ガルト はアヴィスタン亜大陸の東端に位置する、自らを革命し続ける国である。
ガルトはかつて芸術家、詩人、自由思想の哲学者で知られる国であった。
4081AR、シェリアックスに支配された後も、その生への情熱は保たれていた。
4640AR、シェリアックスの支配権をスルーン家が握った後、詩人 Darl Jubannich はスルーン家の行状を理由に王権神授説を否定する「政府にて(On Government)」を出版し、哲学者 Hosetter は著作「帝国の裏切り(Imperial Betrayal)」で民衆を圧制に対して立ち上がらせた。蜂起は成功し、新たに設立された革命議会で、民衆の英雄 Jubannich と Hosetter が最初に行ったことは、反革命の徒を人道的に処刑するために、魔法による復活を不可能とし、悪の心を持つ者の魂が地獄におちてエネルギーとならないようにする魔法の断頭台 final blade を作ることだった。
5年に及ぶ恐怖政治ののち、革命議会は新たな革命によって打倒され、Hosetter はギロチンの露と消え、 Jubannich はアンドーランに亡命した。
以後40年間、ガルトは数年間の恐怖政治と、暴徒の蜂起による転覆というサイクルを繰り返している。
4708AR現在の革命議会議長 Korran Goss は才能ある扇動家である。先の革命政府である髑髏内閣の行状を暴いて権力を得た彼は、飢えと貧困に苦しむ暴徒の怒りを隣国アンドーランに反らすことに成功した。しかしガルトの政治は予測困難であり、1日後には次の指導者が権力を握っていても不思議ではない。
あらゆる組織的な軍隊も崩壊し、ガルト国内では山賊とモンスターが跋扈している。
政府の不安定さにも関わらず、ガルトには Gray Gardeners という信頼すべき勢力がある。灰色の絹のフードとヴェイルで顔を隠した彼らは、いかなる政府にも加わることなく、司法と処刑、final blade の管理を行っている。
アズアストーン Azurestone:ガルト最大の森林である猪森 Boarwood 北方の平原地帯にある、近隣に高さ数百フィートの天然の直立石があることで知られる町。ガルト東部の南の国境線である霧山脈 Fog Peaks のドワーフたちはこれをトラグが天空から投げ落とした槍だとみなしており、巡礼が絶えない。
ドレッド・ダンジョンズ Dread Dungeons:ガルトの南国境であるフォグ山脈 Fog Peaks にある、ドワーフの古代都市 Sky Citadel の遺跡に かつての革命政府の長 the Primarch
Bremovir が作った監獄。正確な位置は分っていない。その政府は例によって民衆蜂起で転覆したが、Bremovir はギロチンにかけられる前に財宝を抱えて監獄に逃れ、現在も忠実な護衛とデロの同盟者と共に立てこもっている。地下深くにはダークランドナル・ヴォスの、アヴィスタン第2のデロ居住地 Kmlin-Bru。[3]
エドム Edme:猪森北端にある、かつて Hosetter が教鞭を執っていた著名なトルヴィン大学 Torvin Academy(現在は監獄)があったアヴィスタンの文化の中心地だった街。この10年間近隣の平原地帯で飢饉が発生し、そのため犯罪が蔓延している。高名な義賊 the Red Raven の無辜の市民を守ろうとする努力にも関わらず、無法者の数は増える一方である。トルヴィン大学の医師である エルザベート・ラヴェンザ Erszebet Lavenza はネックスのオイノピオンで学んだ錬金術師であり、ギロチンで処刑された罪人の身体を使って革命議会に忠実なフレッシュ・ゴーレムの軍団 The Red Guardians を作ろうとしている。[4]
イサーン Isarn:東セレン河のほとりにあるガルトの首都。かつては内海地域で最も美しい建築物が立ち並んでいることで知られていたが、現在はかろうじて秩序を保っている血塗れの都市。
リトラン Litran:ホーラン平原 the Horun Plains で収穫された穀物を集積し、河川を通じて出荷する港湾都市。現在は Gray Gardeners の本部があり、ガルト国内で最も治安が安定している。
ウッズエッジ Woodsedge:ガルト西部の南の国境上にある ヴァーデュラン森 the Verduran Forest の北端にある独立心の強い都市。常にイサーンに対する反対勢力となっており、かつて Darl Jubannich を生み、現在も革命で没落した貴族や失脚した議員、無法者など革命の敵が多く集まる。パスファインダー協会支部がこの街にあり、そこにある生きている生け垣の迷宮 the Maze of Open Road には、内海地域各地やそれを越えた場所へのポータルが隠されているという。冒険団長 Eliza Petulengro は現地の権力を軽視し、また個人的な使用人として数人の没落貴族を雇っていることから、なんらかの衝突は避けられないと見られている。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 74. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 70. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
[3] James Jacobs and Greg A. Vaughan.(2008). Into the Darklands, p.5. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-140-4
[4] James Jacobs et al.(2010). Classic Horrors Revisited, p. 50. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-202-9
カテゴリー:内海地域