戦闘の潮汐には遥かに多くの差異があり、単なる突撃からの打ち据えと斬りつけから、敵の防備の下へ転がってのより優位な位置からの攻撃まである。パスファインダーRPGの戦闘ルールは詳細かつ柔軟だが、戦闘の各瞬間の一撃一撃の表現の要求は必要不可欠ではない、戦闘の模倣の提供を意図している。例えばダメージを与えない攻撃ロールは、攻撃者の刃が相手の鎧に逸らされた事を、魔法的な力場に弾かれた事を、あるいは単に避けられた事を意味するかもしれない。同様に、このゲームは通常の拳打と耳への死に物狂いの張り手を区別しない。多くのGMが自らの激突の中で楽しんでいる多数の解釈的な要素を引き離すことなく、ここの戦技は突飛さから一歩引いた彩り豊かな新たな戦術の多様性を提供する。こうした技は、いくつかの興奮するような戦闘での新しい選択肢を提供し、映画のような詳細をより高い水準で激突に加えてくれる。
戦技によってキャラクターは戦闘で、単なる武器での攻撃や呪文の発動ではない特別なアクションを行えるようになる。Pathfinder RPG Core Rulebookはキャラクターが行える最も一般的な種類の戦技を包括しているが、戦技の構造は広範な手妻と妙技に使用できる。
以下の4つの戦技では他の戦技全て用のルールと同じものを使える。それぞれはキャラクターへの攻撃に攻撃ロールを要求し、通常の攻撃ボーナスの代わりに戦技ボーナスを加える。目標の戦技防御値以上の結果の場合、その戦技は成功する。引きずりと位置ずらしの戦技は攻撃者のロールが目標の戦技防御値をどれだけ超過したかによって成功の水準が変わる。
君は1回の標準アクションとして、近接している敵を煩わせようと試みることができる。この戦技は1体の敵に短時間ペナルティを科す、あらゆる種類の状況を利用する攻撃を包括する。例としては、敵の顔面に砂を蹴りかけ1ラウンドの間盲目状態にする、敵のズボンを引きずりおろし移動速度を半分にする、敵の急所を打って1ラウンドの間不調状態にする、などがある。GMはこの戦技で何ができるかを決定する権限を持つが、永続的なペナルティを科すために使用することはできず、その結果は目標が1回の移動アクションを消費することで取り除くことができる。《裏技強化》特技や同様の能力を有していない限り、裏技はその目標からの機会攻撃を誘発する。
攻撃が成功したなら、目標はペナルティを被る。ペナルティは以下にあげる状態の1つに限定される:怯え状態、絡みつかれた状態、聴覚喪失状態、不調状態、目が眩んだ状態、盲目状態。この状態は1ラウンドの間続く。攻撃が敵の戦技防御値を5上回るごとに、ペナルティが継続するラウンドを1追加する。このペナルティは通常目標が1回の移動アクションを消費することで取り除かれる。《上級裏技》特技を有している場合は、ペナルティは1d4ラウンドと、それに加えて攻撃が敵の戦技防御値を5上回るごとに1ラウンド継続する。さらに、状態を取り除くためには目標は1回の標準アクションを消費しなければならない。
君は1回の標準アクションとして、1体の敵を引きずり回すことを試みることができる。引きずりを試みられるのは自分より1段階サイズの大きい相手までである。この戦技の目的は、1体の敵に害を与えることなく、君の後に続くように一直線に引きずることである。《引きずり強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、引きずりはその目標からの機会攻撃を誘発する。
攻撃が成功したなら、君と目標は5フィート後方へ移動し、敵は君が元いた位置を占め、君はその後方の位置へ一直線に移動する。攻撃ロールが目標の戦技防御値を5上回るごとに、5フィート引き込む距離を追加できる。この戦技を使用するためには、君は目標と共に移動できなければならない。もし君が十分な移動速度を有していないなら、引きずりは君が可能な最大の移動距離まで続いて、終了する。
引きずりにより移動された敵は、この移動により機会攻撃を誘発しない。しかし、君が《上級引きずり》特技を持っているならば誘発する。君は引きずりによってクリーチャーを固体や障害物で占められたマスに移動させることはできない。引きずりの経路に他のクリーチャーがいる場合、引きずりはそのクリーチャーに隣接するマスで終了する。
安定性:一部のキャラクターや数種のクリーチャーは特に確かな足取りを持ち、戦場において投げ飛ばしたり移動させたりするのがより困難である。突き飛ばしに対する戦技防御値にボーナスを与える何らかの種族特性は、引きずりの戦技に対しても同じだけのボーナスを与える。
君は1回の標準アクションとして、1体の敵の位置をずらすことを試みることができる。位置ずらしを試みられるのは自分より1段階サイズの大きい相手までである。位置ずらしは1体の敵に害を与えることなく自分の位置と関連がある他の位置に移動させる。《位置ずらし強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、位置ずらしはその目標からの機会攻撃を誘発する。この戦技で敵を、落とし穴や火の壁などの本質的に危険な場所へ移動させることはできない。攻撃が成功したなら、目標を5フィート新しい位置へ移動させることができる。攻撃ロールが目標の戦技防御値を5上回るごとに、5フィート移動させる距離を追加できる。目標は移動の最後の5フィートを除き、君の間合いの中にいなければならない。最後の位置は君の間合いにあるマスに隣接する場所であってもよい。
位置ずらしにより移動された敵は、この移動により機会攻撃を誘発しない。しかし、君が《上級位置ずらし》特技を持っているならば誘発する。クリーチャーを固体や障害物で占められたマスに移動させることはできない。
君は1回の標準アクションとして敵から1個のアイテムを取ることを試みることができる。この戦技によって、保持されていたりバッグや背負い袋に隠されていたりしないアイテムを近接している敵から取ることができる。この戦技を行うためには、少なくとも1本の手が自由な状態(何も持っていない)でなければならない。判定を行う前に取ろうとするアイテムを選択しなければならない。単にベルトに挟まれていたり緩くつけられているだけのアイテム(ブローチ、ネックレスなど)は取るのが容易い。敵にしっかりとつけられているアイテム(クローク、鞘に入っている武器、ポーチなど)は取るのがより困難であり、敵は戦技防御値に+5(あるいはそれ以上)のボーナスを得る。堅く身につけられているアイテム(鎧、背負い袋、ブーツ、衣服、指輪など)はこの戦技では取ることができない。手に保持されているアイテム(使われている武器やワンドなど)も盗み取りの戦技では取ることはできず、かわりに武器落としの戦技を使わなければならない。GMはどのアイテムを取ることができるかを最終的に決定する。《盗み取り強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、盗み取りはその目標からの機会攻撃を誘発する。
この戦技は目標が間合いの中にいる場合にのみ使うことができるが、君は攻撃ロールに-4のペナルティを受け、ウィップを使って間合いの中にいる目標から物を盗み取ることができる。
攻撃が成功したなら、敵から1個のアイテムを取ることができる。取ろうとするアイテムに手が届かなければならない(GMの決定による)。《上級盗み取り》特技を持っていない限り、敵は即座に盗み取られたことに気づく。