自然災害は単なる環境的な障害をはるかに越えるものとなり、その後には死と荒廃を残す。超自然的な災害はさらに破壊的なものとなりえ、世界に永遠の傷痕を残す可能性がある。災害は遭遇というよりも1つの冒険に似ており、特定の脅威度を持たない。災害の各部分がPCに適切な脅威度でデザインされた分割された遭遇として扱われるべきである。
以下に示されているのは自然災害と超自然災害双方にわたる、3種類の異なった種類の災害の効果を扱う際のルールである。地震や津波のように一部の災害は速やかに生起し、一方で森林火災、火山、アンデッド蜂起のように他のものはいくつかの段階を経て展開していく。イベントが数分間だけなのか数日に及ぶのか、君の必要に合わせて冒険のペースを災害に適するように調整すること。
世界の殻が破裂し、溶けた中身が溢れる時、最も劇的な災害が発生する。火山だ。火山の噴火はしばしばGMに溶岩、火山弾、有毒ガス、火砕流を含む幅広い選択肢を与える。またGMは雪崩や小規模な地震など既存の災害を劇的な火山の噴火の予告とすることもできる。
溶岩流は通常は非爆発性の噴火に伴い、活火山で恒久的に発生することもありうる。ほとんどの溶岩流は非常に遅く、1ラウンドに15フィート移動する。より高熱の溶岩流はより早く移動し、移動速度は60フィートまで達する。溶岩道のような水路の中にある溶岩は特に危険であり、1ラウンドに120フィートまで移動する(脅威度6の災害)。溶岩流に追いつかれたクリーチャーは難易度20の反応セーヴを行わなければならず、失敗した場合は溶岩に飲み込まれる。成功した場合は溶岩と接触したがその中に浸かりはしなかったことを表す。
溶けた岩の塊が噴火している火山から数マイルも飛ばされることがあり、着地する前に冷えて固い岩となる。典型的な火山弾はGMが指定した地点に当たり、半径30フィートの爆発を引き起こす。範囲内にいる全てのクリーチャーは難易度15の反応セーヴを行わなければならず、失敗した場合は4d6ポイントのダメージを受ける。遮蔽を有するか、(盾を持っているなどで)自らをカバーできるクリーチャーはこのセーヴに+2のボーナスを得る。特に大きな火山弾も時に発生し、12d6ポイントのダメージを与える。通常の火山弾の脅威度は2、大きな火山弾の脅威度は5である。
火山の最も有害な脅威の1つは有毒ガスであり、しばしば炎と破壊の中で予兆が見落とされる。火山の噴火の結果さまざまな有毒ガスが発生することがあり、一部の物は目で見ることができるが、他の物は不可視である。有毒ガスは吸引した場合1d6ポイントの【耐久力】ダメージを与える(難易度15+前に行ったセーヴの回数ごとに1で無効化)。また可視のガスは濃い煙と同様に機能する。有毒ガスは低地に向かって流れ、また典型的には高さ50フィートである。強風の風力を有する風はガスを散らすことができ、また高い障壁によりガスを他所へ向けることができる。
一部の火山噴火は、火砕流と呼ばれる数マイルも移動するような燃え上がる灰、高熱のガス、火山性の瓦礫の破壊的な波を作り出す。火砕流は、上記の有毒ガスの効果を伴う毎ラウンド500フィート移動する雪崩と同様に扱うこと。この高熱の瓦礫の流れに接触すると毎ラウンド2d6ポイントの[火炎]ダメージを受け、流れに生き埋めにされたクリーチャーは毎ラウンド10d6ポイントのダメージを受ける。ミラクルやウィッシュのような現実を曲げる魔法のみが火砕流の進路を変えたり阻止したりできる。
津波は海底での地震、火山の噴火、地滑り、さらには小惑星の衝突によって引き起こされる破壊的な水の波である。津波は浅海域に到達するまでほとんど感知できず、そこにおいて大量の水が大波を作り上げる。
津波のサイズと岸の傾斜によっては、波は数百ヤードから1マイル以上も内陸へ向かい、その跡に破壊を残すこともありうる。それから水は引いていき、あらゆる種類の残骸とクリーチャーを沖合いに引きずり込む。
津波によって引き起こされる正確なダメージはGMの決定に任されているが、典型的な津波は進路上にある一時的あるいは貧弱な建造物を消し去りあるいは移動させ、25%のしっかりした建造物を破壊し(残った物にも大きなダメージを与え)、非常に堅牢な物は軽微なダメージだけを受ける。同様に、その地域に生活する人口(動物やモンスターも含む)の1/4もその災害によって海に引き込まれ、あるいは岸辺で溺れ、瓦礫に埋められて死滅する。
クリーチャーは難易度25の〈水泳〉判定に成功すれば海に引き込まれるのを避けることができる。失敗した場合は岸から6d6×10フィート沖合いに引き込まれる。津波の後は常に荒れた水面または大荒れな水面であり、魔法の影響を受け付けない。建造物の崩壊に巻き込まれたクリーチャーは6d6ポイントのダメージを受ける(難易度15の反応セーヴに成功すれば半減)が、建造物が特に小さな場合は半分のダメージですむ。クリーチャーが生き埋めになる可能性は(洞窟の中と同様)50%ある。あるいは津波が建造物を砕き飛ばし、クリーチャーを瓦礫から解放するかもしれない。
古代の呪いによるものであれ堕落した死霊術士によるものであれ、最も怖れられている超自然的災害の1つがアンデッド蜂起である。死者がその墓所から立ち上がり生者に支配権を要求するのだ。この災害は街や都市ではなく死者が安息のために横たえられている地域で発生しうる。1回以上の血塗られた戦場では干からびたアンデッドの戦士の軍団が立ち上がる。
アンデッド蜂起は波状的に起こり、そのタイミングはプレイ時に裏に潜んでいる力によって変わってくる。イベントは数日の間に起きて都市を荒廃させるかも知れないし、数週間以上も広がって怯えた人々が鍵をかけた扉の向こうで震え上がり、生き延びるために戦うようになるのかもしれない。日光はアンデッドの力を抑制するため、日中はしばしば生活は幾分か通常の外観を取り戻す。
アンデッド蜂起の初期の夜は、最近の死者の体がゾンビとなって起き上がる。聖別されていない地に埋葬された者は安息のまま残っているが、埋葬されていない者や集団墓地の死体は街路によろめき出で大混乱をもたらす。まず最初は、数体の死体のみが棺と墓から抜け出してくることができるが、毎夜更なる死体が生者の地に帰って来る。夜が明ければ、死者は自分の墓所や他の隠れ家に避難する。日光を浴びた者は破壊されるか何とか避難所に入り込むまで混乱状態に陥る。GMがそう決定するならば、人型生物以外の死体も打ち続く夜の間にアンデッドとして起き上がる。
蜂起が続く間、より古い死体もアンデッドのよろめき歩く隊列に加わることになる。とっくに腐った屍衣の切れ端をまとったスケルトンが墓場から掻き出て来て、彼らの同族たちには滅多に見られないような悪意と組織性をもって行動する。アンデッドたちは精神を持たないままだが、侵入の背後にある魔法の力が彼らに生者の軍隊のような効率性と戦術の鋭さを与える。スケルトンは戦いに備えて武器と鎧を探す。エリートのスケルタル・チャンピオンが軍勢を率い、見捨てられた墓所から漁ってきた魔法のアイテムを使う。やがて、暗くなった街路にグールやワイトが他の自由意志を持った下位のアンデッドと共に這い回るようになる。
蜂起が強力になっていくにつれ、とうの昔に塵になった安息を得ない死者の魂も帰って来る。ゴースト、シャドウ、レイス、スペクターさえも生者を餌食にするために蘇る。数体のゴーストが蜂起の悪意ある影響から逃れ、冒険心のあるPCはこれらの苦しむ魂から価値ある情報を集めることができるかもしれない。
負のエネルギーが満ち、ディセクレイト呪文の利益を得ているかのように侵入地域のアンデッドはますます強まっていく。かつて聖別されていた地域は今では通常の場所として扱われるようになり、アンデッドの軍勢のための死体の新たな供給源となるが、ハロウで清められた地だけは侵されずに残っている。
アンデッドが強くなるにつれ、負のエネルギーのますます強くなる流れは影界を接近させていき、日光が最も輝く時間を除けば、色彩は褪せあるいは灰色になっていく。最も光に対して脆弱なアンデッドさえ午後遅くから朝の半ばまで害を受けずに動き回ることができるようになる。
負のエネルギーの流れが戻されない場合、最終的に闇がその地域を支配し、永遠の影に覆われる。アンデッド蜂起の地域全体がアンハロウ呪文(追加の呪文効果はなし)の効果の下にあるかのように機能する。清められた地だけが例外的な聖域として残っているが、悪意ある軍勢に破壊されるまでである。
蜂起に対抗して死んだ英雄たちが恐るべきアンデッドの将軍として帰って来る。僅かな生存者たちは虜として奴隷にされる。その地域は死者の都となり、あるいはそのような都市が存在しないか残っていない場合は建設が始まる。自由意志を持ったアンデッドたちがこの新たなる聖域に集まってくる。最も偉大な英雄のみが今や荒廃したこの地域を生者の世界に戻すことができるだろう。