メディオガルティ島 は、ガルーンド大陸西の沖合い、永続する嵐“アベンデゴーの眼” the Eye of Abendego の北西に位置する、ガルーンド周辺で最大の島である。暗殺者集団である赤蟷螂会 Red Mantis の本拠があることで名高い。[1]
かつてメディオガルティ島は、ガルーンド西部に繁栄した古代王国ゴル・ガン Ghol-Gan の一部だった。その滅亡後は、海賊が財宝を埋めたり墓場に使ったりするだけの無人島となった。
2560 AR、ラハドゥームが無神論の国となり、その地を根城にしていたアチャイケクを奉ずる赤蟷螂会は本拠を失うことになった。彼らはアチャイケクの神託にしたがい、この島にたどりつき緋色砦を築いた。[2]
アベンデゴーの眼出現以来、それを回避する交易ルートの中継点としてその重要性は増大しているが、それは島の支配者である赤蟷螂会の歓迎するところではない。[4]
メディオガルティ島の全ては赤蟷螂会の支配下にある。赤蟷螂会はまず第一に宗教的な組織であり、アチャイケクの役割である神格の地位を脅かそうとする者の抹殺を目的とするが、信仰の一環として外部の者の暗殺依頼を受け入れることもする。
島の住人は、蟷螂神の意志を読み解く年長の暗殺者の会議であるヴァーナイ the Vernai と 蟷螂神の巫女である血の巫女ジャカリン Blood Mistress Jakalyn の決定に完全に従わなければならない。組織のメンバーのみが彼らに直接接触することができる。ジャカリンは組織の象徴であると同時に、緋色砦の大図書館に立ち入ることができる唯一の人物であり、蟷螂神の意志の最終的な執行者である。[3]
またイリズマゴーティ市には市長が存在する。その正体は不明で、会見のたびに姿が変わるといい、人間であるかどうかさえ明らかではないが、市民の陳情は時間に関わらず受付け、約束したことは必ず守るという。
港湾都市イリズマゴーティを除けばほとんどがジャングルに覆われている。リザードフォークとコボルドの部族、多数の恐竜が生息している。コボルドは恐竜を神として崇め、時折イリズマゴーティまで交易に訪れ、ジャングルのガイドとして雇うことができる。イリズマゴーティの湾内には the Kaneano という謎めいた鮫人の部族がある。またかつてこの地を隠れ家に使っていた海賊の財宝が隠されている洞窟がいくつもあるという。
イリズマゴーティ Ilizmagorti/Ihl izz mah GOR tee:島の東岸にある最大の居住地。赤蟷螂会が自らの構成員のために設立した都市だが、たちまち近隣の海賊たちの注意を惹き、補給基地として利用されるようになった。波止場などの従業員や酒場の女の子はみな赤蟷螂会の下位構成員であり、手練の暗殺者である。市内の警護に当たっているのは the Blood Watch だが、市内で通用しているのは海賊の法、海賊の正義であり、ほとんどの揉め事は当事者の自力救済に任されている。
カトル Cuttle:島の西岸にある捕鯨船の補給地。ここで仕事をする捕鯨船は赤蟷螂会に権利金を払わなければならないが、アルカディア洋で最も西にあるこの地を訪れる船は絶えない。かつてこの近海には Coath と呼ばれる巨大な黒い鯨が住み、その縄張りに入り込んだ船を襲って沈めていた。捕鯨船団は力をあわせて Coath を浅瀬に追い込み殺すことに成功したが、そのすぐ後から新月の夜には その亡霊、The Wight Whale が現れるようになり、水夫たちに怖れられている。[5]
緋色砦 Crimson Citadel:赤蟷螂会の本拠である砦。構成員以外に正確な位置を知る者はいない。噂によれば、古代の知識を蒐集した最大規模の図書館があるという。
アンガス・アンバーリングの墓 Crypt of Angus Amberleg:島のどこかにあるという300年前の高名な海賊の墓。自分が集めた莫大な財宝と共に埋められ、それを作った奴隷たちは皆生き埋めにされた。奴隷たちのゴーストによって守られているという。
恐竜墓場 Dinosaur Graveyard:島の恐竜が死ぬ時に向かうという伝説の地。多くの恐竜の骨の堆積の間に海賊の財宝が埋められているが、アンデッドとなった恐竜によって近づく者は攻撃されるという。
ガンダ・ウジ Ganda-Uj:猿のようなゴブリンがジャングルの樹冠に作った居住地。通り掛かった者をネットと毒を塗ったダートで生け捕りにし、彼らが崇めるデーモンへの捧げ物にする。
隠者島 The Hermitage:メディオガルティ島の南にあるただ1人の老人が住むだけの小島。彼は聾唖のようで、いつから何のためにこの島にすんでいるのか誰も知らないが、イリズマゴーティの市長やアベンデゴーの眼となんらかの関係があるという説がある。
モスキート島 Mosquito Island:メディオガルティ島の北東にある小島。暗殺者の訓練場として使われており、部外者の立ち入りは厳禁されているが、赤蟷螂会が来る前は悪名高い海賊王が拠点に使っており、その財宝が隠されているという。
メリー・ウィドウ Merry Widow:モスキート島の北東にある Slitherfish Island 南岸の座礁船に作られたベスマラの神殿。海で夫をなくした未亡人の作った分派であり、彼女の夫はベスマラの元に召され、彼女たちはその犠牲によって祝福を受けたのだとする。船の水没した下部は鮫とタコの巣窟であり、時折夫をベスマラの御許に向わせようとする未亡人志願者が訪れる。
[1] Erik Mona et al.(2008). Campaign Setting, p. 96. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] Rob McCreary et al.(2010). Cities of Golarion, p. 24. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-200-5
[3] Crystal Frasier et al.(2010). Faction Guide, p. 40. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-221-0
[4] James Jacobs et al.(2011). The Inner Sea World Guide, p. 114. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
[5][4] James Jacobs et al.(2010). Classic Horrors Revisited, p. 26. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-202-9
カテゴリー:内海地域