒的な官僚主義と、都市がヘルナイトのネイル騎士団やアスモデウス教会のようなものを受け入れることに不満を募らせている。コルヴォーサのパラディンのほとんどは、自分たちが善行を積むのに最適な場所であると考え、アバダル教会とコルヴォーサ守備隊と手を組んでいる。
コルヴォーサでレンジャーのための最も有名な場所と言えば間違いなくセーブル・カンパニーだろう。このヒポグリフに跨るレンジャーの精鋭集団の隊員がコルヴォーサの上空を巡察しているのを時折見ることができるが、その地位を獲得するのは難しい。それでも、コルヴォーサで育った多くの人々は、こうした飛行する守護者たちに対して心中に確固とした感謝と畏敬の念を抱いており、それはセーブル・カンパニーの一員ではないレンジャーまで概して市民から敬意を勝ち取れるほどだ。
法律を好むにもかかわらず、コルヴォーサの通りにはあちこちで盛んに活動する裏社会がある。街の低家賃地区では、無数の盗賊団や悪党、厄介者のギャングたちが潮のように浮き沈みしている。緩やかに連携して拡大したヴァリシア系犯罪王の組織であるスクザーニは、これらのギャングの多くを支配しており、一般市民のヴァリシア人に対する悪評に大きく貢献している。コルヴォーサの現在の盗賊組合は青の結社として知られており、この組織の構成員たちは、主にみかじめ料の取立てと密輸に焦点を当てている。
コルヴォーサにいるソーサラーのほとんどはヴァリシア人で、血脈の何らかの偶然によって自然に魔法の才能が備わった人々である。一般的に、ほとんどの人々はソーサラーとヴァリシア人の境界線が曖昧で、その結果、ソーサラーは事あるごとに厄介者と考えられている。確実に、研究と鍛錬なしに秘術魔法を使用しても災厄を招くことにしかならないと主張し続けるアカダマエの圧倒的な努力は、こうした理解されていない秘術使いに対する一般的な意見を助長してはいない。
コルヴォーサではウィザードはとても尊敬されている。コルヴォーサにおける最高の栄誉の一つであるアカダマエでの修練の証を示すことができれば尚更だ。アカダマエはヴァリシアで最大かつ最高の人材を擁する魔法学校であり、そこに通うことへの威信と名誉は、最近ではシェリアックスの由緒ある大学にも匹敵するようになってきた。アカダマエへの入学は難関で、そこで教えられている教育課程は危険をもはらんでいるが、アカダマエを卒業した魔法使いは、自分の壁に飾る卒業証以上のものを得ることができるのだ。コルヴォーサには他にもウィザードの学校(特にアノマネクサス大学、アカダマエと異なり専門化しないウィザードに教えている)があるが、アカダマエの影に隠れてしまっている。
コルヴォーサの冒険者たちは多種多様な武器、鎧、その他の装備を採用している。
バーバリアンの噛み煙草/Barbarian Chew:ショアンティ族は、シンダーランド全域で見られる茂みに生えている乾燥させたガルトルートの葉で、この苦みのある赤い噛み煙草を作る。これは興奮剤として攻撃性を高めるため、バーバリアンの激怒の持続時間を1ラウンド増加させる。この効果は1時間持続する。
医師の仮面/Doctor’s Mask:この仮面は鳥のような形をしており、鼻と口を覆う木製または陶器製の嘴と保護眼鏡が取り付けられている。この嘴の中には感染症を防ぐためのハーブや香料、香辛料などが詰められている。この仮面を着用している間、空気中の毒素や臭気による影響への頑健セーヴに+1の状況ボーナスを得る。コルヴォーサでは、治療師や医師ではない者が公の場で医師の仮面を着用するのは軽犯罪に該当する。
アース・ブレイカー/Earth Breaker:ヴァリシアのショアンティ族が使用する巨大な槌で、一般的なバーバリアンの武器だ。
ハロウ・デッキ/Harrow Deck:これは、ヴァリシアの占い師や予言者が使用する伝統的な占い札である。精巧に図示されたハロウ・デッキもあるが、ほとんどは手描き画の羊皮紙か紙の札である。ハロウ・デッキはしばしば世代を越えて受け継がれ、結果としてそれらの使用者に細心の注意を払って扱われる。
ハイド・シャツ/Hide Shirt:この軽装鎧は通常、ジャイアント・リザードの革や骨、分厚い鱗で作られる。
クラール/Klar:クラールは利き手でない方の手の軍用武器(斬撃)として敵を攻撃することができる。攻撃ロールにペナルティを受ける際は、クラールは軽い武器と見なされる。クラールを武器として使用する場合、次のアクション(通常は次のラウンドまで)までの間、君はアーマー・クラス・ボーナスを失う。クラールは区分ごとに別々に強化することができる。盾への強化ボーナスは武器に影響を及ぼさない。
香水/コロン/Perfume/Cologne:香水やコロンは、その香りによって不愉快なことを避けたい人のための一般的な装飾品である。もっと高価な外国産の香りは、街のもっと限られた場所で販売されている。異国の香水やコロンは通常、10回分が入った小瓶で売られており、1回の使用で24時間持続し、その間、身につけている者は〈交渉〉判定に+2の状況ボーナスを得る。
ソートゥース・サーベル/Sawtooth Sabre:これは悪名高き“赤蟷螂”の象徴的な武器で、ソートゥース・サーベルは残酷なまでに効率的な武器である。湾曲した鋸歯状の刃は深い傷を与えることができ、この武器に習熟しているならソートゥース・サーベルを軽い武器として扱う。《特殊武器習熟:ソートゥース・サーベル》特技を取得していない場合にはこの武器はロングソードとして扱われる。
ブレーデッド・スカーフ/Bladed Scarf:ブレーデッド・スカーフは間合いの長い武器で、10フィート離れた相手に攻撃することができる。また、隣接する敵に対しても使用することができる。君はブレーデッド・スカーフで足払い攻撃を行うことができる。ブレーデッド・スカーフに習熟しているのなら、使用者に組みつき判定を成功させた全てのクリーチャーに1d4ポイントの斬撃ダメージを与える。ブレーデッド・スカーフは《武器の妙技》特技を使用することで、例えそれが使用者にとって軽い武器でなかったとしても、【筋力】修正値の代わりに【敏捷力】修正値を攻撃ロールに適用できる。
ポケット付きスカーフ/Pocketed Scarf:このスカーフは自分が身につけている物体を隠すために行う〈手先の早業〉判定に+4のボーナスを与える。
強靭化スカーフ/Reinforced Scarf:鎖または枷に丁度いい、この8フィートの長さのスカーフは、細かい鎖の環と金属板で補強されている。強靭化スカーフは硬度10、4ヒット・ポイントを持ち、破壊するには難易度24の【筋力】判定が必要となる。
ショアンティ・ボーラ/Shoanti Bola:ショアンティ族は削った骨に重い石を取り付けた特殊なボーラをよく使用する。このボーラは通常のボーラとして機能するが、非致傷ダメージではなく致傷ダメージを与える。大抵のショアンティ・ボーラはうなり板としても機能する。その重りに付けられた小さな曲がった穴により、この武器は振りまわした際に悲しげで鋭い音を放つ。
スターナイフ/Starknife:この武器は古くから聖なる武器としてデスナの教団で使われている。これを手にした者はスターナイフで刺したり、チャクラムのように投げたりすることができる。
ヴァリシアの偶像/Varisian Idol:この忘れられた精霊を象ったものは召喚魔法の効果を増強する。サモン・モンスターやサモン・ネイチャーズ・アライの発動時に使用した場合、招来したクリーチャーの最大ヒット・ポイントは、そのクリーチャーが持つヒット・ダイス毎に+2増加する。
アイテム |
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15GP |
1ポンド | |
50GP |
2ポンド | |
100GP |
― | |
1GP/1服 |
― | |
10GP/1服 |
― | |
8GP |
1/2ポンド | |
10GP |
1ポンド | |
50GP |
― |
価格 |
クリティカル |
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
24GP |
1d3 |
1d4 |
x3 |
20フィート |
3ポンド |
刺突 | |
12GP |
1d4 |
1d6 |
x2 |
― |
6ポンド |
斬撃 | |
40GP |
1d10 |
2d6 |
x3 |
― |
14ポンド |
殴打 |
価格 |
クリティカル |
||||||
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35GP |
1d6 |
1d8 |
19-20/x2 |
― |
2ポンド |
斬撃 | |
12GP |
1d3 |
1d6 |
19-20/x2 |
― |
2ポンド |
斬撃 | |
15GP |
1d3 |
1d4 |
x2 |
10フィート |
2ポンド |
殴打および刺突 |
他の都市と同様にコルヴォーサにも闇がある。あらゆる種類のスリ、暴漢、泥棒、強盗、暗殺者、そして犯罪者たちが波止場のスラム街に蔓延り、下水道に潜み、“屋根板区”の上に入り込んでいる。コルヴォーサ守備隊は街の犯罪者たちによる被害を最小限に食い止めるために最善を尽くしているが、現実は厳しく犯罪者たちの数は常に取り締まる側を上回っている。つまり、処罰されない犯罪もあれば、大きな成功を収める犯罪もあるということである。
その中でも最悪なのは、おそらく街の犯罪者たちを取り仕切る首領たちだろう。赤蟷螂の暗殺者たちを束ねる邪悪な指導者をはじめとし、数名の友人や従妹からなるギャング団を統率するヴァリシアのスクザーニに至るまで、コルヴォーサでは数十人にも上る犯罪者たちが常時活動している。より大きな組織が庶民を悩ますことがほとんどない一方で、彼らのような小規模な犯罪者たちは皮肉にも、コルヴォーサの法律に従う市民たちに被害を与える。その望ましくない人物の1人が、コルヴォーサの陰鬱な裏世界で大物になる機会を逃した、下劣なゲイドレン・ラムである。その全盛期を過ぎた年老いた泥棒は孤児たちを誘拐し、些細な犯罪で自分の卑しむべき生活を支えるよう強要している。コルヴォーサの下層階級の多くはラムと取引を行ってきた。街の中流階級や貴族の一部でさえ、この卑劣な老人のために人生を複雑なものにしてきた。だが、彼は何をしようとも、いつも衛兵から逃れ、自分の犯した罪に向きあうことを避けているようだ。
しかしながら、ゲイドレン・ラムの運勢は変わろうとしている。彼が活動する内に最近触れた者の中には、コルヴォーサの偉大な英雄となる運命にある数人の男女が含まれていた。そして、その英雄の一人が君なのだ。
“深紅の玉座の呪い”が始まる前でさえ、君には他のPCたちと共通した特徴がある。それは皆、何らかの形でゲイドレン・ラムからの被害を被っているのだ。このキャンペーンは君と他の有望な若き英雄たちが、街の衛兵たちに出来ない(またはしない)ことをするために集められた所から始まる。その目的はゲイドレン・ラムが犯した過ちを、法廷か復讐に燃える剣の切っ先で裁くためである。
ここでは君のキャラクターが選択できるゲイドレンとの5つの結びつきと、この忌まわしい裏組織の首領が過去に君にどのような影響を与えたかを説明する経歴の断片を示す。いずれの特徴も不運な出来事を大まかに描いたもので、自分の必要性に合わせて変更できるため、君のキャラクターを形成するのに役立つだろう。特徴を選択したら、自分のキャラクターのコンセプトに適合した利益を選択する。自分の選択した特徴の詳細を、キャラクターの経歴に合わせて自由に変更したり手を加えて欲しい。ゲイドレンが罪を償うのを見るに足る理由がある限り、君は冒険的な人生を歩む内なる理由を、さらに重要なこととして新しい仲間たちとの絆を深める理由を持つ。
もちろん、これらの背景的な特徴はゲイドレンの件が片付いた後にキャンペーンに入った新しいキャラクターにはうまく機能しないだろうが、雰囲気を説明している文章は簡単に変更できる。GMに相談して欲しいが、以下の特徴の中から1つを選び、いくつかの名前を変えて全く異なる状況に焦点を合わせることはそう難しくないだろう。君の新たな高レベルのキャラクターがこれらの問題にすでに対処済かどうか、またはキャンペーンの今後のイベントにこれらの問題を組み込むのかはGM次第となる。選択した特徴の利益はゲイドレン・ラムの件が片付いた後にも継続する。
君の知る誰かがドリーム・スパイダーの毒を蒸留して作られた麻薬である“慄け薬”の中毒者になった。この麻薬は鮮明な夢に満ちた睡眠を誘発し、その間、使用者の体はしばしば揺れ動いて震えるため、通称“慄け薬”と呼ばれている。この“慄け薬”の見せる夢と忘却は、退屈な人生から脱却するには自殺しかないと思い込ませてしまうことが度々あるため、自暴自棄になっている者には特に危険である。君は常々“慄け薬”を下層階級の問題だと思っていたが、君の知る誰かは常用していて過剰摂取してしまった。君は少し調べると、友人が麻薬中毒になるきっかけを作ったのはゲイドレンという裏組織の首領だったことを知った。残念なことに、衛兵たちはもっと大物に目を向けているようだった。彼らに言わせると、いわゆる“乞食の悩みの種”に多くの労力を費やす時間などないそうだ。ゲイドレンの活動を停止させようとするなら、それは君の手にかかっているように思える。
友人が中毒者:中毒者は友人または恋人で、過剰摂取から生き延びたかもしれないし、そうでなかったかもしれない。麻薬事情と地方行政を調査したお陰で、君の通りに関する知識は立派なものとなった。君は〈知識:地域〉判定または情報収集判定の際に+2のボーナスを得る(この特徴を選んだ際にどちらか選択する)。
自分が中毒者:君は中毒者だった。君は自分が死にかけたことでゲイドレンを非難し、彼の麻薬が他の若者たちに同様の問題を引き起こしていることを憎んでいる。幸運にも君の体は毒素から急速に回復し、頑健セーヴィング・スローに+1のボーナスを得る。
君の知る、愛する者が殺人罪で告訴されて被告人となった。地元の漁師の目撃者とされる人物の証言だけでも、この事件を立証するには十分であるように思われたが、被告人には十分なアリバイがあり、判決はすぐには下されなかった。誰かがその漁師と対決し、彼は実際の殺人者――ゲイドレン・ラムという名前の地元の裏組織の首領――によって偽証するよう脅迫されていて、凶器を埋めるよう強要されていたと突き止めた。だが、ラムの手下たちは彼が証言を撤回する前に漁師を殺してしまった。これにより重要参考人が不在となり、被告人は自由の身となったが、その汚名は被告人の評判を落とすには十分なものであった。君がゲイドレンを見つけることができれば、殺人に結びつく証拠を見つけて、被告人の汚名を晴らすことができるだろう。
家族の名誉:嵌められたのは家族で、父親または姉妹だった。君は熟練した弁舌で漁師を騙して真実を明らかにすることに成功したため、〈はったり〉判定に+2のボーナスを得る。
退学:告訴されたのは君自身だった。結局は友人が漁師に立ち向かい、事実が明るみになったことで解放されたとはいえ、汚名を被った影響は大きかった。そのため君は退学を余儀なくされた(恐らくアカダマエだろう)。その結果、君は自己鍛錬を強いられ、同僚たちからの反発にもかかわらず、自分が選んだ職業に就けることになった。君は〈呪文学〉判定に+2のボーナスを得る。
ある夜、君の愛する者が暗い路地でナイフで刺されて命を落とした。遺体の身元確認のためにコルヴォーサ守備隊に呼ばれた君は、遺体から指輪がなくなっていることにも気付いた。君はその指輪を盗んだ者が、愛する者を殺した犯人だと確信している。君は自分で少し調査をした結果、最近、地元の商人が指輪を売っているのを発見した。とても悔しいことにまだ買い戻せる程の余裕はなかったが、商人は誰から指輪を買ったのかを教えてくれた。その男の名はゲイドレン・ラム。この男が君の愛する者を殺した犯人か、少なくとも誰が殺したかは知っているはずだ。唯一の問題は彼をどうやって見つけるかだ。
孤児:殺された被害者は、君の唯一の親だった。君は兄弟の面倒を見たり、家族の問題を処理したりするために、早く大人にならざるを得ず、幼い頃から自分のことを自分で対処することを余儀なくされた。君は次の技能のうち1つに+2のボーナスを得る:〈製作〉、〈芸能〉、〈職能〉。
恋人との死別:殺された被害者は恋人だった。恋人の死によって君の一部も死んだようになり、取りつかれたかのように不気味で、暗く思い詰めた雰囲気を醸し出している。君は〈威圧〉判定に+2のボーナスを得る。
君は自分の知っている子供はゲイドレンに誘拐されたのではないかと疑っている。関係があるかはさておき、君はゲイドレンの“小ラムたち”と、どのようにしてかの老人が子供たちをスリや犯罪の手先として利用しているかという噂を聞いたことがある。そして君が探している子供が、スリで知られる他の組織といるところを市場で目撃されたという噂まで耳にした。コルヴォーサ守備隊は君の窮状を理解してはいるが、最近は「もっと重要なこと」で手一杯のようで、ゲイドレンについてはまだ何も掴むことができていない。ゲイドレンを倒してその犠牲者を救うことに興味を持つ者は誰もいない。この仕事は君にかかっているのだ。それにしても、その老悪党は一体どこに隠れているのだろうか?
行方不明の兄弟姉妹:行方不明の子供は君の兄弟か姉妹だった。誰もが諦めていたが、君だけは兄弟姉妹がまだ生きていると言う望みを信じていた。常にいなくなった兄弟姉妹を探し続けていた君は、噂を広めたり他の場所から情報を集めるための技術が身についた。情報収集と〈真意看破〉が君のクラス技能として常に使用できる。
行方不明の息子(娘):行方不明の子供は自分の息子か娘、姪や甥、あるいは上司や雇用主の息子や娘であり、自分が保護するべき義務を負っていた。子供は市場へ出かけた際やその他の日常的な出来事の間に誘拐された。根気よく噂を聞き込むことに長い時間を費やすことで、君は意志セーヴに+1のボーナスを得ることができるようになった。
君はゲイドレンの奴隷にされた孤児の一人として過ごしていた。両親のいる家から連れ去られたのか、市場へ出かけた際に誘拐されたのかもしれない。君の孤児院を経営していた無責任な保母が、どうしても必要な金を貸りる代わりに、君をゲイドレンに差し出したのかもしれない。あるいは、君もゲイドレンの奴隷たちと同じように“簡単な仕事”の見返りに定期的な食事と屋根を与えられるという彼の約束に屈した子供だったのかもしれない。いずれにせよ、君は彼の元から逃げ出す前に“小ラムたち”の一人として数年を過ごした。それ以来、ずっとその老人を恨んでいた。
責め苦:君が多くの失敗を繰り返すと、ゲイドレンは君を拷問した上にゴミの山に置き去りにした。その時の傷跡や記憶は君の反応速度を高め、すこしばかり神経過敏になった。君は反応セーヴに+1のボーナスを得る。
信仰心:君はゲイドレンの仕事をしている間に、君が今日崇拝している神の聖印を見つけた。それに興味をそそられた君は礼拝に出席するためにこっそりと抜け出したのだ。ゲイドレンがそれに気付くと、君を限界まで叩きのめして聖印は破壊されてしまった。君の信仰は痛みを遮り、ゲイドレンの支配から逃れて教会へと避難し、残りの青春時代を過ごした。君は精神集中判定に+2のボーナスを得る。
君はエンドリン士官学校でヒポグリフ騎乗科に選抜され、卒業した。君はヒポグリフに乗る素晴らしい技量を持つだけでなく、特定の乗騎と絆を結んでいる。
利益:君は動物の相棒としてヒポグリフを得ることができる。君は自分のヒポグリフの相棒に騎乗している間、〈騎乗〉判定に+2のボーナスを得る。加えて、君が自分のヒポグリフの相棒から20フィート以内にいる限り、ヒポグリフの相棒は[恐怖]効果に対して行う全てのセーヴィング・スローに+2の士気ボーナスを得る。
君は子供の頃、コルヴォーサの大部分を覆う、屋上同士を繋ぐ屋根板区で多くの時間を過ごした。君は登攀、跳躍、落下を回避することに長けている。
利益:君は登攀と跳躍の判定に+2のボーナスを得る。また、気を散らしている時でも〈登攀〉判定において出目10を選択することができる。君が落下した場合にはいつでも、10フィート低い場所から落下したかのように落下ダメージのダイスが1つ減少する。このダメージ減少は、落下ダメージを更に減少させる為の跳躍と曲芸の判定と累積する。
君は目も眩むような速さでクロスボウを装填し、機会攻撃に対する恐れなく、混戦の中で射撃する事ができる。
前提条件:【敏捷力】15、《近距離射撃》、《高速装填》、《速射》
利益:君が使用しているクロスボウの種類に拘わらず、あらゆるクロスボウの装填に要する時間がフリー・アクションに減少する。君はボウを使用しているかのように、全力攻撃アクションを使用して攻撃を行える回数と同じだけクロスボウで攻撃することができる。《高速装填》を修得しているクロスボウ類への装填は、機会攻撃を誘発しなくなる。
特殊:ファイターは《クロスボウ体得》をボーナス特技として選択できる。レンジャーはクラス・レベル6の時点で、戦闘スタイルとして《束ね射ち》の代わりに《クロスボウ体得》を選択することができる。
君は過酷な招来の試験に合格し、アカダマエを卒業した。
前提条件:専門家のウィザード・レベル1; 召喚術を禁止系統にしていてはならない。
利益:君が準備済みの召喚術系統(招来)の秘術呪文を発動する際に、発動時間が1標準アクション以上であった場合に発動時間が1ラウンド減少(最小発動時間は1標準アクション)する。この方法で呪文を発動する際は負荷が掛かるため、疲労状態に抵抗するために頑健セーヴ(難易度15+呪文レベル)を行う必要がある。
君は子供の頃から数えきれない程のハロウを読み、そしてそれは的中した。そのため君は自分の人生が特定の目的のために運命づけられているという確信を高めた。ハロウ・デッキと君の運命は絡み合っているようだ。
利益:(魅惑)または(強制)効果に対する意志セーヴ+2のボーナスを得る。
1日に1回、君は自分が所持しているハロウ・デッキから札を1枚引くことができる。その日の残りの時間はいつでも、任意のd20ロールに対して札の紋標に応じた+2のボーナスを適用することができる。例えば【判断力】の紋標の札を引いた場合、意志セーヴまたは【判断力】に基づく技能判定に+2のボーナスを適用することができる。【敏捷力】の紋標の札を引いた場合はイニシアチブ判定、反応セーヴ、【敏捷力】に基づく技能判定、遠隔攻撃ロールに+2のボーナスを適用することができる。この+2のボーナスはロール後に適用することができるが、ロールが成功したかどうか判明する前でなければならない。
ボーナスを決定するために実際のハロウ・デッキがない場合は、単純に1d6をロールすることでランダムに能力値を決定することができる(1=【筋力】、2=【耐久力】、3=【敏捷力】、4=【知力】、5=【判断力】、6=【魅力】)。