全てのファンタジー作品に登場するキャラクター達の冒険は、彼らが大人になるまで待ってくれるとは限らない。例えば、アリア・スターク、アブホーセンのサブリエル、ペベンシー兄弟、ハリー・ポッターなど。ファンタジー世界における危険は、彼らの年齢を区別したりはしない。幼い頃のヘラクレスもまた、ヘラによって揺り籠に放たれた蛇を絞め殺さなければならなかった。彼らはしばしば侮られる存在だが、そのような若者達が早々に犠牲者になるとは限らない。基本として、新しく作られたキャラクターは大人であり、その年齢は無作為に割り当てられるか、少なくとも開始時年齢ランダム決定表の影響を受ける。しかしここでは、伝説の始まりよりも以前の、若き天才を演じるためのルールを詳述する。
若年キャラクターはコア・ルールブックで示されている年齢段階よりも若い、通常のキャラクターだ。この年齢段階のキャラクターは有能で知的であり、好奇心が強く優秀だが、まだ経験が浅く世間知らずである。彼らは偉大な出発点に居るが、まだそこへ一歩届いていない。この若々しさは能力値修正、利用できるクラスの制限、遅い特徴の取得の三つの特徴によって表される。
能力値修正:彼女が中年、老年、古希の年齢に達して能力値修正を受けるのと同じように、若年キャラクターは新たに若年期の年齢段階に属する。若年期の力は身体的能力値を変化させるが、若干の利益もある。【敏捷力】+2、【筋力】【耐久力】【判断力】-2。(若年キャラクターの経験不足やぎこちなさは、【知力】や【魅力】へのペナルティよりも、1レベル時の技能ランクによって表される。)
若年キャラクターが成年に達した時点で、これらの能力値修正は失われる。
利用できるクラス:若年キャラクターは、大人のキャラクターと同じようにクラスを得る事はできない。彼らはまだ高度な戦闘技術、秘術、信仰やその他の技を学ぶには至っていない。若年キャラクターはそこへ至る以前の従者であり、または見習い、侍者、あるいは学生である。そのため、君はこの年齢段階にいる間NPCクラスしか選べず、君の関心と社会的背景に従ってアデプト、アリストクラート、ウォリアー、エキスパート、あるいはコモナーのクラスからプレイを開始し成長する。しかし成年に達した時点ですぐに、君はそれらのNPCクラス・レベルを任意の基本クラスとして再訓練することができる。
特徴:キャラクター特徴は冒険家になる前の君のキャラクターの背景を表すものなので、GMは君が本来2つ得る事が許される特徴を1レベルの時点では1つに制限する場合がある。君のキャラクターが成年に達した時、君は2つ目の特徴を選んで得る。このオプションは、君のキャンペーンで起きた出来事によって、2つ目の特徴の選択に高い柔軟性を持たせ、より貴重にするためのものだ。君のキャラクターが《追加特徴》特技を得ている場合のみ、1レベル時点で新たな特徴を得られる事に留意すべきだ。
若年 1 |
成年 2 | |||
---|---|---|---|---|
8歳 |
+1d6 |
+2d3 |
15歳 | |
20歳 |
+2d6 |
+4d4 |
40歳 | |
55歳 |
+4d6 |
+6d6 |
110歳 | |
20歳 |
+4d4 |
+3d6 |
40歳 | |
10歳 |
+1d4 |
+1d6 |
20歳 | |
7歳 |
+1d6 |
+2d3 |
14歳 | |
10歳 |
+1d6 |
+2d4 |
20歳 |
高い年齢段階とは異なり、若年キャラクターが成年期へと成長する一般的な方法は二つある。
年齢:若年キャラクターが成年期に達する最も単純な方法は、歳を取る事である。この表は、基本種族が成年期に達する時期を含む。キャラクターがその年齢に達した時、若年期に関連する能力値修正を失い、NPCクラスを再訓練する。君がCore Rulebookからの種族の1つをプレイしていないのなら、君のキャラクターの種族の寿命に最も近い寿命の種族を探し、君のGMと共に相談しながら若年期、成年期、中年期、それ以降の妥当な年齢基準を作成すること。
報酬:キャラクターが経験を積むペースは、キャンペーンによって大きな差がある。一つのキャンペーンの中で、あるキャラクターはゲーム内の一ヶ月に複数のレベルを得るかもしれないし、別のキャラクターは同じレベルのまま数年を過ごすかもしれない。成年期が純粋にキャンペーン中の時間の流れと結び付いている場合、若年キャラクターは様々な冒険の経験を積むかもしれないが、選択できるクラスはNPCクラスのみに制限される。
GMは若年キャラクターに対し、特定の目標を達成した後で成年期に移る事を許可しても構わない。師匠の技術を凌ぐ、強力な大人の敵を破る、君の家に対する脅威を解決する、長い旅路を完了させるといった事により、潜在能力を高めるのだ。市販のモジュールあるいはそれと同程度の長さの冒険1つは、若年キャラクターを大人に成長させる期間として十分といえる。またはNPCクラスが特定のレベルに到達した時(3または5レベルくらい)としても良いだろう。GMが君のキャラクターに、まだ早い時期でも成年期に進んでもよいとするならば、君はその利益を適応してもよい。君の能力値はNPCクラス・レベルを再訓練するまで、次の年齢段階の修正を反映できない。
君は、君のPCの人生に対して深みを持たせるためや、今まで試した事のないコンセプトのために若年キャラクターを選択するかもしれない。GMは、若者向けフィクションやテレビゲーム、コミックのスーパーヒーロー・チームといった様々な媒体での冒険を模倣するために、キャンペーンを若年期から開始するかもしれない。
君が若年キャラクターを扱う事について考えているならば、以下の点を考慮してほしい。GMは計画するにあたって、これらの主題について意識し、対処方法を持っておく必要がある。
ロールプレイング:現代は有能な若者であっても子供扱いする傾向にあるが、中世の社会では子供が大人の仕事と責任を持てる事が証明されるとすぐに、大人と同じように扱った。NPC達は若いPC達の様々な身体的欠陥を嘲り笑うだろうが、彼らを成年の冒険者と見なして扱うだろう。
パーティ内での差:NPCクラスは、PCクラスほど強くはない。したがって、一部のプレイヤーが若年キャラクターで、その他が大人のキャラクターならば、大人達はより強い上に他の利点も持っている。例え君が力不足なキャラクターを演じる事に積極的だったとしても、君のキャラクターの相対的な弱さが潜在的に他のプレイヤーを危うくするならば、彼らは弱いキャラクターを連れ歩く事を良しとしないかもしれない。若年キャラクターを作る前に、全てのプレイヤーが若年キャラクターを受け容れる気があるかを確認しておくこと。
子供を危険にさらすこと:大人達は罠、怪物や致命的な魔法に立ち向かうことを厭わないが、それらの危険は子供達を脅かすものとしても考えられる。ファンタジー世界は若年キャラクターに、英雄になる可能性を証明する機会を与えてくれるが、全てのプレイヤーが子供が危険な状態にさらす事に対して、不安を持たないとは限らない。彼らを君のゲームに招く前に、若年キャラクターがキャンペーンのプレイヤーの楽しみを減じてしまわないかどうか、あらかじめグループ内で話し合っておくべきだ。
弱さ:若いPCは、標準的なPCよりも弱い。市販のシナリオは、PCが能力値、技能や柔軟性など、基本クラスの能力が完全な状態で発揮されている事を元に作られており、若年キャラクターにとって、それは非常に致命的である。クイック・ルールとして、NPCクラスのキャラクターの平均レベルは、同じレベルのPCクラスのキャラクターよりも2低いものとして扱う。