その小さな体格のために見過ごされがちだが、ハーフリングは彼らを取り巻く世界の大きな物語の中に自分自身を無理なく入り込ませる驚くべき能力を持っている。素早く、器用で、意志の強い彼らは、他の種族の社会に混ざり、たちまちに無くてはならない存在となる。時として他の種族からこそこそした泥棒という紋切り型で見られるが――そしてその主張を裏付ける例は多いが――一般的にいってハーフリングはそうでもない。むしろ、ほとんどのハーフリングは順応性があり暢気で、そして彼らの好奇心によって時折揉め事に巻き込まれるが、ほとんどのハーフリングは彼らの小さな見かけによらない不屈さと勇敢さをもって逆境に立ち向かう。
ハーフリングが同族だけの共同体で生活することは稀だが、他のハーフリングとの(そして多少の点ではノームとの)文化的な類縁関係により、自分よりも大きなクリーチャーで一杯の世界で、こんなにも小さくて無視されがちであるということがどういうことなのかを知る者同士が、言葉にできないほどのつながりを持つ。
冒険者となることを選んだハーフリングは、しばしば、自分の生来の器用さを生かす軽装鎧と軽い武器を好み、あらゆる状況に備えて技能の多様さに重点を置く。戦いを求めることは滅多にないが、彼らの飽くことを知らぬ好奇心のため、しばしば遠く広く驚異に――そして時にはまっすぐに危険に――導かれる。
アルケミスト:ハーフリングの生来の好奇心から実験にひきつけられる。新しく常により以上の(時として文字通りに)燃えるような発見が常に目前にあるアルケミスト以外に、この傾向を強化するクラスはまずないだろう。
インクィジター:風景に溶け込む能力と気づかれずに盗み聞きする能力により、ハーフリングは秘密の情報をとても容易に手に入れ、そしてこれは彼らの好奇心とあいまって、彼らを完璧なインクィジター、特に他の種族を調査するのに適したものとする。
ウィザード:ハーフリングのウィザードはしばしば好奇心と、彼らの肉体的な大きさを超越し他の種族に自分を注目させたいという望みの結合によって秘術の秘密を求める。その結果、彼らは派手な呪文と、目に余るほど力を誇示することを好む。
ウィッチ:ハーフリングには純朴な世間知らずという評判はないが、彼らにはまた秘密を蒐集する傾向があり、一部の者はウィッチを天職とし、この迷信深い道に従い、女賢者、薬草師、そして狂える知識の探究者となる。
オラクル:オラクルはほとんどの種族で稀だが、ハーフリングが抑圧されたり奴隷にされたりしているところでは、オラクルはもっと普通に見られるようになり、公の信仰や組織が禁じられているときには共同体の精神的な秘密の中心となる。ハーフリングのオラクルはしばしば地の精霊、自然、あるいは過去の英雄を崇める。
キャヴァリアー:ハーフリングは馬術を修得するのは実際上小さすぎるかもしれないが、ポニー、ライディング・ドッグ、その他の特殊な乗騎を駆ることで、ハーフリングのキャヴァリアーはより大きなライバルたちの頭上からのからかいをそっくりそのまま返すことができ、兵士たちを完全に恐れ知らずにして戦闘に向かわせ、英雄たちを彼らの技能と献身によって鼓舞する。
クレリック:ハーフリングはお互いに永遠に誠実であり続けることができるが、この献身は神々にも持ち越される。彼らのよきユーモア、好奇心、新しい社会に楽々と溶け込む能力は、彼らをして天性の伝道師たらしめる。
サモナー:ハーフリングはどこまでも好奇心が強く、一部の者は魔法の生命体が取ることができる無数の可能な形態を探究するためサモナーの道を望む。彼らの幻獣は一般に派手やかな色彩で、サモナーの想像力の限り奔放な外見をしており、時として乗騎として用いられる。
ソーサラー:ハーフリングのソーサラーは、より上手く敵の隙を付くため、しばしば必要になるまで魔法の力を隠す。また、しばしば生来の口の上手さを強化する魅了や、その小さな体格とは不似合いに見える強力な力術を好む。
ドルイド:ハーフリングは文明の快適な点を高く評価する傾向にあるが、一部のハーフリングは自然の中に安らぎと啓発を見出し、他の者は都市の中にすでにいる動物たちと手を結ぶ。
バード:ハーフリングは歌、踊り、祝祭を愛し、彼らのバードは庶民的な才能を持った名人芸のエンターテイナーである。時として大きな公会堂や大劇場に雇われていることもあるが、ハーフリングのバードは自らの放浪癖に従って、毎日新しい観客に笑いさざめく陽気な騒ぎをもたらすために路上にあるのを見られることがずっと多い。
バーバリアン:より大きな種族はハーフリングのバーバリアンという考えを笑うかもしれないが、その者と対面してそうする者はまずいない。他のバーバリアンの多くよりも弱いかもしれないけれども、激怒したハーフリングの全くの猛威は多くの敵の油断に付け込むことができる。
パラディン:共同体や家庭に高い価値を置くため、多くのハーフリングがパラディンとなることを熱望する。彼らに真剣にならない敵は、これら頑強な聖戦士が邪悪な心を持つ彼らに天の怒りを放てば、すぐに自らの誤りを学ぶことになる。
ファイター:ハーフリングは他の種族ほど血に飢えていることはあまりないが、それでも仲間を守ることができる訓練された戦士の価値を理解し、高く評価する。
モンク:多くのハーフリングは専心と献身の単純な人生を求めているが、それこそはモンクの道である。彼らの穏やかで一見無害な外見と、厳しい労働に身を捧げることで、モンクはハーフリングの共同体にまったく溶け込んでいる。多くの襲撃者は非武装のハーフリングに攻撃した後に自らの過ちを学ぶのだが。
レンジャー:ハーフリングは狩りで名声を得ているわけではないかもしれないが、偏見を捨て去ることができない者が、彼らの偉大な技能を見過ごしているだけのことである。ハーフリングのレンジャーは、大小問わず獲物を打ち倒すこと、兄弟たちが街の風景に溶け込むのと同じくらい易々と荒野にまぎれ、あるいは信頼する動物の相棒(時として彼らの乗騎でもある)と共に鋭い戦術を用いることの達人である。
ローグ:ローグは典型的なハーフリングの冒険者であり、ひょうきんな話し上手、狡猾な夜盗、向こう見ずな追剥として成功する。その軽い足取りと器用な手先で、ハーフリングは生来の泥棒やスリになるが、これは彼らを悪く言う者が見逃さない事実である。
以下の種族特性は、既存のハーフリングの種族特性と交換するものである。こうした新しい選択肢を選ぶ前に、君のGMに意見を聞くこと。
臆病/Craven:ほとんどのハーフリングは恐れ知らずだが、一部は物に驚きやすく、そのため特に警戒心が強い。この種族特性を有するハーフリングはイニシアチブ判定に+1のボーナス、挟撃したときの攻撃ロールに+1のボーナスを得る。[恐怖]に対するセーヴィング・スローに-2のペナルティを被り、[恐怖]に対するセーヴィング・スローへの士気ボーナスから何の恩恵も受けない。[恐怖]効果を受けた場合、彼らの基本移動速度は10フィート上昇し、アーマー・クラスに+1の回避ボーナスを得る。この種族特性はハーフリングの種族特性である大胆不敵とハーフリングの幸運の代わりに取得できる。
下からの攻撃/Low Blow:一部のハーフリングはより大きなクリーチャーを攻撃する方法を広く訓練している。この種族特性を有するハーフリングは自分自身よりも大きな敵に対するクリティカル・ロールに+1のボーナスを得る。この種族特性はハーフリングの種族特性である鋭き五感の代わりに取得できる。
騎手/Outrider:一部のハーフリングは騎乗戦闘に特化している。この種族特性を有するハーフリングは〈動物使い〉判定と〈騎乗〉判定に+2のボーナスを得る。この種族特性はハーフリングの種族特性である確かな足取りの代わりに取得できる。
実際家/Practicality:ハーフリングは骨折って働くことと常識に基礎を置く。この種族特性を有するハーフリングは、いずれか1つの〈製作〉技能か〈職能〉技能に+2のボーナスを得、同様に〈真意看破〉判定と幻術に対するセーヴィング・スローに+2のボーナスを得る。この種族特性はハーフリングの種族特性である大胆不敵と鋭き五感の代わりに取得できる。
影のごとき素早さ/Swift as Shadows:ハーフリングは障害物のある場所を通って移動する時にすら信じられないほどの隠密性を保つ。この種族特性を有するハーフリングは移動しながら〈隠密〉技能を使用する際のペナルティを5軽減し、狙撃する時の〈隠密〉判定のペナルティを10軽減する。この種族特性はハーフリングの種族特性である確かな足取りの代わりに取得できる。
足の下に/Underfoot:ハーフリングは自分より大きな敵と効果的に戦うためには懸命に訓練しなければならない。この種族特性を有するハーフリングは自分自身よりも大きな敵に対するアーマー・クラスに+1のボーナスを得、蹂躙攻撃に対する反応セーヴィング・スローに+1のボーナスを得る。この種族特性はハーフリングの種族特性であるハーフリングの幸運の代わりに取得できる。
放浪癖/Wanderlust:ハーフリングは旅行と地図を愛する。この種族特性を有するハーフリングは、〈知識:地理〉判定と〈生存〉判定に+2のボーナスを得る。移動手段を提供したり移動力を強化する呪文を発動したり能力を使用したりする場合、ハーフリングは通常よりも術者レベルが1高いものとして扱う。この種族特性はハーフリングの種族特性である大胆不敵とハーフリングの幸運の代わりに取得できる。
投石兵/Warslinger:ハーフリングはスリングの使用に熟練している。この種族特性を有するハーフリングは、スリングの再装填をフリー・アクションとして行うことができる。スリングの再装填にはやはり2本の腕を必要とし、機会攻撃を誘発する。この種族特性はハーフリングの種族特性である確かな足取りの代わりに取得できる。
適性クラスのレベルを獲得する際の追加技能ランクまたは追加ヒット・ポイントを獲得する代わりに、ハーフリングは他の多くのオプションからボーナスを選ぶことができる。以下に記載された適性クラスを持つ全てのハーフリングはオプションを利用できる。特に明記しない限り、君が選択した記載された適性クラスの恩恵を選択する毎にボーナスは適用される。
クレリック:通常、1レベル時に選択した領域の力の使用回数は3+【判断力】修正値に等しいが、それに+1/2を加えることができる。
バード:秘密の伝言をする際の〈はったり〉、情報収集する際の〈交渉〉、エルフ、ハーフエルフ、人間の子供に変装する際の〈変装〉判定に+1/2する。
パラディン:回復であろうとなかろうと癒しの手のヒット・ポイントに+1/2する。
モンク:組みつきに対する戦技防御値に+1し、朦朧化打撃の判定に1日に1回だけ+1/2する。
レンジャー:得意な敵に対するアーマー・クラスに+1/3の回避ボーナスを獲得する。
ローグ:以下のリストから1つ選択すること:スリング、ダガー、任意の“ハーフリング”と名前についた武器。選択した武器を使っている際のクリティカル・ロールに+1/2(最大4)の状況ボーナスを獲得する。このボーナスは《クリティカル熟練》とは累積しない。