巨大で、年経ることなく、そしてほぼ完全に無敵であるベヒモスは神の天罰を定命の領地にもたらす。原初の創造のエネルギーで形作られ元素の力が注ぎ込まれたベヒモスは生きているクリーチャーに似ているが、肉体の脆弱性を持たない。最高に賢い動物を凌ぐ知的さも持ち合わせるベヒモスはアクロ語を理解するが、話せない。神に優るとも劣らない者か最高の力を持つ伝説のアーティファクトがベヒモスに命令でき、そして神々さえ最弱のベヒモス1体を自領に放ちその怒りが創造者に向けられることに恐れを感じる。
定命の者が神々を崇めているのとほぼ同じ期間、定命の者たちは傲慢と神々の正しき怒りを知っている。定命の者の攻撃性が神の寛容を上回るほど肥大化した時、神々は疫病と洪水、そして恐るべき従者を向ける。そうした応報の下僕のうち、ベヒモスが最も恐れられている。神や神々の連合が原初の混沌の泉からベヒモスを創造し、肉の姿でそれを縛り、精神を正義と、進む先にあるあらゆるものを破壊したいという飢餓で満たした。そしてこの獣は獲物へ向け解き放たれる――神の怒りの矛先を向けられるに最も足ると思われる者たちに。このクリーチャーが神の怒りを見せつけたらすぐ戻せるよう、この獣が土地を踏み荒らしている間すぐ近くに留まる神格もいるが、定命の者の窮状に目を向けず、ほぼ生命のない残り火のみしかなくなるまでベヒモスに暴れさせ続ける神格もいる。世界全土がこうした生ける天罰によって破壊されたことがある。そうした粉砕された土地には世界を殺した生きた記念碑である征服した不滅のベヒモス自身しか生者はいなくなる。
ベヒモスは神々に創造されるが、その姿と表情は彼らが統治すべき3つの領域の結果である――風、地、あるいは海。これらの領地それぞれはベヒモスの一般的な3種族にも関連している――このような一般的でないクリーチャーに「一般的」といった言葉を使うのが適切だとすればだが。
広大な大地に放たれるベヒモスはサンダー・ベヒモスとして知られる。彼らはベヒモス種の中で最弱であるが依然として手に負えない存在であり、いずれにせよ世界の終末をもたらすほぼ阻止不可能な動力である。彼らは単一の国や帝国を破壊する時に選ばれるベヒモスであり、大破壊の間彼らはその土地に縛られ、そのため彼らの地球を移動する力は上位のベヒモス2種より限定されている。
複数の国や領地が神の怒りを買った時、サラシック・ベヒモスが世界の大海に送られ大災害をもたらす。海経路での交易を妨害し、湾港都市を破壊し、繁栄した沿岸部を人の住めない場所にすることで、サラシック・ベヒモスは人が脆弱になる場所で文明の破壊を推進する。応報を行なっている神はサンダー・ベヒモス数体で道を誤った領土を荒らし、サラシック・ベヒモス1体をその海に配置して大破壊のとどめにするかも知れない。
一般的なベヒモス3種の中で最も破壊的な者はテンペスト・ベヒモスであり、短時間で無数の土地を荒らし尽くせる、鳥のような身も震えるモンスターである。神々が一撃を与えたい国々の上空を支配するため、テンペスト・ベヒモスは他の同族よりも優れた機動性を持つ。神々が本当に頭を抱えた時、彼らは世界に無数のベヒモスを配置するかもしれないが、テンペスト・ベヒモス単体を超える配備を求める状況はこれらのモンスターのサイズほどに躊躇わせる――複数のテンペスト・ベヒモスを天罰として必要とするほどの冒涜と傲慢ができる世界は殆どない。
風と火で罰するシロッコ・ベヒモス、光差さぬ大海の深みのベヒモス、雷光と火で鍛造されたドレッド・ホロコースト・ベヒモス等、他のベヒモスも存在する。一部の神格は本当に唯一無二の強力なベヒモスを産むことに殊更の喜びを感じる――その力が他の多くのベヒモスとで極めて異なっているものの、多くの学者は伝説のタラスクをこの分類に入れている。どのような在り方であろうと、ベヒモスそれぞれは唯一の殺せる欠点である、不滅性の隙間を持つ。小さなこの弱点を混沌を秩序に束縛する不完全な工程のせいにする者もいれば、神々が警告として作ったと主張する者、いつかベヒモスが神々自身を上回ってしまう可能性をなくすためと考える者もいる。
ベヒモスの創造は必ずしも非情な神が無垢なる世界に大破壊をもたらそうとする行動とは限らない――善あるいは中立の神格が正義の道具として自身に仕えるよう創造することもある。より秩序的でより洗練された神々が最もベヒモスを求めがちなのは皮肉かもしれない――自然の神々は定命の者を全く罰する気にならないか、そうでなくても代わりに地震や嵐のような自然災害を使って我が儘な支持者に授業を教える。ベヒモス1体でも通常は十分であるが、時にこの種のクリーチャー複数がある世界を訪れることがある。何の慰めにもならないかもしれないが、ベヒモスに生殖能力はない――ある世界で一度に活動するベヒモスの総数がいくつであろうと、その数は神格の指示や天罰の介入なしに増えることはない。
ベヒモスが仕事を終えた時に神々がこの獣を取り除くのは皆無なため、神々を侮辱するのをやめた社会でさえベヒモスの怒りへの耐性を持つわけではない。ベヒモスによって破壊された太古の文明は未だその荒廃した中心部に、然るべき時か目覚めさせ再び猛威を振るわせる悲劇の事故かを待ちながら微睡むこのモンスターを匿っているかもしれない。
経験点614,400
真なる中立/超巨大サイズの魔獣(風、ベヒモス)
イニシアチブ +9; 感覚 暗視60フィート、非視覚的感知60フィート; 〈知覚〉+31
アーマー・クラス 40、接触8、立ちすくみ34(+1回避、+32外皮、-8サイズ、+5【敏】)
ヒット・ポイント 445(33d10+264); 再生20
頑健 +26、反応 +23、意志 +16
防御能力 阻止不可能; ダメージ減少 15/エピック; 完全耐性 [雷撃]、[火炎]、永続的な負傷、出血攻撃、[精神作用]効果、生命力吸収、石化、毒、能力値ダメージ、病気、負のレベル、(ポリモーフ)、麻痺、老化; 呪文抵抗 33
弱点 ミラクルとウィッシュに対する脆弱性
移動速度 40フィート、飛行200フィート(良好)
近接 噛みつき=+41(4d6+16/19~20、加えて“出血”)、鉤爪(×2)=+41(2d8+16、加えて“出血”)、翼=+36(8d8+8)
遠隔 鱗(×6)=+31(1d10+16/19~20、加えて“出血”)
接敵面 30フィート; 間合い 30フィート
特殊攻撃 出血(2d6)、突風、破滅的、雷撃
擬似呪文能力 (術者レベル20; 精神集中+22)
3回/日:ストーム・オヴ・ヴェンジャンス(難易度21)
【筋】43、【敏】21、【耐】26、【知】3、【判】16、【魅】14
基本攻撃 +33; 戦技ボーナス +57; 戦技防御値 73
特技 《イニシアチブ強化》、《回避》、《かすめ飛び攻撃》、《風の如き脚》、《強行突破》、《強打》、《クリティカル強化:feathers》(訳注:鱗の誤りか)、《クリティカル強化:噛みつき》、《渾身の一打》、《渾身の一打強化》、《上級渾身の一打》、《電光の如き脚》、《鋼の意志》、《ひっつかみ》、《武器熟練:feathers》(訳注:鱗の誤りか)、《ホバリング》、《迎え討ち》
技能 〈隠密〉-7、〈生存〉+15、〈知覚〉+31、〈飛行〉+29; 種族修正 +10〈知覚〉、+20〈飛行〉
言語 アクロ語(話せない)
大風(超常)/Gale テンペスト・ベヒモスは最大で台風までの風力をフリー・アクションで発生でき、即座に3つの異なる方向に現せる。これらの風はこのベヒモスから離れるようにか向かうように吹き荒れ、幅は30フィートであり1,000フィート伸びる。
鱗(変則)/Scales テンペスト・ベヒモスは標準アクションとして翼から最大で6枚の鱗を撃てる(射程単位100フィート)。
雷撃(超常)/Thunderbolt 1d4ラウンドに1回即行アクションで、このベヒモスは15d6ポイントの[雷撃]ダメージと15d6ポイントの[音波]ダメージを与え、永続的な聴覚喪失状態にする200フィートの直線の電撃を放てる(難易度34の反応セーヴに成功すればダメージは半減し、聴覚喪失は無効化される)。このセーヴ難易度は【耐久力】に基づく。
三対の翼で風に乗るテンペスト・ベヒモスは何よりも高く飛び、その影の中には死が乗っている。戦闘では、ベヒモスは高々度から投げるためだけに敵を掴み、翼で敵を打ち、剃刀刃の鱗を遠くの敵に飛ばす。テンペスト・ベヒモスの神の血はその肉体、精神、そして魂を害から守る。最強の魔法や攻撃のみがその防備を貫ける。その不滅性のため、テンペスト・ベヒモスは何者も恐れない。
生ける神罰であるテンペスト・ベヒモスは広大な都市を完全に破壊し、巨大な嵐で複数の町を荒廃させ、人里離れた山の寺院を真っ平にし、難攻不落の城塞を地面から引っぺがすためにその世界に送られる。
テンペスト・ベヒモスの到来では概して逆風が吹く前に鳥の群れが逃げ出すような荒天や酷い嵐がその前兆となる。テンペスト・ベヒモスの到着の前日、嵐は突然止む――皮肉なことにそれで犠牲者たちは開けた場所に出て、このベヒモスの直撃を受ける。
経験点307,200
真なる中立/超巨大サイズの魔獣(水棲、ベヒモス、水)
イニシアチブ -1; 感覚 暗視60フィート、非視覚的感知60フィート; 〈知覚〉+34
アーマー・クラス 37、接触1、立ちすくみ37(+36外皮、-8サイズ、-1【敏】)
ヒット・ポイント 391(29d10+232); 再生20
頑健 +24、反応 +17、意志 +14
防御能力 阻止不可能; ダメージ減少 15/エピック; 完全耐性 [火炎]、[氷雪]、永続的な負傷、出血攻撃、[精神作用]効果、生命力吸収、石化、毒、能力値ダメージ、病気、負のレベル、(ポリモーフ)、麻痺、老化; 呪文抵抗 31
弱点 ミラクルとウィッシュに対する脆弱性
移動速度 20フィート、水泳200フィート
近接 噛みつき=+39(6d6+18/19~20、加えて“つかみ”)、爪(×2)=+39(3d6+18)、尾の打撃=+34(4d6+9、加えて“足払い”)
遠隔 水噴射=+20(4d8+18/19~20、加えて“朦朧化”および“突き押し”)
接敵面 30フィート; 間合い 20フィート
擬似呪文能力 (術者レベル20; 精神集中+22)
特殊攻撃 かきむしり(爪(×2)、3d6+18)、高速飲み込み、突き押し(水噴射、20フィート)、転覆(難易度25)、飲み込み(4d6+27殴打、アーマー・クラス28、ヒット・ポイント39)、破滅的
【筋】47、【敏】8、【耐】27、【知】3、【判】16、【魅】14
基本攻撃 +29; 戦技ボーナス +55(組みつきもしくは武器破壊+59); 戦技防御値 64(66対武器破壊)
特技 《技能熟練:知覚》、《強打》、《クリティカル強化:噛みつき、水噴射》、《渾身の一打》、《渾身の一打強化》、《上級渾身の一打》、《上級武器破壊》、《神速の反応》、《薙ぎ払い》、《薙ぎ払い強化》、《能力熟練:水噴射》、《鋼の意志》、《鋼の意志強化》、《武器破壊強化》
技能 〈隠密〉-13、〈水泳〉+30、〈生存〉+18、〈知覚〉+34; 種族修正 +10〈知覚〉
その他の特殊能力 水陸両生
言語 アクロ語(話せない)
水噴射(超常)/Water Jet サラシック・ベヒモスは驚くべき力と正確さで噴水孔から水を撃てる。この水噴射は有効距離240フィートを持ち、射程単位を持たない。この水噴射が命中した目標はベヒモスの突き押しの能力の対象となり、難易度34の頑健セーヴに成功しない限り1d4+1ラウンドのあいだ朦朧状態となる。このセーヴ難易度は【耐久力】に基づく。
沿岸部で暮らす者を罰する為に神々が送るサラシック・ベヒモスは水中から船舶に厳罰を与えた後に地上の建築物や生存者に注意を向ける。その巨体にも関わらず、サラシック・ベヒモスは信じられないほど速く泳ぎ、その速度は最速の船以外の全てを容易に凌ぐ。少なくとも故郷を離れ財産を手放せ、その意思がある者であれば、地上では彼らからは容易く逃げられる。地上でも無期限に生きられアザラシのような劣悪な移動力を持っているとはいえ、サラシック・ベヒモスはすぐに重力による絶えざる引きつけに疲れてしまう。彼らが快適に浮ける海に戻る前に海岸から1、2マイルも冒険することは殆どない。
サラシック・ベヒモスは水中の巨大なマッコウクジラに似ているが、強力な前肢を使って素早く陸上に乗り上げることもできる。尾と前肢はただ一振りで木や石を粉砕できるほどで、そのあぎとは小舟を一飲みにできるほど大きく開く。
サラシック・ベヒモスの到来では概して劇的な船舶失踪の増加、奇妙な潮流、そして海中の生物が意図的に浜に乗り上げようとするという不思議な光景が前兆として起こる。サラシック・ベヒモスは大抵水面から100フィート強下で多くの時間を過ごす――しかし伝説によるとより上位のベヒモスであるドレッド・リヴァイアサンが大海の最深部にいるという。
経験点153,600
真なる中立/超巨大サイズの魔獣(地、ベヒモス)
イニシアチブ -2; 感覚 暗視60フィート、振動感知60フィート、非視覚的感知60フィート; 〈知覚〉+27
アーマー・クラス 35、接触0、立ちすくみ35(+35外皮、-8サイズ、-2【敏】)
ヒット・ポイント 337(25d10+200); 再生20
頑健 +22、反応 +12、意志 +12
防御能力 阻止不可能; ダメージ減少 15/エピック; 完全耐性 [強酸]、[火炎]、永続的な負傷、出血攻撃、[精神作用]効果、生命力吸収、石化、毒、能力値ダメージ、病気、負のレベル、(ポリモーフ)、麻痺、老化; 呪文抵抗 29
弱点 ミラクルとウィッシュに対する脆弱性
移動速度 30フィート、穴掘り30フィート
近接 噛みつき=+33(4d6+16、加えて“つかみ”)、突き刺し=+33(4d6+16)、踏みつけ(×2)=+28(2d8+8、加えて“足払い”)
遠隔 岩(×4)=+15(3d6+24 、加えて“朦朧化”)
接敵面 30フィート; 間合い 20フィート
擬似呪文能力 (術者レベル20; 精神集中+22)
特殊攻撃 岩噴き、強力雄叫び、高速飲み込み、蹂躙(2d8+24、難易度38)、飲み込み(4d6+24殴打および4d6[火炎]ダメージ、アーマー・クラス27、ヒット・ポイント33)、破滅的
【筋】43、【敏】6、【耐】26、【知】3、【判】14、【魅】15
基本攻撃 +25; 戦技ボーナス +49(突き飛ばし、組みつき、蹴散らし、武器破壊+53); 戦技防御値 57(59対突き飛ばし、対蹴散らし、対武器破壊; 61対足払い)
特技 《強打》、《蹴散らし強化》、《上級蹴散らし》、《上級突き飛ばし》、《上級武器破壊》、《突き飛ばし強化》、《薙ぎ払い》、《薙ぎ払い強化》、《鋼の意志》、《ひっつかみ》、《武器破壊強化》、《ふっとばし攻撃》、《踏み込み》
技能 〈水泳〉+20、〈生存〉+14、〈知覚〉+27; 種族修正 +10〈知覚〉
言語 アクロ語(話せない)
強力雄叫び(超常)/Mighty Roar 1d4ラウンドに1回標準アクションで、サンダー・ベヒモスは60フィートの円錐形に威力強化グレーター・シャウトの効果を複製した強力な雄叫びを出せる(頑健・難易度30でダメージを半減)。これは[音波]効果である。このセーヴ難易度は【耐久力】に基づく。
岩噴き(変則)/Rock Spitting サンダー・ベヒモスは本質的に無尽蔵に蓄えられる砂嚢から岩を噴ける。このベヒモスは標準アクションで最大4つの岩を噴け、その射程単位は60フィートである。そうした岩の1つからクリティカル・ヒットを受けたクリーチャーは難易度38の頑健セーヴを行わなければならず、失敗すると1ラウンドの間朦朧状態となる。このセーヴ難易度は【筋力】に基づく。
飲み込み(変則)/Swallow Whole サンダー・ベヒモスは5つの胃を持ち、飲み込んだ獲物をその1つに入れられる(通常は空っぽの胃を選ぶ)。
サンダー・ベヒモスは動物、植物、そして目に映る建物さえ貪るほどの全てを食い尽くす飢えによって駆り立てられてうろつく食欲として地上を歩く。彼らは森や密林で無差別に底なしのように見える5つの胃をたらふく満たし、鉱石を求めて鉱山や山を倒壊させ、戦慄している一口大の食べ物の為に居住地や要塞を消滅させる。
サンダー・ベヒモスは神々によって送り出され、邪悪な都市を破壊し、神性を傷つける大寺院や記念碑を消滅させ、そしてそれ以外の地上やそのすぐ下に神の怒りをもたらす道具として行動する。サンダー・ベヒモスが現れる数日前から小さいが不安にさせるような地震が起こり、穿孔動物たちの地上への大規模な逃走が起こり、説明のできない倒木や陥没が増加する。