ほとんどの呪文の使い手は自身のキャリアの大半を既存の呪文を学び修めることに費やすが、別の道もある。ある者は伝統的な呪文の使い手が魔法を為すために行なう機械的暗記作業に背を向け、代わりに呪文そのものの奥にある力、即ち魔法の根源要素を解ち放つ。そのような呪文の使い手は言霊を学び、それらを通じて類例なき大いなる魔法の力を形成し、振るい、制御する術を身につける。他のあらゆる呪文の使い手とおおむね同じように機能するとはいえ、言霊呪文の使い手(あるいは言霊術士、彼ら自身はそう自称する傾向がある)が言霊呪文と呼ぶ呪文を準備し発動する方法には大きな汎用性がある。各言霊術士は多くの言霊を学び、いくつかの制限の下で、自らの夢想する効果を引き起こすために言霊を結合できる。
言霊はパスファインダー・ロールプレイング・ゲームの選択的サブシステムである。言霊術士を作成する前に、GMにキャンペーンへの導入が許可されるか確認すること。警告:言霊呪文発動は分析麻痺の発作を起こすプレイヤーには手に余るサブシステムであり、ゲームプレイを滞らせるかもしれない。しかし有能な手にかかれば、このシステムはそれ単体での、あるいは標準のパスファインダーの呪文の使い手との呪文発動に際し、自由を愛するものに面白く柔軟的なプレイ経験をもたらす。
キャラクターはクラスから呪文発動能力を得るときに、言霊術士、あるいはそのクラスの通常の呪文の使い手のいずれになるかを決定せねばならない。これは一度決定されると変更できない。その呪文発動クラスの言霊術士となることを選んだキャラクターは、そのクラスの呪文を使用できないが(しかし、いくつかの特技は言霊術士に限られた数の呪文を学び使用することを許す; 言霊術士特技を参照)、そのクラスの本来の呪文の使い手と同様に、呪文解放型アイテムおよび呪文完成型アイテムを利用することができる。
言霊は古代に用いられた魔法の原初の形態を表している。そのため今日では言霊システムの使用は稀で、その熟練者は難解な伝承の精通者である傾向にある。言霊はすべての現代魔法に通じるシステムの根幹を構成する。強力ではあるものの、このシステムは現代の魔法よりもいくつかの点でより原始的である。融通が効くが、現代の呪文の洗練さを欠いている、このシステムは言霊術士に以前は決してできなかった方法で魔法を形成することを許し、同時に元来の呪文の使い手が修得する信じがたい特定の効果と同種のものを生み出すことを防ぐ。ほとんどの魔法協会と学習センターが、言霊を古風な芸術のように扱い、他の歴史的な事柄と共に研究して、しかし実際には練習しないことは驚くに値しない。言霊の伝承を調査する者は、しばしば今や自分たちだけが知るのかもしれない、失われた古代の技を発見する。力はそこに宿っている、しかし各々の言霊術士はそれが孤立していることに気づかねばならない。
君がGMであり、限られた方法でキャンペーンに言霊呪文を紹介したいのならば、言霊呪文ポーション、スクロール、あるいはワンドの貯蔵庫をPCに提供することを考えられたい。これは言霊呪文を試すことのできる具体的かつ限定的なセットをPCに与え、なおかつシステム全体の学習をすぐには必要としない。プレイヤーが特定の組み合わせを参照できるように、アイテムに結合された言霊のルールのコピーを提供すると、役立つことだろう。例えば、PCがエルダー・キュアのスクロールを発見したなら、そのスクロールがどのように働くかが正確にわかるよう、プレイヤーにエルダー・キュアの言霊のテキストを与える。
いったんプレイヤーがシステムに慣れ親しんで、他の言霊呪文の使用を試したがると、キャンペーンの既存の呪文の使い手PCに《実験的な呪文の使い手》特技の取得を許可するか、あるいはプレイヤーが新たな言霊術士キャラクターを始めてもよい。
言霊術士にとって、新しい言霊を学ぶことは現実の秘密の法則を解き明かすのと同義である。それぞれの言霊は言霊術士の制御下に置かれた新しい力の要素を意味する。言霊は3つに分類される:目標語、効果語、そして修正語である。言霊術士は言霊呪文として知られている力強く多様な呪言を発動するために3つの言霊を配置する。ほとんどの言霊術士が何かに取りつかれたかのように理解できる限り多くの言霊を学ぶことは、驚くに値しない。
クラスに関わらず、各言霊術士はすべての目標語──レベルによる制限のためまだ使用できないものさえ──と、ブーストの修正語を修得した状態でプレイを開始する。これらの言霊は多くの基礎訓練の一部として学習される。呪文書、処方書、あるいは使い魔を使用する秘術呪文の術者は、これらの言霊には記述するコストがなく、それぞれ1ページを消費する。
基本的な割り当てに加え、各言霊術士は1レベル時点で通常修得することが許されていたであろう呪文数と同数の効果および修正語も修得した状態でプレイを開始し、通常の割合で追加の言霊を獲得する。言霊術士は自身のクラスに関する言霊リストから効果語を選択する。各クラスには以下のガイドラインを適用する。
アルケミスト:アルケミストは2+【知力】修正値に等しい個数の1レベルの効果語または修正語を修得した状態でプレイを開始する。アルケミストは新たなアルケミスト・レベルを獲得するたびに、1つの新しい効果または修正語を処方書に追加する。アルケミストは通常、同レベルの呪文を追加するのに等しい時間とコストによって、新しい言霊を学んで自身の処方書に加えることができる。
バード、インクィジター、オラクル、ソーサラー、およびサモナー:これらの呪文の使い手はそれぞれの修得呪文数の表に示されているのと同数の 効果または修正語を修得した状態でプレイを開始する。それぞれのクラス・レベルを獲得するか、それぞれのクラスの呪文発動のレベルを得るたびに、同じ表に基づいて新しい効果または修正語を獲得する。目標語を交換することはできないことを除き、呪文を交換するのと同じルールを使用して、言霊を交換することができる。
クレリック、ドルイド、レンジャー、およびパラディン:これらの術者はそれぞれのクラスに属するすべての効果および修正語を修得しており、自身の呪文スロットに使用できるいかなる言霊も言霊呪文に配置することができる。
メイガス、ウィッチ、およびウィザード:メイガス、ウィッチ、そしてウィザードはそれぞれのクラスのすべての0レベルの効果および修正語と、3+【知力】修正値に等しい個数の1レベルの効果または修正語を修得した状態でプレイを開始する。ウィッチ、ウィザード、あるいはメイガスはそれぞれの新たなクラス・レベルを獲得するたびに、自身の発動できるいずれかのレベルの2つの追加の言霊を自身の呪文書または使い魔に加える。これらの呪文の使い手は同レベルの呪文を追加するのに等しい時間とコストで、新しい効果または修正語を自身の呪文書または使い魔に加えることができる。
いくつかのクラスには他とはやや異なるこれらのルールが作用する。ソーサラーの血脈からクレリックの領域まで、ここではそれぞれ固有のルールについて論じる。
アルケミスト:アルケミストはパーソナルおよびセレクテッドの目標語のみ学習できる。アルケミストは通常通り言霊を使ってエキスを作成するが、飲用した者のみを目標にできる(多くの場合、アルケミスト本人となる)。
クレリック:クレリックは通常通り領域を選択し、領域呪文スロットを選択した領域からの1つの領域呪文を準備するのに使用しなければならない。クレリックはこのスロットに言霊呪文を準備することはできない。クレリックは治癒または致傷群の効果語を結合した言霊呪文を任意発動できるが、この呪文にはそれ以外の効果語を結合できない。クレリックは発動しようとする呪文レベルに等しいレベルの、予め配置して準備していた言霊呪文(領域呪文ではなく)を犠牲にして、このような言霊呪文を発動できる。善のクレリックは治癒群の効果語を含む言霊呪文のみ任意発動でき、悪のクレリックは致傷群の効果語を含む言霊呪文のみ任意発動できる。中立のクレリックは治癒あるいは致傷群のどちらの効果語を含む言霊呪文を発動するかを選択できるが、一度選択すると他方の効果語を含む呪文を任意発動することはできず、またこの選択は変更できない。
ドルイド:“自然との絆”クラス能力で領域を選択したドルイドは選択した領域の領域呪文リストから領域呪文スロットに呪文を準備せねばならない。ドルイドは招来の言霊を結合した言霊呪文を任意発動できるが、この呪文には他の効果語を結合できない。ドルイドは発動を望む招来効果を含む言霊呪文のレベルに等しいレベルの、予め配置して準備した言霊呪文(領域呪文ではなく)を犠牲にして、このような呪文を発動できる。
オラクルおよびソーサラー:オラクルおよびソーサラーの言霊術士は自身の神秘または血脈から、正に対応する呪文発動をするようにそれぞれのボーナス呪文を得て、言霊呪文に加えてこれらの呪文を適切な呪文スロットを使用して発動することができる。オラクルおよびソーサラーはそれぞれの通常の成長に従い効果語を新しい効果語と交換できるが、神秘や血脈から得たボーナス呪文を交換することはできない。
ウィッチ:ウィッチは通常通り守護者呪文を受け取り、呪文スロットを使用して準備することができる。これらの呪文はウィッチの目標語や効果語と同じようにウィッチの使い魔に蓄えられている。
ウィザード:秘術系統に属するウィザードは、選択した系統の言霊呪文を準備するための同レベルの追加の呪文スロットが得られる。このような言霊呪文には選択した系統の効果語しか結合できない。ウィザードはまた二つの異なる系統を対立系統として選択せねばならず、これらの系統の効果語を使用した言霊呪文を準備することはできるが、このような呪文は通常はスロットを2つ占有する。
マルチクラス:マルチクラスの言霊術士はクラス毎に言霊を分けて保たねばならない。ウィザード/クレリックのマルチクラスはクレリックの言霊をウィザード呪文に使用できないし、逆も然りである。
言霊術士はそのクラスの他のキャラクターと同様に呪文スロットを保持しているが、異なる使い方をする。各呪文スロットは言霊呪文を保持するか、あるいはいくつかの言霊を1つに配置することを許す。言霊術士の言霊呪文のレベルは言霊の配置により決定される。それぞれの言霊は自身に関するレベルと、いくつかの場合においては、言霊呪文中に配置しうる他の言霊についての制限を持つ。また、言霊のレベルはその言霊を言霊呪文に配置するのに使用できる呪文スロットの最小レベルに等しい。
言霊術士が呪文を準備するクラスであるなら、呪文を準備するときに利用可能な呪文スロットごとに占有する言霊の正確な組み合わせ、および言霊呪文をなす配置を決定し、言霊呪文に言霊を配置せねばならない。言霊術士がソーサラーのような呪文を任意発動するクラスであるなら、発動時に言霊呪文を配置できる。
各言霊呪文は、1つの目標語、1以上の効果語、そして場合によりいくつかの修正語を含む、2以上の言霊の配置により構成される。
目標語:この言霊は言霊呪文の有効距離、言霊呪文がどのように現れるか、そして何に影響を与えられるかを決定する。言霊呪文が効果範囲を持つ場合、目標語の定義する範囲内の全てのクリーチャーに影響を与える。目標を持つ場合、言霊の説明にある特定の目標に影響を与える。1つの言霊呪文は目標語を1つだけ持ち得る。
効果語:効果語は言霊呪文の発動時の効果を決定する。また、言霊呪文の系統と持続時間、セーヴィング・スロー、および呪文抵抗もあれば決定する。1つの言霊呪文は魔法の異なる系統のものさえ含め複数の効果語を持ち得る。この場合には、呪文はどちらの系統でもあると見なす。1つの言霊呪文に結合する効果語の最大レベルは使用する呪文スロットのレベルと言霊呪文に配置する言霊の数に依存し、以下の表:効果語の組み合わせに示されている。例えば、5レベル言霊呪文は1つの5レベル効果語、2つの3レベル効果語、あるいは3つの2レベル効果語を含むことができる。また、その代わりに、言霊呪文は1つの4レベル効果語と1つの2レベル効果語、あるいは1つの3レベル効果語と2つの1レベル効果語を含むことができる。
効果語は同種の言霊の群に分類される。1つの言霊呪文は一般に同じ群から1つより多くの効果語を含むことができないが、例外もある。言霊呪文は検知群から1以上の効果語を含むことができるが、検知群の効果語とそれ以外の群の効果語を1つの言霊呪文に同居させることはできない。
修正語:この言霊はしばしば持続時間、有効距離、あるいは構成要素のいずれかの増加といった形で、なんらかの方法により言霊呪文を修正する。また、特定の目標あるいは効果語を増強し、言霊呪文の総体的な効果を変更する。他の言霊と異なり、言霊術士は1日に言霊呪文クラスの術者レベルの半分(最低1)に等しい数の修正語しか使用できない。言霊呪文は修正語を含んでいる必要はない。
言霊呪文は各目標語および各効果語がそれぞれに1つの修正語からのみ修正される限り、複数の修正語を配置できる。例えば、2つの効果語の配置された言霊呪文は、それぞれの修正語が異なる目標語および効果語を修正する限り、最大で3つの修正語をもつことができる。
1つの効果語 |
2つの効果語 |
3つの効果語 | |
---|---|---|---|
0 |
0 |
― |
― |
1 |
1 |
― |
― |
2 |
2 |
0/0 |
― |
3 |
3 |
1/1 または 2/0 |
0/0/0 |
4 |
4 |
2/2 または 3/1 |
1/1/1 または 2/0/0 |
5 |
5 |
3/3 または 4/2 |
2/2/2 または 3/1/1 |
6 |
6 |
4/4 または 5/3 |
3/3/3 または 4/2/2 |
7 |
7 |
5/5 または 6/4 |
4/4/4 または 5/3/3 |
8 |
8 |
6/6 または 7/5 |
5/5/5 または 6/4/4 |
9 |
9 |
7/7 または 8/5 |
6/6/6 または 7/5/5 |
言霊呪文の発動は標準の呪文の発動と同様である。各言霊呪文は物質、音声、および動作構成要素を帯びる。信仰呪文の使い手がこのシステムを使用するには物質構成要素の代わりに信仰焦点具の準備が必要である。特に記述のない限り、物質構成要素は呪文構成要素ポーチから簡単に見つけることができる。
言霊呪文は発動に1標準アクションを使用し、術者が言霊呪文を防御的発動しない限り、通常は機会攻撃を誘発する。言霊呪文を防御的発動するための難易度は同レベルの呪文と同じである。
言霊呪文によって生じる各種のセーヴィング・スローの難易度はそのレベルの他の呪文と同じ方法で計算する。言霊術士は言霊呪文の難易度を決定するにあたり、そのクラスの本来の呪文の使い手と同じ能力修正値を使用する。
言霊呪文の発動は本来の呪文の発動とほとんど同じである。言霊呪文は解呪または妨害でき、ちょうど他の呪文のように、言霊術士が通常どおりに精神集中判定も必要として防御的発動をしない限り、1回の機会攻撃を誘発して発動する。
言霊呪文の発動には大きな違いが2つある:呪文相殺および系統。
言霊呪文の呪文相殺:言霊術士が他の言霊呪文の相殺を試みる場合、通常は言霊呪文が発動されようとするときにその言霊呪文を識別する〈呪文学〉判定を行わねばならず、それから相殺のために同一の言霊呪文を発動する。これは対抗側の言霊術士がその言霊呪文のすべての効果語を修得しており、同一の言霊呪文を準備しているか、同レベルかそれより大きなレベルの利用可能な呪文スロットを保持していなければならないことを意味する。言霊呪文が複数の効果語を結合しており、しかし対抗側の術者は1つの言霊しか修得していない場合(あるいは、1つの効果語を含む言霊呪文しか準備していなかった場合)、その術者はまだ言霊呪文の相殺を試みることができるが、これはディスペル・マジックを使用したかのように働き、成功は保証されない。対抗側の術者は言霊呪文を相殺するための解呪判定を行わねばならない。術者は相殺のために少なくとも1つの言霊を結合した、同じかより高いレベルの言霊呪文を費やさねばならない。
言霊術士が通常の呪文の使い手の呪文の相殺を試みる場合、発動した呪文の系統を識別する〈呪文学〉判定を行わねばならない。言霊術士は発動した呪文と同じかより高いレベルの、少なくとも1つのその呪文と同じ系統の効果語を結合した、いずれかの言霊呪文を使用して呪文を相殺できる。これはディスペル・マジックによる呪文相殺の試みのように働き、言霊術士は呪文相殺のための解呪判定をしなければならない。呪文の使い手が言霊呪文の相殺を試みる場合、術者は発動した言霊呪文に含まれる1以上の効果語と同じ系統の、同じかより高いレベルの呪文を使用せねばならない。これもまたディスペル・マジックによる相殺の試みと同様であり、呪文の使い手は言霊呪文を相殺するための解呪判定を行わねばならない。
言霊呪文の系統:言霊呪文が1つより多くの効果語を持つ場合、1つより多くの系統に基づく効果の利益(《呪文熟練》のような)を得ることは決してないが、その呪文は複数の系統に属することができる。系統に基づく複数のペナルティは被る:例えば、目標が死霊術と幻術呪文に対するセーヴィング・スローへのボーナスを持つ場合、言霊呪文が両方の系統であるなら、そのキャラクターはいずれのボーナスも加えるだろう。
言霊呪文のセーヴィング・スロー:言霊呪文のセーヴィング・スローの種類は、用いられた、セーヴィング・スローを許す最も高いレベルの効果語により決定される。セーヴに成功した場合は両方の効果語に適用するが、言霊ごとの結果はそれぞれの言霊に基づいて異なることができる。セーヴに失敗した場合、目標は両方の効果語からすべての効果を受ける。セーヴ難易度は10+言霊呪文のレベル(効果語のレベルではなく)+言霊術士の呪文発動能力の能力修正値(ウィザードであれば【知力】、クレリック、ドルイド、およびレンジャーであれば【判断力】、バード、パラディン、ソーサラーであれば【魅力】)。例えば、1つの(反応・半減)である2レベル効果語と1つ(意志・無効)である4レベル効果語を結合した5レベル言霊呪文であれば、目標は15+術者の能力修正値を難易度とする意志セーヴを行う。セーヴに成功した場合、目標は2レベルの言霊の通常の効果の半分を受け、4レベルの言霊を無効にする。セーヴに失敗した場合、目標は両方の効果語からすべての効果を受ける。
言霊呪文と呪文抵抗:言霊呪文に1つより多くの効果語を使用しており、それらの言霊のいくつかが呪文抵抗を許す場合、その抵抗は言霊呪文の全ての効果語に適用する。言霊呪文はすべての効果語が呪文抵抗を無視する場合にのみ、呪文抵抗を無視する。
複数の効果語とダメージ:1つより多くの効果語によって言霊呪文がダメージを与える場合、言霊呪文の与えうるダメージのダイスの合計数は、言霊呪文の術者レベルを超えることはできない。術者はダイスの総数が言霊術士レベルを超えておらず、かつ割り当てたダイス数が特定の効果語の最大数を超えていない限り、ダイスが結合したうちのいずれの効果語に属するかを決定できる。
複数の効果語と持続時間:言霊呪文が1つより多くの効果語を持つ場合、すべての効果語の持続時間のうち最も短いものを、すべての効果語に使用する。
言霊システムを用いて魔法のアイテムを作成することは可能だが、術者は呪文の必要条件のいずれにも合致せず、この手順は魔法のアイテムを作成する通常の方法よりも困難になる。適切な呪文を修得していないことに関連する全てのペナルティを避けるため、言霊術士は作成用件の一部として、適切な呪文を準備していたかのように、アイテムに必要な呪文ごとに一致するレベルの呪文スロットを犠牲にせねばならない。必要な呪文は術者のクラス呪文リストに記載されていなければならない。最後に、アイテム作成に必要な判定の難易度は、必要条件に記載されている、言霊術士がこの方法で代替せねばならない呪文ごとに+2増加する。
言霊術士は言霊呪文を使用したポーション、スクロール、およびワンドを作成できる。ポーションは通常のポーションのルールに従い、3レベルより高い言霊呪文を封入できない。言霊呪文はセレクテッドの目標語を使用せねばならない──ポーションを飲んだ者を目標とする。ポーションは修正語を使用できない。
ワンドは4レベルより高い言霊呪文を封入できない。スクロールはいかなるレベルの言霊呪文も保持できる。スクロールおよびワンドはブースト以外の修正語を使用できず、それにより言霊呪文中の効果語のレベルを増加する場合のみブーストを使用できることに注意すること。
これらのルールの説明を助けるため、以下のセクションには言霊システムを使用して作ることのできるいくつかのサンプル言霊呪文を含めた。
バースト・ファイアー・ブラスト(メイガス3、ウィザード/ソーサラー3):この単純な言霊呪文は、半径10フィートの爆発内にいるあらゆるものに、術者レベルにつき1d6ポイント(最大10d6)の[火炎]ダメージを与える。言霊術士が目標語をブーストする場合、この言霊呪文はファイアーボールにより密接に近くなり、半径20フィートの爆発内にダメージを与える。目標はダメージを半減するための反応セーヴィング・スローを行うことができる。
セレクテッド・アイス・ブラスト・ライフ・リーチ(メイガス6、ウィザード/ソーサラー6、ウィッチ6):この言霊呪文は目標に10d6ポイントの[氷雪]ダメージと1d4の一時的な負のレベルを与え、さらに1d4ラウンドの間、絡みつかれた状態にする。目標は頑健セーヴか反応セーヴのうち術者の選択したいずれかの方を行う。セーヴに成功した場合、目標は[氷雪]ダメージを半減し、負のレベルを受けず、絡みつかれた状態にもならない。ソーサラー、ウィッチ、あるいはウィザードはこの呪文で複数の目標に影響を与えるために、目標語をブーストできるが、そうすると呪文の総合レベルは9レベルになる。
セレクテッド・アラインメント・シールド・エンハンス・フォーム・グレイヴ・ベイン(クレリック6):この言霊呪文は目標にいくつかのボーナスを与える。第一に、目標は1種類の属性(言霊術士が選ぶ)のクリーチャーから攻撃を受けたときに、アーマー・クラスとセーヴィング・スローに+2のボーナスを得る。言霊呪文はまた、【筋力】、【敏捷力】、あるいは【耐久力】(言霊術士が選ぶ)に+4強化ボーナスを与える。最後に、言霊呪文は[即死]呪文および魔法の[即死]効果に対するセーヴィング・スローに追加の+4清浄ボーナスを与える; 対象はこの言霊呪文の効果中は負のレベルを受けず、ヒット・ポイントが0を下回った場合は目標は自動的に容態安定化する。これらの効果のすべては、最も効果時間の短い効果語の持続時間である、術者レベルにつき1ラウンド続く。アラインメント・シールドはたった1レベルであり、全体の呪文レベルを変えることなく2レベル効果語と置き換えることができる点に注意されたい。
《呪文威力強化》や《呪文高速化》のような呪文修正特技は、本来の呪文に対してと同様に言霊呪文に働く。呪文レベルの上昇は、呪文がより高いレベルの呪文スロットを使用することを意味するが、影響を受けた呪文の言霊の配置は保たれる。例えば、《呪文威力強化》特技に修正された3レベル言霊呪文は5レベル呪文スロットを使用するが、3レベルを超えるレベルの言霊を結合することはできない。
加えて、言霊術士は発動の才能を増大させるため以下の特技を取得できる。
呪文を発動するにも関わらず、君は言霊発動の技も多少かじっている。
利益:君に呪文発動能力を与えているクラスを1つ選択する。君は今やそのクラスのスロットを限られた数の言霊呪文の発動に使用できる。君の呪文リストおよび呪文書、使い魔、あるいは修得呪文のリストに全ての目標語を加える。加えて、ブーストの修正語と選択したクラスの発動可能ないずれかのレベルから1つの効果語を加える。
特殊:君はこの特技を複数回修得できる。この特技を選択した追加の回数ごとに、君の呪文書、使い魔、あるいは修得呪文のリストに2つの効果あるいは修正語を加える。
君は新たな言霊を暴いた。
利益:君の修得した言霊のリストに、君のクラスの言霊リストから1つの効果語を加える。これは君がそのクラスの各レベルに通常与えられる言霊に追加される。君は代わりに、君の修得した言霊のリストに、君のクラスの言霊リストから2つの言霊を加えてもよいが、その場合に得られる言霊はどちらも君がそのクラスから発動できる言霊呪文の最高レベルより少なくとも1レベル低くなければならない。この選択は一度なされると変更できない。
特殊:君はこの特技を、バード、オラクル、あるいはソーサラーのように、限られた修得言霊リストに頼る呪文発動クラスのレベルを持っている場合にのみ取得できる。君はこの特技を複数回取得できる。
君は修正語を使用して言霊発動能力を強化することに長けている。
利益:君は1日に追加で3回修正語を使用できる。加えて、1つの追加の修正語を選択し、君の呪文書、使い魔、あるいは修得呪文のリストにその修正語を加える。