科学技術アイテムの作成の流れは、魔法のアイテムの作成と多くの部分が共通している。しかし異なる特技、技能、施設を使用する。魔法のアイテムを作成する場合、作成者は作成の中で時間と費用を投資し、最終的に製作を完了させるために技能判定を1回行う。科学技術アイテムには術者レベルがないため、この判定の難易度はそれぞれの科学技術アイテムの説明に記載されている。この判定に失敗するとアイテムは機能せず、材料は無駄になってしまう。この判定に5以上の差で失敗すると、GMの決定に従い感電や爆発といった致命的な失敗となる。
製作に必要な呪文や前提条件があることの多い魔法のアイテムとは異なり、先進科学技術アイテムは製作に必要な道具を備えた専門的な研究所が必要となる。先進科学技術アイテムを作成するために研究所を使用する才、毎日電力を一定量消費する。研究所に必要な電力がない日は先進科学技術アイテムの作成が遅れてしまうが、開発に費やした時間は失われない。加えて、アイテムの作成には(適切な作成特技を持つキャラクターと)時間と、作成に必要な科学技術の構成要素や消耗品を確保するための費用を消費する必要がある。
科学技術アイテムの作成には、アイテムの基本価格(もしくはその一部)1,000gp毎に8時間を作業に費やす必要がある。作成者は作成作業の開始時に費用を支払わなければならない。この作業はアイテム作成の難易度を5だけ増加させることで、1,000gp毎に4時間に加速させることができる。必要な時間を決定する際、埋め込み武器の一部としての武器のような固定の費用は考慮しない。
作成者に睡眠や休息の必要がない場合でも、作成者は1日に最大で8時間までしか働くことはできない。この日は連続している必要はない。理想的には、作成者は少なくとも4時間、邪魔されないで作業に費やす必要がある。しかしそれができない場合(冒険中など)、作成者は4時間の作業を日をまたいで行うことができ、この場合2時間分が進捗する。気が散ったり危険の伴うような環境で行われる作業も、同様に半分の作業効率でしか進まない。(作業を分割したり、気が散る状況であってさえ)作成者が1日に4時間を作業に費やすことができない場合、その日に行った作業は全て無駄になってしまう。
キャラクターは一度に複数の科学技術アイテムを作成するために作業することができるし、それぞれのアイテムに最低2時間を費やすことができるならば同じ日に複数を作成することもできる。これによって作成者が1日に達成できる作業量の条件を超えることができるようになるわけではないし、それぞれのアイテムに電力消費を分割して行う必要がある(複数のアイテムを一度に作成するのは、非常にエネルギー効率が悪い)。
魔法のアイテムを修理する場合と同様の方法で、適切なアイテム作成特技を使用することで、科学技術アイテムを修理することができる。しかしこの方法では、経年劣化した科学技術アイテムアイテムが受けているような劇的な摩耗を修理することはできない。
科学技術アイテムには非常に多様な種類があるが、作成に必要な研究所の種類は非常に限られたものだ。残念なことに、研究所は非常に珍しい。その場所を現在知っており、比較的安全な場所で見つけたものはそれをしっかりと使うことができる。現在の材料で組み立てることも建造することもできないという点で、研究所は科学技術アーティファクトに似ている。科学技術アイテムを作成するためには、使用できる研究所を確保しなければならない(これにより、GMは先端科学技術の作成をゲーム中で制限することができる――ゲームの開始時に、研究所の使用に関する制限をプレイヤーに必ず伝えておくこと。そうすれば、PCにとって先端科学技術作成特技が有益な選択肢かどうかを知ることができるからだ!)。
以下に研究所を6種類まとめている。それぞれの研究所には、1日に作成物1つのために作動させるのに必要なチャージ数が記載されている――この数字は一般にかなり高いもので、ジェネレーターから電力を引き出さない研究所は、バッテリーの電力を消費することができる。ジェネレーターの電力を用いる研究所は、アイテム作成作業が続く限り、記載されているチャージをジェネレーターに記載された電力生産量を消費する。
医療研究所(20チャージ)/Medical Lab:この研究所はトラウマ・パックやメドランスのような医薬品、及び調合薬を作成するために用いる。
軍事研究所(100チャージ)/Military Lab:軍事研究所はより専門的な研究所を必要としない武器を作成するために使用される。
サイバネティクス研究所(100チャージ)/Cybernetics Lab:サイバネティクス研究所は生きているクリーチャーの生体に直接組み込むサイバネティック装備やサイバネティック装置を作成するために使用される。
重力研究所(250チャージ)/Graviton Lab:重力研究所は重力科学を用いるアイテム(グラヴィティ・ライフル、力場フィールド、磁力ブーツなど)を作成するために用いられる。
製品研究所(50チャージ)/Production Lab:製品研究所はより専門的な研究所を必要としない物体を作成するために使用される。
ナノ技術研究所(150チャージ)/Nanotech Lab:この研究所はナノテクノロジーを用いる装置(イド・ライフルやk-lances(訳注:対応する装備品なし)など)を作成するために使用される。
ナル・ブレードのような魔法と科学技術、両方の要素を持つアイテムには特別な製作過程を用いる。作成者は最初にこのアイテムの科学技術部分を作成するために、掲載された難易度に対する技能判定に成功しなければならない。その後、魔法部分を作成するためにアイテムの術者レベルに基づく判定に成功しなければならない。魔法のアイテムの作成に記載されているとおり、呪文やレベルに基づく前提条件は製作難易度を増加させない。それぞれの判定に用いる技能はアイテムのアイテム作成特技に基づく。いずれかの判定に失敗すると、アイテムは無駄になってしまう。通常通り、作成時間を決定するにはアイテムの市価を、原材料費の算出にはアイテムのコストを用いる。作成者がアイテム作成を加速する特技や能力を持つ場合、最も効果の小さいボーナスのみが適用される。言い換えれば、混成アイテムをより早く作るためには、作成者は魔法のアイテムと科学技術アイテムの両方を早く作成できる必要がある。
先進科学技術防具や先進科学武器を、魔法の強化ボーナスを含む、防具の特殊能力や武器の特殊能力で強化することもできる。+2レーザー・ライフルや+4ダンシング・ヒューマノイド・ベイン・チェインソー、+1ゴースト・タッチ・スペーススーツを作成することもできる。理論上、魔法のアイテムの作成者は科学技術アイテムに魔法による知性を吹き込むことさえできるのだ。このような魔法の先進科学技術アイテムを作成するには、購入しても発見しても作成しても良いから、まずは先進科学技術アイテム自身を確保しなければならない。全ての先進科学技術武器及び先進科学技術防具は、魔法で強化する目的において高品質であると見なされる(しかし高品質のアイテムが一般に与える他の利益は得られない)。GMが望むなら、魔法の特殊能力には特定の科学技術アイテムに適用することはできないものがある、と単に決めることもできる。このようにして既存の科学技術アイテムを魔法のアイテムとして作成する場合、キャラクターは基本アイテムの作成要項を満たす必要はない――《魔法の武器防具作成》を持つウィザードは、通常のアーク・ピストルを+1アーク・ピストルにする際、《科学技術武器防具作成》を持つ必要も、軍事研究所を使用する必要もない。キャラクターが何もない状態からアイテム全体を作成したいと望む場合、魔法による強化を開始する前に、魔法のものでない科学技術アイテムを完全に作成し、完成させる必要がある。
新しい科学技術アイテムは、インスピレーションがわけば既存のアイテムを用いて作成できるし、作成すべきである。新しいアイテムは、ウィングド・ブーツ同等に機能するジェット・パックのように、既存の魔法のアイテムに似ているかもしれない。しかし科学技術らしさを保つため、単なるバッテリーの電力を超える差が存在しなければならない。新しい科学技術アイテムの価格を決定する際、魔法のアイテムの価格を決定する既存の指針を用いること。長所に付随して追加の長所を持つため、科学技術アイテムであるからといって追加の費用はない。チャージを使用するアイテムは単純使用型であるかのように価格を決定すること。このアイテムが消耗品で50回以下のチャージしか持たないのでない限り、新しく作成した科学技術アイテムは比較的容易に再チャージできる。そのため、ワンドやリング・オヴ・ラムのようなチャージを持つアイテムと同じように価格を決定してはならない。