キャットフォークは先進的なものに滅多に飽きることのない、生まれながらの探求者の種族だ。先進的とは、遠い土地の新たな地平線を探索することに限定されるわけではない。多くのキャットフォークは個人的な成長や発達も意味のある探索の道と捉えている。ほとんどのキャットフォークは機敏で有能であり、しばしば活動的なクリーチャーだが、静かに熟慮し研究することに従事するキャットフォークもかなりの数存在する。そのようなものはかつての問題や疑問の新しい解決法を見つけることに興味を持つ。それが当時の固定化した思想上では間違いのないものであることさえある。彼らは生まれながら好奇心が強く、そのためキャットフォークの文化は知的好奇心を殺ぐようなことは決してなく、育て励ます。多くのキャットフォークは、他の種族の一員から見れば突拍子もない外交的なものだが、キャットフォーク部族の中ではちょっとした奇妙さや奇抜さ、無謀な行いは気にもされない。
ほとんど内面に専心するものを除き、キャットフォークは皆注目の的になることを楽しむ。しかしキャットフォークがその部族で生まれたのか、他のクリーチャーとの友好を結ぶ上で選ばれた部族であったにせよ、部族を犠牲にはしない。キャットフォークは気前がよく、家族や友人に誠意ある行いを示す。
身体的特徴:一般にキャットフォークはしなやかですらりとしている。背の高さはドワーフと人間の間くらい。疑いもなく人型生物なのだが、彼らは多くの猫の特徴を備える。全身は柔らかく上質の毛に覆われ、瞳は細長く、なめらかで細い尾といったふうに。彼らの耳はとがっているが、エルフのそれとは異なりずっと丸く猫のようだ。彼らは他のどの人型生物よりも容易にものを操ることができるが、その指の先には小さく鋭い、出し入れ自在の爪がついている。通常その爪は武器として使用できるほど強力なものではないが、ある種には――歪められた出生によるものか、何年も磨き上げたのか――爪を使って恐るべき効果を及ぼすことのできるものもいる。猫の髭は一般的ではないが全くないというわけでもない。髪や瞳の色は非常に多様性がある。
社会:自己表現はキャットフォークの文化における重要な側面だが、それは共同体や集団の強い努力意識により緩和されている。自然の中ではキャットフォークは狩猟採集民たる部族の一員である。個人的な力の追求は、部族の健康や幸福より優先されることは決してない。この一見穏やかな種族を侮ったために、この種族の結束が大きな力となる事に気付くのに遅れてしまった種族は複数存在する。
キャットフォークは最も優秀なものに率いられることを好む。それは通常、全会一致か選挙により仲間達から選ばれた、副族長の評議会となる。窮地に指導者を決めたり、調停すべき仲違いが副族長の間で生じたりしたとき、副族長達は族長を選ぶ。族長は部族で最も有力なものであり、魔法の才能を持つことが多い。都市や文化圏に住むキャットフォークも類似の部族構成にこだわるものの、しばしば部族の外の友人が他の種族であろうとも、拡張された部族の一員と見なす。冒険者グループの中では、族長を明確に選ぼうとしないキャットフォークは、族長の文化的特徴に共通点を最も多くもつものに従う。
種族関係:適応力があり好奇心の強いキャットフォークは、互いに親切を施し合うほとんどどのような種族ともうまくやっていく。彼らはハーフリング、人間、とりわけエルフと簡単に慣れ親しむ。キャットフォークとエルフは共に激情的な性格で、音楽、舞踏、朗誦をこよなく愛する。エルフ社会はしばしばキャットフォーク部族を優しく指導する。しかしそのようなエルフはこの猫の友に恩着せがましい振る舞いをしないように注意する。ノームはキャットフォークにぴったりの友人となる。キャットフォークはノームの奇妙で偏執狂な性格を楽しむからだ。キャットフォークはコボルドがキャットフォークとの境界を尊重する限り、この爬虫類人に寛容である。オークの野蛮な気質はキャットフォークの中でも嫌われるほどの大きな混乱を引き起こす。彼らはオークの残虐性や自己破壊的な性向を理解しない。一方ハーフオーク、特に残忍な同族の有害で憎むべき性癖を乗り越えるために努力したものはキャットフォークに興味を持つ。キャットフォークはゴブリンやラットフォークを虫のように捕らえる。これらの種族が群れをなすことと、その致命的な性格を忌み嫌うのだ。
属性と宗教:キャットフォークの文化の中央には共同体と利他的な連携があり、善によりがちな好奇心と他の種族の多くの風習に望んで適応する。キャットフォークのほとんどは善属性になることが多い。明らかにキャットフォークの大多数は混沌であり、知恵は第一の美徳とは見なされない。とはいっても、原因によっては例外はある。
冒険者:生まれながらの追跡者であり、部族の狩猟採集民としての側面により、多くのキャットフォークは何もしなくてもレンジャーやドルイドの職業につきやすい。しかしそのような役割は芸事や歌、舞踏、朗誦を愛する彼らがいつも口にするものではない。キャットフォークの伝説には偉大なソーサラーの英雄の豊富な伝統について語られている。旅行熱をとりこんだキャットフォークはしばしばウィザードやモンクになる。このようなモンクの多くは機敏な守護者の道を進む。キャヴァリアーやインクィジターのキャットフォークは滅多にいない(一つの目的に忠実に専念するというのは、キャットフォークの考え方に合わないことが多い)が、このような生き方を選んだものが見下される事は決してない。キャットフォークは探検と自己認識は多くの道に続いていることを理解しており、ほとんど全ての職業と人生の行き方を受け入れるのだ。
男性名:カルース、ゲラン、ジセンベ、ドレワン、ニクタン、フェルス、ロウカー。
女性名:アルカラ、シフェレレ、ジリャナ、ティイェリ、ドゥライン、ホヤ、ミニリ、ミラー。
+2【敏捷力】、+2【魅力】、-2【判断力】:キャットフォークは社会的で俊敏だが、しばしば良識に欠ける。
中型:キャットフォークは中型クリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティも受けない。
普通の移動速度:キャットフォークは30フィートの基本移動速度を持つ。
夜目:薄暗い照明の環境下において、キャットフォークは薄暗い照明の環境下で人間の2倍の距離まで見通すことができる。
言語:キャットフォークはプレイ開始時にキャットフォーク語および共通語の会話能力を持っている。高い【知力】を持つキャットフォークは次に挙げる言語を選択することができる:エルフ語、オーク語、ゴブリン語、ノーム語、ノール語、ハーフリング語、および森語。
通常のキャットフォークの種族特性の代わりに以下の種族特性を選択してもよい。この新しいオプションのいずれかを選択する前に、君のGMに相談をすること。
鋭敏嗅覚:繊細な視覚よりも鋭い嗅覚を好むキャットフォークもいる。この種族特性を持つキャットフォークは鋭敏嗅覚能力を得る。この種族特性は夜目の種族特性と置き換える。
以下のオプションは記載の適性クラスを有するキャットフォークに適用可能であり、特に断りのない限り、ボーナスは適性クラスの特典を選択するたびに適用される。
キャヴァリアー:キャヴァリアーの旗印のボーナスに+1/4を加える。
ドルイド:ドルイドの動物の相棒に+1のヒット・ポイントを得る。この先、ドルイドが動物の相棒を取り換えた場合、新しい動物の相棒は、このヒット・ポイントへのボーナスを得る。
オラクル:オラクルの呪文リストより1つの修得呪文を得る。この呪文はオラクルが発動可能な最大呪文レベルより1レベル以上低い呪文レベルでなければならない。
レンジャー:以下の一覧から武器を1つ選択する:ククリ、ショート・スピア、ショートボウ、爪、ロングソード、ロングボウ。その武器を使用して行うクリティカル・ロールに+1/2を加える(最大ボーナスは+4)。このボーナスは《クリティカル熟練》と累積しない。
ローグ:フェイントを行うために行う〈はったり〉判定に+1/2のボーナス、およびスリを行うために行う〈手先の早業〉判定に+1/2のボーナスを得る。
ソーサラー:通常であれば3+ソーサラーの【魅力】修正値分の回数だけ使用できる1レベル時の血脈の力を選択する。このソーサラーはこの血脈の力の1日毎の使用回数に+1/2回を加える。
手際の良さと隠密の才能を持つキャットフォークは、素晴らしい強盗になる。猫強盗は破壊して押し入ることを体得しており、その猫のしなやかさを使って最初の段階では犯罪がないことを表明しているかのように見せる。熟練した猫強盗に逆らえるだけの鍵はほとんどない。このような俊敏なローグは罠を起動することなくくぐり抜け、仲間にも同じ事ができるようにする。猫強盗は以下のクラス特徴を持つ。
ローグの技:以下のローグの技は猫強盗アーキタイプを補完する:高速隠密、迅速解除; 迫真の嘘、dodge trap; 素早き開錠、地形体得。
上級の技:以下の上級ローグの技は猫強盗アーキタイプを補完する:また今度、高速軽業、影隠れ。
キャットフォークのモンクの中には、そのしなやかな動きを他人を守るために使う者もいる。彼らは特に似た価値観を持つものや、モンクの理念を熱烈に信じると明らかになっている者にその身を捧げる。機敏な守護者は以下のクラス特徴を持つ。
身かわし(変則):9レベルの時点で、機敏な守護者は身かわしを得る。この能力は身かわし強化と置き換える。
以下のオプションはキャットフォークに適用することができる。この新しいオプションのいずれかを選択する前に、君のGMに相談をすること。
不運は君の前を思い切って横切ったものに降り注ぐ。
利益:1日に1回、1回の割り込みアクションとして、君に近接攻撃が命中した際に、君は攻撃ロールに-4のペナルティを受けて再ロールするよう、敵に強制することができる。敵は2回目の攻撃ロールの結果を使用しなければならない。これは超常能力である。
特殊:君がこの特技を修得したが全身が黒い毛皮で覆われていないならば、君の毛皮はこの特技を修得したときに完全な黒に変わる。
君のネコ科の特性は同じ種族の他の者にとってずっと確かなもので、頭一つ抜けている。
利益:君は通常の前提を満たしていなくても《野獣の化身》特技を修得することができるようになる。さらに、君の猫の性質は以下の1つとして明らかになる。この特技を修得する際に顕現を1つ選択すること。この選択は以降変更できない。
特殊:君はこの特技を複数回修得できる。効果は累積しない。修得するたびに、異なる顕現を選択しなければならない。
前提条件:【筋】13、【敏】15、《素早き打撃》、基本攻撃ボーナス+10、キャットフォーク、猫の爪種族特性もしくは《野獣の化身》(獣の爪の顕現)。
利益:君は突撃を行う際、爪による全力攻撃を行うことができる。
通常:突撃は特殊な全ラウンド・アクションであり、1回の攻撃のみに制限される。
君は生まれながら優美であり、そのお陰で難しい状況でもくぐり抜けられる。
利益:君は突き飛ばし、組みつき、蹴散らし、位置ずらし、足払いの戦技に対する戦技防御値に+2のボーナスを得る。
君は敵に突っ込むために生まれ、誰よりもうまくやってのける。
前提条件:【敏】 13、基本攻撃ボーナス+1、キャットフォーク、全速力種族特性。
利益:君は《薙ぎ払い》特技や《踏み込み》特技を使用する際や突撃の際、アーマー・クラスに-2のペナルティを被らない。
以下の魔法のアイテムはキャットフォークによって作られ、使用されることが多い。
(Cat's Eye Crown/猫目の冠)
オーラ 中程度・占術; 術者レベル 10レベル
装備部位 頭部(および無し; 下記参照); 市価 18,000gp; 重量 1ポンド
このすらりとした銀製の冠にはキャッツ・アイ(猫目石)の宝石が中央に飾られている。宝石が王冠に取り付けられると、着用者は暗視60フィートを得る。既に着用者が暗視を持つ場合、その間合いが60フィート増加する。宝石は取り外しでき、部屋に転がしておいたり穴に落としたり、窓から放り投げたり、クリーチャーに埋め込んだりすることができる。1日1回合言葉により、この冠の着用者はクレアオーディエンス/クレアヴォイアンス呪文の利益を得るが、キャッツ・アイの宝石をこの呪文の感知装置として使用しなければならず、感知装置を使用して見る間暗視を得る。この石がクリーチャーに所持されていたり運ばれている場合、それが袋や他の容器の中にある場合でさえ、この冠を身につけたクリーチャーはこの宝石を運んでいるクリーチャーの感覚を感知装置の代わりに使用することができる。これは宝石を運んでいるクリーチャーが宝石の真の目的に気付いていなくてもよく、存在に気付いていない場合であってもよい。宝石(硬度8、ヒット・ポイント5)を破壊するとこのつながりは断たれるが、少なくとも100gpの価値があるキャッツ・アイの宝石を新しく飾り、この冠と同調することができる。この同調には24時間かかる。
必要条件 《その他の魔法のアイテム作成》、クレアオーディエンス/クレアヴォイアンス、ダークヴィジョン、作成者はキャットフォークでなければならない; 費用 9,000gp
(Daredevil Softpaws/無謀なるもののソフトポー・ブーツ)
オーラ 微弱・心術; 術者レベル 3レベル
装備部位 両足; 市価 1,400gp; 重量 1ポンド
この魔法のソフトポー・ブーツ(前述)はキャットフォークが着用することで、危険な地域を移動する間にさらなる機動性を与える。1回のフリー・アクションとして、着用者はかかとを両足一緒にコツンと鳴らすことで、機会攻撃を誘発することなく敵に隣接するマスや敵の接敵面を移動するために行う〈軽業〉判定に+5の技量ボーナスを得ることができる。これは1日に10ラウンドまで使用できる。このラウンド数は連続している必要はない。加えて、このブーツの着用者が機会攻撃を誘発することなく敵の接敵面を通り抜ける事ができたならいつでも、着用者はこのターンの終了までその敵に対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。
必要条件 《その他の魔法のアイテム作成》、キャッツ・グレイス; 費用 700gp
(Rending Claw Blade/かきむしる爪の刃)
オーラ 中程度・変成術; 術者レベル 11レベル
装備部位 無し; 市価 10,305gp; 重量 1ポンド
この+1キーン・クロー・ブレード一組は着用者が1ラウンドに爪を用いた複数回攻撃を行う場合に最も有効に働く。爪を用いた全力攻撃を行う際、この武器と爪攻撃か別のクロー・ブレード1セットが同じ目標に命中したならば、着用者は追加で1d4+【筋力】ボーナスの1.5倍のダメージを与える。着用者はこの追加ダメージを1ラウンドに1回だけ与えることができる。これはかきむしり攻撃として扱われ、かきむしり攻撃を与える他の能力とは累積しない。
必要条件 《魔法の武器防具作成》、ブルズ・ストレンクス、キーン・エッジ; 費用 5,305gp
Nine Lives/9つの命
系統 防御術; 呪文レベル ウィッチ8、クレリック8
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作、物質/信仰(猫のひげ)
距離 接触
目標 接触したクリーチャー1体
持続時間 1時間/レベル
セーヴィング・スロー 意志・無効(無害); 呪文抵抗 可(無害)
その名前に反して、この強力な防護は目標に複数の生命を与えることはない。しかし目標に危機をくぐり抜け危険な効果や状況を取り除く能力を与える。この呪文の持続時間の間、目標は以下の能力を割り込みアクションとして使用することができるようになる。ただし合計で9回使用すると、その時点で呪文は終了する。
Steal Breath/息盗み
系統 変成術[風]; 呪文レベル バード2、ドルイド2、ウィザード/ソーサラー2、ウィッチ2
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作
距離 近距離(25フィート+5フィート/2レベル)
目標 生きているクリーチャー1体
持続時間 1ラウンド(本文参照)
セーヴィング・スロー 頑健・無効; 本文参照; 呪文抵抗 可
術者はクリーチャーの肺から息を吸い込み、ダメージを与えるとともに会話やブレス攻撃の使用、音声構成要素のある呪文の発動ができないようにする。セーヴィング・スローに失敗したなら、目標は2d6ポイントのダメージを受け、会話、ブレス攻撃の使用、呼吸が必要となるいかなる行為も行えなくなる。渦巻く空気の目に見える直線が、目標の口から出て術者の口へと入っていく。
もし持続時間の間に目標がこの効果線から離れるか有効距離外に移動したなら、この呪文は即座に終了する。この呪文は空気中で呼吸する必要がないクリーチャーには、何の効果も及ぼさない。