恐怖のお約束は、ホラー映画や物語の最初の一瞥から明らかであることが多い、環境の中にある僅かに異常な選択が恐怖の雰囲気を設定するからだ。ホラーの冒険もほぼ同じように感じさせるべきである。他のパスファインダーRPGの冒険よりも、これらはゲームを取り巻く空気や雰囲気の作成に依存する。空気は、通常のセッションと本当に恐ろしい体験の分かれ目になりうる。この節では、より心を乱しより不穏な雰囲気を作り出すことを目的としたゲームプレイのテクニックとストーリーテリングの特殊効果に焦点を当てる。これらの提案はゲームのルールを超えたものであり、ここでのアドバイスはGMがキャラクターとプレイヤーの両方の期待を見事に裏切るのに役立つ。
何を恐れているのか?
恐ろしい状況が発生したり急増した原因はなにか?
ホラーを隠したり、緊張感を高めたりするものはなにか?
PCが失うことを恐れているものはなにか?
PCに敵を倒す希望を与えるものはなにか?
安全なものがないことをPCに知らせる衝撃的な出来事とは?
緊張をほぐすためのシーンや設定はあるか?
意図せずに予測できたり、陳腐であったり、よく知られたホラーのストーリーに類似した要素はあるか?
良いホラーのストーリーを語る方法は1つではないし、素晴らしいホラー冒険を遊ぶ方法も1つだけではない。GMはPCを不安にさせるための3つのアプローチを取ることができる。
恐怖を語る/Narrative Dread:緊張感を高めることで、何かを恐ろしくすることができる。GMはストーリーの中で危害や恐ろしいことが起こるのではないかという恐怖感を呼び起こすことを望むものだ。ストーリーはキャラクターが実際に何かを見る前に恐ろしいことを期待するように構築すべきである。状況は徐々に悪化していき、恐ろしいクリーチャーを特徴とする遭遇によって、または陰惨な命運の証を提供する遭遇によって中断されるべきである。しかし、キャラクターに全ての詳細を伝えないこと。物事が見た目よりもさらに悪いと想像させること。次に、状況が最も緊迫したときに、モンスターや物語の他の衝撃的な特徴が明らかになる。詳細はホラー冒険の作り方を参照せよ。
ドラマティックな語り方/Dramatic Storytelling:GameMastery GuideのArt of GMingの節では、誰もが魅力的なゲーム・マスターになるための多くのヒントを紹介している。GMとはプレイヤーがホラーのストーリーを体験するための窓口である。GMは、熟練した怪談師の技術を見習い、自分の声、速さ、動き、そして何に焦点を当てるのかが不吉な雰囲気を作るのにどのように働くかを考慮して良い。
不気味な場所設定/Ominous Setting:冒険の中で最も恐怖を感じる瞬間はプレイヤーの想像力で展開されるが、現実世界で起こることは恐怖の進展を助ける。恐怖のためにゲーム・スペースを準備する方法については、雰囲気作りを参照せよ。
GMがより良いホラーのストーリーを語るのに役立つガイド、ストーリー、映画は数多く存在する。ただし、GMがより良いホラー冒険を遊ぶのに役立つことを明示的に示しているものはほとんどない。素晴らしいストーリーを語ることはホラー冒険の一部に過ぎない。GMは依然としてパスファインダー・ゲームを遊んでおり、このことは他のホラーのストーリーとは異なり、プレイヤーは単なる聴衆というだけでなくストーリーの主役でもあることを意味する。GMはキャラクターを怖がらせたいのと同時に、プレイヤーにも何かを恐れる機会を与えたいと思っている――キャラクターと共感できる恐怖感を共有させる為に。ゲームの雰囲気はプレイヤーの恐怖心を助長するが、GMはロールプレイング・ゲームの経験を微妙に変化させて疑心暗鬼にさせることもできる。以下のテクニックは基本的にGMの特殊効果であり、控えめに使うのが最適である。
プレイヤーは時々、異なる時間帯に物事を学んだり、より大規模なプロットに関してGMと共謀したりする。1人のプレイヤーが秘密の情報を持っていることを隠そうとするのではなく、周知させることを考えよう。プレイヤーが自分が対等な立場ではないことを知るとすぐに、信頼と疑心の問題は分かりきった結論ではなく二者択一となる。プレイヤー間で疑心を抱かせるためには、以下のテクニックを検討せよ。
秘密/The Secret:GMはプレイヤー1人に、自分と一緒に部屋の外に出てもらうか、それ以外で他のプレイヤーの声の届かない距離に移動する。その後、プレイ中に知った秘密の情報や、そのプレイヤーだけが気がついたことを提供する。おそらく簡単な応答を得て、できるだけ迅速にゲームのテーブルに戻る。その情報を他のプレイヤーとどのように共有するかはプレイヤー次第であるが、今は誰もがそのプレイヤーになにか特別なことが起こったことを知っている。
ブラフ/The Bluff:GMはプレイヤー1人をテーブルから引き離し、ゲームの進行状況や今日の状況を尋ねたり、特別なことはなにもないと伝える。その後彼はゲームに戻る。これで他のプレイヤー全員はそのプレイヤーが秘密を持っていると思うようになる。プレイヤーが真実を話し、理由もなく引き離されたと説明したとしても、パーティの誰がそのことを信じるのだろうか?
観察/The Observation:GMはプレイヤーを引き離し、取るに足らないことを伝える――もしかしたら、キャラクターはラットに見られているように感じたり、バードの髪にブロンドのヒントがある事に気が付かなかったり、枯れ葉が全て西の方を指しているように見えるのかもしれない。これでプレイヤーはこれが意味のある秘密なのか、ただの偶然なのかを疑問に思うだろう。おそらくこれに執着しはじめる――特にGMがそうするように促した場合は。おそらく彼は他のプレイヤーにそのことを伝え、その時点でGMはその観察したことを確認して他のキャラクターにも気が付かせるか、否定して他のキャラクターに観察者に対する不信感を抱かせ、観察者に不信感を抱かせるかを決定することができる。これは、キャラクター1人が少し動揺している場合は、キャラクター1人が他のキャラクターよりも知覚力が高い場合に特に効果的である。
ごまかしの方法/The Shell Game:上記のテクニックを組み合わせて、GMはテーブルから引き離すように各プレイヤーを1人ずつ呼ぶ。1人のキャラクター(訳注:恐らく正しくはプレイヤー)に対して関連性がある内容を伝えるが、他の者には何もないか無意味な観察内容を与える。何も得られなかったプレイヤーは自分だけがそうだったのだろうかと疑問に思うに違いなく、秘密を得たプレイヤーは他のプレイヤーが何をもらったのかと疑問に思うに違いない。これは1人のプレイヤーがGMの共謀者となった状況で上手く機能する――恐らくプレイヤーのキャラクターに心術効果がかけられたり、そのPCがモンスターに入れ替わったりしているといった。
パスファインダー・ゲームの構造の多くは、当然の結果のように思えるかもしれない。しかしホラー・ゲームでは神聖不可侵であるべきものは何もない。プレイヤーを油断させないために、ゲームの基本的な活動を操作することを検討せよ。
謎のロール/The Mystery Roll:GMはプレイヤーにd20をロールするように要求し、その結果に注意するように見せつける。プレイヤーがそのロールは何のために行ったのかを尋ねると、GMは気にしないようにと伝える。何事の為にもGMはこのロールを必要としていないかもしれないが、プレイヤーはそれを知らないだろう。これは注意散漫なプレイヤーの注意を再び戻すのに特に有効的である。
盗まれた判定/The Stolen Check:GMはd20をロールし、プレイヤーに〈知覚〉の修正値がいくつであるかを尋ねる。結果をメモする。これをグループ全体に繰り返すこと――またはしないこと。これはプレイヤーが何かを見逃したのではないかと疑わせるテクニックかもしれないし、正当な隠し判定かもしれない(一般的にGMが振るよう指示するロールさえ何種類もある)。このトリックは、ゲーム全体で両方の方法で使用すると最も効果的であり、プレイヤーは奪われた判定を不思議に思う。他の方法として、GMはセッションの開始時にプレイヤーに10個の〈知覚〉判定をさせ、その結果を手元においておく方法もある。冒険の間はプレイヤーに〈知覚〉判定をロールするようにせず、既存の手元の値を参照して結果を確認するようにすること。そうすれば、プレイヤーは上手くロールしてすべてのものに気がついたのか、それとも再度捜索する必要がある程に不十分だったのかがわからなくなる。
ゲームの補佐の再考/Reconsider Game Aides:多くのパスファインダーの冒険は、戦略と精密なゲームを促進するさまざまなツールを備えている。GMは精密さを窓から放り出すことができる。漠然とした恐怖がコマやマス目に縮小されると未知の世界への恐怖が薄れてしまう。代わりにGMはゲームの計測値をより早く、よりゆるく行い、プレイヤーの位置を白板や想像だけで漠然と追跡させ、可能ならば、PCに有利になるように範囲や動きを構成することもできるだろう。これには多少の実験が必要であるが、ゲーム・テーブル上のミニチュアよりも頭の中のキャラクターの方がプレイヤーと親密な関係があることに気がつく場合がある。
ホラー・ゲームでは、PCは自分が完全に制御されていると感じるべきではない。キャラクターが何が起こるのかわからないと感じるようにプレイヤーも自分自身の不確実性を体験すべきである。GMのストーリーテリングでも、遭遇の運用方法でも、以下のテクニックはゲームに緊張感を与えるのに役立つ。
不自然さを強調する/Accentuate the Unnatural:GMはゲームのナレーターである。だからといって、GMが公平で信頼できるナレーターでなければならないという意味ではない。世界を本来あるべきではない方法で――またはあからさまに超常的なやり方で――機能しているように見えさせることを考えよう。プレイヤーの名前のようなきしみ音が聞こえたり、PCが部屋に入った途端窓からの風がやんだり、ラットがホールの真ん中で立ち止まり後ろ足で立ちながらキャラクターの目を見て「気をつけて」とささやくかもしれない。これらの要素は危険や戦闘するものではないのでルールは必要ない。世界を垣間見ることができるものである――なにか不安になるようなことが起こる世界を。
緊迫感のある行動/Acting with Urgency:GMは戦闘を好きなだけ慌ただしいものだと描写して良いが、戦闘中にPCが戦略的な会話を長くしてしまうと、戦闘の緊迫感が薄れてしまう。GMはPCに迅速に行動するように要求することで、状況の緊迫感を現実のものにできる。PCのイニシアチブが来たら即座に話しかけ、そのPCが何をするのか教えるよう要求すること。躊躇したり、本に手を伸ばしたりしたら、GMはターンを遅らせるか6秒以内に決断するか、さもなくば行動を失うかように指示する――それからカウント・ダウンを開始する。ここでの目的はプレイヤーを騙してターンを奪うことではないが、行動範囲が制限されていることで、プレイヤーは自分のキャラクターと同じ緊迫感を共通できる。特にゲームに慣れていないプレイヤーと一緒の時はカウントダウンについてあまりうるさくならないようにすること。
恐怖へのカウントダウン/Countdown to Terror:ストレスの多い状況では、GMは経過したラウンドの集計を開始するか、タイマーやカウントダウンを設定するか、時間の計算を示す――「これは3ラウンド目だよね?」理想的には、このカウントダウンは特定のラウンドでのイベントの発生につながるが、必ずしもそうである必要はない。PCに何かがやってくるのではないかと心配させるのは単なるトリックかもしれない。あるいはGMは謎を取り除き、プレイヤーにキャラクターが知り得なかったことを知らせることもできる:カウントダウンが終了すると、恐ろしいことが起こるということである。それはなんだろう? そう、GM次第である。しかし、PCがモンスターを倒すか装置を起動するか、逃げるかしない限り、事態は悪化していく。
意図的な誤解/Purposeful Misperceptions:GMはPCに「何か聞こえた気がする」と伝える。何を聞いても「わからない」と伝えられ、さらに調査をするかを決めることができる。もしかしたらGMは「なんでもないと思う」と伝えるかもしれない――しかし確信できるのだろうか? それはキャラクターが聞いた何か、動いたと思えた影、あるいは単に頭に思い浮かんだ記憶でさえあるかもしれない。いずれにせよ、PCに不確かなまたは意味不明な情報を少し与えることで、彼らは何が重要で何が重要でないのか、何が現実で何がキャラクターの頭の中にあるのかを疑問に思い始める。
休息を取らせない/Refuse Rest:PCが休息をとると、ヒット・ポイントや呪文など冒険で消耗した能力や要素が回復する。しかしPCが休息できなくなると、状況はさらに悲惨なものとなる。術者は最後の呪文を切望し、ヒーラーは最後のポーションを配るのをためらい、戦闘要員はより戦略的に考えヒット・ポイントが少なくなると簡単に退却する。GMがパーティの休息を取らせない方法は、限られた時間内に発生する必要のある冒険や、単に便利で安全な場所がなかったりすることが関係しているかもしれない。別の方法として、状況が休息によるPCの資源を回復を妨げるのかもしれない(例えば、ナイトメア呪文によって秘術の術者が呪文の準備を妨げられている)。この手法は減少するリソースを描写し、勢いと緊張感を維持するために重要であるが、注意して使用すること。制限がストーリーと結びついているのではなく人為的なものに見えてしまうと、プレイヤーはすぐに苛立ちを覚える。
パーティを分断させる/Splitting the Party:ホラーのストーリーで主人公たちが分断するのは比較的よくあることである。ゲームでこれが起こった場合、GMはグループを分断し、今現在プレイしていない人を部屋の外へ出す――彼らに味方の運命を知らせたり、今現在脚光を浴びているプレイヤーの気を散らせたくはない。グループが合流するまで、ちょっとした危険や話し合うなにかがある時に(これはテーブルから離れた場所で起こるかもしれない)グループそれぞれのシーンを終了しようと約10~15分ごとにグループを入れ替えること。パーティは可能な限り短い時間だけ分断させること。分断されたグループの戦闘が弱くなるだけでなく、プレイヤーはゲームのテーブルから離れてゲームに置いてけぼりになることを余儀なくされた時に没入感を失うからだ。
キャラクターが死ぬこともある。だがそれは誰にとっても面白いことではない――特にGMが今はまだ具体化していないかもしれない物語にかなりの時間を費やしている場合には。プレイヤーは破滅が次の曲がり角のあたりに迫っているように感じるべきであるが、死の脅威と敗北のアイデアは実際にグループ全体を殺すよりも遥かに有用である。悪いロールの結果でプレイヤーに不利な状況となってしまった場合に、ダイス・ロールをごまかしたり、敵を突然死なせたり、悪役を捕虜にしてしまうGMはほとんどいない。パーティ全員を殺すのは、本当に恐ろしい敵の手に掛かったときのように、最高の物語を作るときのために留保しておくべきである。
それでも時にはキャラクターが死んでしまうこともあるし、冒険を中止して回復できるクレリックを見つけるのは必ずしも便利ではないか、尤もらしくない。そのような場合、GMは独断でプレイヤーとやり取りし、自身が決定した対価で奇跡的な回復(ひいてはゲーム内での継続的な役割)を取引をして良い。このような取引は一定期間続くだろう。セッションが終了するまで、新しいキャラクターを作るのに都合がつくまで、パーティがより良い解決策を思いつくまで、または――最も恐ろしいものであるが――GMが単にそう言うまで。取引条件は他のプレイヤーの声が届かないところで設定するべきであり、PCは拒否する権利を持つ。具体的な内容に関係なく、PCが受け入れた場合、彼は今GMのために働くこととなり、いくつかの種類のホラー・ゲームに新しい脅威を与える可能性がある要因となる。GMはPCの裏切りの責任を負うべきである。プレイヤー間で傷つくような感情を引き起こしたくないからである。
ドッペルゲンガー/The Doppelganger:PCに、そのPCは辛うじて生き残ったと伝えること――しかしそれは、過去のある時点でそのPCは変身生物のクリーチャーと入れ変わったからという理由によってのみだ。現在自分のキャラクターと全く同じデータでモンスターをプレイしている。タイミングを見計らって、パーティを攻撃するか、悪役へとパーティを裏切るべきである。プレイヤーの怪物性が明らかになると、本当のキャラクターに何が起こったのかと言う疑問を提起する――どこかで捕虜になっていて、助けられるのを待っているかもしれない。
悪霊/The Evil Spirit:PCに、彼は死んだが、その死体は悪霊によって動かされていると伝えること。通常通りプレイを続けることができるが、ストーリーで特別なことが起こった時(あるいは単にGMが「今だ」と言った時)、他のパーティのメンバーに興奮するか、その他の所定のアクションを行うべきである――パラディンを攻撃するような。GMはキャラクターに適切な特殊能力や他の大きな力を与えるかもしれない。
デヴィル/The Devil:PCに、自分は死んで今はデヴィルやグリム・リーパー、あるいはもっと悪い者が目の前に立っていることを伝えること。この神のような存在はPCを生き返らせることを提案するが、後で連絡をしサービスを要求するようになる。このサービスが何であれPCは従うことを強制され、取引の条件を秘密にしておくことを強制される。おそらくGMは取引開始時にその実体が何を望んでいるかを知っているが、そうでなくてもこの種の緩いつながりは将来の悪用に最適なものである。
パスファインダーは誰かが勝つゲームではないが、例外的な方法でまたは最小限のリソースの消費で挑戦を克服したいと考えるプレイヤーも少なくはない。つまり恐怖へのリアクションや非英雄的なロールプレイに費やす時間を時間の無駄と考えるプレイヤーもいるということである――特に戦闘中にこのようなロールプレイが発生した場合には。GMがプレイヤーにロールプレイングだけでなくホラーへの反応にも関心を持って重きを置いてもらいたいと思っているのであれば、それを推奨するのは――あるいは少なくともペナルティを与えないようにするのは――GM次第である。恐ろしい反応を見せるように促すために、ホラー・ヒーローをプレイするの議論へ誘導し、次のテクニックを採用することを検討して良い。
恐怖の時間/Time for Terror:脅威に対する多くのプレイヤーの最初の反応は、どんなに圧倒的であっても戦うことである。特に恐ろしいシーンのイニシアチブをする前に、GMはプレイヤーに戦闘前の瞬間を恐怖の反応に使うかを訪ねることができる。これは不意討ちラウンドやその他のゲーム内の時間の単位ではなく、警告を叫んだり、物を落としたり、後ろ向きに倒れたり、叫び声をあげたりするフリー・アクションでそのシーンに対する反応を表現したいキャラクターの特別な例である。この中で、GMは戦闘のラウンドを引き延ばすのではなく、ショックを表現したいプレイヤーに報酬を与え、グループの反応を一気に得る。
恐怖への報酬/Reward Terror:プレイヤーがゲームのストーリーを改善したり、セッションの雰囲気を高めたり、単にかっこいいと思われるような行動をした場合、GMはその場限りの経験点の報酬をパーティに与えたりすることができる。迅速な正の強化以上にこのゲームに利益を与える振る舞いを推奨するような強力な手法は僅少であり、GMには提供する経験点が無限にある。これは多くすべきではなく、恐らく低レベルでは50XP程の少なさで、より高レベルで最大200XPまで増やす程度だろう――ゲームを変えるように感じはしないだろう。それでも、少量の報酬はロールプレイングやストーリーへの投資を促す強力なインセンティブとして機能する。何よりもこの裁定は、プレイヤー1人だけでなくグループ全体に、GMが報酬を与える行動を優先することを推奨している。
GMの中には、お化け屋敷やキャンプファイヤーの物語に恐ろしいギミックが機能する場合、ホラー冒険に役立つと勘違いしている人がいる。そのようなことはめったにない。最良でも、人工的で中途半端に不気味なトリックをやりすぎることは、雰囲気を壊したり、ゲームへの気を散らすかもしれない。最悪の場合、ジョークになったり、プレイヤーを怒らせたりする。原則としてGMはゲームのテーブルにホラー・ゲームを置いておくべきである。ここでは絶対に避けるべきギミックを紹介する。
緊急事態を捏造しない/Don't Fake Emergencies:首を絞めるふりをしたり、スラッシャーの攻撃が現実のものであるふりをすることは、プレイヤーの信頼に反する方法で正統的に怖がらせることができる。ゲームはゲームのままである必要があり、第4の壁を破って現実に入った途端に、物事はレールから外れてしまう可能性がある。誰かが怪我をしたり、当局を巻き込んだりする危険は絶対に避けること。
ゲーム外の人を巻き込まない/Don't Involve People Outside the Game:ゲームに参加していない人が、大音量の音楽、キャラクターの叫び声、その他の破壊的な音などゲームの不気味な要素を経験しなければならない事態にすべきではない。さらに外部の協力者に、プレイヤーに知られずにこっそりゲームに参加するように頼んではいけない。
プレイヤーに接触しない/Don't Touch the Players:キャラクターになりきって、プレイヤーの肩に冷たい手をかけたり、天井からプラスチック製の蜘蛛を物理的に落としたりすることを意味するかどうかにかかわらず、プレイヤーのパーソナル・スペースに侵入したり、面倒になるようなトリックを設定して物理的な危害を及ぼすことはしないようにすること。
コスチュームやメイクを使わない/Don't Use Costumes or Makeup:コスチュームや血糊は気をそらせるものだ。GMが自分が不気味に見えるようにすると、1分間くらいは効果があるかもしれないが、ほとんどのゲームはそれ以上時間がかかる。しばらくすると、小道具や特殊効果が当たり前になり、さらに悪いことには、ただの馬鹿げたものになったりする。