呪文をわずかしか知らない1レベルのウィザードにとっては、毎日準備する呪文を決めるのはさほどつらい作業ではない。しかし20レベルのウィザードは選択しないといけない呪文が60以上もある。呪文を選ぶのはそれなりに時間を食う作業で、一緒にゲームをするほかのプレイヤーに指いじりをさせてしまう。
呪文発動の簡素化ルールを用いると、君は上位3レベルの呪文だけを管理すればよい。他の呪文は自由に使用できるプールに置き換えられる。プール内の呪文数は他に発動できる低レベルの呪文数より少なくなるが、全ての呪文を準備するよりは柔軟に扱えるし、最も重要な呪文のために奇妙な意思決定を避けることもできる。このルールは上位3レベルの呪文にのみ効果があるので、4レベル呪文を発動できないキャラクターには何の変化もない。
呪文発動の簡素化ルールを使用する際、後述の表から自分のクラス(あるいは、通常なら自分のクラスと同じ呪文数の成長をするクラスの表)にあった成長表を見つけ、自分の術者レベルの行を参照しよう。行の上位3レベルは1日の呪文数を示す数が記されている。それらの呪文は通常通り毎日準備する。十分に高い能力値を有するなら、通常通りボーナス呪文を得る。それらを除き使用できる呪文レベル(0レベルを除く)の列には“P”と記載されている。これは、低レベルの呪文は自分のクラスの呪文プールを使用して発動することを示している。
毎日、君はクラスの呪文リストから低レベルの呪文を任意発動できる。任意発動できる呪文の数は、表の“プール”項に記載された数になる。呪文のレベルは考慮されない(ただしプールを用いるレベルでなければならない)。そのため、もし1日にプールから呪文5つを発動できるなら、君は1レベルの呪文5つ、2レベルの呪文5つ、それらの組み合わせ、のいずれでも発動することができる。呪文プールからスロットを用いて発動する呪文は、依然として呪文リストあるいは呪文書にあるものでなければならない。単に呪文を準備する必要がないだけだ。逆の属性の呪文発動に対する制約など、クラスや他の能力に示された他の制約も全て満たさなければならない。呪文プールのスロットは8時間の休息後に回復する。また、呪文の準備を妨げる効果は、同様に呪文プールの回復も妨げる。
呪文発動に用いる能力値の修正が高ければ、呪文プールは増加する。これは、準備する呪文スロットに対するボーナス呪文を得る場合に似ている。プールにおける呪文数に、能力値修正の1/4を加えること。これは、通常1日の呪文数を計算する場合と同様である。
極めて限定的な選択肢を選ぶことでボーナス呪文をクラスから得ている場合(領域呪文、霊呪文、同種のボーナス呪文など)、君はそれらの呪文をプールとは別に得る。いくらか限定されたリストのボーナス呪文をクラスから得ている場合(ウィザードの秘術系統呪文など)、プールを得る際に1日の呪文プールを追加で1つ得るが、その種別の呪文を発動する際にのみ使用することができる。13レベルの時点で、君は同様の制約を受けた2つめのスロットを追加で得る。
例えば、【知力】26で13レベルの死霊術師の呪文プールは5つ――13レベルのウィザードであることによる3つに加え、高い【知力】による2つ(【知力】修正値+8を4で割った値)――。それに死霊術系統に限定して1日に2つだけ追加される。このキャラクターは呪文プールを1~4レベルの呪文を発動するために使用できるが、5~7レベルの呪文は変わらず準備する必要がある。
呪文スロットの複数消費/Expending Multiple Spell Slots:複数の呪文スロットを消費する必要があるクラス能力(戦のオラクルの戦場の癒し手の啓示やウィザードの対抗系統など)を有するなら、そのような能力を使用するには、呪文プールから適切な数のスロットを消費しなければならない。例えば、さきほどの13レベルの死霊術師が召喚術を対抗系統としている場合、サモン・モンスターIIを発動するには呪文プールから2スロットを消費しなければならない。
1日の呪文数 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
呪文プール | |
1 |
3 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
2 |
4 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
3 |
4 |
3 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
4 |
4 |
3 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
5 |
4 |
4 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
6 |
5 |
4 |
3 |
― |
― |
― |
― |
― |
7 |
5 |
4 |
3 |
1 |
― |
― |
― |
― |
8 |
5 |
4 |
4 |
2 |
― |
― |
― |
― |
9 |
5 |
5 |
4 |
3 |
― |
― |
― |
― |
10 |
5 |
4 |
3 |
1 |
― |
― |
1 | |
11 |
5 |
4 |
4 |
2 |
― |
― |
1 | |
12 |
5 |
5 |
4 |
3 |
― |
― |
1 | |
13 |
5 |
4 |
3 |
1 |
― |
3 | ||
14 |
5 |
4 |
4 |
2 |
― |
3 | ||
15 |
5 |
5 |
4 |
3 |
― |
3 | ||
16 |
5 |
4 |
3 |
1 |
4 | |||
17 |
5 |
4 |
4 |
2 |
4 | |||
18 |
5 |
5 |
4 |
3 |
4 | |||
19 |
5 |
5 |
5 |
4 |
4 | |||
20 |
5 |
5 |
5 |
5 |
4 |
1日の呪文数 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
呪文プール | |
1 |
3 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
2 |
4 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
3 |
4 |
2 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
4 |
4 |
3 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
5 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
6 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
― |
7 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
― |
― |
― |
― |
1 | |
8 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
― |
― |
― |
― |
1 | |
9 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
― |
― |
― |
2 | ||
10 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
― |
― |
― |
2 | ||
11 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
― |
― |
2 | |||
12 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
― |
― |
2 | |||
13 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
― |
3 | ||||
14 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
― |
3 | ||||
15 |
4 |
3 |
2 |
1 |
― |
4 | |||||
16 |
4 |
3 |
3 |
2 |
― |
4 | |||||
17 |
4 |
3 |
2 |
1 |
5 | ||||||
18 |
4 |
3 |
3 |
2 |
5 | ||||||
19 |
4 |
4 |
3 |
3 |
5 | ||||||
20 |
4 |
4 |
4 |
4 |
5 |
任意発動できる呪文の使い手もこのルールを使用できるが、得られるものはほとんどない。もともと、彼らは準備する呪文を選択する必要がないのだから。そのため、呪文プールを使用した場合、呪文スロットは数の上で減少してしまう。
このルールはパラディンやレンジャーのような、1~4レベルの呪文しか得られない呪文の使い手には適用されない。彼らは呪文スロットがごくわずかであり、他の呪文の使い方が直面するような問題には巻き込まれない。
呪文プールから発動する呪文を修正するために呪文修正特技を使用する場合、術者は任意発動する呪文の使い手であるかのように扱われる(すなわち、適切なら発動時間が全ラウンド・アクションに増加する)。その呪文は呪文プールで発動できるレベル以下でなければならない。そうでない場合、準備する際に呪文スロットを1つ消費しなければならない。
例えば、我らが例たる13レベルの死霊術師は、《呪文距離延長》されたファイアーボールを発動する場合、全ラウンド・アクションとして呪文プールを消費して発動することができる。しかし《呪文威力強化》されたファイアーボールを発動するには、あらかじめ準備する際に5レベルの呪文スロットを消費しなければならない。なぜなら、5レベル呪文は呪文プールの一部ではないからだ。
パール・オヴ・パワーは準備しているレベルの呪文スロットを回復するためにのみ使用することができ、呪文プールを回復することはできない。逆に、ルーンストーン・オヴ・パワーを使用すれば、呪文プールからスロットを消費することなく呪文を発動することができる。その呪文はルーンストーン・オヴ・パワーが回復することのできるレベルでなければならず、かつ(準備する呪文ではなく)呪文プールの一部となるだけの低いレベルでなければならない。