幼少時代の経験は残りの人生に大きな影響を与える。家族、社会階層、地域、家族の商売や職業、執狂、文化、そして人生で起きた大きな出来事は、大人として対応していくキャラクターの成長と世界観を形作る大きな影響を与える。人生の初期について考える際、以下の質問について考え、選択したクラスの才覚を得る遙か昔の自分の起源を想像すること――詰まるところ、現在彼らのためにおかれている将来の職業を持って人生を始めるものはほとんどいないのだ。この譲歩は技能や特徴、物語特技、ペナルティなどの選択に影響を与え、キャンペーン世界に足場を築く助けとなるのだ。
すべてのキャラクターが例外的な状況で生まれるわけではないが、多くの文化は英雄や悪役の誕生と時を同じくした重大な出来事の発生という神話を持っている。隕石や地震、火山の噴火、日食や月食、自然現象、流れ星といった自然現象が起きることもある。他の例では王の戴冠や預言者の殉教のような社会的、政治的、宗教的なものもある。厳密で身近なカレンダーが各家庭には無いため、年月や時代というのものは彼らの語彙の中にある特記すべき事件によって思い出されることが多い。そのため大きな出来事の近くに生まれ落ちたキャラクターは、同族や仲間からその出来事に関連していると何かにつけて言われることもある。
誕生の前後で生じた特別な、あるいは魔法的な事件はあるだろうか? 特別な生まれながらの印を持っていたり、古代の文言に予言されて生まれただろうか? その誕生は超常的な存在によって呪われたり祝福されたりしただろうか? 生まれた日や年の事を想像してほしい――両親はそのことを覚えていて、それを君に伝えたかもしれない。どの季節に生まれただろうか? 大嵐や降雪、地震、日食や月食のような自然現象はあっただろうか? 季節外れに暖かかったり穏やかな気候だったりしなかっただろうか? ひょっとしたら、君の生まれた日や年に特別なイベントがあったかもしれない――例えば、地方君主が大きな祭りを開催したり、大きな名声や重要性を持つ人物が消えてしまったかもしれない。君の誕生を覚えている共同体の中の人物は、その時に他に起こったことに合わせて君の誕生を思い出す。世界を揺るがすような事件である必要はない。しかしその事件は何かを君に告げ、君が世に現れたことを予感させる出来事としてヒントを与えるものであるべきだろう。
家族は君が子供の間最も強い影響力を持つ事が多い。特に養子、捨て子、孤児、浮浪児にとっては、この家族は必ず血縁関係に依存するものであるわけではない。子供の頃に育て、君の生存、食事、住まい、保護に責任を持ってくれた人達が君の家族である。家族は慣習、伝統、宗教、迷信を伝える。子供を育み、守ってくれる家族もいる。お互いに戦い、傷付け合う家族もいる。背景について考え始める際、君の家族生活について説明することで始めよう。
両親:両親が互いに関わるやり方は、しばしばその子供が大人の関係を理解する一例となる。子供はこれらの見方を青年期や成年にまで持ち込み、(後にそれを否定するとしても)意識してあるいは無意識に両親の姿を抱える。ロマンティックな関係(あるいは結婚の契約)において君が振る舞うやり方は、一部は両親の関係の見方を軸にしている。
君の両親は誰で、どのように彼らは出会ったのだろう? 両親は結婚しただろうか? 結婚していたなら、その結婚は愛によるものか、金によるものか、政治力によるものか、何か他の理由によるものだろうか? お見合い結婚だろうか? 両親は互いに喧嘩したり罵り合ったりしただろうか? 逆に両親は喜びに満ち、君の心に恋愛の理想像を創り出しただろうか? 両親は互いに誠実だっただろうか、あるいは一方(あるいは両方)は遊びだっただろうか? 一方の親が知らないもう一方の親の秘密で、君は何を知っているだろうか? 両親は離婚しただろうか? 片親は死んだだろうか? 片親だけで育てられたなら、もう一方の親は配偶者からの別離をどのように扱っていただろうか? そのような出来事は君の人生にどのような影響を与えた(あるいは今後与える)だろうか? 家族生活のお陰で君は家族を所有したいと熱望するようになっただろうか、あるいはそのような考えを避けるようになっただろうか?
兄弟姉妹:家族の性質に応じて、君の兄弟姉妹は最も身近な友人かもしれないし最悪の敵かもしれない。時には兄弟姉妹は友情によってつながり、守り合い、支えあう。別の時には彼らは競争や好きなもの、恨みによって袂を分かつ。
家族の力学について考えよう。兄弟姉妹がいるなら、君は彼らと親しいだろうか? 兄弟姉妹一人以上によっていじめられていただろうか、あるいは守られていただろうか? 君は家族で最年長の子供だっただろうか、あるいは他の理由で兄弟姉妹を見張る責任を持っていただろうか? 両親は他の兄弟姉妹よりも君により大きな義務や期待、責任を負わせただろうか? 他の兄弟姉妹より親しい兄弟姉妹はいるだろうか、あるいはどの兄弟姉妹にも等しく接しているだろうか? 家族で一番のお気に入りの子供はいただろうか? 君はそのお気に入りだっただろうか、あるいは他の兄弟姉妹がそうだっただろうか? 家族に厄介者はいただろうか? 兄弟姉妹に私生児や片親の違うもの、義理の兄弟姉妹はいなかっただろうか? もしそうなら、その関係はどのようなものだっただろうか?
拡大家族:祖父母、伯母(叔母)、伯父(叔父)、姪、甥、いとこは、ときに直接の関係よりもずっと親しいものになることもあり得る。最低でも、そのような関係は直接の家族の外にいる近しい親友になりえる。そのようなお気に入りの関係を持っていただろうか? その人物は君の人生においてどんな役割を持っていただろうか、そしてどの家族の役割をその人物は埋めていただろう? 君の拡大家族は直接の家族と一緒に住んでいただろうか、あるいは訪れていたのか、関わりを持っていただろうか? あるいは母もしくは父はその家族から勘当されていただろうか?
養子、非嫡出子、孤児:養子として育てられたり、両親から別れたり、非嫡出児であったり、孤児だったりすると、君の考え方に大きな影響を与えるかもしれない。自らの独自性に疑問を持ち、世界の中で自分自身を確立するためにさまよったり、生まれた環境への疑問に悩まされたりすることになることもある。
二人の献身的な両親から生まれたか、偶然の密会の結果生まれたか、あるいは別の要因で生まれただろうか? 産んでくれた両親によって育てられただろうか、あるいは他の誰かが育ててくれただろうか? そしてそれは一方と比べて良かっただろうか悪かっただろうか? 異種族の両親(野生動物やモンスターも含む)が君を育ててくれただろうか?
親の職業:両親の職業は君の成長する環境に対する背景である。その仕事に関連した仕事や雑用を君が与えられるというのはありそうなことだ。関係のある技能を学んだかもしれない。
両親の職業はなんだっただろうか? 片親は異なる背景や職業から独自にやってきただろうか? 家族の職業に好意的あるいは否定的な感情を抱いていただろうか? 両親を手伝っただろうか、全く仕事から切り離されていただろうか? 両親の仕事を手伝っていたのなら、年を経て仕事から技能を学んだだろうか? その仕事を受け継ぐことを期待していただろうか、兄弟姉妹の一人にその権利を受け渡しただろうか? 仕事の中で気に入ったり憎んだりしたものはあっただろうか?
君の育った地理的な地域を想像しよう。そしてそこで成長する際に密接に関わるものをいいものと悪いものをそれぞれ考えよう。その景色が君の肉体にどのような影響を与えるかを考えよう。砂漠に囲まれて育った場合、君はこの地を不毛で特徴のない荒野と捉えているだろうか、それとも無限の可能性のある広く開けた場所とみなしているだろうか? 森の近くで成長した場合、君の想像を魅了する青々とした森林だろうか、それとも野生の獣が狩場とする厳しく危険な場所だろうか?
君の共同体を取り巻く環境は、君の体格や修得した技能にも影響を与える。岩だらけの山の住人だろうか、森をさまよう遊牧民だろうか、小作農の村人だろうか、町人だろうか、年の住人だろうか、離島の船員だろうか? 君が学んだ生き残る術は野原や平原から根や野菜を集めることだろうか、それとも静かな森で追跡して狩りをすることだろうか? 都市の大通りや裏通りで機知を磨いただろうか?
湿地や川、沼の近くで育ったなら、君は釣りや船の扱い方を知っているかもしれない。山では君は登坂やスキーの技術を発達させたかもしれない。都市で育ち壁に覆われた環境で幼少期を過ごしたなら、都市の外に広がる世界を君はどのように捉えているだろう?
君が育った場所も、様々に世界の他の部分の捉え方を形作る。町を蔑みあるいは好奇の目で見る田舎娘と自然を神秘あるいは恐怖なものとして捉える都市に住む青年の間には、大きな違いがある。
ほとんどの文化で、富と特権は一般的な大部分から遠くはなれたところにある。しかし中流階級の商人や一般の労働者がそうであるように、富や権力を持つ人々もまたヒエラルキーを持つ。子供の時に所属していた社会的地位は君の教育と世界の見方に影響を与える。
貴族として生まれたなら、利便性の良い環境で他人に命令を下せたかもしれない――単に君がより良いと思うものに従ってほしいというだけで彼らが従うことを期待するような。他のほとんどの人よりも優れた教育を受けていることもありえるだろう。
君が一般的な生まれなら、ひょっとしたら人生をもっと異なる見解を持っているかもしれないし、公式な教育はほとんど受けていないかもしれない。地位のある人には権力があり、君は従うことを期待されていた。ありふれた出自は君の話し方や衣服、物腰にも現れるかもしれない。君の両親の経済的・社会的な位置はどうだろうか? 貧しい労働者や商人だっただろうか? 家族の一員は裕福で権力を持つ人々の従者だっただろうか、あるいは君自身が裕福で権力を持っていただろうか? 裕福であったなら、「昔からの金持ち」だっただろうか、成金だっただろうか? 家族は共同体の中で尊敬されていただろうか?
他の社会的地位の人を扱う際、どのように扱っただろうか? 他の社会的地位の人々を尊敬していただろうか、軽蔑し嫌っていただろうか? 今までに社会的地位の高いあるいは低い人との揉め事に巻き込まれたことはあるだろうか? それはどのようなもので、その結果何が起こっただろうか? 自分の社会的地位の慣習や様式を守っているだろうか、そのような慣習から離れ、より高位あるいは低位の地位のものに従っているだろうか?
標準的な人型生物種族のほとんどにとって、その本質は魔法的ではない。しかしその中には魔法を学び、そのうちに魔法の極意を学ぶことになるものだっている。君が魔法を有さない文化から来たなら、秘術の技は奇妙に――人生におけるいかさまのようだとか、信仰上の禁忌を破ったかのように――見えるかもしれない。ひょっとしたら君は魔法のことを、獲得するのが難しい素晴らしく幻想的なものだとして受け入れるように学んだかもしれない。
成長過程で魔法についてどれだけ知っていただろう? 毎日の生活の一部だっただろうか、それとも迷信や物語、伝説として語られただけだろうか? 今までに呪文や呪いの影響下にあったことがあるだろうか? 子供として奇妙で超常的な力をふるったことがあるだろうか? 監視されていないところで魔法の経験をしたことは? 幼少期に君にかけられた心術や呪いといった、長く続く魔法の効果の影響を受けたことはないだろうか?
両親は通常、宗教の慣習や教義、実践、儀式、伝統を教育することで、子供に自らの宗教的観念を通過させる。伝統と儀式は祭事、成人の加入儀式、休日など決めるため、文化の大部分を占める。君が信心深くない場合でさえ、君はおそらく子供の頃に宗教に関連した経験をいくつかしてきているだろう。ひょっとしたら親戚や友人、君の育った地域の主要な信仰の信者からそのような経験を受けたかもしれない。
両親は同じ宗教を信仰していただろうか、そして君にそのような教えを与えただろうか? 死や不確実な世界において、家族の人生における宗教的な信念や伝統はどの程度重要視されていただろう? 家族が実践していた特別な宗教や伝統の慣習は何だろうか? 道徳的もしくは宗教的な禁忌は何だろうか? 君が宗教的であろうとなかろうと、君はそのような儀式を順守し、禁忌を守っただろうか? 家族の宗教的な教えを守っただろうか、それともそれらを破っただろうか? 守ったなら、幼少期から青年期までの変化のあいだにそれらはどのような快適さを与えてくれただろうか?
子供の頃の視点では、世界は違う場所だ。環境と視点に従い、世界は神秘に満ちた愛すべき楽園に見えるかもしれないし、陰鬱で意味のないどうにか恐怖に耐えられる地獄の縁のように見えるかもしれない。幼少期の出来事は、子供が大人になるまで持ち続ける世界の見方に効果的な衝撃を与える。
このことを念頭に置いて、君を形作り今でも時々考えることのある印象的な幼少時代の出来事を描写しよう。それは修道会への入信日や生涯にわたる友人ができた状況、親や世話人が君を厳しく叱った日といった個人的なことかもしれない。逆に大火の只中にいたとか、広範囲に広まった疫病を生き延びたとか、大きな歴史的な出来事の目撃者となったなど、大規模で他の人に影響を与えたことかもしれない。
この出来事は君の幼少期で最も強く影響を受けたことの一つだ。この出来事が現在の君の個性を形作り続ける方法を探そう。