パスファインダー協会は、知識を求めてゴラリオン世界中を旅するパスファインダーたちのゆるやかな結合からなる世界規模の大組織である。
パスファインダー協会の門戸は、職業、種族、信条を問わず、知識への情熱を持つ全ての者に対して開かれている。志願者が協会のルールを守り、十人委員会と直接の上司である冒険団長の権威を受け入れるならば、協会はその者の善悪を問わない。この、個々の構成員の採る手段に対する関心の無さが、協会がいくつかの国で歓迎されない主な理由である。
パスファインダーになることを志願する者は、アブサロムにある協会本部に赴かなければならない。そこで一団のパスファインダー(ほとんどは引退した者)によって適性を調べられ、おおよそ半分が合格し、新入者の誓い the Oath of the Initiate を行うことが許される。ここで不合格になった者も、興味を惹くような発見をしたり、アイテムを入手したりした場合は再度適性検査を受けることができる。
新入者は本部内の労役を行いながら、the Master of Swords、 the Master of Spells、the Master of Lore の三導師の下で厳しい訓練を受ける。いつでも去ることはできるが、その場合は二度と戻ることは許されない。3年(一部の才能または野心のあるものはもっと早く)の訓練期間の後、最終テスト Confirmation として、その者の最初の探索行が行われる。これを達成し、それに関する報告を作成すれば、一人前のパスファインダーとして認められることになる。試験に失敗した場合はもうパスファインダーになることはできないが、彼らは協会とある程度の繋がりを保ち、ここで受けた訓練を生かして多くは冒険者、交易商人、学者などになる。
パスファインダーと同等の発見をなした者は、協会に報告書を提出することで、新入者として受け入れられることがあり、Field Commission と呼ばれる。この場合、彼らの発見により最終テストに合格したものとみなされるが、協会本部で訓練を受けることは求められる。非常に稀な場合、歴史の流れを著しく変える様な業績を残した者は、十人委員会によって Field Commission に任命されることがあるが、この場合はあらゆる訓練、試験は免除される。
現地調査員 Field Operative は一般にパスファインダーと呼ばれている者であり、世界の秘密を求めて探索を行う。協会には公式な内規は無いが、全ての構成員が守るべき一般的な行為規定は存在し、それに対する違反は組織から追放される理由となる。
探索:パスファインダーは遠方の地を旅し、禁断の秘密を暴き、世界の歴史の秘密を繋ぎ合わせることで、知識を深め、協会の評価を高めるべし。
報告:冒険の途上、パスファインダーは自らの探索の詳細な記録、地図、功績を記録すべし。冒険が成功に終わった時、記録の写しを直接の上司である地域の冒険団長に送付し、完全に分析してもらう(多くの場合占術の使用を含む)。特に著しい探索はアブサロムと十人委員会に送付され、最もすばらしい物語を編集した、不定期に刊行されるパスファインダー年代記に掲載される。パスファインダー年代記は現地のパスファインダーに配布されるべく、冒険団長に送り返される。
協力:協会は構成員にいかなる道徳的義務も科さない。そのため、構成員は全ての種族、信条、動機に及ぶ。いついかなる時も、パスファインダーの拠点は宿を提供するだろう。シェリアックス人の魔物召喚師、アンドーラン人の自由の闘士、好古趣味の死霊術士、友好的な話好きのハーフリングに。外部ではどんなことも起こりうる(しばしば実際に起こる)が、拠点は不可侵であり、構成員はその境界内で争いをおこしてはならない。拠点の外であっても、パスファインダーはお互いの権利を尊重し、援助の手を差し伸べる以外はお互いの事情に関わりあうべきではない。長きに渡る伝統に基づき、パスファインダーは国同士の関係や個人的な忠誠、その他の理由の如何に関わらず、諍いが起こる前に話し合いを試みるべきである。
冒険団長は協会の管理職であり、支部を運営し、担当地域のパスファインダーたちに仕事を割り当て、十人委員会に地域の情報を送る。
協会の頂点に立ち、組織を導くのは秘密に包まれた十人委員会(the Decemvirate または The Ten)である。その言葉が協会の法であり、本人たちに気づかれないほど巧妙にパスファインダーたちを操る。仮面で顔を隠し、その正体はお互い同士ですら伏せられている。彼らがいつからその地位にいるのか、またどうやって選ばれたのかも不明である。また、彼らがパスファインダーによって大量の情報を集めている目的も、冒険団長たちにすらわからない。
パスファインダー協会の本部は内海地域最大の都市アブサロムに位置する。十人委員会が所在するスカイリーチとよばれる5つの塔からなる城砦が、訓練場や年代記の編集所、協会が蒐集した秘密やアイテムの展示場などの施設で取り囲まれている。
協会の支部はゴラリオン中の都市や辺境の地域に点在する。城砦から民家までさまざまで、典型的な支部と言うものは存在しない。支部には最低1冊のパスファインダー年代記と、その地域の情報の集積がある。支部の主たる目的はパスファインダーたちに支援を与えることであり、集会場、図書館、他の拠点に内々の連絡を行うことができる施設、ポーション、巻物、その他の一般アイテムを販売する店などを備え、治療や食料、情報などを提供する。
4307AR、アブサロムで冒険者たちの一団の互助団体としてパスファインダー協会が設立される。
4317AR、パスファインダー年代記第1巻が発刊される。ダーヴィン・ゲストのアズラント遺跡探索の物語は内海地域やそれを越えた全世界の読者の心を捉え、多くの冒険者志願者がアブサロムに殺到した。
4321AR、規模が拡大した組織を運営し、資金を管理するため、10人の志願した冒険者により十人委員会が設立される。
4333AR、最初の国外支部がネックスに建てられる。多少の緊張の後、支部も十人委員会の指揮下に入ることを認め、冒険団長制が生まれる。
4411AR、協会の指導方針を巡って争いが起きる。争いが鎮圧された後、十人委員会はその正体を伏せることで権力闘争をさけることにする。
4606AR、エイローデン死亡。その後の大混乱の中で、多くの立ち入りが禁止されていた場所が探索され、多くのアーティファクトや秘密が協会に保護される。
4621AR、繁栄する協会をその支配下におさめようと、アブサロム政府の軍勢が本部を包囲。12日に及ぶ攻防戦の末、余りの被害に攻撃軍は降伏した。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 194. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[1] Tim Hitchcock, et al.(2009). Seekers of Secrets. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-178-7