珍しい自然由来の素材のうち極一部には魔法の力が備わっており、特別な物質要素として使用できる。呪文の使い手の中には魔法を強化して見せるために、これら秘伝物質要素を使うよう訓練したものもいる。秘伝物質要素には極めて一般的な4種があり――エントロピー樹脂、ジオード、晶砂、緑塩――それぞれ、魔法の系統2つに対応している。第5種に当たるイリアステルは非常に強力だが、さらに珍しい。どの系統にも使用でき、他の物質要素の代わりとして使用することができる。
秘伝物質要素のルールと、これまでに掲載した選択ルールと併用する方法を以下に示す。
秘伝物質要素のコスト/Component Cost:秘伝物質要素の費用は呪文1つに対して消費されなければならず、その価値は1gp×術者レベル×呪文レベルに等しい。この値は表:秘伝物質要素のコストに示されている。秘奥物質要素を使わなければならないキャンペーン世界では、この価格を常に支払わなければならない。秘伝物質要素を使用するかどうか選択できる場合には、通常の物質構成要素を置き換える際に消費すること。
秘伝物質要素の消費/Expending Components:それぞれの構成要素は特定の2系統の魔力にのみ効果的に作用する。術者は呪文系統に合致しない秘伝物質要素を消費することもできるが、適切な構成要素の効果を模倣するためには、通常の2倍を消費しなければならない。呪文1つに使用する秘伝物質要素の全てが同じ種類でなくてもよい。例えば、ベアズ・エンデュアランスを発動する3レベルのウィザードはジオードを6gp分消費しても良いし、合計12gp分のエントロピー樹脂と緑塩を消費しても良いし、ジオードを4gp分と緑塩を4gp分消費しても良い、というわけだ。
上級秘伝物質要素効果/Greater Component Effects:表:秘伝物質要素のコストに示された値の2倍を消費することで、上級秘伝物質要素効果が引き出される。この効果は秘伝物質要素の種類によって異なる。これらの効果は、消費する物質要素毎に、この章の最後にある物質要素の説明文の下に記載されている。上級秘伝物質要素の利益を得るには、術者は1種類だけ物質要素を使用しなければならない。呪文の系統に合わない種類を使用する場合、さらにコストを2倍にすること。上述の例に示したウィザードがジオードの上級秘伝物質要素の利益を得るには、追加で6gp分のジオードを消費しなければならない。また、緑塩の上級秘伝物質要素の利益を得るには、追加で12gp分の緑塩を消費しなければならない。呪文1つを一回発動する際、通常は上級秘伝物質要素の利益を1つだけ得ることができる。しかし術者は難易度が20+呪文レベルの2倍に等しい〈呪文学〉判定を試みることで、追加の構成要素を1つ消費することができる。例え〈呪文学〉判定に失敗したとしても、術者は上級秘伝物質要素のコストを支払わなければならない。2つ目以降、上級秘伝物質要素効果を1つ与えるたびに難易度は5+呪文レベルずつ増加する。術者が5以上の差でこの判定に失敗すると、呪文は失敗し呪文スロットは失われる。呪文1つを発動する際、同じ種別の上級秘伝物質要素の効果は1回しか得られない。
通常の秘伝物質要素の価格は全て同じで、呪文の使い手はgp価格に従って購入する。秘伝物質要素の種類それぞれは異なったサイズと純度を持つが、各種の秘伝物質要素を持ち運ぶ量を合計gpで管理するのが最も単純なやり方だ。ジオードのひとまとまりには大きなものも小さいものも、品質の良いものも悪いものも含まれているかもしれない。
秘伝物質要素はいずれも非常に長持ちする。秘伝物質要素の重量は種類にかかわらず価値500gpにつき1ポンドだ。秘伝物質要素は本質的には魔法的ではない。そのためディテクト・マジックによって発見することはできない。
秘伝物質要素はありのまま、未処理のものかもしれないし、様々な価値の精錬された塊かもしれない。自然で見つかることもあれば商人から買うこともでき、宝の山から見つかることもあるだろう。PCが秘伝物質要素を見つけられる頻度は、君が使用する選択ルールによって決定される(後述)。特に、呪文の使い手が持つ財宝の中には、複数の種類の秘伝物質要素がいくらか含まれるというのは有り得る話だ。アルケミストの研究所や、ウィザードの大学を最近襲撃した山賊の隠れ家も同様にありえるだろう。
稀少な秘伝物質要素のイリアステルは特別な扱いだ。イリアステルは大きな宝の山、とりわけ強大な呪文の使い手の所有するものの中でのみ見つかる。イリアステルの効果を好まないGMは、単に一般的な秘伝物質要素のみを使用し、ゲーム全体から稀少秘伝物質要素を取り除いてもよい。
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ゲーム中に秘伝物質要素を導入するにはいくつかの方法がある。通常の方法に加え、変更例を3つ示す。
秘伝物質要素ルールは通常の呪文発動ルールの上に直接重ねることができる。呪文を発動する際に秘伝物質要素は必要ではないし、通常の物質要素も通常通り機能する。表に示した額だけ秘伝物質要素を消費する事で、所持していない通常の物質要素の代替にすることもできる(ただし価値のある物質要素を置き換えることはできない)。このルールにおいては、秘伝物質要素を2倍消費して上級秘伝物質要素の効果を得られるルールは極めて有益だ。ファイアーボールを発動する6レベルのウィザードは通常の呪文構成要素ポーチを用いて呪文を発動してもよい。呪文構成要素ポーチをなくしている場合、エントロピー樹脂を18gp消費することで無理やり呪文を発動することもできる。呪文構成要素ポーチの有無にかかわらず36gpぶんを消費することで、上級秘伝物質要素の効果を伴ったより強力な呪文を発動することもできる。
秘伝物質要素を選択肢として加えることで、呪文の使い手はかなり強力になる。この方法を使用する場合、秘伝物質要素は原則として新しい財宝の一種となる。秘伝物質要素を希少な財宝としてのみ扱い、物質要素のかき集めを許可するルールの非採用を検討すること。秘伝物質要素は世界でさほど知られていないかもしれないし、購入できるほど手軽でないかもしれない。
秘伝物質要素がなくてはならない場合、物質要素が必要な呪文を発動するには、代わりに適切な秘伝物質要素を消費しなければならない。ファイアーボールを発動しようとする6レベルのウィザードは18gp分のエントロピー樹脂を消費しなければならないし、36gp分を消費すれば上級秘伝物質要素の効果を伴う強力な呪文を発動できる。十分な構成要素がない場合、呪文を発動することはできない。エントロピー樹脂が15gp分あれば、5レベルの術者としてファイアーボールを発動できる(自発的に術者レベルを下げるを参照)。物質要素を必要としない呪文は通常通り発動できるが、上級秘伝物質要素の効果を得るために秘伝物質要素を消費することもできる。
このルールの下では、呪文構成要素ポーチには一般的な秘伝物質要素がそれぞれ1gp分づつと、購入者が選択した一般的な秘伝物質要素が追加で1gp分入っている。
秘伝物質要素の要求は、呪文の使い手の財宝獲得に大きな影響を与える。そのため必須要素選択ルールは慎重に使用するようにしてほしい。特に、キャンペーンで呪文の使い手の能力を下げる選択ルール(制限魔法など)を採用している場合は意識すること。ほとんどの宝の山と呪文の使い手NPCの装備品に秘伝物質要素を加えるようにしよう。
制限魔法選択ルールを使用しているゲームにおいて、弱体化した呪文の使い手の苦しみを幾分か和らげるために秘伝物質要素を加えることができる。呪文の使い手を弱め、財宝を減らす苦しみを負わせるのではなく、選択要素選択ルールで示した形で秘伝物質要素を導入するのが最も良いだろう。
制限魔法選択ルールは固定化された術者レベルを用いる。秘伝物質要素を使用したり上級秘伝物質要素の効果を得たりする際、このルールは呪文発動の基準値として働く。秘伝物質要素と制限魔法を同時に使用する場合、別の選択肢として『秘伝物質要素を消費することで、通常より高い術者レベルとセーヴ難易度の利益を得る』とすることもできる。制限魔法専用の利益はそれぞれの物質要素の説明に記載されている。術者は(呪文の最低術者レベルではなく)術者レベルにおける秘伝物質要素の2倍に等しい価値を消費することで、制限魔法における利益を得ることができる。例えば、ファイアーボールを発動しようとする6レベルのウィザードはエントロピー樹脂を36gp分消費することで、制限魔法における利益を得ることができる。
上級秘伝物質要素の効果も合わせて使用する場合、秘伝物質要素を複数種類消費することで別の“制限魔法における効果”を得ることもできるが、〈呪文学〉判定が必要になる。術者が頻繁に使用することを避けるため、この選択肢は意図的に高価にしている。
呪文の使い手は呪文を発動する際、上級秘伝物質要素の効果と“制限魔法における効果”のどちらか――両方ではなく――を選択できる。
この選択ルールを用いることで、低レベルの呪文の使い手は呪文を発動するのに十分な秘伝物質要素を見つけることができる。秘伝構成要素が必須の場合、かき集めルールを使用することを推奨する。
冒険に出ている間、1日が終わった後に、呪文の使い手は周囲の秘伝構成要素をかき集めることができる。一日の終わりに、呪文の使い手は一般的な秘伝物質要素を1d6gp分集めることができる(稀少秘伝物質要素をかき集めで見つけることはできない)。かき集めを行うには、適切な広さの範囲を探索する必要がある。町1つで数日過ごしたり、ダンジョン内の同じ数部屋を繰り返し移動する場合、1日分の秘伝構成要素しか集められない。その範囲でそれぞれの秘伝物質要素が見つかる可能性を考慮し、GMはダイスのサイズを1段階上げ下げして調整することができる。例えば、洞窟を探索する際、かき集めを行うことでジオードは1d8gp分見つかる一方で、緑塩は1d4gp分しか見つからないかもしれない。
特定の一般的な秘伝物質要素のみを探すためにかき集めを行うこともできる。秘伝物質要素は自然の中に存在するため、探す際に難易度15の〈知識:自然〉判定を行わなければならない。失敗すると何も手に入れることはできない。成功すると、かき集めを行ったものは探した秘伝物質要素を2d6gp分獲得するが、それ以外の秘伝物質要素を一切得られない。
このルールは一般的な秘伝物質要素4つ――エントロピー樹脂、ジオード、晶砂、緑塩――と、イリアステルと呼ばれる稀少秘伝物質要素1つを用いる。GMが望むなら、自分のゲームにうまく合致する別の素材に沿うよう、これら秘伝物質要素の説明文を変更してもよい。稀少秘伝物質要素として使用できる、同じように潜在的な魔力を持つ素材は他にも存在するかもしれない。神の血、地下深部の石棘、固体化エーテルなどは、同じキャンペーン中でも、それぞれ異なる稀少秘伝物質要素として使用できるだろう。
各項目には関連する系統、秘伝物質要素の説明、上級秘伝物質要素の効果、制限魔法における効果が記載されている。“制限魔法における効果”項は、キャンペーンで制限魔法ルールを使用している場合にのみ適用される。
このやや粘り気のある、真珠のような光沢を持つ暗灰色の物質は、ほとんどの場合、大小様々な瓶に入れられている。最もよく見られるのは、大虐殺の現場やアンデッド・クリーチャーの住む場所だ。複数のクリーチャーが炎、酸、雷によって死んだ場所では、エントロピー樹脂の取れる可能性が極めて高い。本質的に生物由来のようで、少なくとも有機生命体の身体で生成された微量物質で形作られているようにも見える。しかし死霊術学者の中では、この問題について幾つかの議論がある。
未精製のエントロピー樹脂も強力だが、蒸留し精製することができる。精製すればするほど、より黒くより固くなる。最も強力なエントロピー樹脂は漆黒で、曲げると折れる。
上級秘伝物質要素の効果:この呪文で用いるダメージ・ダイスの数を決定する際、術者の術者レベルを1高いものとして扱う。同時に、適切であれば、呪文が与えるダメージのダイス数上限も1だけ増加する。例えば、ファイアーボールを発動しようとする10レベルのウィザードがエントロピー樹脂を60gp分消費すると、11d6ポイントの[火炎]ダメージを与えることができる。
制限魔法における効果:呪文のダメージ・ダイスを決定する際、本来の術者レベルを用いる(最大で呪文の最低術者レベル+3)。
ジオードはひしゃげた球のような形をした、岩のような構造物で、流れる溶岩の岩の中や隆起した場所、地や火の元素と関わりのある場所で見られる。ジオードは外見上特徴がないために単なる岩と誤解されることも多いが、その内側に様々な水晶構造の隙間を持つ。ジオードは溶解した岩でできており、水晶に変化する過程で珍しい気体を内側に保持している。そのため、ジオードはアストラルと物体の両方への理解を広げ、それらの間にある障壁を突き崩す特性を持っている。
小さい、あるいは粗悪なジオードの断片や節であっても、低レベルの呪文に用いるのに十分すぎる程の力を持つが、複雑な呪文に対しては、洗浄し、研磨して、より洗練された状態へと加工する方が効率的だ。
上級秘伝物質要素の効果:呪文の持続時間を決定する際、術者レベルが2高いかのように扱う。
制限魔法における効果:呪文の持続時間を決定する際、最低値ではなく、本来の術者レベルを用いる。
晶砂は信じられないほど小さな多面体で構成され、光を反射して虹色に輝く。最も一般的な発見方法は、温暖地域にある砂浜の砂をふるい落として見つけることだ。この素材は非常に特殊な多面体に研磨された、通常のガラスのように見える。ありふれた見た目のために、呪文の使い手はしばしばこの素材を自らの手で作ろうとする。しかし成功した試みは一切ない。十分な量(通常2オンス程度)を集めると、晶砂は表面全体が虹色の光沢を放つ。
晶砂をより効率的に作るには、混ざっていることの多い普通の砂と注意深く選り分けなければならない――純化することでよりうまく機能するようになる。晶砂は洗浄剤で処理し、研磨し、様々な特殊な布や材料で輝きを与えることでもよりよく機能するようになる。粒1つ1つは様々な角柱の形をしている。面が多ければ多いほど、その面が光をよりよく捕らえる。最も複雑な粒は光を曲げ、操り、光を鮮やかなスペクトルに分割する。
上級秘伝物質要素の効果:呪文の有効距離を決定する際に術者レベルが4高いかのように扱うか、呪文の半径あるいは長さが最低でも20フィートある爆発、放射、直線状、あるいは拡散の効果範囲を持つ呪文の場合にはその効果範囲を5フィート増減させるかのいずれかを行うことができる。
制限魔法における効果:呪文の有効距離と効果範囲を決定する際、本来の術者レベルを用いる。
緑塩は繊維製品に用いる一般的な植物の、乾燥したさやで見つかる。緑塩は満月の翌日に朝露に濡れた植物からのみ集められる。緑塩を摂取すると知覚が変化し、また健康増進につながると言われている。緑塩を溶かした水で育った草食動物はこの水晶を頻繁に食べるため、奇妙な行動を示す鹿や家畜を追うことで、呪文の使い手は緑塩のありかを見つけることができる。
未処理の緑塩は溶解し、精製し、そしてより複雑な塩の結晶あるいは圧縮された塩の固い棒へと加工することができる。このような精錬には時間がかかり、ウィザードやアルケミスト、職人が適切に生産するには特別な訓練が必要となる。
上級秘伝物質要素の効果:呪文に対して敵が行わなければならないセーヴィング・スローのか、技能判定のか、あるいは能力値判定の難易度を1だけ増加させる。
制限魔法における効果:呪文のセーヴィング・スロー難易度は、基本難易度+3か10+呪文レベル+呪文発動能力修正値のいずれか低い方に等しくなる。
関連系統 すべて
貴重な素材のイリアステルは汎用的な秘伝構成要素であり、どの系統の呪文に使用しても同じ効果と市価となる。これは高価な物質要素の相応の価値の代替品にさえなれる――例えば、5,000gpのイリアステルを使えば5,000gpのダイヤモンドなしにレイズ・デッドを発動できる。イリアステルは粘土状の素材で、漿果や指ぬきよりは小さい、小さな塊で見つかる。それは非常に明るく多くの色で構成されたようであり、通常の粘土や土とは異なり、崩れたり潰れたりしない。
イリアステルを使用して発動された呪文は、通常の秘伝物質要素から同時に利益を得られない。
上級秘伝物質要素の効果:この呪文のために敵が試みなければならないセーヴィング・スローの、技能判定の、あるいは能力値判定の難易度を1だけ増加させる。加えて、この呪文において、術者レベルを2高いかのように扱う。この増加は呪文のダメージ・ダイスの数を上限より多く増加させる。例えば、ファイアーボールを発動しようとする10レベルのウィザードは、600gpのイリアステルを消費することで、術者レベル12として呪文を発動でき、この呪文は12d6ポイントの[火炎]ダメージを与える。このボーナスは呪文抵抗を貫くための術者レベル判定や、呪文を発動する際の精神集中判定にも適用される。
市価:他の秘伝物質要素とは異なり、イリアステルの使用量は術者レベルに従って変化しない。イリアステルのコストは常に呪文レベルごとに200gpである。イリアステルは通常の構成要素よりも軽く、価値2,000gp毎に1ポンドである。熟練の呪文の使い手であっても、イリアステルを簡単に見つけられる人はほとんどいない。その利用可能性を判断する際、上級の魔法のアイテムであるかのように扱うこと。通常は1,000gpの塊(1レベル呪文5回分)で売られているが、より大きい塊の場合1,000gpの数倍のものになる。
巻物、ワンド、魔法のアイテムは秘伝物質要素を用いて製作することができる。これにより、アイテムに従ってコストが増加する。ウィザードがスクロール・オヴ・ブラック・テンタクルズを作成する際に晶砂56gp分を消費した場合、その呪文は巻物から発動する際に上級秘伝物質要素の効果を得る。スタッフあるいはワンドの場合、作成者は使用回数全てについて、特定の呪文1つを発動するのに必要な価格をすべて支払わなければならない。ワンドに収められたキュア・ライト・ウーンズの30チャージ分は通常通り、20チャージ分は上級秘伝物質要素の効果を伴った形で作成することはできない。しかし100gpを追加で消費し、全てのチャージに上級秘伝物質要素の効果を与えることができる(術者レベル1のワンドの場合)。
必須要素ルールを採用したゲームでは、魔法のアイテム作成には、物質要素を消費する呪文の発動それぞれにより多くのコストがかかるようになる。ワンド・オヴ・バーニング・ハンズは最低でも800gpの市価となる(750gp+チャージ毎に1gp)。
秘伝物質要素ルールを用いるキャンペーンでは、キャラクターたちは以下の特技を使用することができる。キャラクターがボーナス呪文修正特技を得る際、キャラクターはその代わりに秘伝特技を修得してもよい。
秘伝物質要素を用いて呪文を発動する際、君は呪文の魔法構造を強化し、呪文の停止や除去を困難にする。
利益:呪文発動の過程で秘伝物質要素を使用する際、君はその呪文を発動する際に行う精神集中判定に+2のボーナスを得る。加えて、その呪文を解呪する際、君の術者レベルが2高いかのように扱われる。この増加は上級秘伝物質要素や制限魔法の利益による増加に追加される。
利益:晶砂を秘伝物質要素として使用して幻術呪文を発動する際、この幻術を看破するための難易度は2だけ増加し、適用可能な場合は呪文のアーマー・クラスも2だけ増加する。この利益は呪文の持続時間の間持続する。呪文の持続時間が瞬間あるいは永続の場合は機能しない。
晶砂を上級秘伝物質要素として幻術に使用する際、有効距離を決定するために用いる君の術者レベルをさらに2高いものとして扱う。君が上級秘伝物質要素の効果として有効距離あるいは効果範囲のいずれを選択したかに拘らず、この効果は適用される。この特技は効果範囲のサイズをさらに増加させることはない。
晶砂は君の召喚魔法の空間エネルギーを屈折させ、魔法の歪みを生み出す。
利益:晶砂を秘伝物質要素として使用して召喚術呪文を発動する際、君の呪文によって他の次元界から招来、招請、移動させられたクリーチャー1体を選択する。1ラウンドの間、そのクリーチャーは現在の次元界に完全に移動せず、その結果20%の失敗確率を受ける(攻撃ロールのない攻撃はダメージが20%減少する)。
晶砂を上級秘伝物質要素として使用して召喚術呪文を発動する際、有効距離を決定するために用いる君の術者レベルをさらに2高いものとして扱う。君が上級秘伝物質要素の効果として有効距離あるいは効果範囲のいずれを選択したかに限らず、この効果は適用される。この特技は効果範囲のサイズをさらに増加させることはない。
エントロピー樹脂への深い理解により、君の死霊術は効果を及ぼす相手に恐怖を打ち付ける。
利益:君がエントロピー樹脂を秘伝物質要素として使用して死霊術を発動する際、呪文の目標1体を怯え状態にする。この呪文がセーヴィング・スローを行うことができ、かつ目標がそのセーヴに成功したならば、目標はこの効果を受けない。この呪文が目標を怯え状態や恐れ状態にする場合、この効果によって恐怖の状態は進行しない(つまり、クリーチャー1体を恐れ状態にする呪文は、この特技によって恐慌状態にすることはない)。これは[恐怖、精神作用]効果である。
エントロピー樹脂を上級秘伝物質要素として死霊術呪文に使用する際、ダメージ・ダイスを決定する目的において術者レベルをさらに1高いものとして扱う(適用できる場合、呪文のダメージ・ダイスの最大数も増加する)。
利益:君が緑塩を秘伝物質要素として使用して心術を発動する際、呪文の効果を受けた目標の内1体は、能力値判定、攻撃ロール、ダメージ・ロール、セーヴィング・スロー、技能判定の中から君が選択したもの1つに-2のペナルティを受ける。この効果は1ラウンド持続する。この呪文がセーヴィング・スローを行うことができ、かつ目標がそのセーヴに成功したならば、目標はこの効果を受けない。クリーチャー1体は、この特技からペナルティをいっときに1つしか受けない。これは[精神作用]効果である。
緑塩を上級秘伝物質要素として心術呪文に使用する際、難易度を追加で1増加させる。
緑塩を使用すると、念視などの難しい占術がより良く真実を得られるようになる。
利益:緑塩を秘伝物質要素として使用して占術を発動する際、君はより良い情報を得られる可能性が高まる。呪文に適切なように、以下の利益から1つを得る。君は占術に基づく確からしさについて、正確に機能する確率が5%増加する(例えば、コンタクト・アザー・プレインにおけるd%に-5のペナルティを与える)、スクライングのような占術(念視)呪文を通して知覚している間、〈知覚〉判定に+2の状況ボーナスを得る、追加で1つの呪文を問いかけることができる(コンタクト・アザー・プレインあるいはスピーク・ウィズ・デッドなど)。
緑塩を上級秘伝物質要素として占術呪文に使用する際、難易度を追加で1増加させる。
ジオードを消費して占術呪文を発動する際、ジオードは君の身体能力を高める。
利益:ジオードを秘伝物質要素として使用して占術を発動する際、君は攻撃ロールと、能力値判定と、【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】のうちいずれか1つ(使用するたびに君が選択する)を基準とした技能判定に+2のボーナスを得る。このボーナスは次の君のターンの終了時まで持続する。
ジオードを上級秘伝物質要素として占術呪文に使用する際、持続時間を決定する目的において君の術者レベルを追加で1だけ高いものとして扱う。
ジオード一組を注意深く選ぶことで、君が呪文で生み出した防護はより良い防護となる。
利益:ジオードを秘伝物質要素として使用して防御術を発動する際、君は呪文の目標1体に、意志セーヴ、頑健セーヴ、反応セーヴのいずれか1つに+1の技量ボーナスを与えることができる。この効果は呪文の持続時間の間持続する。この呪文はラウンド単位あるいは分単位の持続時間を持たねばならず、この特技から得られるボーナスをクリーチャー1体が同時に2つ以上得ることはできない。
ジオードを上級秘伝物質要素として占術呪文に使用する際、持続時間を決定する目的において君の術者レベルを追加で1だけ高いものとして扱う。
力術呪文に使用したエントロピー樹脂は君の手の内で輝き、近くの敵1体を打つ。
利益:エントロピー樹脂を秘伝物質要素として使用して力術を発動する際、君に隣接するクリーチャー1体にダメージを与えることができる。エントロピー樹脂は呪文の術者レベル2毎に1ポイント(最低1)のダメージを与える。ダメージ種別は呪文のものと同じになる。
エントロピー樹脂を上級秘伝物質要素として力術呪文に使用する際、ダメージ・ダイスと《力術の秘伝》による追加ダメージを決定する目的において、術者レベルをさらに1高いものとして扱う。適用できる場合、呪文のダメージ・ダイスの最大数も増加する。
秘伝物質要素を用いる呪文の使い手は、自発的に自分が通常よりも低い術者レベルであるかのように呪文を発動することができる。十分な秘伝物質要素を持っていない場合――あるいはお金を節約したい場合――、呪文の効果が弱まったものを発動できるということになる。呪文を発動するのに必要なレベルよりも低い術者レベルにすることはできない。表:秘伝物質要素のコストに示された価格はウィザード、クレリック、ドルイドに向けたものだが、通常より遅く成長する呪文の使い手は同様の制約を受ける。例えば、7レベルより低くするとバードは3レベル呪文を発動できない。
特定の術者レベル以後は効果が増幅し続けない呪文の場合、秘伝物質要素の費用を削減するために術者レベルが低いかのように呪文を発動するのは、通常、呪文の使い手にとって最良の手段となる。
秘伝物質要素ルールを用いた場合に機能が貧弱になるため、秘伝物質要素ルールを用いるゲームでは《物質要素省略》を置き換えるべきだ。以下の変更版を用いること。
利益:君が秘伝物質要素を用いて呪文を発動する際、君の術者レベルが2低いかのように秘伝物質要素を消費することができる(最低でも呪文の最低術者レベルまで)。この効果は高価な物質要素には機能しない。