冒険者は種族や職業、技能から来るものではない能力も持っている。例えば危険に対してより素早く対処するための反射神経、魔法の品を作る技、接近戦で強力な一撃を見舞う訓練、飛んできた矢をはじくコツといったような能力である。これらの能力はゲームの中では特技として表現される。特定のキャラクターにとって特に有用な特技が存在したり、取得する前に満たさなければならない特別な前提条件がありはするが、基本的に特技は種族や職業の範疇を離れた能力である。多くは職業の能力を強化したり、あるいは職業による制約を緩和する。また判定の修正値を変化させたり、特技無しでは行うことができない技を使えるようになることもある。特技を選択することで、君はキャラクターを君だけのユニークなものへとカスタマイズできるのだ。
特技の中には前提条件を必要とするものがある。キャラクターは示された一定の能力値、クラスの特徴、特技、技能、基本攻撃ボーナスやその他の特徴を備えていなければ、その特技を選択したり、使用することができない。キャラクターは条件を満たしたレベルと同じレベルで特技を取得することができる。
もし前提条件を満たさなくなった場合、キャラクターはその特技を使うことができなくなるが、特技そのものを失うわけではない。後にまた前提条件を満たすようになれば、キャラクターは特技の恩恵を今一度受けるようになる。
特にグループとして特別なルールを持たない一般特技以外に、魔法のアイテムを作るためのアイテム作成特技、魔法の効果を強める魔法修正特技などの、ある共通点を持った特技のグループが存在する。
戦闘特技と示されている特技は全て、ファイターのボーナス特技として選択することができる。前提条件さえ満たしていれば、他のクラスのキャラクターが戦闘特技を取ることには何の制限もない。
クリティカル特技はクリティカル・ヒットの対象に追加の効果を与える特技である。《クリティカル体得》を持っていないキャラクターは、1回のクリティカル・ヒットに対してクリティカル特技を1つだけしか適用させることができない。複数のクリティカル特技を持っているキャラクターは、クリティカル・ヒットが確定した後でどの特技を適用するかを決めることができる。
アイテム作成特技はキャラクターが特定のタイプの魔法のアイテムを作ることを可能にする。それぞれの特技で作ることができるアイテムの種類に関わらず、アイテム作成特技は以下のような共通点を持つ。
原材料費:魔法のアイテムを作るための材料費はそのアイテムの基本価格の半分である。
アイテム作成特技を使用するためには研究室、あるいは魔法作業室や、特別な器具が必要となる。特殊な状況でない限り、たいていの場合は必要なものを手に入れることができる。
時間:魔法のアイテムを作るのにかかる時間は特技とアイテムの価格による。
アイテム価格:《ポーション作成》、《スタッフ作成》、《ワンド作成》、《巻物作成》によって作成されたアイテムは呪文の効果をそのまま再現し、その威力はアイテムの術者レベルに依存する。こうしたアイテムから発動した呪文は、アイテムの術者レベルと同じレベルの呪文の使い手が使ったかのようにその力が定まる。これらのアイテムの価格は(従って原材料費も)術者レベルに基づいて決定される。アイテムの術者レベルは、その作成者のその時点での術者レベルより高くすることはできない。最終的なアイテムの価格を求めるには、呪文レベルと術者レベルを掛け合わせ、その結果に以下の定数をかけること。
スタッフ:スタッフの価格を計算するにはより複雑な公式を利用する(魔法のアイテムを参照)。
この計算をする際には、0レベル呪文は呪文レベル1/2として扱う。
追加コスト:ポーション、巻物、ワンドに高価な物質要素のある呪文を込める場合には、呪文を発動する時と同量のコストがかかる。ポーションや巻物の場合、作成者はアイテムを作成する際に物質要素を消費しなければならない。ワンドの場合、作成者は50回分の物質要素を消費しなければならない。他にも魔法のアイテムの中にはこのように物質要素として追加コストを要するものがあり、それぞれアイテムの詳細に記されている。
技能判定:アイテムの作成に成功するためには、難易度5+アイテムの術者レベルの〈呪文学〉判定に成功する必要がある。作ろうとしているアイテムによっては、この代わりに関連する製作や職能の技能で判定を行っても構わない。このような代替の詳細については、魔法のアイテムの作成の項を参照のこと。急いで作ったり、前提条件を満たさないまま作った場合には、この判定の難易度が増加することがある。判定に失敗した場合材料は浪費される。また、判定に5以上失敗した場合、呪われたアイテムができあがる。詳細に関しては魔法のアイテムを参照。
呪文の使い手の魔法に対する知識が増加するにつれて、彼らは呪文を通常とわずかに異なった形で発動することができるようになる。そのように呪文を準備したり発動したりすることは通常より難しいが、呪文修正特技のおかげで少なくとも可能ではある。呪文修正特技によって修正された呪文は、通常より高い呪文スロットを使用する。しかしこれは呪文のレベルを変更するわけではないので、呪文に対するセーヴィング・スローの難易度は変化しない。呪文修正特技は擬似呪文能力には影響を与えない。
ウィザードと信仰呪文の使い手:ウィザードと信仰呪文の使い手は呪文をあらかじめ準備しておかなければならない。ウィザードや信仰呪文の使い手は、呪文を準備する時点で、いずれかの呪文を呪文修正特技を用いて準備するかどうか、選択を行う(そして通常よりも高いレベルの呪文スロットに準備する)。
ソーサラーとバード:ソーサラーとバードは発動時に呪文を選択する。彼らは呪文修正特技を用いて呪文を強化するかどうかを、呪文を発動する時に選ぶことができる。他の呪文の使い手と同じように、強化された呪文は通常より高いレベルの呪文スロットを使用する。ソーサラーやバードはあらかじめ修正済みの呪文を準備しておくわけではないため、その場で修正を行わなければならない。そのため、ソーサラーやバードが修正呪文(呪文修正特技で強化された呪文)を発動するには、通常の呪文を発動するより時間がかかってしまう。通常の発動時間が1標準アクションの呪文なら、修正呪文を発動するには1全ラウンド・アクションがかかる(これは発動時間が“1ラウンド”とは異なる)。唯一の例外は《呪文高速化》によって修正された呪文であり、それらの修正呪文は特技で修正されたとおりに即行アクションで発動することができる。
1標準アクションより長い発動時間を持つ呪文に関しては、発動するためには1全ラウンド・アクション余分にかかる。
任意発動と呪文修正特技:キュア、あるいはインフリクト呪文を任意発動するクレリックや、サモン・ネイチャーズ・アライを任意発動するドルイドは、それを呪文修正形式で発動できる。この場合も通常より長い発動時間を必要とする。標準アクションで発動できる呪文を呪文修正して任意発動するには全ラウンド・アクションがかかり、それより長い発動時間の場合追加の1全ラウンド・アクションを必要とする。唯一の例外は《呪文高速化》によって修正された呪文であり、それらの修正呪文は特技で修正されたとおりに即行アクションで発動することができる。
呪文修正特技が呪文に及ぼす影響:修正された呪文は準備や発動の際には本来よりレベルの高い呪文スロットを使用するが、その効果を考える際にはすべての点において呪文本来のレベルであるとして扱う。セーヴィング・スローの難易度は(特技の説明に変化すると書いていない限り)変化しない。
呪文修正特技を使って変化させることができるのは、その特技を使用するものが直接発動する呪文だけである。ワンドや巻物などから呪文を発動する場合には、呪文を修正することはできない。
呪文の構成要素をなくしてしまう呪文修正特技であっても、機会攻撃範囲内で呪文を発動することによる機会攻撃を誘発しなくなるわけではない。ただし、《呪文高速化》特技により修正した呪文の発動は機会攻撃を誘発しない。
呪文修正特技はすべての呪文に適用できるわけではない。特定の特技では変化させることができない呪文というものがある(各特技の説明を参照)。
1つの呪文に複数の呪文修正特技を適用する:呪文の使い手は1つの呪文に複数の呪文修正特技を使用することができる。呪文スロット・レベルの変更は累積する。同じ呪文に、同じ呪文修正特技を複数回作用させることはできない。
魔法のアイテムと修正呪文:適切なアイテム作成特技があれば、修正呪文を巻物、ポーション、ワンドに込めることができる。ポーションとワンドのレベル上限は、その呪文の修正され上昇したレベルに対して適用される。修正呪文を込めたアイテムを起動するためにその呪文修正特技を持っている必要はない。
修正呪文を相殺する:呪文修正特技によって呪文を強化しても、その呪文が相殺の対象になるかどうかや、他の呪文を相殺する能力には影響しない(魔法の項を参照)。
特技は以下の表:特技に要約されている。特技の前提条件と利益は閲覧の利便性のため省略されていることに注意すること。詳細に関しては特技のそれぞれの説明を参照。
以下に、特技の説明書式を示す。
特技名:特技の名前と、あればその属するサブカテゴリーを()で示す。さらに、その特技で何ができるかの簡単な説明が続く。
前提条件:キャラクターがこの特技を修得するために持っていなければならない最低限の能力値、別の特技、最低限の基本攻撃ボーナス、技能ランクなどを示す。もしなにも前提条件がなければ、この項は存在しない。複数の前提条件を持つ特技も存在する。
利益:その特技によって、君(キャラクター)ができるようになること。同じ特技を複数回取得しても、その特技の説明に累積すると明記されていなければ、その利益は累積しない。
通常:キャラクターがその特技を持っていない場合、行動にどんな制限を受けるか、あるいは何ができないか。その特技を持っていないことで特に不利益が発生しないなら、この項目はない。
利益 | ||
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1日に行なえる“癒しの手”の回数が2回増える。 | ||
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1日に行なえるエネルギー放出の回数が2回増える。 | ||
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【敏】13 |
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1日に使用できる“気の力”が2ポイント増加する。 | ||
〈騎乗〉1ランク |
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対象は蹴散らしをよけることはできない。 | ||
敵を乗騎から突き落とす。 | ||
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君に蹴散らされた敵は機会攻撃を誘発する。 | ||
君に突き飛ばされた敵は機会攻撃を誘発する。 | ||
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― |
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追加で1回の遠隔攻撃ができる。 | ||
武器のクリティカル可能域を2倍にする。 | ||
基本攻撃ボーナス+9 |
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クリティカル・ヒットとなった場合、クリティカル特技の利益を2つ適用できる。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を聴覚喪失状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を疲労状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を過労状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を2d6の出血状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標をよろめき状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を朦朧状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を不調状態にする。 | ||
君の攻撃がクリティカル・ヒットとなった場合、目標を盲目状態にする。 | ||
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クロスボウへの装填をより早く行なえる。 | ||
【知】13 |
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基本攻撃ボーナス+6 |
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素手であっても武装していると見なされる。 | |
【敏捷力】13 |
君は5フィートまで移動困難な地形を無視することができる。 | |
君は20フィートまで移動困難な地形を無視することができる。 | ||
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攻撃ロールに防具による判定ペナルティを被らない。 | |
攻撃ロールに防具による判定ペナルティを被らない。 | ||
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基本攻撃ボーナス+1 |
割り込みアクションとして5フィート・ステップを行なえる。 | |
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基本攻撃ボーナス+1 |
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【敏】15 |
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基本攻撃ボーナス+1 |
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基本攻撃ボーナス+11 |
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鎧による秘術呪文失敗確率を10%軽減する。 | ||
鎧による秘術呪文失敗確率を20%軽減する。 | ||
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基本攻撃ボーナス+6 |
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追加の機会攻撃を得る。 | |
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視界困難による失敗確率を振り直す。 | |
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攻撃ロールに防具による判定ペナルティを被らない。 | |
攻撃ロールに防具による判定ペナルティを被らない。 | ||
攻撃ロールに防具による判定ペナルティを被らない。 | ||
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利益 | ||
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術者レベル11 |
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その他の魔法のアイテムを作成する。 | ||
利益 | ||
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