安全な都市の城壁を離れた危険な野外では、多くの冒険者たちが辿る跡無き大自然の中で道を見失い、あるいは恐ろしい悪天候の犠牲になっていく。以下のルールは野外環境での冒険を行う際のガイドラインを提供する。
野外では色々な理由で道に迷うことがある。道や踏み分け道、川や海岸線といった分かりやすい地形に沿って移動すれば迷うことはないのだが、そういった目印を離れて野原のただ中に踏み込む旅人は、道がわからなくなってしまう可能性がある。ことに視界が狭くなっていたり、地形が険しかったりすると。
狭い視界:あたり一帯の状況のせいで、キャラクターたちの視界が60フィート未満しかない場合、道に迷う可能性がある。霧や雪や激しい雨の中を旅するキャラクターたちは、すぐそばの目印すら見えなくなってしまうことがままある。これと同様、夜に旅するキャラクターたちも、光源の質や月光の明るさ、夜目や暗視の有無によっては、道に迷う可能性がありうる。
移動困難な地形:森林やムア、丘陵、山岳では、キャラクターたちはみな、道や踏み分け道や川などのはっきりわかる通り道や痕跡に沿って旅するのでない限り、道に迷う可能性がある。森林は特に危険である。なにしろ木々に隠れて遠くの目印は見えず、太陽や星も見えにくいので。
道に迷う可能性:道に迷う可能性のある状況では、先頭に立っているキャラクターが〈生存〉判定を行う。失敗すると道に迷う。判定難易度は地形、視界の状況、いま旅している土地の地図を持っているかどうかによって異なる。次の表を参照し、最も高い難易度を用いること。
今旅している土地についての〈知識:地域〉ないし〈知識:地理〉のいずれかが5ランク以上あるキャラクターは、この判定に+2のボーナスを得る。
旅人たちが1時間の間区域移動や野外移動を行うごとに、道に迷ったかどうかを判定すること。1時間単位で割り切れない余りの時間があったなら、その部分についても1回判定を行う。一行が一緒になって行動している場合、先頭に立っているキャラクターのみが判定を行う。
道に迷うとどんな影響があるか:パーティーが道に迷った場合、彼らはもはや本来目指していた方向に進めるとは限らない。パーティーが実際はどちらの方角に移動しているかをランダムに決定すること。見間違いようのない目印に行き当たるか、あるいは道に迷ったことに気づいて方向感覚を取り戻すべく努力するまでは、一行の移動はランダムなままである。
道に迷ったことに気づく:ランダムな方向への移動を1時間行うごとに、パーティー内の全キャラクターが〈生存〉判定(難易度20、ランダムな方向に1時間旅するごとに-1)を行う。成功すると、自分たちがもはや旅する方角をはっきり把握していないことに気づく。また、特定の状況によって迷ったことに気づく場合もある。
新しい進路を定める:一旦パーティーが道に迷ってしまった後で、正しい進行方向を定めるには、〈生存〉判定(難易度15、ランダムな方向に1時間旅するごとに+2)を行う必要がある。これに失敗したキャラクターは、ランダムな方向を“正しい”ものとして旅を再開する。
キャラクターたちが新しい進路を決めて旅しはじめたなら、その進路が正しかろうと間違っていようと、やはり再度道に迷う可能性がある。旅人たちが道に迷う可能性のある状況が続いているなら、1時間旅するごとに前述の処理を行うこと。これにより、パーティーが進路を保持できるか、それとももう一度ランダムに進行しはじめるかがわかる。
「あっちだ」「いやちがうあっちだ」:道に迷った後では、正しい方向はどっちなのかを、複数のキャラクターが突き止めようとする可能性がある。その場合、GMは各キャラクターの〈生存〉判定をひそかに行い、判定に成功したキャラクターに正しい進路を、失敗したキャラクターに正しいと思い込んでいるランダムな進路を教えるべきである。
正しい状況判断を取り戻す:道に迷ったあとで、正しい進路を発見するには複数の方法がある。1、キャラクターたちが新しい進路を定め、かつそれが正しく、かつその進路を辿って本来の目的地に首尾よく到達したなら、彼らはもはや道に迷っていない。2、キャラクターたちが、ランダムな移動の結果、見間違いようのない目印に行き当たることもありうる。3、霧が晴れる、日が昇るなど、状況が突然改善されたなら、道に迷っていたキャラクターたちは新しい進路を定める試みを行える。手順は上記の通りだが、この場合は〈生存〉判定に+4のボーナスがつく。
地形としての森林には3種がある。まばらな森林、中くらいの森林、密生した森林である。広大な森林は、その境界線の内部にこれら3種の全てを有し得る。森の外縁部では“まばらな森林”が多く、中心部では“密生した森林”が多い。
次の表は、バトル・グリッド上の特定のマス目に地形の構成要素のある可能性がどのくらいかを示すものである。
木:森林で最も重要な地形の構成要素は(もちろん)木である。木と同じマス目にいるクリーチャーは、部分的遮蔽を得、アーマー・クラスに+2のボーナスと反応セーヴに+1のボーナスを与えられる。木があるからといって、クリーチャーが戦闘に使う空間に、その他の影響が出ることはない。クリーチャーは木を利用できる時は利用するものとして扱われているのである。普通の木の幹はアーマー・クラス4、硬度5、150HPを有する。木に登るには難易度15の〈登攀〉判定に成功せねばならない。中くらいの森林や密生した森林には、普通の木だけではなく大木もある。大木は丸まる1マスを占め、背後のものに遮蔽を提供する。大木はアーマー・クラス3、硬度5、600HPを有する。大木に登る場合にも難易度15の〈登攀〉判定に成功せねばならない。
下生え:森林の地面の大方はつる草や木の根っこや背の低い灌木で覆われている。軽度の下生えで覆われたマス目に入る場合、1マス移動するのに2マス分の移動がかかる。また、軽度の下生えは視認困難を提供してくれる。軽度の下生えは〈軽業〉と〈隠密〉の難易度を+2する(木の葉や枝が邪魔になるので)。重度の下生えのあるマス目に入る場合、1マス移動するのに4マス分の移動がかかる。また、重度の下生えは失敗確率30%(通常の20%ではなく)の視認困難を提供する。重度の下生えは〈軽業〉の難易度を+5する。一方重度の下生えは身を隠すにはよいので、〈隠密〉判定には+5の状況ボーナスを提供する。疾走や突撃は不可能である。下生えのマス目どうしは、くっついてかたまりになっていることが多い。下生えと木は互いに排除しあうものではなく、5フィート四方のマス目の中に木と下生えの両方が存在することはよくある。
林冠:エルフなど森の住人たちは、森の地面ではなく、ずっと高いところに平らな台を設けて、そこに住むことがよくある。こうした木製の台と台の間はロープ橋が渡してあることが多い。樹上の家を訪れるには、木の幹を登るか(〈登攀〉難易度15)、縄梯子を登るか(〈登攀〉難易度0)、滑車仕掛けの昇降機(毎ラウンド、1回の全ラウンド・アクションで【筋力】判定の結果×1フィートだけ昇れる)を使うのが普通である。樹上の台や林冠の枝の上にいるクリーチャーは、地べたのクリーチャーと戦う際には遮蔽を得る。中くらいの森林や密生した森林では視認困難も得る。
森林のその他の構成要素:倒木はおおむね高さ3フィートで、“低い壁”と同様に遮蔽を提供する。これを乗り越えるには5フィート分の移動と同じだけの手間がかかる。森の小川は普通、幅5~10フィートで、深さは5フィートに満たない。大方の森林には曲がりくねった小道が通っている。森の小道は通れば通常の移動速度で移動できるが、遮蔽も視認困難も得られない。こうした小道は密生した森林ではそれほど見られないが、たとえ人跡未踏の森林でも、獣道は時として存在する。
森林での隠密行動と探知:まばらな森林では、近くに他者がいるのを探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は3d6×10フィートである。中くらいの森林では2d8×10フィート、密生した森林では2d6×10フィート。
下生えのあるマス目は全て視認困難を提供するため、森林で〈隠密〉技能を使うのは概して容易い。倒木や大木は遮蔽を提供し、これも〈隠密〉を可能にしてくれる。
森のそこらじゅうのざわめきも、聴覚による〈知覚〉判定をより困難にする。〈知覚〉の判定難易度は10フィート離れるごとに1ではなく2上昇する。
野営のかがり火から飛ぶ火花は、普通は物に火をつけることはない。けれども気候が乾燥していたり、風が強かったり、折敷く朽葉が乾ききって燃えやすくなっていたりすると、森林火災の起きる可能性がある。また、落雷で木が燃え上がり、森林火災につながることもある。火災の原因がどうあれ、旅人が大火事に巻き込まれる可能性があることには変わりない。
2d6×100フィートまでの距離にいるキャラクターは、〈知覚〉判定に成功すれば森林火災を視認できる。森林火災は超巨大サイズのクリーチャーとして扱うので、難易度は-16される。もしもキャラクター全員が〈知覚〉判定に失敗したなら、火災は近づいてくる。元々の距離の半分まで近づいてきたなら自動的に見える。
盲目状態だったり、その他の理由で〈知覚〉判定が行えないキャラクターも森林火災が100フィート以内に近づいてきたら火災の熱を感じ取ることができ、自動的に“視認”したものとして扱われる。
火災の風下側の“へり”は、人間の疾走する速度よりも速く移動することもある(軟風の場合で1ラウンドあたり120フィートとして処理すること)。森林の一部が炎上したなら、その部分の火が消えて煙を上げる消し炭になるまでは2d4×10分かかる。森林火災につかまったキャラクターは、風下の“へり”が自分たちから(追いつきようのないほど速く)離れて行き、刻一刻といっそう炎のまっただ中に閉じ込められる格好になることもあろう。
森林火災の境界線内では、キャラクターたちは3つの危険に直面する。熱気によるダメージ、着火、煙の吸入。
熱気によるダメージ:森林火災の中につかまってしまうのは、単なる高温にさらされる(『熱気による危険』参照)よりももっとひどいことだ。空気を吸い込むことで、キャラクターは毎ラウンド1d6ポイントの致傷ダメージを受ける(セーヴ不可)。加えて、キャラクターは5ラウンドごとに1回頑健セーヴ(難易度15、2回目以降は1回ごとに+1)を行い、失敗すると1d4ポイントの非致傷ダメージを受ける。息を止めれば致傷ダメージは受けずにすむが、非致傷ダメージは防げない。厚い衣服を着ている者や、何らかの鎧を着用している者は、この頑健セーヴに-4のペナルティを受ける。金属製の鎧を着ている者や、高温の金属と接触しているものは、ヒートメタル呪文と同様の影響を受ける。
着火:森林火災に飲み込まれたキャラクターは、火災の“へり”を通過した時点で1回、以後1分間経過するごとに1回、着火の可能性がある。
煙の吸入:森林火災はおのずと大量の煙を生み出す。濃い煙を吸い込んだキャラクターは毎ラウンド頑健セーヴ(難易度15、2回目以降は1回ごとに+1)を行いそのラウンドは煙で息が詰まって咳き込む。2ラウンド続けて息が詰まるごとに1d6ポイントの非致傷ダメージを被る。加えて煙は中にいるキャラクターに視認困難を提供する。
湿地には2種がある。比較的乾燥した“ムア”と水気の多い“沼地”である。いずれもしばしば湖(後出の『地形:水界』で説明)と隣りあっている。湖は事実上、湿地でみられる3種類目の地形といっていいかもしれない。
泥濘/Bogs:特定のマス目が“浅い泥濘”の一部なら、そこには深い泥やたまり水がたまっており、深さはおよそ1フィート。浅い泥濘のマス目に入る場合、1マス移動するのに2マス分の移動がかかる。浅い泥濘のマス目では〈軽業〉判定の難易度が+2される。
あるマス目が“深い泥濘”の一部なら、そこにはたまり水が4フィートほどもたまっている。サイズ分類が中型以上のクリーチャーは、深い泥濘のマス目に入る場合、1マス移動するのに4マス分の移動がかかる。望むなら泳ぐこともできる。サイズ分類が小型以下のクリーチャーは、深い泥濘を通るには泳がなければならない。深い泥濘では〈軽業〉判定は不可能である。
深い泥濘の水はサイズ分類が中型以上のクリーチャーに遮蔽を提供する。サイズ分類が小型以下のクリーチャーは良好な遮蔽(アーマー・クラスに+8のボーナス、反応セーヴに+4のボーナス)を受ける。サイズ分類が中型以上のクリーチャーも、1回の移動アクションで身をかがめることにより、この良好な遮蔽を得ることができる。この良好な遮蔽を得ているキャラクターは、水中にいないクリーチャーに対する攻撃に-10のペナルティを受ける。
深い泥濘のマス目どうしは、一つところにかたまりあっていることが多い。そうしてその周りを浅い泥濘のマス目が不規則な形で取り巻いている。
浅い泥濘および深い泥濘は、どちらも(隠密)判定の難易度を+2する。
下生え:湿地に生える灌木や葦などの背の高い草は、森林の下生えと同様の機能を有する。泥濘のマス目には下生えは存在し得ない。
流砂:流砂は一見ごくしっかりした、下生えまたは何もない地形のように見える。そのせいで不注意なキャラクターは往々にして引っかかるのだ。通常の速度で流砂に近づいたキャラクターは、難易度8の〈生存〉判定を行い、成功すれば流砂の区域に足を踏み入れる前に危険に気づく。一方、突撃や疾走を行っているキャラクターは、実際に突っ込むまでは隠れていた流砂に気づくことはない。典型的な流砂の区域は直径20フィート。突撃や疾走を行っていたキャラクターは、慣性によって流砂の区域の中を1d2×5フィートぶん進んでしまう。
流砂の効果:流砂の中にいるキャラクターは、毎ラウンド、単に今の地点にとどまるだけでも難易度10の〈水泳〉判定を行わなければならず、望む方向に移動したいなら難易度15の〈水泳〉判定を行わなければならない。流砂につかまったキャラクターがこの判定に5以上の差で失敗したなら、地面の下に沈み、息を止めていられなくなった時点で溺れ始める(〈水泳〉技能の説明を参照)。
流砂の地面の下にいるキャラクターは、〈水泳〉判定(難易度15、加えて1ラウンド連続で地面の下にいるごとに+1)に成功すれば地表まで戻ってくることができる。
救助:流砂につかまったキャラクターを引き上げるのは困難な仕事になる可能性がある。助ける者には木の枝、槍の柄、ロープ等、その一方の端が流砂の犠牲者に届くような道具が要る。道具の端が犠牲者に届いたなら、助ける者は犠牲者を無事に引き上げるために難易度15の【筋力】判定を行い、犠牲者は道具にしっかり捕まっているために難易度10の【筋力】判定を行う。両方の判定が成功したなら、犠牲者は安全圏に5フィートだけ近くなる。犠牲者は、しっかりつかまっていられなかったら、即座に難易度15の〈水泳〉判定を行い、失敗すると地面の下に沈んでしまう。
生け垣状の茂み:刺の多い灌木や石や土がひとかたまりになったもので、ムアによく見られる。こうした茂みのうち、狭いものは低い壁と同様に機能する。これを越えるには3マス移動するだけの手間がかかる。広いものは高さ5フィートを越え、グリッド上ではまるまる1マスを占める。広い生け垣状の茂みは、壁と同様に完全遮蔽を提供する。広い生け垣状の茂みのマスを通って移動するには、1マスあたり4マス分の移動を要する。ただし新しいマス目に入る際に難易度10の〈登攀〉判定に成功すれば、そのマス目に入るには2マス分の移動でよい。
湿地のその他の地形構成要素:湿地、特に沼地には、森林と同様に木の生えているものがある。こうした木々は1箇所にかたまりあって小さな木立になっていることが多い。大方の湿地には小道があり、泥濘の部分を避けるために曲がりくねっている。森林の場合と同様、小道を通れば通常の移動速度で移動できるが、遮蔽も視認困難も得られない。
湿地での隠密行動と探知:ムアでは、近くの他者の存在を探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は6d6×10フィート、沼地では2d8×10フィートである。下生えや深い泥濘が視認困難をたっぷり提供してくれるため、湿地では〈隠密〉技能を用いるのは概して容易い。
丘はどんな地形にあってもおかしくないが、丘陵群が景色の主要な要素になっている土地もある。このような地形としての丘陵には、大別して2種がある。なだらかな丘陵と起伏の多い丘陵である。丘陵地形はしばしば、移動困難な地形(山岳など)と平坦な地形(平地など)の間に中間地帯として存在する。
ゆるやかな斜面:ゆるやかな斜面の勾配は、移動に影響を与えるほどではない。それでも、斜面の上のほうにいるものは、下の敵への近接攻撃に+1のボーナスを得る。
急な斜面:急な斜面を登る(隣の、より高度の高いマス目に移動する)キャラクターは“急な斜面”のマス目に入る場合、1マスあたり2マス分の移動がかかる。上から下へ(隣の、より高度の低いマス目へ)疾走または突撃を行うキャラクターは、その疾走や突撃の中で最初に“急な斜面”のマス目に入った時点で、難易度10の〈軽業〉判定を行わねばならない。騎乗したキャラクターは〈軽業〉ではなく難易度10の〈騎乗〉判定を行う。これらの判定に失敗したものはつまづき、1d2×5フィート先で移動を終えねばならなくなる。5以上の差で失敗したものはそのマス目で転倒して伏せ状態になり、そこで移動を終える。急な斜面では〈軽業〉の難易度は+2される。
崖:典型的な崖はよじ登るのに難易度15の〈登攀〉判定が必要で、高さは1d4×10フィート。ただし自作のマップに必要なら、もっと高い崖を出しても差し支えない。崖は完全に垂直なものではなく、高さ30フィート未満なら一辺5フィートの正方形を占め、高さ30フィート以上なら一辺10フィートの正方形を占める。
軽度の下生え:丘陵にはヤマヨモギその他の小ぶりな灌木が生えているが、あたりじゅう下生えだらけということはない。軽度の下生えは視認困難を提供し、〈軽業〉と〈隠密〉の判定難易度を+2する。
丘陵のその他の地形の構成要素:丘陵に木が生えているのは珍しくない。谷間には水の流れる小川(幅5から10フィート、深さ5フィート以下)や水の涸れた川床(幅5~10フィートの塹壕として扱う)がよくある。水は常に上から下へ流れることに注意。
丘陵での隠密行動と探知:なだらかな丘陵では、近くに他者のいるのを探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は2d10×10フィート、起伏の多い丘陵では2d6×10フィートである。丘陵で〈隠密〉技能を使うのは、手近に下生えがないかぎり困難である。丘のてっぺんや尾根は、背後にいる者に遮蔽を提供してくれる。
地形としての山岳には3種がある。高原、起伏の多い山岳、険しい山岳である。キャラクターが山岳地帯を上へ上へと登っていくと、これら3種類に順番に出くわすことになる。まず高原、次に起伏の多い山岳、最後に山頂近くの険しい山岳。
山岳には岩壁という重要な地形の構成要素が存在する。これはマス目を占めるのではなく、マス目とマス目の間の境界線上に記される。
ゆるやかな斜面、急な斜面:これについては『地形:丘陵』を参照。
崖:丘陵の崖と同様に機能するが、ただ山岳の典型的な崖は高さ2d6×10フィート。高さ80フィートよりも高い崖は、水平方向にして20フィートを占める。
裂け目:裂け目は、普通の地学的プロセスによって形成されたものであり、ダンジョンにおける落とし穴と同様の機能を有する。裂け目は隠されているわけではないので、うっかり裂け目に落ち込んでしまうなどということはない(突き飛ばしを受ければ話は別だが)。典型的な裂け目は深さ2d4×10フィート、長さ20フィート以上、幅は5~20フィート。裂け目を登って出るには難易度15の〈登攀〉判定を要する。“険しい山岳”では、典型的な裂け目の深さは2d8×10フィートになる。
ガレ場:ガレ場には小さなぐらぐらする石くれが一面に散らばっている。移動速度に影響はないが、斜面にこんなものがあると、とんだことになりかねない。ゆるやかな斜面がガレ場になっていると、〈軽業〉判定の難易度が+2され、急な斜面にあると+5される。また、なんらかの斜面がガレ場になっていると、〈隠密〉の判定難易度が+2される。
重度の瓦礫:地面が大小の瓦礫に覆われている。“重度の瓦礫”に覆われたマス目に入るには、1マスにつき2マス分の手間がかかる。重度の瓦礫の上では〈軽業〉の難易度は+5、〈隠密〉の難易度は+2される。
岩壁:岩壁は石の垂直な平面であり、これを登るには難易度25の〈登攀〉判定が必要になる。典型的な岩壁の高さは“起伏の多い山岳”では2d4×10フィート、“険しい山岳”では2d8×10フィート。岩壁はマス目の中ではなく、マス目とマス目の間に描かれる。
洞窟の入り口:洞窟の入り口は崖のマス目、急な斜面のマス目、岩壁の隣などにあり、典型的なもので幅5~20フィート、高さ5フィート。その奥には単なる1個の岩室から、複雑極まりない大迷宮まで、あらゆるものが存在し得る。モンスターの巣になっている洞窟には、典型的なもので1d3個の部屋があり、それぞれ差し渡し1d4×10フィート。
山岳のその他の地形の構成要素:高原は森林限界線よりも標高が高いところから始まるのが普通である。このため、山岳では木などの森林でよく見られる地形の構成要素は稀になっている。水の流れる小川(幅5~10フィート、深さ5フィート以下)や水の涸れた川床(幅5~10フィートの塹壕として扱う)はよくある。標高が特に高い場所は、周りのもっと低い場所よりも概して気温が低く、氷に覆われていることがある(『地形:砂漠』を参照)。
山岳での隠密行動と探知:山岳では一般に、近くに他者のいるのを探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は4d10×10フィートである。むろん一部の頂や尾根に立てば、もっと遠くまで見渡せ、入り組んだ谷や渓谷では視認可能な距離がもっと短くなる。視線をさえぎる植生が少ないので、マップがどうなっているかを細かに見れば、それだけで遭遇がどの距離で始まるかを判断するヒントが得られるだろう。丘陵と同様、山岳でも山頂や尾根は背後のものに遮蔽を提供してくれる。
山岳では遠くの音を聞き取るのが容易い。音による〈知覚〉判定の難易度は、聞く者と音源の間が(10フィートではなく)20フィート離れているごとに+1される。
多くの山岳地帯では、高い頂と大量の降雪が組み合わさると、雪崩の恐るべき脅威が生じる。雪や氷の雪崩はよくあるが、岩や土の雪崩(地すべり)が起きることもある。
雪崩は難易度20の〈知覚〉判定に成功したキャラクターであれば1d10×500フィート先から視認できる、超巨大クリーチャーとして扱う。キャラクターたちが〈知覚〉判定で遭遇距離を決定することに失敗したなら、雪崩は近づいてくる。元々の距離の半分まで近づいてきたなら自動的に見える。雪崩の接近を見つけることはできなくとも、聞きつけることはできるかもしれない。最適の状況下(他に大きな音がない場合)では、キャラクターは難易度15の〈知覚〉判定に成功すれば1d6×500フィート先の雪崩や地すべりの音を聞きつけることができる。雷雨など、音を聞きつけるのが難しい状況下では、難易度は20、25、あるいはもっと高くなるかもしれない。
地すべりや雪崩には判然とした2種の区域がある。埋没域(なだれ落ちてくる物の通り道)と流出域(なだれ落ちてくるものの一部が左右に広がって覆う範囲)である。埋没域内のキャラクターは必ず雪崩のダメージを受ける。流出域内のキャラクターは災難を避けられる可能性がある。埋没域内のキャラクターは8d6ポイントのダメージを受ける。難易度15の反応セーヴに成功すれば半分のダメージですむ。そしてどちらにしても埋もれてしまう。流出域内のキャラクターは3d6ポイントのダメージを受ける。難易度15の反応セーヴに成功すればダメージはない。セーヴに失敗したなら雪崩に埋もれてしまう。
雪崩に埋もれたキャラクターは、1分ごとに1d6ポイントの非致傷ダメージを受ける。埋もれたキャラクターが意識を失ったなら、難易度15の【耐久力】判定を行うこと。これに失敗すれば、以後は掘り出されるか死ぬまで、1d6ポイントの致傷ダメージを受ける。埋もれたクリーチャーを掘り起こすためのルールは落盤と崩落を参照。
典型的な雪崩は、流出域の一方の端から他方の端まで、さしわたし1d6×100フィート。中央部の埋没域の幅は、雪崩全体の半分である。
雪崩の進路上でキャラクターたちが正確にどこにいるかを判断するには、1d6×20をロールすること。この結果が埋没域の中心の進む道がキャラクターたちと何フィート離れているかを示すものである。雪と氷の雪崩は1ラウンド500フィートの速度で進む。岩雪崩(地すべり)は1ラウンド250フィートの速度で進む。
標高の高い場所を旅するのは、慣れていないクリーチャーにはひどく疲れる──それどころか、時には致命的である。寒さははなはだしく、空気中の酸素不足はもっとも頑健な戦士をもへたばらせてしまう。
高地に順応したキャラクター:高地に慣れたキャラクターは、山岳では低地民よりもうまくやっていける。“出現環境”の項に山岳が入っているキャラクターは山岳の原住者であり高地に慣れている者として扱われる。また、高地で1ヶ月以上暮らしたキャラクターは高地に慣れる。2ヶ月以上山岳から離れていたキャラクターは、再び山岳に戻る際には、もう一度順応をやり直さなければならない。アンデッド、人造、その他呼吸をしないクリーチャーは高度の影響を受けない。
高度帯:一般的に言って、山岳には3つの高度帯がありうる。低い峠、低い頂/高い峠、高い頂である。
低い峠(高度5,000フィート未満):低い山での旅の多くは、低い峠を進むことになる。この高度帯の多くは高原と森林でできている。旅人たちは進むのが難しいと感じるかもしれない(これは山岳を移動する際の修正に反映されている)。ただし高度自体の影響はない。
低い頂/高い峠(高度5,000フィート~15,000フィート):低い山の頂近くの斜面を登る場合や、高い山を普通に旅するにあたってのほとんどの場合は、この高度を通ることになる。高地に順応していないクリーチャーはみな、この高度の薄い空気を呼吸するだけで一苦労である。こうしたキャラクターは、1時間ごとに1回頑健セーヴ(難易度15、加えて2回目以降1回ごとに+1)を行い、失敗すると疲労状態になる。この疲労は、キャラクターがもっと空気の濃い場所に降りた時点で終わる。高地に順応しているキャラクターは、この頑健セーヴを行う必要がない。
高い頂(高度15,000フィート以上):もっとも高い山には高度20,000フィート(約6,000メートル)を越えるものもある。この高度ではキャラクターは高い高度による疲労(前項参照)の影響を受け、加えて高山病の影響を受ける。キャラクターが高地に順応していようといまいと関係ない。いわゆる高山病というのは、“長い間体に酸素が十分回っていないことをあらわすもの”であり、精神的能力値と肉体的能力値の両方に影響を与える。キャラクターは高度15,000フィート以上の場所で6時間を過ごすごとに1回、頑健セーヴ(難易度15、加えて2回目以降1回ごとに+1)を行い、失敗すると全ての能力値に1ポイントの能力値ダメージを受ける。高地に順応しているキャラクターは、高い高度による疲労や高山病に抵抗する際のセーヴィング・スローに+4の技量ボーナスを得る。とはいえ、どんなベテランの山男も、この高度にいつまでもとどまっているわけにはいくまい。
地形としての砂漠は、暑熱、温暖、寒冷のいずれの気候にも存在する。そうして1つの共通点を有する。雨が少ないことである。地形としての砂漠には3種ある。ツンドラ(寒冷気候)、岩砂漠(温暖気候に多い)、砂砂漠(暑熱気候に多い)である。
ツンドラには他の種類の砂漠と大いに違うところが2点ある。まず、雪と氷が地形の少なからぬ部分を覆っており、このため水を見つけるが容易い。次に、夏の盛りには永久凍土層の最上層1フィートばかりが溶けて、満目ただ泥の海になる。泥の海になったツンドラは移動や技能判定に対して、湿地の“浅い泥濘”と同じ影響を与える(たまり水がほとんどないのが違いである)。
次の表は、3種の砂漠にそれぞれどんな地形の構成要素がどれだけあるかを示すものである。この表にある地形の構成要素は皆、同じマス目の中には共存し得ない。たとえばツンドラの1個のマス目には、軽度の下生えがあるかもしれないし、氷床があるかもしれない。しかし両方が同時に存在することはない。
軽度の下生え:悪環境にも強い小ぶりな灌木やサボテンからなる。他の環境に見られる“軽度の下生え”と同様に働く。
氷床:地面が滑りやすい氷で覆われている。氷床に覆われたマス目に入るには、1マスあたり2マス分の移動がかかる。また〈軽業〉判定の難易度は+5される。氷床を通って疾走や突撃を行うには、難易度10の〈軽業〉判定が必要である。
軽度の瓦礫:小ぶりの岩があちこちに転がっており、素早く動き回るのが難しくなっている。〈軽業〉判定の難易度が+2される。
重度の瓦礫:より大きな岩がよりたくさんある。“重度の瓦礫”のあるマス目に入るには、1マスあたり2マス分の移動がかかる。〈軽業〉判定の難易度が+5、〈隠密〉判定の難易度が+2される。
砂丘:風が砂に働きかけてできあがった砂丘は、ゲームではいわば動く丘として機能する。風が強く、かつ一定方向に吹き続けるなら、砂丘は1週間に数百フィートほども移動することがある。時として、砂丘群は何百ものマス目を覆って連なることもある。砂丘は卓越風(一定期間を通じて一地方で吹く回数の最も多い風向き)の風上側が“ゆるやかな斜面”で、風下側が“急な斜面”になっている。
砂漠のその他の地形の構成要素:ツンドラは森と境界を接していることがあり、この寒い荒地に木が生えているのはそう珍しくもない。岩砂漠には天然の塔やメサ(卓上地形)がある。これは上が平らで全周が“崖”および“急な斜面”(いずれも『地形:山岳』参照)にとりまかれた地形である。砂砂漠には時として流砂がある。効果自体は『地形:湿地』で既述。ただし砂漠の流砂は湿地のそれとは違い、水気抜きの、目の細かな砂と塵の混じったものである。いずれの種類の砂漠にも、水の涸れた川床(幅5~15フィートの塹壕として扱う)が縦横に走っている。まれに雨が降るとこの川床に水が満ちる。
砂漠での隠密行動と探知:概して、砂漠で近くに他者のいるのを探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は、6d6×20フィートである。これより遠くでは、熱による光の歪みや地面のでこぼこのせいで視覚による知覚は不可能になる。砂砂漠における砂丘の存在は、この距離を6d6×10フィートにする。下生えなど、視認困難や遮蔽を提供してくれるものが少ないため、〈隠密〉を試みるのは困難である。
砂塵嵐は視界を1d10×5フィートにまで狭め、〈知覚〉判定に-4のペナルティを与える。開けた場所で砂塵嵐につかまったキャラクターは1時間あたり1d3ポイントの非致傷ダメージを受ける。砂塵嵐の過ぎていった通り道では、何もかもが砂で薄く覆われている。運ばれてきた砂は、よほどしっかりしたもの以外のどんな封印や継ぎ目にも入り込んで、旅人の肌をざらざらにすりむき、運搬中の装備に混じりこむ。
地形としての平地には3種がある。農地、草地、戦場である。農地は定住地で一般的に見られる。草地は未開拓の平地をあらわす。戦場は大軍どうしがぶつかりあう(ぶつかりあった)場所をいう。戦場が戦場であるのは一時のことで、やがては自然に草が生えて草地になるか、農夫の鋤に耕されて農地になるのが常である。戦場を農地や草地と並べて平地の種類のうちに数えているのは、冒険者たちが戦場で時を過ごしがちだからであって、どこにでもあるからではない。
次の表は、3種の平地にそれぞれどんな地形の構成要素がどれほどあるかを示すものである。農地の“軽度の下生え”は、刈入れを待つ穀物の穂をあらわす。このため、野菜を育てている農地や、収穫後から作物を植えて2、3ヵ月後くらいまでの農地には、“軽度の下生え”は少ない。
この表にある地形の構成要素はどれも、同じマス目の中には共存し得ない。
下生え:穀物であるか、自然の植生であるかを問わず、平地に生える背の高い草は、森林における“軽度の下生え”と同じ機能を有する。特に密生した灌木群は“重度の下生え”として扱われる。平地にはこのような“重度の下生え”が点在している。
軽度の瓦礫:戦場にある“軽度の瓦礫”は、破壊された何物かをあらわすことが多い。建物の廃墟、石壁が崩れて石が散乱したものなど。その機能は『地形:砂漠』にある通り。
塹壕:塹壕は戦いの前に兵を守るために掘られることが多い。“低い壁”として働くが、ただ、隣接した敵からの攻撃に対しては遮蔽を提供してくれないところが違う。塹壕を出るには2マス分の移動がかかる。塹壕に入るには何も余分な手間はかからない。塹壕の外にいるクリーチャーが、塹壕の中にいるクリーチャーに対して近接攻撃を行う場合、相手より高い場所にいるということで攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
バーム:バームというのはよくある防御用の構造物である。要は低い土壁で、敵の移動を遅らせ、かつ、ある程度の遮蔽を得るのに使う。バームをマップ上に配置するには“急な斜面”(『地形:丘陵』を参照)を2列、互いにくっつけて描き込むこと。このとき、斜面の向きは、バームの両側が中央より低くなるようにする。従って、幅2マスのバームを越えようとするキャラクターは、まず1マス坂を上り、それから1マス坂を下ることになる。幅2マスのバームは、その背後に立つ者に、“低い壁”と同様に遮蔽を提供する。もっと大きなバームは、バームの一番高いところから1マス下だったところにいる者に“低い壁”と同様の特典を与える。
柵:木の柵はおおむね、家畜を1箇所に集めておくためや、やってくる敵兵を邪魔するために使われる。木の柵を1つ乗り越えるには、1マス分の移動をするのと同じだけの手間がかかる。石の柵はこれに加えて“低い壁”と同様に、ある程度の遮蔽を与える。騎乗したキャラクターは、難易度15の〈騎乗〉判定に成功すれば、移動速度を落とすことなく柵を越えることができる。失敗したなら、乗騎は柵を越えるが、騎手は鞍から落ちてしまう。
平地のその他の地形の構成要素:大方の平地には、木がぽつぽつと点在している。ただし戦場では切り倒されて攻城兵器(『市街地にあるもの』参照)の材料にされてしまうことも多い。生け垣状の茂み(『地形:湿地』参照)は平地でも見られる。小川(通常は幅5~20フィート、深さ5~10フィート)もよくある。
平地での隠密動向と探知:平地では、近くに他者のいるのを探知するために〈知覚〉判定を行える最大距離は6d6×40フィートである。ただし実際にはマップ上の物が視界を遮るかもしれない。遮蔽や視認困難を提供してくれるものはかなりあるので、身を隠す場所はすぐそばにはなくとも、近場にはあることが多い。
水界は、ほとんどのPCにとって、最もやさしくない地形である。呼吸できないので。地上の各種地形と違い、地形としての水界には、ルール上、細かな地形の構成要素はない。もとより海底には多くの不思議があり、本章でこれまで見てきた地上の様々な地形の構成要素にはみな海底版がある。しかしキャラクターが海賊船の甲板で突き飛ばしにあって水中にどぼんといった場合、数百フィート下の海底に丈の高い海草の林があったとしても、それがなんであろう。そこで当ルールでは、地形としての水界を単に2つに大別する。流れる水(川や小川)と流れない水(海や湖)である。
流れる水:穏やかな大河は時速わずか数マイルで流れるので、ほとんどの場合、流れない水として機能する。しかし中にはもっと流れの速い川や小川もある。こうした川の水上や水中にあるものは、1ラウンドあたり10~40フィートの速度で下流に流される。真に流れの速い急流は1ラウンドあたり60~90フィートの速度で、泳ぐ者を下流に押しやってしまう。流れの速い川は、常に最低でも“荒れた水面”(〈水泳〉難易度15)として扱われる。白く泡立つ急流は“大荒れの水面”(〈水泳〉難易度20)として扱われる。流れる水の中にいるキャラクターは、自分のターンの最後に、所定の距離だけ下流に流される。川岸に対する相対位置を保とうとするキャラクターは、自分のターンの一部または全部を上流へ泳ぐことに費やさなければならない。
押し流される:1ラウンド60フィート以上の速度で流れる川によって押し流されているキャラクターは、毎ラウンド1回、難易度20の〈水泳〉判定を行わねばならず、失敗すると水中に沈む。5以上の差で判定に成功したなら、岩や木の枝や水底の倒木につかまって体を固定することができる。岸にたどり着いて急流を脱出するには、難易度20の〈水泳〉判定に3回連続で成功する必要がある。岩や枝や水底の倒木につかまって体を固定しているキャラクターが自力で脱出するには、そこを離れ水中に飛び出して泳ぎきらねばならない。ただし、他のキャラクターが彼らを救助することはできる。これはちょうど流砂(『地形:湿地』で既述)につかまったキャラクターを救出する場合のように行う。
流れない水:海や湖で移動するには、単に水泳移動速度を使うか、〈水泳〉判定に成功すればよい。難易度は穏やかな水面で10、荒れた水面で15、大荒れな水面で20である。水中にいる場合、キャラクターは呼吸する方法を見つけねばならない。そうできないなら溺れる可能性がある。水中では、キャラクターはどちらの方向へも移動することができる。
水中での隠密行動と探知:水中でどれだけ遠くが見えるかは、水の透明度によって変わる。大体において、クリーチャーは水が澄んでいれば4d8×10フィート先まで、水がにごっていれば1d8×10フィート先まで見通せる。動いている水は常に濁っているものとして扱う。ただし、特に流れのゆるい大きな川は例外である。
水中では身を隠すための遮蔽や視認困難を提供してくれるものをみつけるのは(海底を除き)難しい。
不可視状態について:不可視状態のクリーチャーは、水を押しのけることになる。そして水を押しのけた場所には、そのクリーチャーの体の形をした“泡”のようなものが見える。このため、クリーチャーは完全視認困難(失敗確率50%)ではなく、視認困難(失敗確率20%)を得るにとどまる。
本来陸上に住んでいるクリーチャーにとって、水中で戦うのはかなり骨である。水中の環境はクリーチャーのアーマー・クラス、攻撃ロール、ダメージ、移動に影響を与える。そのクリーチャーの相手が攻撃にボーナスを得ることもある。こうした効果を『表:水中での戦闘に関する影響』にまとめた。キャラクターが泳いでいる場合も、胸まで水に浸かって歩いている場合も、水底を歩いている場合も、みなこの表を使えばよい。
状況 |
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---|---|---|---|---|
斬撃または殴打 |
刺突 | |||
崩さない | ||||
-2/半分 |
崩さない | |||
-2/半分2 |
1/4または半分3 |
崩さない | ||
しっかりした足場4 |
-2/半分2 |
半分 |
崩さない | |
上記のいずれでもない |
-2/半分2 |
-2/半分 |
崩す |
水中での遠隔攻撃:水中では投擲武器は無効である(たとえ陸上から投げたとしても)。他の遠隔武器による攻撃には、通常の距離によるペナルティに加えて、水中を5フィート通るごとに攻撃ロールに-2のペナルティがつく。
陸上からの攻撃:泳いでいる者、水に浮かんでいる者、水面に顔を出して立ち泳ぎしている者、胸までかそれ以上の深さのある水をかき分けて歩いている者は、陸上の相手からの攻撃に対して良好な遮蔽を得る(アーマー・クラスに+8のボーナス、反応セーヴに+4のボーナス)。ただし陸上にいる相手がフリーダム・オヴ・ムーヴメントの効果を得ており、水中の目標に対して近接攻撃を行うのであれば、この遮蔽は無視される。完全に水面下にいるクリーチャーは、地上の相手に対して完全遮蔽を得る(ただし地上の相手がフリーダム・オヴ・ムーヴメントの効果を得ている場合を除く)。魔法効果は影響を受けないが、攻撃ロールを要するもの(これは他の効果と同様に影響を受ける)と[火炎]効果は別である。
火:魔法のものでない火(錬金術師の火を含む)は水中では燃えない。呪文および擬似呪文能力のうち、補足説明に[火炎]とあるものは、術者が術者レベル判定(難易度20+呪文レベル)に成功しない限り、水中では効果がない。術者が判定に成功すれば、呪文は通常の火炎の効果の代わりに蒸気の泡を生み出すが、それ以外の点では呪文の説明通りに働く。超常能力の[火炎]効果は、特記なき限り水中では効果がない。水面は[火炎]呪文の効果線を遮断する。術者が術者レベル判定に成功して[火炎]呪文を水中で使い得たとしても、やはり水面はその呪文の効果線を遮断する。
水中での呪文:水中で呼吸ができない者にとって、水面下で呪文を使うのは困難である可能性がある。水中で呼吸できないクリーチャーが水中で呪文を使うには、精神集中判定(難易度15+呪文レベル)に成功しなければならない(これは[火炎]呪文を水中で使うための術者レベル判定とは別に行われる)。水中で呼吸できるクリーチャーはなんら影響を受けず通常に呪文を発動できる。GM判断により、ある呪文が水中では異なる機能を発揮するようにしてもよい。
春になると、大量の雪解け水が流れ込み、川や小川の水かさを増して氾濫を起こす。また、激しい雨嵐や堤防の決壊といった事件によって、氾濫がおきることもある。
氾濫の際には、川はより広く、深く、流れが速くなる。春の氾濫期には、川の水面は1d10+10フィート高くなり、幅も1d4×50%増しになる。浅瀬は数日にわたって消滅する。橋が流されることもありうる。そして渡し舟も氾濫する川を渡ることはできない場合がある。氾濫中の川では〈水泳〉判定が1段階難しくなる(“穏やかな水面”は“荒れた水面”に、“荒れた水面”は“大荒れの水面”になる)。また、川の流れも50%分速くなる。