パスファインダーRPGでは君は驚くほどの数のキャラクター・オプションを手に入れる。戦闘役あるいは治癒役のクレリック、グレートソードあるいはロングボウを使うファイター、スリあるいは罠を探すローグ、精神を操りあるいはアンデッドを作り出すウィザードなどなど。
この節は11の基本クラスそれぞれに1~20レベルの有用かつ興味深いNPCを提示する。概して、NPCのレベルが奇数である場合、そのキャラクターはそのクラスのかなり一般的な例である。例えば3レベルのウィザードは総合術士の“戦闘魔術師”、5レベルのウィザードは典型的な変成術士であり、そのいずれも君が戦闘でウィザードのデータ・ブロックを必要とするあらゆる通常の状況に適合している。キャラクター・レベルが偶数のNPCはより実験的かつテーマに沿ったものである。例えば2レベルのウィザードは心術士の“大道奇術師”であり、4レベルのウィザードは占術士の“調査官の魔導師”であり、より専門化された用途を持つ。この構造はある遭遇のためにいかなる脅威度が必要であっても、標準的なキャラクターから多くとも1キャラクター・レベル離れたキャラクターが1人はいるということを意味する。例えば、君が脅威度3(4レベル)のウィザードを必要とする場合、3レベルのウィザードに1レベル加えるか、5レベルのウィザードから1レベル差し引くことができる(もちろん1レベル加える方が差し引くよりも容易だ)。
この節に掲載しているすべてのNPCは基本能力値セット「英雄的」(15、14、13、12、10、8)を使用しており、『表:NPCの所持品』の「英雄的なレベル」の列に準ずる所持品を所有している。
一般的にNPCたちは、それがキャラクターにとって重要(クレリックは聖印、〈装置無力化〉を有するローグは盗賊道具を持つなど)でない限り、ロープ、たいまつ、ベルトポーチなどの日常的なアイテムを列記していない。君はNPCは彼または彼女の職業または冒険の履歴に応じて適切な装備をしていることにしてよく、また価格が問題である場合、あるいはポーションやほとんど消費されたワンドなどの消耗アイテムのためにキャラクターの余分な装備のいくつかを消すことができる。
この節におけるNPCの最も一般的な3つの使い方は、競合するもの、協力者、あるいはプレイヤー・キャラクターとしてである。
君がPCたちと戦う何者かを求めている場合、まさにNPCデータ・ブロックを1つ選択し、始めるといい。彼らはみな戦闘を念頭においてデザインされている(その一部は臆病であったり、手下や味方に頼っていたりしているとしても)。それぞれにそのキャラクターに特有の戦術、(可能ならば)戦闘前に行う準備、そしてそのキャラクターのレベルに適切な装備が含まれている。
ほとんどのデータ・ブロックには(余白があるのならば)、そのデータを用いるサンプル・キャラクターについての追加情報がある。これは、君がスポットが当たるNPCを造らなければならない場合や、背景や目的についての数語でそのキャラクターをプレイヤーにより活き活きと感じさせる-一般的な“大道奇術師”を“心術盗賊のベルウィク・シンブレセイン”に変えるのに十分な-必要がある場合に有用である。
NPCの協力者はキャンペーンのストーリーの中で短い、あるいは長い役割を果たすだろう。キャンペーンの始まる町の長は引退した冒険家の鍛冶屋(ファイター6)でPCの人生で何度も回想される導師のキャラクターになるかもしれないし、あるいは気高い聖戦士(クレリック5)はただ1回のダンジョンでの遭遇でPCたちに加わるかもしれない。危険がダイス・ロールがどうなるかにかかっているゲームにおいては、データ・ブロックを持つということは長期間でも1回かぎりでもキャンペーンのNPCには有用なことだ。とにかく、街がゴブリンに蹂躙された場合には、町長は引退から立ち返ってPCたちがその日を救う手助けをしてくれるだろう。君はこれら全てのNPCをこの目的で使うことができるし、彼らはまた腹心としても優秀だ。
君はいつでもキャンペーンにあわせてNPCの目的、性格、属性、能力、装備を変更でき、またそうすることは新しいNPCを1から作るよりも早いことを忘れないこと。邪悪な野獣の母(クレリック10)をPCたちを助ける恵み深い動物または元素をテーマとするクレリックにするためにデータ・ブロックを変更することは大した手間ではない。
君が急いでいる場合、これらのキャラクターをNPCではなくPCとして使用することができる。しかしNPCは同レベルのPCよりもはるかに少ない財産しか持たず、君がこれらのキャラクターをPCとして使用する場合、この差を補うために装備品を追加するか向上させなければならない。NPCの英雄的なレベルによるGP総額と、表12-4『レベルに応じたキャラクターの財産』に挙げられている金額と比較すること。
君はこれらのキャラクターをキャンペーンにより有用にするように変更または追加することができるオプションがあることを忘れないこと。キャラクターの特技、呪文、魔法のアイテムの一部を他のものに置き換えることは簡単だ。多くの場合、クラス能力をアーキタイプのものと入れ替えることは、キャラクターの種族を変更することと同程度にかなり簡単だ。
変更の性質によっては、君はデータ・ブロックを全て変更する必要がないかもしれない。例えば、データ・ブロックが人間のキャラクターのもので君がハーフエルフを必要とする場合、これらの種族はそれぞれ選択した1つの能力値にボーナスを持つので、君はキャラクターの能力値を変更しなくてもよい。プレイヤーにデータ・ブロックを見せない限り、彼らはその「ハーフエルフ」が《技能熟練》の代わりに別の特技を持ち、本来よりも多くの技能ポイントを持つことに気付くことは恐らくない。もし君が人間をドワーフとして、あるいはハーフオークをノームとして使う場合には、君は通常種族の間の小さな差異をその場で処理し、データ・ブロックはそのままで使うことができる。
この節の残りではこの章の各クラス特有の選択肢について説明する。
ウィザードの秘術系統の専門化は、そのキャラクターの特殊能力と準備している呪文に影響を与え、どの特技が有用であるかに反映することがある。この章のウィザードの一部は使い魔を持つ。君は使い魔を秘術の絆の品と置き換えることができる。使い魔の能力はウィザードの能力値に非常に依存するため、この本ではデータ・ブロックに使い魔は含まれていない。ウィザードの呪文書は装備品の中に含まれている。呪文書にはウィザードが準備している全ての呪文に加え、そのウィザードが持つ巻物のうち、彼が唱えることができるのに十分なレベルのもの全てからの呪文が書かれているものとする。運搬しているレベルが適正な巻物のほとんどはウィザードが作成したものとして価格を決定している。
各クレリックは20の神格のうち1つを崇拝し、その神格に適切な領域2つと正または負のエネルギー放出を有する。君はこれらのクレリックを似たような神格の崇拝者または神聖な概念のクレリック(神なきクレリック)として使用することができる。君はキャンペーンに適合するようにそのクレリックに書かれている領域、エネルギー放出、準備されている呪文を変更することができる。例えば、気高き聖戦士(クレリック5)の属性を秩序にして悪に、エネルギー放出を正から負へと変更することで悪の一般的な僧侶を作ることができる。
ソーサラの血脈はキャラクターのデータ・ブロックに大きく反映し、修得している呪文、クラス技能、特技に影響し、1つまたはそれ以上の血脈の秘法と血脈の力を与える。ソーサラーの血脈を変更することは、竜または元素の血脈でドラゴンや元素のタイプを変更するもの以外ならば、単純な問題ではない。幸運にも特殊能力を活き活きと描写することにより、君のプレイヤーはその違いに気がつくことは恐らくないため、君はデータ・ブロックを作り直すことなくさまざまな目的に使用することができる。
各ドルイドは動物の相棒のかわりに自然との絆(領域)を持つように構築されている。動物の相棒を持つドルイドが必要である場合は、ドルイドのデータ・ブロックに記載された領域呪文と領域能力を無視し、適切なレベルの動物の相棒を選択すること。
呪文以外は、バードはデータ・ブロックに大きく反映するようなクラス能力の選択肢をほとんど持たない。バードが使う〈芸能〉技能の種類はほとんど装飾的なものであり、万能なる芸の技能の選択を変更することは、新しい技能のボーナスをバードの〈芸能〉技能ボーナスに入れ替えるだけの問題である。
バーバリアンのデータ・ブロックはバーバリアンが激怒しているものと仮定して書かれている。激怒していないバーバリアンのデータは基本データの行に書かれている。
パラディンのクラス能力の信仰の絆と慈悲はキャラクターのデータ・ブロックに大きく影響しない。君はパラディンの慈悲を他の慈悲に容易に入れ替えることができる。パラディンの信仰の絆が武器に対するもので、君がそれを乗騎に対するものに入れ替えたい場合、キャラクターの所持金を乗騎のバーディングに一部使うことを考慮すること。乗騎への信仰の絆を武器に対するものに変更する場合は、バーディングやその他の乗騎に関するアイテムの費用を、パラディンの武器の能力に割り当てる。
特技以外は、データ・ブロックに大きく反映するファイターのクラス能力は唯一そのキャラクターの武器修練の選択だけである。ほとんどのファイターはこの能力でその最高の武器を選択するため、ファイターの武器を同じ強化ボーナスを持つ別の武器に変更する場合(+1バトルアックスを+1ロングボウにというように)、君は新しい武器に書かれている攻撃ボーナスを用いることができる。
各モンクには、通常の攻撃ルーチン(武器あるいは素手攻撃)と連打攻撃ルーチンが記されている。君はデータ・ブロックの数値を変更することなく、モンク武器を同一の強化ボーナスを持つ素手攻撃と入れ替えることができる(+1カマを+1アミュレット・オヴ・マイティ・フィストつきの素手攻撃に変更するように)
各レンジャーは動物の相棒のかわりに狩人の絆(仲間)を持つように構築されている。動物の相棒を持つレンジャーが必要である場合、適切なレベル(レンジャー・レベル-3)の動物の相棒を選択すること。
ほとんどのローグの技、特に急所攻撃を修正する技はキャラクターのデータ・ブロックに何らかの数値的変更をすることはなく、NPCをカスタマイズする際に容易に入れ替えることができる。戦闘技術、ローグの妙技、武器訓練に注意すること。それらはローグの特技とキャラクターの近接または遠隔攻撃を変更し、特定の武器の使用を無効にすることすらある。