煙たい秘密の研究所の奥に隠れた者であれ、高名な魔法学院で楽しく研究する者であれ、アルケミストはしばしば、彼らが作る調合物と同様に不安定で先の読めない危険な存在だと考えられている。錬金術アイテムの作成者が商人と同様の座りきりの人生に満足しながら火おこし棒と発煙棒を作る一方、真のアルケミストはより深い使命感に応える。アルケミストは術者のように魔法を発動しないが、彼の魔法的素養を作成する液体とエキスに込め、彼に驚くべき業を与えるであろう毒々しい力を持った化学物質を毒、爆発物、自己変身魔法の薬に煎じる。
役割:アルケミストの評判は穏やかなものではない(危険な命知らずという者もいる)。それは魔法的エキスとポーションのようなものを完成させ、これらの化合物を自らのオーラから吸い上げた魔法と調合し、実験道具として自身の肉体を使うという噂によるものだ。しかしそのような評判は、炸裂する爆弾の作成と新しい奇妙な毒とそれらの使用法の発見に対するアルケミストの愉快な熱情を抑えるものではない。これらの特徴のためにアルケミストは文明化された組織と学習施設に責任と危険を負わせるのだが、冒険グループにはうってつけといえる。
属性:どれでも。
ヒット・ダイス:d8。
アルケミストのクラス技能は以下の通り:〈鑑定〉【知】、〈呪文学〉【知】、〈職能〉【判】、〈製作:どれでも〉【知】、〈生存〉【判】、〈装置無力化〉【敏】、〈知覚〉【判】、〈知識:自然〉【知】、〈知識:神秘学〉【知】、〈治療〉【判】、〈手先の早業〉【敏】、〈飛行〉【敏】、〈魔法装置使用〉【魅】。
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+2 |
+2 |
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+1 |
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+3 |
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2 |
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3 |
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3 |
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4 |
+3 |
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3 |
1 |
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5 |
+3 |
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6 |
+4 |
+5 |
+5 |
+2 |
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3 |
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― |
― | |
7 |
+5 |
+5 |
+5 |
+2 |
爆弾 4d6 |
4 |
3 |
1 |
― |
― |
― |
8 |
+6/+1 |
+6 |
+6 |
+2 |
4 |
4 |
2 |
― |
― |
― | |
9 |
+6/+1 |
+6 |
+6 |
+3 |
爆弾 5d6 |
5 |
4 |
3 |
― |
― |
― |
10 |
+7/+2 |
+7 |
+7 |
+3 |
5 |
4 |
3 |
1 |
― |
― | |
11 |
+8/+3 |
+7 |
+7 |
+3 |
爆弾 6d6 |
5 |
4 |
4 |
2 |
― |
― |
12 |
+9/+4 |
+8 |
+8 |
+4 |
5 |
5 |
4 |
3 |
― |
― | |
13 |
+9/+4 |
+8 |
+8 |
+4 |
爆弾 7d6 |
5 |
5 |
4 |
3 |
1 |
― |
14 |
+10/+5 |
+9 |
+9 |
+4 |
5 |
5 |
4 |
4 |
2 |
― | |
15 |
+11/+6/+1 |
+9 |
+9 |
+5 |
爆弾 8d6 |
5 |
5 |
5 |
4 |
3 |
― |
16 |
+12/+7/+2 |
+10 |
+10 |
+5 |
5 |
5 |
5 |
4 |
3 |
1 | |
17 |
+12/+7/+2 |
+10 |
+10 |
+5 |
爆弾 9d6 |
5 |
5 |
5 |
4 |
4 |
2 |
18 |
+13/+8/+3 |
+11 |
+11 |
+6 |
5 |
5 |
5 |
5 |
4 |
3 | |
19 |
+14/+9/+4 |
+11 |
+11 |
+6 |
爆弾 10d6 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
4 |
20 |
+15/+10/+5 |
+12 |
+12 |
+6 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
武器と防具の習熟:アルケミストはすべての単純武器と爆弾に習熟している。アルケミストはまたすべての軽装鎧に習熟しているが、盾には習熟していない。
〈製作:錬金術〉で錬金術アイテムを作成するとき、アルケミストは〈製作:錬金術〉判定にそのクラス・レベルに等しい技量ボーナスを加える。加えて、アルケミストは〈製作:錬金術〉でディテクト・マジックを使用したかのようにポーションを鑑定できる。アルケミストはこのような判定をするために1ラウンドの間ポーションを握っていなければならない。
アルケミストは特別な種類の魔法のアイテムを3種類――エキス、爆弾、変異薬――を作成できる。爆弾は炸裂し飛散する武器だ。また、変異薬は変形したエリクサーであり、アルケミストはそれを飲むことで身体能力を強化できる――2つは以下に個別に詳細が書かれている。
エキスは3つの内で最も変化に富んでいる。多くの意味で、これらはポーション形態の呪文のように振る舞い、その効果はディスペル・マジックのような効果で解除されうる、その場合アルケミスト・レベルを術者レベルとして使う。ポーションとは違い、エキスは通常ポーションにすることのできない、強力な呪文を複製できる。
アルケミストは1日にそれぞれのレベルで決まった数だけエキスを作成できる。1日に使用できるエキスの数の基本値は表2‐1に示されている。加えて、アルケミストは高い【知力】値により、ウィザードが1日毎にボーナス呪文を得るのと同様の方法で1日のボーナス・エキスを得る。
アルケミストがエキスを混合するとき、化学物質と試薬を、自身の魔法的オーラから吸い上げた魔法も込めてエキスに注ぐ。アルケミストの所有物でなくなったエキスは即座に不活性化し、再度戻ったときまた活性化する――アルケミストは通常自分のエキスを仲間に使わせることはできない(ただし下記の“注入”の発見参照)。1回作成されたエキスは1日の間は不活性化せず効能は残るため、アルケミストは毎日エキスを再準備しなければならない。1つのエキスの混合には1分かかる作業が必要である――大抵のアルケミストは多くのエキスを1日の始まりか冒険に出る直前に作るが、アルケミストにとって自身の1日のエキス・スロットのいくつか(あるいはすべて)をその場で必要に応じて準備できるように空けておくことは稀ではない。
アルケミストは本当に魔法を発動するわけではないが、何のエキスが作成できるかの処方リストを持っている。アルケミストは処方リストにあるものであれば呪文解放型アイテムを使用できるが、呪文完成型アイテムは使用できない(〈魔法装置使用〉を使わない限り)。ポーションを飲むようにエキスを飲み干すことで“発動される”――そのエキスの効果はその処方に基づいた呪文の複製を正確に基本とするが、呪文は常に飲んだアルケミストのみに影響を与える。アルケミストは1回の標準アクションとしてエキスを取り出して飲むことができる。アルケミストは術者レベルに基づく効果を決定するための術者レベルとして、自身のレベルを使用する。
エキスの作成には未加工の物質要素を消費するが、大抵の呪文の価値のない物質構成要素と同様に、これらの費用は取るに足らないものだ。呪文がコストのかかる物質構成要素を持つ場合、その構成要素はエキスを消費する際に費やされる。焦点具を要求する呪文のエキスは作れない(信仰呪文を複製したアルケミストのエキスが信仰焦点具を持つことはない)。アルケミストは自身の修得する処方からエキスを準備できる。エキスを学び使用するには、アルケミストは少なくとも10+エキスのレベルの【知力】能力値を有していなければならない。アルケミストのエキスへのセーヴィング・スローの難易度は10+エキスのレベル+アルケミストの【知力】修正値である。
アルケミストは好きな数の処方を修得することができる。アルケミストは自分の処方を処方書と呼ばれる特別な本におさめている。アルケミストはその本をエキスを準備する際に使用しなければならないが、消費する際は不要だ。アルケミストは自身が選択した1レベル処方を、2+【知力】修正値に等しい数だけ修得してゲームを開始する。それぞれの新しいアルケミスト・レベルにつき、アルケミストは自身が作成できるレベルの中から新しい処方を1つ得る。ウィザードが呪文を呪文書に追加するのと同じ方法で、アルケミストは処方を彼の本に追加できる。必要な費用と時間もウィザードと同様である。アルケミストはウィザードの呪文書から、そこに書かれている呪文に相当する好きな処方を学ぶことができる。しかし、ウィザードは処方書からは学べない。アルケミストは書き写す前にその秘術的記述を解読しなくてもよい。
爆弾の材料を取り出し作成し投擲する行為は標準アクションであり、機会攻撃を誘発する。爆弾の投擲は有効距離20フィートの“飛散武器の投擲”という特別な攻撃である。爆弾は武器としてみなされ、《近距離射撃》や《武器熟練》などの特技を選択し使用できる。直接命中すれば、アルケミストの爆弾は1d6ポイント+アルケミストの【知力】修正値に等しい[火炎]ダメージを与える。アルケミストの爆弾のダメージはアルケミスト・レベルが奇数になる毎に1d6ポイント上昇する(このボーナスはクリティカル・ヒットしたときや《渾身の一打》特技を使用したときに倍化しない)。アルケミストの爆弾の飛散ダメージは常に爆弾の最低ダメージに等しい(爆弾が直接命中すれば2d6+4ポイントの[火炎]ダメージを与える場合、飛散ダメージは6ポイントの[火炎]ダメージを与える)。こうして受ける飛散ダメージは反応セーヴの試みによって半減できる。このセーヴの難易度は10+アルケミスト・レベルの1/2+【知力】修正値に等しい。
アルケミストはレベルが上昇するにつれ新しい種類の爆弾を発見(“発見”能力参照)し学ぶことができる。アルケミストの爆弾は、エキスのように、他人に使用されたり運搬される場合不活性化する。
アルケミストは変異薬を調合したとき、彼は身体的能力値――【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】――から1つを選択する。変異薬を飲むのは標準アクションである。変異薬を飲むと、アルケミストはより大柄で獣のような存在にし、+2の外皮ボーナスと選択した能力値に+4の錬金術ボーナスを与える。この効果はアルケミスト・レベルにつき10分間持続する。
加えて、変異薬が効果を発揮しているとき、アルケミストは精神能力値の1つに-2のペナルティを被る。変異薬が【筋力】を強化する場合、そのペナルティは【知力】に適用される。【敏捷力】の場合、そのペナルティは【判断力】に適用される。【耐久力】の場合、そのペナルティは【魅力】に適用される。
アルケミスト以外が変異薬を飲むと、頑健セーヴ(難易度は10+アルケミスト・レベルの1/2+【知力】修正値)に成功しないと1時間の間吐き気がする状態になる――アルケミスト以外は決して変異薬の利益を得ないが、アルケミストがほかのアルケミストの変異薬を飲んだ場合、その利益を得られる(しかしながらそのアルケミストがまた違う変異薬を作成した場合、その“盗まれた”変異薬の効果は即座に終了する)。変異薬の効果は累積しない。アルケミストが変異薬を飲んだとき、以前に飲んでいた変異薬の効果は即座に終了する。
アルケミストは様々な処方に接することができ、以下の呪文のエキスを作り出せる。これらの呪文の多くはCore Rulebookに掲載されているが、アスタリスク(*)印の付いたものはすべて本書の5章に掲載されている。
1レベル・アルケミスト処方―アイデンティファイ、アント・ホール*、エクスペディシャス・リトリート、エンデュア・エレメンツ、エンラージ・パースン、キーン・センシズ*、キュア・ライト・ウーンズ、クラフターズ・フォーチュン*、コンプリヘンド・ランゲージズ、シールド、ジャンプ、ストーン・フィスト*、タッチ・オヴ・ザ・シー*、ディスガイズ・セルフ、ディテクト・アンデッド、ディテクト・シークレット・ドアーズ、トゥルー・ストライク、ネゲイト・アロマ*、ボマーズ・アイ*、リデュース・パースン。
2レベル・アルケミスト処方―アウルズ・ウィズダム、アルケミカル・アロケーション*、アンディテクタブル・アラインメント、イーグルズ・スプレンダー、インヴィジビリティ、ヴァーミット・スウォーム*、エイド、エレメンタル・タッチ*、オルター・セルフ、キャッツ・グレイス、キュア・モデレット・ウーンズ、シー・インヴィジビリティ、スパイダー・クライム、ダークヴィジョン、ディテクト・ソウツ、ディレイ・ポイズン、トランスミュート・ポーション・トゥ・ポイズン*、バークスキン、パーシーヴ・キューズ*、ファイアー・ブレス*、フォールス・ライフ、フォクセス・カニング、ブラー、ブルズ・ストレンクス、プロテクション・フロム・アローズ、ベアズ・エンデュアランス、レヴィテート、レジスト・エナジー、レッサー・レストレーション。
3レベル・アルケミスト処方―アーケイン・サイト、アブソービング・タッチ*、アンプリファイ・エリクサー*、ウォーター・ブリージング、エレメンタル・オーラ*、ガシアス・フォーム、キュア・シリアス・ウーンズ、シーク・ソウツ*、ソーン・ボディ*、タンズ、ディスプレイスメント、ドラコニック・レザヴォワー*、ノンディテクション、ビースト・シェイプI、ヒロイズム、フライ、ブラッドハウンド*、プロテクション・フロム・エナジー、ヘイスト、リムーヴ・カース、リムーヴ・ディジーズ、リムーヴ・ブラインドネス/デフネス、レイジ。
4レベル・アルケミスト処方―アーケイン・アイ、グレーター・インヴィジビリティ、エア・ウォーク、エレメンタル・ボディI、キュア・クリティカル・ウーンズ、ストーンスキン、スペル・イミュニティ、ディサーン・ライズ、デス・ウォード、デトネイト*、ドラゴンズ・ブレス*、ニュートラライズ・ポイズン、ビースト・シェイプII、ファイアー・シールド、フリーダム・オヴ・ムーヴメント、フルーイド・フォーム*、ユニヴァーサル・フォーミュラ*、レストレーション。
5レベル・アルケミスト処方―イルード・タイム*、エレメンタル・ボディII、オーヴァーランド・フライト、コンタクト・アザー・プレイン、スペル・レジスタンス、センディング、ディレイド・コンサンプション*、ドリーム、ナイトメア、ビースト・シェイプIII、プラント・シェイプI、プレイナー・アダプテイション*、ポリモーフ、マジック・ジャー、リサージェント・トランスフォーメーション*。
6レベル・アルケミスト処方―アイバイト、アナライズ・ドゥウェオマー、ウィンド・ウォーク、エレメンタル・ボディIII、ジャイアント・フォームI、シャドウ・ウォーク、スタチュー、ツイン・フォーム*、トゥルー・シーイング、トランスフォーメーション、ビースト・シェイプIV、ヒール、フォーム・オヴ・ザ・ドラゴンI、プラント・シェイプII、ミスリード。
アスタリスク(*)印の付いたものはすべてこの本の5章にある。