標準的なパスファインダー・ロールプレイング・ゲームのキャンペーンは鉄と鋼の中世と初期ルネサンスの時代に似た時間の中で行われる。しかし、この時代に設定されているファンタジーのキャンペーンでさえ、鉄およびいくつかの金属加工を完全に欠いている文化は存在する。時として、こうした欠損は地理的な隔絶、資源の不足、強力な君主による弾圧、あるいは社会的な禁忌によるものである。その他、キャンペーンは中世以前の時代、あるいは黙示録の生存者たちが彼らに漁ることのできる最高の道具で生計を捻り出す闇の未来に設定されるかもしれない。
原始的なキャンペーンは技術レベルに基づいて大きく2つのカテゴリに分類することができる。第一には金属すべてが未知である石器時代。第二には金属製の武器が存在するものの、鉄と鋼は理解されていないか稀少である青銅器時代である。
以下のセクションではこれらの大まかなカテゴリの両方のための一般ルール、およびそれぞれの時代で使用することのできるいくつかの新しい武器を紹介する。
標準的な冒険の装備品は作業によく適した素材で製作されている。一方、原始的な装備品はしばしば性能的に劣る利用可能な最高の素材から製作されている。時にはこれらの違いは指呼の間ほどの差でしかないが(最もありふれた装備品やアイテムのように)、武器と防具の場合には、これらの違いは簡単には見過ごせないものになる。
以下に記述される全ての特殊な素材は、「パスファインダーRPGに見られる武器用の標準的な素材」とは僅かに異なる働き方(大抵は悪くなる)をさせる、独自のルールと例外を有する。これらの素材のいくつかは壊れやすい性質を与える──この性質は武器と防具の双方に適用することができる。
壊れやすい/Fragile:壊れやすい武器および防具は打たれ強く作ることができない。使用者がこの武器による攻撃ロールで出目1を振った場合、壊れやすい武器は破損状態になる。壊れやすい武器が既に破損状態であった場合、出目1をロールすると代わりに破壊される。
壊れやすい性質を持つ防具は重い打撃が命中したときに崩れる。攻撃者が壊れやすい防具を着用したクリーチャーへの攻撃ロールで20の出目をロールしてクリティカル可能状態になり命中させた場合(そのクリーチャーがクリティカル・ヒットに対する完全耐性を持つ場合でさえ)、防具は破損状態になる。既に破損状態であった場合、防具は代わりに破壊される。壊れやすい防具は20ではない出目によって引き起こされたクリティカル可能状態によって破損または破壊されることはない。したがって19~20または18~20のクリティカル可能域を持つ武器を使用しているクリーチャーがこの防具の着用者に20より小さな出目をロールしたクリティカル・ヒットを確定させた場合、そのクリティカル・ヒットが防具を破損させたり破壊する可能性はない。
高品質および魔法の壊れやすい武器および防具はアイテムの説明または特殊な素材の説明に特記ない限り、これらの欠陥を失っている。
骨は木と鉄の代わりに武器および防具に使用することができる。角、殻、および象牙のようなその他の動物由来の素材もまた骨の武器と防具のルールを使用する。骨の武器または防具の価格はその種類の通常の武器または防具の市価の半分である。
武器:軽い武器および片手近接武器はもちろん、殴打ダメージのみを与える両手近接武器も骨で製作することができる。スピアのように柄を持つ両手武器は矢尻にできるのと同様に骨の切っ先を製作できる。その他の両手武器は骨で製作することはできない。
骨の武器はその基本武器の半分の硬度を持ち、壊れやすい武器の性質を備える。高品質の骨の武器もまた壊れやすい武器の性質を備えるが、魔法の骨の武器は備えない。骨の武器はダメージ・ロールに-2ペナルティを受ける(最小1ダメージ)。
防具:スタデッド・レザー、スケイル・メイル、ブレストプレート、および木製シールドはすべて骨を使用して構築することができる。骨は防具の金属部品を置き換えるか、木製シールドの場合には大きな部分の骨か殻を木材と置き換えるかのいずれかである。
骨の防具は硬度5と壊れやすい防具の性質を備える。高品質の骨の防具もまた壊れやすい性質を備えるが、魔法の防具は備えない。骨の防具の鎧/盾ボーナスが1減少するが、スタデッド・レザーの場合は防具による判定ペナルティもまた1減少する(0になる)。
鉄と鋼の出現する以前、青銅は世界を支配した。この容易に作業できる金属は鉄の代わりに武器と防具の双方に使用することができる。簡略化のため、真鍮、銅、あるいは錫または同種の金属要素は、実際の青銅の方がこれらの金属よりも硬く信頼性が高いにも関わらず、以下のルールを使用することができる。
武器:軽い武器および片手武器は青銅で製作することができる。同様に、スピアの先端、矢尻、およびアックスの頭部も、それらが両手武器の一部であってさえ青銅で製作することができる。青銅は全体が金属製の両手武器に使用するには脆すぎ、青銅器時代の装備品のセクションで提供されるロンパイアを例外として、一般に竿状武器を製作するためには使用できない。
青銅の武器はその基本武器の硬度を持つが、壊れやすい性質もまた備える。青銅の武器は同種の鉄製の武器と同じダメージを与え、同じ価格と重量を持つ。
防具:青銅は全体が金属からなるか金属製の部品を有するいずれかの中装鎧または軽装鎧を製作するために使用することができる。青銅製の防具は鉄製の防具と同様にクリーチャーを保護するが、壊れやすい性質を持つ。青銅の防具はその種別の通常の鉄製の防具と同じ価格と重量を持つ。青銅の防具は硬度9を持つ。
一般的には儀礼的な武器と防具にのみ使用される、黄金で作られた金属製の装備品は、壊れやすく、重く、そして高価である。多くの場合、黄金の鎧は完全に黄金で構築されるのではなく金メッキされる。以下のルールは金メッキではなく完全に黄金で構築された稀少なアイテムのためのものである。
金メッキされたアイテムは武器と防具の基本価格を3倍にし、金メッキする前のアイテムと同等の性能を備える。純粋に金で構築されたアイテムはその種別の通常のアイテムの価格の10倍の価格である。黄金のアイテムはその種別の一般的な武器または防具よりも50%余分に重い。
武器:金はほとんどの場合きちんとした刃を保持するには柔らかすぎるが、刺突または斬撃ダメージを与える軽い武器は金または金に近い合金で構築することができる。これらはダメージ・ロールに-2ペナルティを負う(最小1ダメージ)。
金の武器はその基本武器の半分の硬度と壊れやすい性質を備える。
防具:金は金属製の軽装鎧または中装鎧に形成することができる。この金属の柔らかさと重さは鎧/盾ボーナスを2減少し、防具による判定ペナルティを2増加させる。金の防具は硬度5と壊れやすい性質を備える。(第3刷更新)
この黒い火山性ガラスは非常に鋭利であり、刺突および斬撃ダメージを与える様々な武器に成型することができる。強化した木材の全体に黒曜石の細片を挿入して作成する効果的な剣はテルビーチェと呼ばれる。
黒曜石の武器の価格はその種類の基本アイテムの半分であり、重量はその種類の基本アイテムの75%である。
武器:黒曜石は刺突または斬撃ダメージを与える軽い武器および片手武器はもちろん、スピアの先端や矢尻を製作するために使用することができる。
黒曜石の武器はその基本武器の半分の硬度と壊れやすい性質を備える。
防具:黒曜石の壊れやすいガラスの性質は鋭い切っ先と刃を作るのに最適だが、それと同じ性質が防具を製作するためには不適切となる。防具は黒曜石によって構築することができない。
石器時代の武器はほとんど常に何らかの方法で石を利用している。木製の柄に岩を打ち付けて作成された黎明期のメイスとアックスから、燧石のナイフと石の矢尻まで、これらの原始的な武器は依然として致命的である。
石の武器の価格はその種類の基本アイテムの1/4であり、重量はその種類の基本アイテムの75%である。
武器:軽い武器および片手殴打武器、スピア、アックス、ダガー、および矢尻はすべて石で作ることができる。(第3刷更新)
石で作られた武器はその基本武器の半分の硬度と壊れやすい性質を備える。
防具:防具は通常は石によって構築することができないが、多くの場合、ドワーフまたはその他の石を活用する文化によって錬金術的に強化された石の防具が存在する。
使用される金属の欠乏が石器時代の文化を定義している。燧石の槍の切っ先や玄武岩の研石などのように遍在する石器からその名が導かれている一方で、粘土、動物の皮革、木、枝角、およびその他の天然素材から作られたアイテムに溢れている。金属は小規模な銀、金、銅、および錫の鉱床のみならず、しいじられないほど稀少な隕鉄に限定されており、すべては叩き出しと成型を通じて利用された。石器時代のキャンペーンにおける金属製のアイテムは、標準的なキャンペーンにおける魔法のアイテムのように珍重される。
石器時代の広範な範囲内で、技術的な洗練の度合いはかなりの程度存在している。下限においては、一部の地域でかろうじて獣皮を削いだ衣服、燧石のナイフ、および調理の火を使っているかもしれない一方、上限においては木製の鎧、焼成された陶器のようなより洗練された職人技と、切り出された石が出現するかもしれない。一度鉱石の金属への精錬が出現すると、しかしながら、文化は青銅器時代かそれ以上に移行する。
石器時代の文化は、物々交換、共同体主義、または力による資源確保に頼る前通貨状態で存在する傾向にある。しかしながら、十分な長さの存在する石器時代の文化は、しばしば子安貝(ちいさな貝)、彫刻の施された石の通貨、および木製の代用貨幣を含む金属の貨幣以外の素材に基づいた通貨を開発する。これらの通貨のほぼすべては、本質的に価値を有しているのではなく、他のアイテムの価値(穀物や家畜など)を表している。
簡略化のため、君が石器時代のキャンペーンのために通貨を作成するときには、基準となる通貨を作成し、その通貨が1gp を表していることにすること。その後、銀貨と銅貨として機能するように2つの形態の低価値の通貨を作成すること。例えば、子安貝の貝殻1つが1gp を表し、石英石1つが銀貨1枚を表し、石の矢尻か簡単な石の道具が銅貨1枚を表すことにできる。
石器時代の武器および防具/Stone Age Weapons and Armor:石器時代のキャンペーンは骨、黒曜石、および石で作られた標準的な武器と防具を備える。レザー、ハイド、パデッド、および木製の鎧と木製のシールともまた利用可能である。
アトラトル/Atlatl:アトラトル(投槍器または投矢器)は特別に誂えたダーツを投擲するための取っ手として使用される木や枝角の薄い部品である。アトラトルはダーツよりはるかに大きな射程を得られるが、射出武器のように装填を行う必要がある。アトラトルを使用する際のダメージ・ロールには投擲武器を使用したかのように【筋力】修正値が適用される。アトラトルは片手で発射できる──しかし装填はできない。アトラトルの装填は両手を必要とする移動アクションであり、機会攻撃を誘発する。《高速装填》特技はアトラトルのために取得することができ、フリー・アクションによってダーツの装填できるようになる。アトラトル・ダーツはジャヴェリンと同サイズだが矢羽根を有し、アトラトルなしでジャヴェリンとして使用することもできる。
グレート・テルビーチェ/Terbutje, great:このテルビーチェの4フィート長版は特殊な訓練なしに片手で使用するには長すぎる; したがってグレート・テルビーチェは特殊武器である。キャラクターはグレート・テルビーチェを軍用武器として両手で使用することもできる。
タイアハ/Taiaha:タイアハは一方の端がクラブのような形であり、もう一方は木製か金属製のスピアの先端を持つ、長く重い棒である。クラブの硬い打撃とスピアの受け流しの動作の組み合わせて使用することができる。タイアハは1d8/×2の殴打ダメージを与える軍用武器として使用することもできる。
テポストピリー/Tepoztopilli:この木製の竿状武器の頭部は黒曜石、ガラス、歯牙、または同種の素材のギザギザの穂先を備えた刃になっている。幅広の頭部は刺突と斬撃攻撃の双方に適している。
テルビーチェ/Terbutje:この補強された長い木材には、サメの歯、黒曜石、ガラス、または同種の素材の細片が全体に散りばめられている。
メーレー・クラブ/Mere Club:伝統的に頑丈な石を彫って作られるメーレー(MEH-reh)は短く、扁平で、鋭い切っ先を持つクラブである。
ワハイカ/Wahaika:この短く幅広のクラブは硬化した木材や骨で作られる。ワハイカは武器を捕まえるために使用される切欠きを片側に備える。ワハイカに習熟している場合、この切欠きを敵の武器落としに使用することができる。そうでない場合、この武器はクラブとして扱う。クラブに影響を与える特技と能力はワハイカにも適用される。
価格 |
クリティカル |
射程 |
タイプ 2 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2gp |
1d3 |
1d4 |
×2 |
― |
2ポンド |
殴打または刺突 |
||
価格 |
クリティカル |
射程 |
タイプ 2 |
|||||
5gp |
1d6 |
1d8 |
19~20/×2 |
― |
2ポンド |
斬撃 |
||
8gp |
1d8 |
1d10 |
19~20/×2 |
― |
8ポンド |
刺突または斬撃 |
||
2gp |
1d4 |
1d6 |
×2 |
50フィート |
2ポンド |
刺突 |
― | |
1gp |
― |
― |
― |
― |
2ポンド |
― |
― | |
価格 |
クリティカル |
射程 |
タイプ 2 |
|||||
12gp |
1d8 |
1d10 |
19~20/×2 |
― |
4ポンド |
斬撃 |
||
10gp |
1d8/1d4 |
1d10/1d6 |
×2/×3 |
― |
8ポンド |
殴打または刺突 |
||
3gp |
1d4 |
1d6 |
×2 |
10フィート |
3ポンド |
殴打 |
この時代では、青銅、銅、および黄金さえも骨と石の代わりに武器に用いられる。鉄製の武器は存在するが、別に存在する稀少な隕鉄の鉱床からの少量の遊離鉄と同様に大変な価値を占めている。この時代の素材はショート・ソードより長い刃を形成することができないし、ほとんどの竿状武器は聞いたこともないようなものだが、中世の武器のほとんどは、青銅器時代にその原型が作られている。
金属加工技術の進歩により青銅器時代は速やかに鉄器時代に道を譲ったが、ファンタジー世界においては、鉄を嫌悪する種族が無期限に青銅の武器をよく使用することがある。
フェイ中心のキャンペーンはほとんどのフェイ・クリーチャーへ鉄に対する脆弱性(命中ごとに+1d6ダメージ)を与え、人間及び鉄鉱山を占拠し鍛造するその味方たちを相手に戦争をしている、鉄を嫌うフェイを並べられる。他のキャンペーンでは PC 達が鉄の秘密を保有するか、新しい鉄と鋼の致命的な刃を振るう敵に対して生き残るために(そしておそらくは自分自身のためにその謎を盗むために)戦うかのいずれかによる、鉄器時代への転換点に設定されるかもしれない。
プラチナの貨幣が存在しないものの、青銅器時代のキャンペーンの通貨は標準的なパスファインダーRPGの通貨と同様である。
青銅器時代の武器および防具/Bronze Age Weapons and Armor:青銅器時代のキャンペーンは石器時代のキャンペーンの武器および防具をすべてと、青銅および金で作られたアイテムを備える。以下の武器もまた青銅器時代のキャンペーンに利用可能である。
ケストロス/Kestros:ケストロスはダーツを投射するために使用される奇妙な形状のスリングである。ケストロスを使用する際のダメージ・ロールには投擲武器を使用したかのように【筋力】修正値が適用される。ケストロスは片手で発射できる──しかし装填はできない。ケストロスの装填は両手を必要とする移動アクションであり、機会攻撃を誘発する。ハーフリングはケストロスを軍用武器として扱う。
ハープーン/Harpoon:ハープーンは50フィート以下の長さのロープを取り付けた棘付きのスピアである。ハープーンに習熟している場合、組みつき武器として使用することができる(東洋の武器の武器特殊性能を参照)。
ハープーンの重量は50フィートの麻のロープの重量を含んでいる。この重量はより短いかより軽量なロープを使用することで軽減することができる。
マトック/Mattock:同名の掘削道具から派生したマトックは、両手持ちのピックに似ているが、突端の代わりにノミのような刃がついている。
ロンパイア/Rhomphaia:この武器は長い片刃の剣を時折わずかに湾曲した頑丈な杖に取り付けた黎明期の竿状武器である。ロンパイアは斬りつけと突き刺しの双方の武器として機能する。
価格 |
クリティカル |
射程 |
タイプ 2 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12gp |
1d6 |
2d4 |
×4 |
― |
12ポンド |
刺突 |
||
15gp |
1d6 |
2d4 |
×3 |
― |
10ポンド |
刺突または斬撃 |
||
価格 |
クリティカル |
射程 |
タイプ 2 |
|||||
5gp |
1d6 |
1d8 |
×3 |
10フィート |
16ポンド |
刺突 |
||
1gp |
1d6 |
1d8 |
×3 |
50フィート |
1ポンド |
刺突 |
― | |
ケストロス・ダーツ(10) |
5gp |
― |
― |
― |
― |
5ポンド |
― |
― |
アイテムが破損状態を得るには2つの方法がある。武器に関して1つは1回ないし複数回の攻撃によって武器のヒット・ポイントの半分を超えるダメージを受けることである。武器に関してもう1つはなんらかの効果によってその状態を得ることである。火器および壊れやすい武器はいずれも武器に明示的なダメージを与えることなく武器に破損状態を与える効果を含んでいる。
武器がある効果によって破損状態を得た場合、その武器はそのヒット・ポイントの半分+1に等しいポイントのダメージを受けたものと見なす。このダメージは武器に破損状態を与えた効果に対応する何らかの方法か(火器の不発の場合は高速処置、壊れやすい武器の性質の場合は《野外修理》特技など)、アイテムのヒット・ポイントを修復する通常の方法のいずれかによって修復される。破損状態を与える効果が取り除かれた場合、その武器は破損状態が適用されたときに失ったヒット・ポイントを取り戻す。