呪文障害は極めてまれで尋常ではない、擬似呪文能力を使用するクリーチャーを含む、呪文の使い手に独特の影響を及ぼす魔法的状態である。呪文障害は絶え間なく作用し、クリーチャーが呪文か擬似呪文能力の使用を試みたときにだけ兆候を示す呪いである。呪文か擬似呪文能力を使用する能力を欠いたクリーチャーは、通常は呪文障害の影響を受けない。
多くの魔法的効果とは異なり、呪文障害はアンティマジック・フィールド内でも通常持続するが、しばしば呪文の発動に影響を及ぼすため、その効果はその領域では概して減衰する。
術者はさまざまな方法により呪文障害で苦しめられる。ビストウ・カースかメジャー・カース呪文は異常な状況と同じくらいに自然に、以下に示すうちの多くの状態を与えることができる。
呪文障害の領域/Areas of Spellblight:通常、呪文の発動行為には呪文障害を負う確率がわずかに存在するが、魔法的に不安定な空間では、ささいな呪文発動行為も呪文の使い手を危険にさらすことになる。呪文障害領域には主な種別が2つある。下級呪文障害領域では、呪文の使い手は呪文を発動するたびに難易度14の意志セーヴィング・スローを成功させねばならず、さもなくば無作為に下級呪文障害1つの影響を受ける。上級呪文障害領域では、術者は難易度22のセーヴィング・スローに成功しなければ上級呪文障害1つを発症する。そのような領域の奇妙で無作為な本質のため、これらの効果は常に一貫していない。単一の種類の呪文障害を課す領域、および呪文発動ごとの抵抗がより簡単、あるいは難しい領域も存在する。
呪いおよびその他の呪文/Curses and Other Spells:あらゆる呪文障害はビストウ・カースあるいはメジャー・カース呪文を介して術者にかけられる。ビストウ・カースはいかなる下級呪文障害でも与えることができる一方で、術者を上級呪文障害で害するにはメジャー・カースが要求される。他の呪文は特定の呪文障害を負わせるか、呪文の一部のように術者が呪文障害を選ぶことができる場合がある。呪文に対するセーヴィング・スローの成功は、呪文障害が定着することを防ぐ。
GMは以下の呪文障害の取得方法を含めて選択できる。
アンティマジック・フィールド:呪文の使い手がアンティマジック・フィールド内で最初に呪文の発動を試みるとき、上級呪文障害1つを自然に負う可能性が存在する。術者は意志セーヴィング・スロー(難易度15+アンティマジック・フィールドの術者レベル、あるいは術者レベルをもたない効果であれば難易度23)に成功せねばならない。
秘術呪文失敗:呪文の使い手が秘術呪文失敗判定に5%以下のロール(呪文失敗のロールで出目01~05を出す)で失敗するとき、呪文障害に苦しめられるようになる確率がある。失敗した呪文の使い手は意志セーヴィング・スロー(難易度15+呪文レベル)に成功せねばならず、さもなくば呪文障害1つを負う。失敗した呪文が4レベル以下であれば下級呪文障害1つ、5レベル以上であれば上級呪文障害1つを負う。
魔法のアイテム作成:呪文の使い手は魔法のアイテムの作成時に、アイテムを作成する技能判定に失敗すると、GMはその術者に判定の結果として呪われたアイテムを作り出す代わりに呪文障害1つを与えることを選ぶことができる。呪文障害は作成を試みたアイテムの術者レベルに基づいてランダムに決定する。作成するアイテムの術者レベルが10以下であればランダムな下級呪文障害1つ、11レベル以上であればランダムな上級呪文障害1つを負う。
スペル・ターニング:呪文の使い手がスペル・ターニングで避け、攻撃したクリーチャーもそうであったとき、通常は呪文の記述に説明されるように共鳴現象を起こす。この代わりに、最初の効果を発動した呪文の使い手は共鳴現象を起こさずに、双方の呪文の使い手が上級呪文障害1つの影響を受けることを選択できる。共鳴現象の引き金となった呪文はどこかに効果を吸収される。
瞬間移動の不運:呪文の使い手が瞬間移動呪文を発動した結果、瞬間移動の不運により呪文障害を負う確率がある。瞬間移動呪文を発動した呪文の使い手は意志セーヴィング・スロー(難易度15+その瞬間移動呪文のレベル)に成功せねばならず、さもなくば上級呪文障害1つを負う。
〈魔法装置使用〉:術者が〈魔法装置使用〉技能を用いて魔法装置の使用を試みて、出目1をロールしたとき、その術者はアイテムを24時間起動できなくなる代わりに、下級呪文障害1つを負う危険を選ぶことができる(意志・無効、難易度10+アイテムの術者レベル)。
呪文障害の最も苛烈な症状は時折しかあらわれないかもしれないが、その状態はしばしば固着して取り除くのが難しい。呪文障害ごとに除去する条件があり、呪いであるかのように除去することもできる(リムーヴ・カース、ブレイク・エンチャントメントなどによって)。下級呪文障害を除去するための術者レベル判定の難易度は20であり、上級呪文障害を除去する難易度は30である。呪文障害を除去する難易度は1日経過するごとに1減少する(最小難易度10)。呪いを取り除く呪文を呪文障害の除去に使用すると、術者レベル判定に-5ペナルティが課される。すべての呪文障害はメイジズ・ディスジャンクション、ミラクル、あるいはウィッシュにより術者レベル判定なしに自動的に除去される。
以下の表は下級および上級呪文障害のリストである。ランダムに呪文障害を決定する必要がある場合、適切な表でロールすること。
d10 |
結果 |
---|---|
1 |
術盲症 |
2 |
術唖症 |
3 |
捻転発動 |
4 |
自失症 |
5 |
黒視症 |
6 |
秘術熱 |
7 |
血涙症 |
8 |
倦怠症 |
9 |
儀式妄想 |
10 |
d10 |
結果 |
---|---|
1 |
|
2 |
名状しがたき恐怖 |
3 |
無効症 |
4 |
妄想固着 |
5 |
|
6 |
呪文焼け |
7 |
呪文昏倒 |
8 |
供与遮断 |
9 |
空間識失調 |
10 |
以下のセクションでは呪文障害を重大度に基づいて分類し、効果および効果を終了する特別な方法を特徴として解説する。いくつかの呪文障害の効果は若干有益な場合もあることに注意せよ。狡猾な術者は最悪の状況でさえも最大限に利用することができ、そしていかなる呪文障害の有益な効果もここに示されている。呪文障害が効果のレベルに基づく精神集中判定を要求し、術者が有効レベルを持たない擬似呪文能力を使用する場合には、擬似呪文能力の術者レベルの半分を代わりに用いること。
術盲症/Caster Blank:術盲症を負う呪文の使い手は、呪文または擬似呪文能力の焦点を同じクリーチャーに二度以上合わせるのに苦労する。呪文の使い手はクリーチャーを呪文の目標にした後、術盲症が除去か抑制されるまでの間、再びそのクリーチャーを呪文の目標とすることができない。術盲を抑制するために、犠牲となった呪文の使い手は集中のための標準アクションを費やさねばならず、これにより再び目標型呪文を発動するまで術盲のすべての効果を振り払うことができる。術盲はクリーチャーを目標とする呪文のみに影響し、呪文の使い手は依然として範囲型呪文によってクリーチャーに影響を与えることはできる。
術盲症はコンフュージョンかインサニティを除去するいずれの効果によっても回復できる。[精神作用]効果に対する完全耐性をもつクリーチャーはこの呪文障害に対する完全耐性をもつ。
術唖症/Caster Croak:影響を受けた呪文の使い手の喉あるいは口は魔法的にくびれる。呪文の使い手はかなり努力して辛うじて聞き取れる程度の言葉しか発せない。この影響を受けたクリーチャーは、他者が即行アクションを費やして発言に意思を向けることでようやく聞きとれる程度の声しか出せない。音声要素を持つ呪文発動は20%の失敗確率を持ち、[言語依存]の補足説明を持つ呪文のセーヴ難易度は4減少する。擬似呪文能力は音声要素を持たないため、この呪文障害から影響を受けない。クリーチャーがこの呪文障害の影響を受けている間、叫んだり悲鳴をあげることは不可能である。
ヒール呪文あるいは同様の効果はこの呪文障害を回復する。シャウト呪文を発動した場合も同様だが、発動する時点ではまだ呪文障害の影響下にある。
捻転発動/Confounded Casting:捻転発動を受けた呪文の使い手は、発動するつもりだった呪文と実際に発動する呪文との間で精神が分離する。呪文の使い手は自身のターンに最初に呪文を発動するか擬似呪文能力を使用するとき、難易度15+発動する呪文のレベルの2倍の精神集中判定を行う。この精神集中判定に失敗すると、術者は同じかより低いレベルの、発動時間が同じである、別の呪文か擬似呪文能力を選ばねばならない。呪文の使い手が他に呪文や擬似呪文能力を持っていない場合、アクションが失われる。最初に選んでいた呪文あるいは擬似呪文能力は消費されず、術者は後でもう一度発動を試みることができる。
捻転発動はコンフュージョンあるいはインサニティを除去するいずれの効果によっても回復できる。[精神作用]効果に対する完全耐性をもつクリーチャーは、この呪文障害に対する完全耐性をもつ。
自失症/Disassociation:自失症を受けた呪文の使い手はアイデンティティが分離し、自身を他人のように認識し始めることにより軽度の狂気に陥る。自失症を受けている間、呪文の使い手は、有効距離が術者であるか目標が自身である呪文あるいは効果を使用できない。通常は個別のクリーチャーを目標にする必要のない、範囲に影響する呪文は術者を含めることができる。
自失症はコンフュージョンかインサニティを除去するいずれの効果によっても回復できる。
黒視症/Ebon Eyes:黒視症を受けた呪文の使い手は、光と闇の知覚能力を反転させる真っ黒な薄膜で目を覆われる。クリーチャーは暗闇を明るい光、薄暗い光を通常の光、通常の光を薄暗い光、そして明るい光を暗闇として扱う。黒視症は盲目効果、目を眩ませる効果、紋様効果、あるいはその他の視覚効果から保護する。これらの効果に対するセーヴィング・スローに+2のボーナスを与える。
秘術熱/Eldritch Ague:秘術熱は呪文の使い手を衰弱させる病気として発症する。この呪文障害を負う呪文の使い手は呪いが取り除かれるまで不調状態になる。呪いの対象が呪文を発動するとき、術者は衰弱して1ラウンドの間怯え状態になり、呪文発動あるいは擬似呪文能力の使用には精神集中判定の成功が必要となる(難易度15+発動する呪文の呪文レベルの2倍)。セーヴに失敗すると呪文と発動のためのアクションは失われる。
呪われている間、秘術熱はちょうど病気のように働き、病気に対する完全耐性を持つクリーチャーは秘術熱に対しても完全耐性を持つ。リムーヴ・ディジーズは秘術熱を癒す。多くの呪文障害と異なり、呪文障害を除去するためにこの呪文を使用するには術者レベル判定への-5ペナルティが課されない。
血涙症/Hemoculysis:血涙症を受けた呪文の使い手は呪文を発動すると目から出血する。量と持続時間は呪文のレベルに依存し、呪文レベルにつき1ラウンド持続する。目から出血している間、呪文の使い手は目が眩んだ状態であると見なし、1ポイントの出血ダメージを受ける。既に目から出血しているときに追加の呪文を発動すると、その呪文の提供する呪文レベルが現在の残り持続時間より大きければ、血涙の持続時間はリセットされる。呪文の使い手が目から出血する様は凄みがあり、出血状態の続く限り〈威圧〉判定に+2状況ボーナスと、〈はったり〉および〈交渉〉判定に-4ペナルティが与えられる。
倦怠症/Lassitude:この呪文障害を受けた呪文の使い手は、呪文を発動するたびに精神集中判定(難易度15+発動する呪文のレベルの2倍)をせねばならない。呪文の使い手は判定に失敗すると、呪文レベルにつき1ポイントの非致傷ダメージ(または0レベル呪文を発動した場合は1ポイントの非致傷ダメージ、あるいは擬似呪文能力を使用する場合には2術者レベルにつき1ポイント)。この非致傷ダメージは倦怠症の影響を受けている限り、いかなる方法によっても減少できない。
倦怠症はレッサー・レストレーション、レストレーション、あるいは過労を完全に除去できる効果によって回復できる。単に休むだけでは効果がない。非致傷ダメージに対する完全耐性をもつクリーチャーは、この呪文障害に対する完全耐性をもつ。
儀式妄想/Ritualistic Obsession:儀式妄想に苦しめられている呪文の使い手は、呪文発動時に余計な動作を加える。動作要素を持たないいかなる呪文(《呪文動作省略》した呪文でさえ)にもこれを必要とし、既に動作要素をもついかなる呪文にも、片手ではなく両手を空けておくことを必要とする。擬似呪文能力にも動作要素を必要とする。余計な動作は即行アクションの発動時間を標準アクションに、標準アクションの発動時間を1ラウンドに、1ラウンドの発動時間を2ラウンドに増加する。それ以外の発動時間は増加しない。余計な集中は術者の呪文の効果を増強するのに役立つ。余計な動作により発動時間の増加した呪文および擬似呪文能力のすべてのセーヴ難易度は1増加する。
儀式妄想はインサニティを除去できるいかなる効果でも回復できる。[精神作用]効果に対する完全耐性をもつクリーチャーは、儀式妄想への完全耐性をもつ。
呪文中毒/Spell Addiction:呪文中毒者は意気揚々と魔法を用いるが、ひとたび呪文発動が終了するとその揺り戻しに苦しむことになる。中毒者は呪文発動に成功した後、次の自分のターンまで攻撃ロール、技能判定、およびセーヴィング・スローに+2士気ボーナスを得る。しかしながら、呪文中毒者が呪文を発動しなかったいずれのラウンドにおいても、その揺り戻しとして次の自分のターンまで不調状態になる。
呪文中毒はコンフュージョン、インサニティ、あるいは[病気]を除去するいずれの効果でも回復できる。[精神作用]効果に対する完全耐性をもつクリーチャーは、呪文中毒に対する完全耐性をもつ。
以下のリストはいくつかの最も一般的な上級呪文障害の解説である。
秘術性白内障/Eldritch Cataracts:この秘術障害を負う呪文の使い手は、呪文を発動するたびに視界が曇り、ついには盲目になるまで曇り続ける。呪文の使い手は呪文を発動するたびに、難易度15+呪文レベルの頑健セーヴに成功せねばならない。失敗すると、呪文障害が除去されるまで視覚に基づく〈知覚〉判定に-1ペナルティを負う。ペナルティは-4に達するまで、セーヴィング・スローに失敗するたびに1増加し、その時点で代わりに盲目状態になる。
秘術性白内障は治療の難しい呪文障害である。盲目を治療するいかなる効果もペナルティを1減少する。ペナルティが-3以下に減少した場合、その術者が、ペナルティが-4に戻るのに十分な回数の頑健セーヴィング・スローに失敗するまで、いかなる盲目状態からも解放される。ペナルティが0に減少すると呪文障害から回復する。
盲目のクリーチャーと視覚を使わないクリーチャーは、秘術性白内障に対する完全耐性をもつ。
名状しがたき恐怖/Nameless Dread:名状しがたき恐怖を背負う術者は、遙か遠い次元か星々の狭間の暗黒から来た奇妙な存在を信じて悩み、その正気を蝕まれている。術者は呪文か擬似呪文能力を使用するたびに、名状しがたき追跡者の一瞥を目にする。術者は精神集中判定(難易度15+呪文レベルの2倍)に成功せねばならず、失敗すると呪文レベルにつき1ラウンドの間、怯え状態になる。すでに怯え状態である場合には、呪文の使い手は元の効果の持続時間と新しい効果の持続時間のより長い方の間中、恐れ状態になる。すでに恐れ状態である場合には、元の効果の持続時間と新しい効果の持続時間のより長い方の間中、恐慌状態になる(そして、発動できない)。呪文の使い手が恐慌状態になるたび、5%の確率で不定の狂気に陥る(インサニティ呪文のように、あるいはGMは『GameMastery Guide』の250~251Pに記述されている狂気から1つ選んでよい)。
名状しがたき恐怖に捕らわれた呪文の使い手は、特に[恐怖]あるいは[混沌]の補足説明をもつ呪文行使の達人である。この補足説明をもつ呪文を発動するとき呪文のセーヴ難易度は1増加し、呪文抵抗を抜くためのすべての術者レベル判定に+1技量ボーナスを得る。
[恐怖]を抑制する呪文は名状しがたき恐怖にも働く。[恐怖]効果を除去する効果は名状しがたき恐怖の効果(および、その呪文発動への利益)を1時間抑制する。
無効症/Negated:無効症を負う呪文の使い手は自身の持つ魔法的エネルギーを操る能力を混乱させられている。呪文の使い手は10+発動できる呪文の最大レベルの2倍に等しい呪文抵抗を得る。この呪文抵抗は自発的に引き下げることができない。加えて、呪文を発動するいかなるときでもこの呪文抵抗に対する術者レベル判定(1d20+術者レベル)を行わねばならない。判定に成功すると、呪文は完成し、呪文抵抗は呪文の使い手の次のターンの開始時まで除去される。失敗は術者が呪文を発動するのに十分な魔法的エネルギーを支配できなかったことを表すが、呪文は失われず再挑戦はできる。呪文抵抗の突破を援護するいかなる特技あるいは能力も、この判定に役立つ。
妄想固着/Obsessive Fixation:妄想固着を負う呪文の使い手は反復傾向を発達させる。これは呪文の使い手が呪文を準備するかどうか、あるいは擬似呪文能力を使うかによって異なる現れ方をする。呪文を準備するとき、影響下の呪文の使い手は選んだ呪文ごとに同じ呪文を2つ複製し、可能なかぎり多く複製呪文の準備を試みねばならないが、通常の呪文スロットの数を越えられるわけではない。この複数準備する(その結果、多様性が制限される)必要が唯一の効果である。呪文の使い手が任意発動か擬似呪文能力を使う場合、呪文の使い手が呪文を発動するか擬似呪文能力を使用するときは、次のターンでも同じ呪文を発動せねばならず、さもなくばターンの終了時から1ラウンドの間幻惑状態になる。呪文の使い手が同じ呪文の複製呪文を連続的に2つ発動するか幻惑状態になると妄想固着はリセットされ、自身の修得しているいかなる呪文でも発動でき、そうすると再びこのサイクルが始まる。
妄想固着はコンフュージョンかインサニティを除去する効果で1日の間抑制できる。
位相障害/Phase Blight:呪文障害(訳注:spellblight。phase blightのミスか又はthisが抜けていると思われる)の影響下の呪文の使い手は、存在をぼんやりさせたりはっきりさせたりする。呪文の使い手は呪文を発動するごとに、発動する呪文レベルごとに1ラウンドの間、現実から消えたり現れたりする。相転移中、呪文の使い手に対するいかなる物理的攻撃も50%の失敗確率を負い、いかなる個別目標をもつ呪文も50%の確率で術者に影響を及ぼすことに失敗し、さらに呪文の使い手は範囲攻撃からのダメージを半減する。加えて、相転移が有効な間、呪文の使い手のすべての物理攻撃は50%の失敗確率を有し、クリーチャーを目標とするすべての呪文は50%の確率で目標に影響し、さらにすべての範囲攻撃は通常のダメージの50%となる。ブリンク呪文を発動したときと異なり、呪文の使い手はエーテル化しておらず、全体で現実の内外を跳躍している。
ディメンジョナル・アンカーのような次元界移動を遮断する効果は、その持続時間中、クリーチャーの位相を安定化する。
呪文焼け/Spell Burn:この呪文障害の影響を受けた呪文の使い手は、呪文を発動するか擬似呪文能力を使用するたびに、火の中に居るかのように皮膚が燃えているように感じる。精神集中判定(難易度 15+発動する呪文レベルの2倍)に成功すると、呪文の使い手はこの効果の苦痛を無視できるが、失敗すると1ラウンドの間よろめき状態になる。術者がこの呪文障害によりよろめき状態でいる間、[火炎]の補足説明をもついかなる呪文を発動してもセーヴィング・スロー難易度が1増加する。
この灼熱感は術者の想像による幻覚である。[精神作用]効果に対する完全耐性をもつ呪文の使い手は、この呪文障害に対する完全耐性をもち、かつ[火炎]の補足説明をもつ呪文を発動するときに効果の利益を得ない。
呪文昏倒/Spell Sap:呪文昏倒を負う呪文の使い手は呪文発動時に意識がブラックアウトする。呪文の使い手は精神的に硬直、乖離、または緊張し、あるいは気絶状態に滑り込みさえするかもしれない。影響下の呪文の使い手は、呪文を発動するか擬似呪文能力を使用するたびに頑健セーヴ(難易度14+術者レベル)に成功せねばならず、さもなくば次の自身のターンの終了時まで幻惑状態になる。セーヴに10以上失敗すると、呪文の使い手は代わりに倒れて伏せ状態になり、1d4ラウンドの間気絶状態に陥る。
呪文昏倒はコンフュージョンかインサニティを除去する効果により1日の間抑制できる。
供与遮断/Transference Block:供与遮断を負う呪文の使い手は味方を呪文の目標にするのが難しくなる。味方に呪文を発動するときはいつでも精神集中判定(難易度15+発動する呪文の2倍)をせねばならず、失敗すると呪文は失われる。
供与遮断はアンティマジック・フィールドで1時間を費やすことで回復する。
空間識失調/Vertigo:空間識失調を負う呪文の使い手は呪文を発動すると目眩がして頭がふらふらする。呪文を発動するか擬似呪文能力を使用するたびに世界は回転して周囲を巡る。呪文の使い手は精神集中判定(難易度15+発動した呪文レベルの2倍)に成功せねばならない。呪文の使い手が判定に失敗すると、倒れて伏せ状態になり、1d4ラウンドの間〈軽業〉、〈登攀〉、〈騎乗〉、〈隠密〉、および〈水泳〉判定に1+呪文レベルに等しいペナルティを受ける。呪文の使い手はこれらのペナルティの影響を受けている間、伏せ状態から起き上がるために難易度10の〈軽業〉判定にも成功しなければならない。
影響下の呪文の使い手にレストレーションを発動すると、この呪文障害は1日の間抑制される。
才覚に長けた呪文の使い手は、経験を利用して自分の魔法に力を与える。上記の呪文障害の状態の多くが適切な状況下で優位を与えるのと同じ方法で、GMの裁量で、『Core Rulebook』の付録2に記載されている標準の状態もまた利益を提供することができる。以下の要素が呪文失敗確率を与える場合には、以下は発動成功の為の更なるロール(術者レベル判定や鎧の秘術呪文失敗確率のような)に追加で行われ、そのロールの後に解決される。
出血状態:呪文の使い手がこの状態の影響を受けている間、インフリクト・ウーンズ呪文はダイスごとに1追加ポイントのダメージを与える。これはインフリクト・ウーンズ呪文を使用するときのみ許され、これらの呪文をアンデッドを癒すために使うときには認められない。
盲目状態:盲目状態の呪文の使い手は、[光]の補足説明をもつ呪文のエネルギーのいくらかを盲目状態を打ち消す試みのために使用できる。盲目状態の呪文の使い手は[光]の補足説明をもつ呪文を発動するとき、20%の確率で呪文が失敗することも選べる。この発動に成功すると、呪文は盲目状態を終了させもする。
混乱状態:(一時的か恒久的か、あるいはインサニティ呪文によるか効果によるかを問わず)混乱状態の呪文の使い手は混乱状態の平静期にその混乱を軽く打ち込むことができる。混乱状態の呪文の使い手が通常通りに行動できるとき、混乱あるいは狂気を負わせる呪文の難易度が1増加する。術者はまたこれらの呪文が呪文抵抗を突破するための術者レベル判定に+2技量ボーナスを得る。
絡みつかれた状態:絡みつかれた状態の呪文の使い手は[力場]の補足説明をもつ呪文を発動するときに、20%の確率で呪文が失敗することを選べる。この呪文の発動に成功すると、絡みつかれた状態が終了するか、括られているのであれば、絡みつかれたままだが移動が妨げられなくなる。
目が眩んだ状態:目が眩んだ状態の呪文の使い手は、[闇]の補足説明をもつ呪文のエネルギーのいくらかを、目が眩んだ状態を打ち消す試みのために使用できる。目が眩んだ状態の呪文の使い手は[闇]の補足説明をもつ呪文を発動するとき、20%の確率で呪文が失敗することも選べる。この発動に成功すると、呪文は目が眩んだ状態を終了させもする。
聴覚喪失状態:聴覚喪失状態の呪文の使い手は、[音波]の補足説明をもつ呪文のエネルギーのいくらかを、聴覚喪失状態を打ち消す試みのために使用できる。聴覚喪失状態の呪文の使い手は[音波]の補足説明をもつ呪文を発動するとき、20%の確率で呪文が失敗することも選べる。この発動に成功すると、呪文は聴覚喪失状態を終了させもする。
満身創痍状態:満身創痍状態の呪文の使い手は、召喚術(治癒)呪文を強化するために、差し迫る死の恐怖を呪文に打ち込むことができる。呪文の使い手は満身創痍状態に足るダメージを受けている間、1日に1回、召喚術(治癒)呪文を発動するにあたり、本来の術者レベルよりも2レベル高い術者レベルを持っているものとして扱われることを選択できる。呪文の使い手は実際に呪文を発動せねばならず、この能力で魔法のアイテムによる呪文発動の術者レベルを引き上げることはできない。
組みつき状態:組みつき状態でいる間、呪文の使い手は接触攻撃呪文の発動時に20%の失敗確率を受けることを選択できる。呪文発動に成功すると、術者は組みついているクリーチャーに対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。
吐き気がする状態:吐き気がする状態の呪文の使い手は、召喚術(治癒)呪文のエネルギーのいくらかを、吐き気がする状態を打ち消す試みのために使用できる。吐き気がする状態の呪文の使い手は召喚術(治癒)呪文を発動するとき、20%の確率で呪文が失敗することも選べる。この発動に成功すると、呪文は吐き気がする状態を終了させもする。
毒を受けている、あるいは不調状態:1日に1回、毒を受けているか不調状態でいる間、呪文の使い手は[毒]あるいは不調状態効果を起こす単一の呪文の発動時に20%の失敗確率を受けることができる。呪文発動に成功すると、この呪文によるいかなる[毒]あるいは不調状態効果の難易度も+2増加する。
怯え状態:怯え状態でいる間、呪文の使い手は1日に1回、自身の発動する[恐怖]の補足説明をもつ単一の呪文の力を増すために、自身の恐怖を解き放つことができる。これにより、その呪文の難易度は1増加する。呪文の使い手は実際に呪文を発動せねばならず、この能力で魔法のアイテムによる呪文発動の術者レベル(訳注:難易度の誤り)を引き上げることはできない。
よろめき状態:1日に1回、よろめき状態でいる間、呪文の使い手は標準あるいは即行アクションで発動する単一の呪文の発動時に20%の失敗確率を受けることができる。呪文発動に成功すると、呪文発動の直後に移動アクションを行うことができる。