レンジャーは辺境の主であり、彼らの定めた領域の信頼でき融通のきく番人である。ドルイドが自然の慰めを求めるのに対し、レンジャーは社会と野生のぼやけた境界を占め、スカウト、追跡者、賞金稼ぎ、その他の外縁の住人であるとにかかわらず、好ましい環境を学び、自らを鍛えて彼らの領域における捕食者の頂点となる。ほとんどの人々はレンジャーは肉体的な戦士である考えているが、事実としてその上、彼らは多くの重要な呪文発動能力を持っている。
以下の項ではレンジャーの罠(レンジャーの魔法能力を組み入れることもある、単純な即興の罠)とレンジャーの新たなアーキタイプ──あらゆる種類の罠のエキスパートである罠使いを紹介する。
レンジャーの獲物を追い詰め捕らえる能力は伝説的である。幾人かのレンジャーは廃材や蔓、そしておそらくはわずかな特別の魔法により、入念な罠を作ることができる。キャラクターはこれらの罠の設置を《レンジャーの罠学習》特技か、レンジャーの罠使いアーキタイプにより学ぶことができる。
罠の設置は1全ラウンド・アクションであり、機会攻撃を誘発する。1つの罠は5フィート四方のマス1つを満たし、同じ範囲には別のレンジャーの罠やグリフ・オヴ・ウォーディングのような魔法の罠を設置できない。レンジャーは罠を作るのに、布の切れ端、少量の金属(ダガー、鉄のスパイクや少しの釘など)、1フィートのロープか蔦などといった単純な材料しか必要としない。罠に気づくための〈知覚〉、解除するための〈装置無力化〉、避けるためのセーヴィング・スローの難易度は10+キャラクター・レベルの1/2+【判断力】ボーナスである。レンジャーの罠は全て作動条件:場所、再準備:不可となる。
レンジャーの罠は変則的か超常的のどちらかとなる。変則的罠は種類:機械式、超常的罠は種類:魔法である。それぞれの罠が変則的罠として設置可能か、あるいは魔法的(超常的)罠として設置可能かはリストを参照する。レンジャーは学んだ罠をいずれかの方法で設置する。変則的罠は難易度に-2のペナルティを被る。変則的罠はレンジャー・レベルにつき1日か作動するまで持続する。魔法的罠はレベルにつき1時間か作動するまで持続する。設置後、丸一日ごと(または、魔法的罠であれば1時間ごと)に罠の難易度は1減少する。罠のうちアスタリスク(*)が付されているものは、他の罠に効果を追加するか、その効果を変更する。レンジャーはこのような罠を、他の標準的な罠1つに対して1つしか仕掛けることができない(これには罠能力を使用するコストが追加で1発生する)。
効果 罠は起動させたクリーチャーの肢かそれ以外の肉体の一部を絞めつける(反応・回避)。レンジャーが罠の設置時に“革紐”を組み込んでいない場合、クリーチャーは罠の場所から移動できなくなる。“革紐”を組み込んでいる場合、その移動は革紐の長さに制限される。罠にかかったクリーチャーは1全ラウンド・アクションによる〈脱出術〉判定(難易度は罠の難易度と等しい)で逃れることができる。罠もしくは革紐はレンジャー・レベルの1/2のヒット・ポイントを持ち、全ラウンド・アクションで難易度25の【筋力】判定に成功すると引きちぎることができる。罠は中型までのクリーチャーを捕らえることができ、罠の設置時にレンジャーが1日に設置できる罠数を追加で1消費するごとに、捕らえることのできるクリーチャーのサイズ上限を1段階大きくすることができる。レンジャーはオプションとして、背の高い物体か構造物が近くにあれば、罠にクリーチャーを持ち上げさせることができる。
効果 罠が起動すると瞬間的に音声によるアラームバージョンのアラームと同等の大きな音を発する。
効果 罠は氷を炸裂させ、起動したクリーチャーにダメージと拘束を与える。クリーチャーは1d3+レンジャー・レベルの1/4ポイントの[氷雪]ダメージを受け、足留め袋の効果と同様に絡みつかれた状態で地面に固定される。反応セーヴに成功するとダメージを半減し、氷で地面に固定されることもない。氷はレンジャーの2ヒット・ダイスにつき厚さ1インチ(最低1)、硬度0、厚さ1インチにつき3ヒット・ポイントを持ち、2d4ラウンド後に融ける。
効果 起動したクリーチャーが罠に対するセーヴに失敗すると、レンジャーの選択した染料または臭いもしくはその両方で印がつけられる。臭いの印は印をつけられたクリーチャーを鋭敏嗅覚により追跡する難易度を4減少させる。印はしっかりとこすれば洗い流すことができるが、自然に消えるには数日間かかる。
効果 罠はバット・スウォーム、ラット・スウォーム、スパイダー・スウォームのいずれかを解き放ち、範囲内のすべてのクリーチャーを攻撃させる。スウォームはレンジャー・レベルにつき1ラウンドのまでその場にとどまり、その後散り散りになってしまう。変則的罠の場合はレンジャーはスウォームのクリーチャーを(通常は小さな箱、檻、かごの中に)入れておかねばならず、これらのクリーチャーは罠が起動する前に飢えにより死ぬ可能性がある(変則的罠はレベルにつき1日持続する)。
効果 罠は起動したクリーチャーを毒で侵す。超常的罠の場合、毒は6ラウンドの間、毎ラウンド1d2ポイントの【耐】ダメージを与える。変則的罠の場合、レンジャーは罠の設置時に1服の接触、吸入または致傷毒を消費せねばならず、罠はその毒の効果と難易度を使用する。
効果 レンジャーはこの罠を火の罠にしか追加できない。罠は爆発の火が罠に隣接するマスすべてを満たし、1d6+レンジャー・レベルの1/2ポイントの[火炎]ダメージを与える(反応・無効)。変則的罠の場合、レンジャーは罠の設置時に錬金術師の火のような爆発する材料を使用しなければならない。
効果 罠は爆発し炎を上げる。起動したクリーチャーに1d6+レンジャー・レベルの1/2に等しいポイントの[火炎]ダメージを与える(反応・無効)。変則的罠の場合、レンジャーは罠の設置時に錬金術師の火のような爆発する材料を使用しなければならない。
効果 起爆された罠はスリート・ストームの効果の半径20フィートのみぞれの爆発を起こす。跳ね回るみぞれは1ラウンドしか持続しないが、凍りついた地面はレンジャー・レベルにつき1ラウンド持続する。
効果 レンジャーはこの罠を火の罠にしか追加できない。起動したクリーチャーは反応セーヴに失敗すると着火し、1d4ラウンドの間、自分のターン開始時に1d6ポイントの[火炎]ダメージを受ける。着火したクリーチャーは全ラウンド・アクションを使用して新たなセーヴを試みることができる。地面を転がることでこのセーヴに+4ボーナスを得ることができる。
罠使いは従来の魔法を学ぶことよりも罠に排他的に特化したレンジャーである。罠使いのクラス特徴は以下の通り。
クラス技能:罠使いは通常のレンジャーのクラス技能リストに加え、〈装置無力化〉をクラス技能とする。
罠探し/Trapfinding:罠使いは罠を探す〈知覚〉判定と〈装置無力化〉判定にレンジャー・レベルの1/2(最低1)を加える。罠使いは〈装置無力化〉を用い魔法の罠を解除することができる。
罠/Trap:5レベルの時点で、罠使いは足輪の罠と、他にもう1つ選んだレンジャーの罠の作り方を学ぶ。7レベルと以降の2レベルごとに、罠使いは別の罠を学ぶ。罠使いはこれらの罠を1日に合計でレンジャー・レベルの1/2+【判断力】修正値に等しい回数まで使用できる。一度罠を学んだら、忘れたり別の罠に置き換えることはできない。罠使いは個々の罠を1度より多く選択できない。この能力はレンジャーの呪文クラス特徴を置き換える。罠使いは呪文および呪文能力を得ず、術者レベルも持たず、呪文解放型および呪文完成型の魔法のアイテムを使用できない。
罠射出/Launch Trap:10レベルの時点で、罠使いは魔法のレンジャーの罠をアロー、クロスボウ・ボルト、投擲武器に貼りつけ、離れて罠を設置するか、直接攻撃のように使うことが可能になる。罠を矢弾に取り付けるのは、新しい罠を作成する全ラウンド・アクションの一部である。罠をしかけた矢弾は、通常の方法で射出するか投擲できる。マスに向けて射出した場合、その罠は 難易度 が通常より5減少することを除き、レンジャーがそのマスに設置した罠であるかのように扱う。クリーチャーに向けて射出した場合、目標は遠隔武器のダメージを受け、さらに目標が罠を起動したかのように扱う(もしあればセーヴィング・スローが適用される)。この攻撃の最大射程は60フィートであり、射程を超えた分は攻撃ロールに適用される。矢弾に仕掛けられた罠の持続時間は、それを使用したときではなく、それを作成した時点から開始される。