立場と人気を操ることは人間社会におけるごく自然な活動の一部であり、高潔な十字軍の中であっても腹黒い貴族の社交界であっても何ら変わりはない。複雑に絡み合う忠誠心が策謀渦巻くキャンペーンの中心にあり、そこでは他者の失脚を狙い味方を増やすために謀略を練る者達が跋扈する。これらの謀略を再現するため、この節では2つの感化ルールを紹介する:1つは個人に対する感化、もう1つは組織に対する感化である。1つめのルールは、重要なNPCから支持を獲得また喪失する場面である社会遭遇のための応用の利く枠組みと、さらに恩義や義理を生み出す仕組みを提供する。2つ目のルールでは、PC達の行動が味方の組織内での勢力にどのような影響を及ぼすか、利害の反する組織に対してPC達の手管がどれほど通じるかを具現化する。
最も一般的な社会遭遇は〈威圧〉、〈交渉〉、〈はったり〉を含む1回のやり取りを必要とする。下記の感化ルールは、基本ルールのより強力な代替ルールとして機能する。また、このルールはパーティ全体を社会遭遇への参加を促進するものであり、複数のNPCとの遭遇に使用することもできる。個人に対する感化ルールでは、参加者は対象の意見や法廷でのひいき目などを、各個人固有の様々な判定に成功することにより、変更を試みる。感化判定と呼ばれるこれらの判定は通常は技能判定であるが、あるNPCの何らかの特性が著しく印象的であるなら(例えば酒を飲む能力や武人の勇敢さなど)他の種類の判定であっても構わない。
このルールでは、社会遭遇を1つ以上のフェーズに分割する。各フェーズの長さは長くも短くもあり、一般的には15分から1時間までである――この長さは、それぞれフェーズの最中に各PCが感化判定と関連の無い数分を要する行動(殺人現場の調査や秘密裏に暗殺者を倒すことなど)を、社会遭遇へ参加する機会を失うことなく行うのに充分な長さである。GMは、社会遭遇が何フェーズ続くか前もって決めておくべきであり、それはPC達が対象に感化を与えるたり、対象について学んだりする機会の回数を決めておく、ということである(一般的には2~6回)。またGMは、PCの行動が追加のフェーズを勝ち得るかどうかも決めておく方が良いだろう。例えば、女男爵を誘惑する、または女男爵の馬車を止めることは、いずれも彼女の好意を得るための追加のフェーズを獲得する可能性がある。
フェーズの開始時に、各PCは1人のNPCを選択する。各フェーズの間、PCは感化判定を用いてNPCに直接影響を与える、或いは察知判定(同一の社会遭遇内におけるその後の感化判定または察知判定を助けることができる、NPCについて学ぶ判定)を用いてそのNPCについてより多くの事を学ぶことを試みることができる。感化判定や察知判定で求められる判定の種類は、感化技能と呼ばれ、各個人特有のものである。PCはNPCの感化技能を察知判定(察知判定を参照)に成功することにより学ぶことができる; そうでなけば、推測しなければならない。
感化判定の適切な難易度はいくつかの要素によって決まる。下記の『表:標準的な感化難易度』に平均パーティ・レベルごとの基準となる難易度を示した。この難易度は対応するPCのグループにとって比較的簡単な値であり(特に、援護と察知の助けが使える場合)、一般的にNPCに対して最も効果的な技能に相応しい難易度である。典型的な判定難易度を決めるために、基準難易度に5を加える事; 困難な感化判定難易度を決めるには10を加えること。多くのPCが極めて高いボーナスを持つ技能(〈交渉〉や〈知覚〉など)の難易度は、均衡を得るため更に増加するべきだろう。感化されにくいNPCには、そのNPCの感化技能に一般的な難易度または困難な難易度を使用するか、場合によってはさらに高い難易度を使用する。
社会遭遇の最中に重要な出来事が発生した場合、その出来事の反応としてNPCの感化難易度を変更すべきか考慮する事。例えば、何者かが大変高価な宝が眠る秘密の宝物庫に社会遭遇の最中に侵入した場合、PCの犯行への関与を疑っている法に従うNPCを感化することは難しくなる。
平均パーティ・レベル |
基準難易度 |
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1 |
11 |
2 |
13 |
3 |
14 |
4 |
15 |
5 |
16 |
6 |
18 |
7 |
19 |
8 |
20 |
9 |
22 |
10 |
24 |
11 |
26 |
12 |
27 |
13 |
28 |
14 |
30 |
15 |
31 |
16 |
33 |
17 |
34 |
18 |
36 |
19 |
38 |
20 |
40 |
察知判定に挑むそれぞれのPCは、例え複数のPCが同じフェーズに同じNPCについての情報を察知しようとしている場合であっても、それぞれ個別にロールする。これはPC達がそれぞれ独立した意見と解明方法を持っていることを表している。
社会遭遇の開始時に、各PCは特に有名なNPCに覚えがあるか関連する〈知識〉判定を試みることができる(『個人に対する感化』の下部にある『察知と感化判定難易度』を参照)。いずれかのPCがNPCに対するこの判定に成功した場合、全てのPCはそのNPCを対象とする察知判定に+4のボーナスを得る。察知判定を行う前に、PCは対象NPCの『強さ』、『弱さ』、または感化するために使用可能な技能のうち、どれを知る試みを行うか選択する。それぞれの察知判定は、それぞれ必要な技能と難易度を持っている。PCが察知判定を試みることを選択した場合、GMはプレイヤーにそれぞれの察知判定に使用可能な技能の種類を伝え(もちろん難易度は教えない)、ぞれを試みるか選択させること。〈真意看破〉はしばしば察知技能として機能するが、それは一般的すぎて裁量の選択とはなり得ないだろう。察知判定が〈知識〉技能に依存する場合、それは現時点での観察を必要とするものであり、普遍的な知識ではない。
察知判定に成功したPCは、そのNPCを感化することができる技能のうち1つ(最も低い難易度の技能から始める)、そのNPCの『強み』を1つ、またはそのNPCの『弱み』を1つを知る。成功したPCが対象の難易度を5ポイント上回るごとに、追加の感化技能、強み、または弱みを1つ学ぶ。これにより、控え目ながらも観察力のあるキャラクターは今後の感化判定において味方に重要なボーナスを与えることができ(また重大なペナルティを回避する助けとなり)、脚光を浴びることを好むPCと同じようにグループの成功にとって重要な存在となる。
察知判定に成功していなければ、感化判定を試みるPCは、NPCの感化技能が何であるか推測しなければならない。PCは通常、相手のNPCに感化できない技能を使用する際は利益も不利益も得ないが、度重なる当て推量の失敗が相手を苛立たせ、今後のロールにペナルティを課しても構わない。感化判定の難易度を決める指針は『個人に対する感化』の下部にある『察知と感化判定難易度』を参照。
通常、PCが1人のNPCに影響を与えるには1回より多くの感化判定に成功しなければならない。何人のPCが同じNPCに話しかけたとしても、1つの判定だけが、そのフェーズにNPCに感化を与える試みを行うことができる。さらなる判定は最も達成値の高い判定に紐づく援護として扱う。感化判定が充分な余裕を持って成功した場合は追加の利益を得られる。5以上の値で感化判定に成功することにより、感化判定と察知判定に成功したものとして扱う(成功したPCは、NPCを感化する技能1つ、NPCの強み1つ、もしくはNPCの弱み1つのうちいずれかを、判定の前ではなくロール後に選択するが、その他の点では察知判定に成功した場合と同じように機能する)。感化判定に10以上の差で成功したPCは、感化判定の成功2回分の利益を得るか、感化判定と察知判定の利益を得るか(5以上の差で成功した場合と同じように)を選択することができる。
感化判定を大きな差で失敗すると、その後に対象を感化することが難しくなる。PCが5以上の差で感化判定を失敗すると、残りの社会遭遇の間、失敗したものと同じ技能を使用することができなくなる。感化判定を10以上の差で失敗したPCは、残りの社会遭遇の間は対象のNPCを感化することが全くできなくなる。例えば、対象のNPCの感化技能が〈交渉〉と〈知識:神秘学〉で会った場合、〈交渉〉判定に5以上の差で失敗したPCは、それでもそのNPCに対して〈知識:神秘学〉を用いて感化を試みることができる。この制限は援護についてはも適用される――10以上の差で失敗したPCは、パーティが失敗したPCからの援助を受け取ることができなくなるほど、対象のNPCの不興を買う。
PCは、5以上の差で成功しない限り、必ずしも感化判定が成功したかどうかを認識するわけではないが、対象のNPCに対する最大の感化を達成したときは常に理解する。NPCの中には、PC達に耳を貸すつもりが無くても、あたかも感化を受けたかのように振舞う者もいる。
GMはNPCに対する1回のフェーズの間に1人のNPCとやり取りできるPCの人数を制限したいこともあるだろう。どのみち、1人のNPCは一度にそうおおくない人数としか会話を続けることはできず、6人のキャラクターが周囲に群がれば、そのやり取りは意図せずとも脅迫と受け取られることだろう。一度にNPCとやり取りできるPCの人数を(他のPCが察知判定を試みたり、別のNPCに目を向けるなどをして)2~3人に絞ることにより、この社会遭遇の流れをキビキビと進める助けとなり、1人のPCに対して過度に脚光を浴びせてしまうこと防ぐことに繋がる。
PC達が所定の回数の感化判定を成功させた場合、対象のNPCに影響を与えることで、ある事柄についての考えを変えさせる、好意を獲得する、またはなんらかの利益を得たり、障害が取り除かれたりなどの結果を生み出す。
PCが事を進めるためにどNPCを感化する必要があるか理解している場合、PC達は感化の助けとなる情報を前もって調査することができ、社会遭遇の前に社会データ・ブロックの情報を獲得する可能性がある。このような準備の結果を表現するには、各PCは1回の〈知識〉に基づく察知判定を-5のペナルティを持って前もって試みることができる。GMは他の察知技能を許可しても構わないが、PCが積極的にNPCに付きまとっているのでもない限り(これには〈変装〉や〈隠密〉判定が追加で必要となり不味い結果を誘引することとなるだろう)〈真意看破〉は決して成功することはないだろう。PCが特に有名なNPCに対し事前の察知判定を試みた場合、察知判定の〈知識〉判定に+4のボーナスを得る(『察知判定』を参照)。
有名なNPCを感化しようとしている者はPC達だけとは限らない。同じイベントに参加している対立するNPCのパーティは、PC達が目的を果たすための更なる障害となり得る。PC達または対立するパーティのいずれかが、あるNPCに対する影響力を勝ち得たなら(『感化の利益』を参照)、他方のグループはそのイベントの中ではこれ以上感化判定を試みることはできない。2つのグループが激しく対立している場合、片方のグループによる判定の成功は、もう一方のグループがそのNPCに対するその後の感化判定に累積する-2のペナルティを生じさせることなり、PCが行う戦略に変化をあたる可能性がある。例えば、PCがある特定のNPCと話している別のグループに気付いた場合、PC達はそのNPCに対する感化判定に挑む(対立グループを失敗させる)か、そのNPCをそのグループに明け渡し別のNPCに対する感化に注力するか決断を迫られることになる。
PCは重要なNPCの感化を得るため魔法による援助を使用することもできる。多くの場合、[精神作用]やその他の立ち入った呪文の発動は社会的には受け入れらないばかりか犯罪的でもあるため、そのような魔法を使用するPCには慎重な行動が求められる。PC(またはNPC)が呪文を発動する場合は常に、〈呪文学〉技能を持つNPCはその呪文の識別を試みる。魔法に疎いNPCであっても、そのような呪文はなんらかの損害、不自然な支配、もしくは利己的な目的を意図したものであると考えることが多い。社会的な状況において使用される最も一般的な魔法の系統は幻術、心術、占術である。
占術呪文は察知判定と同様の方法でPCの助けとなり得る。ディテクト・マジックとアイデンティファイのような呪文は稼働中の呪文や魔法のアイテムを明らかにする。NPCの合理的な手段をはるかに超えた呪文や魔法のアイテムは、そのNPCが隠そうとしていることや、そのNPCが考えている以上のことを明らかにする可能性がある。属性を感知する呪文は、何者かが持つ人並外れた強度のオーラや、予想外のオーラを見出す。ディテクト・ソウツのような他の占術呪文は、対象の精神を直接覗き込み、GMの慎重な判断により価値ある手掛かりを手に入れる可能性があり、それは察知判定の成功として扱われることが一般的である。
心術呪文とその効果は感化を増大する非常に効果的な手段であるが、これらの使用は危険を伴う。社会遭遇の最中に発動されたチャーム・パースンのような呪文は通常の呪文の効果の代わりに感化判定に+5の状況ボーナスを与えるが、それは対象がセーヴィング・スローに失敗し心術効果の影響下にあることに気付かずにすむ場合に限られる。より強力な心術呪文であるサジェスチョンのような呪文は、短い時間の間に限られた行動を強要し、その後終了するため、感化を得る目的では役に立たない。ギアス/クエストやドミネイト・パースンのような呪文はNPCに影響を与える必要性を取除く可能性があるが、対象のNPCに関わる多くの人々の目には魔法的な影響が明白である。人々は、彼らに心術魔法が使用されたことに気付いてもあまり反応しない。逮捕された場合の影響は幅広く、問題を起こしたPC個人がその社会遭遇において対象のNPCにそれ以上の感化判定の試みをできなくなることから、そのイベントではその後パーティの全員が対象のNPCに対する感化判定の試みを行えなくなることもあり、さらに最悪の場合はパーティがそのイベントから締め出される、または犯罪者として起訴されることまでさまざまである。
無害な幻覚――幻影の飾りを維持する魔法など――からある特定の個人を他の人物に見せかける呪文まで、幻術呪文は欺きに用いられる多種多様な手段となる。セーヴィング・スローの機会がある多くの幻術は、セーヴィング・スローを試みる前に、その幻術を注意深く検証するか、その幻術とやり取りを行う必要がある。感化ルールの文脈では、フェーズにおいてPCとNPCが最初に交流を持った時に、PCとNPCの両者はやり取りを交わす中で互いに相手を注意深く観察していると見なされるため、それぞれ他方に関連する幻術に対するセーヴィング・スローを行う。例えば、ドレスの見栄えを引き上げる(幻覚)は、最初のフェーズでの交流の中でセーヴィング・スローが発生するが、会話の中でそのドレスの話題が持ち上がらない限り、以降のフェーズでセーヴが要求されることは稀である。
NPCが欺いている場合、PCがNPCの本来の忠心を見出すことが不可能になる可能性がある――例え悪漢に繰り返し襲われる状況であっても、並外れたNPCの技能によりキャンペーン後期までNPCの欺瞞を暴くことができない可能性があるからである。〈知覚〉や〈真意看破〉判定はしばしば〈変装〉や〈はったり〉との対抗判定に用いられるが、時によっては他の技能が詐欺師を見破る手立てとして相応しいこともある。例えば、ある名家の貴族のふりをしている者が、その貴族が知っているべき事実を知らなかったことにより、誤って自らの嘘を暴露することもある。
またPC自信も秘密を守り欺きを行うことに関心があるだろう。PCは大規模な社会イベントにおいて同時に複数の人格を存在させることもあり得る。一般的に、すべての参加者はそれぞれ、最初に欺瞞に遭遇したときに〈真意看破〉や〈知覚〉判定を行い、イベントの中で新しい嘘や変装に出くわした場合にのみ別の判定を試みることができる。しかしながら、PCが主張を行う相手にとって疑わしく感じられる主張や行動を取る度に、近くにいる対立者はさらなる対抗判定を試みることができる。
一般的に、この感化ルールはPC達がおおよそ同じ目的を共有し、パーティは成功した感化判定数を共有していることを想定指定。とはいえ陰謀が展開するゲームでは普通ではない状況が展開されることもあり、食い違う目的で動くグループに、もしくは直接対立しないまでも互いに関連の無い目的で動くグループに別れる可能性がある。例えば、ヴァレロスとシーラは宮廷に仕えるNPC達を、隣国の死霊術女王に対抗する戦争への支持を得るため感化させたいが、キラとエズレンはその同じNPC達をキラが王女と結婚することへの支持を得るために感化させたい、ということもある。このような場合、それぞれのグループの成功感化判定数は別々に記録する; それぞれの目的が対立するのではなく無関係である場合、対立するグループの扱いとは異なり、片方のグループによるNPCに対する感化により、もう1方のグループの感化の機会が奪われることはない。
1回の遭遇では、多くの場合、目的は1人のNPCに特定の支持を振舞うよう説得することである。より長期的な社会的関係においては、PCはより大きな目的に向かって関係を構築する必要があるだろう。PCが感化ルールを使用してNPCに影響を与えるたびに(NPCの社会データ・ブロックに記載されている成功度を得る度に)、そのNPCに対する感化レベルが1段階上昇する。例えば、感化に3成功が必要なNPCにPCが知られていない場合、3成功を得た後、PCは対象の信頼をいくから勝ち得ることに成功し、PCの感化レベルは“影響力なし”から“弱い影響力”へと上昇する。通常、PCがまだ感化を与えていないNPCは、PCを見知らぬ者として扱う。
影響力なし/No Sway:NPCはPC達を見知らぬ者の集団として扱う。
弱い影響力/Minor Sway:NPCはPCに重大な資産の出費を伴わない小さな支持を果たす。このNPCは他の者にPCのことを好意的に話す。このNPCは、自分の目的と対立しない限り、PC達の計画を妨げない。
中程度の影響力/Moderate Sway:NPCは総合的に自分の利害に危険が及ばない限り、自分の資産を幾らか消費する必要のある、または時間を費やす必要のある支持をPCに与える。このNPCはPC達を使って仕事をするよう人々に積極的に勧める。NPCの計画がPCの目標と対立する場合、双方が受け入れられる対立の解決策を見つけるためPCとの連携を試みる。
強い影響力/Major Sway:NPCは、自身の地位や立場に重大な危険を及ぼし得る役割を担ってPCを支援し、場合によってはPC達の為に自らの安全を危険にさらす可能性もある。このNPCは例えそれが不評を買う行いであったとしてもPC達の支持を唱え、PCに敵対する者の妨害を行う。このNPCは、適切な代替案があるのであれば、PC達の計画を進めることを可能にするために自分の目標の実現を譲歩する。
PCがNPCにどれほどの影響力を与えていようとも、全ての支持が理にかなっているわけではない。例えば、クレリックに自身の神格を裏切るように頼むことは通常感化の範囲外である。同じように、高いレベルの感化を与えることはますます困難になって行くだろう; 感化のレベルが上昇する毎に判定の難易度と必要とする成功数は2づつ増加していく。一部のNPCが特定の遭遇においては感化を与えられないのと同じように、一部のNPCはPCと特に親しくなることはなく、PCは中程度の影響力、場合によってはそれより低い影響力までしか与えられないこともある。
GMはNPCの態度を変えるための〈交渉〉判定の代わりに感化ルールを使用することもできる。この場合、感化レベルを使用するのではなく、PCがNPCに影響を与えるたびに、NPCのPCに対する態度を1段階上昇させる。ほとんどのNPCは中立的、または非友好的が初期状態である。態度が中立的に満たないNPCは通常助力の依頼を断る。
キャラクターは、NPCに対する自分の影響レベルを上げるのではなく、敵の感化レベルを下げることを意図して感化判定を試みることができる。この種の感化判定における難易度は、そのNPCに対する敵の感化レベルに基づいている。妨害しようとするキャラクターが、そのNPCに対して弱い影響力を与えるいる場合はこの判定に+2のボーナスを、中程度の影響力を与えている場合は+4のボーナスを、そして強い影響力を与えている場合は+6のボーナスをこれらの判定に得る。NPCの感化レベルを妨害するには、敵がそのNPCの感化レベルを上げるために必要であろう成功数と同じ数の成功が必要となる。NPCの『強み』を知っている妨害を行うキャラクターは、その知識を、不都合な事柄が妨害対象の敵に帰するものであるとするために、その知識を使用することができる。この避難が真実である場合(もしくはNPCが真実であると信じている場合)、この妨害を行う者は敵の感化判定に対抗する感化判定に『強み』1つ毎に+2のボーナスを得る。
このルールは妨害を行う者と妨害しようとしている敵が概ね対等の立場にいる場合や、妨害する側がより高い感化レベルを持つ場合に適切である。遥かに信頼を得ている者の感化を台無しにしたいと願う妨害側、例えば女王に、側近の相談役が女王を裏切っていることを納得させようとするパーティなど、は最初に相談役の不義に対する相当の証拠を集めてこない限り信任厚い相談役の感化レベルを下げる試みができない、或いは、状況によってはその相談役の感化レベルを全く下げることができないかのどちらかになるであろう。
例えば、メリシエルは市長に対する中程度の影響力を持っており、エズレンは市長に対する弱い影響力を持っているとしよう。エズレンが市長に対すて感化を行う〈交渉〉難易度は23、必要成功数は2、対するメリシエルが市長に感化するための〈交渉〉難易度は27、必要成功数3(現在の中程度の影響力から強い影響力に引き上げる事がより困難であることによる)である。メリシエルが市長に対するエズレンの感化レベルを『弱い影響力』から『影響なし』に引き下げることを望む場合、エズレンは信用するに値しないという説得力のある主張を行うために、メリシエルは『中程度の影響力』から得られる+4のボーナスを用いて、難易度23の〈交渉〉判定に2回成功する必要がある。この市長が信心深いことから、メリシエルはエズレンが信仰を蔑ろにしている事に気付かせることにより、さらに+2のボーナスを得る。その一方で、エズレンがメリシエルが持つ市長に対する感化レベルを下げたいと望む場合、『弱い影響力』から得られる+2のボーナスを持って、難易度27の〈交渉〉判定に3回成功しなければならない。
NPCとの連絡を保つ(そして、暫くの間毎に継続的に感化判定を行う)ことを怠れば、NPCに対するPCの感化は、その感化の性質に応じて時間と共に弱まる可能性がある。一般的に、感化レベルが高いほど、PCはより多くの取り組みに従事しなければならず、無関心による感化の低下はより速いものとなる。しかしながら、NPCがPCに深い恩義を感じたことにより、PCが強い影響力を獲得した場合、GMの裁量により、そのNPCが恩に報いたと感じない限り感化レベルが低下せず、これは時間の問題ではなく好意の問題となる。
社会遭遇にあたり、GMは重要なNPC達の社会データ・ブロックを構築する必要があるだろう。社会データ・ブロックの各項目は非常に柔軟であり、社会遭遇に関するあらゆる情報が含まれることになるが、ほとんどの場合は下記の項目が含まれている。下記に代表例を示す。
名前/Name このNPCの名前、属性、および確立しているクラス。
属従/Affiliation この項目にはNPCの忠誠が記載されている。
秘密の正体/Secret Identity NPCの中には秘密の正体を持つ者もいる。この項目には隠された正体を見抜くけるような技能判定はあまりないが(この場合、判定については記述がない)、NPCが変装しているか、別の名前を名乗っていたNPCに過去においてあったことがある場合などは真実を暴くために必要な技能がこの項目に記載されている。
背景/Background ここにはNPCの略歴とPCにどれほど関連するかが記載されている。
認知/Recognize ここには世評、噂、名声などを通してNPCを認知するために必要な判定が記載されている。
外観/Appearance ここには外見的特徴を含む、NPCの描写が記載されている。
紹介/Introduction この項目には、NPCがPCに対してどのように自分自身を紹介するかが記載されている(場合によっては、使いの者や共通の知合いがPC達にどのように紹介するか)。紹介は一般的にはこのNPCに対して感化に使用できる技能の手がかりを含むべきであり、有用であるなら、人柄に遭ったセリフを含めても構わない。
性格/Personality ここにはNPCの性格と物腰に関する短い説明か、NPCの振舞いを説明する形用の一覧が記載されている。社会遭遇に参加するNPCが多ければ多いほど、PCが迷わず進めて行けるようにするため、NPC達の違いを特徴付けることが重要性を増してくる。
目標/Goals ここにはNPCが公にしている目標が記載されている。
秘められた意図/Hidden Agenda 君のゲームが陰謀を主題とするのであれば、全てのNPCが自らの目標を公然としてしていることはまずないだろう。特定の秘密の目的は、『目標』項目ではなく、この項目に記載されている。
先入観/Biases NPCの中には先入観――遭遇に影響を与える微妙な心構え――を持つ者がいる。例えば、あるNPCはハーフオークを好意的にとらえ、エルフに対して疑念を抱いてる。NPCの先入観がPCに影響を与える場合、NPCの先入観がPCに対して好意的に働くか否かに応じてPCの感化判定に状況による+2、または-2の修正を加える。NPCがPCに対する強い好意や偏見を抱いている場合、この修正はさらに大きくなるが、このような強い先入観は容易に明らかになる。PCは難易度20の〈真意看破〉判定に成功することで“先入観”を見破ることができる。
技能とセーヴ/Skills and Saves NPCの技能の中には稀に適切な技能となり得るものもある。〈真意看破〉と〈知覚〉はほぼ必然である。NPCが何か重要な事をPCに隠しているのであれば、〈はったり〉と〈交渉〉も重要である。この項目には、イベントの最中に呪文の発動の発動が発生する場合、〈呪文学〉と、おそらくセーヴィング・スロー修正値が含まれるべきだろう; 意志セーヴィング・スローはチャーム・パースン やディテクト・ソウツ など謀略に関連する呪文にとって一般的なものとなる。
分析/Analyze ここに一覧してある判定に成功したPCは、NPCに感ができる技能または判定についての詳細を知ることができる。各文には1回の察知判定の成功により明らかになる情報を含むべきだ。
強み/Strengths NPCは特定の駆け引きについて特別な耐性を持つ場合がある; このような駆け引きはNPCの強みと呼ばれる。例えば、ゴマすりに全く我慢がならない人物は、誉め言葉を降り注ぐ相手に対して好意的にとらえることは少ないだろう。強みを察知するための技能と難易度はここに記載されている。NPCの強みを感化判定に組み込むPCは、判定に-4のペナルティを受ける。NPCの強みを知る事は、対象に対する感化を邪魔する他の誰かに対する強力な武器となる。
弱み/Weaknesses ほどんどのNPCは1つ以上の弱みを持っている。弱みは根深い秘密や不安な気持ちであったり、何日も続けて話し込んでしまうほどの趣味であったりする。これらの弱みを察知する技能と難易度がここに記載されている。PCが感化判定に各弱みを組合わせるごとに、累積する+2のボーナスを獲得する。
感化技能/Influence Skills 各感化判定の技能と難易度が記載されている。技能が記載されていない場合、通常であれば全く感化することができないが、プレイヤーがなぜその技能が有効であるか強力な理由を語ることが出来るのであれば、GMはこれを一覧に加えても構わない。〈交渉〉と〈はったり〉は使用可能な技能として記載されていることが一般的である。この技能一覧に〈交渉〉が含まれていない場合、その理由がNPCの『個性』に書かれていることだろう。例えば、世間話を強烈に嫌い、秘術の理論に関する話題以外では会話をしたくないNPCは〈交渉〉に応じることはないだろう。しかしながら、誰かを感化する技能として〈交渉〉が最適であることはまずない; 一般的にNPCを感化するための〈交渉〉判定の難易度は、そのNPCの個性に適合するか、NPCの興味に合致した技能を使用留守事に比べ高くなるものである。GMが社会遭遇を構築する際には、それぞれのPCが社会遭遇に貢献できる手段があるように、各PCが持つ技能を念頭に置くべきである。必ずしも全てのNPCが感化されるとは限らず、その場合は察知判定によりそのNPCに対して成功の見込みがないことが明らかになる。
必要成功数/Successes Needed このNPCの考えを変えるために必要なPCが成功しなければならない回数が記載されている。
願い/Favor このNPCは信頼した者に頼み事をするかもしれない。その場合、『願い』の簡単な説明と、記載された内容を完遂するの為にPCが行わねばならないことと、『願い』を達成した場合に得る利益を記載する。
出来事/Events ここには、このNPCが早めに社会遭遇を切上げることや、何者かが対象のNPCの邸宅に盗みに入った後にPCを疑うようになる、など、PCがNPCを感化する能力に影響を与える外的な出来事の詳細を記載する。
利益/Benefit この項目にはNPCに影響を与えた場合にPCが獲得するものの詳細を記載する。
不利益/Penalty この項目には、このNPCに反感を持たれたPCが失うものの詳細を記載する(反感を持たれる可能性がある場合)。
個人に対する感化は高額の競売や為政者に対する陳情活動、あるいは陥れられ収監されたPCを解き放つよう衛兵を説得する、等の場面に非常に適している。続く例は典型的な殺人事件における枠組みとして感化ルールを使用している。
組織に対する感化ルールは、組織内におけるPC達の社会的地位の高さを測る手段をGMに提供する。社会にその名を刻み込もうとしている小さな組織であれば、PC達は相当の影響力をその組織に与えられる可能性があるが、反面、組織が提供できる事には限界がある。一方、大きな組織では、一般的に感化することはより難しいが、広大な範囲に影響を与えるより強大な力をもたらすことができる。
組織に対する感化ルールでは、組織のPCに対する評価を測るために感化ポイントを使用する。ある組織にPCが始めて交流したとき、通常、0感化ポイントから開始し、PC達はその組織の行動を全く制御できない。PC達か組織に自らの価値を照明した場合、PC達は支持を得る能力の成長を表している感化ポイントを獲得する。PC達が度々失敗したり組織に逆らったりした場合、PC達は感化ポイントを失う(『感化ポイントの獲得と喪失』を参照)。ある組織に対するPC達の感化ポイントの合計は負の値になる可能性も――合計値が低いほど、組織はPC達に積極的に対抗するためにより多くの資源を費やそうとする。
PC達の感化ポイントは組織がPC達に助力するため、もしくはPC達を妨害するために持ち出す資産の量を決める助けとなるが、それだけが計算の元となる要素ではない。PCが組織と良好な関係を結ぼうとしている場合、特定の任務を達成するまで、彼らが得られる利益が制限されていることがある。例えば、多くの組織は構成員でない者に提供する資産の量を制限しているため、その利用権を得るには公式に参加する必要があるだろう。その一方で、PCと意見の異なる組織は、軽度の無礼を働くPCと、主要な活動の1つを麻痺させるPCに対して同じ対応をすべきではない。下記に示す9つの感化ランクは、PCがある組織との関係を根本的に変えるために達成するであろう任務を考慮したものである(例については表3-1『支持』の下部を参照)。新しい感化ランクに到達するには、GMが決定した一定数の感化ポイントを積み上げる(もしくは失う)必要があり、GMが設定したいくつかの必須任務を完遂しなければならない。各ランクにおける必要な感化ポイントの数の参考として、下記の『感化閾値』の補記を参照するように。利用可能な感化ランクとそれらの意味は下記を参照。
感化ランクを次の段階に1段階動かすのに必要な感化ポイントの量は、組織におけるPCの影響力がどれほど早く変わって行くかを決定する。感化閾値の設定における重要な要素は、キャンペーンの長さ、組織との関りを探求するプレイヤーの関心の深さ、そして組織自体の勢力と性質の3点である。一般的に短辺シナリオでは長いキャンペーンより低い閾値を必要とする。複数の組織に対してどれだけ早くPC達が強力な立場を得られるか知りたいと考えるプレイグループもあるが、一部には扱いにくい組織の中でゆっくりと感化を獲得したいと考えるグループもある。そして、キャンペーンの中では、弱い組織は強大な組織より速い速度でPC達が感化ランクを獲得できることが一般的である。
これらすべての要素を念頭に、キャラクターが正のランクを得るのに必要な感化ポイントの合計、あるいはキャラクターが負のランクに陥るに至る失う感化ポイントを決める際の指針として、下記の範囲をあげておく。これらの閾値は弱い勢力の組織に向けた者である。中程度の勢力の組織の場合、この数を2倍する。強い勢力の組織の場合はこの数を3倍し、傑出した勢力の組織に至ってはこの数を4倍する。組織勢力の決定に関する詳細は、『勢力』を参照のこと。
1ランク、または-1ランク:合計感化ポイント1~5。
2ランク、または-2ランク:合計感化ポイント3~8。
3ランク、または-3ランク:合計感化ポイント7~12。
4ランク、または-4ランク:合計感化ポイント13~18。
組織に対するPCの感化ランクは、PCについて耳にしたことのある構成員の標準的な開始時の態度を決定する。個々の構成員の開始時の態度はさまざまである。
敵と見なす(-1ランク):非友好的。
見覚えなし(0ランク):中立的。
味方と見なす(1ランク):友好的。
敬意、敬服、または崇拝(2ランク以上):協力的。
これらのランクでは、組織はPCについて関心がない、もしくは味方と見なしているかのどちらかである。
見覚えなし(0ランク):組織はPCが何者か知らない、もしくは自分たちに関係があるとは思っていない。
味方と見なす(1ランク):PCの行動は組織の目標に適合している事が確かめられている。1人以上のPCが低い地位の構成員である。
敬意(2ランク):PC達は組織に対して重要な貢献を果たしている。組織の地位の低い構成員のうちいくらかはPCを尊敬している。1人以上のPCが組織の優良な地位の構成員である。
敬服(3ランク):平均的な構成員はPC達に高い評価を覚える。低い地位の構成員のうち一部の者はPC達に強い忠誠を抱いている。PC達は組織の中で重要な地位に立っている。
崇拝(4ランク)/Revered:PC達は組織の公的な指導者ではないものの、主要な構成員である。PC達は組織の方針を決定することや指揮する事ができる。
敵と見なす(ランク-1):PCに対する組織の見解は否定的である。PC達が組織の活動に干渉しているのあればPC達に対抗するが、ほとんどの場合、組織は自身の目的のために焦点を合わせる。
嫌悪(ランク-2)/Disliked:PC達が積極的に自分たちの目的の邪魔をしていない時であっても、PC達に対抗するために幾ばくかの資産を投入し、PC達が対抗してきた場合は報復する。
憎悪(ランク-3)/Hated:組織はPC達の信用を落とそうとするか、恥辱を与えようとするか、もしくは殺そうとし、その為に相当な資産を投入する。しかしながら、組織は最終的にはPC達を害することより自らの力と安定を長期手に維持する事を優先する。
不倶戴天(ランク-4)/Hunted:組織はPC達の信用を落とそうとするか、恥辱を与えようとするか、もしくは殺そうとし、そのために自らを著しく弱体化させるほどの時間、資産、そして生命を必要なだけ率先して投入する。組織の首領であっても、PCを亡ぼすために自らの命を危険にさらす可能性がある。
組織に利益をもたらす任務をこなすことにより、PCは感化ポイントを獲得する。組織が求める要望を叶えることがその組織に対する感化ポイントを獲得する最も効果的な方法である。一般的な要望であれば、完遂のするのにどれほどの難しさと危険度があるかに基づいて、PCは2~5ポイントの感化ポイントを獲得する。詳細については『要望』の節を参照の事。また、組織の利益を促進するような行動をPC達が意図せず行った場合であっても、組織に対する感化ポイントを獲得することができる。このような行動であれば、PCは通常1~2感化ポイントを獲得する。例えば、PC達の金庫から盗みを働いている悪名高い宝石泥棒を逮捕した場合(地元の貴族達も被害に遭っている)、地元の貴族社会に対して感化ポイントを獲得する可能性がある。また、組織のメンバーとの信頼関係を構築することでも、PC達は影響力ポイントを獲得することができる。本節の冒頭で紹介した個人に対する感化ルールは、このNPCのPCに対する評価を向上させる事を目的とした遭遇を演出するのに適した方法の1つであり、176~181ページの舌戦ルールもその1つである。
PCが組織内のNPC1人から承認を得ることにより獲得できる組織に対する感化ポイントの数は、通常1~5ポイントの範囲である。組織の一般構成員を支援することは最大1感化ポイントであるが、組織の指導者を支援することは5感化ポイントに相当し、特殊な状況では、GMの裁量次第で、より多くの感化ポイントに相当する場合もある。
通常であれば、PC達が組織の影響力ポイントを積極的に失おうとする事はないだろう。しかし、キャンペーン中のPCの行動は、1つまたは複数の組織と対立する可能性があり、PC達は、敵対したくない組織に不用意に損害を与えてしまうこともあるだろう。PCが組織の利益を妨害する行動を積極的に行うと、組織に対する感化ポイントを2~5ポイント失う。PCが意図せず組織の利益に反する行動をとってしまった場合、1~2ポイントの感化ポイントを失う。PCが組織の要望を叶えようとして手ひどい失敗を冒した場合も、同様に1~2ポイントの感化ポイントを失うことになる。PCが有力な構成員の名誉や財産に損害を与えた場合、与えた損失の程度や、その人物の組織内での影響力に応じて、1~3ポイントの感化ポイントを失う。また、PC達が組織の有力な構成員に危害を加えた場合にも感化ポイントを失う。組織の構成員を殺害することは、感化を失うには著しく効果的な方法である。ほとんどの組織では、PCが組織の構成員を1人以上殺害すると、1件の事件につき少なくとも5点の感化ポイントを失う。特に、その組織がキャンペーンやストーリーの主要な敵対者である場合、さらにその組織が1人の人物によって率いられているのであればなおさら、GMは136~141ページの『宿敵』ルールを使用して、組織の感化ルールを補完することを検討してもよいだろう。
組織におけるPC達の評判にとって最も大きな打撃となるのは裏切りである。組織の反逆者であると見なされるためには、組織の基本理念に背き、組織の資源をその造反行為に使用しなければならない。PCを支持する組織がPC達を裏切り者であると確信すると、PC達は即座に現在の合計感化ポイントの2倍に相当する感化ポイントを失い、実質的にその組織に対する立場が正反対になる。一般的に、PCの感化ランクが高ければ高いほど、組織が裏切りの告発を信憑性があると判断するために必要とする証拠が多くなる。組織がPC達を裏切り者であると宣言した場合、PC達は自身の評判を回復させることは不可能ではない(難しくはあるが)。一般的に、PCの評判を回復させるには、中傷の証拠の出所を突き止め、証拠の信用を失墜させる必要がある。そうすることで、PCの元の合計感化ポイントが回復し、組織に対する真の脅威を暴いたことにより、組織からさらなる報酬が与えられる可能性が高いだろう。PC達が部分的な容疑しか晴らせないのであれば、感化ポイントは一部しか取り戻せないであろう。
PCと組織との交流は、往々にして複雑に絡み合った政治的な交流の一部に過ぎない。組織間の同盟関係や競合関係は、それぞれの組織がPCの行動に対してどのように反応するかを形作っている。2つの組織が競合している場合、一般的に、双方の組織はPC達にどちらかの側に付くのか選択を求める。一方の組織を指示することにより、もう一方の組織に対する感化ポイントを自動的に失う可能性がある。例えば、闘争中の、ある派閥に対する支持を表明し、その派閥に対する感化ポイントを獲得した場合、その派閥と競合する派閥の感化ポイントを得たポイントと同じ数だけ失う。それ程苛烈ではない状況では、失う感化ポイントが獲得したポイントの半分で済む場合もある。
組織間の競争により、忠誠を分割して維持することは困難であるが、複数の組織に対して忠誠を維持することは、1つの組織に忠誠を向けるよりも早く感化を獲得するのに役立ち、PCに追加で資産を得る機会を提供する。PCが同盟関係にある2つの組織の内いずれかに支援や損害を与えた場合、獲得する、または損失する感化ポイントの数を決定する目的において、その2つの関連組織の利益に叶う、もしくは反する行いを偶然に働いたものとして扱う。
キャンペーンの展開に伴い、組織間の同盟と競争の絡み合いは変化していくことになるだろう。急激な忠誠の変化は、PC達の合計感化ポイントに対する遡及的な調整を与えるものではない。
組織の勢力は、その組織が足場とする共同体や影響力のある地域における政治的な力と社会的な力を表している。勢力の度合は、弱小、中位、強大、傑出、に分けられる。一般に、弱小組織は、関心分野の限られた範囲内で簡単な支援しか提供できない。弱い組織の多くは、勢力を高めるために新しい構成員を積極的に獲得しようとしているが、外部からの注目が少ないことの価値を認めている組織もある。スリ団は弱小組織の一例である。一方、中位組織は、その地方の権力構造の間で一定の地位を占めており、他の地元組織との関係や接点を持っている。盗賊団は中位組織であることが多い。他方、強大組織は、その関心分野における権力構造の頂点である場合もあれば、地域的あるいは国家的規模で権力を保持するいくつかの組織の一つであることもある。多くの宗教的伝統を持つ国家における主神の大聖堂は、強大組織である可能性が高い。最後に、傑出組織は、広大な関心分野における権力構造の頂点に立っていると誰もが認める――国家の支配組織は傑出組織の一例であり、広範な地域の交易を実質的に支配している商人組合も同様である。
『要望と支持』は組織に対する感化ルールの中核を占めるものである。PC達がある組織の要望を叶えた場合、感化ポイントを獲得するか、見返りとして組織からの支持を取り付けることができる。PC達はその組織から利益を得るために獲得した支持を消費することができる。PC達は一定数のセッションもしくはキャンペーンに相応しい時間の経過を経て徐々に支持を獲得することができる。この速度は組織の振舞いを具現化する指針にもなる。
一般的に、この速度は、味方の組織がどれほどの頻度でPC達に依頼を持ち掛けてくるか、また敵対する組織がどれほどの頻度でPCに不利な行動を仕掛けてくるかを示す適切な基準となる。一般的に、組織が自分達に対する肯定的ランクを持つPCに対して利益を与える事を厭わないのであれば、その組織は対応する否定的ランクを持つPCに対抗する何者かに同様の利益を与える事を厭わない。
要望:時折、ある組織の要望を叶えるPCの任務が、キャンペーンのイベントから自然に発生することがある。しかしながら、またある時には、そのような任務がない時に、組織を積極的に支援しようすることもある。表3-1に掲載した28個の要望は、ほぼ全ての組織に適用可能な一般的なものである。表の上段に掲載しているいくつかの任務は地位の確立した構成員にとっては無価値であり、表の下部にあるいくつかの任務は新参の構成員にとっては身に余る任務である。この表を使用するには、d20をロールし、PC達の感化ランクを2倍したものを加えたものを結果として用いる。
利益:それぞれの組織は、PCの感化ランクに基づくPCに与えられる利益の固有の組合せを持っている。PC達は、既に獲得済みの支持を消費し、有効となっている利益の中から1つを獲得することができる。利益の一部は、PC達がその組織に対して充分な影響力を持つようになると代償を必要としなくなり、支持を消費することなく、その利益を使用することができるようになる(『組織のデータブロック』にある『利益』を参照)。
結果 |
要望 |
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1 |
組織の構成員に伝言を伝える。 |
2 |
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3 |
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組織の構成員に物資を購入し届ける。 |
5 |
組織の下位の特定の構成員の職務を1週間遂行する。 |
6 |
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組織の構成員同士の係争を調停する。 |
8 |
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組織に新しい構成員を勧誘し加入させせる。 |
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組織の新しい構成員の指導を行う。 |
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組織に関連する不謹慎な行為の証拠を隠蔽する。 |
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特別な利害関係を有する会議において組織を代表する。 |
28 |
組織の重要な構成員の職務を1週間遂行する。 |
基本的に組織に対する感化ルールは、PCが統一されたグループとして行動することを前提としており、PC達の正体や活動を隠すための特別な努力は必要ない。陰謀に基づくキャンペーンでは、この前提は必ずしも正確ではない。係争を解決するための極単純な種類の極秘作戦は、1つの秘密の要望である。PCがある組織の要望を叶え、その行動を隠蔽する場合、敵対組織のPCに対する感化ポイントは減少しない。PCは秘密の人格を用いて、係争中にある複数の側面を演じたり、場合によっては密偵として組織に侵入したりといった、より複雑な戦略を実行することができる。ある組織が、PCの敵対組織への侵入を知っている限り、その組織の構成員はPC達の忠誠心を信用し続ける; 通常、PC達が行った比較的軽度の敵対行動は、PC達が納得のいく正当性を提示する限り問題として取り合わない。
PCが秘密の人格を使用している場合、その策略を維持している限り、それぞれの人格に基づいて別々に感化ポイントを管理する。長期間に渡り2つの異なる人格 セットを長期間にわたって維持することは困難であるが、PCが慎重であるなら不可能ではない。それぞれの異なる人格が持つ共通の特徴――身体的特徴や癖から、装備、戦闘スタイル、仲間に至るまで――特徴が、正体を暴かれる脅威となる。PC達が2つの敵対する組織でPCが高い感化ランクを持つようになると、PCが捕捉される危険性は大幅に高まる。ヴィジランテのクラスは、複数の人格を維持するという課題に特に適している。
組織がPCが異なる2つの人格を保持していることを知った場合、その組織のPCの影響ポイントの合計が大幅に変化する可能性がある。PCの両方の人格が組織に適合する場合、PCの感化ポイントの合計は、両方の人格で獲得したポイントの合計と等しくなる可能性がある。逆に、PCの両方の人格が組織に反するものであった場合、PC達の感化ポイントの合計は、両者の合計に等しい負の数になる可能性がある。2つの値を合計する際、1つの行動を2回数えることがある――これは、組織がPC達の大儀に対する献身に敬意を表する、あるいはPC達の敵対的な専心に対する罵倒のどちらかを表している。しかし、ほとんどの場合、組織が両方の人格に対して好意的な評価を持っている場合であっても、感化の変更結果は、直接合計したものほど極端なものにはならないはずだ。PCが敵対する2つ組織で使用されている場合、『感化ポイントを失う』の最後の段落を参照し、裏切られた場合に組織がどのように対応するかの詳細を確認するように。
組織のデータブロックは次のように配置される。
属性と勢力/Alignment and Prominence:組織の属性は、その組織の理念と行動に最も近い属性である。個々の構成員の属性はあらゆる属性である可能性があるが、組織の主要なNPCは通常であれば組織全体の属性から1段階以内の属性である。組織の勢力は、弱小、中位、強大、傑出のいずれかである。勢力についての詳細は『勢力』を参照。
規模/規模:組織の規模は活動中の構成員のおおよその人数である。
主要構成員/Key Members:組織の主要構成員は表向きの指導者と重大な力を持つ影の策士の両方のことである。
価値観/Values:組織は構成員の特徴の幾つかを高く評価する可能性がある。例えば、創造性、寛容性、信頼性、特定の職務の技量、あるいは社会的地位など。
公的目標/Public Goals:殆どの秘密組織以外の組織は自分達の目標を一般民衆と共有している。
私的目標/Private Goals:組織全体の私的目標と主要構成員の私的目標の両方の事である。時折、主要構成員の私的目標は組織の私的目標とが矛盾する場合もある。
味方と敵/Allies and Enemies:組織は世間から隔絶した存在ではない。組織の主要な味方と敵はこの項目に記載される。PC達は組織の味方または敵の組織との関わり合いにより感化を獲得する、あるいは損失する可能性がある。
構成員必要条件/Membership Requirements:ほとんどの組織には、加入するための正式な手続きがあり、構成員に継続的な義務を満たす事(会費の支払い等)を期待する。
感化制限/Influence Limitations:しばしば、PC達は特定の閾値を超えて組織に対する感化を上昇させる前に、特定の任務を遂行しなければならないことがある。最も一般的な条件はPC達が組織に加わる事であるが、PC達を組織の信頼に値する仲間と認める前に、より困難な任務や要望を叶えることを要求する。
利益/Benefits:この節には、PC達の組織に対する感化ランクに基づいて宣言することができる""支持""が一覧されている。PC達は、常に、組織に対する現在のランク以下の有効となっている一覧から利益を選ぶことができ、GMの裁量により、PC達はより低いランクの利益を手に入れ""支持""の数を減らしても良く、また、PC達が妥当な回数だけその利益を要求する場合は、代償なく利益を使うことにしても良い。組織の活動拠点の外側からPC達が得られる利益を判断するには、GMはPC達の実質的な感化ランクを適切に減少させるべきであり、PC達が組織の手が全く届かないところにいる場合は最低の0まで下げるべきである。
新しい利益/New Benefits:この項目には『一般的な利益』に掲載されている利益以外の、組織から入手できる利益が掲載されている。
下記の利益は多くの組織のデータブロックに掲載されているものであり、それらはここで定義されている。
資産の借用/Barrow Resources:多くの組織は良好な状態の構成員に短期間、金銭やアイテムの借用を許可している。PC達は括弧内に書かれている合計金額までの金銭やアイテムを借用することができる。PC達が借用した物を期限内に返還しない場合、感化ポイントを失う危険性がある。一般的に、PC達が借用したものを変換していない場合、組織から資産の借用を行うことはできず、組織によっては担保となる物を要求してくる。組織は自分達の利害に関連するアイテムを持っている可能性が高い――例えば、傭兵部隊であれば武器や防具を貸し出すであろうが、聖印や秘術の書物は貸し出さないだろう。
チームを率いる/Command Team:PC達が組織において高い感化ランクに到達した場合、任務において組織は通常PC達に構成員のチームの指揮を任せられることになる。PC達には、このチームを保護し、構成員達を生還させる事を期待される。PC達はそれぞれの""支持""の項目に一覧されている規模と強度のチームを率いることができる。
情報収集/Gather Information:PC達は数人の組織の構成員に、特定の対象に対する情報収集の支援を依頼することができ、その情報収集における〈交渉〉判定に+4の乗騎用ボーナスを獲得することができる。
口添え/Put in a Good Word:この組織はPC達の評判を味方組織の間で高めている。PC達はこの組織に対する感化ランクに等しい感化ポイントを味方組織のうち1つの組織に対して獲得する。
利益の互恵/Reciprocal Benefits:この組織は、PCの利益のために、最も緊密な味方組織の1つとの繋がりを活用する。PC達は、2つの""支持""を消費することにより、緊密な味方組織の利益の一覧から利益を獲得することができる。PC達の味方組織に対する感化ランクは最初の組織に対するランクより1低いものとして扱う。
この節に掲載している組織の例は可能性のある感化の段階全てを網羅している。各GMにとって適切な組織は、キャンペーンに依存する。
ここには記載していないその他の組織のアイデアとしては、暗殺者組合、吟遊詩人会、商人組合、博物館、秘密結社、学院、などがある。
貪欲ジェニー/Greedy Jenny(秩序にして悪/女性、人間、1レベル・ソーサラー)
速指マーティン/Martin Quickfingers(混沌にして中立/男性、ハーフリング、2レベル・ローグ)
価値観 取るに足らないならず者達から成るチンピラ集団は、技量を示すものであれば誰でも加入を認める
公的目標 捕縛された場合、この犯罪者達は生きるのに必要なだけしか盗んでいないと主張する。
私的目標 マーティンは他の運に見捨てられた個人を成長しているこの組織に採り入れたいと考えているが、ジェニーは自分の利益のことしか頭にない。
味方 このチンピラ集団は地元の乞食達を味方につけており、乞食達は僅かな食料と衣服と引き換えに情報を提供してくれる。
敵 街の警備兵はこのコソ泥達の気配を嗅ぎつけていないが、彼らの仕業を知った場合は敵対することになるだろう。
構成員必要条件 PC達は20gp以上の価値のあるアイテムを盗んで来る必要があり、そのアイテムの半分の価値に相当する寄付をチンピラ集団に収めなければならない。
感化制限 1感化ランクに上昇させるには正式に、このコソ泥集団に加入する必要がある。PCが3ランクまで上昇した場合、マーティンはPCを気容易と見なし排除を試みる。マーティンを倒すことでPCはこの組織の指導者となり、PCは4ランクに上昇する。
利益 これらのちんけなコソ泥達は、お互いが生き延び利益を得るために助け合っている。
1ランク:資産の借用(10gp)、下調べ(+6)、見張り(1方向、+6)
2ランク:資産の借用(50gp)、陽動(+6)、情報収集、スリ(+8)、口添え
3ランク:資産の借用(250gp)、利益の互恵
4ランク:資産の借用(500gp)、チームを率いる(1d4人の1レベル・ローグ)
新しい利益 コソ泥集団は下記の特別な利益を提供する。
下調べ/Case:コソ泥集団は場所、警備兵の探し出し、隠れ場所、侵入場所の下調べを行う。このコソ泥達の合計〈知覚〉技能ボーナスは+6である。
陽動/Diversion:コソ泥集団は気が逸れる出来事を起こして、PC達が警備兵やその他の注目の眼から逃れられやすくする。このコソ泥集団の合計〈はったり〉技能ボーナスは+6である。
見張り/Lookout:コソ泥1人が見張りとして行動し、1つの方向を監視し近付く警備兵や目撃者の接近に備える。このコソ泥の合計〈知覚〉技能ボーナスは+6である。
スリ/Pickpocket:コソ泥1人が特定のアイテムを特定の人物からスリ盗る事を試みる。このコソ泥の合計〈手先の早業〉技能ボーナスは+8である。このコソ泥が状況が危険すぎると感じた場合、PCに伝え、この任務を試みることを拒否する――この場合、""支持""は消費されない。
頭目/Chief(秩序にして悪/男性、ハーフオーク、7レベル・レンジャー)
カルギーン/Kalgeen(秩序にして悪/女性、人間のワーラット、5レベル・ローグ)
価値観 この盗賊組合は構成員達に厳しい行動規範を強いており、常に互いが互いを監視し、他者の友人や身内から盗みを行うことは決してない。この組合は忠誠心と機知に重きを置いていてる。
公的目標 この組合は公的な目標を定めていない。
私的目標 この組合はさらなる区域に向けて縄張りを広げようとしている。
味方 この組合は、地元の商人集団を味方につけている。
敵 この盗賊組合は定期的に標的にしている組織や地元の警察機関との間に敵を作っている。
構成員必要条件 PC達は250gp以上の価値のあるアイテムを盗んで来る必要があり、そのアイテムの半分の価値に相当する額を盗賊組合に収めなければならない。
感化制限 PC達は、2ランクに上昇するには正式に加入しなければならない。4ランクに上昇するためには、PC達は複雑な強奪(118~129ページを参照)を遂行しなければならない。
利益 この盗賊組合は公然と活動出来るわけではないが、構成員達が稼ぎ先を見つけ出すのには役立つ。
1ランク:資産の借用(100gp)、下調べ(+10)、見張り(2方向、+10)
2ランク:資産の借用(500gp)、陽動(+10)、情報収集、スリ(+12)、口添え
3ランク:資産の借用(2,500gp)、利益の互恵、証拠除去、強盗、闇市場の捜索
4ランク:資産の借用(5,000gp)、チームを率いる(1d4人の3レベル・ローグ、または3d4人の1レベル・ローグ)
新しい利益 盗賊組合は下記の特別な利益を提供する。
下調べ/Case:前述のチンピラ集団の利益と同様だが、盗賊の合計〈知覚〉技能ボーナスは+10である。
陽動/Diversion:前述のチンピラ集団の利益と同様だが、盗賊の合計〈はったり〉技能ボーナスは+10である。
見張り/Lookout:2人の盗賊が2方向に対して見張りを行い、近付いて来る警備兵や目撃者に備える。この盗賊達の合計〈知覚〉技能ボーナスは+10である。
スリ/Pickpocket:前述のチンピラ集団の利益と同様だが、盗賊の合計〈手先の早業〉技能ボーナスは+12である。
証拠除去/Remove Evidence:盗賊のチームがPC達の犯行現場に入念に立ち入り、証拠を除去する。これにより、現場の犠牲者の遺体、PC達が残した注意を引くものなどの明確な証拠が除去され、残された微かな手がかりを見つけるために〈知覚〉の難易度が5上昇する。
強盗/Rob:窃盗団は、特定の物品を安全に守られた場所から盗み出すためにエージェントを派遣する。エージェントには、+10の合計〈隠密〉技能ボーナスと+12の合計〈装置無力化〉技能ボーナスを持つ。この利益には、伴う危険性に応じて1~3の""支持""を必要とする。この盗賊は、盗み出したアイテムの価値の半分の額の支払いを期待する。
闇市場の捜索/Search Black Market:盗賊組合は、居住地の基準価格以下のあらゆる種類のアイテムを、たとえそのアイテムがその居住地で違法なアイテムであったとしても見つけ出し、PC達が購入できるよう手配する。
大魔導師テオナ・テスリル/Archmage Theona Tethril(真なる中立/女性、人間、9レベル占術士)
護法の匠ファラリエル/Master of Wards Falariel(中立にして善/男性、エルフ、7レベル防御術士)
価値観 この魔術師組合は好奇心、創造性、および魔法の才能を尊重する。
公的目標 公の利益のため魔法の使用を統制する。
私的目標 この魔術師組合は、余りにも危険性が高いと判断した秘術の知識を探し出し、その情報を厳重に保護された秘密の書庫に保管する。『護法の匠』は書物を公の目に触れさせないよう守りを固めており、『大魔導師』はそれらの書物に掲載されている危険な知識を悪用する人々について学ぶためその書物を活用している。
味方 この魔術師組合は近隣のいくつかの大学や錬金術師会と良好な関係を結んでいる。
敵 この魔術師組合は冒涜的な知識を扱ういくつかの悪の狂信者団や他の組織と敵対している。
構成員必要条件 この魔術師組合に加入するには、PCは、1週間の組合の構成員に呪文を教える、または、魔術師組合の書庫にまだ収められていない呪文やいくらかの秘術の知識を魔術師組合に提供しなければならない。
感化制限 PC達が2ランクになるには魔術師組合に完全に加入していなければならない。
利益 この魔術師組合は構成員に教育と呪文発動を提供する。
1ランク:資産の借用(100gp)、呪文書庫(コア・ルールブックの呪文のみ)
2ランク:秘術書庫、資産の借用(750gp)、情報収集、アイテム作成、口添え、呪文書庫の呪文発動(1レベルと2レベル呪文)
3ランク:資産の借用(1,500gp)、利益の互恵、呪文発動(3レベルと4レベル呪文)
4ランク:資産の借用(4,000gp)、呪文発動(5レベル呪文)
新しい利益 魔術師組合は下記の特別な利益を提供する。
秘術書庫/Arcane Library:PC達は組合の書庫の閲覧を許され、PC達の現在の冒険に関連する秘密につい学ぶ可能性を得る(『秘術書庫』の調査を扱うには148~153ページ掲載の『調査』ルールを使用する事を推奨する)。
アイテム作成/Item Crafting:魔術師組合はPC達の注文に応じた、巻物、ポーション、あるいはその他の魔法のアイテムなどの作成を行う。このアイテムのコストは通常の市価に加え、アイテムの作成に必要な日数2日毎に支持1つである。
呪文書庫/Spell Library:この魔術師組合はPCに膨大な呪文書庫の使用権を与える。PC達はこの書庫から呪文を学ぶ事ができる。コア・ルールブック掲載の呪文のコストは支持1つ、その他の使用可能な呪文は支持2つである。
呪文発動/Spellcasting:PC達は、通常の呪文発動サービスの対価ではなく、支持を支払う。1~2レベル呪文のコストは支持1つ、3~4レベル呪文のコストは支持2つ、そして5レベル呪文のコストは支持3つである。コストと利用可能な呪文発動は魔術師組合の構成員のレベルにより異なる(この組合の場合、5レベル呪文は常に『大魔導師』により発動されるため、必然的にかなりの高額となる)。
レディ・アリクシス・ドラセイン/ライラ/Lady Alixis Drosain/Lyra(真なる中立/中立にして悪/女性、人間、12レベル・ヴィジランテ)
ニコラス・トリヴォイ/Nikolas Trivoy(真なる中立/男性、人間、7レベル・インヴェスティゲーター)
ウィスパー/Whisper(中立にして悪/女性、人間、10レベル・スレイヤー)
ザドレニ/Zadreni(真なる中立/男性、人間、9レベル・バード)
価値観 この犯罪者連合は技量と野心を重んずるが、思慮分別と忠誠心も重要とている。
公的目標 この犯罪者連合は、上質な商品と有益なサービスを提供し地域経済の発展を促すため、犯罪の管理と統制を公的目標に掲げている。
私的目標 全体的に、この犯罪者連合の構成員は富、権力、そして威信を求めている。ライラが組織の指導者であることは誰もが認めるところであるが、このヴィジランテは社交の人格であるレディ・ドラセインの下で一般市場すらも制御下に置くまで満足することはない。ニコラスはライラに対する疑念を次第に募らせており、ライラに対抗できる材料を念入りに探している。
味方 この犯罪者連合と同盟を結んでいることを公言する組織ほとんど存在しないが、多くの集団が闇取引で利益を得ている。
敵 この犯罪者連合はいくつかの近隣諸国の巨大組織と敵対しており、その中には隣国の王家も含まれている。
構成員必要条件 美術館所蔵の名画のような、この世に2つとなく存在の際立ったアイテムを盗み出す事。もしくは、非合法な副業務でPC達に月毎に100gpの純利益をもたらす、合法な事業を立ち上げる事。
感化制限 PC達が新しいランクへ上昇することを望む場合はいつも、前回の証明時をはるかに超える仕事をもって、自分達の価値を組織に認めさせなければならない。この犯罪者連合は、大量の構成員を抱えており、自分の価値を証明しようとしない者に時間を割くことはない。PC達は1ランクになる前に忠誠を誓う必要があり、2ランクに到達する前に正式な構成員にならなければならない。
利益 この犯罪者連合は、最も凶悪なものを除くすべての犯罪が招いた結果から構成員を守ることができる。
1ランク:資産の借用(100gp)、下調べ(+15)、陽動(+15)、情報収集、見張り(4方向、+15)
2ランク:資産の借用(1,000gp)、口添え、証拠除去、強盗、闇市場の捜索
3ランク:資産の借用(5,000gp)、チームを率いる(1d4体の3レベルNPC、または3d4体の1レベルNPC)、消去湮滅、市場操作、利益の互恵
4ランク:闇市場の支配者、資産の借用(15,000gp)、チームを率いる(1d4体の6レベルNPC、または5d4体の3レベルNPC)
新しい利益 犯罪者連合は下記の特別な利益を提供する。
闇市場の支配者/Black Market Mastery:この犯罪者連合はPCが求めるアイテムを探し、闇市場の隅々まで探し回る。組織は居住地の基準価格以下のあらゆる種類のアイテムを探し当てることができる。PC達は支持1つを消費する毎に居住地の基準価格以下のアイテム1つを探すために闇市場の支配者を使用することができる。そうする代わりに、支持3つを消費し、居住地の基準価格を超えるアイテム1つを探すために闇市場の支配者を使用することもできる。犯罪者連合が求められたアイテムを見つける可能性は1ヵ月毎に50%である。PC達が固有のアイテムを探している場合、支持2つを消費することにより、犯罪者連合がアイテムの在り処をPCに提供できる可能性もある。
下調べ/Case:チンピラ集団の利益と同じであるが、盗賊の合計〈知覚〉技能ボーナスは+15である。
証拠隠滅/Destroy Evidence:犯罪者連合は、PCが犯した犯罪の証拠を湮滅する。この能力は証拠除去と同様に機能するが(前述の盗賊組合を参照)、犯罪現場に残された証拠を発見する〈知覚〉判定の難易度は30に上昇する(もしくは10足したものと高い方)。さらに、犯罪者連合は、脅迫や贈賄、さらには記憶操作の魔法すらもを組合わせてPCに対する不利な目撃者の証言を妨げる。この利益は支持3つを消費する。
陽動/Diversion:チンピラ集団の利益と同じであるが、盗賊の合計〈はったり〉技能ボーナスは+15である。
見張り/Lookout:盗賊の一団が最大4方向に対して見張りを行い、近付いて来る警備兵や目撃者に備える。この盗賊達の合計〈知覚〉技能ボーナスは+15である。この能力は支持2つを消費する。そうする代わりに、PC達は盗賊組合に掲載している見張りの能力を支持1つの消費で使用することもできる。
市場操作/Market Manipulation:犯罪組織は市場の力を操作して、PCの敵対者を事業から追い出し、あらゆる商機がPCに転がり込むように誘導することができる。この能力は、市場操作の程度に応じて、PCに追加の金銭をもたらす。この追加利益は、PC達の事業の成否を決定するために使用しているルール(休息期間のルールなど)の成果を上昇させる形で得られる。PC達は消費する支持1つにつき、最大で1,000gp(最大5,000gp)を獲得することができる。
証拠除去/Remove Evidence:盗賊組合の利益と同様である。
強盗/Rob:盗賊組合の利益と同様である。
闇市場の捜索/Search Black Market:盗賊組合の利益と同様である。
アグナール将軍/General Agnar(秩序にして善/女性、ドワーフ、10レベル・ファイター)
ロルティアン将軍/General Rortian(秩序にして中立/男性、人間、12レベル・キャヴァリアー)
価値観 国軍は規律、鍛錬、忠誠心、貢献を重んじる。
公的目標 この軍隊の目標は自国の民を守ることであり、敵と戦うことである。
私的目標 ロルティアン将軍は、自国の領地を拡大する出征に乗り出し、自身の栄光を高めようとしている。
味方 この国の軍隊は国内の大多数の政治組織と良好な関係を築いている。同盟国の軍隊と正式に同盟している。
敵 国軍の敵は敵対国の政治組織と軍隊である。
構成員必要条件 軍に入隊するには、PC達は訓練を受け、命令に従う能力を証明する必要がある。
感化制限 殆どの軍隊では厳格な命令系統を維持している。PC達が軍隊内で感化ランクを上昇させるためには軍の階級を上げなければならない。
利益 この軍隊は、装備の整った高い練度の兵士を誇りにしている。
1ランク:武具調達(350gp)、資産の借用(100gp)
2ランク:武具調達(750gp)、資産の借用(750gp)、チームを率いる(1d4体の1レベル・ウォリアー)、情報収集、口添え、再教育
3ランク:武具調達(魔法)、資産の借用(2,500gp)、チームを率いる(5d4体の3レベル軍人NPC)、利益の互恵
4ランク:資産の借用(18,500gp)、軍団を率いる、チームを率いる(70ヒット・ダイス分のNPC、いずれも7レベル以下でなければならない)
新しい利益 この国軍は下記の特別な利益を提供する。
武具調達/Acquire Arms:国軍はPC達の為に自軍の武器庫から一般的な武器と装備を集めてくる。PC達は収集された装備を支持1つ、または標準的な市価で購入することができる。1ランクでは、集められた装備の合計額は350gp以下である。2ランクでは、集められた装備の価値は750gpに増加する。3ランクでは、PC達は支持2つを消費することで魔法の武器や防具を市価から10%差し引いた額で購入することができる。購入可能なアイテムを決定する際に、この軍隊は大都市として扱う。
軍団を率いる/Command Legion:国軍は支持1ポイントを消費する毎に1週間、PC達に中規模の軍隊の指揮権を与える。この軍隊はPC達に忠実な100人の2レベル・ファイターから編成される。PC達が国軍の目標を進めるためにこの部隊を使わないことが明らかであったり、兵士の命を軽んじたりした場合、PC達の感化ランクは3まで減少する。この兵士たちをPC達のレベルに相応しいダンジョンに連れて行くことは、無謀な危険行為とみなされる。
再教育/Retrain:軍の訓練官はPC達と共に訓練を行い、PC達がアーキタイプ、クラスの特徴、特技、または技能ランクを再訓練のルールに従い再訓練できるようにする。2ランクでは、1週間の訓練毎に再訓練のコストとして支持1つと標準的な金貨を消費する。3ランクでは、金貨のコストを軍が賄う。4ランクでは、PC達は再訓練における支持と金貨の消費を行わなくて良い。