ゲームでは終わりのない冒険が待ち受けている。他の大陸、他の惑星、他の銀河……これらを越えたさらに他の世界がある。無限の惑星の存在をすら越えたさらなる世界とは、全く異なる異次元世界であり、“存在の諸次元界”と呼びならわされている。稀にしかない連結点を除けば、各次元界は独自の自然法則を持つ独立した世界として存在している。これら異次元界の総体は“大いなる彼方”として知られている。
次元界は想像力の限界まで無数にあるが、それら全ては5つの一般的な型に分類できる。物質界、中継界、内方次元界、外方次元界、そして数え切れないほどの擬似次元界である。
物質界:物質界はもっとも地球によく似ており、我々が住む現実世界と同じ自然法則が働いている。物質界の“広がり”はキャンペーンによって異なる。君のゲームの設定では1つの世界のみに限られるかもしれないが、あるいは他の惑星、衛星、星々、銀河など全宇宙に拡がるかもしれない。パスファインダーRPGのキャンペーンは普通物質界が“本拠地”になる。
中継界:中継界は1つの共通した重要な特性を持っている。いずれも他の次元界と重なり合っていて、重なり合う世界の間の移動に用いられるのだ。これらは物質界と最も密接に影響しあう次元界であり、様々な呪文によって頻繁に行き来される。こうした次元界を出身とするクリーチャーも存在する。中継界の例としては以下のものがある。
アストラル界:物質界と内方次元界を外方次元界とつないでいる銀色の虚空であるアストラル界は、魂が死後の世界へと旅するための媒介である。アストラル界を旅する者には、この次元界は、重なり合う諸次元界から生み出された現実のかけらがまるで塵のようにちりばめられた広大な空虚に見える。強力な呪文の使い手は瞬間移動する時にほんのわずかな時間アストラル界を利用している。またアストラル・プロジェクション呪文のような次元間旅行を行う呪文もアストラル界を利用している。
エーテル界:エーテル界は物質界と影界との間の緩衝地帯として存在するおぼろな世界であり、この2つの世界と重なり合っている。エーテル界を旅する者は、現実の世界がまるで実体を持たない亡霊のようなものとして見え、現実世界からは見られることなく固形物を通り抜けて移動することができる。エーテル界に住む奇妙なクリーチャーは、まる亡霊や夢と同様に、神秘的かつ恐るべき方法で現実世界に影響を及ぼすことがある。強力な呪文の使い手は、エーテル界をブリンク、イセリアルネス、イセリアル・ジョーントなどの呪文で利用している。
影界:不気味で危険な影界は、物質界の恐ろしく、色のない“複製”である。物質界と重なり合っているものの、大きさはより小さく、多くの点でねじくれ歪んだ物質界の“投影”であり、一部は負のエネルギー(内方次元界を参照)と融合しており、アンデッドのシャドウやもっと悪い奇妙なモンスターたちの故郷である。強力な呪文の使い手はシャドウ・ウォーク呪文を使って物質界の長距離を速やかに移動したり、シャドウ・エヴォケーション呪文やシェイドのような擬似現実的な効果やクリーチャーを生み出すために影界を利用する。
内方次元界:内方次元界は現実の構成要素から成り立っている。これは、これらの次元界が物質界と一体であるかのように思わせるが、中継界のように物質界と重なり合っているわけではない。それぞれの内方次元界は1種類の元素ないしエネルギーのみで構成された世界であり、その力が他の全てを圧倒している。内方次元界の出身者の身体は、次元界と同じ元素やエネルギーでできている。内方次元界の例としては以下のものがある。
元素界:古典的な4つの内方次元界、すなわち風の次元界、地の次元界、火の次元界、水の次元界である。エレメンタルとして知られるクリーチャーはこれらの次元界から召喚されるが、ジンニー、金属喰いのゾーン、インヴィジブルストーカー、イタズラ好きのメフィットなどの奇妙な住人も住んでいる。
エネルギー界:正のエネルギー界(ここから生命を呼び覚ます火花が降り注ぐ)と負のエネルギー界(ここからアンデッドの不吉な穢れがやってくる)がある。双方の次元界からのエネルギーは現実世界に満ちあふれ、全てのクリーチャーはこのエネルギーの満干によって生から死への行路を進む。クレリックはこれらの世界からのエネルギーをエネルギー放出に利用している。
外方次元界:死すべき定めのものの世界の彼方、現実の礎である世界の彼方に、外方次元界は存在する。これらの世界は死者の魂の終着点であり、神々自らが統治する領域がある場所でもある。それぞれの外方次元界はどれも属性を持ち、特定の道徳観や規律観を具現している。各外方次元界の出身者たちも、その属性に傾倒しているものが多い。外方次元界は物質界を離れた魂が最後の安息――安らかなる悟りに至るにせよ、永遠に苦しみ続けるにせよ――を得る場所でもある。外方次元界の住人は、エンジェルとデーモン、ティタンとデヴィル、その他考えられる無数の存在の顕現を含む、神話的存在たちである。各キャンペーンはそれぞれの主題と必要に応じて独自の外方次元界を持つべきだが、古典的な外方次元界としては、秩序にして善の天上界ヘヴン、混沌にして悪の奈落界アビス、圧制的な秩序にして悪の地獄界ヘル、移り気で自由と喜びに満ちた混沌にして善の浄土界エリュシオンがある。強力な呪文の使い手は、コミューンやコンタクト・アザー・プレインのような呪文を使って助言や導きを得るために外方次元界と接触し、あるいはプレイナー・アライやサモン・モンスターIのような呪文を使って味方を召喚する。
擬似次元界:これは次元界と同じ機能を持つが、大きさが計測可能で、限られた手段によってしか出入りできない異次元空間全てを含む包括的な分類である。他のタイプの次元界の大きさが理論上無限であるのに対し、擬似次元界は直径数百フィート程度しかないこともある。実は無数の擬似次元界が漂っており、ほとんどがアストラル界とエーテル界を通じてつながっているが、いくつかは中継界から切り離され、隠蔽されたポータルや適切な呪文によってのみ出入りすることができる。
無限大はいくつもの、より小さな無限大に分割できる。そして次元界もまた関連性のあるより小さな次元界に分けることができる。こうしてできた階層は、実質上別個の存在の次元界であり、各階層が独自の次元界特性を持つことができる。階層は様々な種類のプレイナー・ゲート(次元門)、自然に存在する“渦動”や“行路”、移動する境界線などを通じて互いにつながっている。
他の次元界と階層化された次元界との行き来は、その特定の次元界に依るが最上層か最下層かが有り得るその次元界の第一階層を通じるのが普通である。固定された進入ポイント(ポータルや自然に存在する渦動など)は、ほとんどがこの階層に通じており、他の階層への玄関口になっている。プレイン・シフト呪文も、呪文の使い手を第1階層へ連れて行く。
隔絶している2つの次元界は互いに重なり合うことも直接つながることもない。こうした次元界は異なる軌道をめぐっている惑星のようなものだ。ある片方の次元界から隔絶したもう片方の次元界に行くには、別の第3の次元界(中継界のような)を経由していかねばならない。
隣接した次元界:隣接した次元界は、特定の場所で互いに接触している。接触している場所には“連結点”が存在し、旅人たちはそこから自分の世界を後にして別の世界へ行くことができる。
併存する次元界:2つの次元界が併存しているなら、両者をつなぐ連結をどこにでも作り出すことができる。併存する次元界は互いに完全に重なり合っている。併存する次元界には重なり合った次元界のどこからでも行くことができる。併存する次元界から重なり合った次元界を見たり、互いに影響を及ぼしたりできることも多い。