ジンのような風の元素の存在と人間の子孫から生まれたシルフは、非常に好奇心を掻き立てられる内気な種族である。シルフは雲に溶け込み、周りにいる人々が調べたり立ち聞きしたりしても気づかないまま一生を過ごす。彼らはこの趣味を「風を聞く」と呼び、多くのシルフにとって強迫観念となっている。危険から逃れるため、シルフはその能力を使って立ち聞きして集めた知恵や知識を判断する。
身体的特徴:シルフは繊細な容貌で青白くほっそりとしているが、その痩せた肉体は見た目よりもずっと強靭であることが多い。多くのシルフはいくらか努力することで簡単に人間の振りをすることができるが、その肌に渦巻く複雑な青い紋様がその元素の祖先を表している。シルフにはどこにいてもかすかなそよ風を帯びるといった、ずっと希薄な出自の証もある。これらの証はシルフが強烈な激情や怒りを経験したときにはより明らかとなり、シルフの髪をかき乱す突風や棚の小さなアイテムを落とすほど荒れ狂う風が現れる。
社会:シルフは通常人間の両親から生まれるため、人間の慣習に従って育つ。ほとんどのシルフは人間社会で育つ間に注意を向けられることを嫌う。そのため通常は、然るべき年齢になるとすぐに家を出ていく。しかし彼らが都市生活を完全に捨ててしまうということはほとんどない。その代わりに新しい街を見つけたり多くの人に気づかれず(調べられる)場所に住むことを好む。他のシルフにすぐに気づかなかったシルフが同族に気づくと、できる限り調べてその人のことをなるべく多く学ぶ。利点と欠点をすべて比較してありうる可能性全ての計画を作り上げたあとで、シルフは他人へ自己紹介する。滅多にないことだが、2人のシルフが同時にある共同体で互いの存在に気づくこともある。そのあとに続くのはいたちごっこのようなもので、両方が優勢を得ようと互いのシルフを調査する渦巻き状の舞踏にも似ている。このようにして知り合ったシルフは、別れがたき友となるか不倶戴天の敵となるかのいずれかである。
種族関係:シルフは他のほとんどの種族の問題を詮索することを楽しむが、実際にかかわり合いを楽しむことは滅多にない。シルフはエルフにある程度共感することができる。彼らは距離を置こうとする性向を同様に持つからだ。しかしエルフのプライバシー感覚を破ることによって、好意的な関係はしばしば駄目になってしまう。ドワーフはシルフのことを気まぐれで頼みにならないと考えており、どこまでも信用しない。彼ら自身の欠点を帳消しにするハーフリングの度胸と人と関わる技術のおかげで、彼らはこの背の低い種族と素晴らしい協力関係を持つ。シルフはイフリットを怒らせるような迷惑な反応を楽しみ、オレイアスはあまりにつまらなくて多くの注意を向けなくて良いと思っている。
属性と宗教:シルフは秩序や伝統をほとんど尊重しない。このような批判癖はシルフが愛するもの――口実や秘密をしばしば禁止するからだ。これはシルフが秩序に反対しているというわけではない。それが合法であれそうでない場合であれ、自らの目標を達成するために利用できる最も好都合な意味を使用することはほとんどない。ほとんどのシルフはそのため中立に片寄る。シルフは生まれながらにして神秘的な信仰や、旅、知識、秘密を重んじる神格に傾倒することが多い。
冒険者:生まれながら下層につくことを余儀なくされたことから、多くのシルフは冒険者としての生活に惹きつけられる。神秘の痕跡を偶然見つけたシルフは証明できるそれぞれの筋道を明らかにし、その筋道をたぐり、その問題の核心を見出すまで決して満足することはないだろう。このようなシルフはほかの人々の問題のまわりをつついて回るため多くの敵を作る。そうなると彼らは通常、ローグや魔術の才能で自らの身を守るのだ。
男性名:アカァシュ、エイダン、ハヌゥン、シィヴァル、ヴァサァム。
女性名:イナム、ケェヤ、リッシ、ナヴァ、ラダヤ、テナ。
+2【敏捷力】、+2【知力】、-2【耐久力】:シルフは俊敏で洞察力があるが、たおやかで繊細だ。
中型:シルフは中型クリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティも受けない。
擬似呪文能力:フェザー・フォール 1回/日(術者レベルは、シルフのレベルの合計に等しい)。
言語:シルフはプレイ開始時に風界語および共通語の会話能力を持っている。高い【知力】を持つシルフは次に挙げる言語を選択することができる:エルフ語、地界語、ドワーフ語、ノーム語、ハーフリング語、火界語、および水界語。
既存のシルフの種族特性の代わりに以下の種族特性を選択してもよい。この新しいオプションのいずれかを選択する前に、君のGMに相談をすること。
以下のオプションは記載の適性クラスを有するシルフに適用可能であり、特に断りのない限り、ボーナスは適性クラスの特典を選択するたびに適用される。
インクィジター:静止した状態での〈隠密〉判定および対抗〈知覚〉判定に+1/2のボーナスを得る。
ウィザード:ウィザードが現在使用可能な 元素術の風の系統または木の系統の秘術系統能力1つを選択する。この能力の効果を決定する際、ウィザードのクラス・レベルを+1/6レベル高いものとして扱う(最大+2レベル)。
ウィッチ:ウィッチの使い魔による〈隠密〉判定および〈知覚〉判定に+1/2のボーナスを得る。シルフがこの先使い魔を取り替えた場合、新しい使い魔はこれらのボーナス技能ランクを獲得する。
オラクル:1つの啓示の効果を決定するために使用するオラクルのレベルに+1/6を追加する。
クレリック:風の次元界に関する〈知識:次元界〉判定、または(風)の副種別を持つクリーチャーの〈知識:次元界〉判定に+1/2のボーナスを得る。
ソーサラー:ジンまたは元素(風)の血脈から得た、ソーサラーが使用可能な血脈の力を選択。この血脈の力の効果を決定する際、ソーサラーのクラス・レベルは+1/6レベル高いものとして扱う(最大+2レベル)。
ドルイド:天候や飛行する動物に関する〈知識:自然〉判定に+1/2のボーナスを得る。
ローグ:跳躍を行う〈軽業〉判定に+1/2のボーナス、および〈真意看破〉判定に+1/2のボーナスを得る。
特定の地勢に関わりを持たず、代わりにどこまでも続く空の青き広がりとつながりを持つドルイドもいる。このような存在が空のドルイドである。彼らは地面に立つよりも空を飛ぶことに精通している。空のドルイドは以下のクラス特徴を持つ。
風を聞くものはシルフの生来の好奇心を極端なほど示し、強力な秘術魔法でもってその言い訳と盗聴の天性の才を研ぎ澄ませる。風を聞くものは以下のクラス特徴を持つ。
クラス技能:風を聞くものは、クラス技能の一覧に〈知覚〉を加える。
以下の装備、特技、魔法のアイテム、呪文はシルフが使用することができる。GMが望むなら、他の関連する種族もこれらの新しいルールのいくつかを使用してもよい。
シルフは《元素旅行》特技と以下の特技を修得することができる。
風は君の先天的な元素的性質に応え、外から守り落下の衝撃を緩和する。
利益:君は[風]もしくは[雷撃]の補足説明を持つ効果や[雷撃]ダメージを与える効果に対するセーヴィング・スローに+2のボーナスを得る。君は落下ダメージを決定する際、どのような落下であっても最初の30フィートを無視することができる。
元素に由来する出自は、君に洞察力を与える。そのおかげで、君はほとんどの人間が備えていない明快な視界を得た。
利益:君は濃霧、霧、雲を見通す際にペナルティを受けず、それらに由来する遮蔽や視認困難のボーナスを無視することができる。この効果が魔法により作られたものである場合、この特技は代わりにペナルティを受けない距離を3倍にする。
君の身体は風の元素で満たされている。自分の呼吸に必要な分は、その身体が提供してくれる。
利益:君はもはや呼吸を必要としない。君は(吸引式の毒のような)呼吸を必要とする効果に対する完全耐性を得る。クラウドキルのような、呼吸の必要なく効果を及ぼす雲や気体による効果に対しては、この特技は完全耐性を提供しない。
前提条件:《風の如き歩み》、キャラクター・レベル9レベル、シルフ。
利益:君の[風]あるいは[雷撃]の補足説明を持つ効果や[雷撃]ダメージを与える効果に対するセーヴにおけるボーナスは+4に増加する。加えて、君は自身の基本移動速度に等しい飛行移動速度(良好な機動性)を超常能力として得る。君は軽装鎧を着ているか鎧を身につけていない場合にのみ、この能力で飛行することができる。
シルフは以下の鎧の特殊能力と魔法のアイテムを利用することができる。
微弱・防御術および力術; 術者レベル 5レベル; 《魔法の武器防具作成》; ショッキング・グラスプ、レジスト・エナジー; 市価 +5,000gp.
(Elixir of Forceful Exhalation/強力な呼吸のエリクサー)
オーラ 微弱・力術; 術者レベル 3レベル
装備部位 無し; 市価 900gp; 重量 1ポンド
この泡立つ空のように青い液体は飲んだものに膨張感ではなく浮揚感を与える。このエリクサーを飲んだ後1時間の間、飲んだものは高跳びと幅跳びを行うための〈軽業〉判定と〈水泳〉判定に+4の技量ボーナスを得る。標準アクションとして、飲んだものは15フィート先まで届くガスト・オヴ・ウィンドを吐き出すことができる。飲んだものは3回までガスト・オヴ・ウィンドを吐き出すことができるが、その後にはこのエリクサーの効果は失われ、技能へのボーナスもなくなってしまう。ガスト・オヴ・ウィンドを使用しなければ、1時間後にこの効果は消えてしまう。
必要条件 《その他の魔法のアイテム作成》、ガスト・オヴ・ウィンド; 費用 450gp
Absorbing Inhalation/吸引による取り込み
系統 変成術[風]; 呪文レベル アルケミスト4、ウィザード/ソーサラー4、ドルイド4
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作
距離 近距離(25フィート+5フィート/2レベル)
目標 雲に似た効果1つ、一辺10フィートの立方体1つ/レベルまで
持続時間 1ラウンド/レベル; 本文参照
セーヴィング・スロー 本文参照; 呪文抵抗 不可
術者は自らの肺に凄まじい力と容量を与える。それにより術者は気体、霧、煙、霞、その他の雲に似た効果1つを、害を受けることなく完全に吸い込むことができる。目標となった雲が魔法の効果である場合、術者は吸い込むために術者レベル判定(難易度11+この効果の術者レベル)に成功しなければならない。雲を吸い込むとその範囲から雲は無くなり、その場所は通常の空気で満たされる。その雲がこの呪文を1回発動して効果を及ぼすことのできる範囲としてはあまりに大きい場合、その雲の一部を吸い込むことはできるが、術者の最も近い雲の範囲を吸い込まなければならない。この呪文はガス状のクリーチャーには何の効果も及ぼさない。この呪文の発動を待機している場合にのみ、(ブレス攻撃のような)持続時間が瞬間となっている雲にも効果を及ぼすことができる。
吸い込んだ後はこの雲は術者に害を及ぼすことはない。術者はこの雲をレベルごとに1ラウンドまで害を受けることなく体内に留めておくことができるが、(例え通常は呼吸する必要が無い場合であっても)そのようにしながら通常通り呼吸もしていなければならない。この雲が持続時間を持つ場合、術者の体内に収められた雲は持続時間を経過させていく。標準アクションとして、術者は半径60フィート円錐形(もし雲の元々の範囲が60フィート円錐形よりも小さい場合にはその範囲)のブレス攻撃として体内に保持している雲を解き放つことができる。このブレスの範囲内にいる全てのクリーチャーはその通常の効果の目標となり、その雲の本来の難易度に対して適切なセーヴィング・スローと呪文抵抗判定を行う。吐き出された雲はどのようなものであれ、持続時間を消費する。取り込んだ雲を吐き出すとこの呪文は終了する。この呪文の持続時間が終了する前に雲を吐き出さなかった場合、術者はその雲の効果を受け、セーヴィング・スローや抵抗に自動的に失敗する。
Cloud Shape/雲形態
系統 変成術[風]; 呪文レベル ウィザード/ソーサラー4、ドルイド4、レンジャー4
距離 自身
目標 術者
持続時間 10分/レベル(解除可)
30フィートの接敵面を占める超巨大サイズの雲の形を取ることを除き、この呪文はガシアス・フォームとして機能する。術者は雲の全体的な外観を決めることができるが(白雲、嵐雲、もこもこした雲、平坦な雲、など)、選択した後は変更できない。どのように綿密な調査を行っても、この雲が実際には魔法で雲に姿を変えたクリーチャーであることを暴くことはできない。事実、通常の確認では術者は雲である。しかしディテクト・マジック呪文を使用すれば、この雲に中程度の変成術のオーラがあることが明らかになる。クラウド・フォームにおける術者の飛行移動速度は30フィートである。
Gusting Sphere/突風渦巻く球
系統 力術[風]; 呪文レベル ウィザード/ソーサラー2、ドルイド2、メイガス2
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作
距離 中距離(100フィート+10フィート/レベル)
効果 直径5フィートの空気の球体
持続時間 1ラウンド/レベル
セーヴィング・スロー 頑健・無効(物体)または反応・無効; 本文参照; 呪文抵抗 可
渦巻く風の球が術者の指定した位置へ転がり、凄まじい力をぶつけながら射出される。この球はいかなる意味でも強風の区域として扱われ、この区域を通過する遠隔武器攻撃には-4のペナルティが与えられる。この球はラウンドごとに30フィート移動する。この移動の一部として、この球は目標を攻撃するために30フィートまで上昇したり飛び上がったりすることができる。中型もしくはそれより小さいクリーチャーの接敵面に入ったなら、そのラウンドの移動はそこで終了し、そのクリーチャーを押しやる風の鋭い圧力を作り出す。突き飛ばしの戦技における球の戦技ボーナスの基本攻撃ボーナスには術者の術者レベルを用い、球の【筋力】能力値(14)による+2ボーナスが加えられる。突き飛ばしの成否にかかわらず、そのクリーチャーはこの攻撃から1d6ポイントの非致傷殴打ダメージを受ける。突き飛ばしが失敗した場合、そのクリーチャーは同じマスにいる限り、この球による強風の影響を受けたままである。ガスティング・スフィアーは4フィートより小さい高さの物体や障害を乗り越える。
この球は直接指示を受ける限り(術者の移動アクションを用いる)移動する。そうでない場合、単にその場に留まる。呪文の有効距離を超えた場合、ガスティング・スフィアーは直ちに終了する。
Miasmatic Form/瘴気形態
系統 変成術[風、毒]; 呪文レベル アルケミスト4、ウィザード/ソーサラー4
構成要素 動作、物質(100gpの価値のある接触毒ないし吸引毒)
持続時間 1分/レベル
セーヴィング・スロー 不可; 本文参照; 呪文抵抗 不可
この呪文はガシアス・フォームとして機能するが、目標の蒸気の身体は接触したクリーチャーにとって危険なものとなる。この蒸気に抵抗するために、クリーチャーは自身のターンに頑健セーヴ(難易度14+術者の【知力】修正値)を行わなければならない。この呪文を発動する際、術者は以下の選択肢から1つを選択する。
Path of the Winds/風の道
系統 力術[風]; 呪文レベル ウィザード/ソーサラー6、ドルイド6
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作、
距離 100フィート
効果100フィート直線状、40フィートの高さがある下降気流
持続時間 精神集中+1ラウンド
セーヴィング・スロー 頑健・無効; 呪文抵抗 可
掃き取るような仕草により、術者はその正面の道を一掃する強力な風を呼び出す。この風は暴風と同様である。この呪文の最初のラウンドの間、風は指定した範囲に存在する小型かそれより小さいサイズのものを呪文の効果範囲の両脇へ押しやり、なんであれ掃き出してきれいにする(左右どちらに移動するかは50%の確率)。術者はこの効果範囲の中をペナルティなしで移動することができるが、他の全てのクリーチャーはこの風の影響を受ける。この呪文の2ラウンド目以降では、この効果範囲の外周は風の壁として扱う。この効果は水やその他の液体を含んだところでも機能し、この風はその液体の表面から40フィートの深さまで水流を作り出す。術者のターンに移動アクションとして、術者はこの呪文の効果範囲を移動させることができ、一度に45度まで回転させるか、現在の角度のまま50フィートまでまっすぐ(術者に向かうか、術者から離れるか)この効果範囲を移動させることができる。
Wind Blades/風の刃
系統 変成術[風]; 呪文レベル ウィザード/ソーサラー5、ウィッチ5、ドルイド5、メイガス5
発動時間 1標準アクション
構成要素 音声、動作
距離 接触
目標 接触したクリーチャー
持続時間 1ラウンド/レベル
セーヴィング・スロー 意志・無効; 呪文抵抗 可
術者は目標の周りの空気を硬化させ、目標をどれだけ早く移動したかに応じたダメージを与えるぎざぎざの透明な刃に包む。目標のターンにおいて少なくとも5フィート移動する場合、目標は1d6ポイントの斬撃ダメージを受ける。このダメージには目標が追加で10フィート移動するたびに1d6ポイントの斬撃ダメージが追加される。空気中を通過しない移動(穴掘り、水泳、瞬間移動など)では、このダメージは発生しない。
疾風の範囲では、移動していない場合でも目標はダメージを受ける。疾風ではこの風は1d8ポイントの斬撃ダメージを及ぼし、風力効果の段階が強力になるたびに1d8ずつ増加する。この追加ダメージは瞬間的な風の効果(ガスト・オヴ・ウィンドなど)では発生せず、少なくとも1ラウンド持続する風効果でのみ発生する。
Windy Escape/風の如き逃走
系統 変成術[風]; 呪文レベル ウィザード/ソーサラー1、ドルイド1、バード1、メイガス1
発動時間 1割り込みアクション
構成要素 音声、動作
距離 自身
目標 術者
持続時間 瞬間
1回の攻撃をわずかな間もやのような幻想的な存在にし、術者を貫く攻撃の危険性を和らげる。術者はこの攻撃に対してダメージ減少 10/魔法と、この攻撃によるいかなる毒、急所攻撃、クリティカル・ヒット効果に対して完全耐性を得る。
呪文の発動、擬似呪文能力の使用、その他の使用時に機会攻撃を誘発する魔法能力の使用による機会攻撃に対してウィンディ・エスケープを使用することはできない。