ヘルミーア は、アヴィスタン西方数百マイルのアルカディア洋のアヴィスタンに近い海域、蒸気海 the Steaming Sea の只中に位置するユートピアを目指す島である。
4552 AR、人間社会を観察してきたゴールド・ドラゴン Mengkare は、人間が予見性を欠くことから、その生来の可能性を満たすことなく誤った選択を行い続けていることを遺憾に思い、他の人間社会の悪影響から隔離された絶海の孤島に理想郷を作る実験を始めた。
彼の招待した最良かつ聡明な人間たちにより、150年間に渡り実験が続けられている。
全ての住人は唯一の居住地であるプロミス Promise に住んでいる。
年に数人の男女が Mengkare自身によって国民として迎えられる。このための唯一の方法は、身分を隠したスカウトの目に留まり、何年にもわたる観察を経て出された招待に同意することである。同意をするかどうかは本人の自由意志に任されているが、これは最終決定であり、後になってから撤回することはできない。
時にその高遠なる理想と、安楽で進歩的な生活にあこがれてヘルミーアの市民権を求めて島にやって来る者がいるが、彼らはみな退去を命じられる。それでも諦めずに島内に潜入する者もいるが、彼らがどうなったかは誰も知らない。
ヘルミーアで生まれた子供は最高の教育を受け、16歳になると国民としてふさわしいかテストを受ける。不合格だった者は連れ去られ、二度とヘルミーアで見られることはない。
住民はほとんどが人間だが、住民により優れた特徴を加えるため、エルフなどの亜人間が招待されることもある。
世代を重ねるごとに、ヘルミーア人はより賢明でが強健で才能ある人種へと育っている。
日々の業務は13人の選良で構成された啓発会議 Council of Enlightenment により執行される。彼らは情報を収集し、Mengkare に助言を行い、理想郷の国民候補を探す。
最終的にあらゆる全ての決定権は Mengkare が有し、人々をより偉大なる善性に導くために大いなる努力を重ねている。そのためには必要とあればシステムに対する脅威となる市民を抹殺することも含め、躊躇わずに強権を振るう。この国の住民となる同意をした際に、自由意志は Mengkare に移譲しているはずだからである。
ヘルミーアは外界に対して常に公平かつ丁重に振舞うが、一部の者は人間を馬や犬のように品種改良しようとしていると嫌悪し、またヘルミーアの中では信仰が禁じられていることからいくつかの宗教は敵視し、特にデズナ、エラスティル、サーレンレイ、シェーリンはこの国の目的自体を否定している。
何らかの理由で堕落する市民や、市民となるテストに不合格だったり市民となることを望まない子供が現れることがある。Council は問題解決のために最大限の努力をするが、それが功を奏さない場合はそのような者は速やかにいずこかへ連れ去られる。公的には、彼らは自分の道を探すために十分な物資とともにアヴィスタン本土へ送り届けられたということになっている。時として、島の海岸に焼け焦げた死体が捨てられていることがあるのは、市民たちは海賊の仕業であると考えている。
ヘルミーアでの生活は、プロミスにおいてもそれを支える農場におけるものでも、物語のように素晴らしい物である。そこで取引をすることが許された水夫が、漠然と恐怖についてや、島の反対側の森や啓発会議の中にさえ反乱者が潜んでいると囁くのも、きっと何かの間違いに違いない。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 78. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 157. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
カテゴリー:内海地域