いかなる軍隊においても司令官がいる。それは冷徹なる心を持った平均的な傭兵や戦傷を負った古強者、年老いた熟練教官といった者たちを凌ぐ。彼らは武器の扱いに熟達しているわけではないが、他者を鼓舞し導く能力に長けている。バトル・ヘラルドはまさにそのような司令官として熟達した戦士である。しかし指導力という芸術に磨きをかけ、それらの剣を勝利に導くための手段としていつでも使えるように、鋭き刃として維持し続ける者たちなのだ。バトル・ヘラルドは勇気、技術、武勇、忍耐の蓄積から引き出す。それらの蓄積は仲間の中にあるが決して自らが気付く類のものではなく、バトル・ヘラルドの(しばしばボロボロになる)栄光ある戦旗に導かれて、仲間は勝利の数を高める方法が自らの内にあることに気付かされるのである。
ヒット・ダイス:d10。
バトル・ヘラルドになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
基本攻撃ボーナス:+4。
特殊:“挑戦”及び“勇気鼓舞の呪芸”クラス特徴。
技能:〈威圧〉5ランク、〈芸能:朗誦〉5ランク、〈交渉〉5ランク、〈職能:軍人〉2ランク。
バトル・ヘラルドのクラス特徴は以下の通り。〈威圧〉【魅】、〈騎乗〉【敏】、〈交渉〉【魅】、〈職能〉【判】、〈真意看破〉【判】、〈製作〉【知】、〈知覚〉【判】、〈知識:貴族〉【知】、〈知識:工学〉【知】、〈知識:地域〉【知】、〈知識:歴史〉【知】、〈治療〉【判】、〈動物使い〉【魅】、〈はったり〉【魅】。
レベル毎の技能ランク:4+【知力】修正値。
バトル・ヘラルド上級クラスのクラス特徴は以下の通り。
武器および防具の習熟:バトル・ヘラルドになったとしても、武器もしくは防具の習熟を得ることはない。
鼓舞の指令(変則)/Inspiring Command:バトル・ヘラルドは他者を勝利に導き、戦闘において自らとその仲間を支援する命令を発することで、自らの鋭い戦術的洞察力と決然とした判断力を発揮する。
バトル・ヘラルドは“鼓舞の指令”を使用することで(“バードの呪芸”能力と同様の)勇気鼓舞を行なえる; バードとバトル・ヘラルドのレベルは勇気鼓舞のボーナスを計算する際に累積して考える。
1レベル、および以降2レベルごとに、バトル・ヘラルドは1つの指令を選択して修得する。特記ない限り、これらの能力はバトル・ヘラルドの“鼓舞の指令”のボーナスに等しい技量ボーナスを、自身を見ることができ声を聞くことができる60フィート以内の全ての仲間とバトル・ヘラルド自身に提供する。アスタリスク(*)の付いた指令は同じ間合いを持つものの、仲間のうち特定の何人かにのみ効果を及ぼす(バトル・ヘラルドを含めることもできる)。
“鼓舞の指令”は1回の移動アクションである。5レベルにおいて、1回の即行アクションで行えるようになる。10レベルの時点で、割り込みアクションで行えるようになる。“鼓舞の指令”の維持は妨害することのできない1回のフリー・アクションである。しかしバトル・ヘラルドが殺されたりその他(幻惑状態、気絶状態、朦朧状態に陥るといった)アクションが妨げられたりすると直ちにこの効果は終了する。バトル・ヘラルドは一度に1つの指令しか使用することはできない。バトル・ヘラルドは1日に4+バトル・ヘラルドの【魅力】修正値に等しいラウンドだけこの能力を使用できる。この使用ラウンド数は1レベルを超えるレベルごとに2ラウンドずつ増加する。バトル・ヘラルドは“鼓舞の指令”のために“バードの呪芸”のラウンド数を使用してもよいし、その逆を行ってもよい。“鼓舞の指令”は[言語依存]、[精神作用]効果である。バトル・ヘラルドは“鼓舞の指令”と“バードの呪芸”を同時に維持することはできない(このことは“持続する指令”や《持続する呪芸》特技のような、バトル・ヘラルドが“鼓舞の指令”や“バードの呪芸”の維持をやめたあとにそれを持続させる能力を妨げはしない)。
《統率力》強化(変則):《統率力》特技を有するバトル・ヘラルドは、自身の統率力値に自身の“鼓舞の指令”のボーナスを加える。
響き渡る声(変則)/Voice of Authority:演説ができないような場合であっても、バトル・ヘラルドは戦場の騒音を上回るほどの大声をあげ、指令や仲間への合図を行なうことに熟達している。バトル・ヘラルドは自らの言語を理解するクリーチャーに対して行う〈威圧〉および〈交渉〉判定に+2のボーナスを得る。加えてバトル・ヘラルドの仲間は、バトル・ヘラルドの指令を聞いたり、バトル・ヘラルドの行う〈はったり〉を使用した隠されたメッセージに気付いたりするための〈知覚〉もしくは〈真意看破〉判定に、バトル・ヘラルドのクラス・レベルに等しいボーナスを得る。バトル・ヘラルドのレベルはキャヴァリアーの“戦術家”能力においてキャヴァリアー・レベルと累積する。
容易なる行軍(変則)/Easy March:2レベルにおいて、バトル・ヘラルドの60フィート以内にいる仲間は野外移動において速歩や強行軍を行った場合でも、1日にバトル・ヘラルドの“鼓舞の指令”ボーナスごとに1時間まで、不利な効果を受けることがなくなる。
武勇鼓舞(変則)/Inspire Greatness:4レベルにおいて、バトル・ヘラルドは“鼓舞の指令”能力を使用して(9レベルの“バードの呪芸”能力のように)武勇鼓舞を行うことができるようになる。この能力は4レベルの時点で1体のクリーチャーに効果を及ぼし、7レベルの時点で2体、10レベルの時点で3体となる。
旗印(変則)/Banner:5レベルにおいて、バトル・ヘラルドは自らの仲間を鼓舞する戦旗をはためかせることができる。この能力はキャヴァリアーの“旗印”能力と同様である。旗印から提供されるボーナスを決定する際、キャヴァリアー・レベルはバトル・ヘラルド・レベルに累積する。
チームワーク特技/Teamwork Feat:6レベルの時点で、バトル・ヘラルドはチームワーク特技をボーナス特技として獲得する。この特技の前提条件は満たされなければならない。バトル・ヘラルドは自身のキャヴァリアーの“戦術家”能力を使用してこの特技を仲間に付与する際、1回の移動アクションで使用することができる(バトル・ヘラルドがキャヴァリアーの“上級戦術家”能力を有するなら、1回の即行アクションとなる)。
高度な挑戦(変則):この能力は12レベルのキャヴァリアーが獲得する“高度な挑戦”能力と同様に働く。
持続する指令(変則)/Persistent Commands:8レベルの時点でバトル・ヘラルドは例え自身の手が及ばなくなり自らの“鼓舞の指令”を維持することができなくなったとしても、それらを維持することができるようになる。プレイヤーが維持することを選択した場合、バトル・ヘラルドの“鼓舞の指令”の効果は自身の【魅力】ボーナスに等しいラウンドの間持続する(これは1日のラウンド数として計算される)。この能力はバトル・ヘラルドが自発的に“鼓舞の言葉”を終了させた場合には機能しない――バトル・ヘラルドが幻惑状態、組みつき状態、朦朧状態、死亡状態などによって持続できなくなった場合にのみ機能する。“鼓舞の指令”が継続している間にバトル・ヘラルドが能力を使えるように回復したのなら、バトル・ヘラルドはこの持続をフリー・アクションによって終了することができる。
最後の抵抗鼓舞(変則)/Inspire Last Stand:9レベルにおいて、バトル・ヘラルドは30フィート以内の全ての仲間に《不屈の闘志》特技の利益を与えるために、“鼓舞の指令”を使用することができる。この効果を受けた意識のあるクリーチャーは、ヒット・ポイントが負の値である間でも“鼓舞の指令”の利益を得る。
複合指令(変則)/Complex Commands:10レベルにおいて、バトル・ヘラルドは効果に費やされた時間の間に1つより多くの指令を飛ばすことができる。それぞれの指令は個々に始められなければならず、それぞれに維持コストが必要となる。これによりバトル・ヘラルドは(“戦場の魔法”のような)1体を対象とする指令を同じタイミングで複数の対象に効果を及ぼすことができるようになる。本来それらのボーナスが累積するようなものであったとしても、同時に発動された同一の指令能力の効果は累積することはない(例えば、バトル・ヘラルドが2つの“挟撃戦術”指令を維持している場合、回避ボーナスは通常累積するにもかかわらず、仲間は2倍のボーナスを得ることはない)。
バトル・ヘラルドは“鼓舞の指令”に加えて1つの“バードの呪芸”を維持することもできるが、その場合にもそれぞれは個々に始められなければならず、それぞれの維持コストが必要になる。