ほとんどの人はインクィジター像を抱いている──礼装と冒険者の無秩序な道具の混合したような身なりで、その言葉はしばしば神聖な法を扱うというような。だがこれは単にインクィジターの最も劇的な一面に過ぎない。インクィジターの世界は秘密の知識、常なる危険、そして奇妙な定命の者と来訪者の政治に満たされている。インクィジターの道は多くの道に分かれ専門化し、それぞれ独自の方法で信仰の敵を捜し出して滅ぼす。
インクィジターはその神の領域の1つに触れるクラス能力をもち、この接触はインクィジターの能力を神格の関心に適合させる1つの方法である。しかしながら、領域はインクィジターのためではなくクレリックのクラス能力のために意図されており、またインクィジターは領域から領域能力を得ながら領域呪文は得ないため、いくつかの領域はインクィジターにとって貧弱な選択肢となった。例えば、太陽の領域は1レベルの領域能力でエネルギー放出への効果を提供するが、インクィジターはエネルギー放出能力を持たず、この領域から利益を得るには8レベルの2つ目の領域能力を得るまで待たねばならない。
この問題を改善するため、 このセクションでは審問──インクィジターのために神格の権能に適切な能力を与える、領域のような新しい特別なクラス特徴を紹介する。審問に続くのは新しいインクィジター・アーキタイプである。
インクィジターは多くの場合クレリックの信仰の領域に触れることが許されるが、 彼らが関与する特別な知識は、司祭やその他の信仰の代理人には明かされない。この神聖な追求は審問と呼ばれ、インクィジターに信仰の敵に抗い戦うための欠かすべからざる道具を与える。インクィジターは領域の代わりに審問を選んでもよい。
審問がセーヴィング・スローを要求する場合、そのセーヴ難易度は10+インクィジター・レベルの1/2+【判断力】修正値となる。擬似呪文能力を与える場合の術者レベルはインクィジター・レベルに等しい。
審問はインクィジターのために意図されており、領域を与える他のクラスのためには意図されていない。クレリックその他の領域を扱うクラスは領域の代わりに審問を選んでもよい(キャラクターの神格に適切であれば)が、審問は領域呪文およびスロットを与えないため、それらのクラスが選ぶと弱体化する。他のクラスが使用するにあたっては審問能力のインクィジター・レベルを適切なクラス・レベルと置き換える(クレリックが扱う場合、インクィジター・レベルの代わりにクレリック・レベルを用いる、といったふうに)。
審問能力:後援する神格は君に聖なる(もしくは不浄なる)激怒を与える。君が戦うとき、戦いは確実に血塗られた勝利で終わる。
審問能力:異端者はしばしば信仰者と見分けにくい。君は欺き、潜み、ときに異端者の主張を用いて、彼らを捜し出し正義に導く。
審問能力:神格の正義を広めるものにとって運命は強力な道具である。君は運命の縒り糸を読むことができ、その糸は君の努力を導く。
審問能力:君は強力な説得者である。信仰により強化された滑らかな弁舌は 無関心な者と対立者を君の側へと揺さぶる。
審問能力:インクィジターは神格の務めを果たすための固い気迫を必要としている。
審問能力:多くの場合、インクィジターの最も素晴らしい武器は純粋かつ断固たる啓蒙である。光と知恵はしばしば蒙を啓く。
審問能力:貫く痛みだけが真実と正義を現出せしめる。そして、それが働かないなら、とにかく君は神聖な復讐を制定した。
審問能力:真実を見出すため、ある者は誠実さを他から搾り出す──味方と敵とを問わずに。
審問能力:運命を受け容れるということは、しばしば己の正義の形を受け容れることを意味するのだと学ばねばならない。
審問能力:酷寒と戦術的な思考はしばしば勝利を得る。適切で、注意深く熟考した犠牲は味方を奮い立たせ君の主義に役立たせる。
審問能力:ほとんどのインクィジターは異端の混沌と同様に狂気の外道や悪魔のクリーチャーとも戦う。騎士修道会の金言と法のマントは彼らの努力を助ける。
審問能力:時に、敵を殺すよりも捕らえる方がよい場合もある──君の意図が罪を罰することにあるのか情報を引き出すための拷問にあるのかはともかく。
審問能力:君の神格は君の忍耐を選んだ。君は必要とあらば世界の終わりまで信仰の敵を追い続けると誓った。ボーナス特技として《追尾》を得る。
審問能力:情熱的かつ公正な意思だけが、適切な正義を確実になさしむ。
審問能力:復讐こそ虚飾なき正義。君は限りない正義を為すと誓った。
審問能力:信仰なくして忘却のみを信じるインクィジターもいる。だが、彼らもまた信仰の向こうに横たわる闇について、道具……あるいは武器のように扱う術を知る神の代理人である。
憑依の脅威と次元界の陰謀について学んだインクィジターのいくらかは、取り憑いた悪霊と黙認されている来訪者を、可能ならいつでも世界から放逐することを自らに課す。やがて彼らは悪霊祓い、追放、そして破門の評決の秘密を学ぶ。
すべてのインクィジターは信仰の敵を狩るが、時に、敵による政治的駆け引きや、断固たる執念が信仰の基本的な教義を破ってしまうことで、インクィジターは自身の内に異端を見出してしまう。未だその信念は固く、こうした異端者はその敵を追い続ける間、彼ら自身とその活動を隠す狡智と詐術に長けている。
GMが許可するなら元インクィジターは異端者アーキタイプを取ることができる。インクィジターのクラス能力は適切に置き換える。キャラクターが贖罪をするか他の信仰に加わったなら、インクィジターは異端者の能力を失い、以前のインクィジターのクラス能力を取り戻す。
このインクィジターは信仰の敵に正面から立ち向かうのではなく、その中に潜むために狡智と詐術を用いる。
いくつかの宗教には教会の敵を捕らえるだけでは十分ではない──敵の罪をも喰らわねばならないと信じるインクィジターの部署が存在する。多くのより温厚な方法を実践する者たちは、罪を喰らうことで敵の魂に敵の神を拒絶させ、世界の穢れを浄化し、罪か悪を世界から取り除けると信じている。悪意ある教会の追従者たちは、善良な人々の罪を食べることは敵の魂をセレスチャルの次元界から隠して堕落させるのみならず、罪喰いの目撃者や犠牲者の死体の魂をも穢すと信じている。罪喰いは罪喰い人を一定の時間強化する。
敵の罪を喰らうことは、インクィジターのヒット・ポイントへのダメージを1d8+インクィジター・レベル(最大+5)に等しいポイント癒す。この敵は罪喰い人によって殺されなければならず、少なくともインクィジター・レベルの半分のヒット・ダイスを有していなければならない。インクィジターはこの能力を殺した敵に対してそれぞれ一度だけ使用することができる。この能力は精神をもたないか【知力】が2以下のクリーチャーには何の効果もない。
回復量は5レベルの時点で2d8+インクィジター・レベル(最大+10)に、9レベルの時点で3d8+インクィジター・レベル(最大+15)に、13レベルの時点で4d8+インクィジター・レベル(最大+20)に増加する。
いくつかの信仰においてはこの“食事”を象徴的な行為とし、インクィジターは儀式の一部として少量の食料と水を食べなければならない。いくつかの極端な信仰では、インクィジターは実際に殺された敵の肉体を食べることを要求される。
8レベルの時点で、罪喰い人が(シャドウ、スペクター、もしくはヴァンパイアに殺されたもののような)アンデッドのような昇天すべきクリーチャーの罪を食べるとき、罪喰い人は1ポイントの一時的な負のレベルを受け入れて死体から穢れを吸収し、それらがアンデッドとして昇天することを防ぐことを選択してよい。この負のレベルは適切な魔法で取り除くことができるが、24時間が経過すると自動的に消え、恒久的な負のレベルになることは決してない。GMの裁量により、この能力はゴーストの黄泉がえり能力の使用を妨げてもよい。
幾人かのインクィジターは信仰の真言を広めるために地上を放浪する。彼らはしばしば彼らの教えの敵対者や自らを助けられない人を助ける伝道者の必要と衝突する。悪や積極的な宗教の指導者は、転向者と有望な味方を得るため、彼らの伝道者を新たな領地へと送り込む。彼らはしばしば彼らの宗教に敵対的な権力への暴動を始めるか、信頼できる信奉者の集団を不信心者の略奪から守る。
伝道者はボーナス・チームワーク特技を選ぶことができるとき(3、6、9、12、15および18レベル時点)、代わりにこの能力の1日に使用できる回数を1回増加することを選んでもよい。この能力は単独戦術と置き換える。