サルガーヴァは、ガルーンド大陸の西岸に位置する、シェリアックスから独立した元植民地である。[1]
かつてこの地は大ムワンギの一部だった。
4138AR、シェリアックス人がこの地に入植し、現地のムワンギ人の部族を支配する。
4606AR、人類の守護神エイローデン死亡。サルガーヴァ北西の海上に永続する暴風雨“アベンデゴーの眼” the Eye of Abendegoが発生し、またシェリアックスは内戦に陥った。サルガーヴァの支配者 Baron Grallus はその一方である Davian 家に与する。
4637AR、デヴィルと同盟を結んだスルーン家 the House of Thrune が勝利を収め、その報を聞いた Baron Grallus は枷の地の海賊と手を結ぶ。
4643AR、新生シェリアックスは再び植民地を支配下に置くため、デヴィル信仰の伝道師と新たな支配者を乗せた艦隊を送り込んだが、サルガーヴァと海賊たちはこれを撃退。以後独立国となる。
少数の植民者たちが大多数の土着部族を支配している。本国からの侵攻を防ぐために枷の地の海賊たちに支払う報酬はサルガーヴァの国庫を圧迫しており、また本国からの支援も途絶えたことで、少数の支配者たちが大多数のムワンギの部族を抑えることは徐々に難しくなってきている。しかし、大方の意見は生存のための費用が高すぎるということはないというものである。現在の支配者たちは最善を尽くしてはいるが、サルガーヴァがいつまで保てるかは不確定である。国民の士気を高めるための祝祭やイベントがいくつか行われているが、その中で最も名高い物が、数日間かけてジャングルや山中を走破する危険な徒競走 the Sargava Chalice であり、優勝者は大きな名誉を受ける。
植民者たちは現在でも自分たちをシェリアックス人であると考えており、祖国の文化に執着する。しかしそれらは本国では数十年前に流行した時代遅れのものである。
現在の代表者は Baron Utilinus だが、最年長の植民者 Lady Madrona Daugustana が隠然たる影響力を持っており、大きな事業を起こす際や支配階層同士の縁組には彼女の同意が必要とされている。
エレダーEleder:サルガーヴァの首都。天然の良港があり、プランテーション農場で栽培されたパイナップルなどの南方作物、象牙、毛皮、木材、貴金属を輸出し、アヴィスタンから穀物、鉄鋼、木綿、絹、工芸品などを輸入している。また、その造船所はガルーンド最良の船大工がいる場所として、海賊や交易商人に高い評価を受けている。
カラブトKalabuto:東部のムネリ平原 M'neri Plains に植民地が建設される前から存在する、現地人に築かれたサルガーヴァ最大の都市。現在は700人の白人が10,000を越える現地人を支配している。都市の下層民たちは、東方の大ムワンギの都市国家ムザリ Mzali と密かに結んで白人たちを襲撃し始めている。
クラウンズエンドCrown's End:枷の地との境界近くにある港町。密輸商人と奴隷商と海賊によってよく利用される。現在の支配者〈氷の手〉のイリーナ・イサンデ Ilina Ysande は表向きエレダーに従い、文句もなく税を納めているが、何か機会があれば付け込むつもりでいる。
フリーダム港Port Freedom:南の国境であるコリル川 Korir River の河口の三角州にある小さな港。河川を通じた現地の部族との交易の拠点だが、迷路のような砂州によって外洋船はおろか大きな艀でも入れない。法律的にはサルガーヴァの支配下にあるが、実際は川商人のギルドが牛耳る現地の政府が仕切っている。
サルガーヴァでよく遭遇する部族としては以下のものがある。
バンズーBandu:バンズー丘陵に住む典型的なベキアール系ムワンギ人。近隣の部族を襲撃し、他の部族やシェリアックス人に売ったり、儀式の生贄にする。
バジョBas'o:カラブトとムザリ周辺の平原部でアンテロープを飼う、比較的平和的なゼンジ系遊牧民。戦士の伝統を持ち、若者は自分の勇気を示す機会を求めているため攻撃的だが、経験を積んだ戦士は概ね理性的で、こちらが平和的に振舞えばそれに応える。
イジョIjo:サルガーヴァでもっとも友好的なボヌワット系漁撈民。エレダーに魚を売りに来ることも多い。
カラブタKalabuta:もともとカラブトに住んでいたゼンジ系部族。植民者たちの文化を完全に受け入れており、共通語を話し、植民地の労働力や兵士の供給源となっている。
ムラーMulaa:エレダー周辺で植民者たちと働いている部族。カラブトと近い部族だが、彼らと違って自らの文化を保持している。若者はしばしば反植民地運動の中心となるが、大部分は友好的である。
オンボOmbo:ボヌワット系の海の民。枷の地の海賊たちとゆるやかな同盟を結んでおり、彼らの文化を取り入れ、奴隷を狩って売り渡す。
ソンギョSong'o:ジャングルの奥深くに隠れ住むハーフリングの部族。非ムワンギ人との接触を避けるため、最近まで知られていなかった。
イェンバYemba:the River of Lost Tears 周辺に住むと噂されるベキアール系食人族。彼らのドラムの響きは時折聞かれるが、接触して生きて帰ってきた者はいない。
バンズー丘陵Bandu Hills:サルガーヴァから大ムワンギに渡って延びる大きな丘陵地帯。鉱物資源が豊富だが、その名の由来となったバンズー族の住処であり、彼らから鉱夫を守るため、バンズー砦 Fort Bandu が建てられ、経験を積んだ司令官によって守られている。採鉱会社の1つthe Deeptreasure Mining Company は、地の元素界のソーンと謎めいた契約を結び、貴重な鉱物や宝石を得ている。地下の洞窟には古代の戦争の兵士が捕らえられており、今では忘れられた軍隊のターコイズの鎧と輝く剣をもった兵士たちが凍結されている。
バークスキン湖Barkskin Lake:バンズー丘陵の中にある伝説的な湖。流れ込んだ天然の鉱物が自然に結合してバークスキンポーションと同様の効果を持つ液体が溜まり、周囲に木の肌をした動物が生活している。
消えた軍隊の湖Lake of Vanished Armies:サルガーヴァの南の国境、コリル川 the Korir River の南にある美しい湖。植民には最適の土地に見えたが、調査に赴いた軍隊が3回にわたって湖から現れた何者かのために行方不明になった。未だにその正体はわかっていないが、それはまだ湖の中に住んでいる。
スマグラーズ・シヴSmuggler's Shiv:サルガーヴァの沖合いに浮かぶ悪名高い小島。剃刀のようなサンゴ礁と恐ろしい海流に囲まれ、海軍から逃れようとする船が集まる。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 130. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] JD Wiker.(2010). Sargava, the Lost Colony , p. 2-. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-255-5
[3] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 114. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
カテゴリー:内海地域