人間、エルフ、ノーム、ドワーフの現実世界を超えたところに存在の諸次元界として知られる広大な領域がある。大きさと力においてほとんど無限である、この多様な世界は現実の根源的な要素――属性、元素、エネルギーなど――を体現する。それぞれの次元界はそれ自体が1つの宇宙であり、特有の自然法則と固有の住人――来訪者を有する。彼らが神格であれエンジェルであれデヴィルであれデーモンであれ奇妙なクリーチャーであれ、時として定命の者の世界を来訪し、あるいは招請される。次元界には、文字通りあらゆる物もありえ、エキゾチックで恐ろしく驚異的で危険な冒険のための完璧な場所となっている。
存在する諸次元界はいくつもの異なる本質を持つ空間が相互に繋がり織り合わさったものである。稀にしかない連結点を除けば、各次元界は独自の自然法則を持つ独立した宇宙として存在している。次元界はいくつかの一般的なタイプに分けられる。物質界、中継界、内方次元界、外方次元界、擬似次元界である。
存在の諸次元界にはそれぞれ固有の特性――宇宙を統べる自然法則がある。次元界の特性はいくつかの基本項目に分類されている。すべての次元界は以下のような特性を持つ。
物理的特性:これは重力や時間がどう働くかといったことを含めた、次元界の物理法則と自然法則を定める特性である。
元素およびエネルギー的特性:これは特定の元素ないしエネルギーが優勢かどうかを定める特性である。
属性的特性:キャラクターが秩序にして中立や混沌にして善であるのと同様、多くの次元界も特定の道徳観や規律観と結びついている。
魔法的特性:魔法の働きは次元界ごとに異なる。魔法的特性は各次元界で魔法に何ができて何ができないのかを定める。
物理的特性によって定義される最も重要な自然法則が、重力の働き方と時間の流れ方である。他の物理的特性は次元界の大きさや形状、そして次元界の性質の変化させやすさに関連している。
引力の方向が通常と違っているかもしれないし、同一次元界の中でさえ引力の向きがまちまちであるかもしれない。
主観的重力方向を持つ次元界にいるキャラクターは、足元が“下”であることをイメージしながら動けば、固体の表面を普通に移動することができる。空中で立ち往生してしまったとしても、ただ“下”の方向を選んでその方向に“落ちる”だけで、キャラクターは“飛ぶ”ことができる。この方法により、クリーチャーは最初のラウンドに150フィート、以後のラウンドは300フィートずつ“落ちて”いく。この方法では直線的な移動しかできない。止まるためには、“下”の方向を変えて減速しなければならない(この場合も、最初のラウンドで150フィート、以後のラウンドで300フィートずつ新たな方向へ移動する)。
【判断力】判定(難易度16)に成功すれば、1回のフリー・アクションとして新たな重力の向きを設定できる。この判定は1ラウンドに1回行うことができる。この【判断力】判定に失敗したキャラクターは、次のラウンド以降も継続し判定に挑戦するなら、成功するまで+6のボーナスを得る。
時間の流れる速度は次元界ごとに異なる可能性がある(同一次元界の中では一定だが)。時間は常に観察者の主観である。時間の主観性は異なる次元界でも当てはまる。旅人は、次元界を渡るときに時間を短縮したりロスしたりすることに気づくかもしれない。それでも彼ら自身の視点ではいつも普段どおりに時間が流れているのである。
次元界はさまざまな形状と大きさをしたものがある。ほとんどの次元界の大きさは無限か、少なくとも無限と思える程の大きさである。
この特性は、次元界の基本的な自然法則がどのくらい変化させやすいかを示している。自我のあるクリーチャーの思考に感応する次元界もあれば、何らかの物理的手段や魔法的手段に反応する次元界もある。また、極めて強大なクリーチャーにしか操作できない次元界もある。
万物は4種類の基本元素と2種類のエネルギーでできている。元素とは地水火風、エネルギーは正のエネルギーと負のエネルギーの2種である。物質界はこれらの元素とエネルギーの調和を体現した次元界であり、あらゆるものが存在している。内方次元界ではそれぞれ1種類の元素またはエネルギーが優勢を占めている。その他の次元界でも多様な元素特性を示しているかもしれない。次元界の多くは元素およびエネルギー特性を持っていない。次元界がこのような特性を持つ場合は解説にこのことが明記されている。
防護の施されていない木、紙、布、その他の可燃物はほぼ瞬時に着火する。防護の施されていない可燃物を着用している者も着火する。加えて、火元素優勢の次元界にいる間、クリーチャーは毎ラウンド3d10ポイントの[火炎]ダメージを受ける。(水)の副種別のクリーチャーにとって、火元素優勢の次元界の居心地は最悪である。水でできたクリーチャーは毎ラウンド上記の2倍のダメージを受ける。
重度な負のエネルギー優勢の次元界はさらに危険だ。この次元界にいる者は毎ラウンド頑健セーヴ(難易度15)を行わなければならず、失敗するたびに負のレベル1を得てしまう。負のレベルが現在のレベルまたはヒット・ダイス以上になったクリーチャーは死亡してレイスになってしまう。デス・ウォード呪文は旅人を負のエネルギー優勢の次元界から受けるダメージや生命力吸収から守ってくれる。
重度な正のエネルギー優勢の次元界はさらに強烈だ。重度な正のエネルギー優勢の次元界にいるクリーチャーは、頑健セーヴ(難易度15)に失敗すると、周囲の光輝のために10ラウンドの間盲目状態になってしまう。この次元界にただいるだけで“高速治癒5”の変則的能力を獲得する。加えてヒット・ポイントが全快している者は毎ラウンド5ポイントの一時的ヒット・ポイントを獲得する。この一時的ヒット・ポイントはクリーチャーが重度な正のエネルギー優勢の次元界を離れた1d20ラウンド後に消えてしまう。ただし、一時的ヒット・ポイントの量が通常時の合計ヒット・ポイントを超えている状態になったら、クリーチャーは毎ラウンド頑健セーヴ(難易度20)を行わねばならない。セーヴィング・スローに失敗した場合、クリーチャーは制御不能なエネルギーのため爆発して死んでしまう。
一部の次元界は特定の属性に偏る傾向がある。こうした次元界の住人たちは――神格のような強大なクリーチャーでさえ――ほとんどが次元界と同じ属性である。次元界の属性的特性はそこにおける社会活動に影響を及ぼす。住人のほとんどと異なる属性を持つキャラクターにとって、次元界出身の者や状況に対処することは骨の折れることになるだろう。
属性的特性は複数の要素から成り立っている。第一の要素は道徳(善や悪)と規律(秩序や混沌)である。1つの次元界は道徳的要素1種か規律的要素1種、または両方の要素を1種ずつ持つことができる。第2の要素はその道徳的要素と規律的要素の現れ方が軽度か重度かである。次元界の多くは属性的特性を持たない。次元界がこの特性を持つ場合は、解説にそのことが明記されている。
重度な中立属性を持つ次元界は、それ以外の全ての道徳や規律原理――善、悪、秩序、混沌――に対する反対属性である。このような次元界は、異なる考え方を受け入れ認めることよりも、属性間の均衡を取ることに興味があるかもしれない。他の重度な属性を持つ次元界と同じように、重度な中立属性の次元界では中立属性以外のクリーチャーは【知力】【判断力】【魅力】に基づく全ての判定に-2の状況ペナルティを被る。このペナルティは2重に適用され(1回は善/悪、1回は秩序/混沌)、中立にして善、秩序にして中立、混沌にして中立、中立にして悪のクリーチャーは-2のペナルティ、秩序にして善、混沌にして善、秩序にして悪、混沌にして悪のクリーチャーは-4のペナルティを被る。
魔法的特性はその次元界で物質界と比べて魔法がどう作用するかを表している。次元界の中の特定の場所(神格の直接的な支配下にある場所)では、異なる魔法的特性が働いていることもある。
d% |
|
---|---|
01~19 |
|
20~23 |
|
24~27 |
呪文は失敗する。しかし呪文の目標ないし目標たちの上に小さな物体(花から腐った果実まで何でもありうる)が雨のように降り注ぐ。物体は命中すると消えてしまう。この雨は1ラウンド降り続ける。その間、目標となった者は盲目状態となり、呪文を発動するには精神集中判定(難易度15+呪文レベル)を行わなければならない。 |
28~31 |
呪文はランダムな目標ないし範囲に効果を現す。呪文の範囲内にいる狙ったのと異なる目標1つをランダムに選択するか、呪文の範囲内のランダムに選んだ場所を効果の中心にすべきである。方向をランダムに決定するには、1d8し、南から時計回りに方角を数えること。距離をランダムに決める場合は3d6を振り、近距離呪文は出目を5倍、中距離呪文は20倍、遠距離呪文は80倍した値のフィート数とする。 |
32~35 |
呪文は通常通り機能するが、何も物質要素が消費されない。呪文が術者の精神から消費されることもない(呪文スロットや準備してあった呪文を再び使用できる)。アイテムはチャージを消費しない。この発動はアイテムや擬似呪文能力の使用回数制限に数えない。 |
36~39 |
|
40~43 |
呪文は機能しない。代わりに術者を中心とした半径30フィートの範囲に2d4ラウンドの間ディーパー・ダークネスとサイレンスの効果がかかる。 |
44~47 |
呪文は機能しない。代わりに術者を中心とした半径30フィートの範囲にリヴァース・グラヴィティの効果がかかる。 |
48~51 |
呪文は機能する。きらめく色彩の渦が1d4ラウンドの間術者を取り巻く。これはグリッターダスト(セーヴ難易度10+この効果を発生させた呪文のレベル)として扱う。 |
52~59 |
何も起こらない。呪文は機能しない。物質要素は消費されてしまう。呪文や呪文スロット、アイテムのチャージ数は消費されてしまう。この発動はアイテムや擬似呪文能力の使用回数制限に数える。 |
60~71 |
何も起こらない。呪文は機能しない。物質要素は消費されない。呪文が術者の精神から消費されることもない(呪文スロットや準備してあった呪文を再び使用できる)。アイテムはチャージを消費しない。この発動はアイテムや擬似呪文能力の使用回数制限に数えない。 |
72~98 |
|
99~100 |
呪文はより強力に機能する。この呪文に対するセーヴィング・スローは-2のペナルティを被る。呪文は《呪文威力最大化》特技を使用して発動したかのように、最大の効果を発揮する。呪文がすでに《呪文威力最大化》済だった場合、さらに威力が大きくなるということはない。 |
パスファインダーRPGの宇宙観では、次元界はまとめて大いなる彼方として知られ、広大な入れ子状の球体を形作る。球体の中心には物質界とその歪んだ鏡像である影界があり、エーテル界の霧で繋げられている。この中心を内方次元界の元素界が取り巻いている。その外側には、アストラル界の虚空を越えて、想像もできないほど広大な外方次元界があり、それら自体を包むように無数の階層をもつアビスを内包している。
大いなる彼方を構成する次元界を以下で簡潔に説明する。これらの次元界に関する更なる情報は、Pathfinder Chronicles:The Great Beyondを参照すること。
物質界はほとんどの宇宙観の中心をなし、何が通常であるのかを定義づける。ほとんどのキャンペーン世界がある次元界である。
物質界は以下の特性を持つ:
元素およびエネルギー的特性無し:しかし特定の場所ではこれらの特性があるかもしれない。
通常の魔法的特性
影界は物質界に隣接しかつ併存する、薄暗い光に照らされた次元界である。影界はエーテル界と同じように物質界と重なり合っており、次元旅行者は長大な距離を迅速に移動するために影界を利用することができる。影界はまた、他の次元界と隣接している。適切な呪文を使うことで、君は影界から他の世界を訪れることができる。影界は白と黒の世界である。周囲のものは色彩が抜け落ちてしまったように見える。それ以外の点では物質界と同じように見える。光源が無いにもかかわらず、多くの植物、動物、人型生物が影界を故郷としている。
影界は以下の特性を持つ:
魔法による変動性:影界の一部は常に他の次元界に流れ込んでいる。結果として、この次元界では目印となる地形があるにもかかわらず、精細な地図を描くことは、ほぼ不可能になっている。加えて、シャドウ・カンジュレーションやシャドウ・エヴォケーションのような特定の呪文は影界の基本的な構成物質を改変する。これらの呪文の影界における効能とパワーは、探検者にとっても原住クリーチャーにとっても極めて役立つ物である。
軽度な中立属性
魔法の増強:影界では[操影]の補足説明を持つ呪文が増強される(訳注:ルールによれば操影/shadowは補足説明[操影]でなく副系統(操影)である)。さらに、影界では特定の呪文が強力になる。シャドウ・カンジュレーションやシャドウ・エヴォケーションの呪文はそれらの呪文が模倣しようとした召喚術、力術の(20%ではなく)30%の強度を持つ。グレーター・シャドウ・カンジュレーションやグレーター・シャドウ・エヴォケーションは(60%ではなく)70%の強度を、そしてシェイズの呪文は元の呪文の(80%ではなく)90%の強度で召喚を行う。影界は闇の性質を持つにもかかわらず、暗闇を生成したり、使ったり、操作したりする呪文には何ら影響を及ぼさない。
魔法の阻害:[光]の補足説明を持っていたり、光や火を使ったり生成したりする呪文を影界で発動しようとすると阻害される。影界ではすべての光源の効果範囲が半分になってしまうため、光を発する呪文は概して効果が弱まってしまう。
負のエネルギー界には見るべきものはほとんど無い。暗く空虚な、無限の落とし穴であり、そこに落ち込んだ旅行者は次元界自体によって光と命を奪い去られるまで落下し続ける。負のエネルギー界は内方次元界の中で最も過酷な世界であり、生命を育んだり許容したりといったことから最も縁遠い。ここでは生命を吸収するエネルギーに完全耐性を持つクリーチャーしか生き残ることができない。
負のエネルギー界は以下の特性を持つ:
重度な負のエネルギー優勢:この次元界の中には軽度な負のエネルギー優勢でしかない地域もあり、そのような島状の部分には住人がいることが多い。
魔法の増強:負のエネルギーを使用する呪文や擬似呪文能力は増強される。負のエネルギーを用いるクラス能力、たとえば負のエネルギー放出は、この能力に抵抗するためのセーヴ難易度に+4のボーナスを得る。
魔法の阻害:正のエネルギーを使用する呪文や擬似呪文能力(キュア呪文を含む)は阻害される。キャラクターはこの次元界においては生命力吸収によってもたらされた負のレベルを回復するためのセーヴィング・スローに-10のペナルティを受ける。
正のエネルギー界には地表というものが無く、風の元素界に似た広大で開けた世界である。次元界を構成する全ての物が内包する力によって輝いている。この力は定命の者に扱える範疇を越えており、むしろ危険である。次元界の与える有益な性質にもかかわらず、ここは内方次元界の中で最も危険な場所の1つである。この次元界にいる防護されていないキャラクターの体内には正のエネルギーが無理矢理流し込まれ蓄積されていく。いずれ定命の者はその力を保持しておくことができなくなり、超新星に巻き込まれた小さな星屑のように焼き尽くされてしまうのである。正のエネルギー界への訪問は短期間に留め、かつ十分な防護をしていく必要がある。
正のエネルギー界は以下の特性を持つ:
重度な正のエネルギー優勢:この次元界の中には軽度な正のエネルギー優勢でしかない地域もあり、そのような島状の部分には住人がいることが多い。
魔法の増強:正のエネルギーを使用する呪文や擬似呪文能力は増強される。正のエネルギーを用いるクラス能力、たとえば正のエネルギー放出は、この能力に抵抗するためのセーヴ難易度に+4のボーナスを得る。
風の元素界は上にも下にもただ空だけが広がっている空っぽな次元界である。風の元素界は内方次元界の中で最も快適で生き残りやすい場所である。そこにはありとあらゆる種類の飛行クリーチャーが住んでいる。実際、飛行できるクリーチャーはこの次元界では非常に有利である。飛行できない旅行者たちも、苦労せずに生き残れる世界だが、それなりの不利を被ることになる。
風の元素界は以下の特性を持つ:
魔法の増強:[風]の補足説明を持っていたり、風や空気を使用したり、動かしたり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(風の領域や元素[風]の血脈のものを含む)は増強される。
魔法の阻害:[地]の補足説明を持っていたり、地面や土を使用したり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(地の領域や元素[地]の血脈のものやアース・エレメンタルや(地)の副種別を持つ来訪者の招来を含む)は阻害される。
地の元素界は土、石などの固体でできた世界である。用心を怠った旅行者はこの圧倒的な質量の只中で生き埋めになり、押し潰されて命を落とし、粉々になった遺体が後に続こうとする愚か者への警告として残るのみとなる。地の元素界はびっしりと固い物質の詰まった世界ではあるが、その密度は所によってさまざまであり、比較的柔らかい土でできた場所もあれば、もっと濃密で価値のある金属の鉱脈もある。
地の元素界は以下の特性を持つ:
魔法の増強:[地]の補足説明を持っていたり、土や石を使用したり、動かしたり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(地の領域や元素[地]の血脈のものを含む)は増強される。
魔法の阻害:[風]の補足説明を持っていたり、風や空気を使用したり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(風の領域や元素[風]の血脈のものや、エア・エレメンタルや(風)の副種別を持つ来訪者の招来を含む)は阻害される。
火の元素界ではあらゆる物が燃えている。地面は常に形を変え続ける高密度の炎の板に過ぎない。大気は永遠に続く炎の嵐のせいで波打ち、もっともよく見かける液体はマグマである。海は液体の炎で満たされ、山々は溶けた溶岩を吐き出している。ここでは火は燃料や空気が無くても燃え続けることができるが、可燃物が持ち込まれたら、いとも簡単に焼き尽くされてしまう。
火の元素界は以下の特性を持つ:
魔法の増強:[火炎]の補足説明を持っていたり、火を使用したり、動かしたり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(火の領域や元素[火炎]の血脈のものを含む)は増強される。
魔法の阻害:[水]の補足説明を持っていたり、水を使用したり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(水の領域や元素[水]の血脈のものや、ウォーター・エレメンタルや(水)の副種別を持つ来訪者の招来を含む)は阻害される。
水の次元界は海底も無ければ海面も無い海であり、完全に液体で満たされ、乱反射する光によって照らされている。液体を呼吸する手段さえ確保できれば、内方次元界の中では旅行者にとって比較的快適な場所と言える。
この次元界の永遠の海の温度は氷点から沸点までさまざまであり、塩水の部分もあれば真水の部分もある。水は絶え間なく流動し、海流と潮の満ち引きにより撹拌されている。この次元界における恒久的な居住地は無限の液体の中を漂う漂流物やガラクタの周囲に形成される。
水の元素界は以下の特性を持つ:
主観的重力方向:ここでの重力は風の次元界と似た形で働く。ただし水の次元界では風の次元界と比べて沈んだり浮いたりする速度が遅い(そして危険も少ない)。
魔法の増強:[水]の補足説明を持っていたり、水を使用したり、動かしたり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(水の領域や元素[水]の血脈のものを含む)は増強される。
魔法の阻害:[火炎]の補足説明を持っていたり、火を使用したり、創造したりする呪文や擬似呪文能力(火の領域や元素[火炎]の血脈のものやファイアー・エレメンタルや(火)の副種別を持つ来訪者の招来を含む)は阻害される。
エーテル界は物質界やしばしば他の次元界とも併存する。エーテル界から物質界を見ることはできるが、色褪せた不明瞭な視界しか得られない。色彩はにじんで混ざり合い、輪郭はぼやけて見える。
エーテル界から物質界を見ることができるにも関わらず、物質界にいる者は普通エーテル界を見ることができない。通常はエーテル界にいるクリーチャーが物質界にいるクリーチャーを攻撃することはできないし、物質界にいるクリーチャーがエーテル界にいるクリーチャーを攻撃することはできない。物質界にいる者にとって、エーテル界を旅している者は不可視状態かつ非実体状態であり、全く音を立てない。
エーテル界は以下の特性を持つ:
軽度な中立属性
通常の魔法:呪文はエーテル界において通常通り機能するが、物質界には影響を及ぼさない。その唯一の例外は[力場]の補足説明を持つ呪文および擬似呪文能力と、エーテル界の存在に作用しうる防御術の呪文および擬似呪文能力である。物質界にいる呪文の使い手がエーテル界にいる敵を[力場]呪文の目標にする場合、何らかの手段でその敵を探知していなければならない。物質界から発動した[力場]呪文でエーテル界の敵を攻撃できるが、その逆を行うことはできない。[力場]による攻撃を含めて、いかなる魔法攻撃もエーテル界から物質界へ影響を及ぼすことはできないのである。
アストラル界は内方次元界と外方次元界の間にあり、全ての次元界と隣接している。キャラクターが次元間ポータルを通ったり、自分の霊魂を他の存在の次元界に投射したりするときには、アストラル界を通過して移動している。同一の次元界で瞬間移動を行うような呪文も、ほんのわずかの間アストラル界に接触しているのだ。アストラル界は上にも下にも澄み切った銀色の空が広がる果てしない世界である。時折固体の物質があるものの、アストラル界のほとんどは果てしない、さえぎる物も無い空間である。
アストラル界は以下の特性を持つ:
無時間:加齢、飢え、渇き、災厄(病気、呪い、毒など)、自然治癒はアストラル界では機能しないが、旅行者がアストラル界を離れると機能は再開する。
軽度な中立属性
魔法の増強:アストラル界で使用される全ての呪文および擬似呪文能力は、あたかも《呪文高速化》または《擬似呪文能力高速化》により強化されているかのように働く。すでに高速化されている呪文および擬似呪文能力、そして魔法のアイテムからの呪文はこの作用を受けない。《呪文高速化》特技を用いた場合と同様、高速化した呪文または擬似呪文能力を発動できる回数は1ラウンド1回だけである。
うんざりするような空の下に広大な荒野が広がる領域であるアバドンは、絶えず黒い霧と、終わりの無い日食による陰鬱な黄昏に包まれている。有毒なステュクス川はアバドンに源を発し、ねじくれた蛇のように他の次元界へうねり流れていく。アバドンは恐らく外方次元界で最も危険な場所である。秩序と混沌との闘争にかかわりの無い純粋な悪のフィーンドであるダイモンの故郷であり、彼らは滅亡と破壊を体現する。神に近い存在であるアークダイモンに率いられるダイモンは、魂を貪り喰らう者として大いなる彼方中で怖れられている。
アバドンは以下の特性を持つ:
強度な悪属性
ありえないほど分厚い玉ねぎの皮のように外方次元界を覆う、層を成す次元界アビスの入り口は、ステュクス川の毒水によって囲まれた、外方次元界の最も外側にある巨大な渓谷や口を開けた裂け目にある。アビスの無限の階層は全ての外方次元界に接しており、またお互いに常に変動する通路によって結ばれている。アビスには一切のルール、法、秩序、そして希望が無い。アビスは濫用される自由と終わることの無い恐怖に満ちた悪夢の領域であり、欲望も苦痛も悪魔めいた形で存在する。アビスは大いなる彼方で最も古い存在の1つであるデーモンの無数の種族がひしめく場所なのだから。
アビスは以下の特性を持つ:
飼い馴らせない自然と奔放な情熱に満ちた広大な地エリュシオンは、恵み深い混沌の次元界である。ここでは自由と自己充足が豊富にあり、この次元界の住人であるアザータの中で具現化している。エリュシオンでは、無私の協力と激しい競争が荒れ狂う雷雨の勢いでせめぎあっているが、このような諍いが、規則や法律によって妨げられる事のない勇気、創造性、善行という高遠な理念を翳らせることは無い。
エリュシオンは以下の特性を持つ:
ニルヴァーナはエリュシオンとヘヴンという両極の間にある偏りの無い楽園である。驚倒するような山、うねるような丘、深い森は、すべて牧歌的な楽園という来訪者の期待に沿うようなものであるが、ニルヴァーナには啓発に導くような神秘もまた存在する。ニルヴァーナは贖罪と啓蒙を求める全ての者のための避難所であり安息所である。ニルヴァーナの住人であるアガシオンはニルヴァーナの謎を守るため自らの超絶性を望んで遅らせているが、このセレスチャルの存在は全次元界で悪の勢力と戦っている。
ニルヴァーナは以下の特性を持つ:
強度な善属性
あらゆる魂は裁きを受けるためにパーガトリー(煉獄)を通過してから大いなる彼方での最終的な目的地に送り込まれる。死者の裁きのための無味乾燥で音が響きわたる法廷とともに、パーガトリーの陰鬱な領域には広大な墓地と荒野がある。パーガトリーは、存在の二元論的な性質を体現しお互いとそして自分自身と常に争い手を結んでいる種族アイオーンの故郷である。
パーガトリーは以下の特性を持つ。
雲にそびえるヘヴン山は、外方次元界を見下ろしてそびえ立っている。名誉と同情心を兼ね備えたこの秩序の領域は、7つの階層に分かたれている。ヘヴンの山肌にはよく計画された秩序だった都市と、小ぎれいに耕された庭園や果樹園がたくさんある。ヘヴンの住人であるアルコンは、かつては定命のものとして存在していた者だが、秩序と善を同じ貴き理念の分かつことができない半面だとみなしており、混沌と悪の宇宙的な跳梁に立ち向かうために隊列を組む。
ヘヴンは以下の特性を持つ:
9層をなすヘルは計算高い悪が構築した迷宮であり、そこでは純化と調和した苦しみが与えられる。鋼鉄都市、燃え上がる荒野、凍てついた氷河、終わりなく噴火する火山など、ヘルは重なり合う9つの階層に分たれており、それぞれがアークデヴィルの悪意ある支配下にある。拷問、苦悶、苦痛はヘルでは避けられないものだが、それは悪意や欲望によるものではなく手段であり、慎重に立てられた大計画のためにヘルの下級デヴィルたちの注意深い監視の下に行われる。地獄の9階層は、上から順にアヴェルヌス、ディス、エレブス、プレゲトン、ステュギア、マーレボルジェ、コキュートス、カニア、ネッソスである。
ヘルは以下の特性を持つ:
ユートピアはリンボの混沌とアビスの無数のデーモン軍団に立ち向かう秩序の砦である。永遠の完全性の巨大都市ユートピアの街路と建築物は建築学と美学の模範であり、全ての物が秩序立てられ偶然に起きることは何も無い。ユートピアを支配する単独の種族というものは無いが、アクシアマイトとイネヴァタブルがここを故郷とし、彼らの完全なる都市を拡張するため永遠の努力を続けている。
ユートピアは以下の特性を持つ。
束縛できない混沌と、利用されていない可能性に満ちた環境からできた広大な大洋は外方次元界のそれぞれと隣接している。これが、美しく危険な真の無限、リンボ(辺獄)である。他の次元界の全てはその底知れぬ深みから生まれ、いつか全ての被造物はその無秩序な深みに帰るだろう。リンボの形なき海が他の次元界の岸辺に打ち寄せるところではその物質は安定性を幾分得て、旅をするのが最も安全な場所はそのような境界線となるが、リンボの混沌で歪められた住人に脅かされる危険は未だ孕んでいる。次元界の深みに向かうほど、リンボの住人であるプロティアンが始原の混沌の中で舞い、測り知れないほど気ままに混沌物質を創造し、破壊している。
リンボは以下の特性を持つ: