アーキタイプはすでに確立した冒険者クラスに面白く香り高い新たな能力を加え、専門化キャラクターを素早く簡単に作成する手段である。この章の提供するクラス・アーキタイプ(およびそれに対応する新たな能力)リストは以下にすべて示されている。キャラクターは条件を満たすなら複数のアーキタイプを取得してもよい。
アルケミスト:このセクションでは新しい発見のみならず、獣化能力者および激怒する錬金術師のアーキタイプを紹介する。
インクィジター:このセクションには新しい審問と、偶像破壊者、呪文破壊者、および魔女狩り師が含まれる。
ウィザード:このセクションには秘術の爆弾魔、攻城魔導師、および呪文銃士が含まれる。
ガンスリンガー:このセクションには装甲銃士、マスケットの達人、謎めいた異邦人、およびピストル使いが含まれる。
キャヴァリアー:このセクションには新しいキャヴァリアーの騎士団、および獣の騎手、使者、重騎兵、儀仗兵、誘引騎兵、マスケット銃兵、旗手、ならびに戦略家が含まれる。
クレリック:このセクションには十字軍戦士、神聖なる戦略家、伝道師、および慈悲深き癒し手が含まれる。
ドルイド:このセクションには類人猿のシャーマン、蝙蝠のシャーマン、および猪のシャーマン、さらには世界を歩む者が含まれる。
バード:このセクションには考古学者、命知らず、およびデルウィーシュの踊り手が含まれる。
バーバリアン:このセクションには新しい激怒パワーのみならず、鎧の超人、傷痕の激怒者、海の略奪者、巨人殺し、真なる原始人、都市バーバリアン、および野生の激怒者が含まれる。
パラディン:このセクションには信仰の狩人、天空の騎士、聖銃、聖なる戦術家、墳墓の騎士、および聖なる盾が含まれる。
ファイター:このセクションには拡張された武器グループに加えて、鎧の達人、喧嘩屋、卑劣漢、竜騎兵、剣闘士、戦術家、雷鳴の襲撃者、タワー・シールド専門家、素手戦士、および壊れざるものが含まれる。
メイガス:このセクションには新しいメイガスの秘奥、加えて剣聖、ミュルミドンの王、スキルニール、および魂の鍛え手が含まれる。
モンク:このセクションには流麗なるモンク、戦技の達人、武道家、無数の型の達人、先生、僧兵、および手取が含まれている。
レンジャー:このセクションには戦闘斥候、深みを歩む者、鷹匠、戦利品狩り、番人、および野生の追跡者が含まれる。
ローグ:このセクションには新しいローグの技、加えて強盗、カメレオン、詐欺師、御者、ナイフ使い、海賊、屋根の走り手、聖別されたローグ、および生存主義者が含まれる。
パスファインダーRPGの各標準クラスは中心となる1つのアイデアにまとめられている。この基本コンセプトは特定のクラスのキャラクターがどうあるべきかの一般的に保有されている理解であり、同時に可能な限り広範な味方への基盤としてキャラクターが有用であるようにデザインされている。だがその基本コンセプトの先には、無数に新しい解釈や改良の可能性がある。たとえばバード・クラスの一員であれば、救いがたい考古学者や颯爽とした活劇剣士、あるいは危険なほど優美なデルウィーシュの踊り手にもなることができる。これらはプレイヤーの選択する背景の詳細やクラス・オプション、特技のような特殊ルールに基づいて決まる。プレイヤーがイメージするキャラクターをより再現し、その具体的な目的を追求する上でより効果的なキャラクターを作り出すためのものだ。
そのクラス独自のユニークさを保証するための既存のクラスにあまりにも近いキャラクター・コンセプトは実プレイで繰り返し何度も使用され見慣れている、広く普及した刺激的なものである。このような状況のために、Pathfinder Roleplaying Game はアーキタイプ──その焦点をカスタマイズするのに役立つ簡単に特定のクラスから交換できるあらかじめパッケージ化された能力の修正──を作成している。標準的なファンタジーのキャラクターを作り出すことに興味のあるプレイヤーを手助けするため、以下のページでは多くの異なるクラスの新ルール、オプション、代替的クラス特徴を掘り下げる。
各標準クラスに用意されている選択肢の種類は異なっているが、それぞれのサブシステムとアーキタイプは、そのクラスを扱うために最も適したように、古典的なファンタジーの個別的属性の能力と技を再現するために、そしてプレイヤーが望むとおりのキャラクターを正確にデザインする自由を広げるためにあつらえられている。
アーキタイプが対応する標準クラスを修正する主要な方法は、代替的クラス特徴の使用を介してである。キャラクターはクラスを選択するときに、通常はそのクラスの出典元に見られる通常のクラス特徴を使用しなければならないが──アーキタイプの採用を選択した場合は例外である。アーキタイプが提供する各代替的クラス特徴は、その基となるクラスの特定のクラス特徴を置き換える。例えば、モンクの流麗なるモンク・アーキタイプの“方向変換”クラス特徴は標準的なモンク・クラスの“朦朧化打撃”クラス特徴と置き換わる。
1つのアーキタイプに複数の代替的クラス特徴が含まれている場合は、キャラクターはそれらの全てを取らなければならない。標準クラスにあり、代替的クラス特徴の中で触れられていない他のクラス特徴の全てはそのままであり、他に特記がない限りキャラクターがそのレベルに達した時に通常通り修得される。代替的クラス特徴を取ったキャラクターは、なんらかの前提条件を満たすか判断する場合に、置き換えられたクラス特徴を持っているとはみなされない。
キャラクターは2つ以上のアーキタイプを取ることができるが、いずれかの代替的クラス特徴によって基本クラスの同じクラス特徴を置き換えたり変更することはできない。例えば、ファイターは鎧の達人と喧嘩屋の双方を取ることはできない。双方のアーキタイプとも“武器修練1”クラス特徴を別のものへと置き換えるからである。
アーキタイプが(ファイターの武器修練やレンジャーの得意な敵などのように)基本の能力を強化ないし追加するクラス能力のシリーズの一部を置き換える場合、次にキャラクターがその能力を取得する機会に、その能力はアーキタイプによって置き換えられた低いレベルの能力であると見なされる。実質的に、そのシリーズ内のすべての能力はクラスが次にその能力を強化するときまで延期されている。例えば、アーキタイプがローグの3レベルの急所攻撃+2d6を置き換える場合、5レベルに達したときの急所攻撃は+1d6から+3d6に飛ぶのではなく、今ようやく3レベルの増加を獲得したかのように+2d6に強化される。この調整はローグが急所攻撃を強化される各レベルで継続し、19レベルにおいてまでローグは標準的なローグの+10d6の代わりに+9d6を有する。
既存のキャラクターを使っているプレイヤーは、これらの代替的クラス特徴を利用してもよいか、その場合これらを遡及してキャラクターに適用してもよいかをGMに相談するべきだ。本書の提供する代替的クラス特徴は標準クラス特徴とバランスが取れるようにデザインされているので、キャラクターに遡及して適用したプレイヤーは他のパーティー・メンバーと比較して特に有利になったりはしないはずである。GMが過去に遡ってのキャラクターの特徴の修正に同意する限り、将来の冒険を破綻させることはないだろう。典型的には、代替的クラス特徴を敵由重要な修正を行うのに最も適している時点は、冒険の間にレベル・アップ処理をしている時であるが、そうする前にGMのチェックを受けるべきである。GMは改定されたキャラクターにより適応するようキャンペーンを変更したいと願っているはずだから。
GMはキャラクターを作った時点ではこれらの代替的クラス特徴を使用できなかったプレイヤーに譲歩を求めたがるかもしれないとはいえ、PCはキャンペーンの中で依然として最も不変の要素の1つであるべきである。キャラクターを定期的に変更し作り直すことはキャンペーンに問題をもたらす可能性がある。GMは喜んで適応し、自分のキャラクターに飽きてきたプレイヤーに作り直しを許可するかもしれないが、代替的クラス特徴が特定の時点で最も有利に見えるやり方を求めてPCを作ったり作り直したりする不当な選択肢と感じられるようにするべきではない。新しく採用されたルールに照らしてキャラクターを作り直すことを認めることは時折なら望ましいかもしれないが、GMがプレイヤーにキャラクターの作り直しを認めなかったり特定のオプションを禁止したりすることを、不公正あるいは何らかのルール違反であると感じるべきではない。GMはプレイヤーがキャラクターを望むように動かすことを助けるべく常に努力すべきだが、究極的にキャンペーンにとって何が一番よいのかを知っているのはGMである。