すべての神格の導き手がその道を自ら選ぶわけではない。そうではなく、選ばれ、自身でも理解していないかもしれない諸力によって生命の力と責務へと昇格する者もいる。それらの者こそが神意によって才能を与えられ、単一の神格ではなく多くの要素に仕え、自らの理想を助ける守護者たる神格のすべてから魔法を敬い戴く代理人である、オラクルである。それが呪いであれ祝福であれ、オラクルの奇妙な力と不安にさせる神秘はオラクルを権力の中枢の中でも戦場の上でも無視できない勢力にしている。
この項では新しいオラクルの神秘を紹介する。これらの神秘に続いて、6つの新しいオラクル・アーキタイプも掲載する。各アーキタイプには、合わせて特に適している推奨される神秘の一覧も記載しているが、そのアーキタイプをそれらの神秘を持つオラクルしか使用できないわけではない。アーキタイプのボーナス呪文はオラクルの選択した神秘から通常得られるボーナス呪文と置き換える。
以下はオラクルのための新しい神秘である。オラクルは最初のオラクル・レベルを取得するときに神秘1つを選ばなければならない。一度選択するとこの選択は変更できない。特記ない限り、これらの啓示に対するセーヴ難易度は10+オラクル・レベルの1/2+オラクルの【魅力】修正値である。呪文と重複する効果は術者レベルとしてオラクル・レベルを使用する。
クラス技能:木の神秘を持つオラクルは〈隠密〉、〈生存〉、〈知識:自然〉、〈登攀〉を自身のクラス技能に加える。
ボーナス呪文:シャレイリ(2レベル)、バークスキン(4レベル)、マイナー・クリエイション(6レベル)、ソーン・ボディ(8レベル)、ツリー・ストライド(10レベル)、アイアンウッド(12レベル)、トランスミュート・メタル・トゥ・ウッド(14レベル)、チェンジスタッフ(16レベル)、ウッデン・ファランクス(18レベル)。
啓示:木の神秘を持つオラクルは以下の啓示から好きなものを選べる。
最終啓示:20レベルに達した時点で、君は生ける木のクリーチャーとなる。君は今後永久に呪文や魔法的な効果を受ける際にもとの種別に代わって植物として扱われる。肌は磨き上げられた木目のようになり、君はアーマー・クラスに+4の外皮ボーナスと、木製武器、木もしくはそれに類するもので構成されるクリーチャーの肉体武器に対してダメージ減少10/-を得る。君は麻痺、毒、ポリモーフ、睡眠、および朦朧状態に対して完全耐性を持つ。君は木や1個の木塊と自由自在に融合する事ができる(これは木に限定される点と時間制限無しで木と同化していられるという点を除いてはメルド・イントゥ・ストーンとして扱われる)。
クラス技能:金属の神秘を持つオラクルは〈威圧〉、〈鑑定〉、〈装置無力化〉、〈はったり〉を自身のクラス技能リストに加える。
ボーナス呪文:リード・ブレーズ(2レベル)、ヒート・メタル(4レベル)、キーン・エッジ(6レベル)、ヴァーサトル・ウェポン(8レベル)、メジャー・クリエイション(金属製のアイテムのみ)(10レベル)、ウォール・オヴ・アイアン(12レベル)、スタチュー(鉄(訳注:おそらく石の誤り)の代わりに金属製の像)(14レベル)、リペル・メタル・オア・ストーン(16レベル)、アイアン・ボディ(18レベル)。
啓示:金属の神秘を持つオラクルは以下の啓示から好きなものを選べる。
最終啓示:20レベルに達した時点で、君は鉄と鋼の達人となる。君は自分が習熟している1つの金属武器に対する《武器熟練》、《上級武器熟練》、《クリティカル強化》を得る。鎧は君にとって第二の皮膚のようになり、金属鎧を着ている間、君はその鎧に習熟し、その鎧の【敏捷力】ボーナス上限は5増加し、鎧による判定ペナルティを受けなくなる。加えて、君の魔法によって作り出された金属(例えばウォール・オヴ・アイアンなどによるもの)の硬度は10増加する。
クラス技能:祖霊の神秘を持つオラクルは〈言語学〉と全ての〈知識〉技能を自身のクラス技能リストに加える。
ボーナス呪文:アンシーン・サーヴァント(2レベル)、スピリチュアル・ウェポン(4レベル)、ヒロイズム(6レベル)、スピリチュアル・アライ(8レベル)、テレキネシス(10レベル)、グレーター・ヒロイズム(12レベル)、イセリアル・ジョーント(14レベル)、ヴィジョン(16レベル)、アストラル・プロジェクション(18レベル)。
啓示:祖霊の神秘を持つオラクルは以下の啓示から好きなものを選べる。
最終啓示:20レベルに達した時点で、君は祖先の霊魂と1つになる。君は意志セーヴに自分の【魅力】修正値を加算し、60フィートの暗視を得、全ての占術呪文を使用する際の術者レベルに+4のボーナスを得る。君は1日1回、擬似呪文能力としてアストラル・プロジェクションを使用できる。この際物質要素は必要無い。
クラス技能:時の神秘のオラクルは〈知覚〉、〈知識:神秘学〉、〈飛行〉、〈魔法装置使用〉をクラス技能リストに加える。
ボーナス呪文:メモリー・ラプス(2レベル)、ジェントル・リポウズ(4レベル)、サンズ・オヴ・タイム(6レベル)、スリーフォールド・アスペクト(8レベル)、パーマネンシイ(10レベル)、コンティンジェンシィ(12レベル)、ディスインテグレイト(14レベル)、テンポラル・ステイシス(16レベル)、タイム・ストップ(18レベル)。
啓示:時の神秘を持つオラクルは以下の啓示から好きなものを選べる。
最終啓示:20レベルに達した時、君は時の卓越者となり、更に加齢が止まる。君は魔法のように年を取らなくなり、もはや老化によって能力値のペナルティを受ける事も無い。年齢によるボーナスは未だ有効であり、これまでに生じたいかなる年齢によるペナルティも有効である。君は老齢によって死ぬことは無いが、事故、病気、毒、またはその他の外的要因によって殺されたり、死ぬ事は有り得る。加えて、君は1日1回擬似呪文能力としてタイム・ストップを発動する事ができる。
クラス技能:闇の綴れ織の神秘を持つオラクルは〈変装〉、〈知識:神秘学〉、および〈隠密〉を自身のクラス技能リストに加える。
ボーナス呪文:エントロピック・シールド(2レベル)、ダスト・オヴ・トワイライト(4レベル)、タンズ(6レベル)、ブラック・テンタクルズ(8レベル)、フィーブルマインド(10レベル)、プレイナー・バインディング(12レベル)、インサニティ(14レベル)、リヴァース・グラヴィティ(16レベル)、インタープラネタリー・テレポート(18レベル)。
啓示:闇の綴れ織の神秘を持つオラクルは以下の啓示から好きなものを選べる。
最終啓示:20レベルに達した時、君は真に異質で不可解な生物となる。君はダメージ減少5/-と[強酸]、クリティカル・ヒット、および急所攻撃に対する完全耐性を得る。1日1回、君は物質要素を必要としない擬似呪文能力としてシェイプチェンジを発動できるようになる。
悟りし哲学者は共感、節度、慎みを通じて悟りを求める。その哲学の教えに従うことで、悟りし哲学者は悟りに達し、宇宙と合一することを目指している。
奨励される神秘:石、木、自然、金属、祖霊、天界、伝承、時、火。
クラス技能:悟りし哲学者は〈言語学〉と全ての〈知識〉技能を彼女のクラス技能リストに加える。これらは彼女が神秘から得られるクラス技能と置き換える。
ボーナス呪文:アウルズ・ウィズダム(4レベル)、ウォーター・ウォーク(6レベル)、ディサーン・ライズ(8レベル)、トゥルー・シーイング(10レベル)、ウィンド・ウォーク(12レベル)、イセリアル・ジョーント(14レベル)、モーメント・オヴ・プレシャンス(16レベル)、アストラル・プロジェクション(18レベル)。これらのボーナス呪文はそれぞれのレベルのオラクルの神秘によるボーナス呪文と置き換える。
啓示:悟りし哲学者は以下の啓示を7レベル時に選択しなければならない。
最終啓示:20レベルに達する際に、悟りし哲学者は真の悟りに達し宇宙と合一する。悟りし哲学者はすべてのセーヴィング・スローに自身の【魅力】修正値に等しいボーナスを得る。悟りし哲学者は過労状態、混乱状態、疲労状態、吐き気がする状態、不調状態の効果に対する完全耐性を備えるようになる。悟りし哲学者はすべての〈知識〉技能判定において出目20を選択することができる。死亡した場合、悟りし哲学者は自身の選択した哲学の招来の生ける例として3日後に生まれ変わる(リインカーネイト呪文として扱う)。これはオラクルの神秘の最終啓示と置き換える。
他次元界のオラクルは外方次元界の1つとの親和性を有している。他次元界のオラクルは大いなる彼方の複数の次元界に精通しており、最終的には自分自身が来訪者になることができる。
ボーナス呪文:エンデュア・エレメンツ(2レベル)、エレメンタル・スピーチ(4レベル)、タンズ(6レベル)、プレイナー・アダプテイション(8レベル)、プレイン・シフト(10レベル)、マス・プレイナー・アダプテイション(12レベル)、シャドウ・ウォーク(14レベル)、イセリアルネス(16レベル)、ゲート(18レベル)。
啓示:1レベルの時点で、他次元界のオラクルは自身が親和性を有する外方次元界1つを選択しなければならない。この選択は変更できない。他次元界のオラクルは3レベルの時点で以下の啓示を取得しなければならない。
最終啓示:20レベルの時点で、他次元界のオラクルは他次元界のクリーチャーになる。ヘヴンやアビスのような外方次元界1つを選択すること。選択した外方次元界の住人に応じて表面的な物理的特性を獲得する。例えば、選択した次元界がヘヴンである場合、後光や金属質な皮膚などのエンジェルのような特徴を獲得する。この変化は他次元界のオラクルのヒット・ダイス、ヒット・ポイント、セーヴィング・スロー、技能ポイント、クラス技能、あるいは習熟を変更しない。他次元界のオラクルの種別は種別が“来訪者(原住)”となる関連次元界における場合を除いて“来訪者(他次元界)”に変化する。加えて、他次元界のオラクルは関連したエネルギー種別への完全耐性と、ダメージ減少10/魔法を獲得する。他の来訪者と異なり、他次元界のオラクルは依然として以前のクリーチャー種別の一員であるかのように死から呼び戻すことができる。これはオラクルの神秘の最終啓示と置き換える。
精霊、デーモン、あるいは同種の存在に憑依されるオラクルも存在する。憑かれしオラクルは神格から力を喚び下ろす代わりに、これらの別世界の力を通じて自身の魔法を使う。
奨励される神秘:どれでも。
オラクルの呪い:憑かれしオラクルは1レベルの時点で悪霊憑きか異言の呪いを選択しなければならない。
ボーナス呪文:ヴェントリロキズム(1レベル)、スパイダー・クライム(4レベル)、スクリーチ(6レベル)、スリープウォーク(8レベル)、テレキネシス(10レベル)、アニメイト・オブジェクツ(12レベル)、ディヴァイン・ヴェッスル(16レベル)。これらのボーナス呪文はオラクルが通常神秘から得るそれぞれのレベルのボーナス呪文と置き換える。
啓示:憑かれしオラクルは1レベルの時点で以下の啓示を取得しなければならない。
すべてのオラクルが啓示によっていくつかの能力を有する一方で、先見の者は実際の、あるいはそうなるであろう物事を見ることのできる真の預言者である。
ボーナス呪文:ディテクト・ソウツ(4レベル)、クレアオーディエンス/クレアヴォイアンス(6レベル)、スクライング(8レベル)、トゥルー・シーイング(10レベル)、レジェンド・ローア(12レベル)、グレーター・スクライング(14レベル)、ヴィジョン(16レベル)、フォアサイト(18レベル)。
これらのボーナス呪文はそれぞれのレベルにおけるオラクルの神秘のボーナス呪文と置き換える。
啓示:先見の者は記載のレベルの時点で以下の啓示を取得しなければならない。
全てのオラクルは何かしら呪われているが、オラクルの中にはさらに重い負担を負っている者もいる。超自然的、あるいは物理的な障害によって二重に苦しめられるが、二重呪いのオラクルは運気を操作することができ、彼女の神秘により優れた洞察力を獲得する。
オラクルの呪い:二重呪いのオラクルは1レベルの際に2つの呪いを選ばなければならない。これらの呪いの1つ(オラクル自身が選ぶ)はオラクル・レベルが上がったとしてもその能力は変化しない; 例えば、曇った視界を持つオラクルは60フィートの暗視、非視覚的感知、擬似視覚を得ることはない。もう一方の呪いは通常通りに利益を得る。
クラス技能:二重呪いのオラクルは神秘から追加のクラス技能を得られない。
ボーナス呪文:イル・オーメン(2レベル)、オラクルズ・バーデン(4レベル)、ビストウ・カース(6レベル)。これらのボーナス呪文はそれぞれのレベルのオラクルの神秘によるボーナス呪文と置き換える。
啓示:二重呪いのオラクルは5レベルと13レベルで新しい啓示を得る。これらは3レベル、7レベル、そしてそれ以降に受ける通常の啓示に追加で得られるものである。加えて、この呪われしオラクルは以下の啓示を神秘による啓示の代わりに選択しても良い。
夜空を横切る星の周期、彗星の軌跡、そして惑星の永遠の軌道に意味を求めるオラクルもいる。
クラス技能:星詠みは〈知識:自然〉、〈知覚〉、および〈生存〉を自身のクラス技能リストに加える。これらは自身の神秘から得られる追加クラス技能と置き換える。
ボーナス呪文:フェアリー・ファイアー(2レベル)、グリッターダスト(4レベル)、ガイディング・スター(6レベル)、ワンダリング・スター・モーツ(8レベル)、メテオ・スウォーム(18レベル)。これらのボーナス呪文はそれぞれのレベルのオラクルの神秘によるボーナス呪文と置き換える。