ブレヴォイは勇敢な戦士、威厳ある貴族、巧みなローグを輩出することでゴラリオン中から知られる、誇り高き地である。ブレヴォイにあるイシアとロストランドという2つの地域は、長い間互いを忌み嫌い、内戦寸前の状況にある。200年前、“征服者”コーラルの蛮族軍とレッド・ドラゴンの従者がこれらの地域を1つの王国にまとめ上げるまで、イシアとロストランドはいずれも独立した国だった。最近まで、ロガーヴィア家の厳しい法が2つの地域の間に今にも崩れそうな平和を保ってきた。しかし10年前、ロガーヴィア家は奇妙にも消失し、イシアのサルトヴァ家の指導者が暗黙のうちにブレヴォイの支配者として取って代わった。今や混迷状態に陥った政治は、秘密裏の同盟、視野の狭い忠誠、悪意ある策謀に満ち満ちている。内戦は避けられそうにない。南方のロストランドでは、剣侯らがイシアの近年の政治動向の多くを戦争のような素早い動きとみなしている。ロストランドはイシアよりも小さく、軍勢も少なく、丘陵と草原が広がる地域のため、自然による防備も見込めないので、彼らは戦争が現実化することを本当に恐れている。まずいことに、ミスト・アンド・ヴェイル湖が北方の国境として広がり、ある種の防壁として働くイシアとは異なり、ロストランドの南の国境には山賊とモンスターのはびこる自然が広がっている。ブレヴォイが内戦に呑まれたなら、暴力的で日和見的な強欲な人たちが南に向かい、このロストランドの問題を利用するのは、決して先の話ではないだろう。
この自然に満ちた南の地域は、ストールン・ランズ(盗まれた土地)と呼ばれている。これらの土地は正確には河川諸王国の一部だが、そのうちの一部では過去に一歩踏み込んだ権利主張がなされており、ロストランドは長い間山賊やモンスターによって河川諸王国から“盗まれた”と見做されている。多くのものがストールン・ランズに定住しようと試みてきたが、今のところ誰も成功していない。その結果、この33,000平方マイルに広がる誰のものでもない自然は、河川諸王国全体にある誰のものでもない土地のなかでも最大の地域となっている。ブレヴォイに緊張が走ると、ロストランドの剣侯の中にはこの事実を変えようと望むものも出てくる。彼らは数グループの冒険者に免許状を与え、彼らを南方、ストールン・ランズへと送った。最初の免許状は単純なものだ。川沿いの古い貿易経路を再復し、使用するに当たりあまりに危険な山賊たちを蹴散らすか倒すかすること。その後、ロストランドがその地域内で新諸国の成長を奨励させたがるのは――この出来立ての諸王国を同盟国として支援すれば、いずれ訪れるイシアとの衝突に忠実な支援を得ることになると信じるのは――目に見えている。これは大胆にして華麗な政治的動向である――ロストランドが自国の資源をこの仕事に振り向けるのであれば、北方への防衛力が弱まってしまうだけでなく、その露骨な権力掌握は確実にイシアに行動を起こさせることになってしまうだろうからだ。誰にも加担していないものを南に送ることで、ロストランドの剣侯はブレヴォイにおける権力や地位を犠牲にすることなく、新しい仲間を作り出すことを望んでいる。
しかし、大抵の複雑で輝かしい計画でそうであるように、危機の芽はあまりに多い。
キャラクターの一団はキングメイカー・アドヴェンチャー・パスを、南方、ストールン・ランズへ向けて送り出される4つの集団の1つとして開始する。その目的は山賊を倒し、可能なら河川諸王国に新しい国4つのうち1つを作り出すことだ。明らかに、これは簡単な使命でないだろう。このような植民を始める前に、山賊やモンスターに対処しなければならない――そして最初の使命を終えても、危険は増えるばかりなのだ。君が新しい国を育て、街を築き、農地を広げようとすると、君たちは競合相手となる武装勢力、恐ろしい獣、奇妙な教団、侵略する蛮族軍、半ば神秘に包まれた始まりの世界の住人である謎のフェイとさえ立ち向かうことになる。君はこのような敵に囲まれながら、ストールン・ランズを御し、植民を続けることができるだろうか? 王国を支配するために生き残るのは誰か? 君たちの中で、誰が王となるべく立ち上がるのか?
キングメイカー・プレイヤーズ・ガイドは、ブレヴォイ国やストールン・ランズの変化に関わる周辺地域のキャラクターを作成するための情報提供を目的としている。このキャンペーンでは、君のキャラクターは広大な自然を探検して定住し、街と国を興し、敵国と戦争することさえある。これらの特殊なキャンペーン要素の多くは、キングメイカー・アドヴェンチャー・パスの他の巻に掲載されている――シナリオを進めるために必要になれば、探索し、建国し、征服し、戦争するために必要な情報をGMが提供してくれる。特別な予告編として、このガイドの終わりにそれらの要素の幾つかを掲載しているため、ストールン・ランズでの冒険と成果を記録するのに必要となる空白の記入書式とヘックス用紙を、君は全て手にしている。
以下のページには基本種族7つと基本クラス11全ての一般的なメンバーの性質を示している。これにより、君はキングメイカー・アドヴェンチャー・パスの枠の中で好きな組み合わせを作り出せるに違いない。ブレヴォイと河川諸王国には、全ての属性、宗教、出身国のキャラクターが存在する。以下の指針は建国者たちの構想や背景を思いつく助けとなるはずだ。また、キングメイカー・アドヴェンチャー・パス専用の新しい特徴もいくつか掲載している。これを使えば、君のキャラクターがこのキャンペーンとシナリオにうまく噛み合い、つながるようになるだろう。
君たちは剣侯から、ストールン・ランズを探索し、植民するという免許状を受けた4グループの1つだ。以下にストールン・ランズの4地域について探索するために送り出された、君達とブレヴォイ人が知っていることを示す。より深く知りたいなら、キャンペーンが始まってからキャラクターは周囲の者に確認する必要があるだろう。
グリーンベルト/The Greenbelt:ナールマーチス森として知られる森林地域とケイムランズの起伏のある丘陵の2地帯が占めるこの地域は、君たちが免許状で探索の許しを受ける土地の1つだ。山賊はこの地域に極めて多く、スタッグ・ロードと自分達を呼ぶ武装勢力の旗のもとに彼らが集まったという噂は特に頭を悩ませる。君たちはグリーンベルトの北半分を可能な限り探索し、できるならこの“スタッグ・ロード”について情報を多く集め、この地から山賊の脅威を取り除かなければならない。この地域で噂される他の面倒事には、マイトの部族、コボルドの部族、いたずら好きなフェイ、いくつかの危険なモンスターや野生生物などが挙げられる。
グレナボン高地/Glenebon Uplands:剣侯は比較的熟練した冒険者の一団をストールン・ランズの最西端――蛮族王国ピタクスの支配下にあると思われる地域(しかしこの河川王国はこの地域の領土主張を示す行為をほとんどしていない)――に送った。
沼地/The Slough:東部セレン川は鉤舌沼として知られる沼地を横切る。剣侯がこの沼沢地にブレヴォイ政府の代理人を実際に送ったという噂がある。
ノーメン高原/Nomen Heights:ストールン・ランズの東端には低い山脈があり、荒廃したイオバリアの領土と接している。噂によれば、剣侯はこの地域に傭兵団を送ったという。
内戦の脅威に常にさらされているブレヴォイの住民には隣人の種族などより差し迫った関心事がある。そのため種族だけで判断する人は殆どいない。ブレヴォイ人は種族にかかわらず、慣習と忠誠に価値を置く。この地の伝統を守る人は、許し受け入れる度量が高い。そのため、この地はゴラリオンほぼすべての種族と民族で構成される、多様な住民を誇っている。
キングメイカー・アドヴェンチャー・パスをブレヴォイからプレイに入る必要はないが、レストヴの剣侯からキャラクターが免許状を受けてキャンペーンが始まり、ストールン・ランズへの最初の侵入はブレヴォイからだという点に注意すること。そのため、この北にある王国で種族とクラスの一員がどのように扱われているかを考慮したほうが良いだろう。
アヴィスタン大陸北部では概して珍しい種族だが、ブレヴォイのどの街にも、ドワーフはわずかながら存在する。多くは街の鍛冶師、石工、市民軍の兵站部隊、質屋として生計を立てる。ロストランドの西方にはブランダルトンという小さな炭鉱の村があり、そこの住民の大多数はドワーフが占めている――この地域に住むドワーフのほとんどは、この集落を故郷と呼ぶ知人や親族が一人はいると主張できる――そして宝石や鉱石の交易商は、ブランダルトンからこの地域を巡って商品を売りさばく。ストールン・ランズにある奪われた鉱山や未掘削の鉱山の噂は、多くのドワーフがこの荒野を探索するのに十分な理由だ。
純血のエルフはブレヴォイにはほとんどいない。通常、はるか南にあるキョーニンでの生活を好む。しかし、かなりの数の反抗的なエルフが、故郷からセレン川を超えてブレヴォイに移住する。しばしば孤児エルフが自種族の中で暮らそうとブレヴォイを経由して南のキョーニンに向かい、その一部は自らの旅を完了させない事を選ぶ程にこの地は受け入れる寛容性を持つと理解する――しかし最近、ストールン・ランズを経由してセレン川の南へ抜ける直接の経路が、山賊やボガード、リザードフォーク、トロルといった先住民による敵対行為によって封鎖されてしまって以降、旅を継続する者たちはここでの滞在を選んでいる。ブレヴォイの街レストヴは、この地域で最もエルフの集まる場所の一つだ。はるか昔、エルフはこの地域でずっと強力な存在感を誇示していた。ストールン・ランズの最奥には、今もエルフの遺跡が残っているという噂は、長い間エルフの学者や歴史家の興味をそそってきた。
ゴラリオンと始まりの世界の間の境界は定まったものではない。セレン川流域のようないくつかの場所では、この境界は異常なほどに薄い。噂によれば、ストールン・ランズにはこの境界がさらに薄いところがあるのだという――そして、あるフェイがその地域で強力な力を有しているのだという。ストールン・ランズ一帯への始まりの世界の影響こそ、誰もがこの原野を御しきれなかった第一の理由なのだと信じるものも多い。このような地域はノームを長らく近くに引き寄せており、ノームによるストールン・ランズへの探査行の話は極めてありふれている――そして行方不明になって続報がなくなる探検物語も同じくありふれている。楽観的なノームは、そうした失踪をストールン・ランズには始まりの世界へ続く道が隠されている事の証明だと信じている。ノームは河川諸王国では強い存在感を持ち、ソムやアルツームのような街も作ってきた。ニューメリアとの国境近くにあるエコー・ウッドと、エンバスの森と、ブレヴォイのグロンジの森には、より文明的でないノームの集落が存在するが、このようなシャーマニズムの一派は、ほぼ孤立している傾向がある。興味深い見どころと新しい経験が満載のこの地域は、様々な人々や場所を楽しむノームにとって、最良の場所と言える。
人間あるいはエルフで構成される街でいわれのない非難を浴びることの多いハーフエルフは、誰でも受け入れてくれるブレヴォイで多く見られる。シェリアックスやタルドールの高い階級の人は、厄介な――平凡なら――ハーフエルフの私生児を、無法な河川諸王国へと追放しており、その結果、この地域の多くのハーフエルフは(たとえ公式には認められない場合でも)貴族としての出自を主張している。この地域に住む他のハーフエルフは、地元の人とキョーニンの近くに住むエルフの間の密会の結果だ。その起源にかかわらず、ハーフエルフはブレヴォイの生活にうまく自分を合わせてきた。とりわけ、この地の習慣を守ることが最も重要なやり方だ。政変や予期せぬ社会的障害にうまく対処する能力のおかげで、多くのハーフエルフはその地位を高めている。
文明的な世界のあらゆるところで、ハーフオークは偏見と排斥に苦しめられるが、ブレヴォイはただハーフオークに寛容であるというわけではなく、実のところ爽やかに受け入れているのだということに彼らの多数は気付く。ブレヴォイ人はハーフオークを他の地域で見られているようには見ず、この地方の習慣をきちんと守っているハーフオークを、同じような純血の人間と同じように扱う。暴虐的な側面をさほど持たない恵まれたハーフオークは、人間として生きようとするかもしれない。その不条理な出生を隠し、ブレヴォイや他の自然に囲まれた河川諸王国で、まっさらな状態で再スタートを始めるのだ。しかしその出自を、その力を受け入れるものもいる。熱心な街の市民軍は、しばしばその強さとずる賢さを頼りとすべく、上級将校、役人、法執行機関として働くハーフオークを募集する。
ブレヴォイのハーフリングは、ブレヴォイと近くの河川諸王国を数年に一度渡り歩くという、短期滞在者としての生活を好む。河川自由法の第5法は奴隷制を忌むべきものと非難しており、住人たちはこの地のその教条を他の教条と同じく熱心に掲げる。その結果、河川諸王国は逃亡奴隷や自由奴隷――特にシェリアックスの奴隷――にとっての楽園となった。捕まる恐れもなく、新しい生活を始められるためだ。強力なハーフリング解放運動がこの地には根付いており、アヴィスタン大陸の自由解放軍は、しばしば河川諸王国の北部とブレヴォイの南部に集まっている。彼らはその力を集め、内海地域全体の奴隷商の襲撃を計画している。解放軍に所属しないハーフリングは、しばしば大道芸人、スリ、合法な店や宿の主人として働いている。隠身と芝居人魂という生来の気質により、彼らは支配階級と地下犯罪組織の双方にとって代えがたい財産だ。王国を零から作り、ハーフリングが指導者層の重要な位置を占める文化を構築する手助けができるなら、どんな野心的なハーフリングも手を貸すだろう。
ゴラリオン全体と同様、人間はブレヴォイ内とその周辺で最も人口が多い。民族主義のタルドール人がこの地域の人間の人口の半分以上を占めている。その多くの血統をたどると、大昔にこの自然のままの辺境の地方を最初に支配した探検家や兵士につながっている。ニューメリア近くのバーバリアン軍と同様、コーラルの征服軍の子孫たちは強力なケーリドの血を継承している。春と秋になると、ヴァリシアの平底船がセレン川を水路にして訪れ、周遊する人々がエンカーサン湖とミスト・アンド・ヴェイル湖の間の季節ごとの移動を行う。この地域は世界各地の人を引きつけるため、シェリアックス人、ケレッシュ人、ティエン人、ウールフェン人の訪問者が、河川諸王国にある多くの保護区を通過したり、そこで新しい家を作ったりする。
あらゆる地位の人々がブレヴォイを故郷と呼ぶ。この地域の住民には、あらゆるクラスの一員が含まれている。他のものより多いクラスもあるものの、あらゆるキャラクターが、この多様な社会で自分に合う場所を見つけることができるだろう。ストールン・ランズを取り戻すための探検隊を立ち上げる準備を整えるにあたり、どんな技能や能力を備えたPCであっても、この地域で重要な役割を果たす力を秘めている。
ブレヴォイに住むバーバリアンのほとんどは、隣の国ニューメリア出身だ。この国では、原始的なケーリド部族が奇妙な科学技術同盟の意志と力に屈した。ニューメリア人はしばしば、魔法と科学技術の両方に強い恐怖を抱いている。そしてこの地域の多くのバーバリアンはこの用心深さを持つ。それは西にある自然の地、イオバリアから来たものも同様だ。ブレヴォイにある多くの集落では厳格な慣習と文化的戒律を重んじ、伝統を変えることをよしとしない。そのため、バーバリアンが、より狭量な集落で完全に受け入れられることはほとんどない。彼らはこの地域の闇組織の用心棒や傭兵、荒くれ者として雇われる。しかしごくまれに、街の監視人や常備軍で高い地位についていることもある。一般に、このクラスは荒ぶる心を持ち、ブレヴォイの南にあるほとんど管理されていない河川諸王国での探索やゲリラ活動にぴったりだ。ストールン・ランズで最も有力な蛮族は、虎諸侯族という名で知られる――しかし荒々しい部族で、バーバリアンPCの出身とするのには不適切だ。
推奨:ワイルダネスの探検はキングメイカーにおける需要な役割を占める。そのため、〈軽業〉、〈水泳〉、〈生存〉、〈知覚〉、〈登攀〉、〈動物使い〉は極めて頻繁に使用されることになるだろう。
市民蜂起の瀬戸際で均衡を保つ国であるため、外交官、密偵、政治戦略家がブレヴォイ社会の生命線だ。お世辞や装飾、繊細さといった技に優れた人物は、ほとんど際限のないチャンスを持つ。そしてバードはしばしば為政者の信頼に足る助言者、使節、スパイとして立ち振る舞う。ノレスキ・サルトヴァ王は宿や兵舎やサルトヴァ家の敵ないし味方の王家の中で、鋭い武器ではなく黄金の言葉と毒ある嘘で戦うバード集団を雇っている。だが、この舌戦があるからといって、この地域のバードが物理的な戦闘で相対的に劣っているというわけではない。このクラスの多くのものは、ロストランドのアルドリ剣侯独自の剣闘術の訓練を受けている。権力の上層の中を渡り歩いて成功するか、はたまた暗い港湾の宿で夕食時に歌っているかはともかく、バードがブレヴォイで語るべき物語や保つべき秘密を欠くことはほとんどない。
推奨:部族、国、他の集団との外交的な交流は、軍隊や国を効率的に率いる能力と同じくらい、キングメイカーで重要な役割を持つ。〈威圧〉、〈交渉〉、〈真意看破〉、〈はったり〉は頻繁に役に立つに違いない。全ての〈知識〉技能は別の意味でこのアドヴェンチャー・パスの間、とりわけ、自然の中での行動、フェイと始まりの世界、複雑な王国運営で(通常、貴族、次元界、自然、地域、地理が)役に立つだろう。
ブレヴォイに存在する宗教は、この地域を故郷と呼ぶ多様な人たちと同じように様々だ。それぞれの信仰は、信者への聖職者による熱心な説法と模範による導きを重視する。この国の――はるか昔、コーラルの征服まで遡る――戦乱の歴史のために、ゴルムには熱心な信仰が向けられている。それは特に、イオバリアに住むロガーヴィア家の子孫の中で顕著である。イシア北方における法のない在り方は、カリストリア、カイデン・カイリーエン、デズナといった自由を愛する教会を支えている。その一方で、より非道な地域では、口車や窃盗を通してノルゴーバーが影響力を持つことも多い。危険なセレン川を渡る旅行者はハンスプーア(川と川旅の神)の神官や教会を目にすることもしばしばだし、ロストランド南方の原野の景色は、恐ろしい環境の中で文明が生きながらえる助けをしたいと望む、エラスティルとゴズレーのクレリックを惹きつける。実際、エラスティルの信者はストールン・ランズに住もうとするタルドール人にかなり多く見られる。そしてエラスティルの遺跡や古い寺院が、この自然の中に隠されていると言われている。
推奨:エラスティルとゴルムの2神格は、キングメイカー・アドヴェンチャー・パスで何より強力な存在感を持つ。しかしそれ以外の神格であっても、クレリックが信仰を捧げる素晴らしい選択肢となる。
誰の支配下にもないストールン・ランズの境界にあるブレヴォイの街の多くでは、クレリックが受け持つ役割を伝統的にドルイドが請け負う。特に文明の行き渡らない小さい開拓村では、住民はドルイドが自然を御す様を極めて有益だと捉える。ロストランド北部の肥沃な農業地域とは異なり、ストールン・ランズの水気を多く含む自然やイシアの痩せた丘陵は耕作地として使える場所がほとんどなく、侵略的な荒廃地でも生育できる作物を取り扱える人は重宝される。この地域のドルイドの多くはハンスプーアやゴズレーを崇める。特にゴズレーの、水との関わりを(他の自然の要素よりも)重視する。また、より一般的な新緑崇拝の信者も珍しくない。ブレヴォイのドルイドは慣例的に、植物、動物、水、天候のような自然との親和性を持つ。しかし動物の相棒をつれて旅をするものは、この土地とこの地域の川のいずれかを出身とするクリーチャーと絆を結ぶことを好む。
推奨:以下の動物は、ストールン・ランズでドルイドが扱う理にかなった選択肢である。ウルフ、キャット(ビッグあるいはスモール)、スネーク(ヴァイパー)、ドッグ、バード、バジャー(ウルヴァリン)、ブラッド・カイマン(クロコダイル)、ベア、ボア、ホース、ポニー。Bestiaryに掲載されているものでは、以下のものが妥当な選択肢となる。ダイア・バット、ダイア・ラット、ジャイアント・フロッグ、マストドン(エレファント)、ナールマーチ・マガー(モニター・リザード)。最後に、新しい動物2種がPathfinder Adventure Path #31で追加される――エルクとサイラシン(この世界ではタスマニアン・タイガーとしても知られる)だ。このいずれかに動物の相棒として興味を持っているなら、以下のデータを使用すること。
初期能力:サイズ 中型; 移動速度 50フィート; アーマー・クラス +1外皮; 攻撃 突き刺し(1d6); 能力値 【筋】12、【敏】17、【耐】14、【知】2、【判】15、【魅】5; 特殊能力 夜目。
7レベルでの成長:サイズ 大型; アーマー・クラス +2外皮; 攻撃 突き刺し(1d8)もしくは蹄(×2、1d6); 能力値 【筋】+8、【敏】-2、【耐】+4; 特殊能力 強力突撃。
初期能力:サイズ 小型; 移動速度 30フィート; 攻撃 噛みつき(1d4); 能力値 【筋】12、【敏】15、【耐】16、【知】2、【判】13、【魅】7; 特殊能力 夜目、強力な顎(サイラシンの強力な顎は、出目19~20でクリティカル可能域となる)。
4レベルでの成長:サイズ 中型; アーマー・クラス +2外皮; 攻撃 噛みつき(1d6); 能力値 【筋】+4、【敏】-2、【耐】+4。
ブレヴォイのファイターの多くは、評価が高いが排他的なアルドリ剣侯の教育を受ける。それはロストランドの南部で顕著だ。彼らはロガーヴィア家の権力に長く抵抗してきた決闘士として誇りを持ち、彼らはその武術で世界中に広がる評判を手にしてきた。そのように、遠い国からやってきた大望を持つ剣士は、アルドリの輝かしい地位に加わることを望んでレストヴに赴く。同じく熱心なウォリアーは時に、富と権力が良く守られた場合にのみ安全が確保できる土地の中で影響力を得ようと、あるいはその影響力を維持しようとする者の為に、傭兵、護衛、あるいは用心棒として働く。また、自然を支配し、文明的な新拠点を確立するための探検は、熟練した軍師、とくに国境での争いに脅かされている者にとって大きな利益がある。そうは言っても、ストールン・ランズの過酷な姿は、重装備を身に着け武装した戦士を甘やかすことはない。その武力と戦場での価値によって恐ろしい評判を手にしたものはほとんどいない。
推奨:すべての武器と防具がストールン・ランズには存在する。だが、この地には特定の種類の魔法の武器が隠されているという伝説がある。特に有名なものは、アックス、ボウ、ソードである。
ときに無法で気まぐれな国、ブレヴォイには、ほとんどのモンクの規律正しく瞑想的な生き方は役に立たない。そのためこの地を故郷と呼ぶモンクはほとんどいない。時々、苦行を求めるさすらい人が遠方の修道院や寺院に向けてこの地を通過することもある。このようなさすらい人は時々、数週間あるいは数ヶ月の間その疲れた足を休め、次の旅に向けた路銀を稼ぐために短期間の仕事を探したり、森にある隠された僧院で自分を孤立させたりすることもある。しかしほとんどの場合、この滞在者はゴラリオンにある、より歓迎される場所に移動する。この地域に長く住み続けるモンクは珍しい。イシアにある秩序の失われた都市で、その秩序を取り戻すために人生を捧げているかもしれない。ひょっとしたら盗賊や暗殺者の仲間の中にその身を隠しているかもしれない。
推奨:ストールン・ランズには、有力なモンクの修道院は(いまのところ!)存在しない。しかしモンクの自己完成の能力はこのキャンペーンで極めて有効に違いない。技能選択の推奨については、バーバリアンとバードの推奨を参照のこと。
この無法で自然のはびこるブレヴォイと河川諸王国において、聖戦士は比較的珍しい。しかしこの地域にも全くいないわけではない。ブレヴォイの中心の街で最も一般的なのはアバダルのパラディンである。市民蜂起の脅威が高まる傍らで、彼らはイシアとロストランドの間の安全と交易を保つために活動し続けている。南部の緑豊かな地域にエラスティルの信者は惹きつけられる。彼らはしばしば保護や指導を必要とする、比較的小さな町を支援するためにその人生を捧げ、保安官、町長、宗教指導者として活動している。ブレヴォイが安定的な居住区を確立しようとストールン・ランズへの探索を準備するため、いずれの信仰のパラディンもレストヴに集まり、原野を開拓し、人のいない土地に文明の橋頭堡を築こうとする取り組みに加わる。また、少なくない数のアイオメデイの十字軍の兵士はセレン川を渡ってメンデヴと世界の傷へ移動している間にこの呼びかけを偶然耳にし、最終的に北の戦場にではなく、悪との戦いの為ブレヴォイに留まっている。
推奨:ストールン・ランズにおいて最も強力な存在感と影響力を持つため、パラディンの守護神としてエラスティルが最良の選択肢となる。社交技能の選択については、バードの推奨に示されている。ワイルダネスの探検(馬上槍試合などの競技会がゲーム後半にある可能性もある)に注力するなら、騎乗戦闘に力を傾けるのもパラディンにとって悪い選択ではない。もちろんダンジョンに潜ることもあるが、キングメイカーにあるほとんどのダンジョンは比較的小さい――冒険全体で乗騎から離されることをそう心配する必要はないだろう!
野蛮なストールン・ランズその周辺の原野では、移動は王国から王国へと軍隊や要人、商人を先導することを恐れない、向こう見ずな先住民に依存している。その移動は危険な水路であるセレン川を使うか、厳しい陸路を経由するものだ。深い森林やジメジメした湿地では軍隊を厳格に統制することが難しく、レンジャーはゲリラ戦や偵察として有効に機能することが多い。ブレヴォイ南部や河川諸王国にある街の多くでは、バーバリアンの襲撃やフェイの奇襲、質の悪い山賊から街を守るため、軍事戦術上の攻防の要としてレンジャーを雇い入れる。無数の賞金首狩りにとってもこの地域は魅力的だ。地元の顧客であれ国外の顧客であれ、その技量を借り受けたいという顧客を失うことはほとんどない。
推奨:ワイルダネスをテーマにした技能の好ましい選択肢は、バーバリアンの推奨に示されている。追跡の能力は、キングメイカーにおけるいくつかの遭遇で極めて有益に働く。理にかなった動物の相棒の選択肢は、ドルイドの推奨を参照のこと。キングメイカーにおいて、レンジャーの得意な敵の最高の選択肢は、アンデッド、植物、人型怪物、動物、人型生物(巨人、人間、爬虫類、ボガード)、フェイ、魔獣、蟲、竜である。適切な得意な地形の選択肢は、山岳、森林、沼地、平地、水界である。
ローグはブレヴォイ北部で重視される。この地域ではサルトヴァ家が強力な盗賊組合を、組織化された犯罪結社を、そしてポート・アイス発の諜報網を長いこと制御下に置いている。AR4699年にロガーヴィア家が消滅して以降、サルトヴァ家は自らの権力を合併整理しようと、伝統的に支配権を握っていたロガーヴィア家が不在の間に用心深い遂行者たちをイシアとロストランドの両方じゅうに配置しており、そしてロガーヴィア家は「サルトヴァ家の後継であるノレスキ・サルトヴァによる支配はサルトヴァ家自身の恥知らずのやり方を正当化している」と感じている。より安定的なロストランドでさえ、ローグの数は多い。彼らはしばしば河川諸王国から北方に移動してくる。河川諸王国は、「as thick as thieves(訳注:竹馬の友の意味だが、直訳すると泥棒がいっぱい)」という諺通りに海賊団や辻強盗がたくさんいる。多くの場合、ローグは故郷で法律上まずい状況になったあと、河川諸王国に自分の居場所を見つける。この地域の住民は新しい名前を名乗り、(ブレヴォイの伝説と同様、セレン谷からやってきたといった)精巧な背景をでっち上げる。
推奨:キングメイカーには罠もあるが、ローグが活躍できる状況としては、災害、不意討ち、社交的な状況ほどに頻繁に生じるわけではない。特に自然の範囲で隠密や偵察に卓越したローグはうまく機能するだろう。適切な技能の選択については、バーバリアンとバードの推奨を参照のこと。
秘術の神秘を訓練せずに体得したもの、ソーサラーは、アヴィスタン大陸北西の自然を魅力的なものと捉える。ウィザードと比較すると制御しきれないと思われることも多いソーサラーは、ブレヴォイや河川諸王国へと移住して匿名で受け入れられたり、採用されたりする。ブレヴォイの南国境付近のストールン・ランズでは始まりの世界の領域が奇妙な方法で物質界に触れており、その結果として多くの生まれながらの原住のソーサラーはフェイの血脈から力を得る。ブレヴォイが持つレッド・ドラゴンとの関わりにより、竜の血脈を持つソーサラーも見られる。大望を持つブレヴォイの貴族には運命の子の血脈を持つものもおり、権力や影響力が高まるに従い、その運命に血脈が影響を与えてくることになる。これら3つの血脈はブレヴォイと河川諸王国で最も多く見られるが、全ての血脈がこの地域に存在する。
推奨:キングメイカーでは、以下の血脈がテーマにうまく合致するだろう(とはいえ、戦闘においては全ての血脈が等しく有益なはずだ)。運命の子、元素、フェイ、竜。秘術の血脈のソーサラーをプレイする場合、使い魔についてはウィザードの推奨を参照のこと。
ブレヴォイにいる秘術の学者は様々な理由で自己を見つめ直す。例えば幻術士や心術士はこの地域で神秘的な始まりの世界――この国の南の国境にある未踏の原野でゴラリオンと不可思議にも説明のつかないやり方で接触しているフェイの領域――を研究するため、やって来ることが多い。また、ブレヴォイ西方にあるスカイウォッチの街は、秘術の神秘を解き明かし、過去10年の間外界から孤立させた侵入できない封印を打ち破ることを望む多数のウィザードの興味を引く。力術の技に熟達したウィザードは、この地の反目し合う王国の軍隊で戦場砲兵としての職を見つける。それ以外のウィザードは、その実験と研究が故郷で面倒がられると、やむを得ずブレヴォイ河川諸王国で自分の生き方を見つける(そのような魔法使いのほとんどは、生と死の膨大な力を捻じ曲げようとする)。
推奨:適切な〈知識〉技能の選択については、バードの推奨を参照のこと。秘術系統の全ては、キングメイカーで等しく有益となるだろう。絆の品はいずれであってもキングメイカーでうまく機能するが、代わりに使い魔を選択したウィザードはこのアドヴェンチャー・パスの舞台となる地域で適切なクリーチャーを選択したいと思うかもしれない。この地域の気候における使い魔の妥当な選択肢には、Pathfinder Core Rulebookに掲載される、モンキー以外の基本の使い魔すべてが含まれる。上級使い魔の良い選択肢は(再掲、キングメイカーのテーマに基づいての話だ)、スードゥードラゴン、セレスチャル・アニマル、ダイア・ラット、フィーンディッシュ・アニマル、メフィットである。カーバンクルとして知られる伝説の内気なクリーチャーもまた、上級使い魔として使用できる――このクリーチャーはPathfinder Adventure Path #31に詳細が掲載されている。だから、君がこのどこかコミカルなクリーチャーを使い魔にすることに興味があるなら、GMに詳細を確認すること。
君のパーティがキングメイカーで建国を始めると、各PCはその国の指導者の役割を担うことができる。指導者として、君はキャラクターの能力値修正の1つを王国の経済、忠誠、安定性に適用し、王国のデータを増加させ成功する可能性を高めることができる。ほとんどの指導者ロールは2つの能力値から1つを選択できる。そのため王国の指導者の中で特定のロールを持つことに興味があるなら、適切な能力値に値を振り分けることを検討しよう。指導者ロールは11あり、以下に示すように関連能力値が存在する。
王宮執行官/Royal Assassin:【筋力】、【敏捷力】
ブレヴォイの住民は多様で、ストールン・ランズを再興する呼びかけに応えるものも様々な人生を歩んでいる。このガイドに掲載されるとPathfinder Character Traits Web Enhancement――最近パスファインダーRPGルール用に更新され、paizo.comで利用可能である――に掲載された特徴は、君のキャラクターを最適化させる助けになるよう作られている。これにより、君はキャラクターを標準的なクラスから際立った存在にできるようになるとともに、その経歴を具体化する助けになる手段が提供されることだろう。ここに掲載されるのは、キングメイカー・アドヴェンチャー・パスをプレイするキャラクター向けに特別に誂えた、キャンペーン特徴である。
キャンペーン特徴は特定のアドヴェンチャー・パスに誂えたもので、新しいキャンペーンの最初の冒険を始める本質的な理由をキャラクターに与えてくれる。他のPCと既存の関わりを持つキャラクターとキャンペーンを開始することを選ぶ場合、チームワークによる利益を与えてくれるキャンペーン特徴もある。
キャンペーン特徴はキャラクターの背景の多くを定めるが、プレイヤーが詳細で興味深いキャラクターの背景を生み出す助けにするためのものだ。どの特徴が自分にあっているかを選択したあとで、キャンペーン特徴が期待する背景を調整するある程度の余地が存在する。変更した来歴で始める前にGMの同意を得ておくだけでよい。
以下の特徴全てによって、キャラクターはブレヴォイ――キングメイカー・アドヴェンチャー・パスの原因となる事件に深く関わる国――あるいはその周囲を故郷とすることになるだろう。これらの特徴を俯瞰してみることで、このアドヴェンチャー・パスを通してキャラクターが出会うかもしれない敵や試練の種類について、ネタバレのない範囲でアイデアを得られるだろう。冒険、山賊行為、詐術、フェイの魔法、政治といった要素が存在するだろうと知ることは、君が参加しようとするキャンペーンに本質的にうまく噛み合うキャラクターを作る助けとなるに違いない。これらの特徴により、キャラクターはストールン・ランズ――ブレヴォイと河川諸王国の間に広がる誰も支配していない開拓地であり、恐るべき獣、這いよるモンスター、気まぐれなフェイ、荒々しい山賊、伝説のクリーチャーによって支配された土地――への計画を立てる事前の努力に、より興味を持つことになる。
〔庶子〕(人間キャラクター限定)/Bastard:君の両親のいずれかは、ブレヴォイの偉大な家系の一員だった。ひょっとしたらロガーヴィア家一門であったかもしれない。しかし君は貴族階級であることにほとんど誇りを持っていない。君は証拠もないのに貴族階級であると主張することは、嘘つきも同然だということを学んでいる。君はわずかな宝飾品、かつて価値のあった織物の断片、古い愛の告白文を所有しているかもしれないが、君の主張を直接裏付けるものではない。だから、命運への侮蔑は自身に蔑みしかもたらさないとしても、君は自分が上流階級の快適さと尊敬に値すると知りながら、貴族階級の影で自分の人生を過ごしている。自分の地位を証明する最近の試みが貴族の取り巻きの怒りをもらたしたのか、それとも君は単に自分の血筋の価値を証明する方法を探しているのかに拘わらず、君は自力で自分の名をあげようと、ストールン・ランズへの探索に加わっている。君はブレヴォイの貴族に対して行う全ての【魅力】基準の技能判定に-1のペナルティを受ける。しかしその頑固さと個性のために、意志セーヴに+1の特徴ボーナスを得る。(君が真の貴族としての地位を確立したなら、この特徴のペナルティ部分は取り除かれる。)
〔盗賊〕/Brigand:君は河川諸王国、あるいはブレヴォイの無法地域出身だ。君にとって人生は厳しいものだった。ひょっとしたら君の両親と兄弟達は悪党で詐欺師だったかもしれないし、荒々しく孤独な人生のために、君は盗賊(あるいはそれ以下の存在)に身をやつしていたかもしれない。君は旅人を襲撃し、商人を脅し、法の抜け穴を見抜き、誰も君を見つけられない場所で過ごす術を知っている。最近、君は幾つかの面倒に出くわした。それは法律かもしれないし他の山賊によるものかもしれない。君は自分が見つかると誰も考えない場所に向かおうとしている。厳しい自然の中への冒険は、面倒が過ぎ去るまで身を隠すには完璧な方法に思える。君は不正手段で得た100GPを追加で所持した状態でキャンペーンを開始する。また、君は追い剥ぎ、盗賊、山賊の類に対する〈威圧〉、〈交渉〉、〈真意看破〉、〈はったり〉判定に+1の特徴ボーナスを得る。
〔イシア人〕/Issian:君はブレヴォイ北部――霧の多い海岸と険しい丘陵地があり、雪景色と紫色に染まる山々がそびえる土地――で生まれた。君は有能で知性的な人々の子孫であり、君は壮大な野心とチャンスを見逃さない思考、困難に構わず目標のために戦う執拗さを備えている。君は富と気高さを勝ち取るための野心とチャンスを手にする以外のことをほとんど気にしない。対価の過多など気にはしない。君は自分を根っからのブレヴォイっ子だと思っている。ストールン・ランズ内にある君の国の正当な所有地を取り戻すために喜んで手を貸す英雄への呼びかけは、君の富と可能性への夢に火を付けてしまった。だから君は南征の冒険に加わることにした。君は頭の回転が早く、[精神作用]効果に抵抗するために行う全ての意志セーヴに+1の特徴ボーナスを得る。
〔貴族出身〕/Noble Born:君は自分がブレヴォイの貴族の1つとわずかだが正当なつながりがあると主張している。君が人間ではない場合、君はブレヴォイの貴族の養子になったのかもしれないし、気に入られた従僕であったのかもしれないし、貴族の嫡子の幼少期の友人であったのかもしれない。原因は何であれ、君は快適な生活を過ごしてきた。しかし遠く離れた貴族が味わう尊厳と退廃には程遠い。君は高名な家と関わりがあるが、自分の直系の家族はそうではなく、君は自分の名前は多くの社会的な状況に於いて恩恵以上に重荷になることに気づいた。主張したり手間を掛けることのほとんどない名前の庇護なしでも自分が世界と向かい合えるかを確認するために、君は最近になって自分を試すことにした。ストールン・ランズの探検は、君が本当に“貴族”を冠する価値があるかを確認するテストにあつらえ向きだと思えたのだ。以下の貴族の家系から1つを選び、関連する利益を得る。
ガレス/Garess:君の家系はゴルシンキ山脈のドワーフと長い関わりを持ち、その痕跡は残っている。君は岩による移動困難な地形において、ラウンドごとの最初の5フィートで受ける移動へのペナルティを無視する。これは岩や遺跡による移動困難な地形にのみ適用される。加えて、君は自然の石や金属の価値を判断するために行う〈鑑定〉判定に+2の特徴ボーナスを得る。君の家の家訓は“山のように強く”だ。
レベダ/Lebeda:レイキャール湖畔の家の歴史が、君の血に染み込んでいる。この地域の商人として、君はボーナス言語を以下から1つ選び、獲得する。エルフ語、巨人語、スカルド語、ドワーフ語、ノーム語、ハーフリング語、ハリト語、森語。君の家の家訓は“品位による成功”だ。
ロドヴカ/Lodovka:ブレヴォイが存在する前から、君の家系はミスト・アンド・ヴェイル湖畔に住んでいる。君は〈水泳〉判定に+1の種族ボーナスを得、〈水泳〉を常にクラス技能として扱う。君の家系の家訓は“水こそ我が領分”だ。
メドヴィエド/Medvyed:君の家系は長い間、自然に対して深い敬意を払い、そこに住むクリーチャーに関する言い伝えを信じている。君はフェイ・クリーチャーに対して行う全ての〈交渉〉判定に+2の特徴ボーナスと、フェイの呪文と超常能力に対する意志セーヴに+1の特徴ボーナスを得る。君の家系の家訓は“忍耐は全てを超える”だ。
オルロヴスキ/Orlovsky:君の家系は紛争を避けることに定評がある。君は戦技防御値に+1の特徴ボーナスを得る。加えて、〈隠密〉、〈軽業〉、〈交渉〉から1つを選択すること。君はその技能に+1の特徴ボーナスを得る。君の家系の家訓は“高みへ”だ。
サルトヴァ/Surtova:君の家系は、政治的な身軽さと狡猾さで知られている。君は軽い武器あるいは片手武器を用いて立ちすくみ状態の相手を攻撃する際、追加で+2ポイントのダメージを与える。君の家系の家訓は“我らこそ正義”だ。
〔開拓者〕/Pioneer:君はブレヴォイの南の国境周辺、ストールン・ランズとして知られる原野の暗がりの中で、長い間生活してきた。生活は厳しかったが、狩猟、罠、交易、凍える地でうまく育った作物を通して、君はこの厳しい開拓地で生き残る方法を身に着けた。自然とともに過ごす中で、君はまた、この病的な土地に忍び寄る住人や自然のクリーチャーについても多くを知っている。失われた祖先の農地や豊かな果樹園、秘密の鉱山を奪われたという長老たちの伝承を理由に、君の家族はストールン・ランズが自分の土地だと主張しているかもしれない。国境地域に関する個人的な経験や専門知識によるものか、家族の土地を再度要求するためか、君はストールン・ランズへの探検に加わった。君はホースを所持してゲームを開始する。加えて、以下の技能から1つを選択すること。〈騎乗〉、〈水泳〉、〈生存〉、〈知覚〉、〈知識:自然〉、〈登攀〉、〈動物使い〉――君はこの技能に+1の特徴ボーナスを得る。
〔ロストランド人〕/Rostlander:君はブレヴォイの南――深い森林と起伏のある平野に満ちた、澄んだ川とどこまでも続く青い空が広がる土地――で生まれた。君は豊かな資源に囲まれ、重労働による単純な感性を持ち、奉仕と慈悲を重んじ、個人と家族の誇りを大切にしてきた。君の国は、荒々しい征服者の軍勢に屈することを拒んだ、アルドリの剣侯と英雄の国だ。君は政治や貴族、欺きや陰謀にはほとんど注意を払わない。君は完全にブレヴォイ的であるので、祖国の影響をストールン・ランズにまで広げることを望む覇者たちへの呼びかけは、君の愛国心と名誉を刺激した。だから君は南への冒険に加わることにした。たくましさにより、君は全ての頑健セーヴに+1の特徴ボーナスを得る。
〔剣の継承者〕/Sword Scion:君は人生のすべてを都市レストヴの中かその周囲で過ごした。君はシリアン・アルドリ男爵の物語と生まれた都市の英雄的で伝説的な剣侯の偉業を聞きながら育った。ひょっとしたら君の家族の誰かがアルドリの剣侯の一人かもしれないし、君に剣侯の誰かとつながりがあるかもしれないし、子供の頃から剣侯に加わることを夢見ているかもしれない。いずれにせよ、君はアルドリの英雄、その生き方、哲学を崇拝し、その得意としてきた技を真似ようとしてきた。しかし、その階級に加わる申請をする前に、君は自分の才能を試さなければならないと感じている。ストールン・ランズへの探検に加わることは、自分の技術を高め、アルドリ男爵と比肩しうる伝説を始めるのに最高の方法のように思える。君はロングソード1本もしくはアルドリ・デュエリング・ソード1本を所持してゲームを開始する。そして、君はこれらの武器を使用して行うすべての攻撃ロールと戦技判定に+1の特徴ボーナスを得る。