長命なエルフは多くのフェイと同様に自然界の子供だが、異なる面を持っている。エルフは自らのプライバシーと伝統を重んじるため、個人的または国家間で友となるまでには長い時間がかかる。一度部外者が仲間として認められると、そのような関係は何世代も継続する。エルフは彼らの途方もなく長い寿命、もしくはより深く神秘的な理由により、彼らの周囲の環境に対して深い愛着を持っている。長い間同じ場所に暮らすエルフは目や髪などの体色がその環境に合わせた色彩に変化していく。一方、短命な種族と共に過ごすエルフは次々と仲間が歳を重ね死んでいくのを目の当たりにする。その結果、死に対して歪曲した見識を持ち気難しくなるものも多い。
身体的特徴:エルフは一般的に人間よりも背が高い。その耳は長く先が尖っていて、優美で儚い体格を際立たせている。幅の広いアーモンド形の眼は躍動感のある色彩を持つ大きな瞳で満たされている。エルフは自然界の美を模した衣服を着ていることが多い。その一方で、都市に住むエルフには最新のファッションで自分たちを飾り立てる傾向がある。
社会:多くのエルフは自然との絆を感じ、自然と調和するように努力する。しかしながら大抵のエルフは大地や石に触れるのを不快に感じ、代わりに先天的に持つ根気と魔術を使って素晴らしい芸術を作り、それを鑑賞するのを好む。
種族関係:エルフは軽率で衝動的な他の種族から距離を取ることが多いものの、彼らを正しく評価してもいる。エルフはドワーフが近くに住むのをあまり好ましく思っていないが、その鍛冶技術を高く買っている。彼らはノームを奇妙(で時々危険)な好奇心の塊だと見なす。また、ハーフリングのことを「先祖伝来の家を持たず彷徨っている、哀れな小さき人」と感じている。世界中のハーフエルフの数を見れば明らかなように、エルフは人間に夢中になることがある。しかしその結果産まれてきた子供を認知しないことが多い。彼らはハーフオークを信用せず、疑いの眼で見る。
属性と宗教:エルフは感情的で気まぐれにも拘わらず、親切や美に価値を認めている。大抵のエルフは混沌にして善である。
冒険者:多くのエルフは世界を探検したいという願いから冒険を始める。失われたエルフの魔法を取り戻すため、祖先が数千年前に樹立した失われた王国を探し出すために、静かな森林を離れていく。人間との関係のように、冒険家の短命ながらもしがらみのない人生は自然な興味を引く。エルフは一般的に華奢で白兵戦闘を避けるため、ウィザードやレンジャー等のクラスを好んで追求する。
+2【敏捷力】、+2【知力】、-2【耐久力】:エルフは心身共に鋭敏だが、その姿は華奢だ。
中型:エルフは中型のクリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティもない。
夜目/Low-Light Vision:エルフは薄暗い場所で人間の2倍の距離まで見通すことができる。補足ルールを確認すること。
エルフの耐性/Elven Immunities:エルフは魔法的な睡眠効果に対する完全耐性を持ち、心術呪文と心術効果に対するセーヴィング・スローに+2の種族ボーナスを得る。
エルフの魔法/Elven Magic:エルフは呪文抵抗を打ち破るための術者レベル判定に+2の種族ボーナスを得る。また、魔法のアイテムの特性を鑑定する際の〈呪文学〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
鋭き五感/Keen Senses:エルフは〈知覚〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
武器精通/Weapon Familiarity:エルフはロングボウ(コンポジット・ロングボウを含む)、ロングソード、レイピア、ショートボウ(コンポジット・ショートボウを含む)に習熟している。また、“エルヴン”と名前に記載のある武器を全て軍用武器として扱う。
言語:エルフは共通語とエルフ語を開始時に修得している。高い【知力】を持つエルフは以下から追加の言語を選択できる:オーク語、ゴブリン語、天上語、ノーム語、ノール語、森語、竜語。
ドワーフたちは禁欲的で厳格な種族である。山々の奥底を切り開いて造られた都市に身を落ち着けており、オークやゴブリンのような野蛮なる種族の略奪を撃退しようと猛々しい決意を抱いている。ドワーフたちは他のどの種族にも勝る気難し屋で、ユーモアに欠ける大地の匠という評判を得てきた。彼らの住む高山地帯や危険な地下世界では巨人、ゴブリン、その他の恐ろしいものどもと絶えることの無い戦争が引き起こされている。そのようなドワーフの歴史が多くのドワーフたちの陰気な気質を形作っていると言えるかもしれない。
身体的特徴:ドワーフは背が低く、ずんぐりとした種族である。幅広でぎゅっと詰め込んだような体格はがっしりとした外見の原因であり、大抵の人間よりも1フィートほど背が低い。ドワーフたちは男性も女性も毛髪の長さを誇りとしており、男性はしばしば多種多様な留め具や、入り組んだ編み方で髭を飾り立てる。髭をつるつるに剃った男性のドワーフというのは狂っているか、またはそれ以上に悪いことの確たる証である――ドワーフという種族をよく知るものならば、髭無しドワーフを信用することはないだろう。
社会:彼らの山岳城砦同士の距離は遠く隔たっており、これがドワーフ社会の内部にある多くの文化的差異の原因となっている。そのように分裂しているにもかかわらず、世界中のドワーフたちはみな、石造物への愛着、石と金属を基底とした職人技、建築への情熱、そして巨人、オーク、ゴブリン類への激しい憎悪といった特徴を持っている。
種族関係:ドワーフとオークは長い間近い場所に住んでいたが、彼らの争いの歴史は両種族ほどに古い。一般にドワーフはハーフオークに不信感を抱き、寄り付くことはない。ハーフリング、エルフ、ノームについては軟弱で軽率に過ぎる、あるいは然るべき敬意には値するくらいには「かわいい」ものと思っている。人間に対してドワーフたちは最も強い結びつきを持っている。それというのも、人間の勤勉な性格と旺盛な食欲はドワーフの理想と最も合致しそうなものだからだ。
属性と宗教:ドワーフたちは名誉と伝統に突き動かされている。そして彼らは傍観者的だとよく皮肉られている一方で、彼らは強い友情と正義の感覚を持っており、彼らの信頼を勝ち得るものならばそのことを理解できる。また彼らは懸命に働く一方で、なおさら懸命になって遊ぶ――良いエール酒があるときには特にそうである。大抵のドワーフは秩序にして善である。
冒険者:ドワーフの冒険者は人間に比べて珍しい。とはいえ、世界の大抵の地域で彼らを見ることができる。ドワーフたちは一族のために栄光を求め、生まれ故郷の要塞を豊かにする富を探し、陥落したドワーフの城砦を種族の仇敵から取り返すために砦の周辺を離れる。ドワーフの軍事行動はしばしば坑道戦と近接戦闘を特徴とするため、ファイターやバーバリアンといったクラスにつくドワーフが多い。
+2【耐久力】、+2【判断力】、-2【魅力】:ドワーフはタフで賢いが、少々無愛想でもある。
中型:ドワーフは中型クリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティもない。
ゆっくり着実/Slow and Steady:ドワーフの基本速度は20フィートだが、鎧または荷重によって速度が修正されることはない。
暗視/Darkvision:ドワーフは暗闇の中で60フィート先まで見通すことができる。
防衛訓練/Defensive Training:ドワーフは(巨人)の副種別を持つモンスターに対してアーマー・クラスに+4の回避ボーナスを得る。
貪欲/Greed:貴金属あるいは宝石類の含まれる、魔法的でない物品の価格を調べるために行う〈鑑定〉技能判定において、ドワーフは+2の種族ボーナスを受ける。
嫌悪/Hatred:憎むべき敵に対する特殊訓練により、ドワーフは(オーク)または(ゴブリン類)の副種別を持つ人型生物クリーチャーに対する攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
頑丈/Hardy:ドワーフは毒、呪文、擬似呪文能力に対するセーヴィング・スローに+2の種族ボーナスを得る。
踏ん張り/Stability:ドワーフは地面に立っている間、突き飛ばし、足払い攻撃に抵抗する際の戦技防御値に+4の種族ボーナスを得る。
石工の勘/Stonecunning:ドワーフは石造りの壁または床に設置された罠や、隠し扉などの特殊な石造りの仕掛けに気付くための〈知覚〉判定に+2のボーナスを得る。それらの10フィート以内を通過する時には常に、彼らが能動的に注意を向けているかに拘わらず、そのような仕掛けに気付くための判定を行なえる。
武器精通/Weapon Familiarity:ドワーフはバトルアックス、ヘヴィ・ピック、ウォーハンマーに習熟する。加えて“ドワーヴン”と名前に記載された武器を全て軍用武器として扱う。
言語:ドワーフは共通語とドワーフ語の会話能力を持ってゲームを開始する。高い【知力】値を持つドワーフは以下から〔追加の修得言語を〕選択することができる:オーク語、ゴブリン語、巨人語、地界語、地下共通語、ノーム語。
人間は優れた意欲と忍耐力を持ち、自らの領域を広げるという点において卓越している。そのため、現在の時点では世界の主要な種族である。人間の帝国と国家は巨大で乱雑に広がっており、このような社会の市民は武力と呪文の力で自分たちの名前を残す。人間はその騒々しさと多様性を特徴とする。野蛮だが誇り高き部族から巨大な国際都市に住む悪魔崇拝の貴族まで、その文化は多岐に渡る。好奇心と野心は時に人間の定住の生活への嗜好を圧倒し、そうした者の多くは単に可能だというだけで故郷を離れ、世界の僻地に数えきれないほどある忘れ去られてしまった場所を探検するか、隣国を征服する為に強力な軍隊を導く。
身体的特徴:人間の身体的特徴は世界の地域ごとに様々である。南方の大陸の浅黒い肌の部族から北方の陸地の青白い野蛮な侵略者まで、人間には多様な肌の色、体格、顔の特徴がある。一般的に、人間の肌の色は赤道に近い場所に住むほど暗くなると言ってよい。
社会:人間社会には多数の政府、態度、生活習慣が含まれている。最も古い人間の文化は過去何千年もの歴史を遡ることができる。しかしエルフやドワーフのような種族の一般的な社会と比べると、人間社会は帝国の崩壊や新興国による古き王国の従属など、常に変化しているように見える。一般に、人間は柔軟性、創造性、野心を持つことで知られている。
種族関係:人間は創造力に富み、意欲を持ち、数が多い。そのため、領土拡大と植民地の獲得に駆り立てられ、その際に他の種族と接触する。これにより武力衝突や戦争が引き起こされることが多いが、この衝突による被害を許容して同盟を結ぶのも素早い。人間は時々傲慢なまでの誇りを持ち、ドワーフをけちな大酒飲み、エルフを気紛れな気取り屋、ハーフリングを臆病な泥棒、ノームをへそ曲がりなマニア、ハーフエルフとハーフオークを半端者と見なしている。しかしその種族の多様性により、人間は巧みに他の種族を受け入れることができる。
属性と宗教:人類は強大な悪から無限の善までの様々な性質を持つため、おそらく全ての一般的な種族の中で最も異質である。巨大で野蛮な群落に集まるものもいれば、何マイルにも及ぶ乱雑に広がった都市を築くものもいる。総じて、大抵の人間が中立であるが、一般に特定の属性で集まって国や文明を作る傾向がある。また人間は最も多くの種類の神と宗派を受け入れ、他の種族の伝統に囚われず、誰にでも栄光や保護を与えたがる。
冒険者:数えきれないほどの人間が野心のみに駆り立てられる。そのため、裕福、称賛、社会的地位、神秘的な知識、それらの多くを得る手段として冒険が存在する。単に危険なスリルのために冒険を続けるものもいる。人間は多様な地域や経歴の出自を持っていて、冒険者の一団の中のどんな役割を果たすこともできる。
名前:特定の伝統や共有する歴史に忠実である他の種族と異なり、人間の多様性は無限に近い名前をもたらした。北方の野蛮な部族の人間は亜熱帯の国出身の船乗りや商人と異なる名前を持つことが多い。世界の人間の大部分は共通語を話すが、彼らの名前は信仰や容姿と同程度には多種多様である。
能力値1つに+2:人間のキャラクターは彼らの多様な特質のため、作成時に選択した1つの能力値に対して+2のボーナスを得る。
中型:人間は中型のクリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティもない。
熟練:人間は1レベルの時点と以降レベルを得る毎に1ポイントの追加の技能ランクを得る。
言語:開始時に人間は共通語を修得している。高い【知力】を持つ人間は自由に追加の言語(ドルイド語のような秘密の言語は除く)を選択できる。
ノームの起源を探ると、色はより光り輝き、自然はより荒々しく、感情はより純粋だった場所、神秘なるフェイの領域に辿り着く。はるか昔、古代のノームは知られざる力によって追いやられ、この世界に逃れついたのだ。こうした事情にも拘わらず、彼らはフェイの祖先を完全に諦めることも、人間の文化に完全に順応することもなかった。その結果、ノームは他の種族の多くに奇妙なよそ者であると見なされている。
身体的特徴:ノームは一般的な種族の中で最も小さく、身長は3フィートほどだ。彼らの髪は燃えるような赤や紅葉のようなオレンジ、春の森の若緑、盛りの野花のような深い紅や紫など、鮮やかな色の傾向がある。同様に、彼らの肌の色は遺伝にはほとんど関係なく、自然な茶色から花のようなピンクまで及ぶ。ノームは多様な顔の特徴があり、非常に(人によっては驚嘆させられる程)大きな口と眼を持っている。
社会:大抵の種族と異なり、一般的にノームは古典的な社会構造を組織することはない。気まぐれなノームたちは新しく刺激的な経験を求めて、1人または行きずりの仲間と共に旅をする。彼らは他の種族のメンバーと長きに渡る関係を結ぶことは滅多にない。代わりに情熱をもって工芸や収集、あるいは自身の職能を追求する。男性のノームは独特な帽子やかぶり物に関する変わった好みがあり、しばしば女性のノームは誇らしげに凝った風変わりなヘアスタイルにする。
種族関係:ノームは感情的にも、物理的にも他の種族と交流するのが難しい。ノームのユーモアは他の種族にとって理解し難く、悪意があるか無意味であるように思われている。その一方でノームは、彼らより背の高い種族を愚鈍な巨人と考える傾向がある。彼らはハーフリングや人間とウマが合うが、ドワーフやハーフオークは大抵のノームが笑い飛ばす冗談を本気にするので苦手だ。彼らはエルフを敬うものの、しばしば長命な種族であるエルフの決定にかかる長い時間に苛立ってもいる。ノームにとって行動は常に怠慢に勝るため、多くのノームは休憩時間に楽しむために、常に彼らに非常に関わりのあるいくつかの課題を持ち歩いている。
属性と宗教:ノームは直情的なトリックスターである。時々不可解な動機と分かりにくい手段を用いるが、彼らに悪気はない。彼らの行動は感情と強く一致する傾向があり、自分たちを自然界の中で最も平和な種族だと思っている。
冒険者:ノームの放浪癖は彼らを生まれながらの冒険者にする。彼らはしばしば人生の新しい局面を経験するために放浪者になり、小説と同じような数えきれないほどの危険に直面する。ノームは魔術やバードの音楽で彼らの欠点を補う。
+2【耐久力】、+2【魅力】、-2【筋力】:ノームは肉体的には弱いが、驚くべきことに頑丈である。彼らは生来の愛想の良さを持っている。
小型:ノームは小型のクリーチャーであり、アーマー・クラスと攻撃ロールに+1のサイズ・ボーナス、戦技ボーナスと戦技防御値に-1のペナルティ、〈隠密〉判定に+4のサイズ・ボーナスを得る。
遅い速度/Slow Speed:ノームは20フィートの基本移動速度を持つ。
夜目/Low-Light Vision:ノームは薄暗い場所で人間の2倍の距離まで見通すことができる。補足ルールを確認すること。
防御修練/Defensive Training:ノームは(巨人)の副種別を持つモンスターに対するアーマー・クラスに+4の回避ボーナスを得る。
ノームの魔法/Gnome Magic:ノームが発動した幻術呪文のセーヴ難易度は全て+1される。【魅力】が11以上あるノームは以下の擬似呪文能力を得る:1回/日―ダンシング・ライツ、ゴースト・サウンド、プレスティディジテイション、スピーク・ウィズ・アニマルズ。術者レベルはノームのレベルに等しく、セーヴ難易度は10+呪文レベル+【魅力】修正値である。
嫌悪/Hatred:ノームは彼らの嫌う(爬虫類)または(ゴブリン類)の副種別を持つ人型生物クリーチャーに対する攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
幻術抵抗/Illusion Resistance:ノームは幻術呪文と幻術効果に対するセーヴィング・スローに+2の種族ボーナスを得る。
鋭き五感/Keen Senses:ノームは〈知覚〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
偏執狂/Obsessive:ノームは〈製作〉か〈職能〉の選択したカテゴリ1つに対し、+2の種族ボーナスを得る。
武器精通/Weapon Familiarity:ノームは“ノーム”と名前に記載のある武器を全て軍用武器として扱うことができる。
言語:ノームは共通語とノーム語と森語を開始時に修得している。高い【知力】を持つノームは以下から追加の言語を選択できる:エルフ語、オーク語、巨人語、ゴブリン語、ドワーフ語、竜語。
エルフは長い間、他の種族から羨望の視線を向けられていた。彼らは長い寿命と魔法の親和性、それに生来の優雅さを持ち、それゆえに隣人から称賛や痛烈な嫉妬を浴びせられてきた。しかし、人間ほど彼らの美しさに魅了されたものはいない。エルフと人間という2つの種族が最初に出会ってからというもの、人間はエルフを完成した肉体のモデルであり人間にとっての理想的な姿だと主張してきた。一方、比較的野蛮な手段を伴う人間の短い人生と情熱と衝動性に魅せられ、多くのエルフが若き種族である人間のことを魅力的であると感じる。
時折、この双方の好意によりロマンチックな関係がもたらされる。人間の基準でも短い逢い引きによって、2つの文化の両方を持つとともにどちらも継承しないハーフエルフが誕生する。ハーフエルフはハーフエルフ同士で子を産むことができるが、これらの“純血種”のハーフエルフでさえ、人間とエルフの私生児と同様に見なされることが多い。
身体的特徴:ハーフエルフの背は人間より高いがエルフより低い。彼らはエルフの血筋による引き締まった体格と魅力的な特徴を引き継ぐが、肌の色は人間の血筋によって決まる。ハーフエルフの耳はエルフのように尖っているが若干丸みを帯びており、それほど顕著ではない。ハーフエルフの眼は人間に似ており、琥珀色やヴァイオレットからエメラルドグリーン、紺碧まで幅広く特殊な色になる。
社会:統一された母国と文化が存在しないために、ハーフエルフは多才であることを余儀なくされている。その結果、彼らはどのような環境にもほぼ順応することができる。彼らの両親がひきつけられた同じ理由により両方の種族から見て魅力的な部分もある。しかし他方の種族の特徴をあまりに多く持つため、人間とエルフのどちらにも滅多に合うことはない。受け止めてくれる存在がいないことは多くのハーフエルフに重荷になっている。しかし同時に様式化された文化を持たない究極の自由という彼ら独自の特徴こそが彼らを支えている。その結果、ハーフエルフは信じられないほどの順応性を持ち、いかなる社会にも合うように考え方や能力を調整していく。
種族関係:ハーフエルフは孤独を理解しており、個人の性格が種族よりもそれぞれの人生経験によるものであることを知っている。そのため、ハーフエルフは他の種族との友情を受け入れ易く、新しい知人の評価を決める際、あまり第一印象には頼らない。
属性と宗教:ハーフエルフが持つ孤独感は彼らの人格と価値観に強い影響を及ぼす。彼らが自然と残酷な性質を自らに宿すことはないし、社会の慣例に溶け込むことも従うこともない。その結果、大抵のハーフエルフは混沌にして善である。統一された文化を持たないために信仰に目覚めることはあまりないが、一般的に彼らの母国で普遍的な宗派に従おうとする。
冒険者:ハーフエルフは故郷と呼べる場所を求めて大地をさ迷うため、旅を好むことが多い。共同体に自らを証明したい、個人のアイデンティティや先祖からの遺産を確立したいという欲望により、多くのハーフエルフの冒険者は勇敢な人生へと駆り立てられることになる。
能力値1つに+2:ハーフエルフのキャラクターは彼らの多様な特質のため、作成時に選択した1つの能力値に対して+2のボーナスを得る。
中型:ハーフエルフは中型のクリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティもない。
夜目/Low-Light Vision:ハーフエルフは薄暗い場所で人間の2倍の距離まで見通すことができる。補足ルールを確認すること。
適応能力/Adaptability:ハーフエルフは1レベルの時点で《技能熟練》をボーナス特技として得る。
エルフの血/Elf Blood:ハーフエルフは種族に関連した全ての効果において、人間とエルフの両方として扱われる。
エルフの耐性/Elven Immunities:ハーフエルフは魔法的な睡眠に対する完全耐性を持ち、心術呪文と心術効果に対するセーヴィング・スローに+2の種族ボーナスを得る。
鋭き五感/Keen Senses:ハーフエルフは〈知覚〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
多才/Multitalented:ハーフエルフは1レベルの時点で2つの適性クラスを選択し、彼らがその内のどちらかのレベルを得た場合、+1のヒット・ポイントまたは+1の技能ポイントを得る。適性クラスの詳細についてはクラスの章で確認すること。
言語:開始時にハーフエルフは共通語とエルフ語を修得している。高い【知力】を持つハーフエルフは自由に追加の言語(ドルイド語のような秘密の言語は除く)を選択できる。
ハーフオークは怪物であり、その痛ましい出生は背徳と暴力の結果である――少なくとも他の種族はそう考えている。事実、ハーフオークが愛ある結婚の結果生まれることは滅多にない。そのため彼らは困難の中、やむを得ず早く成長することになり、常に自らを守るため、名を成すために戦っている。恐れられ、疑われ、つばを吐かれても、ハーフオークは大きな成果と予想外の知恵を示して中傷する者を驚かせることができる――いくつもの頭蓋骨を割るほうがより容易にも拘わらず。
身体的特徴:ハーフオークは男女共に、6~7フィートの間の身長で力強い体格を持つ。肌は緑色か灰色がかっている。犬歯はしばしば口からはみ出すほど長く、これらの“牙”が陰鬱な眉とわずかに先の尖った耳と噛みあうことで、悪名高く野蛮な外観を生み出している。ハーフオークは強い印象を与えるかもしれないが、彼らを美しいと表現する者はほんのわずかしかいない。
社会:ハーフエルフの社会的な差別は少なくとも嫉妬や関心が一因となっている。しかしハーフオークはオークと人間の双方にとって最悪だと見なされる。肉体的にはオーク族より弱く、また純血と混血のオークを区別しない人間の軍勢に恐れられ、攻撃されることも多い。しかし受け入れられない一方で、文明社会におけるハーフオークはその武勇を評価される。オーク社会においては肉体的に劣っていることを狡猾さと攻撃性を増すことで補う。生まれながらの首領や軍師にするため、オークの指導者は意図的にハーフオークを生み出すことが知られている。
種族関係:迫害された人生により、普通のハーフオークは用心深さと短気を持ち続ける。しかしその野蛮な外見に隠された本性を見抜く人は、隠された思いやりの心を見出す可能性がある。エルフとドワーフはハーフオークが彼らの天敵とあまりにも似通っているため彼らをほとんど受け入れない。しかし他の種族はエルフやドワーフより遥かに思いやりがあるというわけではない。オークとの問題をあまり持たない人間社会は彼らにもっとも理解があり、彼らを生まれながらの傭兵や用心棒として扱う。
属性と宗教:粗野なオークの間や文明的な土地で孤独な落伍者として暮らすことを強いられるために、大抵のハーフオークはひどく乱暴で孤立している。悪は容易に彼らに生じるが、彼らは生来の悪ではない。大抵のハーフオークは混沌にして中立であり、長年の経験から、自分たちの利益にならないことは何もしないことを学んでいる。
冒険者:しっかりと自立した多くのハーフオークは苦痛に満ちた過去から逃げようとするか、多くのものを武力で改善する近道として、必要に迫られて冒険の人生を始める。その他の楽観的であるか認められたいと願うものは、世界に彼らの真価を証明するために革命家のマントを受け入れる。
能力値1つに+2:ハーフオークのキャラクターは彼らの多様な特質のため、作成時に選択した1つの能力値に対して+2のボーナスを得る。
中型:ハーフオークは中型のクリーチャーであり、サイズによるボーナスもペナルティもない。
暗視/Darkvision:ハーフオークは暗闇の中を60フィート先まで見通すことができる。
威嚇/Intimidating:その恐ろしい特徴により、ハーフオークは〈威圧〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
オークの血/Orc Blood:ハーフオークは種族に関連した全ての効果において、人間とオークの両方として扱われる。
オークの凶暴性/Orc Ferocity:ハーフオークは1日1回、ヒット・ポイントが0未満で死亡していない状態に陥ったとき、1ラウンドの間満身創痍状態として行動することができる。行動後次のターンにヒット・ポイントが0以上に至ってない場合、即座に意識を失い瀕死状態になる。
武器精通/Weapon Familiarity:ハーフオークはグレートアックスとファルシオンに習熟している。また、“オーク”と名前に記載のある武器を全て軍用武器として扱うことができる。
言語:ハーフオークは共通語とオーク語を開始時に修得している。高い【知力】を持つハーフオークは以下から追加の言語を選択できる:巨人語、ゴブリン語、奈落語、ノール語、竜語。
ハーフリングは生来楽観的で、陽気で、不思議な幸運に恵まれ、強い冒険心にいつも駆り立てられている。彼らは過剰な自信と旺盛な好奇心をその小さな身体に秘めている。興奮しやすいのと同時にのんきでもあるハーフリングは、平常心を保ちながら機を伺うのを好み、より激しやすい種族のいくつかほどに暴力や感情を爆発させることはない。破滅の顎の中でさえ、ハーフリングがそのユーモアのセンスを失うことはほとんどない。
ハーフリングには日和見主義が染みついている。厳しい世界から物理的に自身を守れないため、彼らはいつ流れに応じて意見を曲げるべきか、いつ隠れるべきかを知っている。しかしハーフリングの好奇心はしばしば彼らの良識に打ち勝ち、判断力を鈍らせ退路を狭めてしまう。
好奇心により、彼らは旅行と新しい場所、経験を求める。しかし彼らは家庭に対して強い持論があるため、家庭生活の心地良さの向上にしばしば浪費する。
身体的特徴:ハーフリングは身長3フィート程度に達する。足の裏が硬化しており、素足で歩くのを好む。密集した縮毛は彼らの先の広くて日焼けした足を暖める。肌は濃いアーモンド色で、髪は明るい土褐色であることが多い。ハーフリングの耳の先は尖っているが、人間のものと比較してそんなに大きくはない。
社会:ハーフリングはどんな文化的な母国も求めず、自由な田舎の村落より大きな集落を支配することもない。彼らはしばしば兄弟分である人間の都市の膝元で暮らし、大きな社会の断片でなんとか生計を立てている。大きな隣人の影で完全に充実した生活を送るハーフリングがほとんどである。しかし世界を旅し、世界が提供する全ての経験のために、路上の遊牧民的な人生を好むものもいる。
種族関係:典型的なハーフリングは他の種族に気づかれない彼らの能力を誇りに思っている。その能力はとても多くのハーフリングが盗みとペテンに優れていることを示す。そのため大抵のハーフリングは他の種族に固定観念に囚われた見方をされていることを十分に知っている。そのため大きな種族に気付かれるように近づく際には、わざわざ積極的で親しみやすく接するように心がけている。彼らはノームとかなり気が合うが、大抵はノームを変わり者だと考えている。ハーフリングは一般に人間と良い共存関係を結ぶ。しかしいくつかの攻撃的な人間社会はハーフリングを奴隷として扱うため、それらと関係を結ぶ際には愛想がよくない。ハーフリングはエルフとドワーフを敬うが、それらの種族は通常ハーフリングが好む快適な文明から遠く離れた地域に住んでいる。そのためこれらの種族との交流の機会は少ない。一般にハーフオークだけがハーフリングに敬遠されている。ハーフオークの巨体と粗暴な性質が、大抵の困難に耐えるハーフリングをちょっと怖がらせるためだ。
属性と宗教:ハーフリングは彼らの友人と家族に対して信義を守るが、自分たちの倍の大きさの種族が多数派の世界に住んでいるので、時々生き残るために、信義を破棄したり、せびったりする事実を理解している。その結果、大抵のハーフリングの属性は中立である。
冒険者:飽くことのない放浪癖と対をなす彼らの先天的な幸運により、ハーフリングは冒険の人生にとって申し分のない存在である。他の放浪者は超常的な幸運のおこぼれを願って、この好奇心の強い種族に我慢している。
+2【敏捷力】、+2【魅力】、-2【筋力】:ハーフリングは機敏で強い意志を持つが、彼らの小さな身長のために他の種族よりも脆弱である。
小型:ハーフリングは小型のクリーチャーであり、アーマー・クラスと攻撃ロールに+1のサイズ・ボーナス、戦技ボーナスと戦技防御値に-1のペナルティ、〈隠密〉判定に+4のサイズ・ボーナスを得る。
遅い速度/Slow Speed:ハーフリングは20フィートの基本移動速度を持つ。
大胆不敵/Fearless:ハーフリングは[恐怖]に対する全てのセーヴィング・スローに+2の種族ボーナスを得る。このボーナスはハーフリングの幸運と累積する。
ハーフリングの幸運/Halfling Luck:ハーフリングは全てのセーヴィング・スローに+1の種族ボーナスを得る。
鋭き五感/Keen Senses:ハーフリングは〈知覚〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
確かな足取り/Sure-Footed:ハーフリングは〈軽業〉と〈登攀〉判定に+2の種族ボーナスを得る。
武器精通/Weapon Familiarity:ハーフリングはスリングに習熟している。また“ハーフリング”と名前に記載のある武器を全て軍用武器として扱うことができる。
言語:ハーフリングは共通語とハーフリング語を開始時に修得している。高い【知力】を持つハーフリングは以下から追加の言語を選択できる:エルフ語、ゴブリン語、ドワーフ語、ノーム語。