肉体的に成熟し、大人への最後の加入儀式を済ませ、文化圏における公式な責任を負う年齢に到達すると、君は大人であると見なされる。この時点で君は、誕生から成人までに味わった感情、経験、選択すべてを足しあわせた存在だ。君は過去を分析することができるし、経験への感情的あるいは知的反応は、道徳的あるいは倫理的な視点で形作られる。
成人になってからキャラクター・クラスを選ぶというのは有り得る話だ――冒険に出る前の職歴は軍隊や学究院、神学校や交易がすべてだという人もいるかもしれないし、あっという間に成人となり極端に若い時に成熟した人もいるだろう。老年あるいは若年のキャラクターをプレイする場合、パーティの原動力は様々な形を取りうる。GMが望むなら、キャラクターのより広い、あるいはより狭い人生経験を反映させるために、キャラクター作成の間に特徴を追加するか減らすかするとしてもいいだろう(194ページの『若年キャラクター』を参照)。年齢にかかわらず、人生初期の経験は選択したキャラクター・クラスのプロローグなのだ。
以下の項目では、世界観、哲学、属性を形作るキャラクターの葛藤や弱点を探っていく――それは成人へ至る旅の結末である。本章を通して読みながら、キャンペーンに加わるまでに経験した人生を俯瞰してほしい。
葛藤はキャラクターの発達の中核である。葛藤に対する反応として取る行動は、君を定義し属性を決める。たとえ君が自らを純粋で善、公明正大、あるいは粗野で個人主義な存在だと理解していても、内外の葛藤に直面した時に実際にどのように行動するだろうか、そしてそれらの価値は変化するだろうか? 君は行動基準に従う(秩序)だろうか、葛藤を公平に解決する最良の方法を探す(中立)だろうか、すぐに正しいと思えることに従い衝動的に行動する(混沌)だろうか? 葛藤を解決する際、他の人にとって得策であるように行動することを好む(善)だろうか、コストにかかわらずすべての面で等しい決定に専念する(中立)だろうか、他の人の出資で自分自身が利益を得る決定を行う(悪)だろうか? 時間を超えて行ったこの選択は道徳的、哲学的な世界観を決めるために加えられる。
自分のことを悪だと思うキャラクターは極めて稀だ。悪のキャラクターは自らの自己中心的あるいは破壊的な行動を、自分が信じている理由によって正当化する。さらに、他の人がより良くなるために勤勉に働くが、あまりに慎ましく自らの欠点に気づいているために自分のことを善だと思えない、無私のクリーチャーも多くいる。属性について考えるときには、君がこれまでの長きにわたって作り上げた過去について説明しよう。個人的には自分がどの属性だと考えているだろうか? 本当はどの属性だろうか?
成長に従い、君は様々な対立する力や周りを取り巻く人々――兄弟姉妹、両親、同僚、ガキ大将、法律、などなど――と争う。君は自分、愛する人、興味の対象を守るための決定を行う中で、肉体的感情的な損害から身を守る術を学ぶ。これらの葛藤は心の傷、あるいは弱点として残ることがある。
弱点は君の鎧の割れ目であり、奥底で君に影響を及ぼしている君が愛するものあるいは君が恐れているものだ。難しい選択――本当の属性を本当に決めるもの――は感情的な弱点に基づく。誰かが君のボタンを押した時、その人は心の弱点を活用し、君の不安や心配事、恐怖や弱点を弄んでいるのだ。見、読み、プレイする際に最も面白いキャラクターは心理的な弱点を持っている。そのため心理的な弱点を与えることは、GMに強力なシナリオフックを提供するだけでなく、複雑で本当にいるかのようなキャラクターにする長い道のりを行くことになる。
キャラクターの弱点はこれまでの成長した歳月の経験に基づく強力な感情――愛や恐怖――にもとづいている。幼少期、君は世界、愛、忠誠、友情の第一印象を得る。青年期、複雑な新しい感情、哲学、世界を知覚する方法を取り扱う中で、君は上司や同僚の中で妥協するために争う。幼少期に学んだ教訓を思い浮かべよう。それは世界をよりポジティヴあるいはネガティヴに考える原因となっただろうか? 今日、その教訓はどのように影響を与えているだろうか? 青年期に君を傷めつけた出来事に名前をつけよう。その経験を見返して、今ではどのように感じるだろうか? 君の見方は変化したことがあるだろうか? 痛みを受けて当然だっただろうか? 君にひどいことをした人に対して今も恨みをこらえているだろうか? それらの出来事は背景を作り出す際、より早くに行った選択に関連しているかもしれない。
大人としての生活の中で、君が大切にしていたり愛していた人1名・もの1つ、あるいは君が憎んだり恐れていた人1名・もの1つに名前をつけよう。その人・ものに対する君の感情は知られていただろうか? もしそうなら、誰が知っていただろうか? 今、君に幸せ、喜び、満足をもたらした人・もの、悩み、悲しみ、むかつきをもたらした人・もののことを考えよう。何がこのような感情を生み出すのだろう? 世界から隠した自分の一部はなんだろうか、そしてなぜそんなことをしたのだろうか? もしその人物、物体、記憶、信念、価値が攻撃されたり危険にさらされたら、それを守るためにどれほど遠くまで行けるだろうか?
感情や愛情に鈍感になったキャラクターもいる。そのようなキャラクターには厳粛なモンクや雇われの将軍、無慈悲な暗殺者、危険なサイコパスが含まれ、名を上げるのはほんの僅かだ。しかしそのようなものでさえ、内なる壁の後ろに感情の核を隠し守っているのである。「感情のない」キャラクターをプレイする場合、この核が埋もれているのはどれだけ奥深くで、どのような状況下であればその壁が貫かれ暴かれるのだろう? 君の隠された面を暴く言葉や行動はなんだろうか? ほとんど何よりも重要と感じるものはなんで、それを失うと君はどうするだろう?
キャンペーンが始まるとき、キャンペーンすべてを知っている必要はない。しかしそのグループの中にある重要なつながりを構築することはパーティや物語の結束を促進する。すべてのキャラクターが異邦人として始まるキャンペーンでは、互いに協力したり援助しあう理由がほとんどないためパーティが独立した個人から構成されることになり、その物語はつながりのないものに感じゲームは不安定なものになる。対照的に、互いに知っているキャラクターが1~2名いる状態で始まったキャンペーンは、互いのキャラクターに歴史――互いをつなぐ共有した記憶――があるため動きやすい。劇では、互いに(評判だけでも)知っている人の間をつなぐシーンは、重要な関係のない人々のシーンよりもずっと優先される傾向がある。
君のグループの他のキャラクターのことを考えよう。その1人(以上)を取り上げ、重要な面識や関係を確立しよう。同じ人に雇われて働く間に過去に出会ったのだろうか? 人生の長きに渡る友人だろうか? 恋愛や他の何かの競争相手だったのだろうか? 過去もしくは現在の競争相手だろうか? 近親のものだろうか? 評判を互いに知っているのだろうか? もしそうなら、どのようなことを聞いたことがあるのだろうか?
最後に、どのキャラクターも孤立しているわけではない。悪のキャラクターでさえ、時に応じて一時的な友人グループの外にいる人々に関わりを持つ。君が定期的に関わりを持っているパーティの外にいる人のことを考えてみよう。その人物は誰で、その人物は君にとって何者だろうか? 友達だろうか? 恋人? 敵? その人物は君にどのような影響を及ぼしたのだろう? 物語の作成や将来のシナリオにつながるよう、このNPCをGMと共有しよう。