ゴブリンは破壊衝動と食欲に突き動かされた、子供のようなクリーチャー種族である。それ故に彼らは、ほぼ例外なく嫌われている。脆弱で卑怯なゴブリンは、破壊的で使い捨てのできる兵士を必要としている、彼らより強力なクリーチャーに操られたり奴隷にされたりしていることが多い。そうしたゴブリンたちは自らの生き残る機転を頼りとしている。彼らは社会の末端に生きて、自分たちよりもずっと文明の進んだ種族の弱者やゴミを食料とする。他のほとんどの種族は彼らのことを、滅ぼすことのできない悪性の寄生生物と見なしている。
ゴブリンはほとんどなんでも食べるが肉食を好み、人間やノームの生肉は貴重で手に入れることが難しいごちそうだと考えられている。彼らは自分たちより大きな種族を恐れるものの、ゴブリンの記憶力は短く食欲は底抜けだ。彼らはしばしばその有害な衝動を満たし食料庫をいっぱいにするために、他の種族に戦争を仕掛けたり襲撃をかけたりすることになる。
身体的特徴:ゴブリンは背が低く醜い人型生物で、全長3フィート(約90cm)を超えるほどしかない。その貧相な肉体は不相応に大きい頭がついている。通常髪はなく、馬鹿でかい耳とビーズのような赤い(たまに黄色の)目がついている。ゴブリンの肌の色は周囲の環境に応じて様々である。よく見られる肌の色は緑、灰色、青といったところだが、黒や青白いゴブリンが見られたこともある。その飽くなき欲求は、ギザギザした歯でいっぱいの大きな口によって満たされている。
社会:暴力的だが想像力に富むゴブリンは、単に力に押し付けられた原始的な部族構造を持つ。彼らが農業や狩猟と採取で必要なものをそろえることはほとんどない。ゴブリンの部族は食料の豊富な場所か、盗んでこれる場所の近くに住む。意義のある要塞を建設する能力もなく、利便性のよい場所からはあっさりと追い出されてしまうため、ゴブリンは不快でへんぴな場所に住むことが多い。彼らの建築技術や計画技術は未熟なため、加工されていない洞窟やぼろぼろの村、廃墟にそのまま住むことになる。道具をうまく使ったり農業に熟練したゴブリンはほとんどいない。ゴブリンが持つ価値ある珍しいアイテムは、人間や他の文化から持ってきた、分解された道具であることが多い。
ゴブリンの食欲と計画性の低さにより、小さな部族は強力な戦士が多数派を占める。もっともたくましいゴブリンの指導者でさえ、食料源を確保し部族にいるもっと攻撃的な若者を全滅させることが、頻繁な襲撃行為を元にした自分の生き残る術なのだとすぐに気付く。ゴブリンの男性と女性はいずれも醜くて意地が悪い。いずれの性別であっても、部族において権力のある地位に登りつめることができる。
ゴブリンの赤ん坊は生まれてすぐにほぼ完全に自給自足できる。このような赤子はペットのように扱われる。多くの部族は大人が彼らのことをほとんど忘れられるように、かごや囲いの中で子供達を共同で育てる。若いゴブリンの死亡率は高い。食事を与えなかったり食料が乏しくなったりすると、子供達はゴブリンの部族で生き残る最善策に、しばしば同族食いが挙げられるのだということを若くして知ることになる。
種族関係:ゴブリンは他の生物を食料源と見なすことが多い。そのためほとんどの文明を持つ種族とのつながりに乏しい。ゴブリンはしばしば人間の街の外れに住み、弱いものや道に迷った冒険者を獲物とする。そして時にはすさまじい食欲を満たすために、小さな村を襲撃することもある。彼らはノームにとりわけ憎悪を抱き、祭りにおいてはノームを捕え殺すことで祝う。ほとんどの一般的な種族の中でも、ハーフオークはもっともゴブリンに寛大である。彼らは似通った祖先を共有し、多くの社会で同じように疎まれた経験を持つからだ。しかしゴブリンは、ハーフオークが持つ共感にほとんど気付くことはない。彼らは他の人型生物よりも大きくて意地汚く、味が悪いという理由でハーフオークを避ける。
属性と宗教:ゴブリンは強欲で移り気であり、生来の破壊衝動を持つ。それ故に彼らのほとんどは中立にして悪か混沌にして悪である。
冒険者:ゴブリンの冒険者は好奇心が強く世界中を旅したがることが多い。しかし彼らはその愚かな悪事により追い出されたり、あたりかまわずものを壊して駆り立てられたりすることが多い。その有害な気性のため、彼らが文明的な種族と協力して行動することはほとんどできない。だからゴブリンは文明の縁や自然の中を旅することを好む。十分に長く生きている大胆なゴブリンはゴブリン・ドッグやその他の風変わりな乗騎に乗ることが多く、自分たちより大きな敵と接近することのないように弓術に卓越する。ゴブリンの呪文の使い手は破壊を撒き散らす手法として、火の魔法や爆弾を他の手段よりも使いたがる。
男性名:ゴグマーチ、ゾブマグル、ブーガブ、ロットフット。
女性名:ギードラ、グームルガ、ホグロブ、ラッカムス。
+4【敏捷力】、-2【筋力】、-2【魅力】:ゴブリンは素早いが脆弱で、一緒にいると不快な気分になる。
ゴブリン類:ゴブリンは(ゴブリン類)の副種別を持つ人型生物である。
小型:ゴブリンは小型のクリーチャーであり、アーマー・クラスと攻撃ロールに+1のサイズ・ボーナス、戦技ボーナスと戦技防御値に-1のペナルティ、〈隠密〉判定に+4のサイズ・ボーナスを得る。
素早い/Fast:ゴブリンはそのサイズの割に素早く、その基本移動速度は30フィートである。
言語:ゴブリンはゴブリン語の会話ができる状態でゲームを開始する。高い【知力】を持つゴブリンは以下から追加の言語を選択できる:オーク語、共通語、ドワーフ語、ノーム語、ノール語、ハーフリング語、竜語。
以下の種族特性を既存のゴブリン種族特性の代わりに選択してもよい。これらの新しい選択肢を選ぶ前に、GMに許可を求めること。
洞窟を這うもの/Cave Crawler:洞窟で生まれ育ち、ほとんど日の光を見たことがないゴブリンもいる。この特性を持つゴブリンは登攀移動速度10フィートと、登攀移動速度を持つことに関連した〈登攀〉判定に+8の種族ボーナスを得る。この種族特性を持つゴブリンは基本移動速度が20フィートとなり、素早い移動速度の種族特性を失う。
街のごみ漁り/City Scavenger:人間の街の境界に住むゴブリンはごみを漁りはぐれた動物を狩って命をつないでいる。この特性を持つゴブリンは〈生存〉と〈知覚〉判定に+2の種族ボーナスを得る。加えて、街で食料を集めるために〈生存〉を使用することができる。この種族特性は得意技能と置き換える。
悪食/Eat Anything:適切な食事をほとんど、あるいは全く食べることなく育つ多くのゴブリンは、食べても病気になりそうにないものが見つかれば、それが何であれ食べることで生き残る術を学んでいる。この特性を持つゴブリンは食料を探すために行う〈生存〉判定に+4のボーナスを得る。加えて吐き気がする状態や不調状態の原因となる効果に対するセーヴに+4の種族ボーナスを得る。この種族特性は得意技能と置き換える。
石頭に大きな歯/Hard Head, Big Teeth:ゴブリンは風船のような頭とばかでかい口で知られる。しかしカミソリのように鋭い歯でいっぱいの、ありえないほど肥大した頭を持つものもいる。この特性を持つゴブリンは主要肉体攻撃として噛みつき攻撃を得る。この攻撃は1d4ポイントのダメージを与える。この種族特性は得意技能と置き換える。
でか耳/Over-Sized Ears:ゴブリンの耳が華奢なことは決してないが、非常に小さな音でさえ聞き分けるほどの、奇妙なほどに大きな耳を持つものもいる。この種族特性をもつゴブリンは、〈知覚〉判定に+4のボーナスを得る。この種族特性は得意技能と置き換える。
木走り/Tree Runner:人跡未踏の熱帯雨林や湿地では、足場にする乾いた地面を見つけることさえ難しい。このような地域に住むゴブリンの部族は、木の上に住む術を学んでいる。このようなゴブリンは〈軽業〉と〈登攀〉判定に+4の種族ボーナスを得る。この種族特性は得意技能と置き換える。
武器精通:ゴブリンが伝統的に使用する武器はドッグスライサーとホースチョッパーである。これらの武器は彼らがもっとも憎む敵達を仕留めるために特別にあつらえたものだ。この特性を持つゴブリンはドッグスライサーとホースチョッパーに習熟する。加えて、“ゴブリン”と名前にある全ての武器を軍用武器として扱う。この種族特性は得意技能と置き換える。
以下のオプションは記載された適性クラスを持つゴブリンが利用できる。他に特記無い限り、これらのボーナスは適性クラスを選択するたびに得ることができる。
アルケミスト:アルケミストは[火炎]に対する抵抗1を得る。この利益を選択するたびに、[火炎]に対する抵抗は+1ずつ増加する。この[火炎]に対する抵抗は、他の効果によって得られるものとは累積しない。
ウィッチ:ウィッチの使い魔へウィッチ呪文リストから呪文を+1加える。この呪文はウィッチが発動できる最も高い呪文レベルより少なくとも1レベル低くならねばならない。ウィッチが使い魔を入れ替える場合、新しい使い魔はこれらのボーナス呪文を修得している。
オラクル:[火炎]の補足説明を持つ呪文を発動する際に行う精神集中判定に+1を加える。
ガンスリンガー:火器を使用したクリティカル・ロールに+1/3を加える(最大ボーナスは+5)。このボーナスは《クリティカル熟練》と累積しない。
キャヴァリアー:キャヴァリアーの乗騎の相棒のヒット・ポイントに+1を加える。キャヴァリアーが乗騎を変更する場合、新しい乗騎はこのボーナス・ヒット・ポイントを得る。
サモナー:幻獣の進化プールに+1/4進化ポイントを加える。このボーナス進化ポイントは[火炎]ダメージを与える進化か[火炎]から幻獣を守る進化(例えば、エネルギーを帯びた攻撃、完全耐性、抵抗、ブレス攻撃など)でなければならない。
ソーサラー:ソーサラーの呪文リストから修得呪文を+1する。この呪文はソーサラーが発動できる最も高い呪文レベルより少なくとも1レベル低くなければならず、[火炎]の補足説明を持っていなければならない。
ドルイド:ドルイドの動物の相棒のヒット・ポイントに+1を加える。ドルイドが動物の相棒を変更する場合、新しい動物の相棒はこのボーナス・ヒット・ポイントを得る。
バーバリアン:素手攻撃や肉体武器によって行うクリティカル・ロールに+1/2を加える(最大ボーナスは+4)。このボーナスは《クリティカル熟練》と累積しない。
レンジャー:ドッグ(および犬のようなクリーチャー)とホース(および馬のようなクリーチャー)に与えるダメージに+1/2のボーナスを得る。
ローグ:不意討ちラウンドの間や目標が戦闘で行動する前に行う、ローグの急所攻撃のダメージ・ロールに+1のボーナスを加える。
歯ぎしりする野蛮人は動物によって育てられたか捨てられたかの理由で自然の中で育ち、すぐに自力で生きていく術を学んだ。このようなバーバリアンはしばしば部品を組み合わせた鎧を使い、その鋭い歯と手の届くところにある即興の武器で戦う。歯ぎしりする野蛮人は以下のクラス特徴を持つ。
武器と防具の習熟:歯ぎしりする野蛮人はグレートクラブを除く全ての軍用武器の習熟を失い、中装鎧の習熟も失う。
獰猛な噛みつき(変則)/Savage Bite:1レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人は獰猛な噛みつき攻撃を得る。これは1d4ポイントのダメージを与える主要肉体攻撃である。ゴブリンがすでに石頭に大きな歯種族特性を持つ場合、このダメージは1d6に増加する。10レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人の噛みつきによるダメージは1d6(石頭に大きな歯種族特性を持つなら1d8)に増加し、クリティカル・ヒットにおいて×3ダメージを与える。この能力は高速移動と置き換える。
あり合わせの装備(変則)/Impromptu Armament:2レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人は《万能投擲術》をボーナス特技として得る。加えて、フリー・アクションとして、片手で装備することのできる何者にも装備されていない物体1つを持ち上げることができる。さらに、歯ぎしりする野蛮人は激怒パワー1つの代わりに《代用武器の巧み》を修得することができる。この能力は2レベルの激怒パワーと置き換える。
噛みしめ(変則)/Lockjaw:3レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人は自身の噛みつき攻撃につかみ能力を得る。歯ぎしりする野蛮人は自身よりも1段階大きいサイズまでのクリーチャーに対して、この能力を使用することができる。この能力は罠感知+1と置き換える。
《代用武器体得》(変則):5レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人は《代用武器体得》をボーナス特技として得る。この能力は直感回避強化と置き換える。
噛みしめ強化(変則)/Improved Lockjaw:6レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人が自身の噛みしめ攻撃で組みつきを制御している間、組みつき状態になることはない。しかし自身は移動することができず、口を組みつき以外の目的に使用することもできない。この能力は罠感知+2と置き換える。
上級噛みしめ(変則)/Greater Lockjaw:9レベルと15レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人が噛みしめによるつかみ能力を使用することのできるクリーチャーのサイズが1サイズずつ増加する。この能力は罠感知+3および罠感知+5と置き換える。
いけてる即興攻撃(変則)/Wicked Improvisation:12レベルの時点で、歯ぎしりする野蛮人は代用武器と肉体武器をさらにうまく活用できるようになる。歯ぎしりする野蛮人は激怒中に肉体武器や代用武器を使用する際、ダメージ・ロールに+1の技量ボーナスを得る。14レベルと以降2レベル毎に、このダメージ・ボーナスは+1ずつ増加する。この増加は精密性によるダメージではなく、クリティカル・ヒットにおいて増加する。この能力は罠感知+4と置き換える。
激怒パワー:以下の激怒パワーは歯ぎしりする野蛮人アーキタイプを補完する:鋭敏嗅覚、ダメージ減少上昇、呪い避け; 獣のトーテム、獣のトーテム(下級)、獣のトーテム(上級); 亡霊激怒者、魔法喰らい。
炎の爆弾魔は爆弾を使用してクリーチャーを焼き、ものを爆発させることに異常なほど卓越している。しかし他の爆弾やエキスを作ることはそれほどではない。炎の爆弾魔は以下のクラス特徴を持つ。
炎の砲手(超常あるいは変則)/Fire Bombardier:1レベルの時点で、炎の爆弾魔が[火炎]ダメージを与える爆弾を投擲する際には、飛散半径にいる全てのクリーチャーは[火炎]ダメージを及ぼすダイスごとに追加の1ダメージを受ける。炎の爆弾魔は[火炎]ダメージを与える爆弾や錬金術物質のダメージにのみ、【知力】ボーナスのみを加える(訳注:通常は全ての爆弾や錬金術物質のダメージに【知力】ボーナスを加える)。それ以外の点においては、このこの能力は錬金術師の爆弾と万能投擲術能力と同様に機能する。この能力は爆弾および万能投擲術と入れ替える。
ボーナス特技:炎の爆弾魔は《炎の心》、《炎の調教師》、《焼け!焼け!焼け!》特技を、発見の代わりに選択することができる。
炎のカクテル(超常)/Firery Cocktail:4レベルの時点で、炎の爆弾魔が[火炎]ダメージ以外のダメージを与える発明を使用する際には、そのダメージ・ダイスを爆弾の元々のダメージ種別と、1d6ポイント単位の[火炎]ダメージに均一に分割することができるようになる。ダメージ・ダイスの数が奇数である場合、端数となったダイスは元々のダメージ種別として扱う。例えば、8レベルの炎の爆弾魔は、2d6ポイントの[火炎]ダメージと3d4ポイントの[音波]ダメージを及ぼす振動爆弾(訳注:通常ならば5d4ポイントの[音波]ダメージを及ぼす)を投擲することができる。この爆弾の追加効果は通常通り適用される。しかしこの混合した爆弾のセーヴ難易度は2減少する。この能力はアルケミストの4レベルの発見と置き換える。
炎の体(変則)/Fire Body:8レベルの時点で、炎の爆弾魔はエレメンタル・ボディIを3レベル処方として自らの処方リストに加える。炎の体として使用するエレメンタル・ボディはファイアー・エレメンタルとしての使用にのみ制限される。この能力は毒に対する抵抗+6と置き換える。
炎の体強化(変則)/Improved Fire Body:10レベルの時点で、炎の爆弾魔はエレメンタル・ボディIIを4レベル処方として自らの処方リスト(訳注:原文は呪文リストだが、誤記と思われるため修正)に加える。炎の体強化として使用するエレメンタル・ボディはファイアー・エレメンタルとしての使用にのみ制限される。この能力は毒に対する完全耐性と置き換える。
上級炎の体(変則)/Greater Fire Body:14レベルにおいて、炎の爆弾魔はエレメンタル・ボディIVを5レベル処方として自らの処方リスト(訳注:原文は呪文リストだが、誤記と思われるため修正)に加える。上級炎の体として使用するエレメンタル・ボディはファイアー・エレメンタルとしての使用にのみ制限される。この能力は持続変異薬と置き換える。
発見:以下の発見は炎の爆弾魔アーキタイプを補完する:業火爆弾、精密爆弾、速攻爆弾、爆散爆弾; 生贄爆弾、爆発する矢弾、ブレス攻撃爆弾; 混乱爆弾、掃射爆弾、瓶詰め粘体。
炎の烙印(超常)/Fire Brand:この発見を持つアルケミストは即行アクションとして1日の爆弾の使用回数を消費することで、自らの武器に爆弾の試薬を塗布することができる。この武器はフレイミング武器特殊能力を持つかのように、[火炎]ダメージを与えるものとして扱う。10レベルの時点で、この武器はフレイミング・バースト武器特殊能力を持つものとして扱うようになる。爆弾の試薬は1分が経過するか、武器を水に浸して沈下するまでの間燃え続ける。アルケミストはこの能力を肉体武器に使用することもできるが、ラウンド毎に、適用された肉体武器1つにつき1d6ポイントの[火炎]ダメージを受ける。
ぬいぐるみ変異薬(超常)/Rag Doll Mutagen:アルケミストが変異薬を飲むと、その肉体と骨は弾力を持ち簡単に曲げられるようになる。アルケミストは〈脱出術〉判定に自身のクラス・レベルに等しいボーナスを得、1段階サイズが小さいかのように場所を占める。さらに、落下時にダメージを半減することを目的として、反応セーヴ(難易度は15+10フィート落下する毎に+1に等しい)を行うことができるようになる。10レベルの時点でこの変異薬の効果を受けている間、全ての落下ダメージは非致傷ダメージとして扱うようになる。さらにアルケミストはこの間、自分のサイズよりも2段階サイズが小さいかのように場所を占めることができる。
ロケット爆弾(超常)/Rocket Bomb:この発見を持つアルケミストは、その爆弾を運ぶ際に特別なロケットを準備することができる。ロケット爆弾は通常の爆弾よりも遠くまで飛ぶ上大きな爆発を産むが、個々のクリーチャーを目標とすることはできない。ロケット爆弾は半径20フィートに爆発し、その範囲の全てのクリーチャーはアルケミストの通常の飛散ダメージを受ける。ロケット爆弾の射程単位は50フィートである。ロケット爆弾は精密爆弾や速攻爆弾の発見とともに使用することはできない。この発見を選択するために、アルケミストは少なくとも6レベルでなければならない。
金屑爆弾(超常)/Scrap Bomb:アルケミストが爆弾を作る際、刺突ダメージを与える金属片が炸裂するようにすることを選択できる。金屑爆弾が直接命中したクリーチャーは、反応セーヴに成功しない限り、爆弾のダメージ・ダイス毎に1ポイントの出血ダメージを被る。
以下の選択肢はゴブリンに使用することができる。GMが望むなら、他の適切な種族がこれらの新しいルールのいくつかを使用できるものとしてもよい。
以下に示すアイテムは、ゴブリンが使用する装備品の一部である。
ボム・ランチャー/Bomb Launcher:この奇妙な見た目をした、卵の形をした装置は爆弾の命中精度を高めるよう、巧妙な位置に羽が付けられている。ゴブリンのアルケミストは遠方に爆弾をより精密にぶつけられるように、この特別製の容器を使用する。爆弾を投擲する際にボム・ランチャーを使用することで、爆弾の射程単位は30フィートに増加する(ロケット爆弾の発明を付加した爆弾の場合、射程単位は70フィートに増加する)。ボム・ランチャーは使用すると壊れてしまう。
ドッグスライサー/Dogslicer:この短く曲がった剣はゴブリンのお気に入りの武器だ。この武器を軽くするために、ゴブリンは刃に無数の穴を穿つという、常ならぬ賢さを見せる。高品質のドッグスライサーは壊れやすい特別武器能力を失う。
ホースチョッパー/Horsechopper:ホースに対して優位に立つためにゴブリンが作り出したこの武器は、実のところ刃の反対側に大きな鈎の付いたハルバードである。
メロウルート/Mellowroot:コソコソしたゴブリンの族長はこのオレンジ色のペーストを、特に大規模の襲撃を掛ける前に部族の兵士に与える。メロウルートを口にすると、自分は無敵だという陶酔状態に陥る。メロウルートを口にして1時間の間、[恐怖]効果に対して+5の錬金術ボーナスを得る。しかしメロウルートの影響を受けている間、敵の機会攻撃可能域から離れようとするときには、難易度15の意志セーヴィング・スローを行わねばならない。このセーヴィング・スローに失敗すると、アクションを失うことはないものの、そのアクションで機会攻撃可能域から逃れることはできない。
スティルガット/Stillgut:この無味無臭の青みがかった液体を1ビン飲むことで、1時間の間吐き気がする状態と不調状態を避けるための頑健セーヴに+5の錬金術ボーナスを得る。すでに吐き気がする状態の場合、移動アクションとしてスティルガットを飲むことができる。このようにして飲んだ場合、二度目のセーヴィング・スローを(+5のボーナス無しで)行うことができる。ゴブリンたちはしばしば、腐敗の進んだ肉や他の食べ物を無理やり食べることができるようにスティルガットを用いる。
アイテム |
価格 |
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10GP |
1/2ポンド |
25 | |
25GP |
― |
20 | |
50GP |
― |
25 |
君はゴブリンの放火と火遊びの愛情を、さらなる高みに到達させる。
利益:錬金術や魔法的でないものによる、火による攻撃を行う際(錬金術の火(訳注:alchemical fire。おそらくalchemist's fire/錬金術師の火の誤記と思われる)や松明など)、追加で1d4ポイントの[火炎]ダメージを与える。さらに火が着かないようにしたり自分に着いた火を消したりするために行う反応セーヴィング・スローにおいて、+4の技量ボーナスを得る。この特技によって被る追加ダメージは魔法的な攻撃(アルケミストの爆弾など)や飛散ダメージには適用されない。
その手には松明が燃える。燃えるものならなんであれ、この火を贈るとしよう。
利益:未習熟によるペナルティを被ることなく、松明を武器として使用できる。さらに、[火炎]ダメージを与える近接武器における攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
利益:[火炎]の補足説明を持つ呪文に対するセーヴに+2のボーナスを得る。さらに、優れた炎の調教師を示す傷により、他のゴブリンに対して行う〈威圧〉および〈交渉〉判定に+2の状況ボーナスを得る。
前提条件:《炎の調教師》、キャラクター・レベル5、ゴブリン。
利益:[火炎]に対する抵抗5を得る。[火炎]の補足説明を持つ呪文を発動する際や[火炎]ダメージを与えるアルケミストの爆弾を投擲する際、術者レベルやアルケミスト・レベルを本来よりも1レベル高いものとして扱う。
君は大きな銃を撃つ術を学んでいる。
利益:中型の火器を、サイズが合っていない武器によるペナルティを被ることなく使用できる。
通常:サイズが合っていない武器を使用する際には、-2のペナルティを受ける。
君と行き違うクリーチャーは、気付くと自分の足に躓いている。
前提条件:《足元駆け抜け》、《回避》、《強行突破》、ゴブリン、小型サイズもしくはそれより小さい。
利益:自分より大きな敵の機会攻撃可能域や接敵面を通り抜ける際、機会攻撃を誘発しないことを目的として行った〈軽業〉判定に成功したなら、フリー・アクションとしてその敵の次のターンの終わりまで、その敵のバランスを崩させることができる。クリーチャーがバランスを崩している間、移動しようとする場合、難易度15の〈軽業〉判定に成功しなければ倒れて伏せ状態になり、その移動アクションは無駄になってしまう。ラウンド毎に1体のクリーチャーにのみ、この効果を及ぼすことができる。
(Cloak of Fangs/牙の外套)
オーラ 中程度・変成術; 術者レベル 9
スロット 肩周り; 市価 2,800GP; 重量 1ポンド
このぼろぼろに見える外套は粗末な動物の毛で覆われており、ゴブリンに非常に珍重されている。この外套を身につけることで、セーヴィング・スローに+1の抵抗ボーナスを得る。その上、着用者は1日に5回、即行アクションとしてその歯を急速に成長させることができる。歯の肥大化は1ラウンド持続し、その間に着用者は1回の噛みつき攻撃を行うことができる。この攻撃は1d4ポイントのダメージ(着用者が中型なら1d6)を与える主要肉体武器として扱う。着用者がすでに噛みつき攻撃を持つなら、この噛みつき攻撃のダメージは1段階増加する。
必要条件 《その他の魔法のアイテム作成》、オルター・セルフ, レジスタンス; コスト 1,250GP
Fire Trail/炎の足跡
系統:変成術[火炎]; 呪文レベル:アルケミスト3、ウィザード/ソーサラー3、メイガス3
発動時間:1標準アクション
構成要素:音声、動作
距離:自身
効果:術者の移動に続く炎の足跡; 本文参照
持続時間:1ラウンド/レベル
セーヴィング・スロー:なし; 呪文抵抗:可
この呪文を発動すると、術者の毛穴から可燃性の液体がにじみ出て、地面に滴り自然に発火する。この炎は術者を傷つけない。この呪文の持続時間の間、術者が場所を移すたびに、術者の接敵面が移動した経路で燃える、炎の足跡を作り出す。この炎は燃え尽きるまで1ラウンドの間燃え続ける。術者が中型もしくは小型であれば、毎ラウンド60フィートまでの炎の足跡を残すことができる。術者が中型よりも大きいなら、足跡が残る最長距離はサイズに従い短くなる。術者が大型であれば30フィートまで足跡を残すことができる(この足跡の幅は10フィート)。もし超大型なら、15フィートまで足跡を残すことができる(この足跡の幅は15フィート)。それより術者が大きい場合、毎ラウンド10フィートまでしか足跡を残すことができない(その幅は術者の接敵面と同じ)。足跡がどこに残るかは、術者が選択することができる。
炎の足跡に隣接したマスでターンを開始するクリーチャーは1d6ポイントの[火炎]ダメージを受ける。炎の足跡の中でターンを開始したり、炎の範囲に入ったクリーチャーは、1d6+術者レベル毎に1(最大+10)ポイントの[火炎]ダメージを受ける。あるクリーチャーが1ラウンドに炎の足跡が占める範囲を何度も移動したなら、炎の足跡の占める範囲に入るたびにこのダメージを受ける。炎の足跡に隣接したり、炎の足跡の占める範囲にある可燃性の物体は着火する。
Mudball/泥団子
系統:召喚術(創造)[地]; 呪文レベル:ウィザード/ソーサラー1、ウィッチ1、ドルイド1、メイガス1
発動時間:1標準アクション
構成要素:音声、動作
距離:近距離(25フィート+5フィート/2レベル)
効果:粘りけのある泥でできた、こぶし大の塊1つ
持続時間:瞬間
セーヴィング・スロー:反応・無効; 本文参照; 呪文抵抗:不可
この呪文を発動すると、術者は粘りけのある泥でできた球を一つ召喚し、遠隔接触攻撃により1体の敵の顔に放つことができる。この泥団子が命中すると、目標は盲目状態となる。毎ラウンドのターンの開始時に、この呪文で盲目状態となったクリーチャーは泥を払い落とし、この呪文の効果を終了させるために反応セーヴを試みることができる。この泥団子は効果を受けたクリーチャー自身か、隣接した別のクリーチャーによってぬぐい去ることもできる。これには標準アクションが必要となる。
Vomit Twin/吐瀉物の片割れ
系統:召喚術(瞬間移動、創造); 呪文レベル:アルケミスト3、ウィザード/ソーサラー4、サモナー3、メイガス3
発動時間:1標準アクション
構成要素:音声、動作
距離:自身
効果:術者を模した粘体の複製を作り出す
持続時間:1ラウンド/レベル
この呪文を発動すると、術者は隣接するマス1つの中に、気持ちの悪いどろどろとした自らのコピーを吐き出す。この片割れが存在する限り、術者が移動するために移動アクションを使用する時にこの片割れも同時に移動することができる。しかし術者について移動する必要はなく、他のアクションをとることはできない。発動後のラウンドで、術者のターンの開始時に、術者はテレポートを使用したかのようにこの片割れと場所を即座に入れ替えることができる。これにはアクションは必要なく、機会攻撃を誘発することもない。
片割れは移動速度30フィートで、通常通り移動により機会攻撃を誘発する。そのアーマー・クラスは10+術者の術者レベルの1/2に等しく、術者の術者レベルに等しいヒット・ポイントを持つ。片割れのヒット・ポイントが0にまで下がると破壊される。しかし持続時間が続く限り、術者は標準アクションとして新しい片割れを作り出すことができる。同時に2体以上の吐瀉物の片割れを維持することはできない。