霊障――生者の存在に対して暴力的に反応する騒々しい霊魂によって作られた危険地帯――を導入した場合には、罠とアンデッド・クリーチャーの間の区別は曖昧となる。霊障を発生させる原因となる状況は場合によってさまざまであるが、霊障は常に生きていて苦しめられているクリーチャーが耐え忍ぶ精神的または肉体的な恐るべき苦痛の源泉から生ずる。単一の苦痛の源泉から複数の霊障が生じうる。また複数の源泉が統合して単独の霊障ともなりうる。源泉の相対的な力は結果として生じる霊障の強さとはほとんど関係がない。その力を決めるのは霊障を作り出した苦しみや絶望の大きさである。しばしば霊障が発生している地域にアンデッドが住んでいることがある。死してゴースト(あるいは他のアンデッド)として蘇った者が多数の霊障を発生させる原因となることもある。霊障は1つの特定の場所にあり、しばしば単一の建造物の中に複数の霊障が存在する。古典的な幽霊屋敷は単一の霊障ではなく、通常は1ダース以上の霊障が建造物全体に広がっている。
霊障は罠と同様に機能するが、それが発現するラウンドまで簡単に識別することができないため発見することが難しい。ディテクト・アンデッドまたは適切なタイプのディテクト・アラインメント呪文を使用すれば、霊障が発現する前にそれに気づく可能性がある(そのキャラクターには霊障を発見するための適切な判定が認められるが、-4のペナルティを被る)。
霊障はそれが有する脅威度ごとに最大半径5フィートの範囲を占めることができるが、実際の範囲は通常は霊障が位置する部屋の大きさに限定される。
霊障が発現条件を満たした場合、その効果は不意討ちラウンドのイニシアチブ値10で発現する。霊障の近くにいる全てのキャラクターは、この不意討ちラウンドの開始時に、霊障に気が付くための判定を行うことができる。全ての霊障は生命を探知し、生きているクリーチャーの接近や接触の結果として発現するが、一部の霊障はハイド・フロム・アンデッドやインヴィジビリティのような効果によって欺くことができる。
霊障が発現した不意討ちラウンドにおいて、霊障に当てられた正のエネルギー(エネルギー放出、キュア呪文など)は、霊障のヒット・ポイントにダメージを与える(霊障はこのような効果によるダメージを軽減するための意志セーヴを行うことはできず、また攻撃ロールを必要とする攻撃は霊障に効果を与えるためには、単に霊障が中にある物理的構造物に命中させるのではなく、アーマー・クラス10に命中させなければならない)。霊障は通常ではない弱点を持たない限り、それ以外の形の攻撃では霊障のヒット・ポイントを減らすことはできない。正のエネルギーによって霊障のヒット・ポイントが0まで減らされた場合、それは無力化される――イニシアチブ値10で霊障が行動し始めるまでにこれを行うことができた場合、霊障の効果は発現しない。
事実上、霊障は既存の呪文効果と同一のいかなる効果も持ちうるが、しばしば通常の呪文効果と異なる――そして明瞭により恐怖や狼狽を呼ぶような――感覚的または物理的な特徴を有する。(既存の呪文と異なる効果を有する霊障は確かに可能だが、それは新しい呪文効果をデザインすることを必要とする。)霊障は部屋を爆炎に包む(ファイアーボールまたはファイアー・ストームの複製)かもしれないし、小部屋を恐怖で満たす(コーズ・フィアー、スケアー、またはフィアーの複製)かもしれないし、あるいは目標を恐怖で死に至らしめようとする(ファンタズマル・キラーまたはスレイ・リヴィングの複製)かもしれない。霊障の効果がどう発現するかは君の決定に委ねられている。
無力化された霊障は破壊されたわけではなく、一定期間が過ぎた後に再び発現することができる。霊障を破壊するためにはその地帯で効果を永遠に終わらせるような特別な行動を取らなければならない(幽霊屋敷を完全に燃やしたり、その地で死んで霊障を作り出した奴隷の骨を埋葬したりするような)。この特別の行動はそれぞれの霊障によって異なる(いくつかの近似した霊障はしばしば同じ行動で破壊できるが)。
一部の霊障は持続性を持ち、その即時的な効果は不意討ちラウンドを越えて実際のラウンドになっても継続する。持続性の霊障は、破壊されるか目標がいなくなるまで各ラウンドにそのイニシアチブ値の時点で効果をあらわす。霊障によって作られる全ての一次的な効果は、それが実際に物理的な効果を生み出すものであっても[精神作用、恐怖]効果である。[恐怖]への完全耐性は霊障の直接的効果に完全耐性をもたらすが、霊障の攻撃の結果として引き起こされる二次的効果への耐性は与えない。
霊障は以下の書式によって表される。
経験点:これはPCたちが霊障を生き延びた褒賞として与えられる経験点の量であり、その脅威度によって決定される。
属性および範囲:この行は霊障の属性とそれが広がる範囲の規模(脅威度ごとに5フィートまで)を示す。霊障が持続性である場合もここに注記される。
術者レベル:これはディスペル・マジックで進行中の効果のいずれかを解呪するためと、霊障が作り出す呪文効果の結果を決定するための有効術者レベルである。
感知:これは不意討ちラウンドのまだ霊障が発現する前にそれを感知するのに必要な技能判定と難易度を示す。判定が成功することで知覚できるもの――かすかな亡霊のような泣き声、肉が焼ける匂い、壁から滴る鮮血など――は難易度の後に括弧に入れて書かれる。
ヒット・ポイント:これは正のエネルギーによるダメージを解決するための有効ヒット・ポイントである。霊障のヒット・ポイントは持続性のものである場合を除き、脅威度の2倍に等しい。持続性の霊障のヒット・ポイントは脅威度×4.5(端数切捨て)である。
弱点:ハイド・フロム・アンデッドのような効果で欺けたり、正のエネルギー以外の効果でダメージを受けたりするような、霊障の持つ弱点がある場合はここに書かれる。
発現条件:霊障を発現させる状況はここに書かれる。近接発現型の霊障はクリーチャーが霊障の範囲内に入ると同時に発現する。接触発現型の霊障は生きているクリーチャーが範囲内の特定の物や場所に触れるまで発現しないが、その範囲内にいる全てのクリーチャーを感知している(そしてその効果の目標とする)。
再発現:これは霊障が再発現しようとするまでに経過しなければならない時間である。霊障は破壊されるまで、難易度10の術者レベル判定に成功することで、この期間が経過した後に再発現することができる。判定が失敗だった場合は霊障がさらに再発現しようとするためには同じ時間の経過を待たなければならない。
効果:これは霊障がどのように発現するかを含め、その実際の効果を詳述する。
下記の例のような霊障を作成するためには以下のステップに従う。
ステップ1 基本脅威度を決定する:霊障の基本脅威度は1+それが複製する呪文のレベルに等しい。
ステップ2 実際の脅威度を決定する:霊障が有している要素を選択し、その脅威度への修正を合計して霊障の最終的な脅威度を求める(表:霊障の脅威度修正値を参照)。
特殊型 |
脅威度修正値 |
---|---|
持続性 |
+2 |
脅威度修正値 | |
---|---|
-2 | |
追加のタイプ1種につき-1 | |
ハイド・フロム・アンデッドで欺ける |
-2 |
インヴィジビリティで欺ける |
-1 |
-3 | |
-2 |
ステップ3 術者レベルを決定する:霊障の術者レベルはその実際の脅威度に等しい。
ステップ4 ヒット・ポイントを決定する:霊障のヒット・ポイントはその脅威度の2倍に等しい(霊障が持続性である場合はその脅威度×4.5に等しい)。
ステップ5 命中とセーヴ難易度を計算する:霊障の命中修正値(それが必要な場合)はその脅威度に等しい。霊障の呪文効果の抵抗または無効化にセーヴィング・スローが必要な場合、そのセーヴ難易度は10+その呪文レベル+そのレベルの呪文を発動するために必要な最小限の能力値の修正値に等しい。
経験点1,600
混沌にして悪(5フィート×20フィートの廊下)
術者レベル 5
感知 〈知覚〉判定 難易度20(低い泣き声が聞こえる)
ヒット・ポイント 10; 発現条件 近接; 再発現 1日間
効果 この霊障が発現した場合、金切り声の女性の鋭い叫びと共に血の流れが壁面を滴る。廊下にいる全てのクリーチャーはフィアー呪文(セーヴ難易度16)の目標となる。
破壊 壁の裏に葬られている女性の死体を引き出し、適切な埋葬を行う。