モンスターを創造することは一面では技術、一面では芸術である。モンスターのほとんどは、パワーと能力の全般にわたり、脅威度と関連した一般的なパターンを踏襲するが、例外も多々ある。例えば、一部のモンスターは、同じ脅威度のモンスターの平均と比べて、著しく多いヒット・ポイントや高いアーマー・クラスを持つ代わりに他の分野では弱体である。別のモンスターは、著しく高い平均ダメージを持つが、攻撃ボーナスは低い。
以下のガイドラインは、モンスター創造を補助し、脅威度面でのバランスをとる助けとなるためのものである。
新しいモンスターを創造するための第一歩は、コンセプトとゲームにおける役回りを決定することである。一般的にはモンスターの脅威度、種別、外観、戦い方を決めることだ。これらのデータの基本的な部分を定めたら、比較のために同じ種別で大体同じくらいの脅威度のモンスターをいくつか探そう。
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クリーチャーの種別と脅威度が決まったら、『表:脅威度ごとのモンスターの能力』を使い、その脅威度における大まかな能力を決定する。これらの値は大体のガイドラインに過ぎない。本書に収録されているモンスターの多くがこのガイドラインそのままであるわけではない。ほとんどのモンスターは1つの分野(通常はダメージ量)がガイドラインを超えているが、他の1つか2つの分野が下回っていることでバランスをとっている。『表:脅威度ごとのモンスターの能力』を参照する際は、以下のことを念頭に置くこと。
脅威度:これはモンスターのおおよその脅威度である。この数値はデザインの過程で変更されるかもしれない。
ヒット・ポイント:これはモンスターのおおよその総ヒット・ポイントである。特に高いアーマー・クラスやセーヴィング・スローを持っているクリーチャーや、複数のエネルギー抵抗を持つクリーチャーのヒット・ポイントは低くなるであろうことに注意。大体において来訪者と人造の総ヒット・ポイントは低めである。
アーマー・クラス:これはこの脅威度のクリーチャーにおける平均的なアーマー・クラスである。クリーチャーの防御を考える際にはこの数値を念頭に置くこと。平均よりも高いヒット・ポイントを持つクリーチャーは往々にして代償にアーマー・クラスが低めになる。
高い攻撃ボーナス:これはこの脅威度におけるクリーチャーの平均的な攻撃ボーナスである。この値は、近接ないし遠隔攻撃を主とするクリーチャーのためのものである。平均ダメージが通常よりも高いクリーチャーは、大体において代償に攻撃ボーナスが低めになる。
低い攻撃ボーナス:これは、この脅威度における近接/遠隔攻撃に頼らないクリーチャーの平均的な攻撃ボーナスである。これは戦闘において呪文や擬似呪文能力を主とするクリーチャーのほとんどを含む。
平均ダメージ:これはこの脅威度のクリーチャーが攻撃を命中させた場合に与えるダメージの平均値である。クリーチャーの平均ダメージを決定するには、ダメージ・ダイス全ての期待値(『表:ダイスの期待値』を参照)と攻撃全てのダメージ修正値を合計する。
戦闘において主に近接ないし遠隔攻撃を使用するクリーチャーは、“高”ダメージと“低”ダメージの間の平均的なダメージを与えられるようにするべきである。
通常よりも高い攻撃ボーナスを持つクリーチャーは多くの場合より低いダメージしか与えられないだろうし、一方通常よりも低い攻撃ボーナスを持つクリーチャーは多くの場合より高いダメージを与えることができるだろう。
主要な能力のセーヴ難易度:これは、この脅威度のクリーチャーが戦闘において主として使用する呪文、擬似呪文能力、特殊能力(ブレス攻撃のような)の難易度の平均である。この能力が特に強力な場合は、代わりにセーヴ難易度が低めになるかもしれない。
副次的な能力のセーヴ難易度:これはクリーチャーが戦闘において主として使用するわけではない呪文や特殊攻撃のセーヴ難易度の平均である。一般に、セーヴ難易度はこの値よりも低くするべきではない。
良好なセーヴ:これは、この脅威度のクリーチャーの持つ良好なセーヴィング・スローの平均的なボーナスである。
劣悪なセーヴ:これは、この脅威度のクリーチャーの持つ劣悪なセーヴィング・スローの平均的なボーナスである。
必ずダイス数を掛けてから端数を切り捨てること。例えば、1d4の期待値は2、2d4の期待値は5として扱う。
モンスター創造の次なるステップは、そのヒット・ダイスのおおよその数を決めることである。ヒット・ダイスは多くの他の能力(特技、技能、ヒット・ポイント、攻撃ボーナス、特殊能力のセーヴ難易度)に影響する。
クリーチャーのヒット・ダイスの総数はいくつかの要素に左右されるが、最も重要な2つは脅威度と種別である。『表:クリーチャーのヒット・ダイス』に各クリーチャー種別の脅威度ごとの平均的なヒット・ダイス数が記載されている。本書のモンスターの多くはこれらの値に近いヒット・ダイスを持っているが、そうでないものも一部ある。これはアーマー・クラスの高低やエネルギー抵抗の有無と釣り合いを取るため、このクリーチャーが特に高い、あるいは低いヒット・ポイントを持つためである。
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クリーチャーの平均的な能力が分かったなら、そのサイズを決める番だ。クリーチャーのほとんどは小型から超大型までのサイズであり、それ以外のサイズはあまりない。クリーチャーのサイズは肉体的能力値と肉体武器のダメージ(モンスターの共通ルールモンスターの共通ルールの肉体攻撃の項に記されている。Appendix 3、297~306ページ参照)と比例している。サイズはクリーチャーに想定しているゲーム上の役回りと脅威度に適合したものにするべきである。クリーチャーが脅威度またはヒット・ダイスに対して不釣合いなサイズを持つことにするのなら、そのような食い違いの理由付けをするべきである。ほとんどの場合、そのような普通ではないサイズのモンスターは非常に魔法的な天性を有するだろう。クリーチャーのサイズとそれから予想される能力値の詳細に関しては、『表:サイズ』を参照せよ。
最小脅威度/最大脅威度:これらの値は、そのサイズのクリーチャーが持つべき脅威度の上下限を示す。
基本【筋力】、基本【敏捷力】、基本【耐久力】:これらはこのサイズのクリーチャーの平均的能力値を記している。特別なモンスターの【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】はこれらの値から大幅に変えてもよいが、その場合は、それがその他の能力にどう影響するかを十分に考慮しなければならない。
クリーチャーのサイズ、種別、ヒット・ダイスが決まったなら、能力値に移ろう。能力値から得られるボーナスは、クリーチャーのヒット・ポイント、攻撃ボーナス、セーヴィング・スローを増加させる。その大まかな値は『表:脅威度ごとのモンスターの能力』に記されている。
クリーチャーの肉体的能力値(【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】)は、『表:サイズ』に記載されているサイズごとの基本値に近似するべきである。少ないヒット・ダイスしか持たないがヒット・ポイントは高いモンスターは、通常よりも高い【耐久力】を持つべきである。
クリーチャーの精神的能力値(【知力】、【判断力】、【魅力】)は、クリーチャーのコンセプトによりあらかた定まる。これらの能力値の基本値は全て10である。戦闘において呪文や擬似呪文能力を主として使用するクリーチャーは、精神的能力値の1つ(通常は【魅力】)を、特に高くするべきである。会話をする能力のないクリーチャーの【知力】能力値は1か2である。知性のないアンデッド、人造、粘体、植物、蟲のほとんどは【知力】能力値を持たない。
『表:種別ごとのクリーチャーの能力』を使い、クリーチャーの種別とヒット・ダイスに基づいて、そのクリーチャーの持つ技能ランク数を決定する。それらのランクをクリーチャーのコンセプトに応じて割り当てる。クラス技能はクリーチャーの種別より決められる。低い【知力】しか持たないクリーチャーの大方は、【敏捷力】か【筋力】に基づく技能のランクしか持たない。
技能を割り当てたなら、クリーチャーの特技を決定する。【知力】能力値を有するクリーチャーは、まず最初に1+2ヒット・ダイスごとに1個の特技を取得する(1ヒット・ダイスなら1個、3ヒット・ダイスなら2個、など)。クリーチャーは通常通り技能の前提条件を満たしていなければならない。特技を素早く計算するためには『表1-6』を参照せよ。
基本攻撃ボーナス(良好) |
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『表:脅威度ごとのモンスターの能力』、『表:種別ごとのモンスターの能力』、『表:能力の概要』により、クリーチャーのその他の能力の多くを決定することができる。
クリーチャーのアーマー・クラスを定めるには、まず鎧ボーナス、盾ボーナス、外皮ボーナス、【敏捷力】修正値を足し合わせる。クリーチャーが防具を着用していない場合は、アーマー・クラスの平均に近くなるように頑丈な外皮を与えるべきである。高いヒット・ポイントを有するクリーチャーは低めのアーマー・クラスを持ち、低いヒット・ポイントしか有しないクリーチャーは高目のアーマー・クラスを持つだろう。クリーチャーのアーマー・クラスが平均の±5ポイントから外れているならば、脅威度を見直すべきかもしれない。
クリーチャーの攻撃ボーナスを決定する際には、『表:脅威度ごとのクリーチャーの能力』のガイドラインを参照せよ。ボーナスが低すぎる場合は、クリーチャーの【筋力】または【敏捷力】を増加するか、ダメージ量を平均よりも大きくすることを考えよう。この値が著しく喰い違っており、かつクリーチャーが近接攻撃または遠隔攻撃を主として使用することを想定しているのなら、クリーチャーの脅威度を修正することを考慮せよ。
『表:ダイスの期待値』を使ってダメージ・ダイスの数を決める。それにダメージ・ボーナスを加えると、その脅威度の平均ダメージに届く程にならなければならない。平均ダメージに近づけるために、クリーチャーに1回かそれ以上の追加攻撃を与える必要があるかもしれない。クリーチャーが、呪文など他の特殊能力によるダメージ源を主としているならば、攻撃によるダメージが平均的なものである必要はない。また、『表:ダイスの期待値』を使ってクリーチャーの平均ヒット・ポイントを決定する。プレイヤー・キャラクター・クラスの1レベル目はヒット・ポイントは最大値になることに注意せよ。
クリーチャーのセーヴィング・スローも同様にする。セーヴィング・スローが高すぎる場合は、それの基になっている能力値を変更することを考えよう。
クリーチャーの速度を決定する際には、まず最初に、他の移動モード(穴掘り、登攀、飛行、水泳)があるかどうかを決める。中型モンスターのほとんどの基本速度は30フィートである。四足であったり大型であったりするクリーチャーは、それぞれ10フィートずつ速度を増加させる。クリーチャーが特に速度が速かったり遅かったりする場合は、基本速度を10フィート修正する。穴掘り速度と登攀速度は通常クリーチャーの基本速度の半分であり、飛行速度は大体2倍である。特別な移動モードを有するクリーチャーには対応する技能を与えることを忘れないこと。
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ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
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ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
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ヒット・ダイス(良好) |
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ヒット・ダイス(良好) |
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さまざま(どれか1つ) |
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ヒット・ダイス(良好) |
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ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
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ヒット・ダイス(良好) |
さまざま(どれか2つ) |
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d8 |
ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
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d8 |
ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
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d8 |
ヒット・ダイス × 3/4(平均) |
モンスターがキャラクターと違うのは、彼らがあらゆる種類の特殊能力を持つことができるということである。これらはそれぞれモンスターのコンセプトと結びつき、ゲーム上の特定の役回りを演じることを可能とさせている。例としては本書に収録されているモンスターを見ればよい。モンスターは、モンスターの共通ルールに記載されている特殊能力をいつでも可能なときに使用できるし、代わりに同様の特殊能力を新しく考えてもよい。新しい特殊能力を作る際には、モンスターの共通ルールを雛形として用いればよい。
ダメージをもたらす特殊能力(例えばブレス攻撃のような)のほとんどは、セーヴ(特殊能力ごとに頑健、反応、意志のいずれか)を要求する。ほとんど全ての特殊能力のセーヴ難易度は、10+クリーチャーのヒット・ダイスの1/2+関連能力値の修正値(通常は【耐久力】か【魅力】)に等しい。近接攻撃ないし遠隔攻撃に付与される特殊能力は通常はセーヴを必要としない。それらは攻撃が命中すれば発動する。
特殊な感覚や特定の種類のエネルギーに対する抵抗は、脅威度5以下のクリーチャーによく見られる。ダメージ減少、エネルギーに対する完全耐性、高速治癒は、脅威度6以上のクリーチャーによく見られる。呪文抵抗と完全耐性は、脅威度11以上のクリーチャーで普通に見られるようになる。一般的なルールとして、クリーチャーの呪文抵抗は、脅威度+11に等しい。
宝物(遅い) |
宝物(早い) | |||
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1/8 |
50 |
20GP |
35GP |
50GP |
1/6 |
65 |
30GP |
45GP |
65GP |
1/4 |
100 |
40GP |
65GP |
100GP |
1/3 |
135 |
55GP |
85GP |
135GP |
1/2 |
200 |
85GP |
130GP |
200GP |
1 |
400 |
170GP |
260GP |
400GP |
2 |
600 |
350GP |
550GP |
800GP |
3 |
800 |
550GP |
800GP |
1,200GP |
4 |
1,200 |
750GP |
1,150GP |
1,700GP |
5 |
1,600 |
1,000GP |
1,550GP |
2,300GP |
6 |
2,400 |
1,350GP |
2,000GP |
3,000GP |
7 |
3,200 |
1,750GP |
2,600GP |
3,900GP |
8 |
4,800 |
2,200GP |
3,350GP |
5,000GP |
9 |
6,400 |
2,850GP |
4,250GP |
6,400GP |
10 |
9,600 |
3,650GP |
5,450GP |
8,200GP |
11 |
12,800 |
4,650GP |
7,000GP |
10,500GP |
12 |
19,200 |
6,000GP |
9,000GP |
13,500GP |
13 |
25,600 |
7,750GP |
11,600GP |
17,500GP |
14 |
38,400 |
10,000GP |
15,000GP |
22,000GP |
15 |
51,200 |
13,000GP |
19,500GP |
29,000GP |
16 |
76,800 |
16,500GP |
25,000GP |
38,000GP |
17 |
102,400 |
22,000GP |
32,000GP |
48,000GP |
18 |
153,600 |
28,000GP |
41,000GP |
62,000GP |
19 |
204,800 |
35,000GP |
53,000GP |
79,000GP |
20 |
307,200 |
44,000GP |
67,000GP |
100,000GP |
21 |
409,600 |
55,000GP |
84,000GP |
125,000GP |
22 |
615,000 |
69,000GP |
104,000GP |
155,000GP |
23 |
820,000 |
85,000GP |
127,000GP |
190,000GP |
24 |
1,230,000 |
102,000GP |
155,000GP |
230,000GP |
25 |
1,640,000 |
125,000GP |
185,000GP |
275,000GP |
26 |
2,457,600 |
150,000GP |
220,000GP |
330,000GP |
27 |
3,276,800 |
175,000GP |
260,000GP |
390,000GP |
28 |
4,915,200 |
205,000GP |
305,000GP |
460,000GP |
29 |
6,553,600 |
240,000GP |
360,000GP |
540,000GP |
30 |
9,830,400 |
280,000GP |
420,000GP |
630,000GP |
クリーチャーは脅威度に見合った宝物を持っているべきである。『表:脅威度ごとの経験点と宝物の価格』を参照せよ。クリーチャーの一部は、その財宝は最近の餌食が彼らのねぐらにばら撒いていった戦利品である。他のクリーチャーでは、強欲に溜め込んだ宝物庫であったり、戦闘時に使用する装備品であったりする。クリーチャーが使用する武器や防具については、ステップ7で決定したことと整合するようにしなければならない。
いまやクリーチャーの能力はすべて片付けられた。詳細を詰める時間だ。名前、属性、接敵面、間合い、出現環境、生態について、君のお好きなように。