パスファインダー・ロールプレイング・ゲームの提示する防具とアーマー・クラスのシステムは多くの試験に耐えているが、一部のプレイヤーはいまだに僅かな違和感を抱いているかもしれない。それはこういうことだ、命中はしたものの着用者に害をなすことに失敗した攻撃から、全身鎧が実際に着用者を保護しているというのであれば、なぜ我々は防具が命中の確率を減じるように記述しているのだろうか? と。戦闘における“命中”の意味するところは実際には“効果的に害を引き起こすような方法での命中”と定義されており、ルールがどのような抽象化を行なっているのかは明確にされているが、この説明は一部のプレイヤーにとってはいまだ十分なものではない。
以下は命中が実害を伴うときを決定する抽象的な方法を提供するシステムの代わりに防具に攻撃のダメージを吸収させることを可能にする代替システムである。この章で説明されるすべてのルールと同様に、このルールはパスファインダーRPGの基本システムの変種である。このルールはアーマー・クラスを増加させるのではなくダメージを減少させる防具を望む GM のためのものであり、防具に関する通常のルールと置き換える。
このシステムにおいては、クリーチャーはもはやアーマー・クラスを持たない。代わりにクリーチャーに攻撃を命中させるために敵の攻撃ロールが一致するか超えなければならない防御値を持つ。その後、ダメージはクリーチャーの着用する防具とクリーチャーの有する外皮ボーナスに基づいたダメージ減少によって減じられる。また、クリティカル・ロールの代わりにクリティカル可能状態の命中を受けたクリーチャーが行うクリティカル防御判定によって、防具はすべてのクリティカル・ヒットを通常の命中に減少させる可能性を有する。
この代替システムにおいては、クリーチャーはアーマー・クラスを持たない; 代わりに防御値を持つ。防御値はパスファインダー・ロールプレイング・ゲームの標準ルールにおける接触 アーマー・クラス に似ているが、盾ボーナス(盾への強化ボーナスを含む)、および防具への強化ボーナスも加える。
防御値=10+盾ボーナス+【敏捷力】修正値+その他の修正値(防具の強化ボーナスを含む、ただし鎧ボーナスまたは外皮ボーナスを除く)
防御値はクリーチャーに攻撃を命中させるのがどれくらい簡単か、または難しいかを表している。クリーチャーは アーマー・クラス に【敏捷力】ボーナスを得られるであろう、かつ、立ちすくみ状態でないときは、可能であるならいつでも盾によって積極的に攻撃を遮っていると考えられるため、盾ボーナスが加えられる。
防御値への【敏捷力】ボーナスの喪失/Losing Dexterity Bonus to Defense:アーマー・クラス への【敏捷力】ボーナスを失わせるであろう状況や効果は、代わりに防御値への【敏捷力】ボーナスを失わせる。また、アーマー・クラス への【敏捷力】ボーナスを失うときには、盾を用いて攻撃に適切に対応する能力をも失っているため、防御値への【敏捷力】ボーナスを失っているときには、防御への盾ボーナスもまた失われる。
立ちすくみ防御値/Flat-Footed Defense:立ちすくみ状態であるか防御値への【敏捷力】ボーナスを失っている場合には、防御値への【敏捷力】ボーナスまたは盾ボーナスを得ることはない; したがって、立ちすくみ防御値は防御値-(【敏捷力】ボーナス+盾ボーナス)に等しい。
防御値と習熟していない盾の使用/Defense and Using a Shield without Proficiency:クリーチャーが習熟していない盾を使用しているときは、習熟なしに盾を使用するためのその他のペナルティと共に、盾ボーナスへのペナルティとして、その盾の防具による判定ペナルティを被る。また、盾は迫り来る攻撃に対して防御するのではなく実際には邪魔になるため、立ちすくみ防御値にもまたこのペナルティを被る。
このシステムにおける防具は通常の一般データと性質のすべてを維持するが、鎧ボーナス(鎧ボーナスに加えられた強化ボーナス、および外皮ボーナスを含む)はダメージ減少/鎧に変換される。鎧の提供するダメージ減少は鎧ボーナスと5レベルまたは5ヒット・ダイスの時点で+1、5レベル以降の5レベルまたは5ヒット・ダイス以降の5ヒット・ダイスごとに+1増加するボーナス(最大で20レベルか20ヒット・ダイス以上のときダメージ減少+4)の合計に等しい。
習熟していない鎧の使用/Using Armor without Proficiency:習熟していない鎧を使用しているクリーチャーは、習熟なしに鎧を使用するためのその他の通常のペナルティを受けた上に、レベルまたはヒット・ダイスごとのダメージ減少へのボーナスを得ることはない。
ダメージ減少/鎧/ダメージ減少/Armor:この種別のダメージ減少は、その鎧の構成に基づくダメージ減少(表5-1を参照)によって通常は影響を受けるであろうすべての攻撃のダメージを遮断する。ほとんどの形態のダメージ減少とは異なり、ダメージ減少/鎧は他の種類のダメージ減少と累積する。例えば、ダメージ減少5/殴打とダメージ減少4/鎧(+2鎧、+2外皮)を有するスケルトンが戦っているときは、そのスケルトンのダメージ減少/鎧は殴打でない攻撃からのダメージを9ポイント、殴打武器による攻撃からのダメージを4ポイント減少する。魔法の武器および大型かそれより大きなクリーチャーの攻撃はダメージ減少4/鎧を克服するが、ダメージ減少5/殴打は克服しない。
外皮ボーナスとダメージ減少/Natural Armor Bonus and ダメージ減少:クリーチャーの鎧ボーナスと同様に、外皮ボーナスもまたダメージ減少に変換される。クリーチャーが鎧を着用しており、かつ外皮ボーナスを持っている場合には、そのクリーチャーはダメージ減少/鎧の値を決定するために外皮ボーナスに鎧ボーナスを加える(表5-2を参照)。
例えば、ダメージ減少6/鎧を有する+2チェイン・シャツを着用しているクリーチャーが、その後6レベル・ドルイドによって発動されたバークスキン呪文(+3外皮ボーナスを与える)の対象になった場合、そのダメージ減少は呪文の持続時間の間はダメージ減少9/鎧になる。このダメージ減少はアダマンティン、または超大型かそれより大きなクリーチャーの攻撃によって克服される。
鎧と外皮ボーナス以外の要素からもダメージ減少を得ているクリーチャーは、鎧の構成が特殊なダメージ減少/鎧の防御を与えるのと同様に、強化された形態のダメージ減少の効果を獲得する(表5-1を参照)。クリーチャーが魔法の鎧、外皮、およびダメージ減少を持つ場合は、鎧とダメージ減少と外皮とそのダメージ減少/鎧の混合により最高の形態の特別な防御を得る。
例えば、クリーチャーが外皮とダメージ減少/魔法を持ちアダマンティンの鎧を着用している場合、2つのダメージ減少のうちでアダマンティンの鎧の提供するものが最もよいため、そのクリーチャーのダメージ減少/鎧はダメージ減少/―として機能し、巨大かそれより大きなサイズのクリーチャーによってでなければ克服されない。
標準的でないクリーチャーと鎧のダメージ減少/Unusual Creatures and Armor ダメージ減少:不定形または非実体クリーチャーは容易くダメージ減少/鎧を克服する。これらのクリーチャーがダメージ減少/鎧を持つクリーチャーを攻撃するとき、一般にはそのダメージ減少をダメージ減少/鎧の何分の一かであると見なす。非実体クリーチャーによる攻撃は、[力場]効果かゴースト・タッチの特殊防具能力を有する鎧からのダメージ減少でない限り、そのダメージ減少を無視する。これらの特性は表5-3に記載されている。
この代替システムにおいては、クリティカル可能状態になったときに、そのクリーチャーはクリティカル・ロールを行わない。代わりにクリティカル・ヒットの目標となったクリーチャーがクリティカル防御判定を行う。クリティカル防御判定は1d20+クリーチャーのダメージ減少に等しいボーナス+クリーチャーの【敏捷力】修正値(最大で着用している鎧による【敏捷力】ボーナス上限まで)+防御値への反発ボーナスおよび盾ボーナスの和である。
クリティカル防御判定ボーナス=クリーチャーのダメージ減少+【敏捷力】修正値+盾ボーナス+反発ボーナス
判定の 難易度 はクリティカル可能状態にしたダイス・ロールの値に基づく。さらに攻撃側クリーチャーの基本攻撃ボーナス、攻撃側クリーチャーの取得しているクリティカル特技の数(あれば; 最大10)、および攻撃側クリーチャーが攻撃を受けたクリーチャーよりも大きい場合には攻撃側クリーチャーとクリティカル・ヒットの目標であるクリーチャーの間のサイズに関係するボーナスによって修正される。
クリティカル防御 難易度 =クリティカル・ヒット・ロール+攻撃者の基本攻撃ボーナスの1/2+クリティカル特技ごとに1+攻撃者が目標のサイズ分類を1段階上回るごとに1
例えば、中型サイズのクリーチャーに、2つのクリティカル特技を持つ6レベル・ファイターの発射したクロスボウが命中して、19の出目でクリティカル可能状態になった場合、クリティカル・ヒットの可能性がある目標はクリティカル・ヒットを通常の命中に減じるために 難易度24のクリティカル防御判定を行う。目標が+1レザーを着用し、【敏捷力】18で、+1バックラーを使用していた場合、目標はクリティカル・ヒットを通常の命中に減じるためのクリティカル防御判定に+9のボーナスを有することになるだろう。ロールの結果が15以上であれば、クリティカル・ヒットは通常の命中に減衰し、目標はその命中から通常のダメージを(ダメージ減少を減らして)受ける。クリーチャーの発射したクロスボウが20の出目をロールした場合、そのクリティカル・ヒットの目標はクリティカル・ヒットの衝撃を減少して通常の命中を受けるために、クリティカル防御判定で16以上の出目をロールする必要がある。
クリティカル防御判定に失敗した場合、そのクリティカル・ヒットの目標はクリティカル・ヒットによるダメージを受ける。このダメージは依然としてクリティカル・ヒットの目標のダメージ減少によって減少される。
フォーティフィケイションの特殊防具能力/Fortification Special Armor Quality:フォーティフィケイションの特殊防具能力はこの判定と連携して機能し、防具の判定に失敗した場合に使用する。
素材 |
提供されるダメージ減少 |
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ダメージ減少/― |
外皮/ダメージ減少 |
提供されるダメージ減少 |
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ダメージ減少/― |
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外皮とダメージ減少/― |
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外皮とダメージ減少/エピック |
該当なし |
既にダメージ減少/―またはダメージ減少/エピックを有しているクリーチャーは、そのダメージ減少を外皮ボーナスと等しい値だけ増加する。
ダメージ減少修正 | |
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×1/2 | |
×1/2 | |
×1/4 | |
×0 |