その優雅さ、英知、不死に近い特性で知られるエルフはほとんどの種族から高い尊敬を抱かれている。それは特にその魔術への精通や伝承を広く集めていることにおいて顕著である。しかしこの種族の一員は、数が多く攻撃的な若き種族によって抑圧され隔絶されていると自らのことを考えていることが多い。エルフの集落はその環境の美と精神を体現し、環境から学び成長していく傾向があるが、エルフの冒険者はエルフ文化の力強さと栄光を傍らに、時に剣やワンドの意匠として携えながら世界へと足を踏み出している。
森の監視人というエルフへの古い認識は正しいが、完璧なものではない。エルフはもっとも厳しいとされる砂漠から深海に至るまで、多くの環境にたやすく順応してしまうからだ。彼らの親族によって通常許可された領域の外にある、神秘や魔法と接触するものもいる。そのようなエルフ達は伝統的なエルフの生活からもたらされたものとは異なる種族特性を有する。
冒険家になることを選択したエルフは通常、武を極めるか、秘術魔法を極めるか、またはこの2つを達成するキャリアを求める。エルフはあからさまな闘争をあまり好まないが、実力行使をしてでも他の種族より優れていることを示そうとする。
アルケミスト:エルフは伝統的な魔法の未熟な模造品として嘲っているため、錬金術の実験や擬似科学よりも伝統的な秘術の分野を好む。エルフのアルケミストは同胞からの嘲笑から逃れるために冒険の人生を求める。
インクィジター:エルフは種族的に自由と個性を重んじるが、酷い伝統主義者であると同時にかなり疑り深い。エルフのインクィジターは好まれていないが、彼らの判断と権威は尊重されている。
ウィザード:エルフは魔法の伝承に関する古代からの伝統を深め、全ての専門分野を探求している。これらの才覚により秀でるものにとって、魔術はエルフの社会における高名への最も確実な道の1つである。
ウィッチ:大地の老いることのない謎めいた力を扱うエルフのウィッチは自らの自然や魔法の神秘への理解を強力な呪術や奇妙な秘儀に融合させる。多くの者は自らの故郷のクリーチャーと絆を結び、そうした相手を使い魔にして更に大地との結びつきを深める。
オラクル:エルフのオラクルはとてもありふれたものであり、エルフの先祖の神秘や世界中の無数の若い種族の秘密の護り手として非常に尊敬されている。
キャヴァリアー:エルフのキャヴァリアーは気品のある名誉を保持し続ける太古の高貴な生まれとして長い伝承の歴史を持っている。彼らの艶のある乗騎は素晴らしい回復力と献身の両方を示す。
クレリック:エルフはエルフの長寿が神の祝福の賜物であると認識している故に多くの信仰をフォローしている。自然主義哲学やエルフの特質を具体化する古代の守護聖人に敬意を示す。
サモナー:神秘の御業に対する親和性によって、エルフは魔法的なクリーチャーとの長きに渡る同盟の伝統を持っている。ソーサラーやウィザードほどには多数ではない一方、サモナーはエルフの軍隊の中にも良く姿を現し、彼らの幻獣は時に当てにならない腕力と力を持つ儚いクリーチャーとなっている。
ソーサラー:魔法はエルフの中に脈々と息づいており、エルフのソーサラーは自身の中に血脈を見出す。結果、ウィザードのように知識を集める喜びに敬意を表すソーサラーは稀である。
ドルイド:エルフは大自然や神秘的な大自然の精霊との天性の絆を結んでいる。同時に彼らはそれらの力を崇敬し、自らを大自然の力と結び付けている。
バード:エルフはあらゆる芸術を愛している。エルフの武器の技巧が戦士の羨望の的であるのと同様に、彼らの完全なアリアや古代の詩、優美なダンスは教養のある聴衆から羨望の的になっている。
バーバリアン:エルフのバーバリアンは一般的に思慮に富み、神秘的な長老によって砂漠の奥地や深きジャングルで住むように導かれる。世の中のことを経験するために故国や故郷を超えて冒険の旅に出る。
パラディン:エルフのパラディンはエルフの神々の太古からの規律に身を委ね、エルフやエルフの聖域を略奪から守護している。
ファイター:エルフのファイターはその足取りの軽妙さ、繊細であるが致命的な精密さ、そして何百年にも及ぶ武術の伝統の体得において尊敬されている。
モンク:エルフは生来熟慮するものであり、本質的な冷静さや心の平穏に関心のあるものを高く評価する。エルフのモンクは自然を拠り所とする調和や技巧の例として、不老の真言を身に付ける。
レンジャー:エルフは環境に適応し、周囲を抜け目なく察知する優れた技量のハンターやスカウトである。同時に常に故郷を護り、彼らの領土を侵すものを罰する。
ローグ:シーフや追い剥ぎといったその類のものはエルフの社会ではかなり稀な存在である。エルフのローグはスカウトや潜入者、暗殺者として認識されている。
以下の種族特性は、既存のエルフの種族特性と交換するものである。これらの新しい選択肢を選ぶ前に、君のGMに意見を聞くこと。
砂漠の民/Desert Runner:灼熱の砂漠と干上がった土地を放浪しながら、最も深い砂漠で繁栄するエルフもいる。この種族特性を持つエルフは疾走を続けるための【耐久力】判定、強行軍による非致傷ダメージを受けないための【耐久力】判定、飢えや渇きによる非致傷ダメージを受けないための【耐久力】判定、熱気や冷気環境から非致傷ダメージを受けないための頑健セーヴに+4の種族ボーナスを獲得する。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの魔法の代わりに取得できる。
夢語り/Dreamspeaker:眠りや夢、予知夢に影響を与える力を持つエルフもいる。この種族特性を持つエルフは自身が発動した占術系統と睡眠効果の呪文に対する難易度を+1する。加えて、【魅力】が15以上のエルフは1日1回擬似呪文能力として、ドリーム(術者レベルはエルフのキャラクター・レベルと等しい)を使うことができる。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの耐性の代わりに取得できる。
永遠の復讐者/Eternal Grudge:この種族特性を持つエルフは何世代にも渡る侮辱と反目による永き血族闘争を続けてきた人里離れ孤立された社会で育った。ドワーフまたはオークの副種別を持つ人型生物クリーチャーに対する攻撃ロールに、これらの憎悪の対象である敵に対する特殊訓練により、+1のボーナスを獲得する。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの魔法の代わりに取得できる。
光をもたらす者/Lightbringer:多くのエルフは太陽や月、星を崇敬しているが、天上の光り輝く力で文字通り満たされているものもいる。この種族特性を持つエルフは光による盲目や幻惑効果に対して影響を受けず、自身で発動した(擬似呪文能力や超常能力も含む)光による呪文や効果を通常より1レベル高く扱う。【知力】が10以上のエルフは1日1回擬似呪文能力として、ライトを使うことができる。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの耐性とエルフの魔法の代わりに取得できる。
無音の狩人/Silent Hunter:エルフは繊細さと高い技巧を持つことで有名である。この種族特性を持つエルフは移動中に〈隠密〉を使用する際のペナルティが5軽減され、また疾走中にも-20のペナルティ(この数値にはこの種族特性によるペナルティ軽減を適用済みである)で〈隠密〉を行えるようになる。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの魔法の代わりに取得できる。
水の子/Spirit of the Waters:海や葦の生い茂る深い河や湖で生活するのに適応したエルフもいる。この種族特性を持つエルフは〈水泳〉判定に+4の種族ボーナスを獲得し、泳いでいる際は常に出目10選択することができる。ボーナス言語として、水界語を選択することができる。ロングスピア、トライデント、ネットに習熟している。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの魔法と武器精通の代わりに取得できる。
森の民/Woodcraft:エルフは自然の深遠、とりわけ森の神秘について熟知している。この種族特性を持つエルフは〈知識:自然〉、〈生存〉に+1のボーナスを獲得する。このボーナスは森の領域内では+2に上昇する。この種族特性はエルフの種族特性であるエルフの魔法の代わりに取得できる。
適性クラスのレベルを獲得する際の追加技能ランクまたは追加ヒット・ポイントを獲得する代わりに、エルフは他の多くのオプションからボーナスを選ぶことができる。以下に記載された適性クラスを持つ全てのエルフはオプションを利用できる。特に明記しない限り、君が選択した記載された適性クラスの恩恵を選択する毎にボーナスは適用される。
ウィザード:通常、1レベル時に選択した秘術系統の力の使用回数は3+【知】修正値に等しいが、それに+1/2を加えることができる。
キャヴァリアー:キャヴァリアーの乗騎のヒット・ポイントに+1する。乗騎を変えるならば、新しい乗騎は即座にこのボーナス・ヒット・ポイントを獲得する。これらのボーナスはキャヴァリアーのクラスの一部として獲得した1体の乗騎にのみ適用される。
ソーサラー:通常、1レベル時に選択した血脈の力の使用回数は3+【魅】修正値に等しいが、それに+1/2を加えることができる。
バーバリアン:エルフの基本速度に+1する。戦闘において、5回以上このボーナスを選択していない場合、全く効果はない。例えば、34フィートと30フィートは等しく扱う。このボーナスはバーバリアンのクラスの一部として獲得した高速移動と累積し、高速移動と同じ条件の元で効果を発揮する。
ファイター:武器落とし、武器破壊に対する戦技防御値に+1する。
レンジャー:以下のリストから1つ選択すること:ロングボウ、ロングソード、レイピア、ショートボウ、ショート・ソード、任意のエルヴンの名を冠する武器。選択した武器を使っている際のクリティカル・ロールに+1/2(最大4)の状況ボーナスを獲得する。このボーナスは《クリティカル熟練》とは累積しない。