スーヴィア は、ガルーンド大陸北部の砂漠地帯、内海南岸のオシーリオンとラハドゥームの中間に位置する、不老の霊薬で知られる国である。
-3250AR頃、砂漠の遊牧民たちは西方のジスタカ帝国と東方のオシーリオンに対抗するため団結し、テクリタニン同盟 the Tekritanin League を結成した。さまざまな部族で構成された同盟が続くうちに、彼らの共通語であるテクリタニン語を生み出した。現在はその話者は存在しないが、語彙の影響は未だに周辺の諸語に残されている。
オシーリオンの〈忘れられた疫病〉のファラオthe Pharaoh of Forgotten Plagues はこの地の砂漠の中心部にアバドンの半神格アーリマンに捧げる忘却の館 the House of Oblivion を築き、邪悪なジニーであるディヴの軍勢を授かる。
-3047AR、〈歌〉のファラオによって〈忘れられた疫病〉のファラオは討たれ、アーリマンもアバドンに追い返された。しかし砂漠の中心部はアーリマンのカルトである the Usij の跋扈する地となる。
-1452AR、テクリタニン同盟はオシーリオンに屈し、その都市国家のいくつかは併合される。しかし、全土が不毛の砂漠に覆われているため、ほとんど興味を示されておらず、-841ARにはオシーリオン人の支配者が暗殺された後は無政府状態となった。その後、オシーリオン時代の遺跡に遊牧民たちが移住し、ゆっくりと文明が回復されていく。
1140AR、都市国家メラブの錬金術師アルクトゥス・キラン Artokus Kirran(少なくともレベル20のアルケミスト)は、スーヴィアの砂漠の中心部にのみ咲く花から、老化を一時的に止める効果を持つ霊薬サン・オーキッド・エリクサーを作ることに成功した。
1年もしないうちに諸外国は永遠の若さの秘密を求めてメラブに押し寄せたが、メラブは霊薬から得られる利益を分かち合うことを条件にスーヴィアの他の4つの都市国家と同盟し、秘密を守りきった。そして都市国家連合スーヴィアは1つの国家となった。[2]
スーヴィアの指導者たちは、霊薬はこの不毛の国を繁栄させるためにのみ使用し、スーヴィア人は誕生から死に至るファラズマのもたらす道を受け入れることに決定。霊薬を飲むスーヴィア人は Arktus ただ1人とした。また、霊薬の秘密を守るため、製法を知るものを発明者 Arktus ただ1人に限定することにし、本人の同意を得て砂漠の中心に城砦を築いた。Arktus は現在(AR4700年代)に至るまで、そこで霊薬を作り続けている。
スーヴィアを構成する5都市は全て同格である。実際上は最大の都市であり、Arktus の生誕の地であるメラブが最大の影響力を持つ。
メラブ Merab:スーヴィア最大の都市。錬金術が盛んで、ゴラリオン屈指の錬金術師を何人も生み出した。守護神格はサーレンレイで、その大きな神殿がある。ヴァンパイアのブローカー Jhalhasef は、黄金や人間の血肉と引き換えに、錬金術師たちのために地下のグール王国の学者たちが知る恐るべき秘密を探し出してくる。[6]
アスペンサー Aspenthar:スーヴィア第2の都市。野心的な支配者ジンロ公 Prince Zinlo が霊薬の利権を独占しようと企んでいる。
デュウォール Duwwor:ゴズレーを崇める砂漠と調和して生きようとする都市。近隣の砂漠ドルイドの大きな会があり、内陸部の最良のガイドのほとんどはここにいる。
ラマサラ Lamasara:スーヴィア第3の都市。詩と芸能で知られる。支配者である Queen Zamere はスーヴィア随一の外交家として知られる。
パショウ Pashow:スーヴィア最小の都市。ネサスに傾倒する。近年テレポートで霊薬を輸送しようとし、それを紛失して大きな損害をもたらした(ディヴあるいはこの町の地下に住むと噂されているブルー・ドラゴン Loaralis による意図的な妨害と考えられている)ため、現在の支配者 Emir Guldis の座は非常に危うくなっており、一部の者はジンロ公の娘をパショウの王位につけようと画策している。
内陸部は河川や湖を支配する Water Lord と呼ばれる小土豪たちの支配地である。内陸を旅するためには彼らとの取引が不可欠である。山賊と変わらない者やディヴとつながっている者やダークランドのグールたちと忌まわしい取引を行っている者が多く存在する一方、徳を持つ者もおり、彼らはこの国に多く住むブラス・ドラゴンたちと同盟を組み、その水場を利用させてもらっている。Water Lord たちの非公式な指導者である Tpannon は、200年以上その地位にいる。多くの者たちは彼が Arktus と何らかの取引をしてスーヴィア人には使用を禁じられている霊薬を入手しているのだろうと考えている。[3]
スーヴィアの経済は霊薬の輸出に完全に依存している。毎年6本の霊薬が Arktus の城砦から運び出され、5都市が持ち回りで海外の顧客に対するオークションを開催し、最も高い値を付けた者から6人が1本ずつ霊薬を得て帰る。そのため、各都市は4ヶ月は空っぽの大きな市場があるだけだが、5ヶ月目は商人とそれを目当ての芸人たちが集まる祝祭というサイクルを繰り返している。この方式を妨害しようとした者は将来にわたって霊薬を手に入れる権利を失う。もしも霊薬の生産が失われたなら、スーヴィアの繁栄は即座に失われるだろう。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 138. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 201. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[3] Jason Bulmahn et al.(2009). NPC Guide, p. 31. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-219-7
[4] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 185. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
[5] Mike McArtor(2008). Dragon Revisited, . Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-165-7
[6] James Jacobs et al.(2010). Classic Horrors Revisited, p. 50. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-202-9
カテゴリー:内海地域