特技はキャラクターがトレーニングや幸運を通してか、あるいは各自の奇抜な出自の結果取得した、特別な特徴または能力を表している。これらは適した状況における利益を提供し、それらは他の不足を補う能力をキャラクターに与える。特技の中には明確にPCの種族もしくはクラスと関連しているものもあるが、大部分のものは前提条件を満せば誰でも修得する事ができる。
ここに書かれている特技のほとんどは一般的なもので運用する際に特殊なルールは必要ないが、特別なルールと関連した種類を持つ特技もある。これらの種類は特技名の後で項目分けされている。 以下に示す特技の種類はこの章の中で示されている。
戦闘特技として指定された特技は、全てファイターのボーナス特技として選択できる。この種類分けは、前提条件を満たしている他のクラスのキャラクターが戦闘特技を選択することを制限するものではない。
クリティカル特技はクリティカル・ヒットの対象に追加の効果を与える特技である。《クリティカル体得》を持っていないキャラクターは、1回のクリティカル・ヒットに対してクリティカル特技を1つだけしか適用させることができない。複数のクリティカル特技を持っているキャラクターは、クリティカル・ヒットが確定した後でどの特技を適用するかを決めることができる。
気概特技はガンスリンガーの気概クラス能力あるいは《素人ガンスリンガー》特技によって与えられた気概によって、通常加わる彼女の発露に相互に作用する。時々これらの特技はキャラクターが持っている気概ポイントあるいはそのキャラクターが取り戻す気概ポイントの数を増やす。ガンスリンガーは気概特技をボーナス特技でとることができる。
呪文修正特技により呪文の使い手は新しい能力と効果を呪文に与え、それらの呪文を修正し交換することができるようになる。そのような呪文は一般に、通常の呪文よりも高いレベルの呪文スロットを使用する。どのように呪文修正特技を呪文に適用するかについての完全なルールについては、Core Rulebook 112ページを参照すること。
演武特技は君が演武判定を行う時に使用され、概してその判定を行う時に起こる特別なアクションを認める。君が《素晴らしき演武》特技を持たない限り、君は1つの演武特技の効果のみを君が行う演武判定それぞれに適用できる。
何世紀もの間、偉大な戦士たちは戦いの中に霊感を見出すために自然と多次元宇宙に向き合ってきた。数えきれぬほどの僧院と隠者が、自然のクリーチャーと超自然のクリーチャーの致命的な様とその恩恵に基づいて素手で戦うための複雑な型を作り出したのである。そのような戦闘技術の多くは秘密の修道会によって作られたが、既に実践家の世界には広く普及している。
即行アクションとして、君はスタイル特技の体現する戦闘スタイルが採用している姿勢に入ることができる。戦闘が始まる前にスタイル特技を使用することはできないが、君が別の戦闘スタイルに切り替えるために即行アクションを費やすまで君の取っている型は持続する。君は関連する型の姿勢を取っている間のみ、前提条件としてスタイル特技を有する特技を使用することができる。例えば、君が《蟷螂の型》と《虎の型》に関連する特技を取得している場合、君は即行アクションとしてあるターンの開始時に《虎の型》を取り入れることができ、その後《虎の型》を前提条件とする他の特技を使用することができる。君の次のターンの開始時に別の即行アクションを使用することによって、君は《蟷螂の型》を取り入れ、《蟷螂の型》を前提条件とするその他の特技を使用することができる。
スタイルは特定の特技経路──各スタイルを補完する特技──とともに以下に提示される。
猪の型:もともとは武器の使用を軽蔑するオークの部族がこの野蛮な非武装の戦闘スタイルを開発した。彼らは自身の素手や歯牙で敵を虐殺することを好んでいる。何世紀にもわたり様々な種族、特にゴブリン類、オーガ、そしてトロールらが《猪の型》を採用してきた。《猪の型》の目的は敵の士気をくじくために可能な限りの獰猛さと残虐さによって攻撃することである。このスタイルの熱狂的な信奉者はその爪や歯牙を硬くするためにハーブと錬金術の試薬を使用し、その結果、時には鉤爪のような爪と鋭く削った歯牙で自傷してしまう。
鶴の型:《鶴の型》は防御と俊敏な反撃に焦点を当てている。その実践者は優美な1本足の姿勢や鶴の大きな翼を真似て腕を折りたたむ技術で知られている
ジンの型:このスタイルの支持者は相手を出し抜き裏をかくために嵐の精霊に呼びかける。このスタイルの体得者はその敵を拳で殴るために雷鳴の轟きを招来している間、電気的な攻撃を吸収し逸らすことができる。
竜の型:《竜の型》はドラゴンの圧倒的な力、優美さ、そして残忍さを取り込んでいる。その実践者は曲芸的な足運びと敵を圧倒する力強い攻撃を用いる。このスタイルの最も深遠な秘密に至るには、錬金術の強壮剤を飲み干し、ドラゴンの長き眠りにも似た深い瞑想を行うことが必要である。
地の民の型:戦いと巨人退治に専念するドワーフとノームの中核をなす戦士たちがこのスタイルを開発した。このスタイルの門弟は巨人に直面したときにより捉え難くなるために、いかにして自身の防御的な訓練を向上させるかを学ぶ。彼らはまたその素手打撃の有効性を高めるために、様々な巨人の種族の解剖学的に学ぶことに長い時間を費やす。最終的に、この戦闘スタイルの体得者は脚、足首、そして膝を目標とすることによって最も力強いクリーチャーさえも仕留める方法を学ぶ。
特技経路:《地の民の型》、《地の民の足払い》、《地の民の束縛》。
イフリートの型:《イフリートの型》は生ける火の生物から着想を得て攻撃性と速度に焦点を当てている。このスタイルの体得者は火を逸らし、制御し、その敵を焼き殺し、そしてエレメンタルの炎の塊を招来する。
特技経路:《イフリートの型》、《イフリートの構え》、《イフリートの接触》。
ジャーンの型:この異なる人々の民族伝統からの謙虚さに由来するスタイルは、いくつかの同種の世界中で学ばれている素手戦闘の技を表している。技術の変化に関係なく、すべての実践者は流れるような迅速で力強い蹴りを強調する戦闘姿勢を持っている。このスタイルの一定の動きと優雅な足運びは多くのものに実践者を極めて熟練した踊り手のように見誤らさせ、弱者と虐げられた者の隠し武器の秘伝の技法を使用できるものと誤解させる。公然の武芸としてのこのスタイルは幾つかの舞踏のような性質を失うが、スタイルの素晴らしい蹴りの技法と敏捷さは保持している。
特技経路:《ジャーンの型》、《ジャーンの暴風》、《ジャーンの乱打》。
麒麟の型:麒麟の系統では相手に対する武器として要所の観察を採用している。実践者は敵の弱点を分類し、不動で、あるいは労力を無駄にすることなく、打撃に最適な瞬間を求める。修道士の訓練と秘術の学習を融合させた珍しい修道会の間で人気のある《麒麟の型》は、時にはその精神とともに肉体にも研鑽を求めるウィザードによって実践されている。
蟷螂の型:カマキリの狩猟技術に基づいて、このスタイルの専門家は昆虫の鋭く掴む前肢を模倣して下に曲げた手で戦う。《蟷螂の型》は目、喉、そして点穴のような相手の弱点へのきわめて正確な打撃を精密に用いる。
マーリドの型:《マーリドの型》は流れる川の流体の力強さと深海の冷たさを模倣する。このスタイルの体得者は厳しい寒さに耐え、水を操って遠くから敵を撃ち、さらに敵を凍らせて留めることができる。
特技経路:《マーリドの型》、《マーリドの魂》、《マーリドの氷撃》。
猿の型:その速度と俊敏性で有名な《猿の型》は、跳躍からの一打、回転しての打撃、そして寝技を、優れた機動力によって相手を混乱させダメージを与えることを目的とした継続的な猛攻撃の中に調和させる。
豹の型:豹の門弟は敵の間を無謀にも縫い進むような思い切ったことをする。このスタイルを体得する者は、他の追随を許さぬ機動性で武器を振り回し、一連の迅速な報復攻撃で敵を打ち据える。
シャイタンの型:このスタイルの実践者はその拳に深き地の鉱酸を吹き込む。その力強い打撃は敵を溶解し無力化するために腐食性のエレメントを召喚する。
特技経路:《シャイタンの型》、《シャイタンの肌》、《シャイタンの酸撃》。
蛇の型:《蛇の型》は迅速さと位置移動を重視している。その実践者は通常は蛇の頭を真似て手を指と共に平らに保つ。思いがけぬときに打撃することのできる蛇の型の使用者は機会主義と目にも留まらぬ速度で知られている。
亀の型:《亀の型》は片手での能動的な防御を重視している。このスタイルの門弟は弱体化させる掴みを採用するとともに、自身を守るために様々な極め、掴み、そして円の防御を活用する。
虎の型:このスタイルは偉大な虎の力と怒りを模倣しようとしている。実践者はその手を爪のように使い、強烈な両手の打撃と猛烈な攻撃の連鎖を完成させる。
チームワーク特技は多くのボーナスを与えるが、特定の状況下でのみ作用する。多くの場合、これらの特技は同じ特技を持っている仲間が戦場で適切に位置していなければならない。特技の説明に記入された状態が満たされていなければ、チームワーク特技はボーナスを全く提供しない。注意すべき点としては、麻痺状態、朦朧状態、気絶状態、またはなんらかの理由により行動することができない状態の仲間は、チームワーク特技の条件を満たすために数えることはできない。インクィジターとキャヴァリアーは、味方が特技を持っていない時にさえ彼らがチームワーク特技を使うことを可能にする、クラスに基づく各種の特殊能力を持っている。
新しい特技は下記の表でまとめられている。この表にまとめられた特技の前提条件と利益は見やすさのために省略されていることに注意すること。詳細な説明は特技の解説にまとめられている。以下の書式は、すべての特技の解説に使用される。
特技名:特技の名前。もし所属しているなら特技がどんな種別に属しているかも示している。特技が表す要件に対する基本的な解説が後に続いている。
前提条件:最小能力値、別の特技、最小基本攻撃ボーナス、必要とされる技能の最小ランク、その他特技を修得するのに必要とされている全て。特技に前提条件が全くないならばこの項目には何も記載されていない。複数の前提条件を持つ特技も存在する。
利益:この特技によりキャラクター(特技解説の中の「君」)が実現できるようになること。キャラクターが同じ特技を複数修得しても、解説の中で明示されていなければその利益は累積しない。
通常:この特技を修得していないキャラクターに対する制限事項。特技を修得していない場合になんらかの欠点がなければ、この項目には何も記載されていない。
特技名 |
利益 | |
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相手がフェアリー・ファイアーの効果下にある間、君の《朦朧化打撃》の難易度は+2増加する。 | ||
【筋】13 |
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《秘術の打撃》、基本攻撃ボーナス+11、ディスペル・マジックを発動する能力 |
クリティカル・ヒットの後に、君はディスペル・マジックを発動することができる。 | |
《素手打撃強化》、ディスペル・マジックを発動する能力、基本攻撃ボーナス+11、術者レベル7 |
攻撃の後、ディスペル・マジックを即行アクションで発動することができる。 | |
〈呪文学〉5ランク |
ディスペル・マジックの対象は、セーヴに-2ペナルティを受ける。 | |
基本攻撃ボーナス+6 |
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クリティカル・ヒットを通常の命中に変えるために、鎧または盾を壊すことができる。 | ||
― |
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《クリティカル熟練》、刺突武器への《武器開眼》、基本攻撃ボーナス+11 |
クリティカル・ヒットによって相手を串刺しにし、追加ダメージを与えることができる。 | |
― |
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急所攻撃+1d6 |
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【敏】17、《射撃機会攻撃強化》、基本攻撃ボーナス+12 |
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― |
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― |
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― |
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ダメージ・ダイスの集積所を作成するために、“正のエネルギー放出”(訳注:“エネルギー放出”の誤りだと思われる)を変換することができる。 | ||
君はクリティカル・ヒット時に突き飛ばしを可能にする。 | ||
― |
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フリー・アクションとしてスタイルを切り換えることができる。 | ||
“正のエネルギー放出”6d6 |
ブレス・オヴ・ライフを発動するためにエネルギー放出を消費することができる。 | |
〈登攀〉1ランク |
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― |
全ての再ロールに+2ボーナスを得る。 | |
基本攻撃ボーナス+11 |
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君の巨人に対するさまざまな攻撃に、武器落とし、武器破壊、および足払いを代用することができる。(訳注:表の内容が本文と違っており、「巨人を殴打武器で攻撃し、主要武器に続き利き手でない手の攻撃が命中したなら、そのダメージは増加する。」のような内容の説明文が正しいように思われる) | ||
クリティカル・ヒットを確定するために、壊れやすい武器を壊すことができる。 | ||
5フィート・ステップを行うか、撤退する相手は君から機会攻撃を誘発する。 | ||
“縮地”のクラス特徴 またはディメンジョン・ドアを発動する能力 |
ディメンジョン・ドアまたは“縮地”を使った後、追加で残っているどのような行動でもとることができる。 | |
突撃アクションの一部としてディメンジョン・ドアまたは“縮地”を使うことができる。 | ||
君は全力攻撃アクションの間に、ディメンジョン・ドアまたは“縮地”を使うことができる。 | ||
ノームの魔法の独特な使用法を得る。 | ||
《呪われしノームの強襲》、〈知識:神秘学〉6ランク |
ノームの魔法の特別な使用法を得る。 | |
ディスペル・マジックまたはグレーター・ディスペル・マジックを発動する能力、術者レベル11 |
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クリティカル・ヒットを確定するロールにボーナスを得る。 | ||
《不屈の闘志》を使い行動する時、ヒット・ポイントを失うことはない。 | ||
クリティカルを確認するとき、敵は再ロールしなければならない。 | ||
― |
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選出したファイターの武器グループに対し、+2回避ボーナスを得る。 | ||
〈製作〉4ランク |
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君が視認困難を与えている敵にフェイントをかけるために〈はったり〉判定を行う。(訳注:本文の内容では即行アクションとして〈はったり〉判定を行うことができる。と記述されている。) | ||
【筋】15 |
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〈製作:罠〉 5ランク |
特技名 |
利益 | |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、〈手先の早業〉1ランク |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、〈手先の早業〉1ランク |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、《強行突破》 |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、《無視界戦闘》 |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、《強行突破》、基本攻撃ボーナス+4 |
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“気概”のクラス特徴または《素人ガンスリンガー》、〈はったり〉4ランク |
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特技名 |
利益 | |
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1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[火炎]に対する抵抗を得る。 | ||
【判】17、《イフリートの構え》、基本攻撃ボーナス+13またはモンク11レベル |
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アーマー・クラス・ボーナスは2増加し、相手はクリティカル・ロールに-4を受ける。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[強酸]ダメージにボーナスを与える。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[強酸]に対する抵抗を得る。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[雷撃]ダメージにボーナスを与える。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[雷撃]に対する抵抗を得る。 | ||
[雷撃]で自身を取り囲むために、《エレメンタルの拳》を使用できる。 | ||
君はどのようなサイズの巨人でも足払いすることができる。立っている巨人に対して機会攻撃が命中したとき、君は《朦朧化打撃》を使用することができる。 | ||
1日あたり追加で1回《朦朧化打撃》の使用回数を得て、相手を、目が眩んだ状態、よろめき状態、または疲労状態にすることができる。 | ||
打ち倒され、伏せ状態となるのを避けるためにボーナスを得て、クリティカル・ヒットを確定するために〈真意看破〉を使用できる。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[氷雪]ダメージにボーナスを与える。 | ||
1日あたり追加で1回《エレメンタルの拳》の使用回数を得て、[氷雪]に対する抵抗を得る。 | ||
† 訳注:リストでは刺突ダメージとなっているが、《猪の型》の詳細では斬撃となっており、派生特技《猪の蛮行》において「ダメージ種別に刺突ダメージを追加する」とあるため、おそらく斬撃が正しい。
特技名 |
利益 | |
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〈治療〉5ランク |
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〈はったり〉5ランク |
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味方がクリティカルを確定させるとき、君は機会攻撃を得る。 | ||
基本攻撃ボーナス+1 |
味方の攻撃は、君が5フィート・ステップを行うことを可能にする。 | |
― |
どのような味方によってでも機会攻撃範囲に収められている相手に対し、君が足払いを行う時は2回ロールし、より高い結果を取る。 | |
〈知覚〉 3ランク |
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― |
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〈はったり〉1ランク |
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― |
全てのセーヴィング・スローに対し、隣接した味方毎に+1を得る。 |
(訳注:*この特技は戦闘特技であり、ファイター・ボーナス特技として修得できる。
**この特技はAdvanced Player's Guideの中に記載されている。)