冬の君臨アドヴェンチャー・パスが始まり、原因不明の冬の地域がゴラリオン中に現れてゆく。これは魔女王バーバ・ヤーガがイリセンの凍土に帰還する時が来たからであることは疑いようがない。PCたちはこれらの冬の地域の裏にある邪悪な計画を暴き、その拡散を止められるだろうか、それともゴラリオンに永遠の氷河期が訪れてしまうのだろうか?
この手引書にある選択肢はキャラクターたちを北の人々や土地と結びつけることを助けるためにあり、下記の推奨とキャンペーン特徴は冬の君臨アドヴェンチャー・パス用に改良している。これらの手がかり、示唆、そしてキャラクターの選択肢はこの一連の命取りのキャンペーンに飛び込みそれを進めるのに完璧に適したキャラクターをプレイヤーが作る手助けの為に設計された。
このアドヴェンチャー・パスにおいて、PCたちは自分たちが異常な冬に投げ込まれ運び去られて遠方の地を探検するとは知らない。この手引書では、このアドヴェンチャー・パスの計画の捻れをダメにする危険性のあるキャラクターを助ける必要性についての釣り合いをとっている。何が来るかの手がかりがなければ、その集団は砂漠走りのレンジャー、海の歌い手のバード、ダンジョン暮らしのドワーフ、そして風の元素術師のハーフリング・ウィザードといった構成になる可能性だってある――誰も大してこのキャンペーンと関連した主題を持っていない。
この手引書では君が冬の君臨アドヴェンチャー・パス用のキャラクターを作成するのを手助けする示唆と新ルールを提供しているが、このキャンペーンの詳細は究極的に君のGMの手にある。キャラクター作成を煮詰めすぎる前に、GMと話して君のキャラクターを修正させるような推奨がないか聞くこと。機会があるなら、同じキャンペーンをプレイして一緒に団結力のある集団を組む人と話すというのも良い考えだろう。
このプレイヤーズ・ガイドは徹頭徹尾プレイヤー用だが、GMにも有用な情報も含まれている。ここに再印刷されている冬の魔女アーキタイプとウィンター・ウィッチ上級クラスはプレイヤーと同様にゲーム・マスターの為でもある。そうした選択肢に加え、この手引書はGMがPCたちの集団をこのキャンペーンに適したものに纏められるようにすることの手助けとしても機能する。
この手引書を読んで情報がキャラクターたちに適切か判断したところ、余りにも明かし過ぎていたりキャンペーンに必要な箇所を補足できなかったりしたなら、GMはこの手引書をバラバラに切り裂いて自分の集団により合うようなプレイヤーズ・ガイドに改良すること。提供している情報の全てはこのキャンペーンに適切なものであるが、究極的に我々よりも君の方が君の集団について知っている。自由にこの手引書の断片からコピーとペーストして、プレイヤーに渡すための独自の書類を作ること。
このアドヴェンチャー・パスのネタバレをする気はないが、異なる集団はネタバレについての考え方で異なる標準を持っているものだ。冬の君臨アドヴェンチャー・パスと呼ばれるこれにおいて、キャラクターが接触するであろうものは寒冷な気候と凍える気温なのだとプレイヤーは推測できる。
このプレイヤーズ・ガイドを映画やテレビ・ゲームの予告編だと考えること。ここにあるものはプレイする予定のキャラクターの為にプレイヤーが良い決定をするのを助けるだけでなく、プレイヤーに口の中に入れる味を教えてもいる。プレイヤーズ・ガイドは見る者に何をするかを教えてしまう。観るつもりの映画について何も知りたくない人もいれば、映画館に行く前に観られる予告編は全部観る人もいる。映画は2時間しかないのに対し活気に満ちたキャンペーンは何時間ものセッションを何ヶ月も続けるものであるため、自分の時間を何に費やすかについて考えを持つことは重要だ――そうすれば充実した時間を過ごせるようになるだろう。
この手引書において我々は、猛吹雪が起こりそうにない場所でキャンペーンが始まるとしたら、キャラクターたちは冬に関わる準備をどのようにすべきか、について語るつもりである。最初の冒険の中でも更に最初のいくつかの遭遇では、プレイヤーは最善を尽くしてプレイヤーとキャラクターの知識を分けて考えなければならない。
この手引書はプレイヤーがキャンペーン用に面白いPCを作る手助けも提供している。君のゲーム集団の者たちがこの冒険の主題にそぐわないキャラクターを見せてきたなら、GMはそのキャラクターをこのキャンペーンに参加させる為に追加の難しい作業をする羽目になったり、あるいはそのへんてこな選択をしたプレイヤーは余り楽しめないものになったりするかもしれない――両方かも!
アドヴェンチャー・パスというものは参加する者全員に委ねられる部分が多く、始まる前に自分たちが何処へ行くのか知っている者がいることの方が多いため、もしプレイヤーである彼らがこのアドヴェンチャー・パスに適切なキャラクターを作成する機会が持てたのなら、その卓にいる者全員の幸福を確実なものにできる長い道を進むことができるだろう。
このプレイヤーズ・ガイドとこのアドヴェンチャー・パス用の製品の記述では季節外れの冬の嵐の直撃(開始地点の村とその周辺の森が雪に覆われる)を描き、イリセンへの旅という手がかりを示し、バーバ・ヤーガの帰還について語る。キャラクターを作る時にこれら全てを気に留めておくべきだが、他のそれ以上の秘密はこのキャンペーンの途中で明かされるであろうことも知っておくべきだ。
このアドヴェンチャー・パスの中でPCたちはいくつもの面白く変わった場所を訪れるだろうが、人間はそうした場所の多くで目立つことはない。より異常な種族の者たちは最初の邂逅でもっと過酷な時を過ごすことになるかも知れない。しかしながらPCたちがこのアドヴェンチャー・パスを進めていくにつれ、彼らは故郷そして常識からかけ離れた場所にいることに気付くことになるかも知れない。PCたちは奇妙な土地において全員が外国人となるであろうことから、このキャンペーンはプレイヤーが希少種族に挑戦する絶好の機会になるだろう。
冬を主題としたキャラクターの選択肢はPCたちにも利用可能であり、冷気への防備を持つことは極めて有用になるだろうが、君のキャラクターが戦うであろうクリーチャーは冷気に順応しており[氷雪]のエネルギーの種類に対する抵抗を持つであろうことは覚えておいた方がいい。
この冒険を通して、PCたちは慣れないであろう多くの場所にいる自分に気付くことになる。そのため、彼らは自分たちの社会は遭遇するNPCの持つそれとは合致しないことの方が多いと分かるかも知れない。柔軟で違う文化に従える(あるいは溶け込める)者はこのアドヴェンチャー・パスにおいて極めて協力的な者となるだろう。しかしながら頑固な個人であることに面白みを感じるキャラクターは恐らくこのキャンペーンでは難儀な時間を過ごすことになり、先々の冒険においてお荷物となる可能性もある。
冬の君臨アドヴェンチャー・パスで君たちを待ち構える危険に対しどう備えるべきだろうか? キャラクターを作成する間以下を心に留めておくこと。
凍った敵たち:冬の君臨の冒険には様々な敵がおり、その多くは凍れる気候を原住としている。君たちは動物、フェイ、低レベルの人間、そして巨人と魔獣と対面するだろう。高レベルになれば悪の来訪者やアンデッドが予期され、少数の竜さえいるかも知れない。
氷の魔法:イリセンの白魔女たちは氷の魔法の達人であるが、君のキャラクターも同様に氷の魔法に興味を持っているかもしれない。Pathfinder Campaign Setting:Inner Sea Magicにある冬の魔女アーキタイプはウィッチ・キャラクターにとって完璧であり、Pathfinder Campaign Setting:Paths of Prestigeにあるウィンター・ウィッチ上級クラス(この手引書に再印刷している)もそれは同様で、オラクルならPathfinder Player Companion:People of the Northの26ページに書かれている冬の神秘を選択して良い。ドルイドなら極地ドルイドや、ソーサラーならPathfinder RPG Advanced Player's Guideにある極北の血脈がよく似合う。同様に、Pathfinder RPG Ultimate Combatにある魔女狩り師のアーキタイプを持つインクィジターやPathfinder RPG Ultimate Magicにある呪術巧技者のアーキタイプを持つメイガスもこのキャンペーンの主題の多くに合致している。
冬の土地:冬はこのキャンペーンにおいて大きな主題であるため、君は冷たい気温と過酷な状態に立ち向かう準備をすべきである。〈生存〉は持つのがとてもおすすめな技能であり、〈隠密〉と〈魔法装置使用〉もそうだ。キャラクターたちはまたこのキャンペーンの間に新しい土地へと旅立つであろうことから、〈交渉〉、〈言語学〉、そして〈知識:地域〉もそこに暮らす人々や新天地との関わりにおいて有用となるかも知れない。寒冷な気候で生存できることは必須だが、この冒険はキャラクターたちを森、山、そして地下の環境にも連れて行くかも知れない。
このアドヴェンチャー・パスはPCたちをいくつもの遠方の、最終的に大抵のキャラクターに究極の異国感を抱かせるであろう場所や土地へと連れて行く。そうした場所の人々と意思疎通する時が来た時に成功するには、PC1人が〈言語学〉技能をよく鍛えておくといいだろう。また、このキャンペーンの初期にPCたちはイリセンの土地に足を踏み入れてもそこの住人は概して共通語を話せないが、代わりにスカルド語が彼らの言語となっている。イリセン人の一部はハリト語を話し、そしてフェイの地の一部での意思疎通では森語やアクロ語さえ有用かもしれない。
一部のキャラクターにとって、言語枠は貴重な必需品(特に人生をはじめたばかりなどは)となるが、集団のうち最低1人が開始時の言語の1つにハリト語かスカルド語を選んでおくとこのキャンペーンの冒険者御一行にとって役立つことだろう。(君はGMに、慣れていない話しかけられた言語の根底部分を理解するのに〈言語学〉技能の使用を許してくれるハウス・ルールを作ることについて話してもいいかも知れない。)キャンペーンが進むにつれ、術者はコンプリヘンド・ランゲージズやタンズを呪文選択に選ぶよう賢くなっていくだろう。
自分たちが訪れるかもしれない様々な地域についてもっと知りたいプレイヤーや冬の寒気に対しもっと準備したいプレイヤーはPathfinder Campaign Setting:Inner Sea PrimerとPathfinder Player Companion:People of the Northを見ておくべきだ。人々はどのようにイリセンに暮らしているかを知りたいプレイヤーは、パスファインダー小説のWinter Witchの読書を考えておくといい。この小説はイリセンを舞台にしているが、このアドヴェンチャー・パスの筋書きのネタバレを全くしていない。
下記のキャンペーン特徴は冬の君臨アドヴェンチャー・パスのキャラクターと結び付いている。このキャンペーンはキャラクターたちをイリセンや他の凍った冬に包まれた場所を連れて行くが、開始地点は遥か南にあるタルドールの温暖な地だ。このキャンペーン用に設計されたキャラクターはヘルドレン村の住人であるか新参者であると計画してあるべきだ。
〔魔法への適性〕/Adaptive Magic:魔法の不可思議さはいつも君を興奮させ、魔法をいじり回し実験したいという衝動を抑えられない。君はアルケミスト、ウィザード、あるいはウィッチ; パスファインダー協会の者; あるいはフェイや竜の血の混じった誰かの子供なのかも知れない。君は魔法の訓練はしておらず、偶発的な失敗をしているかも知れないが、君は魔法のアイテムを起動するコツを生まれながらにして掴んでいる。君はいつも冬の魔女と北の氷の魔導師たちの冷気の魔法に興味をそそられていて、魔法のアイテムを入手することを愛している。君は〈知識:神秘学〉と〈魔法装置使用〉判定に+1の特徴ボーナスを得、〈魔法装置使用〉は君のクラス技能になる。
〔巨人の血〕/Blood of Giants:君は大柄で、人々は君には何か巨人の血が流れているといつも言っている。子供の頃でさえ君は友人たちを見下ろすほどであり、成長するほどに君は長身に頑丈になっていった。恐らく君の頭髪は青みがかっているか、その肌は雪のように青白い。きっといつか君は北へと旅する機会を得て本物の巨人に会い、君に関する噂が本物か分かる日が来るだろう。君は武器破壊の戦技判定に+1の特徴ボーナスを得、突き飛ばしと蹴散らしの戦技に対する戦技防御値に+1の特徴ボーナスを得る。
〔冬の魔女の弟子落第〕/Failed Winter Witch Apprentice:子供の頃、君はイリセンの凍土の冬の魔女の見習いだったが、その訓練を完了できなかった。多分君はイリセンの白魔女たちの政治に同意できないところがあったか、教師の1人と口論したか、あるいは単に魔女術の訓練が合わなかったのだろう。どのような理由であれ、君は冬の魔女の地位を手放しイリセンから離れた。君が独自に鍛錬を続けているかはどうあれ、君は未だ魔女と北の氷の魔法に関する多少の知識を持っている。君は〈知識:神秘学〉と、[氷雪]の補足説明を持つ「呪文や魔法的効果」を識別する為の〈呪文学〉判定に+1の特徴ボーナスを得、それらの技能の1つ(君が選択する)は君のクラス技能となる。加えて、君はハリト語かスカルド語を得る(これは君の言語数に数えない)。
〔北国の祖先〕/Northern Ancestry:君の親の片方は北から来て、幼少の頃から聞いていた地図の真上にある凍土の話は君の想像力を掻き立てていた。または、恐らく君の祖先の1人は霜に覆われたクリーチャーの血を受け継いでいる。君はその冬の寒気の中で生きているという実感を持ち、子供の頃は雪の中で何時間も遊び回った。君が寒気を感じることは稀であり、君は北へ行きたいと常々思っていた。君は頑健セーヴに+1の特徴ボーナスと[氷雪]抵抗2を得る; この抵抗は他の発生源から得た[氷雪]抵抗と累積しない。
〔不休の旅行者〕/Restless Wayfarer:君は長い放浪生活を送っている――きっと両親が旅人(ヴァリシアの隊商の人だったとか世界を股にかける貿易商人だったとか)だったのか、君は遊牧民に属していたのか、あるいは君は若い頃に世界を旅しようと家出したのだろう。それを放浪癖と呼ぶ者もいるが、君にとって新天地としたことのない経験というものは人生に本当の生きる価値を与えるものであり、北の風吹き荒ぶ荒野ほど君の心を惹きつけるものはない。君は慣れない土地に行き、楽しい知らない人々と話を交わすことに慣れている。君は〈知識:地理〉と〈知識:地域〉判定に+1の特徴ボーナスを得、それらの技能のうち1つ(君が選択する)は君のクラス技能となる。君はまた追加で1つの言語を話せる(これは君の言語数に数えない)。
〔魔女狩り自警団員〕/Vigilante Witch Hunter:君は魔女を信用しない。彼らはこの世のものならぬ存在と関わりを持ち、野獣を友とし、大鍋で邪悪な毒を調合する。子供の頃、きっと君は邪悪な魔女の手中にあった恐ろしい命運からどうにか逃れたか、恐らく魔女の魅了によって恋人が君の手元から盗まれたのだろう。魔女になりたかったが、地元の魔女に弟子入りを断られたのかも知れない。どのような理由であれ、君は魔女を憎悪し、魔女を探し出してその邪悪さを万人のもとに知らしめることに人生を懸けている。君は北には冬の魔女が沢山いることを知っており、自分がそこに行ったなら彼らにも正義の鉄槌を下してやるつもりでいる。君は〈真意看破〉判定に+1の特徴ボーナスを得、〈真意看破〉は君のクラス技能となる。加えて、君は1d4のヘックス・ネイルを持ってこのキャンペーンを開始する(補足文章参照)。
〔魔女術に対する防護〕/Warded against Witchery:君は若い頃に時折邪悪な魔女術の力が染み込んだ場所、物品あるいは存在と出会ったことがある。君がこの力の犠牲者となったかはどうあれ、それに曝されることにより、あるいは単にその効果を目撃したことにより、その事件によって君の人生は変わってしまった。君はその奇妙な事故を乗り越えようとしているか忘れようとしているが、漠然とした危険の予感や既視感が以来ずっと君の後ろをついてまわっている。何らかの不可解な理由によって君は北国に惹かれているが、君はかつて接触した悪の魔女術ともう一度遭遇することを恐れてもいる。純真さか、良き精神の祝福か、生来の決断力か、あるいは直感的で不可解な黒魔法のやり方への精通によって、君はその黒い御業の力に対する耐性を獲得している。君は悪の秘術系術者による呪文、擬似呪文能力、そして超常能力に対するセーヴィング・スローに+1の特徴ボーナスを得、悪の秘術系術者によって発動された呪文を識別する為の〈呪文学〉判定に+1の特徴ボーナスを得る。
魔女狩り自警団員のキャンペーン特徴は以下の下級の魔法のアイテムに言及している。
(Hex Nail/まじないの釘)
ヘックス・ネイルは冷たい鉄を鍛えて作った長さ6インチの厚い釘だ。通常はお守りのように運ばれたり靴の踵の中に隠されたりするこうした雑な作りの釘は、イリセンで一般的な民の多くが北の白魔女たちや冷気のフェイに対抗して持っている唯一の保護である。ヘックス・ネイルの運搬は所有者がフェイ、ハグ、そしてウィッチの呪術、呪文、擬似呪文能力、そして超常能力に対して行うあらゆるセーヴィング・スローに+2の抵抗ボーナスを与える。ヘックス・ネイルは所有者がそうした効果の目標になった時自動的にボーナスを与える。ヘックス・ネイルはセーヴィング・スロー1回にボーナスを与えると魔法的でない釘になる。多くのヤドヴィガはヘックス・ネイルの所有を反逆行動と見做す。
費用10GP; 必要条件《その他の魔法のアイテム作成》、レジスタンス
このアドヴェンチャー・パスは1つ処に留まらない。キャラクターたちは全員同じ場所から始めるが、いつも凍えるような気温の中で過ごすことになるだろうことしか分からないところへと移動する。下記の描写はPCたちが開始する場所の描写と、冬の天候がどう影響を与えるかの入門書である。
冬の君臨アドヴェンチャー・パスは、君のキャラクターがタルドールの南にある小さな村ヘルドレンの中あるいはその付近で開始することを想定している。この地には人間、ハーフリング、ハーフエルフ、エルフ、そしてノームが暮らしている。ハーフオークは稀だがこの地では聞いたことがないというわけではなく、他の種族の者と扱いはそれほど違いはしない。また、タルドールは寛容な国でもあるため、アアシマールやティーフリング、あるいは他の奇妙でほとんどこの世のものでないような種族を見たという話を聞かないまではいかない。
ヘルドレンはタルドールの南、堺森の端の近くにある。タルドールの首都オパーラはヘルドレンの北西ほぼ200マイル先にあり、最寄りの大きな都市はジマールである――タルドールで3番目に大きな都市だ。ジャルルーン川の上にあるこの堅固な都市は南にいるカディーラ人から国境を守れるよう、多数のタルドールの部隊を収容している。デムガジという名前の小さな町がヘルドレンとは反対側の堺森の縁にある。タルドールに関する更なる情報はPathfinder Campaign Setting:The Inner Sea World GuideとPathfinder Player Companion:Taldor, Echoes of Gloryの中で見つかる。
ヘルドレンは171人の人々が暮らす小さな村であり、その殆どは農夫、牛飼いや羊飼い、そして杣人である。小さな武器庫が村の広場の北西の低めの丘の上にあり、村が攻撃された場合の避難所とできるようになっている。ヘルドレンの役所と、銀色オコジョ亭と呼ばれる1軒だけある宿屋がこの村で最も大きい建物であり、その次に大きいのはこの閑静な居住地の収入源となっている製材所である。多くの小さな村と同様、ヘルドレンにも雑貨店、鍛冶屋、厩舎、精肉店、床屋、薬局、そして村の需要を見極める賢い女性がある。この村に精神的な導きをもたらす小さな寺院はこの村の中央付近にある。この地はエラスティルを奉じているが、住人のクレリックはある個人が持つ信仰に拘らず、ここの共同体に貢献している。ヘルドレンの村はPathfinder #67に詳細があり、君のキャラクターがそこから現れる時、君はGMにその村に関する追加の詳細について話しかけても良い。この記事の一部にはこの冒険のネタバレが含まれているが、君のGMは君の経験を無駄にすることも手の内を明かし過ぎることもなく情報を提供できるかもしれない。
このアドヴェンチャー・パスでPCたちはヘルドレンの地区で開始することを想定していてさえ、最初の冒険は内海の地域であればほとんどどこでも始められるほど柔軟性がある。君のGMが別の町や村でこのキャンペーンを始めるつもりである場合、GMに、キャラクターの背景に助言がないか話してみるといい。
このアドヴェンチャー・パスは強烈な冬を主題としており、キャンペーンを通してPCたちは大量の雪、氷、そして極地の天候と遭遇する。このアドヴェンチャー・パスでの生存能力の向上の手助けのため、この天候が強調する危険の一部に目を向けること。
冷気:日中は華氏0度(約-18℃)から40度(約4℃)、夜間は10(約6℃)から20度(約11℃)は冷える。冷気に曝されると犠牲者は非致傷ダメージを受ける。寒い環境によって受けたダメージはキャラクターが寒さを防いで暖まるまで回復できない。キャラクターは自身の総ヒット・ポイントに等しい量の非致傷ダメージを受けると、以降の寒冷な環境によるダメージは致傷ダメージになる。
寒冷な天候(華氏40度[4.4℃]未満)の中保護されていないキャラクターは毎時間頑健セーヴ(難易度15、これまでの判定につき+1)に成功しない限り1d6ポイントの非致傷ダメージを受ける。〈生存〉技能を持つキャラクターはこのセーヴィング・スローにボーナスを受け、他のキャラクターたちにも同様にこのボーナスを適用させられるかも知れない(技能の記述参照)。
華氏0度(-17.8℃)を下回る厳しい冷気の中にいる備えのできていないキャラクターは10分ごとに1回の頑健セーヴィング・スロー(難易度15、これ以前に行った判定1回ごとに+1)を行わなければならず、失敗すると1d6ポイントの非致傷ダメージを受ける。〈生存〉技能を持つキャラクターはこのセーヴィング・スローにボーナスを得ることができ、このボーナスを他のキャラクターに及ぼせることがある。防寒服を着ているキャラクターは、冷気や風雪によるダメージに対して、1時間に1回だけ判定をすればよい。
冷気や風雪によって非致傷ダメージを被ったキャラクターは凍傷や低体温症を患う(疲労状態として扱う)。これらのペナルティはキャラクターが冷気や風雪により被った非致傷ダメージを回復した時に終了する。
華氏-20度(-28.9℃)を下回る極端な冷気は毎分(セーヴなしで)1d6ポイントの致傷ダメージを与える。さらに、キャラクターは1回の頑健セーヴ(難易度15、これ以前に行った判定1回ごとに+1)を行わなければならず、失敗すると1d4ポイントの非致傷ダメージを受ける。
氷の効果:氷の上を歩くキャラクターは、氷でおおわれたマス目に進入する際に2マス分の移動を支払わなければならず、〈軽業〉判定の難易度は+5上昇する。長い間、氷と接触しているキャラクターは、厳しい冷気によるダメージを被る危険がある。
氷床:地面が滑りやすい氷で覆われている。氷床に覆われたマス目に入るには、1マスあたり2マス分の移動がかかり、〈軽業〉判定の難易度は+5される。氷床を通って疾走や突撃を行うには、難易度10の〈軽業〉判定が必要である。
雪:降雪は視界、遠隔武器による攻撃、技能判定に対して、雨と同じ効果を及ぼし(視界の距離を半減し、〈知覚〉判定に-4のペナルティ)、雪に覆われたマス目に入る場合、1マスあたり2マス分の移動がかかる。1日間の降雪は地面に1d6インチの深さの雪を残す。
大雪:大雪は普通の降雪と同じ効果を有するが加えて霧(5フィートを超える視界を暗視も含め全て遮る; 5フィート離れているクリーチャーは視認困難を持つ)と同様に視界を制限する。1日間の大雪は地面に1d4フィートの深さの雪を残し、大雪に覆われたマス目に入る場合、1マスあたり4マス分の移動がかかる。大雪に疾風ないし強風がともなうと、あちこちに雪が吹き寄せられて高さ1d4×5フィートほどになったかたまりができ、特に風を跳ね返すほど大きなものの周囲や中にできることが多い――小屋や大きなテントなど。雪は炎に対しては軟風と同じ効果を及ぼす。
みぞれ:みぞれというのはつまり氷まじりの雨であり、降っている間は雨と同じ効果を有し(ただし覆われている炎を消す確率は75%)、一旦地面につくと雪と同じ効果を有する。
ひょう:ひょうは視界を狭めることはないが、ひょうの落ちる音は聴覚による〈知覚〉判定をより難しくする(-4のペナルティ)。時として(5%の確率で)、屋外にいる者全員に(1回の嵐につき)1ポイントのダメージを与えるほどの大粒のひょうが降ってくることもある。一旦地面につくと、ひょうは移動に関して雪と同じ効果をあらわす。
以下は冬の君臨アドヴェンチャー・パス用の追加のクラスの選択肢である。これらの選択肢の一部――特にウィンター・ウィッチ上級クラス――は主にGMが使用することを考えてここに入れているが、プレイヤーもこのキャンペーンで選んで良い。キャラクターをウィンター・ウィッチにする前にGMと話して、これがGMの考えているキャンペーンにどのような衝撃を与えるかを理解しておくこと。ウィンター・ウィッチのクラス能力の全ては冬という主題に適しているが、そのアーキタイプと上級クラスで書かれた能力の一部はこのキャンペーンのプレイヤー・キャラクターに利益を与えても、キャラクターの足枷になるようなクラス能力もある。
以下の動物の相棒は全員が寒冷な環境でも成長できるほどに頑丈であり、PCたちに冬の君臨アドヴェンチャー・パスでの有用性を示せるだろう。
出典 | |
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Bestiary174 | |
Bestiary 3147 | |
Giant weasel |
Pathfinder Adventure Path #6782 |
Bestiary128 | |
Bestiary 2187 | |
Bestiary 2154 | |
フロッグやリザードは冬の寒気の覆いの中では長く生きられない。以下に書かれているものは極寒での冒険により適した追加の使い魔である。
アーミン(エゾイタチ) |
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レミング(タビネズミ) |
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ターミガン(雷鳥) |
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パフィン(ツノメドリ) |
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フォックスの一般データを使用すること(Pathfinder RPG Bestiary 3112)。典型的なフォックスとアークティック・フォックスの最大の違いは、アークティック・フォックスは白い毛並みによって雪の環境にうまく溶け込めることだ。アークティック・フォックスは雪中で試みる〈隠密〉判定に+4の種族ボーナスを受ける。
経験点 65
アーマー・クラス 15、接触15、立ちすくみ12(+3【敏】、+2サイズ)
ヒット・ポイント 3(1d8-1)
移動速度 50フィート
【筋】3、【敏】16、【耐】9、【知】2、【判】12、【魅】5
基本攻撃 +0; 戦技ボーナス +1; 戦技防御値 7(11対足払い)
技能 〈隠密〉+15(+19雪中); 種族修正 +8跳躍時の〈軽業〉、+4雪中での〈隠密〉
生態
編成 単体、2体、あるいは数羽(3~16)
宝物 なし
経験点 65
アーマー・クラス 14、接触14、立ちすくみ12(+2【敏】、+2サイズ)
ヒット・ポイント 2(1d8-2)
【筋】2、【敏】15、【耐】7、【知】2、【判】14、【魅】5
生態
編成 単体、2体、あるいは群れ(3~20)
宝物 なし
アーミン/Ermine |
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ウィーゼルの一般データを使用すること(Pathfinder RPG Bestiary133)。アーミンはウィーゼルの1分類だが、この種は白い毛並みによって周囲の雪景色に融和できる。アーミンは雪中で試みる〈隠密〉判定に+4の種族ボーナスを受ける。
レミング/Lemming |
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経験点 50
アーマー・クラス 15、接触15、立ちすくみ14(+1【敏】、+4サイズ)
ヒット・ポイント 2(1d8-2)
移動速度 15フィート
【筋】1、【敏】12、【耐】6、【知】1、【判】13、【魅】4
基本攻撃 +0; 戦技ボーナス -3; 戦技防御値 2(6対足払い)
技能 〈登攀〉+5、〈隠密〉+17; 種族修正 +4〈隠密〉
生態
宝物 なし
ターミガン/Ptarmigan |
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経験点 65
アーマー・クラス 14、接触14、立ちすくみ12(+2【敏】、+2サイズ)
ヒット・ポイント 2(1d8-2)
【筋】2、【敏】14、【耐】7、【知】1、【判】14、【魅】5
技能 〈知覚〉+6、〈隠密〉+10(+14雪中); 種族修正 +4雪中での〈隠密〉
生態
編成 単体、2体、あるいは群れ(3~12)
宝物 なし
パフィン/Puffin |
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経験点 135
アーマー・クラス 16、接触16、立ちすくみ16(+2【敏】、+4サイズ)
ヒット・ポイント 2(1d8-2)
【筋】1、【敏】15、【耐】6、【知】2、【判】15、【魅】6
生態
編成 単体、2体、あるいは群れ(3~12)
宝物 なし
アウルの一般データを使用すること(Bestiary132)。スノーウィ・アウルは冬季は周囲の景色に融和できる、白い羽を持つ。アーミンは雪中で試みる〈隠密〉判定に+4の種族ボーナスを受ける。
バーバ・ヤーガの子孫たちはイリセンの凍土を統治しており、彼らはそのこの世のものならぬ起源を源流とする唯一無二の力と冷気の魔法との結び付きを持つ。その力は一部は魔法的で、一部は政治的で、一部は文化的なものだ。「こういった魔女をイリセンに働く凍結の魔法の原因だと思わない者は、そうした魔女をただイリセンの代行者だと見做すだけ」だと理解している、冬の魔女として知られるそうした継嗣は、異邦人にその力を隠そうと頭を悩ませたりすることはない。バーバ・ヤーガと直接血の結び付きを持たない者に自らの伝統を明かすことで、あるいはイリセンの家々を統治することで、彼らは冬の魔法の悪名と汚名を自力で達成できるよりも遥かに広めている。冬の魔女はイリセンで会うことが最も多いが、内海ではどこでも会う可能性があり、そこで彼らは凍結の呪文の発動と呪術の操作でイリセンの悪名を増している。冬の魔女は以下のクラスの特徴を持つ。
使い魔:自分たちが違う土地にいようと、冬の魔女は凍える北国に住まう使い魔を選ばなければならない。伝統的に、ウィンター・ウィッチの使い魔の選択肢はバット、キャット、フォックス、ホーク、アウル、ラット、レイヴン、あるいはウィーゼルに限定される。《上級使い魔》特技を取得した冬の魔女は望む使い魔を選べるが、(火)の副種別を持つ使い魔は除く。
キャントリップ:冬の魔女はレイ・オヴ・フロストを自身の呪文リストに加えるが、自動的にこのキャントリップを修得するわけではない。
守護者:冬の魔女は下記の守護者の主題のうち1つから守護者を選択しなければならない:祖霊*、欺瞞、魅了*、耐久、月、オカルト、前兆*、星*、変成、巧技、復讐*、水、冬*、あるいは判断。星印(*)はUltimate Magicに詳述される守護者の主題を指す。
氷の魔法/Ice Magic:冬の魔女が[氷雪]の補足説明を持つ呪文を発動する時、その呪文のセーヴ難易度は1上昇する。冬の魔女は[火炎]の補足説明を持つ呪文を修得することも発動することも全くできない。
冷たい肉(変則)/Cold Flesh:1レベルの時点で、冬の魔女は常時発動の擬似呪文能力としてエンデュア・エレメンツを得るが、それは寒冷な気温に対してのみだ。4レベルの時点で、彼女は[氷雪]抵抗5を得、凍えるような気温でも快適に過ごせる。9レベルの時点で、[氷雪]抵抗10に上昇し、14レベルの時点でそれは[氷雪]に対する完全耐性になる。これはウィッチの4レベルの呪術と交換する。
呪術:以下の呪術は冬の魔女アーキタイプを補完する:獣の目*、荒廃、食人料理*、邪眼、野生の言葉*、ハグの目、霜*、氷の墓標*、魔女の小屋*。星印(*)はUltimate Magicに詳述される呪術を指す。
霜の脚(超常)/Frostfoot:この能力はスパイダー・クライム呪文と同様に働くが、ウィッチが登攀する表面は凍っていなければならない。ウィッチはペナルティなしに氷の表面を渡れ、氷の上での疾走や突撃に〈軽業〉判定を行う必要がない。通常の雪をペナルティなく渡ることもでき、大雪も4マスの代わりに2マス分の移動しか費やさなくなる。
凍える慰撫(超常)/Frozen Caress:冬の魔女は接触呪文を発動する時に即行アクションとして魔法に冷気を注ぎ込める。これによりその呪文は[氷雪]の補足説明が与えられ、呪文の効果に1d4ポイントの[氷雪]ダメージが加えられる。接触呪文がセーヴィング・スロー可能なものである場合、セーヴの成功はこの追加の[氷雪]ダメージを無効化する。
北の極地の民の心の中にはウィンター・ウィッチのこの世のものならぬ力はイリセンの凍土と容赦のない貴族政治と密接な関連があるのではないかという思いが宿っている。ヤドヴィガと呼ばれるそうした統治者は血管の中にバーバ・ヤーガの苦い血を走らせており、氷、雪、そして冷気を統べる類例を見ない独自の能力を持っている。
全てのウィンター・ウィッチがイリセンの貴族と血縁関係にあるというわけではない。皺だらけの教師から技術を受け継いだ者もいれば、冬の寒風吹き荒ぶ中に声を聞いた者もいる。イリセンの外で暮らすウィンター・ウィッチの多くは文明圏の端や未開の地で暮らしており、時にその力を隠し少なくともイリセンの密偵とは見られないようにする。この推測は、長く燻る憎悪を伴う冬季戦争の記憶をリノーム諸王の地では特に真実であり、迷信深い部族の民が秘術に対して強い不信感を持っているマンモス諸侯領でも同様である。
ヒット・ダイス:d6。
1日の呪文数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1 |
+0 |
+0 |
+0 |
+1 |
― | |
2 |
+1 |
+1 |
+1 |
+1 |
氷結と氷解 |
|
3 |
+1 |
+1 |
+1 |
+2 |
異常な冷気 |
|
4 |
+2 |
+1 |
+1 |
+2 |
氷と雪の彫刻 |
|
5 |
+2 |
+2 |
+2 |
+3 |
― |
|
6 |
+3 |
+2 |
+2 |
+3 |
猛吹雪の視界 |
|
7 |
+3 |
+2 |
+2 |
+4 |
― |
|
8 |
+4 |
+3 |
+3 |
+4 |
||
9 |
+4 |
+3 |
+3 |
+5 |
― |
|
10 |
+5 |
+3 |
+3 |
+5 |
ウィンター・ウィッチとなる条件として、キャラクターは以下の要項を満たさなければならない。
呪文:最低でも3つの[氷雪]の補足説明を持つ異なる呪文を発動する能力、そのうち1つは3レベル以上でなければならない。
特殊:守護者1つと、氷の魔法(Inner Sea Magic43)のクラス特徴を持っていること。
ウィンター・ウィッチのクラス技能(と技能それぞれに関連する能力値)は〈はったり〉(【魅】)、〈威圧〉(【魅】)、〈知識:神秘学〉(【知】)、〈知識:貴族〉(【知】)、〈生存〉(【判】)、そして〈魔法装置使用〉(【魅】)である。
以下はウィンター・ウィッチ上級クラスのクラス特徴である。
武器と防具の習熟:ウィンター・ウィッチは追加の武器と防具の習熟を得ない。
1日の呪文数:指示されたレベルの時点で、ウィンター・ウィッチは1日の呪文数と守護者呪文を、ウィッチのクラスのレベルを得たかのように得る。しかしながら彼女はそのクラスが持っているであろう、1日の追加の呪文と呪文発動レベルの上昇以外の利益は得ない。
ヒューペルボリアの守護者/Hyperboreal Patronage:ウィンター・ウィッチの守護者は氷の一面を明らかにする。ウィンター・ウィッチは書かれたクラス・レベルの時点で以下の呪文を呪文リストに加えるが、自動的に修得するわけではない:3レベル―ウォール・オヴ・アイス、5レベル―アイシー・プリズンUM、7レベル―フリージング・スフィアー。
冬の魔女術/Winter Witchcraft:ウィンター・ウィッチ上級クラスのレベルは新しい呪術の修得、呪術や他のウィッチのクラス能力(アーキタイプ能力も含む)の効果、ウィッチの使い魔の能力、そして上級呪術や偉大なる呪術を選択できるレベルを判断するに際しウィッチのレベルと累積する。
氷結と氷解(超常)/Freeze and Thaw:2レベルの時点で、ウィンター・ウィッチは触った水を凍らせ氷や雪を溶かせる。標準アクションで、ウィンター・ウィッチは隣接する一辺5フィートの立方体の氷か一辺10フィートの雪を溶かせる。雪を溶かせば雪の体積の10%に等しい量の水が発生する。また、ウィンター・ウィッチは一辺5フィートの水の立方体を固い氷へと凍らせられる。この氷結は1ラウンドかけて段階的に発生し、無防備状態でもない限りクリーチャーを閉じ込めるのはほぼ不可能である。この能力はクリーチャーの体内にある水には影響を与えられない。1フィートの立方体にはおおよそ8ガロンの水が含まれており、重さは約60ポンドある。
この能力は淡水でも塩水でも働くが、水クリーチャーには影響を与えない; 水以外の液体(凍ってようといまいと)にも影響を与えない; 魔法の水、氷、そして雪にも影響を与えない。ウィンター・ウィッチはこの能力を1日にクラス・レベルの1/2に等しい回数使用できる。
異常な冷気(超常)/Unnatural Cold:3レベルの時点で、ウィンター・ウィッチの呪文、擬似呪文能力、あるいは超常能力が[氷雪]ダメージを与えたなら、影響を受けるクリーチャーは与えるダメージを判断する際に普通の[氷雪]抵抗を半減して扱うこと。
氷と雪の彫刻(擬呪)/Sculpt Ice and Snow:4レベルの時点で、ウィンター・ウィッチは自身の目的に沿うよう氷と雪を好きな形に彫刻できる(ストーン・シェイプと同様だが、氷にしか働かない)。この能力は雪にも働き、2倍の量が影響を受ける。7レベルの時点で、この能力はファブリケイト呪文と同様に氷と雪に対して機能し、操作できる量が増加しできることも高等になる。ウィンター・ウィッチは複雑なアイテムの形成や良質な精密さを持った物の形成には適切な〈製作〉判定に成功しなければならない。この能力のファブリケイト版で作成されたアイテムは超硬度の氷にまで固くなり(硬度5、厚さ1インチにつき10ヒット・ポイント)通常通りに解けることはないが[火炎]から倍のダメージを受ける。クラス・レベルにつき1時間の間氷はこの超硬度の状態であり続け、そうなったら通常の氷に戻る。ウィンター・ウィッチはこの能力を1日にクラス・レベルの1/2に等しい回数使用できる。
冬の呪術/Winter Hex:5レベルの時点で、ウィンター・ウィッチが上級呪術を選択する時、彼女は下記の呪術から選択しなければならない:氷の墓標UM、霜UM、悴む寒気(下記参照)。ウィンター・ウィッチがこの冬の呪術を全て選択したなら、彼女は以降、他の前提条件を満たした呪術を選べる。
悴む寒気(超常)/Numbing Chill:ウィンター・ウィッチが[氷雪]ダメージを与える呪文を発動したなら、彼女は即行アクションとしてその呪文に衰弱させる妖しの寒気を付与できる。呪文の目標のうちの1体か、呪文効果の範囲内のクリーチャー1体を選択すること。そのクリーチャーがその呪文で[氷雪]ダメージを受けた場合、そのクリーチャーは頑健セーヴに成功しない限り1d4ポイントの【敏捷力】ダメージを受け1ラウンドの間よろめき状態になる。その呪文が複数回ダメージを与えようと、そのクリーチャーはその呪文につき1回しかこのセーヴを行わない。目標がセーヴに成功した場合、そのクリーチャーは1日の間この呪術に対する完全耐性を持つ。これは[氷雪]効果である。
猛吹雪の視界(超常)/Blizzard Sight:6レベルの時点で、ウィンター・ウィッチは通常のものであろうと魔法的だろうと雨、みぞれ、雹、濃霧、吹雪、猛吹雪、そして類似の天候状態でも通常通り見通せる。
この世のものならぬ冷気(超常)/Unearthly Cold:8レベルの時点で、ウィンター・ウィッチの[氷雪]ダメージを与える呪文、擬似呪文能力、そして超常能力は恐ろしく冷たくなる。これらの効果で発生する[氷雪]ダメージの半分はこの世のものならぬ力を持ち、[氷雪]に基づく攻撃に対する抵抗や完全耐性によって減少しない。
氷潜り(超常)/Iceglide:10レベルの時点で、ウィンター・ウィッチは氷や雪の中を地上移動速度で努力なく動けるようになる。この移動は隧道や穴を残さず、僅かなさざ波も君の存在した痕跡も作らない。氷潜りの間、ウィンター・ウィッチは通常通り呼吸できる。氷潜りしているウィンター・ウィッチがいる範囲へのコントロール・ウォーター呪文は彼女を無作為な方向へ30フィート飛ばし、難易度15の頑健セーヴに成功しない限り1ラウンドの間朦朧状態にする。ウィンター・ウィッチは1日に10分間使用できる。この持続時間は連続している必要はないが、1分間単位で消費しなければならない。この能力の起動は即行アクションである。
容赦のない冷気(超常)/Inexorable Cold:10レベルの時点で、ウィンター・ウィッチは[氷雪]の補足説明を持つ呪文を+1術者レベルで発動できる。加えて、彼女はそうした呪文での呪文相殺、解呪、呪文抵抗克服の際の術者レベルに+1を得、自分のそうした呪文を呪文相殺あるいは解呪する難易度を1上昇する。
寒冷気候の中で旅人や探検家が使う最も一般的な装着品の幾つかを下記に列挙した。そうしたアイテムの完全な解説はPathfinder RPG Ultimate Equipmentで見つかるが、ごく一部の解説は下記でもしている。
アイテム |
費用 |
出典 | |
---|---|---|---|
20GP |
10ポンド |
Ultimate Equipment102ページ | |
5GP |
2ポンド |
Ultimate Equipment88ページ | |
80GP |
5ポンド |
Ultimate Equipment76ページ | |
8GP |
7ポンド |
Ultimate Equipment88ページ | |
20GP |
300ポンド |
Ultimate Equipment86ページ | |
薪(1日当たり) |
1CP |
20ポンド |
Ultimate Equipment64ページ |
150GP |
1ポンド |
Ultimate Equipment100ページ | |
12GP |
5ポンド |
Ultimate Equipment89ページ | |
1GP |
2ポンド |
Ultimate Equipment89ページ | |
5CP |
8ポンド |
Ultimate Equipment69ページ | |
普通のシャベル |
2GP |
8ポンド |
Ultimate Equipment71ページ |
12GP |
12ポンド |
Ultimate Equipment71ページ | |
5GP |
20ポンド |
Ultimate Equipment91ページ | |
12GP |
― |
Ultimate Equipment72ページ | |
5GP |
4ポンド |
Ultimate Equipment91ページ |
黒火粘土:この柔軟な黒い粘土は触れると常に心地良い暖かさである。1全ラウンドの間黒火粘土を手でこねると、粘土はずっと暖かくなり、寒冷な天候に対して行われるセーヴィング・スローへの+4錬金術ボーナスを与える。1分間にわたって5ブロックの粘土を混ぜ合わせることで、小さな焚き火と同等の熱源を作り出すことができ、野営地や調理した食品を温めることができる。
黒火粘土は熱だけを発し、光、煙、あるいは臭いを生じることはない。粘土は1時間をかけて熱を放つと硬化して使えなくなる。新しく製作された直方体の黒火粘土は10ブロックで構成されている。
薪:イリセンで乾燥し、また凍っていない木を見つけることは時に難しいため、この常冬の国へと旅する者の中には宿営用に自前の薪を持って行く者もいる。
雪眼鏡/Snow-Goggles:概して骨か木を削って作られ、細い隙間が空けられ革紐が取り付けられたこの眼鏡は遮光ゴーグル(Ultimate Equipment72ページ)と同様に機能する。この眼鏡は着用者の目を雪と氷から反射する眩い日光の、目を潰す輝きから保護する。