文明化された人々は常に夜を恐れ、影が長くなりまさに闇を徘徊するクリーチャーに気をつける頃合になると、あるいは戸口を閉ざし、あるいはかがり火に慰みを得る。それでもなお、はるか昔、ある者が敵に打ち勝つ最良の手段は闇にいだかれることだと悟った。かの者こそ最初のシャドウダンサー(影の踊り手)である。
シャドウダンサーは光と闇の境界に身を置き、そこで影を織り成して半ば視認できる欺きの技の匠となる。規定の道徳観や慣習法にとらわれぬシャドウダンサーは、闇に価値を見出す多岐にわたる種類の冒険を包括する。呪文の使い手はシャドウダンサーの能力を使って隠れながら安全に呪文を発動し、その後はすばやく離脱する。接近戦を熱烈に愛するクラスは敵に意外性のある攻撃をくわえるシャドウダンサーの能力を享受する。シャドウダンサーの中にはまったくの文字通りに名が体を表しているものさえおり、薄気味悪くはあるが神秘的な芸人や舞踏家となるのだが、大抵はその欺きと潜入の能力がもたらす誘惑によりシャドウダンサーは盗賊としての人生へと転じていく。
役割:シャドウダンサーは多種多様な理由で冒険に出る。多くの冒険パーティーは、その信じがたいほどの隠密性と期待しがたい状況でも電光石火の攻撃で敵を不意討ちする能力により、シャドウダンサーをチームの有益なメンバーと見なす。この理由から、しばしばシャドウダンサーの助けを斥候やスパイを必要とするグループが求めてくる。
属性:見た目通りに裏表のあるトリックスターとしての本質のため、シャドウダンサーが秩序の範疇に気持ちよく収まることはない。多くの者はシャドウダンサーの能力を公的権威の目を逃れるのに使う。闇の輩であるとはいえ、シャドウダンサーは生来の悪でもなければ善に傾倒しているわけでもない。シャドウダンサーにしてみれば、闇は単に闇でしかなく、無知蒙昧の輩に作られたよくある道徳的含意など何一つありはしないのだ。
シャドウダンサーになるためには、キャラクターは以下の基準すべてを満たさなければならない。
シャドウダンサーのクラス技能(と各技能の対応能力)は、〈隠密〉【敏】、〈軽業〉【敏】、〈芸能〉【魅】、〈交渉〉【魅】、〈脱出術〉【敏】、〈知覚〉【判】、〈手先の早業〉【敏】、〈はったり〉【魅】、〈変装〉【魅】。
レベルごとの技能ランク:6+【知力】修正値。
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以下のすべてがシャドウダンサー上級クラスのクラス特徴である。
武器と防具の習熟:シャドウダンサーはクオータースタッフ、クラブ、(ハンド、ライト、ヘヴィ)クロスボウ、サップ、ショート・ソード、(普通およびコンポジットの)ショートボウ、ダーツ、ダガー(すべての種類)、モーニングスター、メイス、レイピアに習熟している。シャドウダンサーは軽装鎧に習熟しているが、盾には習熟していない。
影隠れ(超常)/Hide in Plain Sight:シャドウダンサーは人々に見られている時でも〈隠密〉技能を使用することができる。薄暗い照明の範囲から10フィート以内にいるならば、シャドウダンサーは背後に身を隠せるようなものが一切ない開けた場所でも姿を隠すことができる。ただし、自分の影に隠れることはできない。
身かわし(変則)/Evasion:クラス・レベルが2レベルになると、シャドウダンサーは身かわし能力を得る。普通ならキャラクターが反応セーヴィング・スローを試みて成功すればダメージを半分にできるような、あらゆる効果にさらされた場合、シャドウダンサーは反応セーヴィング・スローに成功すれば、まったくダメージを受けなくなる。身かわし能力は、シャドウダンサーが軽装鎧を着ている時か、まったく鎧を着ていない時にのみ使用できる。
暗視(変則)/Darkvision:クラス・レベルが2レベルになると、シャドウダンサーは範囲60フィートの暗視を得る。シャドウダンサーがすでに暗視を持っていたら、その暗視の範囲が30フィートぶん増加する。
直感回避(変則)/Uncanny Dodge:クラス・レベルが2レベル以上で、シャドウダンサーは、たとえ不可視状態の敵に攻撃された場合であっても、立ちすくみ状態になることはない(訳注:この記述と同様のものはバーバリアンにもあったがそちらはエラッタで変更されたため、シャドウダンサーの直感回避も同様に変更した方が良い可能性がある)。シャドウダンサーが動けない状態になれば、やはりアーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスは失われてしまう。この能力を持つシャドウダンサーは、相手がシャドウダンサーに対するフェイント・アクションに成功した場合、やはりアーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスを失う。
シャドウダンサーがすでに他のクラスで直感回避を獲得していた場合、シャドウダンサーは直感回避の代わりに“直感回避強化”を自動的に獲得する。
ローグの技/Rogue Talent:3レベルに到達した際、および以降の3レベルごとに、シャドウダンサーは敵を仰天させることができる特殊能力を得る。この能力はローグの技と同様に働く。シャドウダンサーは個々の特殊能力を2回以上選ぶことはできない。シャドウダンサーが上級の技を持っていたら、シャドウダンサーは代わりにローグの上級の技のリストから選択できる。
影の幻術(擬呪)/Shadow Illusion:クラス・レベル3レベル以降、シャドウダンサーは視覚的な幻を作り出すことができるようになる。この能力はサイレント・イメージのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはこの能力を自分が持つシャドウダンサー・レベル2レベルごとに1日に1回使用できる。この能力のセーヴ難易度は【魅力】に基づく。
シャドウ招来(超常)/Summon Shadow:クラス・レベルが3レベルになると、シャドウダンサーは影のようなアンデッドである、シャドウを招来することができるようになる。通常のシャドウと異なり、このシャドウはシャドウダンサーと同じ属性を持ち、同族を作ることができない。この能力で招来されたシャドウは、正のエネルギー放出によるダメージを半分にするために行なう意志セーヴに+4のボーナスを受け、退散したり、支配したりすることはできない。このシャドウはシャドウダンサーに相棒として仕え、シャドウダンサーと明瞭に意志の疎通をとることができる。このシャドウはシャドウダンサーの合計ヒット・ポイントの半分に等しいヒット・ポイントを持つ。このシャドウはシャドウダンサーの基本攻撃ボーナスと基本セーヴ・ボーナスを使用する。
相棒のシャドウが破壊されたり、シャドウダンサーがシャドウを解雇したりすることにした場合、シャドウダンサーは頑健セーヴィング・スロー(難易度15)を行なわなければならない。このセーヴィング・スローに失敗すると、シャドウダンサーは恒久的な負のレベル1レベルぶんを得る。セーヴィング・スローに成功すれば、負のレベルを受けずにすむ。相棒のシャドウが破壊されたり、シャドウダンサーが解雇したりした場合、30日の間、代わりを見つけることはできない。
影の召喚(擬呪)/Shadow Call:4レベルに達すると、シャドウダンサーは素のままの影からクリーチャーや効果を作り出すことができるようになる。この能力はシャドウ・カンジュレーションのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはクラス・レベル4の時点でこの能力を1日に1回使用でき、4レベルを超える2レベルごとに追加で1日に1回使用できる(6レベル時は2回/日、8レベル時は3回/日、10レベル時は4回/日)。クラス・レベルが10レベルに到達した時点で、この能力はグレーター・シャドウ・カンジュレーションのように働く。この能力のセーヴ難易度は【魅力】に基づく。
影渡り(超常)/Shadow Jump:クラス・レベル4レベル以降、シャドウダンサーはディメンジョン・ドア呪文を使ったかのように影と影の間を移動する能力を得る。この魔法による移動は、少なくとも何らかの薄暗い照明の範囲内で始まり、別の薄暗い照明の範囲内で終わらなければならないという制限がある。シャドウダンサーはこの方法で、1日に合計で40フィートまで跳躍することができる。これは40フィートの跳躍を1回でもよいし、10フィートの跳躍を4回でもよい。それ以降クラス・レベルが2レベル成長するごとに、シャドウダンサーが1日に跳躍できる距離は倍々に増えていく(6レベルで80フィート、8レベルで160フィート、10レベルで320フィート)。この距離は何回もの跳躍に分割することはできるが、それぞれの距離は、どれだけ短いものであろうと、10フィート単位で計算される。
打撃のいなし(変則)/Defensive Roll:クラス・レベルが5レベルから、1日1回、シャドウダンサーは命取りになりかねない打撃の力を逃そうと試みることができる。この能力はローグの同名の上級の技と同様に働く。
直感回避強化(変則)/Improved Uncanny Dodge:クラス・レベルが5レベル以上のシャドウダンサーは挟撃されなくなる。この防御を持つシャドウダンサーに対して、ローグは挟撃による急所攻撃を行なうことができない。ただし、ローグのクラス・レベルが、目標のシャドウダンサー・レベルより4レベル以上高い場合、ローグは急所攻撃を行なうことができる。
このキャラクターがすでに他のクラスで直感回避を獲得していた場合、ローグに挟撃され得るかどうかを判断する際、直感回避を授けるクラスのクラス・レベルをすべて累積させることができる。
心術破り(変則)/Slippery Mind:7レベル以降、シャドウダンサーは心術呪文をはねつけるようになる。この能力はローグの同名の上級の技のように働く。
影の威力(擬呪)/Shadow Power:8レベルに達したシャドウダンサーは素のままの影を用いて敵にダメージを与えることができる。この能力はシャドウ・エヴォケーションのように働き、シャドウダンサー・レベルを術者レベルとして使用する。シャドウダンサーはクラス・レベル8の時点でこの能力を1日に1回使用でき、10レベルに到達すると追加で1日に1回使用できる。この能力のセーヴ難易度は【魅力】に基づく。
身かわし強化(変則)/Improved Evasion:このクラス・レベルが10レベルの時に得られる能力は、身かわし能力と同様に機能する(上記参照)。シャドウダンサーは、反応セーヴに成功すればダメージが半分になる攻撃に対して反応セーヴに成功すればまったくダメージを受けない。さらに、セーヴィング・スローに失敗しても半分のダメージしか受けない。
影のあるじ(超常)/Shadow Master:クラス・レベルが10レベルに到達すると、シャドウダンサーが薄暗い照明の範囲内にいる場合はいつでも、シャドウダンサーはダメージ減少10/―およびすべてのセーヴィング・スローに+2の幸運ボーナスを得る。加えて、シャドウダンサーが薄暗い照明の範囲内にいる敵に対してクリティカル・ヒットとなった場合はいつでも、その敵は1d6ラウンドの間盲目状態となる。