戦闘は一定の手順の繰り返しによって解決される。一区切りの時間単位である“ラウンド”を繰り返し、各ラウンドにおいては各人が順番に“ターン(手番)”を行なって行動していくのだ。戦闘は以下の手順に従って行われる。
どのキャラクターが敵に気付いているかを判断する。それらのキャラクターは不意討ちラウンド中に行動できる。全てのキャラクターが敵に気付いているのであれば、通常ラウンドを開始する。より詳しい情報については、『不意討ち』項を参照すること。
各参加者はイニシアチブ順(高い方から低い方へ)に行動を行う。
すべての参加者が1回ずつターンを行ったなら、最もイニシアチブの高い参加者が再び行動し、戦闘が終了するまでステップ3とステップ4を繰り返す。
各ラウンドはゲーム内の時間では6秒に当たる。戦闘の10ラウンドは1分に相当する。1ラウンドというのは、戦闘に参加している各人に1回ずつアクションを行う機会があることを意味する。
各ラウンドの処理は、まずイニシアチブの一番高い者から始め、イニシアチブ順に進めていく。あるキャラクターのターンが来たら、キャラクターはそのラウンド分のアクションをすべてそこで実行する(例外については『機会攻撃』や『イニシアチブ変更アクション』を参照)。
本ルールで“1全ラウンド”とあった場合、あるラウンドから次のラウンドの同じイニシアチブの数値(イニシアチブ・カウント)までの長さの時間を表すことが多い。一定のラウンド数持続する効果は、その効果が開始したのと同じ数値のイニシアチブ・カウントの直前まで続く。
戦闘の開始時に、戦闘に参加しているものはそれぞれ1回ずつイニシアチブ判定を行う。イニシアチブ判定は【敏捷力】判定である。各キャラクターはこのロールに自らの【敏捷力】修正値を適用する。特技、呪文、その他の効果による修正も適用すること。結果の高いものから順に、各キャラクターが順番に、自分のターンの行動を処理する。以降のラウンドにおいても、キャラクターたちはこの時と同じ順番で行動する(ただし、いずれかのキャラクターが自分のイニシアチブを変更するアクションを取った場合には順番が変わる; 『イニシアチブ変更アクション』を参照)。
2名以上の参加者のイニシアチブ判定の結果が同じだった場合、イニシアチブ修正値の合計順に(高い方から順に)行動する。イニシアチブ修正値も同じ場合には、同点のもの同士で再びロールを行い、どちらが先に動くのかを決定する。
立ちすくみ状態:戦闘の開始時、君がまだ行動を得ていない段階(具体的には、イニシアチブ順に従って、自分の最初のターンを迎える前)では、君は立ちすくみ状態にある。立ちすくみ状態では、君は【敏捷力】ボーナスを(もしあっても)アーマー・クラスに適用できない。バーバリアンとローグの変則的能力“直感回避”があれば、立ちすくみ状態でもアーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスはなくならない。立ちすくみ状態のキャラクターは、《迎え討ち》特技を修得していない限り、機会攻撃を行えない。
行動不能な場合:君がアクションを行えない場合でも、君はその遭遇の間中、イニシアチブ値を保持している。
戦闘が始まった時、敵に気付いていないなら、君は不意討ちを受ける。
一方の陣営の全員が敵の存在に気付いている場合もあれば、全員が気付いていない場合もあり、一部のものだけが気付いている場合もある。また敵も味方もそれぞれ数人だけ相手の存在に気付いており、残りの者は気付いていないという場合もあるだろう。
冒険者たちが敵に気付いているかどうかを決めるために、GMが〈知覚〉やその他の判定を要求することもある。
不意討ちラウンド:戦闘に参加している者たちの一部だけが敵に気付いているなら、通常ラウンドの前に1ラウンドの不意討ちラウンドが起こる。不意討ちラウンドには、敵に気付いた状態で戦闘を開始したが、イニシアチブ順(高い順)に、それぞれ1回の標準アクションもしくは移動アクションを行う。また君は不意討ちラウンド中にフリー・アクションを行うこともできる。もしだれも不意を討たれないか、あるいは全員が不意を討たれたなら、不意討ちラウンドは起こらない。
敵に気付いていない参加者:戦闘の開始時に敵に気付いていない参加者は、不意討ちラウンドに行動することができない。気付いていない参加者は、まだ行動していないので、立ちすくみ状態にある。このため、アーマー・クラスに対する【敏捷力】ボーナスを失う。
この項ではまず、戦闘における勝敗に影響する様々な数値について簡単にまとめ、次にそれらの使い方について解説を加える。
攻撃ロールは、君がラウンド内の自分のターンにおいて、敵に打撃を加えようと試みる行為を表している。攻撃ロールを行う場合には、1d20をロールして君の攻撃ボーナスを加える(このロールにはこれ以外の修正値が加わることもある)。結果が目標のアーマー・クラス以上であったなら、攻撃は命中してダメージを与える。
自動失敗と自動成功:攻撃ロールでダイスの目が1(d20で1の目が出ること)であったなら、常に失敗である。ダイスの目が20(d20で20の目が出ること)であったなら、常に命中である。ダイスの目が20であれば、クリティカル可能状態ともなる(『攻撃アクション』を参照)。
君のアーマー・クラスは、敵が君に有効な打撃を加えるのがどれくらい難しいのかを表している。敵は、君に攻撃を命中させるためには、攻撃ロールの結果でこの値以上を出さなければならない。アーマー・クラスは以下のようにして算出される:
鎧は【敏捷力】ボーナスを制限する。そのため、鎧を着ていると、アーマー・クラスに君の【敏捷力】ボーナスの値を完全に適用することができないかもしれない(表:鎧と盾を参照)。
【敏捷力】ボーナスが(あっても)使えない場合もある。攻撃に反応できない状況では、【敏捷力】ボーナスをアーマー・クラスに足すことはできない(もともと【敏捷力】ボーナスがないなら関係ないが)。
その他の修正値:他にもさまざまな要素が君のアーマー・クラスを修正する。
強化ボーナス:強化ボーナスによって、防具がより高性能になる。
反発ボーナス:魔法による反発効果が攻撃を退け、アーマー・クラスを向上させる。
外皮ボーナス:君の種族が強靭な皮や鱗や分厚い皮に覆われているのであれば、外皮がアーマー・クラスを向上させる。
回避ボーナス:回避ボーナスは能動的に攻撃をよける能力を表している。どんな状況であれ、【敏捷力】ボーナスが適用できなくなる状況では、回避ボーナスもまた適用できなくなる(ただし、鎧を着たからといって【敏捷力】ボーナスが制限されるようにこれらのボーナスが制限されることはない)。他のほとんどのボーナスと違って、回避ボーナスはたがいに累積する。
サイズ修正値 | |
---|---|
超巨大(Colossal) |
-8 |
巨大(Gargantuan) |
-4 |
超大型(Huge) |
-2 |
大型(Large) |
-1 |
±0 | |
小型(Small) |
+1 |
超小型(Tiny) |
+2 |
微小(Diminutive) |
+4 |
極小(Fine) |
+8 |
接触攻撃:攻撃の中には防具(鎧、盾、外皮)を無視するものがある。このような攻撃は、全ての効果を及ぼすのにただ敵に接触するだけでよい。こうした場合、攻撃側は接触攻撃ロール(近接接触攻撃ロールか遠隔接触攻撃ロール)を行う。接触攻撃の目標となった場合、君のアーマー・クラスに鎧ボーナス、盾ボーナス、外皮ボーナスは含まれない。これら以外のすべての修正値、たとえばサイズ修正値、【敏捷力】修正値、反発ボーナスなどは通常どおりに適用される。非実体接触攻撃は、遮蔽ボーナスを無視することを除けば、通常の接触攻撃と同様に働く。非実体接触攻撃はメイジ・アーマーやブレイサーズ・オヴ・アーマーなどの[力場]効果を無視することはできない。
攻撃が成功したなら、ダメージを与える。与えるダメージの量は、使用した武器の種類によって決まる。
最低ダメージ:ペナルティを適用した結果としてダメージが1を下回った場合にも、命中打は1ポイントの非致傷ダメージを与える。
【筋力】ボーナス:近接武器または投擲武器(スリングを含む)を命中させたなら、ダメージに【筋力】修正値を加える。コンポジット・ボウ以外のボウによる攻撃では、【筋力】ペナルティを適用するが、【筋力】ボーナスは適用しない。
利き手でない手で使う武器:利き手でない手で使っている武器でダメージを与える場合、【筋力】ボーナスの1/2だけを加える。【筋力】ペナルティは、ペナルティそのままの値を適用する。
1本の武器を両手で持って使う:両手で持って使っている武器でダメージを与える場合、【筋力】ボーナスの1.5倍を加える(【筋力】ペナルティは1.5倍にはしない)。しかしながら、“軽い武器”を両手で持って使っている場合には、このような通常より多い【筋力】ボーナスを加えることはできない。
ダメージへの倍数の適用:たとえばクリティカル・ヒットが起きた時など、何らかの理由でダメージに倍数を適用することがある。この場合、ダメージを(修正値も込みで)複数回ロールして、結果を足し合わせること。
注:ダメージに対して倍数を複数回適用する場合、それぞれの倍数を、元となるまだ倍数を適用されていないダメージに対して、適用する。ダメージを2倍にする効果が2度適用される場合、通常のダメージの3倍になる。
例外:武器の通常のダメージを超える追加ダメージ・ダイスに対しては、決して倍数を適用しない。
能力値ダメージ:クリーチャーや魔法的効果の中には、一時的な能力値ダメージや永続的な能力値ダメージ(能力値の減少)を与えるものがある。
ヒット・ポイントの合計が0になったなら、君は満身創痍状態となる。-1になったなら、瀕死状態だ。【耐久力】の値と同じだけヒット・ポイントが0を下回ったのであれば、君は死亡状態となる(『負傷と死』を参照することで、より詳しい情報が得られる)。
時として、近接戦闘中の者もガードを下げ、普段より防御が甘くなってしまうことがある。このような場合、近くにいる者は防御の隙をついて自由に攻撃することができる。これを“機会攻撃”という。機会攻撃がどのように行われるかについては、図『機会攻撃』を参照のこと。
機会攻撃範囲内にあるマス目:君はたとえ自分がアクションを行っているときでなくても、自分が近接攻撃を行える範囲を機会攻撃範囲に収めている。原則として、君の接敵面に隣接する全てのマス目(斜め隣のものも含む)がこれに該当する。機会攻撃範囲にあるマス目にいるときに特定のアクションを行った敵は、君から1回の機会攻撃を誘発する。君が素手の場合、ふつうはいずれのマス目も機会攻撃範囲に収めないため、機会攻撃を行うことはできない。
間合いの長い武器:中型サイズ以下のほとんどのクリーチャーは5フィートの間合いしか持っていない。これはつまり、5フィート(1マス)以内にいる敵に対してしか近接攻撃を行えないということを意味する。しかしながら、小型サイズあるいは中型サイズのクリーチャーが間合いのある武器を使用した場合には、通常よりも多くのマス目を機会攻撃範囲に収めることができる。また、中型サイズより大きなクリーチャーのほとんどは、10フィート以上の“生来の間合い”を持っている。
機会攻撃の誘発:機会攻撃を誘発しうるアクションには2種類ある。1つは機会攻撃範囲内にあるマス目から移動して出ること。もう1つは機会攻撃範囲内にあるマス目で特定のアクションを行うことである。
移動:機会攻撃範囲内にあるマス目から移動して出ると、通常、そこを機会攻撃範囲内に収めている敵から機会攻撃を誘発する。このような攻撃を避けるような代表的な手段は2つある。1つは“5フィート・ステップ”、もう1つは“撤退アクション”である。
注意がそれるような行動をとる:アクションの中には、機会攻撃範囲にあるマス目にいるときに行うと君が戦闘から注意をそらしてしまうために、機会攻撃を誘発するものがある。表:戦闘中のアクションには、機会攻撃を誘発するさまざまな行動が記載されている。
通常であれば機会攻撃を誘発するようなアクションであっても、このルールに関する例外が適用されるケースは多いので気をつけること。
機会攻撃を行う:機会攻撃は1回の近接攻撃であり、ほとんどのキャラクターはこれを1ラウンドに1回しか行うことはできない。機会攻撃は、望まないなら行わなくてもかまわない。機会攻撃は、たとえそのラウンドですでに攻撃を行っていたとしても、通常の攻撃ボーナスの値で行う。
機会攻撃は、ラウンド中のアクションの通常の順序に“割り込んで”行なわれる。機会攻撃が誘発されたなら、即座に機会攻撃を解決する。その後で、次のキャラクターのターンを解決する(あるいは、機会攻撃がとあるキャラクターのターン中に誘発されたのであれば、進行中のターンを最後までやり終える)。
《迎え討ち》による追加の機会攻撃:君が《迎え討ち》の特技を持っているなら、自分の【敏捷力】修正値の値を1ラウンドに行える機会攻撃の回数に加えることができる。ただしこの特技を持っていたとしても、1回の機会につき最大1回の機会攻撃しか行えない点は変わらない。しかしながら、もし同一の敵が君から2回の機会攻撃を誘発したなら、君はそれぞれ別に、合計2回の機会攻撃を行うことができる(なぜなら、それぞれが別々の機会だからである)。まず特定の敵の機会攻撃範囲内にある特定のマスから出、それと同じラウンドに、同じ敵の機会攻撃範囲内にある別のマス目から移動して出たとしても、それぞれを、その敵に対する複数の機会であるとは見なさない。これらの機会攻撃は、常に君の、完全な値の通常の攻撃ボーナスを用いて行われる。
この戦闘では、ファイターとソーサラーが、オーガとその相棒であるゴブリンと戦っている。
#1:ファイターは、オーガ(彼は10フィートの間合いを持つ)やゴブリンの機会攻撃範囲内にあるマス目を避けることで、機会攻撃を誘発しない経路で安全に近づくこともできる。
#2:ファイターがこの経路で近づいたなら、オーガとゴブリン双方のクリーチャーの機会攻撃範囲内にあるマス目を通るため、2回の機会攻撃を誘発する。
#3:ソーサラーは撤退アクションを使用して離れる。その結果、彼女が移動した最初の1マス目は機会攻撃を誘発しない。そのため、彼女はゴブリンから安全に離れることができる。しかし彼女が2マス目から離れる際、彼女はオーガ(彼は10フィートの間合いを持つ)から機会攻撃を誘発する。彼女は代わりに自身の移動をフリー・アクションとしての5フィート・ステップへと制限でき、そうすることで、彼女はあらゆる機会攻撃を誘発しない。
移動速度は、君が1ラウンドにそれだけの距離を移動して、なおかつ攻撃や呪文の発動といった何らかの行為ができるということを示している。君の移動速度は主に、種族と、着用している鎧の種類によって決定される。
ドワーフ、ノーム、ハーフリングの移動速度は20フィート(4マス)である。中装鎧か重装鎧を着ているなら15フィート(3マス)となる(ドワーフは例外で、どんな種類の鎧を着ていても20フィート移動できる)。
人間、エルフ、ハーフエルフ、ハーフオーク、ほとんどの人型生物のモンスターの移動速度は30フィート(6マス)である。中装鎧や重装鎧を着ているなら20フィート(4マス)である。
あるラウンドに2回の移動アクションを使用するなら(これは“2倍移動アクション”と呼ばれることもある)、移動速度の2倍までの距離を移動することができる。1つのラウンドをまるまる、全力で“疾走”することに費やしたなら、移動速度の4倍までの距離を移動することができる(重装鎧を着ている場合は3倍まで)。
特殊な手段や魔法で攻撃された場合、その効果を無効にしたり緩和するためにセーヴィング・スローを行えることが多い。攻撃ロールと同様、セーヴィング・スローの場合もd20をロールして、クラス(『クラス』を参照)、レベル、能力値に応じたボーナスを加える。セーヴィング・スロー修正値は以下の通り:
基本セーヴ・ボーナス+能力修正値
セーヴィング・スローの種類:セーヴィング・スローには、頑健、反応、意志の3種類がある。
頑健:このセーヴは物理的な責め苦や、生命力や身体の健康さに対する攻撃に耐える能力を表す。頑健セーヴィング・スローには【耐久力】修正値を適用する。
反応:このセーヴは範囲攻撃をかわしたり、予期しない状況に対応したりする能力を示す。反応セーヴィング・スローには【敏捷力】修正値を適用する。
意志:このセーヴは、精神的な抵抗力や、様々な魔法の効果などに耐える能力を示す。意志セーヴィング・スローには【判断力】修正値を適用する。
セーヴィング・スローの難易度:セーヴの難易度は、攻撃そのものによって決定される。
自動成功と自動失敗:セーヴィング・スローの際、ダイスの目が1(d20で出目が1)であったなら、必ず失敗となる(そして露出しているアイテムにダメージを与える可能性がある; 『セーヴィング・スロー後にアイテムが助かったかどうか』を参照)。ダイスの目が20(d20で出目が20)であったなら、必ず成功となる。
無 | |
有 | |
有 | |
無 | |
有/無2 | |
有 | |
無 | |
無 | |
無 | |
無 | |
ポーションを1本飲むかオイルを1つ塗る |
有 |
組みつきから脱出する |
無 |
無 | |
有 | |
無 | |
巻物を読む |
有 |
無 | |
有 | |
無 | |
変則的能力を使用する |
無 |
ふつうは有 | |
擬似呪文能力を使用する |
有 |
超常能力を使用する |
無 |
有 | |
有 | |
稼働中の呪文を向ける/向け直す |
無 |
無 | |
有 | |
扉を開ける/閉める |
無 |
馬に乗る/降りる |
無 |
重い物体を1つ動かす |
有 |
アイテムを1つ拾う |
有 |
武器を1つ鞘に収める |
有 |
有 | |
無 | |
しまってあるアイテムを1つ取り出す |
有 |
無 | |
無 | |
有 | |
ネットから脱出する |
有 |
消火する |
無 |
松明をつける |
有 |
ヘヴィ・クロスボウ/リピーティング・クロスボウを装填する |
有 |
ロックト・ガントレットに武器をロックする/解除する |
有 |
飛散武器を投擲する準備を行う |
有 |
有 | |
ふつうは有 | |
有 | |
無 |
1つのターンの間に、武器をふるうことから呪文を発動することまで、キャラクターが行うことのできるアクションは多岐に渡る。
アクションの種別は原則として、そのアクションを行うのに(6秒の戦闘ラウンドの枠組みの中で)どれくらいの時間がかかるのか、また移動をどう扱うのかということを示す分類である。アクションの種別は6つ:標準アクション、移動アクション、全ラウンド・アクション、即行アクション、割り込みアクション、フリー・アクションである。
1回の通常ラウンド中に、君は1回の標準アクションと1回の移動アクションを行うか、あるいは1回の全ラウンド・アクションを行うことができる。また君は、1回の即行アクションと、好きな回数のフリー・アクションを行うことができる。君はいかなる場合においても、1回の標準アクションの代わりに1回の移動アクションを行うことができる。
特定の状況下(たとえば不意討ちラウンド中)においては、君は1回の移動アクションか1回の標準アクションのいずれかしか取ることができない。
標準アクション:標準アクションによって、君は何らかの事柄を行うことができる。標準アクションの中でもっともよく用いられるのは攻撃や呪文の発動である。表:戦闘中のアクションを参照のこと。
移動アクション:1回の移動アクションで、君は自分の移動速度分の移動を行うか、あるいは同じくらいの時間で行なうことのできるなんらかのアクションを1回行うことができる。表:戦闘中のアクションを参照のこと。
君は1回の標準アクションと置き換えて1回の移動アクションを行うことができる。もし君が特定の1ラウンド中に、他に物理的な距離を移動しないのであれば(君が自らの移動を移動に相当するアクションと取り替えた場合によく起こる)、君は1回の5フィート・ステップを行うことができる。これを行うタイミングは他のアクションの前、途中、後のいずれでもかまわない。
全ラウンド・アクション:全ラウンド・アクションを取ると、君のそのラウンドにおける全労力をつぎこむことになる。全ラウンド・アクションを行なう場合、できる移動は5フィート・ステップだけである。これは全ラウンド・アクションの前でも途中でも後でも行える。加えて、何回かのフリー・アクションと即行アクション(後述を参照)を行うことができる。表:戦闘中のアクションの全ラウンド・アクションの項を参照。
全ラウンド・アクションの中には、5フィート・ステップすら許されないものもある。
全ラウンド・アクションの中には、君が自らのラウンドに1回の標準アクションしか行えないような制限を受けている状況下に限り、標準アクションとして行うことができるものもある。どういったアクションがこれに当てはまるのかについては、後述の個々のアクションに関する解説を参照のこと。
フリー・アクション:フリー・アクションにはごくわずかな時間と労力しかかからない。君は他のアクションを普通に行いながら、1つ以上のフリー・アクションを行うことができる。しかしGMはこれに対して、実際どの程度のことがらをフリーで行えるかという観点から、常識的な制限を加えるべきである。
即行アクション:即行アクションは非常に短い時間しか必要としないが、フリー・アクションに比べるとより多くの努力と精力を傾けなければならない行為を表す。君は1ターンにつき1回の即行アクションを行なうことができる。
割り込みアクション:割り込みアクションは即行アクションに良く似ているが、割り込みアクションはいつでも――たとえ君のターン中でなくても――行なうことができる。
アクションではない行動:様々な行動の中には、簡単なものであるがゆえに、フリー・アクションとしてすら扱われないものがある。これらの行動は文字どおり行なうのに一定の時間を要するということはなく、何か他の行為に付随する一部分でしかないと見なされる。たとえば、矢をつがえるという行為は弓での攻撃の一部分である。
行動の制限:特定の状況下においては、君はまるまる1ラウンドを要する分のアクションを行うことはできない。このような場合、君の行動は制限され、1回の標準アクションか1回の移動アクションしか行うことはできない(これに加えて、通常通りフリー・アクションと即行アクションを行うことができる)。君は全ラウンド・アクションを行うことができない(ただし、1回の標準アクションを使用して“全ラウンド・アクションを開始する/完了する”ことができる。これについては後述)。
移動を別にすると、キャラクターがとる一般的なアクションのほとんどは標準アクションに分類される。
近接攻撃:通常の近接攻撃を使用して、自分から5フィート以内の好きな敵を攻撃できる(5フィート以内にいる敵は君に隣接しているものと見なされる)。武器の説明に示されるように、近接武器の中には間合いの長いものもある。一般的な“間合いの長い武器”では、10フィート離れた敵を攻撃できるが、そのかわり隣接する(つまり5フィート以内の)敵を攻撃することはできない。
素手攻撃:ダメージを与えるためにパンチ、キック、頭突きなどで打撃する行為は近接武器による攻撃とほとんど同様だが、以下のような相違点がある。
機会攻撃:素手で攻撃を行うと、攻撃の対象となるキャラクターが武装していた場合には、相手からの機会攻撃を誘発する。機会攻撃は君の攻撃より前に行われる。素手攻撃は自分が攻撃する相手以外の敵からは機会攻撃を誘発しない。また、相手が武装していない場合も機会攻撃を誘発しない。
武装していないキャラクターは機会攻撃を行えない(ただし後述の『“武装している”と見なされる素手攻撃』を参照)。
“武装している”と見なされる素手攻撃:時に、キャラクターあるいはクリーチャーの素手攻撃が、武器による攻撃と見なされることがある。モンク、《素手打撃強化》の特技を修得しているキャラクター、接触攻撃呪文を相手に叩き込もうとしている魔法の使い手、物理的な肉体武器を持つ全てのクリーチャーは、いずれも武装していると見なされる(『肉体攻撃』を参照)。
武装しているかどうかという扱いは、攻撃と防御の両面に関わる点に注意(キャラクターは機会攻撃を行うことができる)。
素手打撃ダメージ:中型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d3ポイントの殴打ダメージ(通常通り君の【筋力】修正値が加わる)を与える。小型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d2ポイントの殴打ダメージを与える。大型サイズのキャラクターによる素手打撃は1d4ポイントの殴打ダメージを与える。素手打撃のダメージは非致傷ダメージである。(二刀流の攻撃ペナルティなどを考える際には)素手打撃は“軽い武器”と見なす。
致傷ダメージを与える:君は攻撃ロールを行う前に、自分の素手打撃で致傷ダメージを与えると宣言することができるが、攻撃ロールには-4のペナルティを被る。君が《素手打撃強化》特技を持っているなら、攻撃ロールにペナルティを受けることなく素手攻撃で致傷ダメージを与えることができる。
遠隔攻撃:君は遠隔武器を使用して、その武器の最大射程内におり、かつ視線に捕らえている好きな目標に対し、矢弾を射出したり武器を投擲したりできる。投擲武器の最大射程は射程単位の5倍である。射出武器の最大射程は射程単位の10倍である。遠隔武器の中には最大射程がもっと短いものもあり、その場合は個々の説明文に明記されている。
肉体攻撃:爪や噛みつきといった肉体武器での攻撃は、間合い(通常は5フィート)に収めている好きなクリーチャーに対して行うことのできる近接攻撃である。これらの攻撃には最大の攻撃ボーナスを使用することができ、種類に応じたダメージ(通常通り君の【筋力】ボーナスが加わる)を与える。高い基本攻撃ボーナスを持っていたとしても、肉体武器による追加攻撃を行うことはできない。そのかわりに、君は複数の腕や、攻撃を行う能力を持つ身体の一部(種族や攻撃を可能にする能力に記載される)を使用して、追加の攻撃ロールを行う。君が1つの肉体攻撃しか持っていない(噛みつきなど。2回の爪攻撃はこの条件を満たさない)なら、その攻撃によるダメージ・ロールに【筋力】ボーナスの1.5倍を加える。
肉体攻撃には、尾や翼のような、二次的肉体攻撃と記載のあるものがある。二次的肉体攻撃による攻撃は基本攻撃ボーナスから5を引いた値を使用する。これらの攻撃は種類に応じたダメージを与えるが、ダメージ・ロールには【筋力】修正値の半分しか加えない。
君は、それぞれの攻撃に使用する手足が残っている限り、肉体武器による攻撃を近接武器を使用した攻撃や素手攻撃と組み合わせて行うことができる。例えば、君は爪による攻撃に使用した手で、ロングソードを使用した攻撃を行うことはできない。この方法で追加攻撃を行う場合、全ての肉体武器は二次的肉体攻撃として扱われる。そのため、これらの攻撃に使用する基本攻撃ボーナスは-5され、ダメージ・ロールには【筋力】修正値の1/2だけを加える。《二刀流》や《複数回攻撃》といった特技は、これらのペナルティを軽減する。
複数回攻撃:1ラウンドに複数回の攻撃を行うことのできるキャラクターが2回以上の攻撃を行うためには、全力攻撃アクションを取らねばならない(『全ラウンド・アクション』を参照)。
近接戦闘中の敵に遠隔攻撃を行う:君の仲間のキャラクターと近接戦闘を行っている目標に対して遠隔武器を使用する場合、攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。2人のキャラクターが近接戦闘を行っていると見なされるのは、両者が敵どうしで、かつどちらかが相手を機会攻撃範囲に収めている場合である(気絶状態であるなど、何らかの理由で動くことができないキャラクターは、実際に攻撃されていない限り近接攻撃を行っているとは見なされない)。
ただし目標(目標が大きい場合にはそのうち狙っている部分)が、君の仲間のうち最も近くにいる者から10フィート以上離れていれば、たとえ目標のクリーチャーが仲間と近接戦闘を行っていても、-4のペナルティを受けなくてよい。
目標が近接戦闘を行っている君の仲間より2段階大きい場合、ペナルティは-2に減少する。目標が近接攻撃を行っている君の仲間より3段階大きいなら、ペナルティはなくなる。
標準アクションとして防御的戦闘を行う:攻撃を行う際、防御的戦闘を選択することができる。そうすれば、君は次の君のターン開始まですべての攻撃に-4のペナルティを受け、代わりにその間アーマー・クラスに+2の回避ボーナスを得る。
攻撃を行った際、ダイスの目が20(d20で出目が20)なら、目標のアーマー・クラスにかかわらず命中し、また同時にクリティカル可能状態となる。この攻撃は、クリティカル・ヒットになる可能性がある。実際にクリティカル・ヒットになったかどうかを判定するため、君は即座にクリティカル・ロールを行う。これは、さきほど行った攻撃ロールとまったく同じすべての修正値を用いて攻撃ロールをもう一度行うというものである。クリティカル・ロールでも目標のアーマー・クラスに対して命中の効果を得たなら、この攻撃はクリティカル・ヒットである(クリティカル・ロールでは、普通に命中するだけの値が出さえすればよい。もう一度20の目を出す必要はない)。クリティカル・ロールが失敗なら、攻撃は通常の命中となる。
クリティカル・ヒットになったなら、通常のボーナスを全て適用したダメージのロールを複数回行い、その値を全て加算して合計ダメージを算出する。特に明記されていない限り、クリティカル可能域は20であり、クリティカル倍率は×2である。
例外:(ローグの急所攻撃のクラス特徴のような)精密さによるダメージや(フレイミング能力のような)特別な武器の特性による追加のダメージ・ダイスはクリティカル・ヒットになっても倍率が適用されない。
クリティカル可能域が広がる場合:クリティカル可能域が20だけではない場合もある。その場合、より低いダイスの目でもクリティカル可能域に入ったことになる。このような場合、20より低いダイスの目は自動命中ではない点に注意すること。また、命中しなかった攻撃ロールはダイスの目がいくつであってもクリティカル可能状態とはならない。
クリティカル倍率が増える場合:武器の中には、クリティカル・ヒットで2倍より大きなダメージを与えるものもある(『装備』を参照)。
呪文とクリティカル・ヒット:攻撃ロールを要する呪文では、クリティカル・ヒットが起こりうる。攻撃ロールを必要としない呪文では、クリティカル・ヒットは起こらない。能力値ダメージや能力値吸収(『特殊能力』を参照)を引き起こす呪文の場合、クリティカル・ヒットの際にはその能力値ダメージや能力値吸収が2倍になる。
魔法のアイテムの多くは起動を必要としない。しかしながら魔法のアイテムの中には起動を必要とするものもある。ポーション、巻物、ワンド、スタッフなどがそうである。特にそうでないと明記されていない限り、魔法のアイテム1つを起動する行為は1回の標準アクションである。
呪文完成型アイテム:呪文完成型のアイテムの起動は呪文の発動と同等である。行うには精神集中が必要であり、機会攻撃を誘発する。精神集中が失敗したなら呪文は失われる。また、君は呪文を発動する場合と同様に、防御的にアイテムを発動しようとすることができる。
呪文解放型、合言葉型、単純使用型のアイテム:これらの種類のアイテムの起動には精神集中が不要であり、機会攻撃も誘発しない。
ほとんどの呪文は発動に1標準アクションを要する。君はこのような呪文1つを、1回の移動アクションを行う前か後に発動することができる。
注:君は呪文の発動中にもアーマー・クラスに対する【敏捷力】ボーナスを保持している。
構成要素:音声要素(“音声”と略する)のある呪文を発動するためには、君のキャラクターは、はっきりとした声で発音しなければならない。口を封じられているか、サイレンスの呪文の効果範囲にいるならば、音声要素のある呪文を発動することはできない。聴覚喪失状態にある呪文の使い手は、音声要素のある呪文を発動しようとする場合、20%の確率で呪文を台無しにしてしまう。
動作要素(“動作”と略する)のある呪文を発動するためには、少なくとも1本の手で自由に手ぶりができなくてはならない。縛られている状態だったり、組みつき状態であったり、両手がふさがっていたり使用中だったりする場合には、動作要素のある呪文を発動することはできない。
物質要素(“物質”と略する)、焦点具(“焦点”と略する)、信仰焦点具(“信仰”と略する)のどれかがある呪文を発動するためには、呪文の解説に指定のある物質を持っていなければならない。特に厄介な物質要素でない限り、これらの物質を用意する行為はフリー・アクションである。呪文構成要素ポーチを持っている限り、物質要素と焦点具のうち、特に価格が記載されていない物に関しては、持っていると見なされる。
精神集中:呪文を発動するには精神集中をしなければならない。精神集中ができない状況にあるなら、呪文を発動することはできない。呪文の発動を開始したものの、途中で何かが精神集中を妨げた場合、精神集中判定に成功しなければ呪文を失ってしまう。判定の難易度は、精神集中を妨げた原因に応じて決まる(『魔法』を参照)。判定に失敗したなら、呪文は効果を発揮せずに立ち消えてしまう。あらかじめ呪文を準備する場合には、準備していた呪文が失われる。準備せずにその場で呪文を発動する場合は、発動が成功しなかったにもかかわらず、1日に使える呪文の数から差し引かれる。
呪文を維持するために精神集中を行う:一部の呪文は、継続させておくために持続的な精神集中を必要とする。呪文を維持するために精神集中を行う行為は、標準アクションであり、機会攻撃を誘発しない。呪文を発動する際に精神集中を乱す可能性のある事柄は、維持のための精神集中も乱す可能性がある。精神集中が失敗したなら、呪文は終了する。
発動時間:ほとんどの呪文の発動時間は1標準アクションである。これにより発動した呪文は即座に効果を発揮する。
機会攻撃:一般的に、呪文を発動した場合には、君を機会攻撃範囲内に収めている敵からの機会攻撃を誘発する。機会攻撃によってダメージを受けたなら、君は精神集中判定(難易度10+受けたダメージ+呪文レベル)に成功しない限り、呪文を失ってしまう。発動に1回のフリー・アクションしか必要としない呪文は、機会攻撃を誘発しない。
防御的発動:防御的発動では機会攻撃を誘発しない。その代わり、やり遂げるには精神集中判定(難易度15+呪文レベルの2倍)が必要となる。失敗したなら呪文を失ってしまう。
戦闘における接触呪文:距離が“接触”となっている呪文は多い。これらの呪文を使う場合、君はまず呪文の発動を行ってから、対象に接触する。呪文を発動したのと同じラウンドに、君はフリー・アクションとして接触する(あるいは接触しようとする)ことができる。移動は呪文を発動する前、目標に接触した後、あるいは発動と接触の間のいずれかで行える。1人の仲間に対して接触するか、あるいは自分自身に呪文を使用するのであれば、自動的に行うことができる。しかし敵に接触するためには、攻撃ロールに成功しなければならない。
接触攻撃:接触呪文を帯びて敵に接触する攻撃は武器攻撃として扱われるため、機会攻撃を誘発しない。しかしながら、呪文を発動する行為自体は機会攻撃を誘発する。接触攻撃には、近接接触攻撃と遠隔接触攻撃の2種類がある。どちらのタイプの攻撃でもクリティカル・ヒットが起こりうる。接触呪文に対する敵のアーマー・クラスは、鎧ボーナス、盾ボーナス、外皮ボーナスを含まない。サイズ修正値、【敏捷力】修正値、および反発ボーナス(もしあれば)はすべて通常通り適用される。
チャージの保持:呪文を発動したラウンドにチャージ消費を行わないなら、君はいつまででも、呪文のチャージを保持できる。接触攻撃は以後のラウンドで行える。チャージを保持しているとき、何か、あるいは誰かに接触したならば、たとえ意図して触ったのでなくても、チャージ消費を行ってしまう。新たに他の呪文をチャージしたなら、チャージ保持中の接触呪文は失われる。1回の標準アクションで、1人の仲間に接触できる。1回の全ラウンド・アクションを行なえば、最大で6人の仲間に接触できる。また別の選択肢として、チャージ保持中に通常の素手攻撃(あるいは肉体武器による攻撃)を行うことができる。この場合、君は武装しているとは見なされず、通常に攻撃する場合と同様に機会攻撃を誘発してしまう。君の素手攻撃や肉体武器による攻撃が機会攻撃を誘発しないのであれば、こういった攻撃でも機会攻撃は誘発しない。攻撃が命中したら、素手攻撃あるいは肉体項武器によるダメージを与え、呪文のチャージ消費が行われる。攻撃が失敗したなら、君はチャージを保持し続ける。
戦闘における遠隔接触攻撃:呪文の中には、呪文の発動の一部として遠隔接触攻撃を行うものがある。この遠隔接触攻撃は呪文の発動の一部であり、個々のアクションを必要としない。防御的発動を行ったとしても、遠隔接触攻撃は機会攻撃を誘発する。特記ない限り、遠隔接触攻撃は以降のターンまで保持しておくことはできない。
呪文の解除:稼働中の呪文を解除する行為は機会攻撃を誘発しない1回の標準アクションである。
“全ラウンド・アクションを開始する”という標準アクションによって、君は全ラウンド・アクションを開始し、次のラウンドにもう1回の標準アクションを消費して、これを完了することができる。君はこのアクションを使用して、全力攻撃、突撃、疾走、撤退の各アクションを開始したり完了することはできない。
標準アクションとして、防御に専念することができる。君は1ラウンドの間、自らのアーマー・クラスに+4の回避ボーナスを得る。君のアーマー・クラスの上昇はこのラウンドの開始時点から始まる。防御専念は、防御的戦闘と組み合わせたり、《攻防一体》特技の利益と組み合わせたりすることはできない。防御専念を行っている間は、機会攻撃を行うことはできない。
特殊能力の使用は標準アクションである場合が多い。しかし標準アクションか、全ラウンド・アクションであるか、あるいはアクションでないかは、それぞれの能力ごとに定められている。
擬似呪文能力(擬呪):擬似呪文能力の使用は呪文の発動のように働く。つまり精神集中を必要とし、機会攻撃を誘発する。擬似呪文能力は中断されうる。精神集中が破れたならば、能力の使用は失敗し、その試みは、能力を使った回数のうちに数える。擬似呪文能力は、その能力や同名の呪文の解説に特に記載がない限り、1標準アクションの発動時間を持つ。
擬似呪文能力の防御的発動:呪文を発動する場合と同じように、擬似呪文能力の防御的な使用を試みることができる。精神集中判定(難易度15+呪文レベルの2倍)に失敗したなら、能力を使うことはできず、その試みは、能力を使った回数のうちに数える。
超常能力(超常):超常能力の使用は通常、標準アクションである(各能力の説明で特に定義されている場合はこの限りではない)。超常能力の使用は中断されず、精神集中を必要とせず、機会攻撃を誘発しない。
変則的能力(変則):変則的能力の使用はふつう、アクションではない。変則的能力のほとんどは反射的かつ自動的に発揮されるからだ。アクション扱いとなる変則的能力は通常、標準アクションであり、中断されることがなく、精神集中を必要とせず、機会攻撃を誘発しない。
一部の移動に関係した技能を除き、ほとんどの移動アクションは判定を必要としない。
移動アクションのうちもっとも単純なのが、君の移動速度分の距離を移動するという行為である。君が自らのターンにこのような移動アクションを行ったなら、君はそのターンに5フィート・ステップを行うことはできない。
登攀(移動速度の1/4の距離まで)や水泳(移動速度の1/4の距離まで)といった標準的でない移動モードのほとんどもこの分類に含まれる。
登攀速度の上昇:〈登攀〉判定に-5のペナルティを被ることにより、1回の移動アクションとして、自らの移動速度の1/2の距離を登攀することができる。
這い進む:君は1回の移動アクションとして5フィート這い進むことができる。這い進む行為は、君が這い進む経路上で君を機会攻撃範囲に含むすべての攻撃者から機会攻撃を誘発する。這い進んでいるクリーチャーは伏せ状態として扱われる。立ち上がる行為は移動アクションであり、機会攻撃を誘発する。
呪文の中には、呪文を発動した後で、効果を新たな目標や範囲に向け直すことができるものがある。1つの呪文を向け直す行為は移動アクションであり、機会攻撃を誘発せず、精神集中も必要としない。
戦闘で使用できるようにするべく武器を抜いたり、その手を自由に使えるようにするために武器を1つしまうといった行為は、それぞれ1回の移動アクションを要する。このアクションはまたワンドのような、簡単に手に届く位置で運搬している、武器に似た物体に関しても適用される。もし君が武器や武器に似た物体を袋にしまっていたり、簡単に手の届かない位置で運搬していたなら、このアクションは“しまってあるアイテムを1つ取り出す”アクションとして扱う。
君の基本攻撃ボーナスが+1以上であるなら、君は1つの武器を1回のフリー・アクションで、1回の通常移動と組み合わせて抜くことができる。《二刀流》特技を持っているなら、軽い武器か片手武器を2つ同時に、通常1つの武器を抜くのに必要なのと同じ時間で準備することができる。
遠隔武器と共に使用するために矢弾(アロー、ボルト、スリング・ブリット、シュリケンなど)を抜く(取り出す)行為はフリー・アクションである。
ほとんどの場合、アイテムを1つ動かしたり取り扱ったりする行為は1回の移動アクションである。
これには、アイテムを1つしまう、重い物体を1つ動かす、扉を開くなどといった行為が含まれる。こういった行為の実例および、個々の行為が機会攻撃を誘発するかどうかについては、表:戦闘中のアクションを参照。
馬に乗ったり降りたりする行為はそれぞれ1回の移動アクションである。
素早く乗り降りする:君は難易度20の〈騎乗〉判定に成功することにより、1回のフリー・アクションで乗騎に乗るか降りることができる。判定に失敗したなら、乗ったり降りたりする行為は1回の移動アクションとなる。君は、そのラウンドに乗ったり降りたりする行為を1回の移動アクションとして行うことができないような状況では、素早く乗り降りすることを試みることができない。
盾ボーナスを得るために1枚の盾のストラップに腕を通す行為や、1枚の盾のストラップから腕を抜いて盾を落とし、盾の側の腕を他の目的に使用できるようにする行為は、それぞれ1回の移動アクションを要する。基本攻撃ボーナスが+1以上であるなら、君は1枚の盾を準備したり使えない状態にする行為を1回のフリー・アクションで、1回の通常移動と組み合わせて行うことができる。
運搬している(が着用していない)盾を落とす行為は1回のフリー・アクションである。
伏せ状態の姿勢から立ち上がる行為は1回の移動アクションを要し、機会攻撃を誘発する。
全ラウンド・アクションを行うにはまるまる1ラウンドが必要である。そのため、標準アクションや移動アクションと組み合わせることはできないが、全ラウンド・アクション自体がいくばくかの距離の移動を含んでいない限り、1回の5フィート・ステップと組み合わせることができる。
基本攻撃ボーナスが高かったり(『クラス』の基本攻撃ボーナスを参照)、2つの武器や双頭武器で戦っていたり、その他何らかの理由があって、1ラウンドあたりの攻撃回数が2回以上である場合、追加攻撃を行うためには全力攻撃アクションを使わなければならない。各攻撃の目標を前もって決めておく必要はない。先に行った攻撃の結果を見てから、次の攻撃の目標を決めればよい。
全力攻撃中に行える移動は1回の5フィート・ステップだけである。ステップは攻撃の前、後、あるいは攻撃と攻撃の間のいずれかで行える。
基本攻撃ボーナスの値によって複数回攻撃が可能となっている場合には、攻撃を、ボーナスの高い順に行わなくてはならない。2つの武器を使用している場合には、どちらの武器で先に打撃してもかまわない。双頭武器を使用している場合には、武器のどちらの端で先に打撃してもかまわない。
攻撃アクションか全力攻撃アクションかを選択する:最初の攻撃の後、その結果を見てから、残りの攻撃を行うことを放棄して代わりに1回の移動アクションを行うことに決めてもよい。すでに5フィート・ステップを行なっていた場合には、移動アクションを使用して実際にいくばくかの距離を移動することはできない。しかし、別の種類の(訳注:物理的な距離の移動を伴わない)移動アクションを行うことはできる。
全ラウンド・アクションとして防御的戦闘を行う:全力攻撃を行う際、防御的戦闘を選択することができる。そうすれば、君は次の君のターン開始まですべての攻撃に-4のペナルティを受け、代わりにその間アーマー・クラスに+2の回避ボーナスを得る。
発動時間が1ラウンドの呪文の発動は1回の全ラウンド・アクションである。呪文は呪文の発動を開始したラウンドの次のラウンドの君のターンの開始時に効果を発揮する。そのターンには、呪文が完成した後で、通常通りに行動することができる。
発動に1分かかる呪文は、1分後の自分のターンの直前に効果を発揮する(君はそれまでの10ラウンドの間、ずっと全ラウンド・アクションで呪文の発動を行っている)。これらのアクションは途切れずに連続して行わねばならず、途中で邪魔が入ってはならない。さもなければ、呪文は自動的に失敗する。
発動時間が1ラウンドかそれ以上かかる呪文を開始したならば、詠唱や身振りや精神集中を、最初のラウンドから(少なくとも)次のラウンドの自分のターンの直前まで継続しなければならない。呪文を開始してから完了するまでの間に精神集中が途切れたら、その呪文は失われてしまう。
1全ラウンド以上にわたって呪文の発動を継続しなければならない場合でも、機会攻撃を誘発するのは呪文の発動を開始したときだけである。呪文の発動を行っている間、君は周囲のいかなるマス目も機会攻撃範囲に収めない。
このアクションはこれ以外の点では、『標準アクション』の項にある『呪文の発動』と同様である。
修正呪文の発動:ソーサラーとバードは修正呪文(呪文修正特技によって強化された呪文)の発動に通常の呪文より長い時間を要する。その呪文の通常の発動時間が1標準アクションであったなら、修正前の呪文の発動はソーサラーやバードにとっては1回の全ラウンド・アクションである(《呪文高速化》の特技で修正された特技は例外で、発動時間は1回の即行アクションである)。これは発動時間が“1ラウンド”の呪文とは扱いが異なるので注意すること。呪文は発動を開始したのと同じラウンドに効果を発揮し、次のラウンドまで詠唱や身振りや精神集中を続ける必要もない。発動時間がもっと長い呪文の場合、修正呪文の発動には追加でさらに1回の全ラウンド・アクションを要する。
クレリックやドルイドがキュアやインフリクトやサモンの呪文の修正版を任意発動する場合、通常より長い時間を要する。発動時間が1標準アクションである呪文の修正版を任意発動する行為は1回の全ラウンド・アクションである。より発動時間の長い呪文の場合には、追加でさらに1回の全ラウンド・アクションを要する。
移動に支障があるような状況にあり、5フィート(1マス)移動するのに充分なだけの移動速度すら得られないことがある。こういった場合、1回の全ラウンド・アクションを使用して、好きな方向に5フィート(1マス)移動することができる。この移動は斜め方向でも構わない。見かけ上は5フィート・ステップに似ているが、同じものではなく、通常通りに機会攻撃を誘発する。
1回の全ラウンド・アクションとして疾走を行える。この場合、さらに5フィート・ステップを行うことはできない。疾走するなら、通常の移動速度の4倍(重装鎧を着ているなら3倍)までの距離を直線状に移動することができる。《疾走》特技を持っていない限り、アーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスは失われる。
【耐久力】の値と同じラウンド数までは問題なく疾走することができるが、その後も疾走を続けたいなら、【耐久力】判定(難易度10)に成功しなくてはならない。疾走する限り、毎ラウンド判定を行わねばならず、この判定の難易度は判定に成功するごとに1ずつ上昇していく。この判定に失敗したなら、疾走を止めなければならない。限界まで疾走したキャラクターは、1分間(10ラウンド)休憩をとらなければ、再び疾走することはできない。休憩している間、キャラクターは通常の移動アクションより早く移動することはできない。
君は移動困難な地形を疾走することはできない。また移動する先を見ることができない場合にも疾走は行えない。
疾走は負荷のない状態でのキャラクターで約時速13マイルの速度となる。
特殊能力の使用は通常1標準アクションである。しかしながら、中には全ラウンド・アクションを要するものもあり、それは個々の能力ごとに定義されている。
近接戦闘からの撤退は1回の全ラウンド・アクションである。撤退する場合、君は自らの移動速度の2倍までの距離を移動できる。君が移動を開始したマス目は、君が見ることのできるいかなる敵からも機会攻撃範囲内に収められていないものと見なされる。そのため、君がそのマス目から移動して出る際には、可視状態の敵は君に対して機会攻撃を得ない。不可視状態の敵は君に対して機会攻撃を得る。君は盲目状態にある場合、戦闘からの撤退を行えない。君は撤退を行うのと同じラウンドには5フィート・ステップを行うことができない。
撤退の過程において、君が機会攻撃範囲内にあるマス目(君が移動を開始したマス目以外のもの)から移動して出たなら、敵は通常通りに機会攻撃を得る。
君は専用の移動速度が記載されていない移動形態を用いて撤退を行うことはできない。
アクションの名称は“撤退”であるが、君がこれによって完全に戦闘から逃れ去ることができるわけではないのに注意。
行動の制限と撤退:君が各ラウンドに1回の標準アクションだけしか行えないような制限を受けていた場合には、1回の標準アクションとして撤退を行うことができる。この場合、君は最大で自らの移動速度分の移動を行える。
フリー・アクションにはいっさい所要時間がないが、君が1ターンに行うことのできる回数に制限があるかもしれない。フリー・アクションはめったに機会攻撃を誘発しない。以下によく用いられるフリー・アクションの例をいくつか挙げておく。
君は1回のフリー・アクションとして、稼働中の呪文1つの集中を中止することができる。
アイテムを1つ、君の接敵面か隣接するマス目に落とす行為は、1回のフリー・アクションである。
原則的に、何かを話す行為は1回のフリー・アクションであり、しかも君のターンでなくても行うことができる。1、2文ほどよりも多くの言葉を発する行為は原則として、1回のフリー・アクションの範疇を超えている。
即行アクションは非常に短い時間しか必要としないが、フリー・アクションに比べるとより多くの努力と精力を傾けなければならない。君は1ターンにつき1回の即行アクションを、他のアクションを行う能力に影響を与えずに、行うことができる。この点において即行アクションはフリー・アクションに似ている。しかし君は、他にどんなアクションを行っているかにかかわらず、1ターンにつき1回の即行アクションしか行うことはできない。君は、通常であれば1回のフリー・アクションを許可されるようなときであればいつでも、1回の即行アクションを行うことができる。通常、即行アクションは呪文の発動、特技の起動、魔法のアイテムの起動が含まれる。
高速化した呪文(《呪文高速化》特技を参照)1つか、あるいは発動時間が“1フリー・アクション”もしくは“1即行アクション”の呪文1つを、1回の即行アクションとして発動することができる。特定の1ラウンドには、このような呪文を1つだけしか発動することができない。ただしこのような呪文は、通常の1ラウンドに1つという呪文の制限には数えられない。即行アクションとして呪文を発動する行為は、機会攻撃を誘発しない。
割り込みアクションは即行アクションに似ており、非常に短い時間しか必要としないが、フリー・アクションに比べるとより多くの努力と精力を傾けなければならない行為を表す。しかし即行アクションと異なり、割り込みアクションはいつでも――たとえ君のターン中でなくても――行うことができる。フェザー・フォール呪文の発動は割り込みアクションである。というのも、この呪文はいつでも発動できるからである。
君のターン中に割り込みアクションを使用するのであれば、それは即行アクションと同じであり、そのターンの即行アクションとして数える。君が1回の割り込みアクションを、君のターン中でない時に使用したならば、君は君の次のターンが終了した後でなければ、次の割り込みアクションや即行アクションを行うことができない。また君は、立ちすくみ状態にある間は割り込みアクションを使用することはできない。
以下のアクションは達成するために必要な時間が一定ではなかったり、そうでなければ、他のアクションよりも異なって働く。
君は他の種類の移動を一切行わないラウンドであれば、1回の5フィート・ステップを行うことができる。5フィート・ステップは決して機会攻撃を誘発しない。1ラウンドには2回以上の5フィート・ステップを行うことはできない。またそのラウンドにこれ以外で実際にいくばくかの距離を移動するのであれば、5フィート・ステップを行うことはできない。
君はそのラウンドに行う他のアクションの前、途中、あるいは後に5フィート・ステップを行うことができる。
君は、移動困難な地形や暗闇のために移動に支障があったりすると、5フィート・ステップを行うことはできない。移動速度が5フィート以下のクリーチャーは5フィート・ステップを行うことはできない。なぜなら、これほどまで遅いクリーチャーにとっては、5フィートの移動ですらも移動アクションを要するからである。
君は専用の移動速度が記載されていない移動形態を用いて5フィート・ステップを行うことはできない。
特技の中には戦闘において特殊なアクションを取ることを可能にするものがある。またそれ自体はアクションを必要としないものの、もともと行うことのできるなんらかの行為を試みる際に、何らかの利点を与えてくれるものがある。また戦闘ルール内で使用するためのものではない特技もある。個々の特技の説明を読めば、それらの特技に関して君が必要とする情報を得ることができる。
ほとんどの技能の使用は標準アクションであるが、中には移動アクションであるもの、全ラウンド・アクションであるもの、あるいはいずれとも異なるものなどがある。
個々の技能の説明文を読めば、その技能の行使にどんなアクションが必要なのか知ることができる。
ヒット・ポイントは君を殺すのがどれくらい大変かを示す値だ。君のキャラクターは、いくらヒット・ポイントを失おうとも、ヒット・ポイントが0以下に低下するまでは、行動に支障をきたさない。
致傷ダメージを受けてヒット・ポイントを失うというのが、キャラクターが負傷するもっとも一般的な方法である。
ヒット・ポイントが表しているもの:ヒット・ポイントはゲームの世界における2つの事象を表している:物理的に痛めつけられながら、それでも元気に動き続ける能力と、普通なら致命的な一撃を受けるところを、何とか軽い傷で済ませる能力である。
ヒット・ポイント・ダメージの効果:現在のヒット・ポイントが0以下になるまでは、ダメージは特に行動を阻害しない。0ヒット・ポイントでは、満身創痍状態となる。
ヒット・ポイントが-1以下になり、【耐久力】の負の値よりも大きいならば、気絶状態かつ瀕死状態となる。
ヒット・ポイントが負の【耐久力】の値以下となったなら、死亡状態である。
大規模ダメージ(選択ルール):1回の攻撃でヒット・ポイントの総量の半分(最小でも50ポイントのダメージ)かそれ以上の大量のダメージを受け、なおかつそれによって死亡しなかった場合、君は頑健セーヴ(難易度15)を行なう。このセーヴィング・スローに失敗したなら、現在のヒット・ポイントに拘らず死亡する。複数回攻撃によってヒット・ポイントの総量の半分かそれ以上のダメージを受けたとしても、各攻撃のダメージがどれもヒット・ポイントの総量の半分(最小でも50ポイントのダメージ)かそれ以上の値でなかったならば、大規模ダメージのルールは適用されない。
現在のヒット・ポイントがぴったり0に落ちたなら、満身創痍状態となる。
よろめき状態となり、各ラウンド、1回の移動アクションか1回の標準アクションしか行なうことはできない(どちらか片方だけであり、全ラウンド・アクションも行なえない)。移動アクションであればそれ以上自らの体を傷つける心配なしに行えるが、何らかの標準アクション(あるいはそれ以外であっても、なんらかの厳しいアクション)を行なえば、行なった後で1ポイントのダメージを受ける。この行動で自分のヒット・ポイントが上昇したのでない限り、行動後に現在のヒット・ポイントは-1になり、瀕死状態になる。
治療によってヒット・ポイントが1以上にまで上昇したのなら、まるでヒット・ポイントが0以下に落ちたことがないかのように、ふたたび完全に機能するようになる。
瀕死状態から回復した場合にも、満身創痍状態となる。この場合は回復の途上にあり、ヒット・ポイントが0より低い場合もあり得る(『容態安定状態のキャラクターと回復』を参照)。
キャラクターの現在のヒット・ポイントが-1以下になったが、【耐久力】の負の値よりも大きいならば、瀕死状態となる。
瀕死状態のキャラクターは即座に気絶状態となり、何らアクションを取ることはできない。
瀕死状態のキャラクターは各ラウンドの終了時に1ヒット・ポイントを失う。これはキャラクターが死亡状態となるか容態安定状態となるまで続く。
キャラクターの現在のヒット・ポイントが【耐久力】の負の値以下になるか、大規模ダメージを受けたなら、死亡状態となる。キャラクターは能力値ダメージや能力値吸収によって、【耐久力】が0に下がることによっても死亡する(『特殊能力』を参照)。
レイズ・デッドやリザレクションのような強力な魔法を使用することで、死亡したキャラクターを生き返らせることができる。詳しい内容については『魔法』項を参照のこと。
ヒット・ポイントが負の値にまで減少した(がまだ死亡状態にない)次のターンと、それ以降の各ターンに、【耐久力】判定(難易度10)を行なってキャラクターが容態安定化となったのかを決める。この判定には現在のヒット・ポイントの負の値に等しいペナルティを受ける。既に容態安定状態のキャラクターはこの判定を行う必要はない。ダイスの目が20であったならこの判定は自動的に成功する。判定に失敗したならば1ヒット・ポイントを失う。気絶状態や瀕死状態のキャラクターは、自分のアクションが発生するイニシアチブ・カウントを変更するような特殊なアクションを一切行うことができない。
アシッド・アローや出血効果のような持続ダメージを受けているキャラクターは、容態安定化するためのあらゆる【耐久力】判定に自動的に失敗する。このようなキャラクターは持続ダメージに加えて、ラウンドごとに1ヒット・ポイントを失う。
君は難易度15の〈治療〉判定に成功することにより、瀕死状態のキャラクターがそれ以上のヒット・ポイントを失わないようにすることができる。
なんらかの形の治癒によって瀕死状態のキャラクターが1ダメージでも癒されたなら、それ以上ヒット・ポイントを失わなくなり容態安定状態となる。
治癒によって瀕死状態のキャラクターのヒット・ポイントが0に上昇したなら、キャラクターは意識を取り戻し満身創痍状態となる。治癒によってヒット・ポイントが1以上にまで上昇したなら、まるでヒット・ポイントが0以下に落ちたことがないかのように、ふたたび完全に機能するようになる。呪文の使い手は、ヒット・ポイントが0未満になる以前に保持していた呪文発動能力を取り戻す。
容態安定状態のキャラクターは、手当を受けたり魔法的な治療を受けたのであればやがて意識を取り戻して自然にヒット・ポイントを回復する。しかしながら、手当をしてくれるものがいない場合には、いまだ命が危険にさらされており、死んでしまう場合もあり得る。
助けを借りた回復:手当を受けている瀕死状態のキャラクターが容態安定状態になった場合、1時間後に【耐久力】判定(難易度10)を行なう。成功したなら意識を取り戻す。この判定には現在のヒット・ポイントの負の値に等しいペナルティを受ける。意識を取り戻した、ヒット・ポイントが負の値のキャラクターは、満身創痍状態として扱う。意識が戻らなかったなら、1時間毎に意識を取り戻すための判定を繰り返す。ダイスの目が20であったならこの判定は自動的に成功する。たとえ気絶状態が続いていても、ヒット・ポイントは自然治癒する。ヒット・ポイントが1以上に回復した時点で、通常の状態に戻る。
助けを借りない回復:酷い傷を負ったキャラクターは放置されたならしばしば死亡にいたる。しかしながら、わずかだが自力で回復する可能性もある。そのようなキャラクターも助けを借りて回復を試みたものと同様に扱う。しかし、意識を取り戻すための【耐久力】判定に失敗するごとに1ヒット・ポイントを失う。この状態では自然治癒は起こらない。ひとたび意識を取り戻したなら、1日に一度、8時間の休息の後で【耐久力】判定(難易度10)を行い、成功すれば自然治癒が始まる。この判定にはヒット・ポイントの負の値に等しいペナルティを受ける。この判定に失敗すると1ヒット・ポイントを失うが、これにより気絶状態となることはない。ひとたびこの判定に成功したならば、自然治癒が始まり、それ以上ヒット・ポイントを失う危険はなくなる。
ダメージを受けた後、君は失ったヒット・ポイントを自然治癒や魔法の治癒によって回復することができる。いずれの場合でも、治癒によって通常の合計ヒット・ポイントを超える値になることはない。
自然治癒:1晩休息する(最低でも8時間の睡眠)ごとに、キャラクター・レベル1につき1ヒット・ポイント回復する。休息の途中で明らかな邪魔があれば、その晩は治癒しない。
きちんとベッドに入ってまる1昼夜休息すれば、キャラクター・レベルの2倍のヒット・ポイントを回復することができる。
魔法による治癒:様々な能力や呪文によりヒット・ポイントを回復することができる。
治癒の限界:失ったより大きな値のヒット・ポイントを回復することはできない。魔法の治癒は現在のヒット・ポイントを通常の合計ヒット・ポイントより高い値にすることはない。
能力値ダメージの治癒:一時的能力値ダメージは1晩の休息(8時間)につき、作用を受けている各能力値がすべて1ポイントずつ回復する。きちんとベッドに入ってまる1昼夜(24時間)休息すれば、作用を受けている能力値がすべて2ポイントずつ回復する。
効果としてキャラクターに一時的ヒット・ポイントを与えるものがある。一時的ヒット・ポイントは現在のヒット・ポイントに追加で加えられるものである。ダメージを受けたときには、初めに一時的ヒット・ポイントから減少させる。一時的ヒット・ポイントを超えたダメージは通常通り現在のヒット・ポイントに適用される。一時的ヒット・ポイントを与える効果が終了するか解呪されるかしたなら、残っていた一時的ヒット・ポイントは失われてしまう。一時的ヒット・ポイントに受けていたダメージが現在のヒット・ポイントに移されることはない。
失われた一時的ヒット・ポイントは、たとえ魔法を用いても、本物のヒット・ポイントのように回復させることはできない。
【耐久力】の上昇と現在のヒット・ポイント:たとえ一時的にでも、キャラクターの【耐久力】が上昇したなら、ヒット・ポイントは上昇する(有効ヒット・ポイント上昇として)。しかしこれは一時的ヒット・ポイントとは異なるものだ。これによって増えたヒット・ポイントは回復させられるし、一時的ヒット・ポイントのように本来のヒット・ポイントより先に失われることもない。
非致傷ダメージは命に危険を及ぼさない程度の損害をキャラクターに負わせる。通常ダメージとは異なり、非致傷ダメージは休息により速やかに回復する。
非致傷ダメージの与え方:ある種の攻撃は非致傷ダメージを与える。その他の効果、たとえば暑さや疲労もまた非致傷ダメージを与える。非致傷ダメージを受けたら、その合計を記録すること。決して非致傷ダメージで現在のヒット・ポイントを減らしてはならない。これは“本物の”ダメージではないのだ。代わりに、非致傷ダメージが現在のヒット・ポイントと同じになったら、君はよろめき状態(前述を参照)になってしまう。非致傷ダメージが現在のヒット・ポイントを超えたら、君は気絶状態になる。
致傷ダメージを与える武器で非致傷ダメージを与える:致傷ダメージを与える近接武器を用いて、代わりに非致傷ダメージを与えることができる。ただし、攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。
非致傷ダメージを与える武器で致傷ダメージを与える:非致傷ダメージを与える武器、例えば素手攻撃を用いて、代わりに致傷ダメージを与えることができる。ただし、攻撃ロールに-4のペナルティを受ける。
よろめき状態と気絶状態:受けた非致傷ダメージが現在のヒット・ポイントとちょうど同じになったら、君はよろめき状態になる。君はラウンドごとに1回の移動アクションか1回の標準アクションしかとれなくなる(これに加えて、フリー・アクション、割り込みアクション、及び即行アクションを取ることができる)。現在のヒット・ポイントが再び非致傷ダメージより大きくなれば、君はよろめき状態から回復する。
受けた非致傷ダメージが現在のヒット・ポイントより大きくなったら、君は気絶状態となる。気絶状態の間、君は無防備状態でもある。
気絶状態となった呪文の使い手は、気絶状態になる以前に持っていた呪文発動能力を保持し続けている。
非致傷ダメージが(現在のヒット・ポイントではなく)最大ヒット・ポイントに等しくなったなら、以降の非致傷ダメージは致傷ダメージとして扱われる。再生能力を持つクリーチャーには、このルールは適用されない。再生能力を持つクリーチャーが追加の非致傷ダメージを受けたとしても、単に気絶状態の時間が伸びるだけである。
非致傷ダメージの治癒:非致傷ダメージは、1時間毎にキャラクター・レベル1につき1ポイントずつ回復する。ヒット・ポイントへのダメージを回復する呪文や能力を使えば、ヒット・ポイントの回復と同ポイントの非致傷ダメージを一緒に除去できる。
ミニチュアは30mmスケール――つまり身長6フィート(約180cm)の人間のミニチュアが約30mmの大きさとなっている。バトル・グリッド上のマス目は1インチ(2.54mm)幅で、これが5フィート四方の範囲を表している。
移動速度は種族と着ている鎧(表:戦術移動速度を参照)によって決定される。鎧を着ていないときの移動速度を基本移動速度と呼ぶ。
負荷:宝物や、大量の装備、倒れた仲間などを運んでおり、負荷がかかっているキャラクターは通常より動きが遅くなる(『補足ルール』を参照)。
移動の支障:移動困難な地形、障害物、劣悪な視界などは移動の支障になることがある。
戦闘中の移動:一般的に言って、君は1ラウンドの間に(1回の移動アクションと1回の標準アクションを使って)移動速度分の移動を行った上で何かを行うことができる。
移動以外に何も行わないなら(つまりそのラウンドの君のアクションを両方とも移動速度分の移動を行なうのに費やしたら)、移動速度の2倍を移動できる。
そのラウンド全体を疾走に費やしたなら、移動速度の4倍(重装鎧を着ているなら、移動速度の3倍)を移動できる。1全ラウンドを要する行為を行うなら、1回の5フィート・ステップしか行えない。
移動速度へのボーナス:バーバリアンは移動速度に+10フィートのボーナスを得る(重装鎧を着ていない場合のみ)。経験を積んだモンクも移動速度が速い(防具を身につけていない場合のみ)。加えて、様々な呪文や魔法のアイテムがキャラクターの移動速度に作用する。常に、まずキャラクターの基本移動速度に修正値を適用してから、鎧や負荷による調整を行うこと。またキャラクターの移動速度に対して同種のボーナスが複数あっても累積はしない点に注意。
斜め方向:距離を数える際、斜め方向の最初の1回目は1マス分と数え、2回目は2マス分、3回目は1マス分、4回目は2マス分、と数えていく。
君は角を超えて斜めに移動することができない(たとえ5フィート・ステップを使用してもこれはできない)。君は敵を含め、クリーチャーを超えて斜めに移動することができる。
また君は穴のような通行不能な障害物を越えて斜めに移動することができる。
最も近いクリーチャー:特定の場所から最も近いマス目や最も近いクリーチャーを判断することが重要な場合に、もし2つ以上のマス目やクリーチャーが同じ距離にあったならば、ダイスをロールして、どちらが最も近いかをランダムに決定すること。
ほとんどの環境において、君はなにものにも占められていないマス目を難なく通り抜けることができる。移動困難な地形やいくつかの呪文の効果は、なにものにも占められていない空間を通る移動の邪魔となるかもしれない。
仲間:君は突撃を行なっていない限り、仲間のクリーチャーが占めているマス目を通過して移動することができる。仲間のクリーチャーが占めているマスを通過して移動する際、そのキャラクターは君に対して遮蔽を提供しない。
敵:君は敵が占めているマス目を通過して移動することはできない。ただし敵が無防備状態である場合は特にペナルティを受けることもなく通過できる。特に極めて大きいようないくつかのクリーチャーは、たとえ無防備状態であっても障害物となるかもしれない。この場合、通過する1マスごとに2マスと数える。
移動の終了:君は無防備状態にあるもの以外のクリーチャーが占めているマス目で移動を終了することはできない。
蹴散らし:君は移動の途中で敵が占めているマス目を通過しようと試みることができる(『蹴散らし』を参照)。
〈軽業〉:訓練を積んでいるキャラクターは、敵が占めているマス目を〈軽業〉技能を使用して通過しようと試みることができる(〈軽業〉技能を参照)。
非常に小さなクリーチャー:極小サイズ、微小サイズ、超小型サイズのいずれかであるクリーチャーは、他のものが占めているマス目に入ったり通過することができる。これを行う際には機会攻撃を誘発する。
サイズ分類が3段階以上大きいか小さいクリーチャーが占めているマス目:全てのクリーチャーは、自分よりもサイズ分類が3段階以上大きいクリーチャーの占めているマス目を通過することができる。
大きなクリーチャーは、自分よりもサイズ分類が3段階以上小さなクリーチャーの占めているマス目を通過することができる。他のクリーチャーが占めているマス目を通過する行為は、マス目を占めているクリーチャーの機会攻撃を誘発する。
特別な例外:クリーチャーの中にはこれらのルールを破るものもいる。あるマス目を完全に満たしているクリーチャーの占めているマス目を通過することは、〈軽業〉技能や類似した特殊能力を使用してさえできない。
絡み合った植物から瓦礫まで、移動を妨げる地形はいくつもある。
移動困難な地形:濃い下生え、でこぼこな床、急勾配の廊下などといった移動困難な地形は移動の支障になる。移動困難な地形は1マスで2マス分の移動と数える。移動困難なマス目に向けた斜め方向の移動は3マスと数える。移動困難な地形を通って疾走したり突撃を行うことはできない。
君が異なった種類の地形のある複数のマス目を占めている場合、占めているマス目にある最も移動困難な地形が許す速度での移動しか行えない。
飛行クリーチャーや非実体クリーチャーにとっては、移動困難な地形も移動の支障とはならない。
障害物:移動困難な地形と同様、障害物も移動の邪魔になる。障害物が移動を阻害するが完全に移動を阻むわけではない場合、障害物のあるマス目や、マス目とマス目の間にある障害物を、それぞれ2マス分の移動と数える。君はこの障害を超えるためのコストを、反対側にあるマス目に移動するのに必要なコストに加えて支払う。もし君が障害を超える分と反対側のマス目に移動する分を合わせただけの移動を行えないならば、君は障害を超えることはできない。障害物の中には、超えるのに技能判定を必要とするものもある。
一方で障害物の中には、移動を完全に遮るものもある。キャラクターは移動を遮る障害物を通過することはできない。
飛行クリーチャーや非実体クリーチャーはほとんどの障害物を避けることができる。
無理矢理入り込む:時として君は、君が占める接敵面よりも幅の狭い範囲に無理矢理入り込む必要がある。君は、君の通常の接敵面と比べて少なくとも半分の幅がある場所に“無理矢理入り込む”ことによって通過したり侵入することができる。狭い場所に対する通過や侵入は、1マスの移動を2マス分と数える。加えて狭い場所に無理矢理入り込んでいる間、君は攻撃ロールに-4のペナルティと、アーマー・クラスに-4のペナルティを受ける。
大型サイズのクリーチャー(通常は4マスの接敵面を占める)が1マス幅の場所に無理矢理入り込む場合、そのクリーチャーのミニチュアは合計2マスを占めるようになる。置き方としては、2つのマス目の間にある辺を中心とするように配置すること。より大きなクリーチャーに関しても、無理矢理入り込んでいる範囲の形と大きさに合わせて適宜中心を定めること。
クリーチャーは無理矢理入り込むことによって敵の横を通過することができるが、他のものが占めているマス目で移動を終えることはできない。
自分の接敵面の半分より幅の狭い場所に対し、無理矢理入り込むことによって通過したり侵入したりする場合には、〈脱出術〉判定が必要である。狭い場所に対し、〈脱出術〉を用いて無理矢理入り込むことによって通過したり侵入したりしている間は、攻撃を行うことができず、アーマー・クラスに-4のペナルティを被り、アーマー・クラスに対する【敏捷力】ボーナスを失う。
意図せずルール上許されない場所で移動を終える:ときとしてキャラクターは、静止することを許されない場所で移動を終えることがある。このような場合には、君のミニチュアを君が最後に占めていたルール上許された場所に置くか、あるいはそれより近い位置にルール上許される位置があるならば、そのうちで最も近い場所に置く。
2倍の移動コスト:なんらかの理由で移動に支障があるなら、通常、君の移動に要するコストは2倍になる。たとえば、移動困難な地形を通過する移動は1マスごとに2マスと数え、同様の地形を通過する斜め移動は3マスと数えられる(これは、通常なら斜め方向に2マス移動した場合と同じ値である)。
移動コストが2重に2倍となった場合には、1マスを4マスと数える(斜め方向の1マスは6マスと数える)。移動コストが3重に2倍となった場合には、マスを8マスと数える(斜め方向の1マスは12マスと数える)。これは2重に2倍になった場合には3倍になるというルールに対する例外である。
最低移動距離:移動にペナルティが課せられていようとも、君は1回の全ラウンド・アクションを用いて、好きな方向に5フィート(1マス)の移動を行うことができる。このルールを利用して通行不能な地形を通過して移動したり、全ての移動が禁止されているにも拘らず移動を行なったりすることはできない。この移動は通常通りに機会攻撃を誘発する(動く距離は同じでも、これは5フィート・ステップではない)。
ファイターの1マス目の移動は5フィート(1マス)のコストが必要になる。2マス目の移動もまた5フィートのコストがかかるが、3マス目の移動(2回目の斜め方向の移動)は10フィートのコストが必要となる。4マス目の移動で彼は移動困難な地形へと侵入したので、再び10フィートのコストを支払う。この時点で(#6)、ファイターは30フィートを移動し、1回の移動アクションを終了する。最後の1マスの移動は、斜め方向で移動困難な地形へ侵入するもので、これには15フィートのコストが必要である。ファイターはこの距離まで移動するために、このターンの標準アクションを消費しなければならない。
大型サイズのオーガの移動コストは合計20フィート(4マス)分の移動となる。オーガはこの位置では角を斜めに横切ることはできないため、ここに示すように角を回り込んで移動しなければならない。
1/2フィート |
0 | |
1フィート |
0 | |
2と1/2フィート |
0 | |
5フィート |
5フィート | |
5フィート |
5フィート | |
大型(立ち) |
10フィート |
10フィート |
大型(伏せ) |
10フィート |
5フィート |
超大型(立ち) |
15フィート |
15フィート |
超大型(伏せ) |
15フィート |
10フィート |
巨大(立ち) |
20フィート |
20フィート |
巨大(伏せ) |
20フィート |
15フィート |
超巨大(立ち) |
30フィート |
30フィート |
超巨大(伏せ) |
30フィート |
20フィート |
小型サイズより小さかったり中型サイズより大きなクリーチャーには、位置取りに関して特殊なルールが適用される。
超小型サイズ、微小サイズ、極小サイズのクリーチャー:非常に小さなクリーチャーの接敵面は1マスより小さい。これは、このようなクリーチャーは1つのマス目に2体以上入ることができるということである。超小型サイズのクリーチャーは一般的には2と1/2フィート幅の接敵面しか占めず、そのため1つのマス目に4体入ることができる。微小サイズであれば25体、極小サイズであれば100体のクリーチャーが1マスの中に入ることができる。接敵面が1マスより小さなクリーチャーは通常、生来の間合いが0フィートである。これは隣接するマス目に届かないことを意味する。こういったクリーチャーが近接攻撃を行うためには、敵のマス目に入り込まねばならない。これは敵から機会攻撃を誘発する。君は必要とあらば自身のマス目を攻撃することができるため、このような小さなクリーチャーを通常通りに攻撃することができる。こういった小さなクリーチャーは生来の間合いを持たないため、周囲のマス目を機会攻撃範囲に収めない。また、こういった小さなクリーチャーは挟撃を行なうこともできない。
大型サイズ、超大型サイズ、巨大サイズ、超巨大サイズのクリーチャー:非常に大きなクリーチャーは1マスより広い接敵面を占める。
接敵面が1マスより大きなクリーチャーは、一般に10フィート以上の生来の間合いを持っており、隣接するマス目にいない目標にも攻撃が届く。
間合いのある武器を使用する場合とは異なり、通常(5フィート)よりも長い生来の間合いを持つクリーチャーは、隣接するマス目も機会攻撃範囲内に収める。通常よりも長い生来の間合いを持つクリーチャーは、君が隣接していったならば、通常、君に対して機会攻撃を得る。なぜなら、君は攻撃を行う前に、そのクリーチャーの間合いに入り、その中で移動しなければならないからだ。君が5フィート・ステップを用いる場合はこの機会攻撃を避けられる。
大型サイズ以上のクリーチャーが間合いのある武器を使用した場合、生来の間合いの2倍までの距離に攻撃することができるが、生来の間合いの範囲に攻撃を行うことはできない。
防御側が |
||
---|---|---|
遮蔽の後ろにいる |
+4 |
+4 |
-2 1 |
- 21 | |
同左 | ||
-2 1 |
-2 1 | |
+0 2 |
+0 2 | |
+0 1 |
+0 1 | |
+0 |
+0 | |
-4 3 |
+0 3 | |
膝をついているか座っている |
-2 |
+2 |
-4 3 |
+0 3 | |
-4 |
+4 | |
狭い場所に無理矢理入り込んでいる |
-4 |
-4 |
-2 1 |
-2 1 |
様々な要素や状態が攻撃ロールに影響する。状況によって、攻撃ロールやアーマー・クラスにペナルティやボーナスを受けることがある。
目標が君の遠隔攻撃に対して遮蔽を得ているかどうかを判断するには、まず君のマス目の角の1つを選択すること。その角から目標のマス面のいずれかの角を結ぶ線が、どれか1本でも、効果線を遮ったり遮蔽を与えるようなマス目や辺を通過していたり、他のクリーチャーの占めるマス目を通過していたならば、目標は遮蔽を得る(アーマー・クラスに+4)。
隣接している敵に対して近接攻撃を行う場合には、君のマス目と目標のマス目をつなぐいずれかの線が壁(低い壁も含む)を通過していたならば、目標は遮蔽を得る。君と隣接していない敵に対して近接攻撃を行う場合(間合いの長い武器を使用する場合など)には、遠隔攻撃に関する遮蔽のルールを用いて遮蔽の有無を判断する。
低い障害物と遮蔽:低い障害物(君の身長の半分より高くない壁など)は遮蔽を提供するが、遮蔽を得ることができるのは壁から30フィート(6マス)以内にいるクリーチャーのみである。攻撃側の方が目標よりも障害物に近い位置にいるならば、攻撃側は遮蔽を無視することができる。
遮蔽と機会攻撃:君は、君に対して遮蔽を得ている敵に対しては、機会攻撃を行うことができない。
遮蔽と反応セーヴ:遮蔽は君に対し、反応セーヴに+2のボーナスを与える。これは、君から見て遮蔽の反対側を起点とするか、あるいは遮蔽の反対側で爆発した攻撃に対してのみ有効である。拡散効果は角を回り込んで広がることができ、結果この遮蔽ボーナスを無効化してしまう。
遮蔽と〈隠密〉判定:君は遮蔽を使用して〈隠密〉判定を行うことができる。遮蔽がない場合、通常君は〈隠密〉判定を行うために視認困難(後述の項を参照)を必要とする。
柔らかい遮蔽:敵味方問わず、クリーチャーは君に遠隔攻撃に対する遮蔽を提供し、アーマー・クラスに+4のボーナスを与える可能性がある。しかしながら、このような“柔らかい遮蔽”は反応セーヴへのボーナスを提供したり、〈隠密〉判定を可能にしてはくれない。
大きなクリーチャーと遮蔽:接敵面が5フィート(1マス)より大きなクリーチャーは、近接攻撃に対する遮蔽を判断する際、より小さなクリーチャーとはやや異なった方法で行う。こういったクリーチャーは、敵がそのクリーチャーの近接攻撃に対して遮蔽を得ているかを判断する際、占めているうちの好きな1マスを選んで使用することができる。同様に、こういったクリーチャーに対して近接攻撃を行う際、君はそのクリーチャーが占めているうちの好きな1マスを選んで、君の近接攻撃に対して遮蔽を得ているかどうかを判断することができる。
部分遮蔽:クリーチャーが遮蔽を得ているが見えている部分が半分を超えている場合、遮蔽が提供するボーナスはアーマー・クラスに+2、反応セーヴに+1に減少する。部分遮蔽の適用はGMの判断に従うこと。
完全遮蔽:君と目標との間に効果線が通っていない(君のマスから目標のマスに向けて、壁を通らない線を1本も引くことができない)場合、目標は君に対して完全遮蔽を得ているものと判断される。君は完全遮蔽を持つ目標に対して攻撃を行うことができない。
良好な遮蔽:ときとして、遮蔽はアーマー・クラスや反応セーヴに通常より大きなボーナスを与えることがある。たとえば、狭間窓から覗いている目標に対して攻撃を行う場合などがそれにあたる。こういった状況では、アーマー・クラスと反応セーヴのボーナスを2倍(アーマー・クラス+8、反応セーヴ+4)にしてもよい。このような良好な壁を得ているクリーチャーは、反応セーヴへのボーナスが適用できる攻撃に対し“身かわし強化”の利益を得る。加えて、良好な遮蔽は〈隠密〉に+10のボーナスを提供する。
#1:ファイターはオーガに隣接しており、彼が攻撃することを妨害するものはない。オーガはファイターに対して遮蔽を得ていない。
#2:ローグはオーガに隣接しているが、彼女の接敵面の角からオーガの接敵面の角を結ぶ線が壁を通過している。オーガは彼女からの近接攻撃に対して遮蔽を得ている。しかしオーガが攻撃する際、ローグはオーガからの遮蔽を得ていない。というのも、オーガは生来の間合いを持っているためである(そのため、オーガの攻撃は遠隔攻撃と同じように扱う)。
#3:クレリックは遠隔攻撃を行う。遮蔽について考える際、彼女の接敵面の角の1つを選ぶ。(オーガの接敵面と選択した角とを結ぶ)線のいくつかが固体の面を通るため、オーガは遮蔽を得ていると見なす。
#4:ソーサラーもまた遠隔攻撃を行う。しかし彼女の接敵面から引いた線は、彼女がオーガが半分を超えて見えていることを示している。これにより、オーガは(通常の遮蔽ではなく)部分遮蔽を得る。
目標が君の遠隔攻撃に対して視認困難を得ているかどうかを判断するには、まず君のマス目の角の1つを選択すること。その角から目標の接敵面のいずれかの角を結ぶ線が、どれか1本でも、視認困難を提供するようなマス目や境界線を通過していたならば、目標は視認困難を得る。
隣接する目標に対して近接攻撃を行う場合、目標の接敵面が、視認困難を与えるような効果の中に完全に入っていたならば、目標は視認困難を得る。君と隣接していない敵に対して近接攻撃を行う場合には、遠隔攻撃に関する視認困難のルールを用いて判断する。
加えて一部の魔法的効果は、攻撃側と防御側の間に視認困難が存在するかどうかに拘らず、あらゆる攻撃に対して視認困難を提供する。
視認困難失敗確率:防御側が視認困難だと、攻撃側がいったん攻撃を成功させても、20%の確率で視認困難により防御側に当たらない。攻撃側が攻撃を命中させたなら、防御側は打撃を受けるのを避けるために、失敗確率のd%をロールしなければならない。視認困難の状況が重なる場合、累積はしない。
視認困難と〈隠密〉判定:君は視認困難を利用して〈隠密〉判定を行うことができる。視認困難がない場合、通常君は〈隠密〉判定を行うために遮蔽を必要とする。
完全視認困難:君と目標の間に効果線が通っているが君が目標を視線にとらえていない場合、目標は君に対して完全視認困難を持っていると見なされる。君は完全視認困難を持つ相手を攻撃することはできないが、目標が占めていると見当をつけたマス目を攻撃することはできる。完全視認困難を持つ敵が占めるマスに対して行われた攻撃は成功しても、50%の失敗確率がある(通常の視認困難なら20%だが)。
君は完全視認困難を持つ敵に対しては、例えその敵が占めているマス目を1つまたは複数知っていたとしても、機会攻撃を行うことができない。
視認困難の無視:視認困難は常に有効というわけではない。たとえば、薄暗い範囲や暗闇は、暗視を持つ敵に対しては視認困難を提供しない。夜目を持つキャラクターであれば光源が同じでも通常のキャラクターより遠くまではっきりと見ることができるという点にも注意が必要だ。不可視状態は完全視認困難を与えるが、視覚を持つ敵は〈知覚〉判定を行って不可視状態のキャラクターのいる位置を知ることができる。不可視状態のキャラクターは〈隠密〉判定に、移動しているなら+20、移動していないなら+40のボーナスを得る(敵は君を見ることができないが、その他の視覚的な情報や聴覚から君のいる位置を推察することができるかもしれないのだ)。
視認困難を段階分けする:特定の状況がより重度の、あるいはより軽度の視認困難を提供するというルールにすることもできる。この場合、それに応じて失敗確率を調整する。
近接攻撃を行う際、攻撃対象が君の仲間によって機会攻撃範囲に収められており、その仲間が君から見て攻撃対象の反対側の辺もしくは角の先にいたならば、君は攻撃に+2の挟撃ボーナスを得る。
仲間である2人のキャラクターが特定の敵を挟んで挟撃しているかどうか判断に迷った場合、仲間である2体のクリーチャーの中心点をつなぐ想像上の線を引くこと。この線が敵の接敵面の2つの辺(そういった辺の端点を含む)を通過するなら、敵を挟撃している。
例外:挟撃を行なおうとするクリーチャーが複数のマスを占める場合、占めているマスのうちいずれかが挟撃の条件を満たしていれば、挟撃ボーナスを得られる。
攻撃側に対して挟撃ボーナスを与えてくれるのは、防御側を機会攻撃範囲に収めているクリーチャーのみである。
#1:ファイターとクレリックはオーガを挟撃している。彼らを線で結ぶと、その線はオーガの2つの向き合った辺を通過するからである。ファイターとクレリックは、オーガに対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。
#2:ローグはオーガを挟撃していない。彼女とファイター、彼女とクレリックとを結ぶ線は、いずれもオーガの向き合った辺を通過することはないからである。ローグはソーサラーと(挟撃を判断するために)線を結ぶことはできない。ソーサラーはオーガと隣接しておらず、またオーガを機会攻撃範囲内に収めてもいないからである。
#3:ゴブリンとオーガはソーサラーを挟撃している。彼らの間に引いた線はソーサラーのマスの向き合った辺を通過するからである。しかしオーガがソーサラーに届くような間合いを持っていないのならば、オーガとゴブリンは彼女を挟撃していない。
無防備状態の敵とは、縛られている状態、睡眠状態、麻痺状態、気絶状態など、とにかく君のなすがままな相手のことである。
通常攻撃:無防備状態のキャラクターは近接攻撃に対するアーマー・クラスに-4のペナルティを受ける。加えて、無防備状態のキャラクターの【敏捷力】は0となり、近接攻撃、遠隔攻撃に拘らず、アーマー・クラスに-5のペナルティを被る(合計すると、近接攻撃に-9、遠隔攻撃に-5のペナルティとなる)。無防備状態のキャラクターは立ちすくみ状態としても扱う。
とどめの一撃:1回の全ラウンド・アクションとして、近接武器を使用して無防備状態の敵にとどめの一撃を加えることができる。目標に隣接しているのなら、ボウやクロスボウも使うことができる。
攻撃は自動的に命中し、クリティカル・ヒットとなる。対象はダメージに耐えて生き残ったとしても、頑健セーヴ(難易度10+受けたダメージ)に成功しなければ死亡する。ローグはとどめの一撃を加える際、無防備状態の敵に急所攻撃の追加ダメージをも与える。
とどめの一撃を加える行為は、攻撃者を機会攻撃範囲内に収めている敵から機会攻撃を誘発する。
クリティカル・ヒットに完全耐性を持つクリーチャーに対してはとどめの一撃を行えない。君は完全視認困難を持つクリーチャーに対してもとどめの一撃を行なうことができるが、これには2回の連続した全ラウンド・アクションを要する(相手のいるマス目を当てた上で、1回目のアクションで敵を“見つけ”、2回目でとどめの一撃を行なう)。
このセクションでは、通常の攻撃、呪文の発動、クラスの能力の使用以外の、戦闘中に行う様々な行動について解説する。特殊攻撃には他のアクション(攻撃など)の一部であったり、機会攻撃として行えるものもある。
近接戦闘において、君は敵の気をそらしたり邪魔をすることで、仲間1人の攻撃か防御を手助けすることができる。もし君が、仲間の1人と近接戦闘を行なっている敵に対して近接攻撃を行える位置にいるなら、標準アクションを1回用いて仲間1人の援護を試みられる。アーマー・クラス10に対する近接攻撃ロールを1回行うこと。成功すれば、その仲間はその敵に対する次の攻撃に+2のボーナス、もしくはその敵から受ける次の攻撃に対してアーマー・クラスに+2のボーナスを得る(どちらにするかは君が決める)。ただしいずれの場合も、その“次の攻撃”が君の次のターンの開始時点より前に行われた場合に限る。複数のキャラクターが同じ仲間を援護することがあり、同様のボーナスは累積する。
このアクションは、他の方法で仲間1人を助けるためにも使用できる。たとえば、仲間が呪文の影響下にある場合や、他のキャラクターの技能判定を補助するという場合に使用できる。
突撃は特殊な全ラウンド・アクションであり、突撃をすれば、移動速度の2倍までの移動をしたうえで攻撃をすることができる。ただし、その際の移動には厳しい制約がある。
突撃における移動:移動は攻撃の後ではなく攻撃の前に行わなければならない。少なくとも10フィート(2マス)は移動せねばならず、最大で移動速度の2倍までの距離を移動できる。移動は指定した敵に向けて一直線に行わねばならない。この移動の距離が君の移動速度と同じかそれより短く、かつ君の基本攻撃ボーナスが+1以上ならば、君は突撃の際に武器を抜いてもよい。
敵までの経路は開けておらねばならず、何かによって移動が遅くなってはならない(移動困難な地形や障害物があってはならない)。君はその敵を攻撃することのできる最も近い場所に向けて移動しなければならない。その場所が何かによって占められていたり、何かでふさがれていた場合には突撃は行えない。突撃を行なうクリーチャーのスタート時の接敵面と移動先の接敵面を結ぶいずれかの線が、移動を阻むマス目や移動を遅くするマス目や、クリーチャー(仲間を含む)のいるマス目を通過していたなら、突撃は行えない。無防備状態の敵は突撃を妨げない。
君は自らのターンの開始時に敵を視線に捕らえていなかったならば、突撃することができない。
君は突撃を行うラウンドには5フィート・ステップを行なうことができない。
君が自らのターンに1回の標準アクションしか行えないような制限を受けている状況でも、突撃を行なうことはできる。ただし、その際の移動は君の移動速度分の距離までとなる(通常であれば移動速度の2倍まで)。また、この場合には《早抜き》特技がなければ武器を抜くことはできない。君がこの選択肢を使用できるのは、君のターンに1回の標準アクションしか行えないような制限を受けている場合のみである。
突撃時の攻撃:移動の後、1回の近接攻撃を行うことができる。君は攻撃ロールには+2のボーナスが得られるが、次の君のターンの開始までアーマー・クラスに-2のペナルティを被る。
突撃するキャラクターは突き飛ばしの試みにおける戦技判定に+2のボーナスを得る。
たとえ君が十分に高い基本攻撃ボーナスを持っていたり複数の武器を使用しているために追加攻撃を行うことができたとしても、突撃時には1回の攻撃しか行えない。
ランスと突撃攻撃:騎乗したキャラクターがランスを突撃に用いたなら、ランスは通常の2倍のダメージを与える。
突撃に対して待機した武器:スピア、トライデント、その他の刺突武器の中には、待機して(固定して)突撃してくるキャラクターに対して用いた場合、2倍のダメージを与えるものがある。
戦闘において、君は敵を妨害したり無力化するために、突き飛ばし、武器落とし、組みつき、蹴散らし、武器破壊、足払いといった技術を使おうと試みることができる。それらの技術はそれぞれに異なった結果をもたらすが、成否を決定する処理は、全て似通ったものを用いる。
戦技ボーナス:個々のキャラクターやクリーチャーは戦技ボーナスを有する。これは戦技を使用する技術を表す。戦技ボーナスは以下の式を使用して計算する:
超小型かそれより小さいサイズのクリーチャーは戦技ボーナスを計算する際、【筋力】修正値の代わりに【敏捷力】修正値を用いる。戦技ボーナスに付く“特別サイズ修正値”は以下の通り:極小-8、微小-4、超小型-2、小型-1、中型+0、大型+1、超大型+2、巨大+4、超巨大+8。特技や能力の中には、特定の戦技を使用する場合に戦技ボーナスにボーナスを与えるものがある。
戦技を使う:戦技を使用する際、君は試みる戦技に適したアクションを使用しなければならない。多くの戦技は攻撃アクションの一部、全力攻撃アクションの一部、機会攻撃の一部として(すなわち、近接攻撃を置き換えて)使用することができる。それ以外のものは特別なアクションを必要とする。特記ない限り、戦技の試みはその戦技の目標から機会攻撃を誘発する。その機会攻撃が命中したならば、君はそのダメージを通常通り受ける。そのダメージと等しいペナルティを戦技における攻撃ロールに被る。目標が動けない状態、気絶状態、その他対応できない状態であったなら、戦技は自動的に成功する(攻撃ロールにおいて、ダイスの目で20が出たかのように扱う)。目標が朦朧状態であったなら、戦技を試みる際の攻撃ロールに+4のボーナスを得る。
戦技を試みる際、通常の攻撃ボーナスの代わりに戦技ボーナスを攻撃ロールに加える。呪文、特技、その他の効果から現在攻撃ロールに得ているあらゆるボーナスをこの攻撃ロールに加えること。戦技に使用した武器や攻撃のボーナスを適用しなければならない。この戦技の難易度は目標の戦技防御値となる。戦技の試みは攻撃ロールであり、視認困難や通常攻撃ロールに適用されるペナルティも適用される。
戦技防御値:個々のキャラクターとクリーチャーは戦技防御値を持つ。これは戦技に抵抗する能力を表す。クリーチャーの戦技防御値は以下の式を使用して計算する:
戦技防御値に付く“特別サイズ修正値”は以下の通り:極小-8、微小-4、超小型-2、小型-1、中型+0、大型+1、超大型+2、巨大+4、超巨大+8。特技や能力の中には、特定の戦技に抵抗する場合に戦技防御値にボーナスを与えるものがある。また、アーマー・クラスに適用されるボーナスのうち、状況ボーナス、反発ボーナス、回避ボーナス、洞察ボーナス、幸運ボーナス、士気ボーナス、不浄ボーナス、清浄ボーナスが、戦技防御値に適用される。アーマー・クラスに適用されるあらゆるペナルティが戦技防御値にも適用される。立ちすくみ状態のクリーチャーは戦技防御値に【敏捷力】ボーナスを加えることができない。
成否の決定:攻撃ロールが目標の戦技防御値と等しいか上回ったなら、その戦技は成功し記載された効果を発揮する。戦技の中には突き飛ばしのように、攻撃ロールが目標の戦技防御値をどれだけ上回ったかによって成功にいくつかの段階があるものも存在する。戦技の試みで出目が20だった場合には常に成功となる(組みつきからの脱出は除く)。出目が1だった場合には常に失敗となる。
君は1回の近接攻撃を置き換えて敵に足払いを試みることができる。君は自分よりサイズ分類が1段階大きい敵か、それより小さい敵に対してしか足払いを行えない。《足払い強化》の特技か同様の能力を持っていなければ、足払いの試みは戦技の目標から機会攻撃を誘発する。
攻撃が目標の戦技防御値を上回ったなら、目標は伏せ状態となる。10以上の差で失敗したなら、君が代わりに伏せ状態となる。目標が3つ以上の脚を持っていたなら、2つを上回る脚1つごとに、戦技攻撃ロールの難易度に+2すること。粘体、脚のないクリーチャー、飛行しているクリーチャーなど、足払いされないクリーチャーもいる。
標準アクションとして、敵に組みついてその選択肢を制限しようと試みることができる。《組みつき強化》の特技や“つかみ”能力、あるいは同様の能力を持っていない限り、組みつきはその目標からの機会攻撃を誘発する。両方の手が空いていない人型生物が組みつきを試みる場合、戦技ロールに-4のペナルティを被る。成功したなら攻撃者と目標の双方が組みつき状態となる(Appendicesを参照)。隣接していない敵に対して組みつきに成功したなら、目標を隣接した何にも占められていない空間に移動させる(移動先として有効な何にも占められていない空間がない場合、組みつきは失敗する)。双方のクリーチャーが組みつき状態となるが、組みつきを開始したクリーチャーはフリー・アクションとして組みつきを解除して、攻撃側、防御側双方の組みつき状態を解くことができる。組みつきを解除しないなら、毎ラウンド、標準アクションとして、組みつき状態を維持するために判定を行わなければならない。目標が“組みつきから逃れよう”としていない場合、次のラウンド以降、組みつきを維持するための判定に+5の状況ボーナスを得る。判定に成功したならその組みつきを続けた上で以下のアクションから1つを(組みつきを持続するために使用した標準アクションの一部として)行なうことができる。
移動:君と目標を君の移動速度の半分まで移動することができる。移動の最後に目標を君に隣接したマスに配置すること。ウォール・オヴ・ファイアーや落とし穴の上といった危険な場所に敵を動かそうとするなら、目標は+4のボーナスを得てフリーで組みつきから逃れる試みを享受する。
ダメージを与える:君は目標に対し素手攻撃、肉体武器による攻撃、アーマー・スパイクや軽い武器や片手武器による攻撃と同等のダメージを与えることができる。このダメージは致傷ダメージでも非致傷ダメージでもよい。
押さえ込む:君は目標を押さえ込まれた状態(『状態』項を参照)にすることができる。目標を押さえ込んだとしても、君は組みつき状態のままだが、アーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスを失う。
縛り上げる:目標を押さえ込んでいるなら(あるいは目標が拘束状態や気絶状態なら)、君はロープを使用して目標を縛り上げることができる。これは押さえ込みの効果と同様だが、脱出のための難易度は(20+君の戦技ボーナス)となる(戦技防御値の代わりに戦技ボーナスを加える)。ロープで縛ったなら、以降のラウンドで押さえ込みを続けるための判定を行う必要はなくなる。目標と組みついている場合でもロープで縛りあげることは可能だが、戦技判定に-10のペナルティを受ける。もし束縛から脱出するための難易度が(20+戦技ボーナス)よりも高くなったなら、たとえダイスの目が20であったとしても、目標はその束縛から脱出することはできない。
君が組みつかれた場合:組みつかれたなら、君は標準アクションで戦技判定(難易度は相手の戦技防御値に等しく、機会攻撃は誘発しない)か〈脱出術〉判定(難易度は相手の戦技防御値に等しい)を行い、“組みつきから逃れよう”と試みることができる。この判定に成功したなら、君は組みつきから抜け出し通常通り行動することができる。あるいは、成功した際に、君が組みついた側となり、相手に組みつくことができる(相手は戦技判定を行わずに組みつきから脱出できなくなり、君は戦技判定を行わずに組みつきから脱出できるようになる)。組みつきから逃れたり組みつきを返そうと試みる代わりに、両手を必要としないアクションを行なうこともできる。両手を必要としないアクションとは、呪文の発動や、軽いか片手武器で間合い内にいるクリーチャー(君に組みついているクリーチャーも含む)への1回の攻撃または全力攻撃などである。更なる詳細については(『状態』項の)“組みつき状態”を参照すること。君が押さえ込まれた状態なら、君のアクションは非常に制限される。詳細については『状態』項の“押さえ込まれた状態”を参照すること。
複数のクリーチャー:複数のクリーチャーが1体の目標に組みつきを試みることができる。最初に組みつきを行なうクリーチャー1体だけが判定を行う。この判定には、組みつきを支援するクリーチャーごとに+2のボーナスを得られる(援護アクションを使用する)。複数のクリーチャーが組みつきから逃れる試みを支援することもできる。この場合も、支援するクリーチャーごとに+2のボーナスを戦技判定に得られる(援護アクションを使用する)。
君は移動の合間に使う標準アクションとして、あるいは突撃の一部として、目標を蹴散らし、目標の占めていたマスを通過しようと試みることができる。君は自分より1段階大きいかそれより小さいサイズの相手にのみ蹴散らしを行なうことができる。《蹴散らし強化》の特技や同様の能力を持っていないなら、蹴散らしはこの戦技の目標から機会攻撃を誘発する。蹴散らしの試みが失敗したなら、目標の前方(君が来た方向)の空間で移動を終了する。もし目標の前方が他のクリーチャーに占められていたなら、前方から最も近い何にも占められていない空間で移動を終了する。
目標を蹴散らそうと試みる際、目標は君を避け、攻撃を受けることなく君を通り抜けさせることを選択できる。目標が君を避けなかったなら、通常通り戦技判定を行う。戦技判定が成功したなら、君は目標の接敵面をすり抜けて移動する。戦技判定が目標の戦技防御値を5以上上回ったなら、君は目標の接敵面を通過し、目標を伏せ状態にする。目標が3つ以上の脚をもつ場合、2つを超える脚1つごとに、戦技攻撃ロールの難易度に+2すること。
突き飛ばしは1回の標準アクションとして行うか、突撃アクションの一部として、近接攻撃の代わりに行なうことができる。突き飛ばしを試みられるのは自分より1段階サイズの大きい相手までである。《突き飛ばし強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、突き飛ばしはその目標からの機会攻撃を誘発する。
攻撃が成功したなら、目標を5フィート押し戻す。攻撃ロールが目標の戦技防御値を5上回るごとに、5フィート押し戻す距離を追加できる。君が望むなら目標とともに移動できるが、通常の移動速度までしか移動できない。攻撃が失敗したなら、移動は目標の正面で終了する。
突き飛ばしにより移動された敵は、この移動により機会攻撃を誘発しない。しかし、君が《上級突き飛ばし》特技を持っているならば誘発する。君は突き飛ばしによってクリーチャーを固体や障害物で占められたマスに移動させることはできない。突き飛ばしの経路にすでに他のクリーチャーがいる場合、君は直ちにそのクリーチャーに対して戦技判定を行なわなければならない。この判定には(突き飛ばしの)最初から数えて追加で押すクリーチャーごとに-4のペナルティを受ける。成功したなら、君はそれらのクリーチャーを、より低い結果から計算される距離まで押し続けることができる。例えば、ファイターがゴブリンを15フィート押し、その5フィート後方に別のゴブリンがいたとする。ファイターは1体目のゴブリンを5フィート押した後で、2体目のゴブリンに対してもう一度戦技判定を行わねばならない。その結果、2体目のゴブリンを20フィート押すような結果だった場合、ファイターはゴブリン2体両方を10フィート(最初のゴブリンが合計で15フィート移動するため)押し続けることができる。
武器落としは近接攻撃の代わりに試みることができる。《武器落とし強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、武器落としはその目標からの機会攻撃を誘発する。素手攻撃による武器落としの試みは、攻撃に-4のペナルティを受ける。
攻撃が成功したなら、目標が手で持っているアイテムから1つを選択し(たとえそのアイテムが両手で保持されていたとしても)それを落とす。攻撃ロールの結果が目標の戦技防御値を10以上上回ったなら、目標がそれぞれの手で持っているアイテムを落とす(対象が2つを超える手を持っている場合でも、最大で2つまで)。攻撃が10以上の差で失敗したなら、君は武器落としの試みに使用していた武器を落とす。武器を使用せずに武器落としに成功したなら、落としたアイテムを自動的に君の手に保持してもよい。
君は1回の近接攻撃を置き換えて、攻撃アクションの一部として敵が所持しているか身につけているアイテム1つを破壊しようと試みることができる。《武器破壊強化》や同様の能力を持っていなければ、アイテムを破壊しようとする試みは戦技の目標から機会攻撃を誘発する。
攻撃が成功したなら、君は通常通りアイテムにダメージを与える。物体の硬度を超えたダメージが物体のヒット・ポイントを減少させる。ヒット・ポイントの総量がちょうど半分かそれより小さくなったなら、その物体は破損状態となる(『状態』項を参照)。君の与えるダメージが物体のヒット・ポイントを0以下まで減少させたなら、君はその物体を破壊することを選択できる。破壊することを選択しなければ、物体は1ヒット・ポイントだけ残った状態であり、依然として破損状態のままである。
フェイントは標準アクションである。フェイントを行なうためには〈はったり〉判定を行う。この判定の難易度は(10+目標の基本攻撃ボーナス+目標の【判断力】修正値)である。目標が〈真意看破〉技能を修得している場合、難易度は(10+〈真意看破〉ボーナス)と前述の難易度のいずれか高い方となる。成功すると、君が目標に行う次の近接攻撃において、目標はアーマー・クラスに【敏捷力】ボーナスを(もしあれば)加えることができない。この攻撃は次の君のターンまでに行なわれなければならない。
人型生物でないクリーチャーに対するフェイントは、-4のペナルティを受ける。【知力】が1か2の動物のクリーチャーに対しては、-8のペナルティを受ける。【知力】を持たないクリーチャーに対しては、フェイントを行なうことはできない。戦闘において、フェイントは機会攻撃を誘発しない。
フェイントを移動アクションで行う:《フェイント強化》の特技を持っているなら、フェイントの試みを移動アクションで行うことができる。
このルールは戦闘時に馬に乗る手段をまとめているが、グリフィンやドラゴンといった一般的でない乗騎についても適用できる。
戦闘時の乗騎:ホース、ポニー、ライディング・ドッグは戦闘用乗騎として訓練を受けている。戦闘騎乗の訓練(〈動物使い〉技能を参照)を受けていない乗騎は戦闘に恐れをなしてしまう。下馬するのでなければ、君はそうした乗騎を制御するためだけに、毎ラウンド、1回の移動アクションとして〈騎乗〉判定(難易度20)を行わねばならない。成功すれば、君はこの移動アクションの後に1回の標準アクションを取ることができる。失敗すれば、それは1回の全ラウンド・アクションだったと見なされる(つまり、君は自分の次のターンまでに他に何もすることができないということだ)。
乗騎は、君のイニシアチブに、君の指示に従って行動する。君は乗騎の移動速度で移動するが、乗騎は移動するために乗騎自体のアクションを用いる。
ホースは大型サイズのクリーチャーであり(ポニーは違う)、よって10フィート幅の接敵面を占める。処理を単純にするため、君は戦闘中、上記の接敵面を共有するものとする。
騎乗中の戦闘:〈騎乗〉判定(難易度5)に成功すれば、君は乗騎を膝で操ることができ、従って、騎乗中に両手を用いて攻撃したり防御したりすることができる。この判定は1回のフリー・アクションである。
君が自分の乗騎より小さな、徒歩のクリーチャーを攻撃する場合、君は高い位置にいることで、近接攻撃に+1のボーナスを得る。乗騎が5フィートを超えて移動する場合、君は1回の近接攻撃しか行うことができない。基本的に、君は攻撃する前に、乗騎が敵のところにたどり着くまで待たなければならないのだ。そのため全力攻撃を行なうことはできない。乗騎が全力で移動している場合でも、君は騎乗中に行う近接攻撃に関して何らペナルティを被らない。
君の乗騎が突撃するなら、君もまた突撃に付随するアーマー・クラスペナルティを被る。君が突撃の終了時に攻撃を行なうなら、君は突撃によって得られるボーナスを受ける。馬上で突撃する場合には、君はランスで2倍のダメージを与える(『突撃』を参照)。
君は乗騎が2倍移動を行なっている間に遠隔武器を使用することができるが、攻撃ロールには-4のペナルティを被る。君は乗騎が疾走(移動速度の4倍)している間に遠隔攻撃を使用することができるが、攻撃ロールには-8のペナルティを被る。どちらの場合も、君は乗騎が移動の半分を完了した時点で攻撃ロールを行う。君は遠隔武器を用いて、乗騎が移動している間に全力攻撃アクションを行なうこともできる。同様に、君は通常通り移動アクションを行なうことができる。
騎乗中の呪文発動:乗騎が君の発動の前か後のどちらかに通常の移動(移動速度)までの距離を移動する場合、君は通常通り呪文を発動することができる。乗騎を呪文発動の前と後の両方で移動させるなら、君は乗騎の移動中に呪文を発動することになり、激しい揺れのため精神集中判定(難易度10+呪文レベル)を行なわねばならず、失敗するとその呪文を失う。乗騎が疾走(移動速度の4倍)しているなら、君は乗騎が移動速度の2倍を移動した時点で呪文を発動することができるが、非常に激しい揺れのために精神集中判定はさらに難しくなる(難易度15+呪文レベル)。
戦闘中に乗騎が倒れた場合:君が騎乗している間に乗騎が倒れた場合、君は軟着陸するために〈騎乗〉判定(難易度15)を行なわねばならない。この判定に失敗すると、1d6ポイントのダメージを被る。
君が倒れた場合:君が気絶した場合、君は50%の確率で鞍の上に留まる(軍用鞍に乗っているなら75%)。留まれなければ君は落下し、1d6ポイントのダメージを受ける。君が操らなくなれば、その乗騎は戦闘を避ける。
飛散武器は命中によって壊れ、内容物を目標とその周囲のクリーチャーや物体に飛び散らせ浴びせかける遠隔武器である。飛散武器による攻撃を行なう場合、目標に対して遠隔接触攻撃を行う。飛散武器は武器に対する習熟を必要としないため、-4の未習熟ペナルティを受けることはない。命中した場合には、目標に直撃ダメージを与え、目標から5フィート以内のすべてのクリーチャーに飛散ダメージを与える。目標が大型サイズかそれより大きい場合は、目標の占めるマスの1つを選択し、そのマスから5フィート以内のクリーチャーが飛散ダメージを受ける。飛散武器は精密さに依存した(ローグの急所攻撃のクラス特徴のような)ダメージを与えることはできない。
君はまたグリッドの特定の交差点を目標とすることもできる。これはアーマー・クラス5に対する遠隔接触攻撃として扱う。しかしながらグリッドの交差点を目標とした場合、隣接するマス目にいる全てのクリーチャーが飛散ダメージを受けるが、直撃ダメージを受けるクリーチャーはいなくなる。君は例えば大型サイズのクリーチャーが占めている交差点を目標とすることはできない。このような場合はクリーチャーを狙うこととなる。
目標を外したなら(それがクリーチャーであれ交差点であれ)、1d8をロールする。これによって、投擲がどの方向にそれたのかが決定される。1の目が君の方向に戻る方向で、2から8に向かって時計回りにグリッドの交差点か目標のクリーチャーを一周する。次にその投擲が射程単位の何倍の距離を狙っていたのかを調べ、決定された方向に向かってその倍数と同じ数のマス目を数える。武器の落下地点が決まったなら、そこに隣接する全てのクリーチャーに飛散ダメージを与える。
利き腕でない手で2つ目の武器を振るうなら、その武器で1ラウンドにつき1回の追加攻撃を行なうことができる。この方法で戦うなら、利き手での攻撃に-6のペナルティを受け、利き手でない手での攻撃に-10のペナルティを受ける。君はこのペナルティを以下の2つの方法で軽減することができる。1つ目の方法として、利き手でない手で使う武器が軽い武器なら、ペナルティはそれぞれ2ずつ軽減される。素手攻撃は常に軽い武器と見なされる。2つ目の方法として、《二刀流》の特技は利き手のペナルティを2、利き手でない手のペナルティを6軽減する。
これらの要素の影響は表:二刀流のペナルティにまとめている。
双頭武器:双頭武器を用いれば、まるで2つの武器で戦っているかのように1回の追加攻撃を行なうことができる。ペナルティは、利き手でない手で使う武器が軽い武器である場合と同じように適用される。
投擲武器:両方の手で1つずつ武器を投擲する場合にも、同様のルールが適用される。ダーツやシュリケンは、この方法で用いる場合、軽い武器として扱う。ボーラ、ジャヴェリン、ネット、スリングは片手武器として扱う。
条件 |
利き手 |
|
---|---|---|
-6 |
-10 | |
-4 |
-8 | |
-4 |
-4 | |
-2 |
-2 |
ここに挙げるのは、イニシアチブ順における位置を変更することによって、戦闘中に行動するタイミングを変更する方法である。
行動遅延を選択することにより、取りあえず何のアクションも行わず、自分の好きな段階のイニシアチブで行動できる。行動遅延を行なうなら、自発的に自分のイニシアチブの結果を下げる。これは残りの戦闘の間ずっと適用される。これより後、同じラウンドに、新しく決めた、より低いイニシアチブ・カウントが来たなら、その段階で通常どおりに行動できる。君はこの新しいイニシアチブ・カウントをあらかじめ宣言しておいてもいいし、ただ単にそのラウンド、好きなタイミングが来るまで待っていて、行動を行い、その段階で自分の新たなイニシアチブ・カウントの値を訂正してもかまわない。
成り行きを見守るために費やした時間を取り戻すことはできない。また、誰か他の人のアクションを中断させて割り込むことはできない(それには待機したアクションを用いる)。
行動遅延とイニシアチブの推移:君のイニシアチブ・カウントは遅延していたアクションを取った時のカウントに変更される。もし遅延していたアクションを行なわないままに、次にアクションを行なう機会が来てしまったならば、遅延アクションは行われなかったことになる(もう一度遅延アクションを取ることはできるが)。
遅延していたアクションをラウンドが終わった後、自分の本来のターンが来る前の時点で行ったなら、君のイニシアチブ・カウントは新たにその時点の値に上昇するが、もはやそのラウンドはアクションを行なうことはできない。
待機アクションは、何らかのアクションを準備しておき、自分のターンが終わってから、次の自分のターンが始まるまでの間のどこかで行うというものである。待機は機会攻撃を誘発しない標準アクションである(待機したアクション自体は機会攻撃を誘発するかもしれないが)。
アクションを待機させる:待機できるのは1回の標準アクション、1回の移動アクション、1回の即行アクション、1回のフリー・アクションのいずれかである。これを行なう場合、自分が行うアクションとそれを行なう条件を指定する。その後、君の次のアクションまでの間であればいつでも、指定した状況への対応として待機しておいたアクションを行なうことができる。このアクションは、引き金となったアクションより先に行われる。引き金となったアクションが他のクリーチャーの行動の一部であった場合、君はそのキャラクターの行動に割り込む。君が待機しておいたアクションを終えた後、割り込みをかけられたキャラクターがまだ残りのアクションを行なう能力を持っていたなら、そのアクションを再開する。君のイニシアチブ・カウントは変更される。残りの戦闘の間、君のイニシアチブ・カウントは待機しておいたアクションを行なったときのカウントとなり、君が待機していたアクションの引き金となったアクションを行なったキャラクターの直前に行動するようになる。
君は待機しておいたアクションの一部として5フィート・ステップを行なうことができるが、それは君がそのラウンド、それ以外に実際の距離を移動していない場合に限られる。
待機によるイニチアチブ・カウントの推移:君のイニシアチブ・カウントは、待機していたアクションを取ったときのカウントに変更される。もし待機していたアクションを行なわないままに、次にアクションを行なう機会が来てしまったならば、待機アクションは行わなかったことになる(もう1度同じ待機アクションを取ることはできるが)。待機していたアクションをラウンドが変わった後、自分の本来のターンが来る前の時点で行ったなら、君のイニシアチブは新たにその時点の値に上昇するが、もはやそのラウンドはアクションを行なうことができない。
呪文の使い手の精神集中を乱す:「彼女が呪文を発動し始めたら」という条件で、1人の呪文の使い手に対して1回の攻撃を待機させることができる。呪文の使い手にダメージを与えた場合、相手は発動させようとしていた呪文を失ってしまうかもしれない(精神集中判定の結果によって決まる)。
相殺呪文の待機:1人の呪文の使い手に対して相殺呪文を待機することができる(条件はしばしば「彼女が呪文を発動し始めたら」となる)。この場合、呪文の使い手が呪文の発動を開始した時点で、〈呪文学〉判定(難易度15+呪文レベル)により、その内容を識別する試みを行える。識別し、かつ同じ呪文を発動できる状態にある(呪文を準備するキャラクターの場合、準備をしており、発動できる状態にある)なら、その呪文を相殺呪文として発動して自動的に相手の呪文を打ち消すことができる。相殺呪文は片方が信仰呪文でもう一方が秘術呪文であっても問題なく行える。
呪文の使い手はディスペル・マジックを相殺呪文として使用することができるが、こちらは必ずうまくいくとは限らない。
突撃に対して武器を待機する:固定具の付いた武器を、突撃を迎え討つために待機することができる。このタイプの武器を待機しておいた場合、突撃するキャラクターに対して攻撃が命中したなら、2倍のダメージを与える。