いかに平和裡に統治されている王国であっても、遅かれ早かれ戦争の予兆に直面するものだ。君がいかに歩みよりの姿勢を見せたところで、相手に話し合うつもりがないことも、融和の申し入れに攻勢を強めることさえある。交渉が失敗したとき、鋼のぶつかる音はすぐ間近に迫っているのだ。
この項では君が王国のリーダーとして、軍を編制し、指揮官を任命し、陸で、海で、空で戦う準備をするためのルールが記載されている。これには一般的な軍の装備の整え方やその維持、大規模戦闘をする際のPCの役割、モンスターの一群を軍勢として扱うやり方、戦場における殺戮をどう扱うかなどが含まれる。
これらのルールは抽象的なものであり、物語的な大規模戦闘を、無数のデータで身動きが取れなくなるような複雑な戦闘シナリオなしに、しかし戦術、戦略、そして戦場のリアリティに忠実に行うものである。これらのルールは複雑な戦争を正確に描写するシミュレーションや、戦争物のミニチュア・ゲームのモデルとなるものではない。しかし、キャンペーン内の戦争を描写したり、小規模なアドベンチャーやロールプレイングに使うことができる点を第一としたルールである。
軍勢データ・ブロックの解説、およびこの項を通じての用語解説。
軍勢の能力は以下の書式にしたがって記載される。
名称:軍勢の名称。これは『トック血盟団』のような傭兵団の名称であったり、『第7王国騎兵隊』のような形式にしたがったもの、『レッドストーンの民兵隊』のような通称の場合もある。
経験点:PCの軍勢が打ち破った際に与えられる経験点。軍勢のACRは遭遇における脅威度と同様に扱われる(後述)。
属性:属性は軍勢の能力に影響しないが、軍勢の性向を2つの要素で示す。通常、軍勢に属するものは、軍勢の属性と同じ属性を持つ。
規模:軍勢の規模はその軍勢にどれくらいのユニットがいるかだけでなく、その軍勢のACRを規定する。
構成数 |
ACR | |
---|---|---|
極小 Fine |
1 |
|
微小 Diminutive |
10 |
|
超小型 Tiny |
25 |
|
小型 Small |
50 |
|
100 |
||
大型 Large |
200 |
|
超大型 Huge |
500 |
|
巨大 Gargantuan |
1,000 |
|
超巨大 Colossal |
2,000 |
タイプ:「オーク(ウォリアー1)」「トロル」などのように、軍勢の個々のユニットのタイプを示す。ルール上、基本的には軍勢のユニットはすべて同じユニットとみなされる; 100人のオーク(ウォリアー1)からなる隊は、実際には数名のハーフオークやオークのバーバリアンを含んでいる。しかし、こうした存在は軍勢の能力には影響を与えない。もし軍勢に典型的なユニットとは異なるユニットが多く含まれているようなら、2つの軍勢として分割し、別の軍勢として扱う方がよい。
ヒット・ポイント:軍勢のヒット・ポイントはACR×ユニットの1HDの平均ヒット・ポイント(ヒット・ダイスが6なら3.5、ヒット・ダイスが8なら4.5など)から求められる。例えば、ACR1のウォリアーのヒット・ダイスがd10であれば、ACR1×d10の平均5.5=5.5、端数切り捨てによりヒット・ポイントは5となる。他の軍勢によるダメージは、軍勢のヒット・ポイントのみを削減する点に注意; 軍勢ではない攻撃は通常は効果を与えず、効果を与えるよう処理したければサイズが極小の軍勢として攻撃を処理すること。ゲーム内でヒット・ポイントに影響を与える効果やヒット・ポイントダメージを減少する能力、ヒット・ポイントを回復する能力は半分(ないしより小さく; 最小1)になるものとして扱う。
軍勢脅威度(ACR):軍勢を構成するユニットの脅威度とサイズに基づき決定される、モンスターの脅威度のような値。ACRを決定するには、表4-15:軍勢の規模を使用し、ユニットの脅威度に規模に応じた修正を行って決定する。なお、軍勢が騎兵の場合、騎乗される動物の脅威度と騎乗するものの脅威度があるが、こうした場合は高い方を使用する。例えば、オーク(ウォリアー1)の脅威度は1/3である。したがって、このオーク100体による軍勢はACR1/3、500ならACR3(ユニット100体の軍勢の4ステップ上として計算する)となる。軍勢のACRが1/8を下回る場合は、軍勢とはみなされない――その場合は、ACRが1/8より大きくなるようユニット数を増やす。
防御値(Defense Value:DV):軍勢がどれくらい攻撃に耐えられるかを示す、クリーチャーのアーマー・クラスのような値。軍勢のDVはACR+10に防御施設や駐留地の防衛値/Defense scoreによるボーナスより決定する。
攻勢修正値(Offense Modifier:OM):軍勢の攻撃が成功したかどうかを判定するd20ロールに加えられる修正であり、クリーチャーの攻撃ボーナスと同様のものである。軍勢のOMはACRに等しい。軍勢が遠隔攻撃の能力を持つなら、同様に処理する。近接および遠隔攻撃には、特記ある能力を有していなければ、同じOMを用いる。
輜重品:軍勢が使用可能な資材を示す。
移動速度:この数値は軍勢が1日に12マイルのヘックスを何マス移動できるかを示す。移動困難な地形を含む土地の移動の際には移動速度は半分になる。軍勢のユニットの移動速度を元に、表:移動と距離から軍勢の移動速度を算出する。
士気/Morale:軍勢の自信を示す値。士気は戦術、軍勢が破壊的な攻撃を受けて敗走するときなどに使われる。士気は-4(最悪)から +4(最良)の値をとる。新規の軍勢の士気は+0である。士気は軍勢の指揮官等により修正を受けられる。士気が-5以下になると、軍勢は解散され、あるいは敗走をはじめ、コントロールが不可能になる。
消費量/Consumption:この値はその軍勢が、週にどれくらいの物資を消耗するかをBuild Points(BP)単位で示す(他の多くの王国運営ルールとは異なり、月単位ではなく週単位で消費する点に注意)。食糧や水、武器の補充、運搬、日常の世話、給金の支払いなどが含まれる。 軍勢の基本的な消費量はACRの半分(最小1)である。消費量の支払いができなくなった場合、士気が2下がる。このペナルティは消費量が支払われた時点で回復する。
指揮官:この項は、軍勢の指揮官とその【魅】修正値、〈職能:軍人〉のランク、指揮値が記載されている。指揮官がその軍勢に命令を下す、あるいは軍勢のダイス・ロールへのボーナスを与えるためには、コミュニケーション(これにはメッセージ呪文のような魔法的な手段も含まれる )が取れなくてはならない。
大規模戦闘は、戦術フェイズ、遠距離フェイズ、近接フェイズの3つの戦闘フェイズから成る。各フェイズは特定の時間経過を示すものではなく、大規模戦闘を処理するために設けられたものである。例えば、戦場に大雨が降って数時間ぬかるんだだとか、戦場の死体を回収するための短期の休憩などがあっても、大規模戦闘ルールにおいては1つの戦いとの間のこととして扱われる。長い時間の休憩(日が落ちてから夜明けまでの戦闘休止など)や戦場のコンディションが大きく変化した場合(指揮官の暗殺、援軍の到着など)には、GMは大規模戦闘をそこまでで一度区切ったほうがよいだろう。
1.戦術フェイズ:GMは戦闘環境に応じた修正を加える。指揮官はそれぞれの軍勢の戦術を選ぶ。
2.遠隔戦フェイズ:遠隔攻撃が可能な軍勢は敵軍勢に対し、1回の遠隔攻撃を行うことができる。このフェイズは近接戦闘の距離を超えた2軍勢同士の遠隔攻撃として、通常1ラウンド間(1回の攻撃)行われ、その後近接戦闘に移行する。戦場の形やコンディションはこの時間を延長しうる。両軍勢が遠隔武器を持っているなら、互いが移動せず、近接戦に移行せずに射撃を続けることを選択できる(矢弾がつきるまでは。とはいえ、通常は消費量には軍勢が複数回の射撃戦を可能にするくらいの供給がされているものだが)。遠隔武器を持っていない軍勢はこのフェイズには攻撃できないが、おそらくは敵に向かって殺到していることだろう。
3.近接戦フェイズ:軍勢同士は最終的にぶつかり合い、近接戦闘を行う。指揮官は戦略の記録を使って戦略を選び、互いに攻撃を行う。どちらか一方の軍勢が壊滅するか逃亡するまで、あるいはなにか戦闘を終わらせるイベントが発生するまで近接戦闘が続く。
大規模戦闘においては、一度の戦闘フェイズの間に、同時に無数の攻撃が交わされており、実際のところ誰が最初に攻撃したかなどといったことはあまり意味がない。
軍勢が攻撃する際には、各軍勢は攻勢判定(1d20 +軍勢のOM)を行い、結果を相手のDVと比較する。
結果が同じかそれ以下だったらそのフェイズにはダメージを与えれられない。
攻勢判定が相手軍勢のDVより大きければ、攻勢判定とDVの差をダメージとして適用する。例えば、攻勢判定が11で、相手軍勢のDVが7の場合、ダメージは4ポイントとなる。これらの攻撃は同時に行われるため、両軍勢が同じフェイズにダメージを受け、ともに壊滅することもありうる。
攻勢判定で20の目が出たものの、判定では敵軍勢のDVを越えられなかった場合は、1ポイントのダメージを与える。1の目が出た場合は、例え敵軍勢のDVを越えていても1ポイントのダメージしか与えず、さらにその失敗――命令の伝達ミスや泥地へのスタックなどが考えられる――によって、次のフェイズでは攻勢判定を行うことができない。
このルールは3つ以上の軍勢の衝突を処理する事を可能にする。そうした戦いでは、君の軍勢がそれぞれどの軍勢に攻勢判定をするか、つまり、攻撃しダメージを与えるかを決定する(複数の軍勢をコントロールしているなら、複数の軍勢を選択できる)。標的とする軍勢はフェイズ毎に変更できる。君の王国が複数の軍勢を戦闘に投入するなら、ゲーム時間の短縮のため、他のプレイヤーに軍勢を任せるとよいだろう。
大規模戦闘においては、軍勢ほど目立つものではないにせよ、戦場の特性が結果を左右することもある。以下に示した修正リストは、大規模戦闘中にのみ適用される。当然ながら、GMはある種のコンディションが一部の軍勢には効果がないと判定ができるよう訓練しておくとよい。例えば、暗闇は暗視を持った軍勢には意味がないし、濃霧も鋭敏嗅覚を持つ軍勢には効果がないだろう。
GMの判断により、ムーヴ・アースのような広域に影響を及ぼす呪文は、戦闘前に軍勢や指揮官に影響を及ぼすとしてもよい。こうした呪文が効果を持つには、少なくとも1時間は効果が持続し、500フィート平方に効果を及ぼすものである必要がある。同様に、インスタント・フォートレス(防御値+2)のような魔法のアイテムやウォール・オヴ・ストーン(防御値+1)のような呪文は、軍勢のための防御施設として戦闘時に使用することができる。
有利な地形/Advantageous Terrain:一般に、有利な地形(丘の上、せまい崖の狭間、一方を深い川に守られた挟撃されない場所など)を占めている軍勢は防御時にDVが2向上する。
待ち伏せ/Ambush:待ち伏せを行うためには、待ち伏せ側の軍勢が隠れられる場所が必要となる。待ち伏せ側は対象のDVに対して攻勢判定を行う。成功すれば、戦闘は開始されるが、された側はその戦術フェイズに行動できない。以降の戦闘は通常通り解決される。
地の利/Battlefield Advantage:もし軍勢が戦場に慣れ親しんでいるなら、OMおよびDVが2向上する。
暗闇/Darkness::暗闇は全ての軍勢のOMを2、DVを3低下させる。
薄明かり/Dim Light:薄明かりは軍勢のOMを1低下させる。
霧/Fog:霧は受けたダメージを半分にするとともに、撤退戦術を選択した際の士気判定に+2ボーナスを与える。
防御施設/Fortifications:防御施設内にいる軍勢は、防御施設の防御力をDVに加えることができる。王国運営ルールを使っているなら、居住地にある建物により、居留地の防御力が決められる。もし王国運営ルールを使用していないなら、典型的な防御施設はDVを8向上する。
雨:雨は遠隔フェイズのOMに、強風と同じ効果を与える; 詳細は風の効果表を参照。
砂嵐/Sandstorm:砂嵐は霧と同様に扱うとともに、遠隔フェイズと近接フェイズに全ての軍勢にそれぞれ1ダメージを与える。
雪/Snow:雪は遠隔攻撃に雨と同様の効果を与えるほか、霧同様の効果をダメージに与える。
風/Wind:風は遠隔攻撃の際のOMに影響を与える。風の効果表を参照。
戦術は軍勢が戦いに影響を与える選択の1つである。新兵で構成された軍勢は、GMによる特例でない限り、戦術を知ることはない。軍勢は戦いに勝つことで新しい戦術を学ぶ(勝利、敗走、壊滅の項を参照)。軍勢はACRの半分(最低0)までの戦術を有することができる。
戦闘が始まったら、指揮官はその戦闘に使用する戦術を1つ選ぶ(その軍勢が戦術を知らなければ、標準戦法を使う)。遠隔および近接フェイズの最初に、指揮官は難易度15の士気判定に成功することで戦術を変更することができる(同時に、以前の戦術による修正はすべて無くなる)。判定に失敗したら、いまの戦術をそのまま使い続ける。戦術の効果は戦闘が終了するまで続く。
戦場の状態のように、戦術による利点はGMの考えに左右されることがある(例えば、包囲戦の達人の特技は、敵を包囲できないときには効果を与えないと判断するなど)。
アスタリスク(*)のつけられた戦術は、全ての軍勢がデフォルトで知っている戦術である。これらは戦術の数の制限にはカウントされない。
警戒戦闘/Cautious Combat:士気を維持するよう注意を払いながら戦う。OMが2減少し、すべての士気判定に+2を得る。
騎兵戦の達人/Cavalry Experts:騎乗していない軍勢に対し、OMが2向上する。この戦術を選択するには乗騎の輜重品を使わなければならない。
守りの壁/Defensive Wall:防御的に、友軍を守るように戦うことで、OMが2減少し、DVが2向上する。
奇計機略/Dirty Fighters:策略を用い、卑怯ともとれる戦術を使うことで、戦いの最初にアドバンテージを得る。近接フェイズでOMが6向上する(その後のフェイズでは、敵軍勢はその策略への対策を整える)。
包囲戦の達人/Expert Flankers:君の軍勢は敵を包囲し注意を逸らす術に長けており、十分な広さに展開して敵の弱みを突く。OMが2向上し、DVが2減少する。
偽装敗走/False Retreat:戦闘中に1回、君の軍勢は撤退するふりをして、対象の敵軍勢を有利な場所に引き寄せる。この戦術を使ったフェイズには、君の軍勢は攻勢判定ができない。戦術を使った次のフェイズに、対象の敵軍勢に対するOMが6向上する。
防御専念/Full Defense:君の軍勢は防戦に徹する。OMが4減少し、DVが4向上する。
容赦なき攻撃性/Relentless Brutality:君の軍勢はあらゆる警戒心を投げだし、残酷で血への渇望に満ちた攻撃を行う。OMが4向上し、DVが4減少する。
攻城兵狙い/Siegebreaker:君の軍勢は敵の持つ攻城兵器を狙う。対象の軍勢にダメージを与えたら、再度攻勢判定を行い、成功したら対象軍勢の持つ攻城兵器を1つ破壊する。この戦術は攻城兵器を持たない軍勢には効果がない。
狙撃兵の助け/Sniper Support:君の軍勢は射撃兵の一部を近接フェイズのサポートにあてる。君の軍勢が近接フェイズでダメージを与えた時、2ダメージ追加する。この戦術を使うためには遠隔攻撃ができる軍勢でなければならない。
術者殺し/Spellbreaker:君の軍勢は呪文発動を邪魔するスペシャリストだ。呪文発動能力を持つ軍勢に対するOMが4向上する。
標準戦法*/Standard:君の軍勢には特に修正が加えられない。
挑発/Taunt:君の軍勢は敵を嘲ることに長け、敵のマヌケなミスや自信過剰を誘うことができる。対象の軍勢は遠隔フェイズまたは近接フェイズの開始時に士気判定(難易度= 10+君の軍勢のACR)を行う。失敗すれば、そのフェイズのOM・DVが2減少する。もし対象の軍勢が2回以上士気判定に成功すれば、以降その軍勢はこの戦闘中、この戦術に対する完全耐性を得る。
撤退*/Withdraw:君の軍勢は攻撃から逃れようとする。軍勢は統制を維持するため、自身を攻撃しようとする軍勢すべてと対抗士気判定(この際、判定に失敗することを選択してもよい)を行う。なお、戦術変更のための士気判定は必要ない。すべての判定に成功すれば、軍勢は戦場から撤退するか、そのフェイズを遠隔フェイズとして扱う。成功が一部であれば、逃走や撤退により、そのフェイズを遠隔フェイズとして扱う。ただし敵軍勢は君の軍勢が近接フェイズにあるものとして攻撃できる。判定の成否にかかわらず、君の軍勢のOM・DVはそのフェイズの間、2減少する。
最初の近接フェイズに、指揮官は5つの戦略から1つを選択し、記録する。戦略は軍勢のDV、OM、ダメージに修正を与える。
最初の近接フェイズが終了したら、指揮官は戦略を変更できる。1段階の変更は自動的に成功し、判定を必要としない。指揮官がステップをより多く変更したいなら、難易度20の士気判定を必要とする。成功すれば戦略を望むレベルに変更できるが、失敗したら戦略を変更できない。
逃走は戦場で打ち負かされた軍勢が混乱と無秩序のままに逃走することをさし、通常は恐怖に囚われたり、敵に圧倒されている。軍勢のヒット・ポイントがACR以下になった時、その軍勢の指揮官は難易度15の士気判定を行う。失敗したら、その軍勢はちりぢりになり、戦場から撤退する。撤退できない場合、降伏し、捕虜となる。軍勢が撤退する時には、戦闘に参加するすべての軍勢が撤退する軍勢に、「別れの一撃」として1度ずつ攻勢判定を行うことができる(通常、敵対する軍勢だけが行うだろうが、攻撃的、あるいは邪悪な軍勢であれば、怒りや不満にまかせて攻撃するかもしれない)。
すべての敵の軍勢を逃亡させるか壊滅させれば、その軍勢の勝利となる。戦闘後の軍勢がどうなるかは、壊滅したか、敗走したか、勝利したかによって異なる。
壊滅:軍勢のヒット・ポイントが0以下になった軍勢は壊滅している。壊滅した軍勢は士気を失い、傷ついたわずかな生存者(多くは敵に捕らわれているだろう)を残すのみで、以降の大規模戦闘に活かせる戦力は残されていない。君の軍勢が壊滅した際は、軍勢の規模に応じて君の王国の経済、忠誠、治安が減少する。
治安 | |||
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0 |
0 |
0 | |
0 |
-1 |
0 | |
-1 |
-1 |
0 | |
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-1 |
-1 | |
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-4 |
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-4 |
-3 |
-3 |
敗走:敗走した軍勢は士気が1減少する。軍勢のヒット・ポイントがACRよりも低くなっていれば、ヒット・ポイントはACRと同じ値まで回復する。敗走した軍勢は、君の王国の維持Upkeepフェイズでの忠誠判定(毎ターン行える)に成功するまで、戦闘への参加を拒む。なお、敗走中の軍勢は敵軍勢に攻撃を受け得るし、戦闘での攻勢判定も行える点に注意――ただ戦闘の口火を切れないというだけだ。
勝利:君の友軍を除いて、戦場に残っているのが君の軍勢だけであるなら、君は戦いに勝利した。軍勢が勝利する度、君の王国のコントロール難易度を目標とした忠誠判定を行うことができる。判定に成功すると、君の軍勢は新しい戦術を一つ覚えるとともに、士気を1向上できる(最大+4まで)。軍勢のヒット・ポイントがACRより下がっていたら、ヒット・ポイントをACRと同値にして良い。最後に、もう一度忠誠判定を行う。成功すれば、軍勢の指揮官は新たな恩恵を得る。
軍勢は一日休憩(移動や戦闘を行わない)することで、ACRと同じだけヒット・ポイントを回復できる。一日一回、王国のコントロール難易度を目標に忠誠判定を行い、成功したらさらに追加でACR分のヒット・ポイントを回復できる。例え何ポイントのヒット・ポイントを失っていたとしても、一ヶ月の間何もせずにいた軍勢はヒット・ポイントを回復できる。
大規模戦闘における回復は、実際に傷を治療するほかに、殺されたユニットの補充をも意味する(したがって、君は軍勢の兵の減少を記録したり、それに伴う規模の縮小を考える必要はない)。補充されるユニットは地元からの志願兵であったり、居住地からの補充兵、占領された地域から集められた徴集兵かもしれない。もし周辺環境がこうした補充ができそうにないものであるなら、GMは自由に軍勢が回復できるかどうかを決定してよい。通常は、軍勢の通常のヒット・ポイントの半分程度と制限する。傷ついた軍勢が回復できる手段については、軍勢の再構築の選択ルールを参照のこと。
指揮官は軍勢の戦力を最大限に引き出し、有利を導く。指揮官はPCでもNPCでもよい。君が軍勢を直接指揮するとか、(GMの許しの上で)冒険やロールプレイによって特に優秀な指揮官を任命したなどでなければ、新しい軍勢の指揮官は特徴のあるリーダーではなく、軍勢に特記すべきボーナスを与えることはない。
軍勢記録シートMass Combat Army Sheetには各軍勢のそれぞれの指揮官を記録する欄が設けられている。加えて、一般的な事柄を記載する欄もある――部隊に割り当てられたキャラクター(それは君かもしれないが)は、現状では名目上のリーダーであり、軍勢を積極的に率いようとしない限り、軍勢に何ら特典を与えることはない。記載事項は以下の通り。
【魅】修正値:指揮官の【魅力】修正値を記入する。この数値は軍勢の士気判定に加える。
〈職能:軍人〉:指揮官の〈職能:軍人〉の技能ランク。記入時には1/5の値(最低0)を入れる。この数値は軍勢の士気判定に加える。
指揮値/Leadership:指揮官のキャラクター・レベル+【魅力】修正値。指揮官がモンスターであれば、キャラクター・レベルの代わりにヒット・ダイスを使用する。キャラクターが《統率力》特技を有しているなら、この値を3増やす。この数値は一部の恩恵の前提となっている。
恩恵:指揮官の知っている恩恵を記載する(後述)。指揮官は最大で1つ+〈職能:軍人〉5ランクごとに1つの恩恵を覚えられる。新人の、あるいは平凡な指揮官は最初は恩恵を1つも知らないが、戦闘での勝利を通じて獲得することができる。もし君が指揮官として采配を振る王国の統率者である場合、統率者の役割にふさわしい恩恵を1つ、自動的に獲得する(後述)。
指揮官が軍勢の士気判定にボーナスを与えたり、恩恵を適用するには、自身が活動状態でなければならない。活動状態とは、少なくとも週のうち3日を軍勢とともに過ごすことである。指揮官のいない軍勢(指揮官が死亡したり、軍勢へ多くの時間を割けなくなった場合)は、週ごとに士気が1減少する。軍勢の消費量を2倍支払うことで、この減少を埋め合わせることができる。
君の持つ軍勢に指揮官がおらず、割り当てられる人員もいないなら、君はその軍勢のユニットのひとりを指揮官として使うこともできる。この指揮官は【魅】修正値が+0で、〈職能:軍人〉を持たず、指揮値はその軍勢の一般的なユニットのレベルかヒット・ダイスをもとに決定する。
恩恵とは指揮官が軍勢に与える特殊能力のことである。恩恵の多くは戦闘時のダイス・ロールや判定に作用するものであり、その特典を与えるためには指揮官がその戦場にいなければならない。指揮官は有している恩恵全てを自分の軍勢に適用できる(1つだけ選んだりする必要はないのである)。
傷つけど斃れず/Bloodied but Unbroken:指揮官は絶望を目の前にした軍勢を力づける。軍勢のヒット・ポイントが最大ヒット・ポイントの半分以下になったとき、攻勢判定に+1のボーナスを得る。この恩恵を得るためには、指揮官は指揮値が4以上なければならない。指揮値が10以上なら、ボーナスは+2になる。
戦術追加/Bonus Tactic:戦術をひとつ選ぶ。指揮官はその戦術を熟知しており、軍勢は自分たちが例えその戦術を知らなくとも、知っているかのように使うことができる。この恩恵は複数回選択できる。選択の度、戦術を選ぶこと。
防御戦術/Defensive Tactics:指揮官は防御的な戦い方に長けている。軍勢のDVを2向上する。この恩恵を得るためには、指揮官は指揮値が5以上なければならない。
臨機応変/Flexible Tactics:指揮官は軍勢が戦闘中にいくつもの命令をこなせるように鍛える。軍勢は戦術変更時の士気判定に+5のボーナスを得る。この恩恵を得るためには、指揮官は指揮値が6以上なければならない。指揮値が12以上なら、ボーナスは+10になる。
一撃離脱/Hit and Run:指揮官は軍勢を素早い攻撃と迅速な撤退ができるよう鍛え上げる。遠隔フェイズの攻撃終了後か、最初の近接フェイズに撤退を選択する際、対抗指揮判定に+2のボーナスを得る。この恩恵を得るためには、指揮官は指揮値が5以上なければならない。指揮値が10以上なら、ボーナスは+4になる。
戦線維持/Hold the Line:指揮官は軍勢が危険な敵と対峙しているときでも士気を維持できるよう兵を信服させる術に長けている。撤退を避けるための士気判定に失敗したとき、判定を降り直すことができる。結果が最初に振ったときより悪くなったとしても、その結果を使用する。
現地調達/Live off the Land:指揮官は軍勢が狩りや罠、漁労などで食糧の供給を増やす。この恩恵を使うことで、軍勢の週あたりの消費量を半分に減らすことができる。GMは超大型以上の規模の軍勢はヘックス内の資源を1d3週間で枯渇させると裁定してもよい。こうした場合、軍勢は消費量を減らしたままでいるためには、ヘックスを移動しなければならない。
忠義の士/Loyalty:指揮官は軍勢に強固な忠誠心を宿らせる。軍勢はあらゆる士気判定に+2のボーナスを得る。指揮官はこの恩恵を得るためには指揮値が6以上なければならない。指揮値が12以上ならボーナスは+4になる。
無慈悲/Merciless:指揮官は軍勢が無慈悲に、傷ついていない敵を見逃すことのないよう駆り立てる。軍勢は他の軍勢が逃亡する際の対抗士気判定と、撤退ないし敗走している軍勢への最後の攻勢判定に+1のボーナスを得る。
射撃戦の名手/Sharpshooter:指揮官は軍勢に的確な射撃を訓練する。軍勢は防御施設を使っている軍勢に対する攻勢判定に+2のボーナスを得る。この恩恵は遠隔攻撃能力を持たない軍勢には効果が無い。
救急治療/Triage:指揮官は軍勢に魔法や錬金術、薬草学、民間療法などによる、傷の手当ての方法を学ばせている。戦闘毎に1回、軍勢は遠隔フェイズないし近接フェイズの攻勢判定に-4のペナルティを受け、かわりにACRの半分のヒット・ポイントを回復する。もし軍勢が輜重品としてヒーリング・ポーションを有しているなら、同様にこの恩恵とあわせて使用してもよい(その場合、攻勢判定へのペナルティはなくなる)。
君が王国の統率者(領主、司祭長、外交官など)なら、軍勢の指揮官としても役割を果たすことができる。士気判定へのボーナスや恩恵の最大数を決める際、〈職能:軍人〉の1/5か、キャラクター・レベルの1/6のいずれか高い方(最低1)を使用する。なお、軍勢の指揮官としてボーナスを与えるには、他の指揮官同様活動状態になければならないし、戦術や恩恵を使用するにも同じ条件が必要となる。
君の統率者としての役職に応じて、自動的に恩恵が与えられる(この際、指揮値の必要条件を満たしている必要はない)。以下の役職リストに複数の恩恵が示されている場合は、どれかひとつを選ばなければならない(ただし、通常の方法で追加することはできる)。
領主/Ruler:傷つけど斃れず、忠義の士
配偶者/Consort:忠義の士
評議員/Councilor:忠義の士
将軍/General:戦術追加、臨機応変、無慈悲、射撃戦の名手
相続人/Heir:忠義の士
大神官/High Priest:前線維持、現地調達、救急治療
宮廷魔術師/Magister:臨機応変、忠義の士
執行官/Marshal:現地調達、一撃離脱、射撃戦の名手、救急治療
処刑官/Royal Enforcer:戦術追加、無慈悲、射撃戦の名手
財務相/Treasurer:忠義の士
副王/Viceroy:忠義の士
軍勢が壊滅したとき、指揮官がNPCであれば、d%を振る:その指揮官は戦死する(01~20)、捕らわれる(21~70)、脱出に成功する(71~00)。精神のないクリーチャーの軍勢は、捕らえた指揮官を全て殺す。君は捕らわれた指揮官を取り戻すために、身代金として軍勢の消費量と同額のBPを支払わなければならない(他の王国の軍勢に捕らわれたなら、身代金はその国の国庫に入る)。指揮官が戦場で行方不明になったり、とらわれたり、身代金を払ったりということは、不幸な噂として伝わり、軍勢は士気が1下がる。
君が指揮官で、軍勢が壊滅したとき、GMは君が重傷(ヒット・ポイントが25%以下になる)を負いながら脱出に成功するか、さもなくば捕虜になり、身代金を支払うはめになるかを決める。他のPCがBP、gpあるいは宝物で身代金を支払うか、君の自由を取り戻すための冒険をGMが用意することにしてもよい。
輜重品は 軍勢が能力を高めるために使用できる物理的な品々を表している。君は輜重品を軍勢に与えるためにはBPを支払わねばならない。軍勢の中には一部の輜重品が使えないものもいる。例えば狼の軍勢はヒーリング・ポーションや上質な武器を使うことはできないし、精神のないクリーチャーには攻城兵器を使うことはできないだろう。
輜重品のコストは購入だけでは終わらない。各ユニットは新しい装備の訓練を行わねばならず、精鋭兵には給金を割り増ししなければならないし、高価な物品はメンテナンスや修理に金がかかることもある。そのため、一部の輜重品は軍勢の毎週の消費量を増加する。
記載されているのは中型の軍勢にかかる額である。より小さい軍勢なら額は安く、大きい軍勢の額は高くなる。
ヒーリング・ポーション(10BP):各ユニットは数本のヒーリング・ポーションを持っている。戦闘中ならいつでも(ただし一回だけ)、指揮官は軍勢にヒーリング・ポーションを飲むよう命じることができる。軍勢はそのフェイズに攻勢判定ができないが、ACRの二倍のヒット・ポイントを回復できる。ヒーリング・ポーションを装備した軍勢は、その週の消費量が3増える。この輜重品を装備するには君の王国に錬金術師、術者の塔、カテドラル、薬草師、魔法の店、魔法大学ないし寺院がなければならない。
上質な鎧(3BP):軍勢は高品質の鎧を装備する。これにより、DVと消費量が1ずつ向上する。15BPを支払うことで、軍勢に魔法の鎧を装備させることもでき、この場合はDVと消費量が2ずつ向上する。この輜重品を装備するには君の王国に外国人居住区、軍事大学または鍛冶屋がなければならない。
上質な武器(5BP):軍勢は高品質の武器を装備する。これにより、OMと消費量が1ずつ向上する。50BPを支払うことで、軍勢に魔法の武器を装備させることもでき、この場合はOMと消費量が2ずつ向上する。この輜重品を装備するには君の王国に外国人居住区、軍事大学または鍛冶屋がなければならない。
乗騎(BP =動物のACR):軍勢は馬などの戦闘用に訓練された生物に騎乗している。OMとDVを2、消費量を1向上する。軍勢がユニットより強力な騎乗生物を使用しているなら、その軍勢のACRは騎乗生物のものを用いる。この輜重品を装備するには君の王国に外国人居住区、馬小屋または家畜舎がなければならない。
遠隔武器(2BP):軍勢はクロスボウ、スリング、弓などで武装し、遠隔攻撃が可能になる。消費量を1向上する。
攻城兵器(1つにつき15BP)/Siege Engines:軍勢はカタパルトやラム、トレビュシェット、バリスタなどといた、防御施設を破壊するための攻城兵器を有している。OMを2(攻城兵器がいくつあっても変わらない)、消費量を攻城兵器1つにつき3向上する。近接フェイズに、防御施設を使用している的のDVへのボーナスを軍勢の攻城兵器ひとつにつき1d4ずつ削減すること。他の輜重品と違い、攻城兵器のコストは軍勢のサイズによって変化しない。この輜重品を装備するには君の王国に大学、外国人居住区、軍事大学または大学がなければならない。
倍率は軍勢のサイズに応じて輜重品のもとのコストと消費量を修正する。この倍率によって、輜重品のコスト等が1以下になることはない。
君は購入した輜重品を、軍勢の規模が同じか小さい、その装備を使える他の軍勢(例えば、ヒル・ジャイアントの軍勢の持つ上質な武器は人間のゾンビの軍勢には大きすぎる)に渡すことができる。これにはコストはかからないが、渡す側の軍勢の士気は1下がる。
GMの裁量でより小さい規模の軍勢なら、総ユニット数が元の軍勢のユニット数を越えないよう、複数の軍勢に分配してもよい(訳注:もとの軍勢が500ユニットなら、200の軍勢2つと100の軍勢に分配してもよい、の意)。
もし輜重品を持つ軍勢を解散させるなら、輜重品を適切な軍勢に与えることもできるし、次の機会(翌年の新兵募集など)のためにとっておくこともできる。また入手時の半分のBPで売りに出すこともできる。
ファンタジー・ゲームの戦争の楽しみのひとつは、現実の軍隊に制限されない部分にある。軍勢を構成する一般的なユニットはウォリアーやファイターだろうが、君はより大規模戦闘に有用なクレリックやパラディンなどを徴兵することもできる。
また、君はゴブリンやトロル、オークなどといった人型生物や、ケンタウロスやウォーグといった変わったクリーチャーをも軍勢にすることができる。こうしたクリーチャーの中には大規模戦闘を有利に進める特殊能力を持つものもいる。通常の王国はこうしたクリーチャー軍勢を構成することはできないが、交渉や友好を結ぶような冒険を通じて友好関係を結ぶことは可能だろう。
これらの能力による修正は、以下の表に掲載されているもののみ軍勢に適用できる。クラス能力については、能力名のあとにクラス名とレベルが記載されており、使用するにはユニットがそのレベルに達してなければならない。以下のリストには5レベル以降のクラス能力は記載されていない。これはそのような高レベルのユニットは軍勢を構成できるほど大勢集められないためである。クラス能力の中には、オプションが2つ用意されているものもある。君は軍勢を構築する際、こうした能力のどちらを使うかを決めなければならず、一度決めたら変更はできない。
特殊能力表を参考に新しい能力をつくってもよい。特に記載のない限り、これらの効果は(ヒット・ポイントへのダメージを除き)戦闘終了時に終了する。味方の軍勢に効果を及ぼす能力は、君の軍勢にも効果を及ぼすことに注意。
悪を討つ一撃(パラディン1):戦闘時の近接フェイズ中に一度、軍勢は悪の軍勢への攻撃にOMを2増加できる。このとき、対象の軍勢がアンデッドか悪の来訪者であれば4増加する。
足払い:近接戦フェイズごとに、対象の軍勢のDVをフェイズ終了時まで1減少する。
穴掘り:軍勢は遠隔または近接フェイズを使って防御施設または城壁ひとつの下に穴を掘ることができる。以降のフェイズで、その防御施設の防御を無視できる。穴掘りをしようしているフェイズ中は穴掘りまたは地潜りを使用している軍勢からのみ攻撃を受け、また攻撃することができる。
暗視:薄暗がりまたは暗闇によるOM・DVへのペナルティを受けない。
アンデッド:軍勢は病気、恐怖、[毒]への完全耐性を持つ。DVが2増加する。
癒しの手(パラディン2):この能力は正のエネルギー放出と同様に機能する。
異様なオーラ:この能力は恐怖と同様に扱うが、動物(乗騎に使用される動物も含む)にのみ適用される。
岩つかみ:軍勢は遠隔攻撃に対しDVが1増加する。攻撃が攻城兵器か岩を投げる事によるものであれば、さらに1増加する。
岩投げ:軍勢は遠隔攻撃が可能である。遠隔フェイズのダメージに+4する。
渦潮変化:この能力は麻痺と同様に扱うが、水上ないし水中のものだけを対象とする。
鋭敏嗅覚:軍勢は暗闇、不可視、天候によるペナルティを半分にする。
エネルギーに対する抵抗:大いなる護りの項を参照。
大いなる護り/Significant Defense:大いなる護りを持つ軍勢は強力なダメージ減少や完全抵抗、エネルギー抵抗を持つ。こうした効果を越えてダメージを与える能力を持たない軍勢に対し、DVが10増加する。一部のケースでは、この軍勢はその防御能力により、単に倒されることがないと裁定してもよい(PCがよほど愚かな戦い方をしているのでない限り、GMはこうした結果をもたらすようなことはしないほうがよい)。
頑健なる肉体(パラディン3):病気への完全耐性を得る。
かきむしり:与えるダメージを1増やす。
狩人の絆(レンジャー4):軍勢を作ったとき、この軍勢に相棒か動物を与える。
相棒:戦闘毎に1回、この軍勢か、相棒の軍勢のOMを戦闘終了まで1増加する。
動物:動物の相棒と同様に機能する。
完全耐性:ある特殊能力(毒など)に耐性を持つ軍勢に対し、その能力を持つ軍勢は、能力による利益を得ることができない。複数の耐性を持つ場合は大いなる護りの項も参照のこと。
擬似視覚:暗闇や不可視、天候によってOMとDVに受ける軍勢のペナルティを無くす。
騎士団(キャヴァリアー1):挑戦(特殊能力)を使用する際、挑戦の対象になった軍勢に対するときのDVはさらに1増加する。
気蓄積(モンク4):攻撃を魔法武器によるものとみなす。
機動性/Mobility:機動性を持つユニットが、戦場の地形からアドバンテージがもたらされるような場合(たとえば沼にいるボガードなど)、相手が同じ種類の機動性を持たない限り、OMが1増加する。
急所攻撃(ローグ1):軍勢はまちぶせしている時や包囲戦の達人の戦術を使用する際、または偽装敗走の戦術を使用した直後のフェイズでのOMが1増加する。
恐怖:敵軍勢にダメージを与えた際、敵軍勢は士気判定(難易度 = 10 +君の軍勢のACR)を行わねばならない。失敗した軍勢は恐慌状態afraidとなり、次のフェイズで攻勢判定ができない。すでに士気判定に失敗し、恐慌状態にあるなら、その軍勢は敗走する。
凶暴性:軍勢は士気を喪失したり、半死半生となってなお、戦い続けることができる。この軍勢が壊滅ないし逃走することになっても、続く近接フェイズ1回をOMおよびDVに-4のペナルティを受けて実行できる。
強力突撃:この軍勢のOMを1増加する。
激怒(バーバリアン1):戦闘中に一度、指揮官は軍勢に激怒を命じることができる。OMが2増加し、DVが1減少して、恐怖や敗走時の士気判定に+1のボーナスを得る。効果中、この軍勢は cautious combat, defensive wall, expert flankers, hold the line, sniper support, or withdrawの戦術や、防御的、あるいは警戒の戦略を使用できない。使用時にそうした戦術や戦略を選んでいた場合、直ちに標準の戦術や戦略に切り替えること。
幻獣(サモナー1):この能力は動物の相棒と同様に扱う。
高速治癒:遠隔ないし近接フェイズ毎に、軍勢は高速治癒の値の半分のヒット・ポイントを回復する。戦闘時以外であれば、1時間毎に高速治癒の値と同値のヒット・ポイントを回復する。
再生:遠隔または近接フェイズ終了時、そのユニットの再生する値の半分だけヒット・ポイントを回復する。軍勢がヒット・ポイント0になった時、少なくとも1つ以上の、再生するクリーチャーにとどめを刺せる軍勢がいなければ、再生を持つ軍勢が倒されることはない。戦闘外では軍勢は1時間毎にそのユニットの再生する値の半分だけヒット・ポイントを回復する。
自然の化身(ドルイド4):戦闘中に1回、軍勢は水棲、水陸両生、登攀、暗視、飛行、夜目、または鋭敏嗅覚といった特殊能力を得ることができるが、得ている間は呪文発動能力を失う。軍勢はこの能力を以降のフェイズのいつでも終了できる。
慈悲(パラディン3):戦闘終了時、相棒の軍勢の病気を1つ治療できる。
蹂躙:軍勢のOMは1増加する。
呪術(ウィッチ1):軍勢を作ったとき、この軍勢に回復か大鍋を与える。
回復/Healing:戦闘毎に1回、軍勢はACRの半分のヒット・ポイントを回復できる。
大鍋/Cauldron:軍勢は施設の条件を満たす必要なく、ヒーリング・ポーションを製作できる(他軍勢に譲渡してもよい)。これらの購入に必要なBPは通常通り支払うこと。
出血:近接フェイズでダメージを与えたとき、対象の軍勢は次のフェイズの最初に自動的に1d6のダメージを受ける。
呪文抵抗:呪文発動能力を持つ軍勢に対するDVが6増加する。
呪文発動:軍勢のユニットが魔法を使用できる(これには擬似呪文能力や実際の呪文発動能力が含まれる)なら、軍勢のOMとDVを各ユニットが使用できる最大の呪文レベルだけ増加する。軍勢が持つ攻撃的な呪文が、接触より遠いところに作用できるものであれば、その軍勢は遠隔攻撃を有する。
瞬間移動/Teleportation:軍勢は防御施設による防御効果を無視する。撤退判定には自動的に成功する。エーテル界移動や同種の効果もこの能力と同様に扱う。瞬間移動を持つ軍勢は、移動速度や移動困難な地形の有無にかかわらず、同日中に望むヘックスに移動できる。
乗騎(キャヴァリアー1):軍勢の乗騎は軍勢のOMとDVを1増加する。
肉食/Cannibalize:軍勢が戦闘に勝った週は、残された遺体を与えることで消費量を1だけ減少させる(最低0)。
植物:軍勢は恐怖、麻痺、毒に完全耐性を持つ。
人造:軍勢は病気、恐怖、麻痺、毒の効果に完全耐性を得る。
振動感知:軍勢は暗闇、不可視、天候によるOMおよびDVのペナルティを半分にできる。
審判(インクィジター1):遠隔または近接フェイズ毎に一度、ダメージを1増やすか、DVを1増やすか、ACRの半分だけヒット・ポイントを回復するか、攻撃を魔法武器で行ったものとみなすかを選択できる。この能力は軍勢が恐怖により攻撃できなくなったら停止し、軍勢が敗走したら直ちに終了する。
水棲:軍勢は水中や船上の敵に対してOMとDVが1向る。この軍勢は陸上の敵に対してはOMが2低下する(水陸両生を持っていればこのペナルティは被らない)。
水陸両生:軍勢は水中を自由に移動し、水を利用した防御効果を無視する。
スウォーム:この軍勢は非魔法的な攻撃からは1/2のダメージしか受けないが、魔法による攻撃からは1.5倍のダメージを受ける。輜重品のうち、鎧から得られるDVボーナスを無視する。非実体ならびに大いなる護り能力を持つものを傷つけることはできない。撤退判定には自動的に成功する。
砂嵐の創造/Create Sandstorm:戦闘毎に1回、軍勢は砂嵐の戦場の状況を受ける。砂嵐は戦闘終了まで続く。
精神を持たない:この軍勢は士気判定に失敗することはないが、常に標準の戦術と戦略を使用しなければならない。
正のエネルギー放出(クレリック1、パラディン4):近接フェイズに、アンデッドの軍勢に+1d4 のダメージを与える。追加ダメージを与える代わりに自軍勢を回復するために使うこともできる。1回の遠隔または近接フェイズにOMにACRの半分のペナルティを受け、かわりにACRに等しいヒット・ポイントを回復できる。
生命力吸収:敵軍勢にダメージを与えた際、24時間の間その軍勢のOMおよびDVを1減少する。
石化:麻痺と同様に扱う。
戦術家(キャヴァリアー1):軍勢は自動的に戦術一つ(通常は騎兵戦の達人Cavalry Experts)を選択し、それを得る。こうして得た戦術は、軍勢の戦術の最大修得数には数えない。
戦闘スタイル(レンジャー2):戦闘毎に1回、戦闘終了時まで、遠隔ないし近接フェイズでOMを1向上できる。
竜巻変化:この能力は麻痺と同様に扱う。
ダメージ減少:大いなる護りの項を参照。
地潜り:土や石で作られた防御施設の効果を無視するとともに、穴掘り能力同様に、防御施設の下に穴を掘ることができる。
着火:この能力は出血と同様に扱う。
挑戦(キャヴァリアー1):戦闘毎に1回、軍勢は対象とする軍勢へのOMを2向上する。ただし、対象の軍勢以外との戦闘の際、DVが1低下する。これらの効果は戦闘終了まで続く。
追跡(インクィジター2、レンジャー1):軍勢は撤退戦術を使用した時の士気判定ならびに奇襲された際のDVにACRを加えることができる。霧によるダメージの減少は1/2でなく1/4となる。
つかみ:この軍勢は敵を引っ掛け、逃さないようにする。対象の軍勢は敗走判定時の士気判定および戦術として撤退を選んだ際の判定に-2のペナルティを受ける。
同族作り:自軍勢と同じかそれより大きな、生者の軍勢を壊滅した際、その軍勢は直ちにACRの2倍のヒット・ポイントを回復するか、2サイズ小さい新しい軍勢を構築できる。
登攀:軍勢は(訳注:防御施設を利用する敵を攻撃する際に)防御施設の防御効果を25%低いものとみなしてよい。ただし、防御施設が壕やウォール・オヴ・フォースのように登攀できるようなものでない場合は効果がない。
動物の相棒(ドルイド1、レンジャー4):軍勢は動物の相棒によりOM が1向上する。
毒:出血と同様に扱う。
毒に対する抵抗(アルケミスト2):軍勢が毒によるダメージを受けた時、ユニットの毒に対する抵抗のボーナス値の半分のダメージを減少できる。
得意な地形(レンジャー3):敵軍勢の受ける有利な地形およびbattlefield advantageが半分になる。
得意な敵(レンジャー1):得意な敵として選択したクリーチャーの軍勢と戦う際、OMが1向上する。
飛びかかり:この軍勢のOMを1増加する。
能力値ダメージ/吸収:この能力は出血と同様に扱う。
爆弾(アルケミスト1):この能力はブレス能力と同様に扱う。
発見(アルケミスト2):この能力は出血と同様に扱う。
光に過敏:この軍勢は明るい光のもとではOMとDVが1低下する。
光による盲目化:この軍勢は明るい光のもとではOMとDVが2低下する。
飛行:この軍勢は飛行を持たない軍勢に対し、近接フェイズで攻撃をしていなければ、攻撃を受けることがない。この軍勢は市壁の影響を受けないが、他の防御施設の影響は受ける。
非視覚的感知:暗闇や不可視、天候によってOMとDVに受ける軍勢のペナルティを半分にする。
非実体:この軍勢は非魔法の攻撃からは一切ダメージを受けず、魔法的攻撃からのダメージを半減する。敵の鎧(輜重品)によるDVへのボーナスを無視する。撤退判定には自動的に成功する。あらゆる地形において、機動性による優位mobility advantage を有しているとみなされる。
引っかき:与えるダメージを1増やす。
病気:敵軍勢にダメージを与えた際、その軍勢は病気となり、戦闘の翌日からOMおよびDVに累積する-1ペナルティを受ける。Stability checkに成功することで病気を克服し、ペナルティを1日に1ずつ減少することができる。
不可視:この軍勢を攻撃する軍勢はOMに-2のペナルティを受ける。この軍勢の攻撃を受ける軍勢は、DVに-2のペナルティを受ける。不可視のものを見る能力のない軍勢は、不可視の軍勢が撤退するのを阻むことはできない。
武器開眼(ファイター4):戦闘中に1回、近接または遠隔攻撃時のOMを2増加する。
負のエネルギー放出(クレリック1):近接フェイズに、生きている敵の軍勢に+1d4 のダメージを与える。アンデッドの軍勢がこの能力を持っているなら、追加ダメージを与える代わりに自軍勢を回復するために使うこともできる。1回の遠隔または近接フェイズにOMにACRの半分のペナルティを受け、かわりにACRに等しいヒット・ポイントを回復できる。
武勇(ファイター2):恐怖と敗走に関わる士気判定の際、武勇ボーナスを得る。
ブレス攻撃:遠隔攻撃を行うことができる。遠隔ならびに近接フェイズでのダメージを与えたとき、1d4ダメージを追加できる。
ポーション作成(アルケミスト1):軍勢は必要となる施設の条件を満たしていなくとも、自分や他の軍勢に輜重品としてヒーリング・ポーションを作ることができる。BPコストは通常通り支払わなければならない。
麻痺:軍勢が敵軍勢にダメージを与えるたび、敵の軍勢のDVを1減少する。
味方の盾(サモナー4):軍勢のDVを1増加する。
身かわし(モンク2、ローグ2):呪文発動能力を持つ軍勢による攻撃は、そのOMへのボーナスを半分にして判定する。また、ブレス能力による追加ダメージを半分にする。
朦朧化打撃(モンク1):この能力は麻痺と同様に扱う。
勇気鼓舞の呪芸(バード1):軍勢はOMが1増加し、恐怖や敗走時の士気判定に+2のボーナスを得る。自分のかわりに、同じ戦場にいる相棒の軍勢にこのボーナスを与えてもよい。
勇気のオーラ(パラディン3):軍勢は恐怖効果に完全耐性を得るとともに、敗走を避けるための士気判定に自動成功する。
夜目:この軍勢は薄明かりによるペナルティを受けない。
鎧修練(ファイター3):このクラス能力は中装鎧のを着けたユニットの基本移動速度に修正を与える。軍勢の移動速度を修正する。
錬金術(アルケミスト1):戦闘中に1回、軍勢はヒーリング・ポーションを持っているのと同様に、自分の軍勢を回復できる。この能力にはBPは必要ない。
連打(モンク1):最初の近接フェイズ時に、軍勢のOMを1増加する。以降に続く近接フェイズでは2増加する。
ローグの技(ローグ2):軍勢は 出血能力を得る。
罠感知(ローグ3):攻城兵狙い戦術を選択した際、攻城兵器を破壊できたかの判定の際、攻勢判定にACRの半分を加えることができる。
オプションの一つとして、PCたちを軍勢の指揮官として扱う場合、GMは大きな戦いの前の、あるいは戦いの中のより小さい規模の戦闘が、敵の軍勢を打ち砕くことにしてもよい。例えば、君のPCたちが邪悪なネクロマンサーの塔を攻略するとしよう。塔の周りにはアンデッドの軍勢が控え、君の軍勢はそれを打ち破ってネクロマンサーを倒そうと考える。君のPCたちはクラウドキルやコントロール・ウォーター、アースクエイクなどといった強力な呪文で戦場の環境を自分たちに都合よく変化することもできる。こうした手段により君のキャラクターたちは直接、軍勢の指揮のために最後まで戦場に留まることなく、大規模戦闘の結果に影響を及ぼす可能性がある。
もし君のPCたちが小規模な戦闘に勝利したり、戦場での魔法がドラマチックな効果を与えるなら、GMは軍勢のOMおよびDVを+4しても良い(負けた場合には-4のペナルティとなる)。GMの判断で、PCたちの成功や失敗はより大きな影響を与えるとみなし、一時的に追加で戦術を使用できるようになったり、いくつかの軍勢のヒット・ポイント変更、特殊能力の無視などの効果を与えても良い。
以下のセクションでは大規模戦闘では滅多に使われないルールや変更について記載されている。これらはオプション・ルールであり、GMは必要に応じてゲームに使用する事ができる。
同じ種別で、かつ同じ大きさの軍勢は戦闘中でなければ1つの軍勢にまとめ、1サイズ大きな軍勢として扱うことができる。
各部隊の指揮官のいずれかを、新しい軍勢の指揮官とする。残された指揮官は他の軍勢の指揮官に宛てることができるが、それができなければ持っていた恩恵等はすべて失われる。
新しい軍勢の能力は新しい軍勢のサイズをもとに算出する。このとき、両方の部隊が持っていた恩恵、輜重品、戦術はすべて失われる。新しい軍勢の士気は2つの軍勢の平均を用いる。どちらかの軍勢がなんらかの障害(病気など)を有していたなら、それは新しい軍勢に引き継がれる。
両軍勢のヒット・ポイントがどれくらいの割合残っているかをそれぞれ求める。新しい軍勢のヒット・ポイントは、その平均値に等しい。例えば、一方の軍勢が50%、もう一方が100%のヒット・ポイントなら、新しい軍勢はそのサイズの軍勢の75%のヒット・ポイントをもっている。
傷ついた軍勢は、より小さいサイズの軍勢として再構成することができる。軍勢のヒット・ポイントのルールは傷ついたユニットや戦闘できなくなったユニット、死んだユニットなどを抽象的に表現するものである。したがって、極端にヒット・ポイントの低くなった軍勢は、活動できるユニットがより小さいサイズの軍勢と同等かそれ以下になっている。例えば、大型の軍勢は通常200体のユニットを擁しているが、この軍勢が非常に大きく傷つき、100体前後のユニット程度しか残っていないとすると、中型の軍勢と同じ戦力となる。軍勢の輜重品はACR(サイズ)を元に算出することから、軍勢を再構築した際には、輜重品のコストを小さくなったサイズに合わせて再計算することができる。
戦闘中でなければ、君はいつでも傷ついた軍勢(ヒット・ポイントが半分以下になっている)を再構築し、ヒット・ポイントを最大値にしてよい。この行為は、君の軍勢から、戦闘を続けられる健康なユニットだけを抽出したことを意味する。選から漏れた傷ついたユニットはちりぢりとなり、通常は傷を癒すために故郷に帰っていく。
新しく小さくなった軍勢の能力値は新しい際済みのと付いて再計算する。小さくなった軍勢は、大きかったころのすべての能力(恩恵、輜重品、戦術、指揮官など)をすべて残しているが、いずれも現在のサイズに合わせたものとなる(例えばACRや、ACRに基づく諸数値など)。軍勢の士気は1下がる(これは、再構成することが縁起が悪いことだと考えられているためである)。
軍勢の再構成の回数には制限はない。巨大な軍勢であっても、軍勢を構成するユニット数の限りで、少しずつ削って再構成することができる。
この章で説明されたコストは、いつでも軍事行動できる、常備軍にかかるコストである。君は軍勢を居留地に置く予備軍に変更することができる。これにより軍勢にかかる週1回の消費量は月1回(王国の管理ターン)に変更となる。また、指揮官としてactiveでいるために必要とされる時間は月に3日に短縮される。また、指揮官不在によるペナルティは毎週ではなく、毎月課されるようになる。
予備軍としておける軍勢の規模は、居留地の建築物による。Watchtowerがあれば小型以下の、Barracksがあれば中型以下の、Castleがあれば大型以下の、そして、Garrisonがあれば超大型以下の軍勢を予備軍として置くことができる。それ以上の規模の軍勢は予備軍とすることはできない。これらは軍勢として展開しつづけておかなければならない。なお、Templeは特定の宗教的な兵士(クレリック、ドルイド、パラディン等)に対してWatchtower、CathedralはBarracksと同様に扱うことができる。君は軍勢を建築物にあわせて分割してもよい(下記 軍勢の分割ルールを参照のこと)。
居留地の外に予備軍を移動するなら、直ちにその軍勢は活動しているものとみなされ、通常通り一週間ごとに消費量を支払わねばならない。
軍勢はより小さいサイズの軍勢に分割できる。戦闘中以外であればいつでも、軍勢を1サイズ小さい軍勢2つに分けることができる。分割した軍勢のどちらか一方にはそれまでの指揮官を宛てることができる。もう一方の軍勢には新たな指揮官を配属しなければならない。
小さくなった軍勢のデータ・ブロックは新しいサイズに応じて変更される。これらの軍勢はサイズに関わる(ACRならびにACRに基づいて決められる)数値を除き、大きかった時のデータ・ブロックや効果(戦略、恩恵、輜重品、指揮官など)を維持する。分割された軍勢はすべて士気が1下がる。
大きい時の軍勢のヒット・ポイントが何%であったかをもとに、小さくなった軍勢のヒット・ポイントを決める。例えば、大きい時の軍勢の最大ヒット・ポイント40で、ヒット・ポイント28(ヒット・ポイントが70%)のとき、小さい軍勢はそれぞれ最大ヒット・ポイントの70%のヒット・ポイントを有する。
軍勢の分割回数には制限はない。巨大な軍勢であっても、ACRが軍勢としてカウントできる限り、複数回分解できる。
この項には人型生物ないしモンスターからなるさまざまな軍勢のサンプルが示されている。GMはこれらの軍勢を徴集できるとしてもよいし、大規模戦闘における尋常ならざる敵として使うこともできる。軍勢には士気値が記載されていないが、スタート時の士気は0とし、これに指揮官による修正を加える。
これらの多くは中型だが、プレイヤーやGMは戦術、輜重品、特殊能力がわかれば、サイズを変更するのは容易だろう。軍勢がし重品を持っているなら、サイズに応じて消費量も変更される点に注意すること。サイズを変更するときには、まず輜重品による消費量を記録しておき、全体の消費量から除いた後、軍勢のサイズに基づく修正を加え、軍勢の総消費量に加算する。軍勢のリストに徴兵の際のコストが記載されているなら、このコストは他の値同様に軍勢のサイズによって修正される。
以下の特殊能力は、多くはユニットであるモンスターの特殊能力を鑑みて決められている。例えば、トログロダイトはそれぞれが悪臭能力で敵を吐き気のする状態にするが、軍勢のルールには悪臭能力がないため、トログロダイトの軍勢は同等の能力として麻痺をもっている。同様に、アストラル・デーヴァの軍勢は一日1回の回復能力のかわりに錬金術能力を持つ。しかし一体一体のユニットが実際に錬金術のエキスを持ち歩いているわけではない。
もし特殊能力が、突撃や飛びかかりのような常時ボーナスが得られるタイプの能力由来なら、ボーナスはその軍勢のデータ・ブロックに自動的に加えられる。ボーナスが条件付きのものであれば、適切な条件下でのみボーナスが与えられる。例えば、岩つかみなら岩による遠隔攻撃を受けた際のDVにボーナスを得るし、岩投げなら遠隔攻撃をした際のダメージにのみボーナスを得るだろう。
一部の軍勢はDVやOMに特定のボーナスを得る。これらは、ダメージ減少のような防御能力や、単一の敵に大きなダメージを与える能力を有したもので、モンスターを軍勢に変換するためのルールにのっとって付与されたものである。少数の強力なモンスターによる軍勢のデータ・ブロックの決定には、理論より芸術性を優先している。
真なる中立超巨大規模の人間の軍勢(ファイター2)
ヒット・ポイント 49; ACR 9
DV 19; OM +9
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 4
真なる中立巨大規模の人間の軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 38; ACR 7
DV 17; OM +7
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 3
真なる中立超大型規模の人間の軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 27; ACR 5
DV 15; OM +5
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 2
真なる中立大型規模の人間の軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 16; ACR 3
DV 13; OM +3
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 1
真なる中立中型規模の人間の軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +1
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 1
混沌にして悪中型規模のボガードの軍勢
ヒット・ポイント 9; ACR 2
DV 12; OM +2
特殊 暗視、夜目、機動力による優位(沼)
速度 1(沼地の影響を受けない); 消費量 1
真なる中立中型規模のケンタウロスの軍勢
ヒット・ポイント 16; ACR 3
DV 13; OM +3、遠隔攻撃
戦術 騎兵戦の達人
特殊 常に乗騎を有しているものとみなす、暗視
速度 2; 消費量 1
秩序にして中立中型規模のドワーフの軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +1
戦術 守りの壁
特殊 武勇 +1、暗視
速度 1; 消費量 1
秩序にして悪中型規模のドゥエルガルの軍勢(ウォリアー 3)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +2、遠隔攻撃
特殊 暗視、麻痺と毒への完全耐性、光に過敏
速度 1; 消費量 1
注記 擬似呪文能力によりOM+1
混沌にして悪中型規模のドラウの軍勢(ウォリアー 3)
ヒット・ポイント 3; ACR 1
DV 11; OM +3、遠隔攻撃
戦術 奇計機略、偽装敗走、狙撃兵の助け、術者殺し
特殊 暗視、光に過敏、毒、呪文抵抗
速度 2; 消費量 1
注記 擬似呪文能力によりOM+2
真なる中立中型規模の人間の軍勢(ファイター 4)
ヒット・ポイント 16; ACR 3
DV 13; OM +3、遠隔攻撃
戦術 包囲戦の達人、攻城兵狙い
輜重品 ヒーリング・ポーション、高品質の鎧、高品質の武器、遠隔武器
特殊 鎧修練、武勇 +1、武器開眼
速度 2; 消費量 1(徴兵のコスト20BP)
真なる中立中型規模の人間の軍勢(ファイター 3)
ヒット・ポイント 11; ACR 2
DV 15; OM +5
輜重品 高品質の鎧、高品質の武器、乗騎
速度 1; 消費量 4(徴兵のコスト9BP)
真なる中立中型規模のエルフの軍勢(レンジャー 2)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +1
戦術 狙撃兵の助け
特殊 戦闘スタイル、得意な敵(オーク)、追跡
速度 1; 消費量 1
混沌にして悪中型規模のグールの軍勢
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 11; OM +1
特殊 肉食、暗視、病気、麻痺、アンデッド
速度 2; 消費量 1
混沌にして悪中型規模のノールの軍勢
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 11; OM +1
特殊 暗視
速度 2; 消費量 1
真なる中立中型規模のノームの軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +2
戦術 taunt
特殊 武勇 +1
速度 1; 消費量 1
注記 擬似呪文能力によりOM+1
混沌にして悪中型規模のゴブリンの軍勢(ウォリアー 2)
ヒット・ポイント 2; ACR 1/2
DV 10; OM +0、遠隔攻撃
特殊 暗視
速度 1; 消費量 1
混沌にして悪超大型規模のゴブリンの軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 16; ACR 3
DV 13; OM +3、遠隔攻撃
特殊 暗視
速度 1; 消費量 1
混沌にして中立中型規模のハーフオークの軍勢(バーバリアン2)
ヒット・ポイント 6; ACR 1
DV 11; OM +1
戦術 容赦なき攻撃性
特殊 激怒
速度 2; 消費量 1
秩序にして中立中型規模のハーフリングの軍勢(ローグ 2)
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 11; OM +1
戦術 撤退
特殊 身かわし、ローグの技(出血)、急所攻撃
速度 1; 消費量 1
秩序にして悪中型規模のホブゴブリンの軍勢(ファイター 2)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 12; OM +2、遠隔攻撃
戦術 攻城兵狙い
輜重品 高品質の鎧、高品質の武器、遠隔武器
特殊 鎧修練、武勇 +1、暗視
速度 2; 消費量 2(徴兵のコスト8BP)
秩序にして悪超大型規模のコボルドの軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 11; ACR 2
DV 12; OM +2
戦術 奇計機略
特殊 暗視、光に過敏
速度 2; 消費量 1
真なる中立中型規模のリザードフォークの軍勢
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 11; OM +1、遠隔攻撃
特殊 水陸両生、水棲、肉食
速度 2; 消費量 1
真なる中立超巨大規模の人間の軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 38; ACR 7
DV 17; OM +7
速度 2; 消費量 3
真なる中立巨大規模の人間の軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 27; ACR 5
DV 15; OM +5
速度 2; 消費量 2
真なる中立超大型規模の人間の軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 16; ACR 3
DV 13; OM +3
速度 2; 消費量 1
真なる中立大型規模の人間の軍勢(ウォリアー 1)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +1
速度 2; 消費量 1
混沌にして悪中型規模のオークの軍勢(ファイター 3)
ヒット・ポイント 11; ACR 2
DV 13; OM +2、遠隔攻撃
輜重品 高品質の鎧
特殊 鎧修練、武勇 +1、肉食、凶暴性、光に過敏
速度 2; 消費量 2(徴兵のコスト3BP)
混沌にして悪中型規模のオークの軍勢(ウォリアー 3)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 11; OM +1、遠隔攻撃
特殊 肉食、凶暴性、光に過敏
速度 2; 消費量 1
中立にして悪超巨大規模の人間のスケルトンの軍勢
ヒット・ポイント 31; ACR 7
DV 19; OM +7
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 2; 消費量 3
中立にして悪巨大規模の人間のスケルトンの軍勢
ヒット・ポイント 22; ACR 5
DV 17; OM +5
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 2; 消費量 2
中立にして悪超大型規模の人間のスケルトンの軍勢
ヒット・ポイント 13; ACR 3
DV 15; OM +3
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 2; 消費量 1
中立にして悪大型規模の人間のスケルトンの軍勢
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 13; OM +1
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 2; 消費量 1
中立にして悪中型規模の人間のスケルトンの軍勢
ヒット・ポイント 1; ACR 1/3
DV 12; OM +0
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 2; 消費量 1
真なる中立中型規模のスヴァーフネブリンの軍勢(レンジャー 1)
ヒット・ポイント 5; ACR 1
DV 13; OM +2、遠隔攻撃
特殊 暗視、得意な敵(ドワーフ)、夜目、呪文発動、呪文抵抗、追跡
速度 1; 消費量 1
真なる中立タラスク1体の極小規模の軍勢
ヒット・ポイント 93; ACR 17
DV 27; OM +21、遠隔攻撃
戦術 守りの壁、容赦なき攻撃性、攻城兵狙い、術者殺し、撤退
特殊 肉食; 恐怖; つかみ; 能力値ダメージ・出血・病気・生命力吸収・恐怖・麻痺・石化・[毒]への完全耐性; 夜目; 再生40; 鋭敏嗅覚; 大いなる護り; 呪文抵抗
速度 2; 消費量 8
注記 特技やモンスターの特殊能力によりOM+4
真なる中立中型規模のテングの軍勢(ローグ 3)
ヒット・ポイント 9; ACR 2
DV 12; OM +2、遠隔攻撃
戦術 包囲戦の達人
特殊 身かわし、夜目、ローグの技(出血)、急所攻撃
速度 2; 消費量 1
混沌にして悪中型規模のトログロダイトの軍勢
ヒット・ポイント 4; ACR 1
DV 11; OM +1、遠隔攻撃
特殊 暗視、麻痺
速度 2; 消費量 1
中立にして悪中型規模のウォーグの軍勢
ヒット・ポイント 11; ACR 2
DV 12; OM +2
特殊 暗視、夜目、鋭敏嗅覚、足払い
速度 3; 消費量 1
真なる中立中型規模のイエティの軍勢
ヒット・ポイント 22; ACR 4
DV 14; OM +4
特殊 burn、登攀、暗視、恐怖、鋭敏嗅覚
速度 2; 消費量 2
中立にして悪超巨大規模の人間のゾンビの軍勢
ヒット・ポイント 36; ACR 8
DV 20; OM +8
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 1; 消費量 4
中立にして悪巨大規模の人間のゾンビの軍勢
ヒット・ポイント 27; ACR 6
DV 18; OM +6
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 1; 消費量 3
中立にして悪超大型規模の人間のゾンビの軍勢
ヒット・ポイント 18; ACR 4
DV 16; OM +4
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 1; 消費量 2
中立にして悪大型規模の人間のゾンビの軍勢
ヒット・ポイント 9; ACR 2
DV 14; OM +2
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 1; 消費量 1
中立にして悪中型規模の人間のゾンビの軍勢
ヒット・ポイント 2; ACR 1/2
DV 12; OM +0
特殊 暗視、精神を持たない、アンデッド
速度 1; 消費量 1
大規模戦闘ルールは、軍勢を1体のクリーチャーのように扱う。エルフとオークの軍勢の叩きあう時、両者が100回ずつ攻撃ロールを行うのでなく、エルフの軍勢とオークの軍勢をそれぞれ1つのユニットとして、1回ずつのダイス・ロールを行う。軍勢の戦闘は互いをターン制で攻撃し合うのではなく、攻撃ロールを同時に行う。小さな軍勢はよりクリーチャー(ユニット)数が少なく、大きい軍勢はユニット数が多い。そして、ユニット数はその軍勢の危険さに直結している。
各軍勢は軍勢に命令を下す指揮官――通常は歴戦のヴェテランである――を有している。君は直接軍勢を指揮することもできる。君の国家での役職に応じ、各種ボーナスが与えられる場合もある。
軍勢は予備兵力として弓兵を使う、防護壁を作り上げる、きたない手を使うなどといった戦略を学ぶことができる。また、攻撃をどう猛かつ激しいものにする(クリーチャーが《強打》を使ったときのように)ため、あるいは注意深く防御的に戦う(《攻防一体》を使ったかのように)ために、戦術を使うこともできる。軍勢の指揮官は戦闘中使用する戦術と戦略を決定する。
戦場の状況は戦闘のプロセスや結果に影響を与える。例えば、泥まみれの戦場では軍勢の歩行速度が低下するが、飛行している軍勢には影響を与えない。また、夜の闇は人間の眼から軍勢を隠すが、オークの軍隊の眼をごまかすことはできない。
戦闘は大きく分けて、戦略の決定、遠隔戦闘(可能なら)、近接戦闘の3フェイズからなる。どちらか一方が敗走するか全滅するまで近接戦闘を継続する。
以下は大規模戦闘における重要なロールをまとめている。
大規模戦闘ルールは忠誠度判定Loyalty checksや王国のコントロール難易度など、王国の構築ルールと関連することがある。コントロール難易度の代わりとして、パーティのAPL(Bestiary291ページ:Monster Statistics By 脅威度参照)を使用する。例えば、パーティのAPLが12であれば、意志セーヴの難易度は21となる。王国のターンやフェイズを使用していないのなら、代わりに1ヶ月とする。また、BPを使用していないなら、1BPのコストを500gpとみなす。
軍勢の強さはACRで表現される。GMは戦闘のバランスを考えるため、脅威度と同様のガイドラインを使用してよい。例えば、ACR9の軍勢同士は対等に戦えるほか、ACR6の軍勢3つともほぼ同等に戦える。ただしこれは典型的な人型生物の話であり、強力な能力を持ったモンスターには当てはまらないこともある。
もし君が王国の統率者なら、君は君の国から兵士を徴用することができる。君が統率者でなかったとしても、GMは君がゲーム内で軍勢を集められるくらいの尊敬を集めていると判断するなら同様に徴兵することができるだろう。
モンスターの軍勢を編成するためには、通常特別なクエストや冒険を達成する必要がある。君は単にゴブリンの軍勢を集めることはできず、それには君がゴブリンの部族を見つけるか、君の王国のどこかに住んでいることを知る必要があるのだ。