学問に励むウィザードから謎めいたオラクルまで、パスファインダーRPGの各標準クラスは中心となる1つのアーキタイプにまとめられている。この基本コンセプトは特定のクラスのキャラクターがどうあるべきかの一般的に保有されているアイデアであり、同時に可能な限り広範な味方への基盤としてキャラクターが有用であるようにデザインされている。だがその基本コンセプトの先には、無数に新しい解釈や改良の可能性がある。たとえばパラディン・クラスの一員であれば、聖なる騎士やアンデッドに対する勇者、あるいは無垢なる人々の守護者にもなることができる。これらはプレイヤーの選択する詳細やクラス・オプション、特殊ルールに基づいて決まる。プレイヤーがイメージするキャラクターをより再現し、その具体的な目的を追求する上でより効果的なキャラクターを作り出すためのものだ。
しかしいくつかのアーキタイプは実プレイで繰り返し何度も使用され見慣れている、広く普及した刺激的なものである。標準的なファンタジーのキャラクターを作り出すことに興味のあるプレイヤーを手助けするため、以下のページでは各呪文を発動する標準クラスの新ルール、オプション、代替的クラス特徴を掘り下げる。例えば、ほとんどのアルケミストがポーションと毒に手を出す一方で、生と死の秘密を解明しようとするものもいるのだ。
各標準クラスに用意されている選択肢の種類は異なっているが、それぞれのサブシステムとアーキタイプは、そのクラスを扱うために最も適したように、古典的なファンタジーの個別的属性の能力と技を再現するために、そしてプレイヤーが望むとおりのキャラクターを正確にデザインする自由を広げるためにあつらえられている。
以下のページには各クラスの代替的クラス特徴が含まれている。各代替的クラス特徴は、その基となるクラスの特定のクラス特徴を置き換える。例えば、バードの歌の癒し手アーキタイプの“治癒強化”クラス特徴は標準的なバード・クラスの“万能なる芸”クラス特徴と置き換わる。
1つのアーキタイプに複数のクラス特徴が含まれている場合、キャラクターはそれらの全てを修得しなければならない。標準クラスにあり、代替的クラス特徴の中で触れられていない他のクラス特徴の全てはそのままであり、キャラクターがそのレベルに達した時に通常通り修得される(他に特記がない限り)。代替的クラス特徴を取ったキャラクターはなんらかの前提条件を満たすか判断する場合に、置き換えられたクラス特徴を持っているとは見なされない。
キャラクターは2つ以上のアーキタイプを選択することができるが、いずれかの代替的クラス特徴によって基本クラスの同じクラス特徴を置き換えたり変更したりすることはできない。例えば、ドルイドは月に咆える者と鮫のシャーマンの双方を取ることはできない。双方のアーキタイプとも“毒への耐性”クラス特徴を別のものへと置き換えるからである。
アーキタイプが(ファイターの武器修練やレンジャーの得意な敵などのように)基本の能力を強化ないし追加するクラス能力のシリーズの一部を置き換える場合、次にキャラクターがその能力を取得する機会に、その能力はアーキタイプによって置き換えられた低いレベルの能力であると見なされる。実質的に、そのシリーズ内のすべての能力はクラスが次にその能力を強化するときまで延期されている。例えば、アーキタイプがローグの3レベルの急所攻撃+2d6を置き換える場合、5レベルに達したときの急所攻撃は+1d6から+3d6に飛ぶのではなく、今ようやく3レベルの増加を獲得したかのように+2d6に強化される。この調整はローグが急所攻撃を強化される各レベルで継続し、19レベルにおいてまでローグは標準的なローグの+10d6の代わりに+9d6を有する。
既存のキャラクターを使っているプレイヤーは、これらの代替的クラス特徴を利用してもよいか、その場合これらを遡及してキャラクターに適用してもよいかをGMに相談するべきだ。代替的クラス特徴は標準クラス特徴とバランスが取れるようにデザインされているので、キャラクターに遡及して適用したプレイヤーは他のパーティー・メンバーと比較して特に有利になったりはしないはずである。GMが過去に遡ってのキャラクターの特徴の修正に同意する限り、将来の冒険を破綻させることはないだろう。一般に、代替的クラス特徴を適用するという重要な修正を行うのに最も適しているのは冒険の間にレベル・アップ処理をしている時だが、そうする前にGMのチェックを受けるべきである。GMは改定されたキャラクターをキャンペーンに適応させて、重要な変更を生かせるようにすることを願っているはずだから。
キャラクターを作った時点でこれらの代替的クラス特徴を使用できなかったプレイヤーに対して、GMは代替的クラス特徴の適用という譲歩を与えたいと思うものだ。しかしPCはキャンペーンの中で最も不変の要素の1つであるべきである。キャラクターをしばしば変更し作り直すことは、キャンペーンに問題をもたらす可能性がある。GMは喜んで適応し、自分のキャラクターに飽きてきたプレイヤーに作り直しを認めるかもしれない。しかし特定の時点で最も有利に見えるやり方を求めてPCを作ったり作り直したりする不当な選択肢として、代替的クラス特徴を感じられるようにするべきではない。新しく採用されたルールに照らしてキャラクターを作り直すことを認めることは時折なら望ましいかもしれない。しかしGMがプレイヤーにキャラクターの作り直しを認めなかったり特定のオプションを禁止したりすることを、不公正あるいは何らかのルール違反であると感じる必要はない。GMはプレイヤーがキャラクターを望むように動かすことを助けるべく常に努力すべきだが、究極的にキャンペーンにとって何が一番よいのかを知っているのはGMなのである。
アーキタイプはすでに確立した冒険者クラスに面白く香り高い新たな能力を加え、専門化キャラクターを素早く簡単に作成する手段である。この章の提供するクラス・アーキタイプ(およびそれに対応する新たな能力)リストは以下にすべて示されている。キャラクターは条件を満たすなら複数のアーキタイプを取得してもよい。
アルケミスト:このセクションには外科医、クローン使い、錬丹術士、錬心術師、標本保存者、精神感応者、死体蘇生者、生体解剖者アーキタイプが含まれている。
インクィジター:このセクションには領域のような審問を紹介する。加えて悪霊祓い、異端者、潜入者、伝道者、罪喰い人アーキタイプが含まれている。
ウィザード:このセクションでは秘術の発見――ウィザードの発見しうる特別な魔法的能力――に加え、金と木の元素術師の魔術系統と巻物使いアーキタイプを紹介する。
ウィッチ:このセクションには新しい呪術と新しい守護者呪文に加え、獣の盟友、墓歩き、垣根の魔女、海の魔女のアーキタイプを提供する。
オラクル:このセクションには新しい神秘に加えて、二重呪いのオラクル、悟りし哲学者、憑かれしオラクル、先見の者、星詠みのアーキタイプが含まれている。
クレリック:このセクションにはエネルギー放出の変更能力に加えて、修道士、分離主義者、神学者、不死の王のアーキタイプを紹介する。
サモナー:このセクションでは水棲の幻獣の基本形態、テーマに沿ったクリーチャーを手早く構築するための幻獣モデル、新しい進化を提供する。加えて、群れの主、進化術士、招来の達人、統合者のアーキタイプが含まれている。
ソーサラー:このセクションには新しい血脈の追加に加え、混血の者および荒ぶる血脈のアーキタイプが含まれている。
ドルイド:このセクションには新しい動物と地形の領域、および蟲の相棒のルールと基本能力を紹介する。また、竜のシャーマン、メンヒルの碩学、月に咆える者、群れの王、転生ドルイド、蜥蜴類のシャーマン、鮫のシャーマン、嵐のドルイドのアーキタイプが含まれている。
バード:このセクションには名人芸――通常のものとは異なる、特別な前提条件を持つバードの呪芸――に加え、動物の話し手、名士、扇動家、哀歌のバード、芸者、歌の癒し手、音の射手のアーキタイプが含まれている。
パラディン:このセクションでは誓約の聖騎士アーキタイプと、アーキタイプの能力を多様化する多くの誓約を提供する。
メイガス:このセクションには剣の盟友、呪術巧者、呪文剣士、および杖のメイガス・アーキタイプが含まれている。