アンドーランは、アヴィスタン亜大陸の内海沿岸部中部に位置する共和国であり、内海地域の自由の故郷である。
-1700AR、タルドールの植民地として創設される。豊富な木材と良港の存在により、帝国の海軍と交易の中心地となり、強力な市民階層が生まれた。彼らは積極的に海外に雄飛して行き、アズラントの残骸の島々やアルカディア大陸にも植民していった。
4081AR、カディーラのタルドール侵攻に乗じ、シェリアックスの総督 Aspex the Even-Tongued の征服が始まる。タルドールは二正面作戦を行う力はなく、戦火を交えることなくアンドーランなどの属領の支配権を譲り渡す。
4606AR、人類の守護神エイローデンが死亡。30年以上にわたる内戦の末、シェリアックスは悪魔の国となる。
4669AR、悪魔の邪悪な支配に対して市民たちが立ち上がる。旧制度は打ち倒され、市民の選んだ代表者による統治が始まる。
現在のアンドーラン最高代表 The Supreme Elect of Andoran はアイオーメディのパラディンであるコドウィン1世 Codwin I で、行政府を指導する。 最高代表と各大臣を指名するアルマスの人民議会 the People's Counci は、5年に1度の選挙で選ばれた350名の議員で構成される。多くはかつて貴族階級だったものだが、奴隷の身から上がってきた者もいる。国の仕組みと人民の権利を定めるのは、4469年憲章 Associative Act of 4469 である。
自由共和国の安定性の礎は、効率的で活発な経済システム、平等で透明な統治機構、全ての善の宗教への寛容である、これらの維持のために多大な努力を費やしている。
銀行制度が非常に発達しており、経済の運行の潤滑剤として機能している。自由な経済活動を求める彼らは革命に大いに協力し、名誉ある地位を占めている。
しかし、近年は林業組合 the Lumber Consortium のような大ギルド、金融資本や独占企業による経済の支配が進んでおり、政府による規制にもかかわらずその力は増す一方である。
アンドーランの人々は非常に愛国心に富み、軍隊も徴募兵や傭兵ではなく志願兵によって構成されている。
陸軍の頂点はイーグル騎士団 the Eagle Knights である。一般軍の中で特に優れた功績を示した志願者のみが入団を認められる。革命の理念に献身するものなら外国人でも受け入れられる。国境と通商路の防備にあたるエリート部隊 the Golden Legion、国外でアンドーランの理念と利益のためにさまざまな活動を行う the Steel Falcons、諜報部門である the Twilight Talons の3部門に分けられている。
海軍で有名なのが、the Gray Corsairs で、the Steel Falcons と協力して奴隷船の拿捕と奴隷解放を行っている。
アンドーランは信教の自由を大切にする。悪属性の神ですら違法ではない(ただし人々からは受け入れられない)。アンドーランの精神的な守護神はアヴォラルのタルマンドール Talmandor である。
アンドーランにはいくつもの大きな都市が存在するが、その一方で自然も多く残されている。3つの大森林は造船業に不可欠の木材を供給するが、森の住人やドルイドとの諍いは数知れない。山岳地帯にはコボルドやゴブリン類が多く住み、近年できたダークランドとの通路からは地下のフェイや異形が現れる。海には他の海域同様に海賊が多く、沿岸の居住地はしばしば奴隷狩りに襲われる。
アルマスAlmas:アンドッサン河 the Andossan River の河口に位置するアンドーランの首都である巨大都市。他人の財産である奴隷を勝手に解放し、他の種族との混血児がうろつき回っていても何とも思わず、貧乏人が王様のように振る舞うという、外国人が謗るような傲慢なアンドーラン人の典型例が多く見られる。
アースフェル森 Arthfell Forest:アウグスターナの造船業を支える、西部に位置する大森林。多くのドルイドサークルとワーウルフの群れが存在し、木こりたちと衝突している。おそらく最も有名なグリーン・ドラゴン Tasathyl が住み、竜王 Daralathyxl の縄張りの中で彼に公然と挑戦し、少なくとも9回戦って生き延びている。その戦いは周囲の無関係な者にまで恐るべき被害を与えるが、その不屈さと反骨から地元民からは妙に英雄視されている。グリーン・ドラゴンらしく知識欲が旺盛で、宿敵の弱点以外にもあらゆる知識と情報を求め、しばしば冒険者をやとって近隣の遺跡を探索させる。
アウグスターナ Augustana:アースフェル森の南にある、内海地域最大の造船業の街であり、アンドーラン第2の巨大都市。アンドーラン海軍の中心と、アンドーラン最古の銀行 the Forester's Endowments の所在地。
ベリス Bellis:タルドール、ガルトとの境界である北東部国境、ヴァーデュラン森 the Verduran Forest の木材を獲得するため、セレン河西岸に半世紀前に建設された開拓者の大きな町。セレン河の物流の拠点として発展中。蜂蜜が名産として知られる。
カーペンデン Carpenden:東部のカーペンデン平原の中心である農業の盛んな小さな町。木工業によって知られる。アンドーラン陸軍の中心地。
ダークムーン谷 Darkmoon Vale:北部の昼なお暗い森林地帯。木材を求める木こりたちがコボルド、ハグ、ワーウルフなどの森の住人たちと戦う最前線。
ファルコンズホロウ Falcon's Hollow:ダークムーン谷の南、アンドッサン河の畔にある木こりの居住地。河を通じてアルマスまで木材を送り込む。町の北の荒野にあるというドワーフの財宝を求める冒険者たちの拠点となる。
オレゲント Oregent:アースフェル森の東、アンドッサン河の畔にある大きな都市。多数の鐘楼が時を告げることで知られているが、2世紀前の大地震で大きな被害を受け、現在でもいくつかが傾いている。
キャンドルストーン洞窟 Candlestone Caverns:北西部にある、2世紀前の大地震で露出した大洞窟。ダークランドのエーテル宮につながっており、グレムリンやフェイを始めとしたさまざまな地下の住人の巣窟。
ドロスカー火口 Droskar's Crag:五王山脈との境界である北部国境に存在する火山。3980ARに大爆発を起こした。その北の麓にはゴラリオン最強の竜の1頭であるレッド・ドラゴンDaralathyxl の巣がある。“第6の山王”とも呼ばれ、その縄張りは数百マイルに及び、その中に住む10頭を超える強力なクロマティック・ドラゴンたちも1頭を除いて彼を盟主と認める。近年は出現することが少なくなっているが、何らかの情報網は持っているらしく、彼が死んだりどこかに去ったことが噂されたりすると再び現れて暴れるのが常である。硬貨、財宝、人間やエルフの乙女を供物として要求する。
ノゴーサ山墓所 Necropolis of Nogortha Peaks:アースフェル森東にある、かつて存在したバーバリアン部族の奇妙な塔とトーテムに囲まれた墳墓。いくつかは墓荒らしやパスファインダーによって暴かれているが、多くは手が触れられないまま残されている。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 60. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] Hal Maclean et al.(2009). Spirit of Liberty, p. 4. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-205-0
[3] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 42. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
[4]Mike McArtor(2008). Dragon Revisited, p.50. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-165-7
カテゴリー:内海地域