アルケンスター大公国 は、ガルーンド大陸東岸のネックスとゲブの中間にある魔法欠如地帯マナ荒野(Mana Waste)に位置する、火器を含めた錬金術と工学、冶金学が非常に発展した都市国家である。
かつてこの地にはいくつかの都市が存在していた。
ネックスとゲブの数世紀に及ぶ秘術の限りを尽くした戦争のため、両国の国境地帯はいかなる魔法も使用することができず、危険な怪物が徘徊する危険地帯となり、それらの都市は信仰呪文の守りでドンガン・ホールドに立てこもるドワーフたちを除いて全て滅んだ。
4588AR、アルケンスターという野心的で奇矯な技術者がネックスの首都クオンティウムの司直の手から逃れるため、占術の通用しないこの地に辿りついた。彼は周辺諸国の魔法を使う敵から逃れ、この地の廃墟に隠れ住んできた難民たちと巡りあうことになる。
難民たちはアルケンスターの指導の下、国家を形成し、ドンガン・ホールドの孤立したドワーフたちと接触し、必要上から錬金術、工学、冶金学を発展させ、新しい武器、銃火器を発明することとなった。
4606AR、エイローデン死亡。もともと異常気象に悩まされるなど日常のことであったアルケンスターは最小限の被害で切り抜けることができた。
4690AR、大ムワンギのゴリラ王の軍勢がシャタード山脈のトンネルを通って奇襲してきた。実験段階の巨砲を奪われたりしたものの、アルケンスター人は何とか彼らを撃退し、トンネルを封鎖した。
アルケンスターは法的にはネックスの属国ということになっているが、独立国として振る舞い、ネックスとゲブの間で均衡を取るように立ち回っている。統治者はトリエッタ・リシア Trietta Ricia 女公爵ということになっているが、実際には国内のさまざまな党派の利益代表の集まりである最高議会 High Parliament が行っている。
占術や心術など、一切の魔法が使用できないこの地は“安全”な外交交渉には最適であり、ネックスやゲブのみならず、内海各国の交渉場として利用され、大きな収入源となっている。銃火器その他の技術的成果もますます利益を上げるようになってきており、アルケンスターは内海地域のパワーゲームの主要なプレイヤーの1つとなりつつある。
アルケンスターの住民のほとんどは人間(ガルーンド人とケレッシュ人)である。ドワーフの大きな居住地も存在する。
アルケンスターは小火器から大砲まで、さまざまな火器を生産し、内海地域の各国に輸出している。しかしその高価さから、生産した火器の9割は手元にとどまり、そのためアルケンスターはガルーンド大陸で最も守りの堅い国となっている。また鉱産物も豊富で、ドワーフの居留地 Dongun hold からは良質の磁鉄鉱や金、水晶が産出することで知られる。山中の国であり、植生は乏しいが、テラス状の畑でブドウが栽培されており、良質のアイス・ワインが作られており、それと引き換えにゲブから食料を輸入している。
アルケンスターは3つの区画からなる1つの都市国家であると考えられている。
アルケンスター・シティ Alkenstar City:the Hellfallen Cliffs の上にあり、そこから流れ落ちる高さ700フィートものアルケン滝 the Alken Falls からウストラディ河 the Ustradi River がネックスへと流れていく。蒸気や煙を上げる煉瓦と鉄でできた建造物では技術者が機械や高品質の合金を作り出している。河を遡ったウストラディ湖にあるガンワークス Gunworks では新たな重火器が開発され、ゴリラ王再来に備えて巨砲“ロヴァググの大口” the Great Maw of Rovagug がその砲口を西に向けている。
ドンガン・ホールド Dongun Hold:ウストラディ河の渓谷にあるドワーフの居住地。最古のドワーフの都市であるSky Citadel の1つ。豊富な鉱脈に恵まれ、アルケンスターの錬金術師や技術者たちに鉱物を供給し、他国にも輸出する非常に富裕な都市。The Bridge of the Gods という1マイルを越える巨大なアーチ橋がアルケンスター・シティの上を通って渓谷の反対側にある Cloudreaver Keep まで通じている。
マーテル Martelは the Hellfallen Cliffs の麓にある居住地で、skybrigde によってシティとつながっている。大公国の金融の中心であり、公国の富を治めた宝物庫とガンマーシャルの司令部がある。
クラウドリーヴァー砦 Cloudreaver Keep:ネックスとの境界に近いウルトラディ河の岸辺にある重武装の城砦。
スペルスカー砂漠 Spellscar Desert:マナ荒野東部の大部分を占める岩砂漠。ほとんどの場所では魔力は存在しないが、時として予測不可能な魔力の流れが暴発する。古代の戦争の遺物である人造やアンデッド、変異体の蟲や人型生物の部族がうろついている。
西部の略奪者 Western Ravage:マナ荒野の最も西、シャタード山脈 Shattered Range の山中にある大きな谷。ヒル・ジャイアント、オーガ、エティンなどの部族が多く住み、時としてとりわけ威圧的な族長に糾合されてガンワークスを襲撃に来る。近年は最も狡猾な部族は奪った大砲を小銃のように使うことを覚えている。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 58. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 110. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
カテゴリー:内海地域